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日本消化機病学会東海地方会第20回例会講演抄録

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日本消化機病学会東海地方会第20回 例会講演抄録

於 名 古 屋 大 学 医学 部 第 二 講 議 室 1962. 12. 1

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胃 疾 患 に 対 す る メ ト ロ カ イ ン の 使 用 経 験 名古屋大学医学部青山内科 松 原 弘 昌 春 日 井 達 造 白 石 彰 三 高 瀬 達 郎 八 木 幹 郎 坪 内 実 胃愁 訴 を有 す る患 者 の治 療 に は そ の原 因 の探 究 と共 にそ の 愁訴 の 除 去 が必 要 で あ る。 従 来 の 食 餌療 法,制 酸 剤,抗 コ リン剤,粘 膜 保 護剤 も 可成 りの成 果 が あ つ た が,尚 胃痛 を主 とす る胃 愁 訴 の 除 去 は しば しば 困難 で あ つた 。 プ ロ カイ ン等 の局 所 麻 酔 剤 を使 用 す る と,胃 愁 訴 が とれ, 胃腸 運 動 亢 進 を抑 制 す る事 が知 られ て居 た が, 持 続 時 間 が短 か く,毒 性 が強 く,耐 性 が つ き易 い 等 の為 に実 用 され る に到 らなか つ た。 之 等 の 欠 点 を一 応 補 つ た オ キ セザ イ ン(N. N-bis-β-hydroxyethl-amine)にAl. Ca. Mgの 共 沈 剤 ポ リ ミゲル を配 合 し,相 剰 効 果 を計 つ た ス トロ カ イ ン錠 を使 用 し,胃 愁 訴 を有 す る患 者 の 自覚 症 に対 す る効 果,及 び 胃腸 運 動 亢進 に対 す る抑 制 効 果 を検 討 した。 自覚 症 に対 し ては,胃 愁 訴(主 と して 胃痛) を有 し 当科 外 来 を訪 れ た 患 者21名(中 胃潰 瘍 5名,十 二 指 腸 潰 瘍1名,慢 性 胃 炎15名)に 毎 食 前15分 と就 寝 前 の1日4回2錠 宛 計8錠. を連 日(1週 ∼3週)投 与 した。 効 果 は基 礎 疾 患 及 び 胃液 酸 度 に特 に左右 され る事 な く21例 中有 効16例(中 著 効10例, 軽 快6例)無 効5例 で あ つ た。 胃腸 運 動 亢 進 に対 す る抑 制 効 果 は,胃 腸 運 動 亢 進 を示 す 患 者4例 にDonard Berkowitzに 従 いX線 透 視検 査 バ リウム飲 用 前15分 に ス ト ロカイ ン2錠 を服 用 させ,バ リウ ム飲 用 後1時 間,2時 間 の各 写真 を非 使 用 時 同 患 者 の 写真 と 比 較 した。 全 例 に 著明 なバ リウ ムの通 過 遅 延 が 認 め られ,胃 腸 運 動 亢 進 抑 制 効果 を確 認 した。 以 上 の如 くス トロカイ ンは 胃愁 訴 特 に 胃痛 を 取 除 くに有 力 な薬 剤 で あ り,又,胃 腸 運 動 亢 進 に対 して抑 制 作 用 を有 し,胃 大 腸 反 射 亢 進 症 に 対 して適 当 な薬 剤 と考 え る。 尚私 共 の使 用 した 量 で は特 に副 作 用 を認 め なか つ た。

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胃 ・十 二 指 腸 潰 瘍 並 び に慢 性 胃炎 に 対 す るダ リ コ ン の使 用 成 績 名古屋大学医学部青山内科 松 原 弘 昌 春 日井 達造 横 山 純 夫 白 石 彰 三 高 瀬 達 郎 八 木 幹 郎 坪 内 実 Dariconは 一 般 名 をOxypheucyclimiue hydrochlorideと 称 す る も の で,化 学 的 に は 〔1-methy 1-1. 4. 5. 6-tetrahydro 2-pyrimidy 1-methy 1 2-cyclohexy 1-α-phenylglycolate hy-drochloride〕 で,長 時 間 作 用 し て 抗 コ リ ン 性, 抗 分 泌 性,抗 痙 李 性 等 を有 す る と い わ れ て い る 。 わ れ わ れ は 本 剤 を 青 山 内 科 外 来 胃 疾 患 患 者 の う ち,胃 ・十 二 指 腸 潰 瘍19例,慢 性 胃 炎5例 計24例 に.1日 量2錠(1錠 中10mg含 有) を 朝 及 び 就 寝 前 に,3週 間 乃 至8週 間 に 亘 つ て 投 与 した。 そ の臨 床効 果 を綜 合 す れ ば 胃 ・十 二 指 腸19 例 では 著効,軽 快 合 せ て15例 に有 効 で,不 変 は4例,増 悪 は なか つ た。 慢 性 胃 炎5例 で も全 例 に有効 で,増 悪 は認 め られ な か つ た。 副 作用 は2例 に軽 度 の 口渇 を訴 え る も のが あ るの み で あ つ た。 症 例 1)■46才,男,公 務 員 上 腹 部 痛 を訴 え 当科外 来 を訪 れ 検 査 を施行 。 X線 検 査 に よ り胃角 部 にニ ッシ ェを証 明。 胃 カ ―261―

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メ ラで は 胃角 部 や や 後 壁 寄 りに潰 瘍 を認 め,胃 液 酸 度 は正 酸 で便 潜 血 は(+)で あ つ た。 ダ リ コ ン2錠 投 与 約2週 後 に上 腹 部痛 消失 し,6週 後 のX線 検 査 で は ニ ッシ ェは 消失 し,胃 カ メ ラ で潰 瘍 の瘢 痕 治 療 像 を認 め,胃 液 酸 度 は不 変 で, 便 潜血 は(-)と な つ て い た。 2)■39才,男,国 鉄 職 員 上 腹 部 痛 を主 訴 とし て 当科 外来 を訪れ,X線 検 査 で 胃角 部 に小 指 頭 大 の ニ ッシ ェを証 明。 胃 カ メ ラに よ り胃角 部 後 壁 寄 りに潰 瘍 を認 め た。 胃液 酸 度 は正 酸 で便 潜 血(+)で あ つ た。 ダ リ コ ン2錠 投 与 後3週 で主 訴 は消 失 し,6週 後 の X線 検 査 で は ニ ッシ ェは認 めず,胃 カ メ ラで そ の瘢 痕 をみ る の み とな り冑液 酸 度 は不 変 で,便 潜 血 は(-)で あ つ た。 以 上 よ り本 剤 は 胃 ・十 二 指腸 潰 瘍 並 び に慢 性 胃炎 に対 し可成 り有 効 な薬剤 と考 え られ る。 演 題2に 対 して 質 問 名古屋 大学青 山内科 青 山 進 午 潰瘍 の縮 小,消 失,胃 液 酸 度 の変 化 は服 薬 後 どの位 か? 解 答 投 薬 後 の検 査 は大 体5∼6週 後 に行 つ てい る が,そ の検査 に よ つ て殆 ん ど消失 治 癒 して い る の で,少 く とも此 の期 間 内 に治癒 した もの と思 われ る。 胃液酸 度 は過 酸 の もの で は正 酸 に なつ て い る ものが 可成 りあ り,正 酸 の もの で は不 変 の もの が多 か つ た。 (3)若 年 性 胃 腫 瘍 の2例 東 海 病 院 中 村 元 三 伊 藤 正 大 後 藤 寿 美 子 新 村 建 司 鈴 木 慈 郎 症 例1。22才,女,主 訴:貧 血症 状。 尿 潜 血 反 応 陽性,低 色 素 性 貧 血,胃 液 正酸,血 清 蛋 白 量 減 少 あ り。 レ線 透 視 で 胃角 部 よ り幽 門 前庭 部 に数 ケ の陰 影 欠 損 あ り,圧 迫 す る と網 の 目状 に 造 影 剤 の残 存 を見 る。 胃 カ メ ラで有 茎 性 或 は腫 瘤 状 に突 出 し た ポ リー プ が あ り,胃 切 除術B1 を施 行.42ケ の ポ リー プ を認 め た。 病 理学 的 に は腺 腫 で あ り,悪 性 変 化 は見 られ なか つ た。 症 例2。25才,女 。 主訴:上 腹 部 痛。 低 色 素 性 貧 血,軽 度 肝 障 害,松 原 氏 反 応 陽 性。 レ線 透 視 で 胃体 中 部 大轡 側 に 円形 陰 影 欠損,皺 壁 像 の 消 失 を認 めた 。 胃 カ メ ラで 巨大 な巌状 をな し た 腫 瘤 が あ り,胃 切 除術B11施 行,7×6cm大 の 腫 瘍 を認 めた。 病 理 学 的 に細 網 肉腫 で あ つ た。 質 問 名古屋大学青 山内科 青 山 進 午 Polyosisの 患 者 の 胃症 状 は? 解 答 心 悸 亢 進,呼 吸促 進 を訴 え,胃 症 状 は何 もな か つ た。 (4)胃 憩 室 の2例 名古屋大学医学部青山内科 松 原 弘 昌 春 日 井 達 造 白 石 彭 三 高 瀬 達 郎 八 木 幹 郎 坪 内 実 我 々 は現 在 迄 に胃 カメ ラ検 査 を5000余 例 行 つ た が,そ の 中 で,胃 カ メ ラ で証 明 した 胃憩 室 を2例 経 験 した の で報 告 し た。 症 例1は51才,女,主 婦,主 訴 は上 腹 部 膨 満 感 。 他 院 で 胃X線 検 査 に よ り噴 門 直 下小 轡 に 嚢 状 突 出 を認 め当 科 へ精 査 を依 頼 され た。 逆 視 式 胃 カメ ラで,噴 門直 下 小 轡 に円 形 の憩 室 入 口 部 を認 め た。 症 例IIは25才,男,カ メ ラマ ン,主 訴 は上 腹 部 膨 満感 。 現 病 歴 は約2年 来 上記 主訴 が あつ た、 既 往 歴 は5年 前 肺 結 核 に罹 患,加 療 に よ り 治 癒 し た。胃液 酸 度 は正 酸 。便 潜 血 反 応 は陽 性. 胃X線 所 見 は 胃体 中部 大 轡 側 に くび れ た嚢 状 突 出 を認 め た。 近 接 胃 カ メ ラに て撮 影 。 胃体 中部大 轡 に 円形 の憩 室 入 口部 を証 明 し た。 ―262―

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2例 と も投 薬 に よ り自覚症 状 軽 快 し た。 手 術 は行 つ て い な い。 以上 我 々 が 胃 カ メ ラで 証 明 した 胃憩 室 の2例 を報 告 し た。 質 問 名古屋大学放射線科 佐 々木 常 雄 胃体 部 の憩 室 の 中 で は大 轡 側 と小 轡 側 と どち らに発 生 しや す い か? 解 答 名大青山内科 入 木 幹 郎 胃 体 部 の憩 室 は稀 で あ るが私 の調 べ た処 では 大 轡 側 に少 な い と発 表 し てい る文 献 は な か つ た。

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胃 癌 に 対 す る60Co術 前 照 射 に つ い て 豊橋市民病院外科 三 沢銓 介 殿 村 隆 平 内 科 放射線科 名古屋大学 中検病理 百 瀬 元 大 松 田 忠 義 牛 島 宥 昭和35年1月 以 降 胃癌 手 術 患 者 に,再 発 又 は転 移 の防 止 の 目的 で60Coに よ る術 前 照射 を 65例 に行 つ た の でそ の 生 存 曲線 を含 め て 報 告 し た。 照 射 法 は背 腹 二 門 よ りの 固定 照 射 で,一 回 の 病 巣 線 量200r,総 病 巣 量4000rを 基 準 とし た。 定位 は透 視 及 横 断撮 影 に よつ た 。 照射 前後 のX線 写真 の比 較 で は86。9%に 改 善 の跡 が 認 め られ,特 に潰 瘍 型 では 全 例 に有効 で あ つ た。 腫 瘤 触 知 の面 よ りみ た場 合,腫 瘍 の 縮 少 乃 至 消失 は全 例 に認 め た。 病 理 所 見 の 効果 でみ る とSkirrhus,solidcarciuom,Adeuo carciuomの 順 に よ く作 用 す る様 に思 わ れ る。 そ の有 効 例,即 ち何 らか の変 化 を認 めた もの は 全 体 の80%に 達 した。 60Coの 照 射 の た め手 術 操 作 に困 難 を生 じた ど 思 われ る例,或 は術 後 合 併 症 の増 加 等 は 認 め で い な い。 む し ろ進行 癌 の手 術 成 績 は根 治 切 除 率 で み て約10%向 上 した。 この結 果,症 例 を選 ん で行 へ ば 胃癌 に対 す る 60Co術 前 照射 は極 め て有 効 な る方 法 と考 え る 質 問 名古屋大学青山内科 青 山 進 午 術 前 照 射 のIndikation,Kontraindikatiom は どの よ うに考 え られ るか? 解 答 原 則 とし て 胃癌 は術 前 照射 を行 つ てい るが, 幽 門狭 窄 な ど早 期 手術 を要 す る例,腹 水 貯 溜, 癌 浸 潤 の高 度 と考 え られ る場 合,試 験 開腹 の勝 合 に は術 前 照 射 を行 つ て い な い。 又 早期 癌 も積, 極 的 に手 術 を行 つ て い る。

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未 熟 児 に お け る 先 天 性 室 腸 閉 塞 症 の一 治 験 例 名古屋市立大学医学部第1外 科学教室 柴 田 清 人 由 良 二 郎 宮 池 英 夫 同 小児科学教室 伊 藤 栄 源 我 々 は最 近9ケ 月 の早 産 児 に発 症 した先 天 性 空腸 閉 塞症 に対 し生 後4日 目手術 を施 行 し全 治 させ 得 た。 空腸 は トライ ツ靱 帯 よ り約10cm肛 側 で完 全 に断 裂 し肛側 盲端 は約50cmに 亘 つ て腸 間 膜 形 成 を欠 くの で この部 分 を切 除 し,口 側 盲 端 との間 に端 側 吻 合 を施 行 した。 術 後 約2週 間 は 著 しい 肺循 環 機 能 不全,腸 管 麻 痺 の状 態 が続 い た が21日 間 に亘 る輸 液 療 法 を中 心 とし て,種 々 の対 症 療 法 に よ り回 復 し,術 後 約1ケ 月 頃 か らは体 重 も急 速 に増 加 した。 そ の術 後 管 理,手 術 々式 に多 少 の考 察 を加 え. 報 告 す る。 ―263―

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十 二 指 腸 乳 頭 部 腫 瘍 の1例 三重県立大学医学部高崎内科 大 西 正 一 角 田 均 78才 男,黄 疸 を主 訴 とし,肝 約4横 指 腫 大 し,尿 で は蛋 白陽 性,ビ リル ビ ン強 陽性,ウ ロ ビ リノ ーゲ ン減 少 し,便 色 は淡 く,潜 血 反 応 は ベ ン チ ゲ ン で弱 陽性,ピ ラ ミ ドン陰性,血 清 は 黄 疸 指 数100,GPT 286u,GOT 35.5u,Alk. P.Tase 8 u,ル ゴ ール 陽 性 で か な りの肝 障 害 を 認 め,出 血 時 間 は2分30秒 で梅 毒 反 応 は陰 性 で あ つた 。 試 験 穿 刺 に よ る腹 水 は血 性 で リバル タ反 応 陽 性,印 環 細胞 を認 め た が腫 瘍 細 胞 は認 め られ な か つ た。消 化 管X線 透 視 で は ニ ッシ ェ, 絵 影 欠 損 も な く幽 門 部 バ リウ ム通 過 も良 好,十 二 指 腸 の経 過 に も異 常 は認 め られ な か つ た。 入 )院後 一 時 黄 疸 指 数,GPT,Alk.P.Tase,直 接 ビ リル ビ ン共 に下 降 を示 した が 一 ケ月 後 いず れ も再 び 上 昇 し,8月15日 突然 強 い腹 痛 と共 に 全 身 衰 弱 を来 た し て8月17日 死 亡 した。 剖 検 で は,十 二 指 腸 に経0.6cmの 潰 瘍 穿 孔 を認 め, 十 二 指 腸 乳 頭 部 は経0.7cmの 腫 瘤 を形 成 し組 織 的 に はAtypicalな 腺 管上 皮 の増 殖 が あ り, 単 核 球 を主 体 とす る炎症 細胞 の浸 潤 もみ られ 癌 化 を示 して い た。 肝 は細胞 の 萎縮,核 の大 小 不 同 が 認 め られ胆 汁 性 肝 硬 変症 の像 を 示 し て い た。 本 症 例 は上 記 の臨 床症 状 並 び に検 査 所 見 か ら,悪 性 腫 瘍 に よ る閉 塞性 黄疸 を考 え た が,一 時 閉 塞症 状 の軽 快 を示 した の と,消 化 管X線 透 視 に悪性 変化 も認 め られ なか つ た の で,悪 性腫 瘍 の確 定 をち ゆ うち よ した。 然 し剖 検 に よ り十 二 指腸 乳頭 部 に小 さい腺 癌 を認 め,こ の腫 瘍 が 胆 道 口 を閉塞 してい た。 従 つ て,閉 塞 症 状 の一 時 的 軽快 は 癌 細胞 の融 解 に よ る縮 少 か,或 は周 囲 組織 の 炎症 性 腫 脹 の減 少 に よ る もの か で あ ろ うが,小 さい腫 瘍 が か か る部 位 に発 生 し た事 が, 悪性 腫 瘍 で あ りな が ら本症 例 の如 き興 味 あ る臨 床経 過 を とつ た所 以 と考 え報 告 した。 質 問 名古屋大学青山内科 青 山 進 午 腹痛 と黄 疸 出 現 との時 期 的 関係 は? 解 答 腹 痛 は死 亡 の2日 前 で,黄 疸 は約3ケ 月 前 か ら認 め られ た。 強 い 腹 痛 の あ つ た時 期 は十二 指 腸 潰 瘍 穿孔 の あ つた 時 期 と考 え る。

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Cholecystokininの 胆 嚢 収 縮 剤 と し て の 使 用 経 験 伊勢市亀谷病院 内科 亀 谷 晋 中 村 重 一 水 谷 和 弘 純 粋 の 力 価 の 安 定 し たCholecystokininが 錫 ら れ る よ うに な り,臨 床 的 に 広 く使 用 さ れ, 峙 に 胆 嚢,胆 道 の 検 査 に 応 用 さ れ る に 至 つ た 。 我 が 国 で も,既 に 山 川,湯 川,亀 田 ら の 報 告 が あ る が,私 共 もCholecystokininを 臨 床 的 に 使 用 す る 機 会 を 得 た の で 報 告 す る。 検 査 対 象;胃 切 除 患 者4例,胆 嚢 症6例,胆 。石 症2例,胃 ア トニ ー1例 計13例 で,い つ れ も50%ビ リ グ ラ フ ィ ン静 注 法 で 胆 嚢 造 影 を行 い,卵 黄 投 与 後 胆 嚢 収 縮 不 良 の も の に つ い て 行 つ た 。 検 査 方 法;50%ビ リ グ ラ フ ィ ン20cc静 注 後,胆 嚢 撮 影 を20分,40分,90分 に行 い, 胆 嚢 影 を 認 め た も の に つ い て 卵 黄2ケ を投 与, 縞60分 後 に 撮 影,更 にCholecystokinin prokg 11vy単 位 の静 注 後,2分,5分,7分,10分, 15分,20分 迄 胆 嚢 撮影 を行 つた。 検 査 成績:胆 嚢 に つい ては,Cholecystokin-in試 験 に よつ て収 縮 の見 られ た もの13例 中9 例,殆 ど不変 の もの4例 で あ つ た。 収 縮 の見 ら れ た9例 中,著 明 な収 縮 を示 す の もの6例,や や 不 充 分 の もの3例 で あつ た。 胃切 除 例4例 は いづ れ も収 縮 が見 られ,胆 嚢 症6例 で は3例 に 収 縮 をみ,他 の3例 に は収縮 が認 め られ なか つ た 。 胃 ア トニ ー の1例 で は著 明 な収 縮 を 認 め た 。 胆 石症 の2例 で は,1例 で は不 変,他 の1 例 で は収縮 を認 め たが,い づれ も胆 石 の容 積 一 杯 ま で収縮 して い る像 が 見 ら れ て い る。Cho-lecystokininに よ る収 縮 開 始 は2分 後 は い づ れ も認 め られ,最 大 収縮 は2∼15分 に認 め られ ―264―

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た。 胆管 に つ い て は,胆 管 陰 影 は 胆嚢 の収 縮 に 伴 つ て認 め られ るが,卵 黄試 験 で は造 影 され て い な か つ た8例 中5例 に認 め られ た。 副 作 用: 顔 面 紅 潮,熱 感,腹 部 熱 感 のあ つ た もの が,13 例 中5例 に認 め られ たが,殆 ど軽 度 で一 過 性 の もの で あ つ た。 質 問 名古屋大学青山内科 青 山 進 午 Cholecystokinin使 用 後 胆 嚢 収縮 の最 も著 明 な の は何 分 位 と見 て よい か? 解 答 Cholecystokinin静 注 後2分 ∼15分 で最 大 収 縮 が認 め られ るが 尚 検討 して最 大 収縮 時 間 を 決 定 した い。 質 問 名古屋市立大学柴 田外科 柴 田 清 人 卵 黄 に よ る胆嚢 収 縮 とCholecystokininに よ る収 縮 との 比較 は ど うか? 解 答 Cholecystokinin多 量 入 手 困 難 な た め,本 日 の報 告 は卵 黄試 験 で胆 嚢 の収縮 不 良 の もの のみ を対 象 と した。 今 後 症 例 を重 ね て 卵 黄 試 験 と Cholecystokinin試 験 との比 較 検討,特 に卵 黄 の作 用機 序 に つ い て も検 討 した い。

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各 種 疾 患 に お け る α-xylose負 荷 試 験 抄 録 名古屋大学医学部青山内科 松 原 弘 昌 藤 本 稔 戸 田 安 士 江 川 義 勝 丹 羽 豊 郎 近 藤 博 恒 中 江 良 之 青 山 宏 小 林 世 美 各 種 疾 患 に お け る吸 収 能,特 に糖 質 の吸 収 試 験 と して α-xylose負 荷 試 験 を行 つ た。 青 山内 科 入 院 患 者 の中,慢 性 膵 炎5例,胃 疾 患4例,慢 性腸 炎2例,急 性 並 び に慢 性 肝 炎4 例,閉 塞 性 黄 疸1例,溶 血 性 黄疸2例,尿 崩 症 1例,甲 状 腺 機 能 低 下症1例,糖 尿 病3例,計 23例,並 び に対 照 とし て正 常7例 に つ い て施 行 した。 方 法 は早 朝 空 腹 時 排 尿 し α-xylose5g投 与 後5時 間尿 を採 取 しRoe-Rice氏 法 に よ り α-xylose尿 中排 泄量 を定量 した。 正 常7例 で は1288mg∼2453mg,平 均1814 mg±378mgで あ つ た。 慢 性 膵 炎5例 で は1650mg∼2322mgで, 何 れ も正 常 範 囲 内 で あ つ た。 胃疾 患4例 で は 1116mg∼2537mgで1例 は稍 々高 値,他3例 は正 常範 囲内 で あつ た。 頑 固 な下 痢 腹痛 を主訴 とす る慢 性 腸 炎 の2例 で2回 の検 査 を 行 つ た が,何 れ も552mg,1110mgで 明 らか な低 値 を認 め,他 の1例 は1724mgで 正常 で あ つ た。 肝 炎4例,閉 塞 性 黄 疸1例,溶 血 性 黄 疸2例 で は正 常 で あ り,尿 崩 症1例,糖 尿 病3例 は何 れ も正 常 範 囲 の値 を示 した。 甲状 腺 機 能 低 下 を示 す1例 で は926mgで 正 常 に比 し低 値 で あ つ た。

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AICA-Orotateの 基 礎 的 研 究 に つ い て 名古屋大学医学部山田内科 奥 山 澄 彦 翠 川 宏 川 村 耕 造 石 原 裕 弐 体 重1009内 至110grの 雑 系 雄 ラ ッテ40 匹 を 用 ひ,10匹 づ つ4群 に 分 け た 。 第1群:対 照 第2群:オ ロ ッ ト酸 投 与,第3群:AICA投 与,第4群:AICA-Orotate投 与 の 各 群 で,カ テ ー テ ル に よ る 経 口投 与 を 行 い,投 与 後8日 目 に 失 血 殺 し 肝 の 重 量 を測 定 し た 。 同 時 に10% ホ ル マ リ ン,純 アル コ ー ル 固 定 を行 い,脂 肪 染 色,PAS染 色 に よ り観 察 した。そ の結 果AICA-Orotate投 与 群 で は 平 均肝 重 量 の増 加 は対 照 と 同 様 見 られ な か つた 。オ ロ ッ ト酸 及 びAICA投 与 群 で は対 照 に比 し肝 の脂 肪 沈 着 が多 く認 め ら れ,特 に オ ロ ッ ト酸 投 与群 に於 い て著 明 で あ つ た。AICA-Orotate投 与 群 はオ ロ ッ ト酸 及 び AICA単 独 投 与 群 に比 し脂 肪 沈 着 は 少 な か つ ―265―

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た。 肝 の グ リコー ゲ ン沈 着 はPAS染 色 で検 索 れ な か つ た。 し た が,各 群 共 対 照 群 に比 し有 意 の差 は認 め ら

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四 塩 化 炭 素 肝 障 碍 に 及 ぼ す アス パ ラギ ン酸 及 び そ の 塩 類 の効 果 に つ い て 名古屋大学医学部山田内科 奥 山 澄 彦 石 原 裕 弐 川 村 耕 造 翠 川 宏 高 桑 英 二 我 々 はdl-ア スパ ラ ギ ン酸,レ ア スパ ラ ギ ン 酸K.Mg.Na塩 を,四 塩 化 炭 素 障 碍 シ ロネ ズ ミ及 び エ チオ ニ ン脂 肪 肝 を起 した シ ロネ ズ ミに 投 与 し,そ の及 ぼ す影 響 を検 討 した。 実 験Aと し て1009の 雄 シ ロネ ズ ミに対 し, 10%四 塩 化 炭 素 を腹 腔 内 に0.5mlの 割 合 で注 射 して肝 障 碍 を起 し,そ れ ぞ れdl-ア スパ ラ ギ ン酸,1一 ア スパ ラ ギ ン酸,K.Mg.Na塩 を連 日 5目 間 腹 腔 内 に注射 し,各 々3匹 づ つ24時 間 72時 間120時 間後 に,又 実 験Bと して体 重100gの 雌 シ ロネ ズ ミに対 し,全 量75mgの エ チオ ニ ン を腹 腔 内 に注射 して,エ チ オ ニ ン脂 肪 肝 を起 し,そ れ ぞ れdl-アス パ ラギ ン酸 及 び そ の塩 類 を実 験Aの 如 く注 射 し,各 々3匹 づ つ24時 間48時 間72時 間 後 に出 血 死 せ し めて,脂 肪 染 色PAS染 色HE 染 色 を行 い,肝 の組 織学 的検 索 を試 み た 結果, 次 の 事 柄 を考察 した。 実 験Aに て は,dl-ア スパ ラ ギ ン酸,レ アス パ ラ ギ ン酸 塩 類 の一 定 量 一定 期 間 の連 続 注射 は 対 照 の 障碍 肝 に比 べ,脂 肪 量 の減 少 及 び肝 糖 原 回 復 の促 進 を来 たす こ と を 認 め た が,dl-ア ス パ ラギ ン酸 及 び1-ア ス パ ラギ ン酸K,Hg.Na 塩 の 間 に は,有 意 の差 異 は認 め られ なか つ た。 又HE染 色 に て行 つ た。 肝 細 胞 壊 死 回復 に対 す る影 響 は,対 照 に比 べdl-ア スパ ラギ ン酸 及 び そ の塩 類 投 与 群 との 問 に有 意 の差 は 認 め られ な か つ た。 実 験Bに て行 つ た エ チ オ ニ ン脂 肪 肝 に及 ぼす 影 響 は,dl-ア ス パ ラギ ン酸 及 び1-ア スパ ラ ギ ン酸 塩 類 と も,対 照 に 比 べ 明 らか に脂 肪 減 量 を 認 めた。

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肝 生 検 の 臨 床 的 経 験 名古屋大学医学部山田内科 福 村 亮 奥 山 澄 彦 川 村 耕 造 翠 川 宏 石 原 裕 弐 高 桑 英 二 我 々 は最 近 の肝 生 検48例 及 び そ の中 興 味 深 い と思 わ れ る5症 例 に つ い て報 告 す る。 48例 中男39例,女9例 で あ り,疾 患別 分 類 で は正 常7例,急 性 肝 炎7例,慢 性肝 炎8例, 肝 硬 変症24例,肝 癌,ジ ル ベ ル 氏 病 各 々1例 で あ つ た。 年 令 別 で は40才 乃 至50才 代 が半 数 を占 め最 高 年 令 は80才 で あ つ た。 臨床 診 断 と肝 生 検 診 断 とを比 べ る と急 性 肝 炎 で は両 者 は一 致 した が慢 性 肝 炎,肝 硬 変 症 で は 若 干 の差 違 が あ り閉塞 性 黄 疸 で は3例 中2例 は 臨 床,肝 生検 共 で も診 断 出 来 ず剖 検 で確 定 し得 た 。 採 取 失 敗 例3例,組 織 片 不適 当1例 で あつ た が第 二 回 採 取 で 全 例成 功 した。 又 採 取 時 の最 高 ビ値 は36.6mg/dlで あ り30mg/dl以 上 は 3例 で あつ た。 又48例 中3例 は経 腹 壁 法,他 は経 肋 間 法 で あ る症 例1は 生 検 剖 検 組 織 共典 型 的 な肝 硬 変 像 を示 す。 症 例2は 臨床 診 断 上 閉 塞性 黄疸 で あ り生 検 で 肝 硬 変像 で あ つ た が剖 検上 肝 門部 に アデ ノ カル チ ノー ム を認 め た例 で肝 癌 の診 断 に は肝 生 検 に 多 大 の期 待 をか け る事 は 出来 な い。 症 例3は 偶 然 に肝 腫 瘍 部 を穿 刺 し肝 癌 で あ る 事 を証 明 し得 た。 症 例4は 肝 生 検 で ジル ベル 氏 病 と診 断。 症 例5は 細 胆 管 炎性 肝 炎 と診 断 した。 ―266―

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結 語 48例 に つ い て肝 生 検 を行 い 報 告 し そ の 中5 症 例 に つ い て併 せ 報 告 した。 肝 炎,肝 硬 変症,特 に細 胆管 炎性 肝 炎 の診 断 に肝 生 検 は有 意 義 と考 え る。 質 問 名古屋市 立大学柴 田外科 柴 田 清 人 黄 疸 の あ る時 期 に 生 検 を 行 つ てAbszess Hamatomを 作 る様 な こ とは な い か2 解 答 Abszess,Hamatomを 作 つ た例,出 血症 状 を起 した例 は ない。 質 問 名古屋大学青 山内科 高 瀬 達 郎 肝 硬 変 の程 度 と生 検 に よ る出血 との 関係 は? 解 答 肝 硬 変 の生 検 で は予 め 出血 傾 向 の 検 査 を 行 う。 高 度 の肝硬 変症 で も出血 に よ る と思 われ る 血 圧 の低 下,貧 血 及 び腹 部 症 状 は なか つ た。

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慢 性 膵 炎 のX線 学 的 検 討(第 一 報) 名古屋大学放射線科 名古屋大学青山内科 佐 々 木 常 雄 菊 池 三 郎 青 山 内 科 外 来 及 び 入 院 患 者 に つ い て,臨 床 検 査 の 結 果 慢 性 膵 炎 と診 定 さ れ た 場 合 に,い か な るX線 所 見 が み ら れ る か を 検 討 し た 。 X線 検 査 方 法 と し て は 上 腹 部 単 純 撮 影 及 び 胃 ・十 二 指 腸 造 影 検 査 を 施 行 し た 。 現 在 ま で に 約10例 に つ い て 観 察 し た が,上 腹 部 単 純 撮 影 に お い てSentinel loop 1例, Calaficdeposit 1例 を み と め た 。 胃 ・十 二 指 腸 の 変 化 に はduodenal loopの irritability7例,reliefのcoarsening8例, double contom5例,F-sign4例,reverse 3sign1例,Widening1例 を み と め た 。 小 腸 の通 過 時 間 は約 半数 に促 進 をみ とめ た。 質 問 名古屋大学青山内科 藤 本 稔 透 視観 察 中,圧 痛 部 位 と膵 との関 係 は如何? 解 答 現 在 の処 充 分 に注 意 して観 て い な い ので 今後 は此 の点 も併 せ て観 察 した い。 質 問 膵 臓 の病 変 は頭 部 に多 い のか,そ れ と も膵 全 体 に及 ぶ の か?青 山教 授 へ 解 答 名古屋大学 青山内科 青 山 進 午 膵 臓 の病 変 は頭部 に最 も多 く,又 著 る し い。

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胃 壁 内 副 膵 の 一 例 伊勢市亀谷病院内科 亀 谷 晋 中 村 重 一 水 谷 和 弘 胃 カ メ ラに て良 性 小 腫 瘍 と診 断 し,病 理組 織 検 査 の結 果,胃 壁 内 副 膵 で あ る こ とが 判 つ た症 例 で あ る。 症 例:68才 の男 子。 主 訴 は上 腹 部 膨 満 感,頭 痛,眩暈 。 胃液所 見 は,カ ッチ ュカル ク法 で最 高 遊 離塩 酸 度18,最 高 総 酸 度30。 胃 レ ン トゲ ン所 見 は,鈎 状 胃 を呈 し,レ リー フ像 で は,皺 襞 や や 不 規 則 で太 い。 胃 カ メ ラ所 見 は,粘 膜 は全 体 に萎 縮 性 を呈 し, 一 部 に過 形 式 を示 す 所 も ある。 胃体 部 後 壁 寄 り に米 粒 大 の 小腫 瘤 を認 め るが,表 面 は平 滑 で 周 囲 粘膜 と同様 の色 調 を呈 す る。 切 除 胃で は,胃 体 部 後壁 に 小豆 大 の結 節 を認 め る。 組 織 所 見:胃 粘 膜 は全 体 に萎 縮 性 を呈 し,一 部 線 維 化 を呈 し,固 有 層 には 細胞 浸 潤 を示 す所 もあ る。 結 節部 は,粘 膜 下織 に大 き さ小 豆 大 の 膵組 織 が 見 られ る。 これ は正 常 の膵 組 織 と同様 の形 態 で あ るが,ラ 氏 島 は見 られ な い。 又,そ の一 部 に,数 ケ所 に膵 腺 組 織 と全 く形 態 の異 つ た チ モ ー ゲ ン顆 粒 を もつ腸 管上 皮 に似 た細胞 よ りな る腺 組 織 が 見 られ る。 質 問 名古屋大学青 山内科 青 山 進 午 ラ氏 島 は認 め られ な か つた か2 解 答 ―267―

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ラ氏 島 は 認 め られ な か つた。 質 問 名古屋市立大学柴 田外科 柴 田 清 人 副膵 に 由来 す る と思 われ る愁 訴 は? 解 答 主訴 は上 腹 部 膨 満 感 で あ る。 頭 痛,眩暈 は高 血圧 に よる症 状 と思 わ れ る。 質 問 名古屋市横 山胃腸科病院 横 山 泰 久 我 々 も同様 の 胃 内小 腫 瘤 を フ ァイ バ ー ス コー-プ で認 めて い るが,副 膵 の外 科 的 治療 の必 要 性 に つい て,青 山教 授 に。 解 答 名古屋大学青 山内科 青 山 進 午 絶 対 的 な手 術 適 応 とは考 えな い。 繰 り返 し検 査 して増 大 悪 性 化 の傾 向 を認 め た ら早 く剔除 す べ き もの と思 う。

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イ リ コ ロ ンMに よ る 大 腸 機 能 異 常 の 治 療 名古屋市立大学第一内科 岸 川 基 明 牧 野 秀 夫 中 山 勉 根 本 卓 也 川 口 寛 腹 痛,腹 部 不 快 感,便 通異 常(下 痢,便 秘 ま た は それ らの交 替)を 訴 え同時 に屡 々 自律 神 経 症 状 を伴 う,い わ ゆ るlrritable Colonと 思 わ れ る68例 にイ リコ ロ ンM(塩 酸 ペ ピタネ ー ト と赤 目柏 エ キ ス の合剤)を 投 与 し,自 他 覚症 状 な らび に レ線 所 見 に及 ぼ す影 響 を観 察 した。 本 症 は一 般 に女性 に多 く,且 つ女 性 で は各年 令 層 にみ られ るが,男 性 で は比 較 的 若 年 著 に限 られ て い る。 本 剤 の投 与 に よ り腹 痛 は53例 中37例 に, 便 通 異 常 は38例 中31例 に,食 欲 不 振,不 眠, 倦 怠 等 の全 身 症 状 は35例 中26例 に効 果 を認 め た。 ま た,本 症 の レ線 所 見 とし て は(1)造 影 剤 の 通 過 の促 進,あ るい は遅 延,(2)ハ ウス トラの乱 れ,(3)腸 管 腔 の狭 小 化(Stringsignを 含 む), (4)腸管 腔 の拡 張,ア トニー,(5)結 腸 下垂,が あ げ られ る が,本 剤 の投 与 は就 中(1)及び(2)に効 果 が み られ た。 本 剤 は本 症 の治 療 に有 効 と思 わ れ る と共 に本 症 が疑 わ しい症 例 に試 験 的 に投 与 し て,そ の効 果 か ら逆 に診 断 が あ る程 度 可 能 と考 え る。 ま た,レ 線 検 査 を行 つ た68例 中53例 に結 腸 下垂 が認 め られ た が,大 腸 機 能 異 常 の発 現 に 何 等 か の役 割 を もつ もの と考 え る。 質 問 伊勢市亀谷病院 亀 谷 晋 レ ン トゲ ン所 見 で の効 果 判 定 は何 を基 準 と し て行 われ た か?本 疾 患 で は レ線 像 はそ の 患者 の心 理 的影 響 そ の他 の条 件 に よ つ て左右 され 易 い の で,そ の効 果 判定 に は慎 重 を要 す る。 私 共 も本 疾患 に つい て研 究 を行 い,精 神,身 体 医学 的 に もや つ て い る。 解 答 レ線 所 見 の変 化 と,自 覚症 の改 善 を もつ て有 効 と判定 した。 レ線 撮 影 は外 来 患 者 に行 つ た た め,そ の時 に於 け る心理 状 態 等 の細 部 に亘 る調 査 は省 略 した。

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腹 部 巨 大 腫 瘤 の 一 例 三重県立大学 医学部高崎内科 村 田 佐 門 池 田 信 彦 腹 部 巨 大 腫瘤 を有 し,開 腹 手術 に よ りM勤 oblastomaと 思 はれ る症 例 を報告 した。 症 例 は51才 の女 で,羸 痩 及 右季 肋 部 痛 で, 昭 和37年8月25日 当科 に入 院 した。 腹 部 は 膨 隆 し,肝 は3横 指 経触 知 し,且 つ, 正 中線 上 肝 下端 よ り,臍 下約3横 指 に達 す る, 横 径10∼15cmの 境 界 明 瞭,表 面 ほ ぼ平 坦 な, 硬 き腫 瘤 を触 知 した。 腹 水 は認 めず,下 肢 の浮 腫 及 静 脈 怒 張 も認 め,腹 部 レ線 透 視 で は,胃 大 轡,小 轡 の両 側 共 に異 常 を認 めず,胃 ・十 二 指 腸 球部 は,腫 瘤 の 為圧 排 され,左 側 偏 位 を取 つ て い た。 病 理 組織 学 的検 索 で は,腫 瘤 の細胞 は, ―268―

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好 酸 性 の顆 粒 を持 つ多 角 形 の細 胞 質 で,核 は 細 胞 質 の側 に押 しや られ,あ た か も印 鑑 細胞 様 で あ る。 分 裂 像 は認 め られ ない が,大 小 不 同性 で 異 型 性 を示 して居 る。 Myoblastomaは 病 理 組織 学 的 に 異 論 が あ り,筋 原 性,繊 維 性,神 経 原 性,又 は 骨 格筋 の 変 性 等 と云 われ て い るが,現 在 尚 不 明 な 点 が多 い。 元 来,本 腫 瘤 は良 性 の もの で,小 腫 瘤 の ま ま経 過 す る事 が 多 く,悪 性 化 は稀 で あ る と云 は れ て い る。本 症 例 で は,腹 部 正 中線 上,肝 下端 よ り臍下 約3横 指 に達 し,横 径 は約15cmの 巨大 な腫 瘤 で あ り,後 腹 膜 よ り発 し,腸 間 膜 と 癒 着 を示 し,肝 に も数 個 の転 移 を認 め,且 つ, そ の組 織学 的所 見 とか ら,か な りの悪 性 化 進 展 が うかが わ れ た。

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X線 映 画 に よ る 消 化 機 疾 患 の 観 察 豊橋市民病院内科 百 瀬 元 大 清 水 伸 二 同 放射線科 松 田 忠 義 遠 藤 重 男 東 芝 製7イ ン チ イ メー ジ ア ン プ リフ ァイ ヤ ー に ボ レ ック ス カ メ ラ を組 合 せ て撮 影 す るX線 映 画 に つ い て,そ の装 置,性 能,撮 影条 件 を説 明 し た。 又 正 常 胃,食 道 下 部 癌,横 隔膜 ヘル ニ ヤ,十 二 指 腸 潰 瘍,術 後 胃癌 の各 例 につ い て撮 影 し た 実 際 の映 画 を供 覧 し説 明 した。 そ の結 果 次 の 事柄 が判 つ た。 現 在 市 販 の イ メ ー ジ ア ンプ リフ ァイ ヤ ー で観 察 に充 分 な鮮 鋭 度 と対 比 度 でX線 映 画 が撮 影 で き る こ と,し か も 反 射 鏡 で 映 画 の像 を見 な が ら記 録 で き る の は便 利 で あ る。 又 イ メー ジ ア ンプ リブ ァイ ヤ ー の 明 る さが 改 良 され た結 果,普 通 の透 視 の条 件 以 下 で撮 影 が可 能 で あ り,従 つ て検 者 及 び 被 検 者 の 被 曝 量 は そ れ程 問題 に な らない。 次 に実 際 の診 断 に応 用 す る場合,一 般 に言 は れ てい る点 で あ ります が 数 人 の 人 が 同時 に見 ら れ,し か も反 覆 して観 察 検討 で き る事 は,刻 々 に像 が 変化 す る,胃 及 び腸 の様 な器 官 の場 合 に 特 に有 意 義 で あ り,そ の うち で も食 道 下 部 及 び 十 二 指 腸 球 部 の動 的 な像 の変 化 は映 画 で初 め て と らえ られ る所 見 が 多 い。 術 後 胃患 者 の愁 訴 の解 明 に も,吻 合 部,空 腸 の機 能 異 常 の観 察 に も役 立 つ と思 はれ る。

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フ ァ イ バ ー メ コ ー プ の 使 用 経 験 名古屋市横山 胃腸科病 院 横 山 秀 吉 駒 越 喬 貞 佐 野 三 郎 横 山 泰 久 1958年HirschowitzがFiberscopeの 胃 及 び 十 二指 腸 疾 患 の診 断 に お け る有 用 性 を紹 介 し て以 来,そ の 臨床 的応 用 は広 く普 及 し つつ あ り,本 年 には 我 国 に も輸 入 され,既 に諸 家 の報 告 を見 る とこ ろで あ る。 最 近 我 々 も本 器 械 を入 手 し これ を使 用 す る機 会 を得 た の で そ の経 験 を 報 告 す る。 施 行 法 は絶 食 状態 に て まず 術 前30分 に硫 酸 ア トロ ピン0.5mg,ブ ス コパ ン20mgを 投 与 し,咽 頭 部 に0.5%テ ー カイ ンに よ る表 面麻 酔 を施 し,側 臥 位 にて 挿 入 す る。 通 常 鎮 静剤 を用 い ず と も容 易 に操 作 し得,丁 度V型 胃 カ メ ラ を 扱 ふ の と同程 度 の苦 痛 を患 者 に与 え る もの で あ る。 通 常800∼1000ccの 送 気 を行 う。 観 察 は 6∼7Voltの 電圧 に て行 う。 現 在 ま で我 々 の施 行 例 は150例 で あ る が,そ の うち小 轡側 で は 胃体 部 潰 瘍8例,癌3例,胃 角 部 潰 瘍30例,癌5例,Polyp2例,前 庭 部 潰 瘍4例,癌6例,計62例,大 轡 側 に て は 胃 体 部 潰 瘍2例,癌1例,胃 底 部癌1例,前 庭 部 潰 瘍1例,癌1例,計6例,そ の外 胃炎 そ の他 特 に所 見 な き もの82例,こ の 内5例 は 胃切 除 後 の施 行 例 で あ る。 ま た こ の有所 見68例 中43 例 は 胃切 除術 を受 け診 断 を確 認 して い る。 十二 ―269―

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指 腸 潰 瘍 の症 例 は1例 あ るが 幽 門輸 を越 え て挿 入 す る こ とは出 来 なか つ た。 胃切 除 例 で は2例 に吻 合 部 の発 赤 を見,1例 に て は癌 再 発 を確 認 し た。 全 例 中所 見不 確実 の症 例 は8例 。 そ の半数 は 経 験 の浅 い 初期 の もの で あ る が幽 門 前 庭部 の強 度 の狭 窄 を伴 うもの で は病 変 の 明視 は 困難 で あ つ た。 然 しな が ら胃 カ メ ラ の盲 点 は 患 者 の位 置 及 び体 表 か らの圧 迫 に よ り殆 ん ど可 視範 囲 に入 り得 る。 以 上 を要 約 す る と本 器 械 は 従 来 の 胃 鏡 に 比 し,患 者 の苦痛,可 視範 囲,明 視性 に つい ては 著 し く改 良 され,胃 癌 早 期 診 断,術 後 胃癌 再発 の発 見 等 に有用 で あ る。 然 し生検 の不 能 な る こ と,施 行 時 胃 内容 の吸 引,記 録 性 等,更 に将来 の研 究 が俟 た れ る点 も あ る。

参照

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