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インドネシア産業発展の可能性と課題

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(1)

インドネシア産業発展の

可能性と課題

2017.10.17-19

日本貿易振興機構(JETRO)

理事

佐藤百合

(2)

1.

インドネシアの成長条件と開発課題

2.

非連続な産業発展

3.

インドネシア経済の現状

4.

インドネシアの投資環境に対する評価

5.

ジョコウィ政権の経済政策

6.

まとめと展望

(3)

インドネシアの強み 実は「諸刃の剣」

1.

世界第4位の人口(21世紀末まで第5位を維持?)

(+) 大規模な国内市場+生産拠点

(ー) 貧困と失業の温床

2.

長い人口ボーナス期 (1970~2030年代)

(+) 長く続く成長のエンジン

(ー) ワンチャンス その後はキャッチアップが難しい

3.

豊富な天然資源

(+) 繰り返す資源ブーム

(ー) オランダ病リスク

→ 産業発展が非連続的に

cf. 日本・韓国・台湾

(4)

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10

20

30

40

50

19

70

19

73

19

76

19

79

19

82

19

85

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88

19

91

19

94

19

97

20

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20

03

20

06

20

09

20

12

20

15

権威主義体制

(開発体制)期

(%)

農林水産業

鉱業

製造業

民主主義

体制期

サービス業

体制

移行期

2. 非連続な産業発展

製造業シェアの拡大、そして縮小

スハルト体制期には

農業から製造業に付

加価値生産がシフト

=工業化第2の波

民主主義体制下で製

造業シェアが下降に

転じ、農業と鉱業が上

昇。資源ブーム後、鉱

業は下降。

製造業シェア下降の

もうひとつの要因は

サービス産業化

(2015

年に、2010年まで遡り国連

SNA2008をGDP統計に適

用)。

((出所)インドネシア中央統計庁、Wotld Development Indicator。

GDPの産業別シェア(1970~2016年)

(5)

資源輸出から工業製品輸出へ、再び資源輸出へ

(出所)UN Comtrade。

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1975

1977

1979

1981

1983

1985

1987

1989

1991

1993

1995

1997

1999

2001

2003

2005

2007

2009

雑工業品

機械類

工業品

化学品

植物油

鉱物性燃料

原材料

食品

スハルト体制期

工業製品

石油ブーム(1974~

81年)の下で産油国

型輸出構造へ。

石油ブーム後、工業

製品輸出は5%(82

年)から59%(2000

年)にまで拡大。

資源ブーム期(2003

~11)に工業製品は

41%(2010年)に縮

小。石炭とパーム油

で世界最大の輸出

国に。

資源ブーム後、輸出

は再工業化へ。

輸出構造の変化(1975~2010年)

(6)

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5

10

15

20

25

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20

10

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11

20

12

20

13

20

14

石炭

天然ゴム

銅鉱石

資源輸出は2001年をピークに減少し・・・

Source: Compiled based on data from World Trade Atlas.

(7)

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1.5

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2.5

3.0

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12

20

13

20

14

自動車

合板

脂肪酸・脂肪

アルコール

履物

工業製品輸出が上昇に転じる・・・工業化第3の波?

Source: Compiled based on data from World Trade Atlas.

($ bil)

(8)

-15

-10

-5

0

5

10

15

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

中国

インド

フィリピン

ベトナム

インドネシア

タイ

世界平均

3.インドネシア経済の現状

アジアの中のインドネシア

(出所)World Development Indicators. 2016年は各国速報値、世界平均は世界銀行による予測。

アジア主要国のGDP成長率(1996-2016)

アジア通貨危機

世界金融危機

(9)

-5

0

5

10

15

20

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

民間消費支出

政府消費支出

固定資本形成

輸出

GDP

(2010年基準)

4年連続の5%成長か

2011年までは資源ブーム

2012年は投資が好調で

6%成長を維持

2013~14年5.6→5.0%

投資が減速

貿易は世界的に「スロー

トレード」現象

2015~16年4.9→5.0%

輸出減を投資が補えず

16年は歳出削減が響く

17年1-2Qとも5.0%

投資成長4.8→5.4%

投資の喚起が不十分、内

需主導型成長に移行でき

ていない

(10)

世界銀行・

IFC”Doing Business 2017"

 

 

順位

順位

順位

(2017)

(2014)

(2007)

(2017)

(2014)

(2012)

 

2

1

1

シンガポール

事業の始めやすさ

151

175

155

5

7

23

韓国

建設許可の取得

116

88

71

7

10

6

イギリス

電力事情

49

121

161

8

4

3

アメリカ

不動産の登記

118

101

99

23

6

25

マレーシア

資金調達

62

86

126

34

27

11

日本

少数株主の保護

70

52

46

40

92

96

ロシア

納税

104

137

131

46

18

18

タイ

輸出入のしやすさ

108

54

39

74

41

29

南アフリカ

契約の履行

166

147

156

78

96

93

中国

破綻処理

76

144

146

82

99

104

ベトナム

総合

91

120

129

91

120

135

インドネシア

99

108

126

フィリピン

123

116

121

ブラジル

 

 

130

134

134

インド

(注)対象は190ヵ国(2017年)。点線は対象国の半数ライン。

(出所)世界銀行・IFC "Doing Business"各年版。

国名

評価項目

インドネシアの順位

4. インドネシアの投資環境に対する評価

(11)

3.8 7.0 9.1 11.6 14.4 10.2 2.0 2.4 3.4 4.7 1.8 9.5 10.6 9.8 9.3 6.8 4.6 0.7 1.0 2.3 1.9 5.9 5.9 6.4 6.0 4.9 6.7 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 メキシコ トルコ ブラジル 南アフリカ共和国 ロシア・CIS (%) (年) 2.0 3.3 5.1 7.7 6.3 6.2 2.2 2.7 2.6 1.6 1.7 3.9 5.1 5.1 3.1 2.9 1.9 1.1 1.8 0.5 0.2 8.7 5.8 6.8 6.4 3.1 2.6 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 メキシコ トルコ ブラジル 南アフリカ共和国 ロシア・CIS (%) (年) 25.3 38.3 44.2 40.1 41.2 35.4 24.0 29.4 34.1 36.2 29.1 25.7 22.9 29.4 35.7 34.2 37.5 34.9 12.9 16.9 15.0 17.0 17.8 15.4 6.0 10.5 12.3 13.6 12.1 15.7 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン (%) (年) 63.7 51.4 49.8 53.2 48.8 46.3 56.0 66.6 75.4 73.3 72.2 69.8 14.2 16.3 16.7 23.7 24.4 22.1 11.8 10.5 11.1 12.1 12.3 14.0 20.1 16.5 17.4 12.6 14.7 12.4 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 中国 ASEAN6 米国 西欧 インド (%) (年) 29.5 43.0 48.7 46.4 42.0 41.0 25.1 33.7 35.6 33.2 33.9 27.7 18.8 23.7 26.0 25.2 28.6 33.5 11.7 14.9 15.6 13.4 13.8 14.2 4.5 5.6 10.1 9.0 10.7 11.7 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン (%) (年) 70.4 64.1 61.1 58.7 57.4 56.7 56.5 70.6 74.5 73.7 73.9 70.9 25.4 32.3 30.5 36.1 40.7 41.9 18.2 19.4 18.4 21.9 26.7 23.8 22.9 21.3 20.3 18.3 24.1 23.1 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 中国 ASEAN6 米国 西欧 インド (%) (年)

Copyright (C) 2017 JETRO. All rights reserved.

その他新興国(非製造業)

主要国・地域(非製造業)

〔注〕①2011年度、2012年度の母数は「新規進出と今後さらに海外進出の拡大を図る」企業のうち、拡大する機能について無回答の企業数を除いた数。2013年度以降の母数は

「今後さらに海外進出の拡大を図る」企業のうち、拡大する機能について無回答の企業数を除いた数。②ASEAN6は、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベ

トナムの6カ国の合計(重複する企業は除く)。

主要国・地域(製造業)

その他新興国(製造業)

アジア新興国(非製造業)

アジア新興国(製造業)

(出所)JETRO

『2016年度日系企業の海外事業展開に関するアンケート調査』

(12)

営業利益見通し

Copyright © 2016 JETRO. All rights reserved. 禁無断掲載

北東アジア(中国を除く)では、香港で黒字企業の割合が前年比で低

下した一方、台湾、韓国では上昇した。

ASEAN5ではフィリピン、シンガポール、インドネシアで黒字企業の

割合が上昇した。フィリピンは黒字企業の割合が77.5%と、5カ国の

中で唯一7割を超えている。タイ、マレーシアは前年比で減少に転じ

た。

中国、インド、ベトナムは、いずれも黒字企業の割合が前年比で上昇

した。中国は前年比4.0ポイント上昇の64.4%、インドは同3.1ポイン

ト上昇の53.6%、ベトナムは同4.0ポイント上昇の62.8%となった。

北東アジア(中国除く)

ASEAN5

中国、インド、ベトナム

黒字企業の割合の推移 ‐ 2008~16年(国・地域別)

(%)

(%)

(%)

50

60

70

80

90

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

香港

台湾

韓国

50

60

70

80

90

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

インドネシア

シンガポール

タイ

フィリピン

マレーシア

40

50

60

70

80

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

中国

インド

ベトナム

(注)2011年以降の香港はマカオを含む

(出所)JETRO

『2016年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査』

(4642社、2016.10~11)

(13)

シンガポール(n=309)

1 安定した政治・社会情勢

81.2

2 言語・コミュニケーション上の障害の少なさ

53.4

3 駐在員の生活環境が優れている

52.4

4 インフラの充実

39.2

5 整備された法制度、明確な運用

37.2

マレーシア(n=268)

1 言語・コミュニケーション上の障害の少なさ

65.7

2 安定した政治・社会情勢

48.5

3 インフラの充実

45.5

4 駐在員の生活環境が優れている

42.9

5

市場規模/成長性

18.3

タイ(n=671)

1 駐在員の生活環境が優れている

58.3

2 取引先(納入先)企業の集積

48.0

3

市場規模/成長性

43.5

4 インフラの充実

31.6

5 裾野産業の集積(現地調達が容易)

21.3

インドネシア(n=345)

1

市場規模/成長性

83.8

2 取引先(納入先)企業の集積

23.5

3 従業員の雇いやすさ(一般ワーカー、一般スタッフ・事務員等)

22.9

4 人件費の安さ

19.7

5 安定した政治・社会情勢

16.8

ベトナム(n=623)

1 安定した政治・社会情勢

63.4

2

市場規模/成長性

57.5

3 人件費の安さ

54.1

4 従業員の雇いやすさ(一般ワーカー、一般スタッフ・事務員等)

24.4

5 駐在員の生活環境が優れている

24.1

フィリピン(n=103)

1 言語・コミュニケーション上の障害の少なさ

73.8

2 人件費の安さ

68.0

3

市場規模/成長性

46.6

4 従業員の雇いやすさ(一般ワーカー、一般スタッフ・事務員等)

40.8

5 (法人税、輸出入関税など)税制面でのインセンティブ

31.1

ミャンマー(n=69)

1

市場規模/成長性

78.3

2 人件費の安さ

44.9

3 言語・コミュニケーション上の障害の少なさ

14.5

4 従業員の雇いやすさ(一般ワーカー、一般スタッフ・事務員等)

10.1

5 (法人税、輸出入関税など)税制面でのインセンティブ

7.3

ラオス(n=18)

1 人件費の安さ

77.8

2 安定した政治・社会情勢

55.6

3 (法人税、輸出入関税など)税制面でのインセンティブ

33.3

4 言語・コミュニケーション上の障害の少なさ

27.8

5 土地/事務所スペースが豊富、地価/賃料の安さ

22.2

「投資環境上のメリット」国・地域別の問題点(上位5項目、複数回答)

注: ピンクのハイライトは7割以上の企業が投資環境上のメリットとして

回答している項目。対象国は、ASEAN、南西アジア、オセアニア。

(出所)JETRO

『2016年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査』

(14)

投資環境上のリスク

14

シンガポール(n=300)

1

人件費の高騰

75.0

2

土地/事務所スペースの不足、地価/賃料の上昇

45.0

3

従業員の離職率の高さ

31.0

4

ビザ・就労許可取得の困難さ・煩雑さ

21.7

5

労働力の不足・人材採用難(専門職・技術職、中間管理職等)

19.3

マレーシア(n=275)

1

人件費の高騰

57.8

2

不安定な為替

45.1

3

現地政府の不透明な政策運営(産業政策、エネルギー政策、外資

規制など)

40.7

4

労働力の不足・人材採用難(専門職・技術職、中間管理職等)

35.3

5

従業員の離職率の高さ

34.6

タイ(n=672)

1

不安定な政治・社会情勢

66.1

2

人件費の高騰

54.0

3

従業員の離職率の高さ

31.3

4

自然災害

28.9

5

労働力の不足・人材採用難(専門職・技術職、中間管理職等)

26.6

インドネシア(n=349)

1

人件費の高騰

73.1

2

インフラの未整備

63.9

3

現地政府の不透明な政策運営(産業政策、エネルギー政策、外資

規制など)

60.7

4

税制・税務手続きの煩雑さ

54.2

5

法制度の未整備・不透明な運用

53.9

ベトナム(n=624)

1

人件費の高騰

58.5

2

法制度の未整備・不透明な運用

48.4

3

インフラの未整備

44.4

4

行政手続きの煩雑さ(許認可など)

41.8

5

税制・税務手続きの煩雑さ

38.5

フィリピン(n=101)

1

インフラの未整備

61.4

2

現地政府の不透明な政策運営(産業政策、エネルギー政策、外資

規制など)

48.5

3

不安定な政治・社会情勢

47.5

4

税制・税務手続きの煩雑さ

42.6

5

自然災害

41.6

ミャンマー(n=72)

1

インフラの未整備

90.3

2

法制度の未整備・不透明な運用

76.4

3

現地政府の不透明な政策運営(産業政策、エネルギー政策、外資

規制など)

69.4

4

土地/事務所スペースの不足、地価/賃料の上昇

68.1

5

人件費の高騰

68.1

ラオス(n=18)

1

法制度の未整備・不透明な運用

72.2

2

現地政府の不透明な政策運営(産業政策、エネルギー政策、外資

規制など)

55.6

3

インフラの未整備

50.0

4

労働力の不足・人材採用難(専門職・技術職、中間管理職等)

50.0

5

行政手続きの煩雑さ(許認可など)

50.0

「投資環境上のリスク」国・地域別の問題点(上位5項目、複数回答)

注: ピンクのハイライトは7割以上の企業が投資環境上のリスクとして

回答している項目。対象国は、ASEAN、南西アジア、オセアニア。

(出所)JETRO

『2016年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査』

(15)

5. ジョコウィ政権の経済政策

成長の浮揚

ーインフラ投資

←燃料補助金廃止

(規制緩和)

ー投資・ビジネス環境の改善

格差の是正

ー村落・外島・東部開発 海の連結性

(平準化)

ー社会保障制度

産業構造の

ー資源加工の振興

高度化

ー国産の振興 製品輸出の振興

ー食料生産の振興

注目点は、インフラ投資のファイナンス、投資環境改善

策の実効性、外国投資の扱い(とくに資源産業とサー

ビス産業)、社会保障制度の持続性

(16)

まとめ

インドネシアは、資源ブームのたびに資源輸出への

依存が強まるため、産業発展が一直線に進んでこな

かった。現在は、資源ブームが終わり、資源加工・製

造業・新興サービス業を再活性化させようとする局面。

日本企業のインドネシアへの関心は下降ぎみ。現地

の日系企業は、インフラ未整備、政府の規制政策、税

務の煩雑さ、法制度の不透明な運用などに問題を感

じている。

ジョコウィ政権は、インフラ整備、投資環境改善、産業

振興に努めているが、日本では知られていない。両

国の官民対話を密にして、インドネシアの現局面に合

致した日本からの投資を喚起することが重要ではな

いか。

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