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Evidence-Based Medicine(EBM) —医学情報流通における費用負担の現状と課題

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Academic year: 2021

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(1)B21. Evidence-Based Medicine (EBM) - 医学情報流通 における費用負担の現状と課題 ○小田中徹也1)、奥出麻里2)、及川はるみ3)、河合富士美4)、首藤佳子5) 国立京都病院1)、JFE健康保険組合川鉄千葉病院2)、 聖路加国際病院3),4)、星ヶ丘厚生年金病院5) 〒612-8555. 京都市伏見区深草向畑町1-1. Tel: 075-641-9161. FAX: 075-643-4325. E-mail: [email protected]. Evidence-Based Medicine (EBM) - its resources, delivery systems and costs KODANAKA Tetsuya1), OKUDE Mari2), OIKAWA Harumi3), KAWAI Fujimi4), SUTO Yoshiko5) Kyoto National Hospital1), Kawatetsu Chiba Hospital2), St.Luke's International Hospital3),4), Hoshigaoka Koseinenkin Hospital5) 1-1, Mukaihata_cho Fukakusa, Fushimi-ku, Kyoto 612-8555 Japan Phone: +81-75-641-9161. Fax: +81-75-643-4325. E-mail: [email protected]. 【発表概要】 1990年代半ば以降、学術情報の流通は電子化・オンライン化が著しい。その中で、臨床医学は国民の生 命・健康に直結する学問分野であるため、英米等では国民への医学情報提供(Consumer Health Information)のために国が一定の費用を負担している。また、国家間の経済格差による医学情報流通の 偏りを無くすため、WHOと商業出版社の提携による開発途上国への学術情報援助の動きも出てきた。こ れらはインターネットの普及とともに、臨床医学における「根拠に基づく医療」(Evidence-Based Medicine:EBM)の重視も大きな要因となっている。EBMは臨床判断や保健政策決定の上で医学情報を再 評価するとともに、情報の質や発表形式にも変革をもたらした。さらに、患者の合理的な意思決定への支 援も目指している。他方、学術誌の購読価格や文献複製料金の高騰も最近の特徴的な傾向である。そこで、 国内外の代表的な学術情報源へのアクセス価格を見て、情報コストの問題点を考えてみた。. 【キーワード】 Evidence-Based Medicine, Consumer Health Information, Costs of Medical Information. 1.背景. の医学医療情報の提供、また医師臨床研修の必修化. 今日、保健医療をめぐる動向においては、 Evidence-Based Medicine(EBM)、患者・市民へ. など、医学文献とその質が改めて重要視されるよう になった。. − 41 −. 第40回情報科学技術研究集会予稿集.

(2) B21 EBMは、一般的には「科学的根拠に基づく医療」 と言われており、日本では1996年頃から注目され. 提供・契約形態、ユーザー料金は「表」のとおりで ある。. るようになった。最近では最善の根拠(有用なエビ デンス)と臨床経験、患者の価値観を統合する医学. (1)文献データベース PubMedは、米国国立医学図書館が作成提供する. 概念として用いられ、臨床現場での意思決定にも広. MEDLINEデータベースで、全世界どこからでも無. く応用されている。 患者への医学医療情報の提供・開示も普及しつつ. 料でアクセスすることができる。これは、1997年. あり、患者自己決定権の尊重、疾病の自己管理の必. にそれまで有料であったMEDLINE検索システム. 要性、インフォームド・コンセントの浸透など、医. を無料化し、Entrez-PubMedとして一般公開した. 療の新しい動向がそれを加速している。. ことによるものである。[1] このPubMedは、シス. さらに、2004年4月から実施される臨床研修の必. テムの先進性はもとより、市民への医学情報の開放. 修化により、病院図書館では医学文献データベース. など、それまでの医学情報提供のあり方を一変させ. やEBM二次資料、教科書類の収集と利用環境整備. た。また、EBM指向文献の検索機能が充実してお. が必要となった。. り、構造化抄録の採用によって、原報を入手できな. すなわち、医学医療情報は医療関係者のものだけ. くてもその論文の主たる内容が把握できる構成と. ではなく、国民に広く開かれるべきであるというこ. なっている。その他、無料電子ジャーナルが読める. と、またそれらの情報は科学的な根拠を持つ、有用. PubMed Centralなどのリンク機能も充実してい. な情報であるべきだということ、医師の教育研修に. る。[2]. もこれらの情報は必須であるということがいわれ. これに比べて、国内医学文献データベースである JDream及び医中誌Webはどちらも有料、EBM対. 始めたのである。. 応はこの2∼3年ようやく試行され始めたばかりで ある。また、契約については、JDreamは法人契約、. 2.目的 そこで、国内外の代表的な医学文献データベース およびEBM関連の情報源を調査し、昨今の医療動. 医中誌Webは法人契約、個人契約の2種類が用意さ れている。. 向との関連において、その流通及び費用負担の面か ら、課題点を考えてみたい。. 科学技術振興事業団(JST)が提供する科学文献 検索サービスのうち、国内の医学・薬学・看護学分 野は、これまでJMEDICINEがカバーしていた。 2003年4月からは「JMEDPlus」として、NewJOIS. 3.調査対象 今回選んだ情報源は、国内外の主な医学文献デー. に組み込まれたが、この10月には新たなシステム. タベースとしてPubMed、JOIS、医中誌Web、エ. JDreamがリリースされた。[3] 政府が出資する文献. ビデンス集・EBM二次資料としてthe cochrane. 検索サービスシステムではあるが、原則的には従量. library、clinical evidence、日本の臨床の場でも注. 課金制の有料サービスである。ただし数年前からは、. 目を浴びている米国の電子教科書UpToDate、国や. 医療機関向けに割安な固定料金制でも提供されて. 学会等が作成している国内外の診療ガイドライン. いる。. である。. 医学中央雑誌刊行会が提供する文献データベー. なお、これらをエビデンス源として選択するに際. ス「医中誌Web」は、国内で発行される医学・歯学・. し、現在、厚生労働省が策定を進めている「臨床研. 薬学および看護学などの逐次刊行物を収録してい. 修指定病院の基準」も参考にした。. る。[4] EBM時代に対応すべく、研究デザインを指 定する機能が付いたVer.3が2003年9月に公開され. 4.結果. た。法人ユーザー向けと個人ユーザー向けの料金設. 各情報源の所属国、作成・提供機関、費用負担、 第40回情報科学技術研究集会予稿集. 定があり、いずれも固定料金制となっている。. − 42 −.

(3) B21 JMEDPlusも医中誌Webも大部分が著者抄録で. なった。最近は、日本人の医療には、やはり日本の. はなく、それぞれ独自に抄録を付与している。経費. エビデンスが必要であると徐々に認識されるよう. とタイムラグの点で、PubMedとは対照的である。. になったが、日本のEBM二次資料の誕生はこれか らの課題であろう。. (2)EBM二次資料 the cochrane libraryは、1992年に英国の保健医. (3)電子教科書および診療ガイドライン. 療政策の一環として始められたコクラン共同計画. 容易な操作性とエビデンスに基づいた内容への. による文献データベースである。「介入」に関する. 信頼性など、日本の臨床医にも人気が高い. 世界的なエビデンス源として、MEDLINEと並び称. UpToDateは、常に新しい医学知識を提供する電子. される。英国を初めとする数ヶ国では、国が費用を. 教科書である。ただし、独立運営組織のためか、他. 負担し、中・低国民所得国向けには配給会社が格安. に比べ配布料金は高額であり、特に法人契約(病院. または無償でウェブ上で提供している。[5], [6]. の場合は病床規模によって差がある)はかなり高額. もう一つのEBM二次資料、clinical evidenceは、. である。また、開発途上国への支援はない。[8]. 日常医療の場へ最新最善のエビデンスを伝える情. 診療ガ イドラ インで は 、米国の the National. 報ツールといわれる。英国ではBMAの会員をはじ. Guideline Clearinghouse (NGC) の役割が著名. め医学生が、米国でも多くの医療のスタッフが、団. であり、日本での後述の事業化のひとつのモデルに. 体や基金によって無償提供を受けている。さらに、. もなっている。[9] 国内でもこの数年、診療ガイド. 中・低国民所得国向けには配給会社によって無償で. ライン作成に国が費用を負担する例がしばしば見. 提供されている。[7]. られるようになった。(財)日本医療機能評価機構. 一方、日本では医学の本格的なEBM二次資料は. でも2002年度より国の補助金を得て医療情報サー. まだ出版されていない。これは、日本ではメガ・ス. ビス事業を開始することになったが、これは、診療. タディ、EBM指向文献そのものが今までそれほど. ガイドラインやその基礎となる医学文献を科学的. 多くはなかったことによる。この数年、ようやく一. に評価した上でデータベースとして整備し、インタ. 部学術雑誌の編集者たちの間にもEBMに対する認. ーネット等を通じて医療従事者や国民に提供する. 識が広がり始めたところである。また、これに付随. ことを目的としている。[10]. して、構造化抄録に関しても言及がなされるように 表 医学系文献データベースとEBM関連の二次資料 「ユーザー料金」は、日本の代理店を通した医療機関(または個人)向けの、2003年現在の年間最低料金を示す。「無料・有料」では、自国民へは 国が費用を負担している場合、出版社が開発途上国へ支援している場合は無料・格安割引。「無料/有料」は、Web上では無料の場合がある。. 情報内容. 所属国. 作成・提供. 費用負担. 提供・契約形態. ユーザー料金. PubMed. 文献データベース (MEDLINE検索). 米国. National Library of Medicine (NLM). 国. Web. 無料. the cochrane library. 文献データベース (主にシステマティックレ ビューやRCT文献を収集). 英国. Update Software社 Wiley社. 国・出版社・ ユーザー. Web/CD-ROM. 無料・格安・有料 (日本:40,000円+). clinical evidence. 臨床医学エビデンス集. 英国. BMJ Publishing Group. 国・出版社・ ユーザー. Web/CD-ROM/書籍. 無料・格安・有料 (日本:22,500円+). UpToDate. 電子教科書. 米国. UpToDate社. ユーザー. Web/CD-ROM. 有料 (日本:70,000円+). 診療ガイドライン (米国). 診療指針. 米国. The National Guideline Clearinghouse (NGC). 国・団体・ ユーザー. Web/書籍. 無料/有料. JMEDplus. 国内文献データベース. 日本. 科学技術振興事業団 (JST). ユーザー. Web/Telnet. 従量制/固定制 併用 (日本:300,000円+). 医中誌Web. 国内文献データベース. 日本. (NPO法人)医学中央 雑誌刊行会. ユーザー. Web/CD-ROM. 固定制 (日本:250,000円+). 診療ガイドライン (日本). 診療指針. 日本. 国・(財)日本医療 機能評価機構・団体等. 国・団体・ ユーザー. Web/書籍. 無料/有料. − 43 −. 第40回情報科学技術研究集会予稿集.

(4) B21 5.考察. つ。その延長線上で考えれば、エビデンス(医学情. 1990年代半ば以降のインターネットの普及とと. 報)自体へのアクセスに、経費の負担は少ないに越. もに、医学情報流通のあり方は一変したといえよう。. したことはない。そこで、国民への健康政策上だけ. その典型例が1997年のPubMedによるMEDLINE. でなく国民経済的な観点からも、欧米では国などが. の無料公開・市民への開放である。このことは、著. 費用を一定負担しているのではなかろうか。. 名な医学雑誌、国や団体さらに図書館などによる. 日本においても、近年、診療ガイドラインをはじ. Consumer Health Informationに繋がり、医学文献. めとしてEBM情報源の整備に予算を割くようにな. 自体も多くが構造化抄録を採用し、概要を的確に無. った。今後、国内医学文献データベースについても、. 料で把握できるようになった。. その質と経費負担の両面で、PubMedをよきお手本. 一方、情報のオンライン化は料金体系にも多様性. にすることが望まれる。. をもたらし、「表」でもわかるように複雑な価格体. 7.参考文献. 系を採る情報源が増えている。 このうち、最も目を引く大きな特徴は、外国医学. [1]. NLM Press Release: Free MEDLINE.. 文献における無料検索と、国内医学文献における有. (http://www.nlm.nih.gov/news/press_releases/. 料検索サービスの違いであろう。情報のデータベー. free_medline.html). ス化およびその提供には多額のコストを要すると. [2]. PubMed Central (http://www.pubmedcentral.gov/). 推測されるが、医学文献が身近な健康情報となるに は、国内文献のより安価で簡便な流通が望まれる。. [3]. JDream (http://pr.jst.go.jp/dream/). 医学情報流通においては、 「シリアルクライシス」. [4]. 医中誌Web (http://www.jamas.gr.jp/). [5]. How to get access to The Cochrane Library:. ともいわれるように、海外の学術誌は購読費が高騰 化し、研究者や図書館を経済的に圧迫している。[11]. National. また、国内においても2001年秋に著作権等管理事. (http://www.update-software.com/cochrane/. 業法が施行され、学術情報の流通に大きな影響を及. provisions.htm). ぼしつつある。[12]. [6]. Provisions for The Cochrane Library.. Accessing The Cochrane Library in Latin America, the Caribbean, and Low-income. その一方で、こうした状況を学術コミュニケ−シ ョン全体の危機と捉え、非商業的な出版形態の「オ. Countries.. ープン・アーカイブ」がウェブ上に現れた。PubMed. (http://www.update-software.com/cochrane/. Centralにみるように国家もこれを推奨している。. LowIncome.htm). また、欧米の大手出版社はWHOと連携し、100. [7]. Clinical Evidence: Free online access for. ヶ国を超える開発途上国に対して、電子ジャーナル. developing countries.. を無償あるいは格安で提供することになった。[13]. (http://212.111.35.3/clinicalevidence.org/Update/. このように医学情報をめぐっては相反する動きが. default.asp?p=3&c=62). 見られる。その中で、どうすれば医療の課題である. [8]. UpToDate (http://www.uptodate.com/). 「EBM実践に対応できる」、「医療従事者や患者、. [9]. the National Guideline Clearinghouse (NGC) (http://www.guideline.gov/). 市民が利用しやすい」 、 「また医師の臨床研修にとっ て有益な」医学情報の流通形態とコストは、重要な. [10] 日本医療機能評価機構 (http://www.ebm.jcqhc.or.jp/). 課題である。. [11] Mayor,S. News: Libraries face higher costs for. 6.結論. academic journals. BMJ. 2003;326:840. EBMは、科学的根拠に基づく最善の良質な医療. [12] 小田中徹也. を目指すとともに、費用対効果も重視する側面を持 第40回情報科学技術研究集会予稿集. − 44 −. みた学術情報. エビデンスと著作権;経済的側面から EBMジャーナル.

(5) B21 2003;4(5):592-597 [13] WHO and top publishers announce breakthrough on developing countries' access to leading biomedical journals. (http://www.who.int/inf-pr-2001/en/ pr2001-32.html). − 45 −. 第40回情報科学技術研究集会予稿集.

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