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2 2の割合で入れ 22 で3 日間培養し 天然酵母菌の基本培養を行った 果実から採取した各粗酵母液 粕漬から麦芽寒天培地 ( ニッスイ ) を用いたストリークカルチャー法を数回繰り返し 酵母菌を純粋分離した 2-3 天然酵母によるパンの製造および官能検査 1 酵母および元種の準備三角フラスコに1%

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Academic year: 2021

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1.はじめに  酵母(yeast)とは、一般的には食品に用いら れる有胞子酵母の一種であるSaccharomyces属を 指す。ビール酵母、清酒酵母、パン酵母などがあり、 強力なアルコール発酵能を有する1)。中でもドラ イイーストは手に入れ易く、短時間で発酵し、作 業もスムーズに進むといった利点がある。しかし、 市販されているドライイースト自体に種類はな く、風味や食感の違いが出にくい。一方、野菜や 果実、穀物などに付着する酵母を増殖させた培養 物を主に「天然酵母」、「自家製酵母」とよび、パ ン酵母として用いることがある。これは、ドライ イーストのように単一種の酵母ではなく、アルコー ルや炭酸ガス生産が高いものや、独特の香りや風 味を出すものなど様々な種類が混在している2)。本 研究では、身近な食材であるモンキーバナナ、チェ リー、ウメ、イチゴ、キウイフルーツ、酒粕、粕 漬け (果実は何れも、無農薬のもの)から酵母を 採取し(以下、モンキーバナナ、チェリー、ウメ、 イチゴ、キウイフルーツ、酒粕、粕漬けという)、 天然酵母を用いたパンとワインをつくった。パン にはドライイーストを使用した「スタンダード」 を加えた。20時間後の一次発酵の膨倍率の測定と 官能評価を行い、市販ドライイーストと天然酵母 との間でどのような違いがあるかを比較・検討し た。ワインではアルコール量とアントシアニン量 の測定、官能評価を行い、天然酵母の違いによる 変化を比較・検討した。 2.実験方法 2-1 採取原料  市販果物のモンキーバナナ、チェリー、キウイ フルーツ、栽培したイチゴ、ウメの実、酒粕(月 桂冠株式会社)、粕漬け(有限会社米花和田屋) を用いた。果物は無農薬栽培のものを使用した。 2-2 天然酵母の採取・分離方法  滅菌した3%砂糖水に乱切りにした果実を1:

天然酵母発酵におけるパンおよびワインづくりの適性

綿貫 仁美  林 一也

 酵母はアルコール発酵やパン製造に用いられている。ワインはワイン酵母、パンにはパ ン酵母(生イースト、ドライイースト)といったように、一般的には発酵にあった酵母が育 種されて利用されている。しかし、パンに用いられる市販のイースト自体には特徴が少な いため、特徴のある天然酵母を使用したパンの販売が増えている。そこで本研究では、モ ンキーバナナ、チェリー、ウメ、イチゴ、キウイフルーツ、酒粕、粕漬けから酵母を純粋 分離し、それら酵母を使用したパンおよびワインの製造を行った。パンでは20時間後の一 次発酵の膨倍率を測定し、官能評価を行った。ワインではアルコール量とアントシアニン 量を測定し、官能評価を行った。その結果、パン製造においてはキウイフルーツとウメか ら採取した酵母について、ワインの製造においてはチェリーから採取した酵母について利 用できる可能性が見られた。 キーワード:天然酵母 膨倍率 発酵 アルコール アントシアニン 東京家政学院大学現代生活学部健康栄養学科

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- 34 - 2の割合で入れ、22℃で3日間培養し、天然酵母 菌の基本培養を行った。  果実から採取した各粗酵母液、酒粕、粕漬から 麦芽寒天培地(ニッスイ)を用いたストリークカ ルチャー法を数回繰り返し、酵母菌を純粋分離し た。 2-3 天然酵母によるパンの製造および官能検査 ①酵母および元種の準備  三角フラスコに10%ハチミツ水200gを作り、ア ルミ箔で蓋をし、110℃、10分間オートクレーブ(株 式会社平山製作所 HV-50)で滅菌をした。この ハチミツ水に純粋分離した酵母を植菌し(菌数 1010)、(ドライイーストは1g(菌数およそ1010 をハチミツ水に溶かした)、22℃で24時間培養し、 これを種酵母とした。次に、種酵母液80gと強力 粉(日清製粉)80gを混ぜ合わせ、22℃で24時間 培養し、これを元種とした。 ②パンの製造および膨倍率の測定 ・材料A 強力粉:250g 食塩:2g 上白糖: 25g スキムミルク:5g ・材料B 元種:125 g 水:100 ml 全卵:25 g ・食塩不使用バター:25 g  上記の材料AとBをそれぞれ別々のボールで混 ぜ合わせ、材料BをAの中に入れ混ぜ、混ねん器 「もちっこ(東芝製)」を用いて捏ねた。生地がひ とまとまりなった時点で、湯煎で溶かしておいた 食塩不使用バターを加え、計20分間捏ね上げた。  油を薄く塗った2リットルビーカーに生地を入 れ、ラップで蓋をし、22℃で20時間一次発酵を行っ た。20時間経過後の生地の高さから発酵前の生地 の高さを割り、膨倍率を算出した。  一次発酵後の生地を薄く粉をふるったまな板の 上にのせ40 gずつに分割し、生地を軽くまとめ直 して、20分間ベンチタイムを取った。その後、き れいに成形し22℃で1時間二次発酵をし、180℃の オーブンで20分間焼成した。 ③官能評価方法  食味をシェッフェのSD法( Semantic differential  method )で、比較の結果を-3~+3の6段階評 点で表す方法で行った。評価は本学女子学生20 名、年齢20歳で、酵母の採取原料および市販ドラ イイーストの表記をせずに行った。評価の基準は 外観の良さ(色)、香りの良さ、酸味の強さ、甘 みの強さ、しっとり感、やわらかさ、総合評価の 7つの項目で行った。 ④統計・解析  官能評価で得られた結果は、評価ごとに合計し、 平均値を算出した。 2-4 天然酵母によるワインの製造および官能 評価 ①ワインの製造方法  赤ブドウ果汁100%のウェルチグレープジュー ス(カルピス社) 800gに純粋分離した天然酵母を 3白金耳接種し、15℃で64日間発酵させた。 ②HPLC分析方法  発酵過程のアルコール量およびアントシアニン 量を0日目、2日目、5日目、9日目、14日目、 32日目、47日目、64日目の計8回サンプリングし HPLC法で分析した。  アントシアニン量の分析は、以下のHPLC分析 法で行った3) 検出器:Waters社製TM996フォトダイオードア レー検出器、測定波長:220 ~700 nm、アント シアニン色素ピークの検出:525 nm、カラム: Inertsil ODS-3(4.6 mmI.D.×250 mm、ジーエル サイエンス株式会社)、溶離液:アセトニトリル ―0.1%トリフルオロ酢酸(1:4,V/V)、カラム温 度:45℃、流速:0.85 ml/min、アントシアニン 量(%)は、元のジュースに含まれるアントシア ニンをHPLCで測定し、得られた各色素ピークの 面積を足した総ピーク面積を100%とし、発酵後 のHPLC各色素ピークの合計面積と比較して、色 素量の変化率とした。  アルコール量の分析は、以下のHPLC分析法で 行った。 カ ラ ム:Shim-pack SCR-101N (7.9mmI.D.×300  mm、株式会社島津製作所)、溶離液:純水、カ ラム温度:60℃、流速:0.8ml/min、検出:示差 屈折、スタンダードとしたエタノールのピーク面 積値よりアルコール濃度を出した。 ③官能評価方法  食味をシェッフェのSD法(Semantic differential 

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method)で、比較の結果を-3~+3の6段階評価 で表す方法で行った。評価は本学女子学生10名、 年齢20歳で酵母の採取原料を表記せずに行った。 評価の基準は外観の良さ(色)、香りの良さ、酸 味の強さ、甘みの強さ、渋みの強さ、アルコール の強さ、総合評価の7つの項目で行った。 ④統計・解析  官能評価で得られた結果は、評価ごとに合計し、 平均値を算出した。 3.結果および考察 3-1 天然酵母によるパンの製造および官能評価  20時間後の一次発酵後の生地の様子を写真1 に、膨倍率および焼成前後の生地の様子を表1に 示した。  チェリー、ウメ、粕漬け、イチゴの膨倍率は2 倍を超えており、粕漬けは一番高く2.6倍であっ た。それに対し、キウイフルーツ、酒粕はほとん ど膨張しなかった。焼成前の香りは、チェリー、 モンキーバナナ、キウイフルーツ、イチゴで酸味 を帯びた香りが強く、粕漬け、酒粕は酒の香りが 強く感じられた。焼成後では、モンキーバナナと ウメで酸味を帯びた香りが強かった。これは、採 取した酵母により発酵過程で特有の香気成分を出 すことが考えられた4)。また、焼成前のウメの生 地でべたついた感じが強く、生地のべたつきに は、生地中のグルテン組織が十分に形成されてい なかったことが考えられた5)  パンの官能評価の結果を図1に示した。天然酵 母パンとドライイーストを使用して作成したスタ ンダードパンを比較すると、外観、香り、しっと り感、やわらかさ、総合評価においてスタンダー ドが一番良いと評価された。酸味についてはチェ リー、モンキーバナナが強く感じられた。しっと 発酵前 発酵後 焼成前 焼成後 モンキーバナナ 5.0 9.3 1.9 ・酸味を帯びた香りだが、弱い ・きめ細かい ・酸味を帯びた香りだが、弱い チェリー 5.5 12.0 2.2 ・酸味を帯びた香り ・もっちりとした食感 ・後味に酸味が強く感じられる ウメ 5.1 10.4 2.0 ・酸味を帯びた香りだが、弱い ・べたついた感じが強い ・しっとりとした食感 ・甘みが強い ・他と比べ酸味を帯びた香りが弱い イチゴ 5.7 12.5 2.2 ・酸味を帯びた香り ・他と比べ、生地が黄色味を帯びている ・甘みが強い ・小麦粉の香ばしい香りを強く感じる キウイフルーツ 5.4 5.8 1.1 ・酸味を帯びた香りだが、弱い ・焦げ目があまりない ・小麦粉の香ばしい香りを強く感じる 酒粕 5.3 6.6 1.2 ・酒の様な香り ・焦げ目が付きやすい ・小麦粉の香ばしい香りを強く感じる 粕漬け 5.3 13.5 2.6 ・酒の様な香り ・しっとりとした食感 ・酸味、甘みともに弱い ・粕漬けの様な香り 膨倍率=発酵後膨張cm / 発酵前cm n=3 膨張(cm) 膨倍率 生地の様子 表1 20時間後の一次発酵の膨倍率および焼成前後の生地の様子

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- 36 - 0.85 0.60 0.75 -0.05 -1.10 -0.60 1.95 0.50 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ スタンダード 酒粕 外観の良さ(色) 0.65 0.15 0.15 -0.15 -1.75 -1.05 1.60 0.30 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ スタンダード 酒粕 香りの良さ -0.60 -0.15 -0.45 -0.95 0.45 0.55 -0.50 -0.30 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ スタンダード 酒粕 酸味の強さ 0.90 -0.15 0.10 0.75 -1.40 -1.20 1.42 1.11 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ スタンダード 酒粕 甘みの強さ 1.00 0.50 0.50 0.70 0.10 -0.20 2.00 0.65 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ スタンダード 酒粕 しっとり感 -0.20 -0.70 0.20 -0.65 -0.80 -0.85 2.50 -0.45 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ スタンダード 酒粕 柔らかさ 0.75 -0.05 0.22 1.10 -2.26 -1.68 2.33 1.28 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ スタンダード 酒粕 総合評価 図1 パンの官能評価結果

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- 37 - り感についてはスタンダードが一般的な感じであ るのに対し、天然酵母パンではべたつき感が感じ られ、さらに表面の硬さが感じられた。天然酵母 パンの中では、キウイフルーツとウメについて評 価が高い結果となった。これらの結果より、一次 発酵の膨倍率の大きさが焼成後の生地の柔らかさ に繋がるとは限らないことがわかった。 3-2 天然酵母によるワインの製造および官能 評価  HPLC分析法による各種酵母発酵ワイン中のア ントシアニン色素量の変化を図2に示した。発酵 日数64日目でチェリーの色素残存率が80%近くあ り、安定を示した。一方でウメ、モンキーバナナ、 酒粕は30%ほどの残存率となり、安定性が悪い結 果となった。イチゴ、キウイフルーツ、粕漬けで、 50~60%ほどの残存率であった。  各種酵母発酵ワイン中のアルコール量の変化を 図3に示した。発酵日数64日目で粕漬けにおいて 5%のアルコール濃度を超え、キウイフルーツで 0 20 40 60 80 100 120 0 10 20 30 40 50 60 ア ン ト シ ア ニ ン 色 素 量 ( % ) 発酵日数 n=5 モンキーバナナ チェ リー ウメ イチゴ キウイフルーツ 酒粕 粕漬 0 1 2 3 4 5 6 0 10 20 30 40 50 60 ア ル コ ー ル ( % ) n=5 発酵日数 モンキーバナナ チェ リー ウメ イチゴ キウイフルーツ 酒粕 粕漬 図2 各種酵母発酵ワイン中のアントシアニン色素量の変化 0 20 40 60 80 100 120 0 10 20 30 40 50 60 ア ン ト シ ア ニ ン 色 素 量 ( % ) 発酵日数 n=5 モンキーバナナ チェ リー ウメ イチゴ キウイフルーツ 酒粕 粕漬 0 1 2 3 4 5 6 0 10 20 30 40 50 60 ア ル コ ー ル ( % ) 発酵日数 モンキーバナナ チェ リー ウメ イチゴ キウイフルーツ 酒粕 粕漬 図3 各種酵母発酵ワイン中のアルコール量の変化

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- 38 - 0.92 1.15 0.92 0.69 1.62 0.31 0.85 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00 ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ 酒粕 外観の良さ(色) 0.23 1.00 0.69 0.46 -0.77 0.31 0.92 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ 酒粕 香りの良さ -0.31 -1.15 0.62 0.85 2.77 -1.00 -1.15 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00 ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ 酒粕 酸味の強さ 0.23 2.31 ‐0.77 ‐0.54 ‐2.00 1.54 1.77 ‐3.00 ‐2.00 ‐1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ 酒粕 甘みの強さ ‐1.15 ‐2.00 0.77 ‐0.23 ‐0.31 ‐1.31 ‐2.31 ‐3.00 ‐2.00 ‐1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ 酒粕 渋みの強さ ‐0.77 ‐1.85 0.15 0.15 ‐0.08 ‐1.00 ‐1.54 ‐3.00 ‐2.00 ‐1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ 酒粕 アルコールの強さ -0.08 0.77 0.38 0.15 -0.85 -0.08 0.46 -3.00 -2.00 -1.000.00 1.00 2.00 3.00ウメ イチゴ 粕漬け キウイフルー ツ チェリー モンキーバナ ナ 酒粕 総合評価 図4 ワインの官能評価結果

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モンキーバナナ チェリー

ウメ イチゴ

キウイフルーツ 酒粕

粕漬け

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- 40 - 4%を超えていた。ウメ、チェリー、モンキーバ ナナ、酒粕は1.5~3%の間であった。イチゴに ついては全くアルコールが検出されなかった。特 異的なものとして、チェリーのみアルコールの他 に有機酸が検出された。  これらの結果より、チェリーの色素残存率が高 かったのは、有機酸が関係していると推測され、 それにより酸性に傾いたために色素の安定性が高 くなったと考えられる。酸(特にL-リンゴ酸とコ ハク酸)生産性が高いとワイン醸造において優れ た性質を持った酵母6)といえ、チェリーから採取 した酵母は、ワイン製造において適性がある可能 性が推測できた。アントシアニン色素量の減少に おいては、アルコール発酵が進み、エタノールが 生成されると、アントシアニンの自己会合やコピ ングメンテーションの効果が少なくなるため色素 が不安定となって分解する。さらに、酵母菌のβ -グルコシターゼの影響によるアントシアニンの 分解も考えられる7)。日本酒の製造で使われた酒 粕からとった酵母では、日本酒を製造しているに も関わらず、アルコール発酵が少なかった。この ことは、発酵に適正な条件でなかったこと、また は酒の醸造に使われた主要な酵母ではない酵母を 採取した可能性があると考えられた。  ワインの官能評価の結果を図4に示した。一番 アルコールが高く感じられ、ワインに近かったも のは粕漬けであった。チェリーについては酸味が 非常に高く感じられた。総合評価でイチゴが一番 良い評価であったが、これは、アルコールが全く 検出されなかったことと、甘みの強さや香りの強 さが加わり、ジュースに近い風味であったと推測 でき、結果として総合評価が高くなったといえる。 4.まとめ  Saccharomyces属などの発酵性酵母は、糖類を 発酵してエタノールと二酸化炭素を生成し、エタ ノールの生成量が多いとアルコール臭が感じられ る。一方で、Candida属などの産膜酵母では、ア ルコールはつくらず、かえってアルコールや有機 酸を分解し、果実様エステルなどを生成する8) とから、粕漬け、酒粕から採取した酵母は発酵性 酵母である可能性が、イチゴから採取した酵母は 産膜酵母である可能性が推測できた。今回7種類 の材料から天然酵母を採取してパンとワインを製 造したが、パンの製造においてはキウイフルーツ と梅から採取した酵母について利用できる可能性 が見られた。由来の違う酵母を併用することによ り、香りや食味においてより適性や特徴のある製 品を作り出すことが可能であり、今後の課題とし たい。 文献 1)小原哲二郎・細谷憲政:簡明食辞林, pp.287-288(樹村房, 1985)  2)灘吉利晃:天然酵母 歴史とパンづくりへの 応用, pp66-67(ホームメイド協会, 2005) 3) Hayashi,  K.,  Ohara,  N.  and  Tsukui,  A. 

:Stability  of  Anthocyanins  in  Various  Vegetables  and  Fruits, Food Sci.Technol.,  Int., 2, 30-33(1996) 4) 小泉武夫:発酵食品学, pp.142(講談社, 2012) 5)吉野清一:パン「こつ」の科学, pp.177(柴 田書店, 1993) 6)柳田藤寿:海の酵母でワイン?(バイオミディ ア2001), 生物工学会誌, 79(10), pp.408(2001) 7) 津久井亜紀夫・鈴木敦子・林一也・西山隆造・ 小原直弘:市販りんご果汁発酵液中のアント シアニン色素の変化, 日本食品科学工学会誌,  43, 1128-1132(1996) 8)好井久雄・金子安之・山口和夫:食品微生物 学ハンドブック, pp149-150(技法堂出版, 1995) (受付 2014.3.13 受理 2014.6.11)      

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