三相倍電圧整流回路を用いた制御回路レス風力発電装置の高効率化
○渡邊大貴, 飴井賢治, 大路貴久, 作井正昭(富山大学)High Efficiency of Control-Circuit-Less Wind Power Generator System Using Voltage-Doubling Rectifier WATANABE Hiroki, AMEI Kenji, OHJI Takahisa and SAKUI Masaaki
(University of Toyama) キーワード: 風力発電装置, 三相倍電圧整流回路, 制御回路レス, 永久磁石型発電機, 高効率化 1. はじめに 近年,地球温暖化等の環境問題や,2011 年に起き た原子力発電所の事故により,再生可能エネルギー を用いた発電方式の導入率増加が望まれている。中 でも,小型の風力発電装置は比較的様々な場所に設 置可能なため,今後さらに増加していくことが期待 されている。しかし,従来の発電装置は,PWM 変換 機器や昇圧チョッパ等の制御回路が必要となるため, 導入コストが高く,加えて待機電力が必要となり, 低風速時には正味の発電量が減少するという問題点 があった(1)。 この問題点を解決するため,筆者らは直流電圧の 異なる 2 つの動作モードを内蔵する三相倍電圧整流 回路を用いた制御回路レス風力発電装置を既に提案 した(2),3)。 本稿では,この風力発電装置について,効率が改 善できる方法を提案し,実験により,その妥当性を 確認する。 2. 回路構成と動作原理 図 1 に制御回路レス風力発電装置の基本構成を, 図 2 に図 1 の三相倍電圧整流回路の回路構成(2),(3)を 示す。なお,図 2 の整流回路の交流側には,動作モ ードを切り替えるためのリアクトル L1,発電機入力 が風車最大出力特性を超えないようにするためのリ アクトル L2 が挿入されている。また,風車最大出力 に近づけるために,L1 には飽和リアクトルを用いる。 以下に図 2 の動作原理を説明する。発電機が低回転 時でリアクトル L1 での電圧降下が小さい場合,線間 電圧 Vuv が負の時は D1 がオンとなり,コンデンサ C1 には Vuv の最大値が充電される。Vuv が正の時は D2,D7 がオンとなり,C4 には Vuv の最大値に C1 の 充電電圧が加わった電圧が充電されるため,Vuv の 最大値の 2 倍の直流電圧が得られる。この動作モー ドを倍電圧モードという。また,高回転時でリアク トル L1 での電圧降下が大きい場合,Vuv が負の時は D1,D2,D9 がオンとなり,Vuv が正の時は D5,D6,
PMSG
ReactorL1 ReactorL2 Voltage-Doubling-Rectifier + L O A D - + BatteryGenerator system
図 1 制御レス風力発電装置の基本構成 図 2 三相倍電圧整流回路(ダイオード 9 個使用) 図 3 提案する三相倍電圧整流回路 (ダイオード 12 個使用)2015 年電気設備学会全国大会
B-21
1000 1200 1400 1600 1800 2000 60 70 80 Ef fic ien cy ( %) Rotational speed (rpm) 9 diodes 12 diodes ≒1% 1000 1200 1400 1600 1800 2000 0 500 1000 Pow er (W) Rotational speed (rpm) 9 diodes 12 diodes ≒35W 同じ直流電圧が得られる。この動作モードをブリッ ジモードという。線間電圧 Vvw,Vwu に対しても,同 様の動作をする。このようにブリッジモードは常に 3 個のダイオードが導通するため,普通の三相ブリ ッジ整流回路と比べ,導通損が大きくなる。そこで, 図 3 のように D10~D12 の 3 個のダイオードを追加す ることにより,ブリッジモード動作時は D1 と D2 に 流れる電流が D10 に,D3 と D4 に流れる電流が D11 に,D5 と D6 に流れる電流が D12 に代わる。その結 果,常に導通するダイオードが 2 個となり,三相ブ リッジ整流回路と同じになる。その結果,導通損が 小さくなり,効率の改善が期待できる。また,ダイ オードによる電圧降下が小さくなるため,出力の増 加も期待できる。 3. 実験結果 表 1 に,実験で用いた三相倍電圧整流回路及び永 久磁石形三相同期発電機のパラメータを示す。実験 は,モータを風車と模擬して行った。図 4 に発電装 置の効率特性,図 5 に発電装置の出力特性を示す。 これらの図においては,整流回路が主としてブリッ ジモードで動作する中・高回転時について,図 2 の 回路を用いた場合(図中の 9 diodes)と図 3 の回路 を用いた場合(図中の 12 diodes)を比較して示して いる。以上の実験結果より,図 3 の回路のようにダ イオード素子を 12 個用いることで,ブリッジモード が動作している定格回転数(1800rpm 時)付近で, 効率を約 1%,出力を約 35W(約 3%)改善できること が分かる。 4. まとめ 先に提案した三相倍電圧整流回路のブリッジモー ドは動作原理上,普通の三相ブリッジ整流回路と比 較すると,導通損が大きくなることが問題点であっ たが,ダイオード素子を 3 個増やすことで,ブリッ ジモードでの効率及び出力の改善を確認でき,本提 案法の有効性が示された。また,図 3 のD7~D12 の 6 個のダイオードは,三相ブリッジダイオードモジュ ールを使用すれば 1 個で済むため,簡素化も可能で ある。 (1)塩田 剛・井坂 勉・佐野 孝・関 和市:「直線翼垂直軸型風車と新型 風力用発電装置の整合性に関する研究」, 電学論B, Vol.128, No.11, pp1350-1358(2008) (2)長浜 貴弘・飴井 賢治・大路 貴久・作井 正昭:「三相倍電圧整流回 路を用いた制御回路レス風力発電装置の開発」, 電学論D, Vol.134 NO.5, pp575-576(2014) (3)長浜 貴弘・飴井 賢治・大路 貴久・作井正昭:「制御回路レス風力発 電装置の開発(Ⅱ)- 倍電圧整流回路方式 -」, 2014年電気設備学会全 国大会, pp13-14(2014) 参考文献 図 4 発電装置の効率特性 図 5 発電装置の出力特性 表 1 回路及び発電機のパラメータ Rated voltage 110 V Rated current Rated speed Number of Poles 8 Winding resistance 0.27 Ω d - axis inductance q - axis inductance Parameters Value
Peak EMF constant Battery voltage 84V Capacitance C1~C4 3300μF Inductance L1 155mH(0.1A) - 20mH(5.0A) Inductance L2 0 mH 59.1 V/krpm 10 .5 A 1800 rpm 4 . 23 mH 4 . 33 mH
風力発電の出力変動と大気圧変動の定性的調査
○山口洋樹(明星大学),原口嵩康(明星大学),竹本泰敏(日本工業大学),伊庭健二(明星大学)
Observation of power fluctuation and the atmospheric pressure in wind farms YAMAGUCHI Hiroki (Meisei University), HARAGUCHI Takayasu (Meisei University), TAKEMOTO Yasutoshi (Nippon Institute of Technology) and IBA Kenji (Meisei University)
キーワード:ウインドファーム,大気圧,出力変動,風況 1. 初めに 近年では再生可能エネルギーの期待が高まるなか、発 電コストが比較的安価である風力発電の導入促進が望ま れている。風力発電は北海道、東北などに適地が多く洋 上風力の開発も期待されている。風力発電の出力は、気 象条件により変化するため、電力系統網への連系で電力 品質に与える影響が懸念されている[1]。出力変動の平準 化対策として、蓄電池やフライホイールなどの電力貯蔵 装置の設置が検討されている。著者らはこれまで、風力 発電の実測値に基づく調査研究を行い、複数のウインド ファーム(WF)の出力を合算することで得られる、なら し効果の評価や、風車毎の出力相関、地域の地理的特徴 を考慮した分析を行ってきた[2][3][4]。 本稿では、国内の実在するWF の実績値を用いて、出 力変動と気象条件である大気圧の関係について調査した。 出力変動と大気圧の特徴が顕著に表れている日を示す。 気圧が変化することで風が吹くが、気圧変化の仕方や量 で風況への影響が異なる。そのため、気圧の推移や傾き (微係数)から出力変動との相関関係を確認した。 2. 出力変動と大気圧の関係 (1) 東北地方 WF の出力と気象条件である大気圧、風速、風向につ いて調査した。大気圧の値は1 時間毎の値を気象庁の公 開データを使い、出力や風速・風向はWF 内で計測され た秒間隔の値を分毎に平均化して比較した。初めに対象 としたWF は東北地方の山間部にある発電所である。 気圧の変動は多くの場合緩やかであるが、風力発電の 発電電力に大きく影響すると予想されたので、気圧が減 少から上昇に変わる(V 字)事象を探した。そのときの 諸量を図1,2 に例示する。ここで気圧の傾き(微係数) は絶対値をとり、出力は設備容量で正規化をしている。 3/17 は気圧の低下が底をつく 7 時頃に、風向が北東か ら北に変化し風速も上昇している。気圧の傾きが大きい と発電電力が上昇し、傾きが小さくなると発電電力が減 少する相関が顕著に読み取ることができる。 989 991 993 995 997 999 1001 1003 1005 1007 1009 1011 1013 1015 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 0:00:00 4:00:00 8:00:00 12:00:00 16:00:00 20:00:00 0:00:00 気圧 [hP a] 風速 [m /s] 風向 [× 10 ° ] 時間 風速 風向 気圧 3月17日 図1 風速・風向と気圧の関係(東北:3/17) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 正 規 化 し た 出力 [%] 気圧の傾き [h P a] 時間 気圧の傾き 風車総出力 3月17日 図2 風車出力と気圧の傾きの関係(東北:3/17) 図 3,4 には、気圧の急峻な変化が多い例を示す。この 日(11/16)は気圧の上昇、減少が多く風向の変化が多く 確認できる。また、気圧変化が山、谷に当たる極大、極 小時(12 時、16 時)には風向が変化している。 1004 1006 1008 1010 1012 1014 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 0:00:00 4:00:00 8:00:00 12:00:00 16:00:00 20:00:00 0:00:00 気圧 [h P a] 風速 [m /s] 風向 [× 10 ° ] 時間 風速 風向 気圧 11月6日 図3 風速・風向と気圧の関係(東北:11/6)
2015 年電気設備学会全国大会
B-22
0 10 20 30 40 50 60 70 0 0.5 1 1.5 2 2.5 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 正 規 化 し た 出力 [%] 気圧の傾き [h P a] 時間 気圧の傾き 風車総出力 11月6日 図4 風車出力と気圧の傾きの関係(東北:11/6) 12 時以降は気圧の傾きが大きい点で風車出力が増大す る傾向が見られ、強い相関関係が確認できる。 (2) 九州地方 次に、2 章と同様の調査を九州地方の WF を対象に行 った。このWF は長崎県の山間部実在し、東北の WF に 比べ年間を通じて出力は少ない。 ここでも気圧が減少から上昇に変わる(V 字)事象を 探した。図5,6 に 3/16 の気圧が大きく変動するときの例 を示す。8 時頃に気圧が大きく変化し、風向が南西から北 西に変化している。気圧の傾きと出力の関係は、5 時から 13 時頃に同じ振る舞いをする傾向が見られるが、東北地 方の場合ほど相関関係は顕著ではない。 992 994 996 998 1000 1002 1004 1006 1008 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 0:00:00 4:00:00 8:00:00 12:00:00 16:00:00 20:00:00 0:00:00 気圧 [h Pa ] 風速 [m /s] 風向 [× 10 ° ] 時間 風速 風向 気圧 3月16日 図5 風速・風向と気圧の関係(九州:3/16) 0 20 40 60 80 100 120 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 正 規 化 し た 出力 [%] 気圧の傾き [h P a] 時間 気圧の傾き 風車総出力 3月16日 図6 風車出力と気圧の傾きの関係(九州:3/16) 図7,8 に、気圧の変動が大きい 4/4 の例を示す。11 時 頃に気圧変化の山が見られ、他の時間帯にも変化の山、 この日は気圧や風向が変化するときに、風速が変化する ことも確認できる。気圧の傾きと出力の相関関係は顕著 であるが、若干の多少の時間遅れがあるように見える。 994 996 998 1000 1002 1004 1006 1008 1010 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 0:00:00 4:00:00 8:00:00 12:00:00 16:00:00 20:00:00 0:00:00 気圧 [hP a] 風速 [m /s] 風向 [× 10 ° ] 時間 風速 風向 気圧 4月4日 図7 風速・風向と気圧の関係(九州:4/4) 0 20 40 60 80 100 120 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 正 規 化 し た 出力 [%] 気圧の傾き [h P a] 時間 気圧の傾き 風車総出力 4月4日 図8 風車出力と気圧の傾きの関係(九州:4/4) 3. まとめ 本稿では、大気圧の変化と風況、WF の出力変動につ いて調査した。気圧が減少から上昇に変わるときに、風 向が変化することが確認できた。東北地方では気圧の傾 きと出力変動との相関関係が高いことが観測された。し かし、九州地方ではこの相関関係はやや曖昧となり、相 関に時間差があることが確認できた。今回の調査は、特 徴抽出の抜き取り調査であるので、今後は年間を通じて 統計的な調査分析を行い出力予測への適用を目指したい。 なお、本研究はJSPS 科研費 25420266 の助成を受け 実施しました。関係機関に感謝致します。 4. 文献 1) 東竜也:「風力発電の現状と展望」,電気設備学会 誌,Vol.27,No.8,pp636~638(2007) 2) 山口洋樹,他:「ウインドファーム内の風車毎・・・」, 電力技術等合同研究会,PE-15-026 (2015) 3) 山本隆史,他:「ウィンドファーム内におけるウェイク ロスの分析調査」,電気学会全国区大会,6-249(2015) 4) 田中利樹,他:「蓄電池併設風力発電の運用実績に・・・」, 電気学会全国区大会,6-210(2015) 5) 電源開発:「風力発電力系統安定化技術開発」,(2008)
独立設置型風力発電複数台連系による水素製造システムの実験的検討
○吉田雄太,梅村敦史,高橋理音,田村淳二(北見工業大学)Experimental Study of Hydrogen Production System with Stand-Alone Wind Power Generators YOSHIDA Yuta, UMEMURA Atsushi, TAKAHASHI Rion and TAMURA Junji
(Kitami Institute of Technology)
キーワード:再生可能エネルギー,風力発電,独立設置型,水素製造,昇圧チョッパ, 1. はじめに 近年,地球温暖化や化石燃料の枯渇などの環境問題が 深刻化してきている.そこで,燃焼時に二酸化炭素など の排気ガスを発生しない新エネルギーである水素に関心 が集まっている.現在,水素の主な製造方法として水の 電気分解があげられる.しかし,水の電気分解に使用す る電力を,化石燃料により発電された電力から供給する ことでは,化石燃料の枯渇問題の抜本的な解決にはなら ない. 一方,上記と同様な理由から風力発電にも関心が集ま っている.しかしながら,風力発電の出力は風況によっ て左右される発電方法であり,電力系統に周波数変動や 電圧変動などの問題を招いてしまう.また,変動が少な く風況がよい場所があっても,送電線が近くになければ, その電力を需要家に送ることはできない. これらの水素製造,風力発電の欠点・問題点を解決す る方法として,電力系統に接続しない独立設置型の風力 発電システムによる水素製造が考えられる.このシステ ムでは送電線の有無に関係なく,風況の良い場所に風車 を設置することができ,化石燃料を使うことなく水素を 製造することができるので,前述した地球環境問題の解 決につながることが期待できる. そこで,著者らは独立設置型風力発電機による水素 製造システムを提案したが, シミュレーションを用いた 検討であり,実験的な検討は行われていない.そこで本 論文では複数台の独立設置型風力発電機による水素製造 システムに関して実験的に検討を行う. 2. システムモデル 本論文では,著者らが提案したシステムを元に実験的 に検討を行う[1].実験に使用したモデルシステムを図 1, 昇圧チョッパを図2 に示す.風力発電機を模擬した PMG
(Permanent Magnet Generator)と,風車を模擬した DCM(Direct Current Motor)で構成され,DCM により 可変速制御を行う.DSP(Digital Signal Processor)によ り各発電機の整流後の電圧・電流を読み取り,昇圧チョ
ッパのDuty 比を可変にすることで,発電機の回転速度
に応じたMPPT(Maximum Power Point Tracking)運転
を行うことができるかどうかを確認する.実験ではDCM, PMG,昇圧チョッパの台数はともに 2 台とし,水素製造 装置を内部起電力0 の負荷抵抗器で模擬した. Duty2 PMG1 Rectifier1 Boost Chopper C1 Rectifier2 Boost Chopper C1 C2 R DSP Vdc1 Vdc2 Duty1 I1 I2 Vac2 Vac1 Vac1 Vac2 Field Resistor1 E PMG2 DCM1 Resistor1 Field Resistor2 DCM2 E Resistor2
Fig. 1. Model System
MOSFET Diode C3 C4 R1 R2 L Vdc1 I1 Duty1 MOSFET Diode C3 C4 R1 R2 L Vdc2 I2 Duty2 R C1 C1 C2 Boost Chopper
Fig. 2. Boost Chopper
PI
Carrier Wave Comparator
Duty Pref1,2
Vdc1,2 I1,2
Fig. 3. Boost Chopper Control System
2015 年電気設備学会全国大会
B-23
<3.1>発電機特性 2 台のPMG においてMPPT 制御を行うため,各PMG の特性を測定し,PMG の回転数に対する発電機出力の目 標値関数(1) (2)式を算出した.なお PMG1の発電機出力 目標値をPref1,回転数をN1[rpm],PMG2の発電機出力 目標値をPref1,回転数をN2[rpm]とする. 1 2 1 5 1 ref
7
10
N
0
.
08
N
P
... (1) 2 2 2 5 2 ref9
10
N
0
.
05
N
P
... (2) <3.2>昇圧チョッパ制御系 図3 に昇圧チョッパ制御系のブロック図を示す.DSP で各PMG の整流後の電流と電圧読み取り,これらを乗 じて電力とする.その電力と目標値関数(1)(2)式で算出さ れた最大電力点の差を求め,PI 制御器を通すことでDuty を算出し,その値で昇圧チョッパを制御することにより, PMG を MPPT 運転させる.なお,Duty を生成する信 号のキャリア周波数は20[kHz]とした. 4. 実験結果 各風力発電機にそれぞれ異なる変動風が入力されたと 想定し,PMG の回転数を図 4 のように変動させたときの 目標値への追随性を実験的に検討する.なお実験時間は 300 秒とした. 図5 に Duty 比,図 6,7 に整流後の各 PMG の発電機 出力,図8 に整流後の各 PMG の電圧,図 9 に整流後の 各PMG の電流を示す. PMG の回転数に応じて Duty が変化し,発電機出力が 目標値関数から算出された値に追随し,各々の発電機出 力を適切に制御できることを確認した.発電機出力に振 動分が見られるが,これは整流後の電圧・電流の振動に よるものと考えられる. 5. まとめ 本論文では,複数台の独立設置型風力発電機を昇圧チ ョッパにより並列接続し,各々の発電機出力を制御する ことでMPPT 運転を行い,水素製造装置に電力を送るシ ステムを実験的に検証した.実験より発電機出力は各発 電機とも目標値に追随しており,昇圧チョッパを用いる ことで各発電機ともMPPT運転できることを明らかにし た.今後は実際に水素製造装置を用いて検証を行ってい きたいと考えている. 参考文献[1] K. Koiwa, A. Umemura, R. Takahashi, J. Tamura “Stand-alone Hydrogen Production System Composed of Wind Generators and Electrolyzer” The 39th Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society (IECON 2013), 2013/11.
0 50 100 150 200 250 300 500 750 1000 1250 1500 1750 2000 PMG_No1 PMG_No2 Rot at iona l S pe ed [rpm ] Time [s] 0 50 100 150 200 250 300 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 PMG_No1 PMG_No2 D ut y Time [s]
Fig. 5. Duty Ratio
0 50 100 150 200 250 300 0 50 100 150 200 250 300 PMG_No1 Pref_No1 P ow er [W ] Time [s]
Fig. 6. Output from PMG1 Rectifier1
0 50 100 150 200 250 300 0 50 100 150 200 250 300 350 400 PMG_No2 Pref_No2 P ow er [W ] Time [s]
Fig. 7. Output from PMG2 Rectifier2
0 50 100 150 200 250 300 0 25 50 75 100 125 150 PMG_No1 PMG_No2 V ol ta ge [V ] Time [s]
Fig. 8. Rectifier Output Voltage of each PMG
0 50 100 150 200 250 300 0 1 2 3 4 5 6 7 PMG_No1 PMG_No2 Curre nt [A ] Time [s]
Fig. 9. Rectifier Output Current of each PMG Fig. 4. Rotational Speed of each PMG
Pref1 Pref’1 Notch filter Pref4 Pref3 Pref5 Σ LPF or Pref2
Fig.2. Generator output reference obtained using filter
慣性エネルギーを用いたウィンドファーム出力帯域制御のための
平滑化フィルタの設計に関する検討
○田原秀哉,梅村敦史,高橋理音,田村淳二(北見工業大学)
A study of smoothing filter design for wind farm output bandwidth control using inertial energy TAHARA Shuya, UMEMURA Atsushi, TAKAHASHI Rion, and TAMURA Junji
(Kitami Institute of Technology)
キーワード:風力発電,慣性エネルギー,周波数,出力平滑化 1. まえがき 近年,風力発電の導入拡大が注目されている。しかし 風力発電は不安定な電源であるため,周波数変動など電 力品質の低下が懸念される。この問題を解決すべく,風 力発電機の慣性エネルギーを利用して周波数変動を抑制 する手法が研究されている1,2)。これらの文献では,風力
発電機の出力を平滑化するために LPF(Low Pass Filter)や ノッチフィルタが用いられているが,それらのフィルタ のパラメータの設計法についての議論は不十分である。 そこで本論文では,風力発電機の慣性エネルギーを用い た制御法において,電力系統の周波数特性を利用し,電 力系統の周波数変動を許容値以内に収めるフィルタの設 計法を提案し,その有効性を検証した。 2.システムモデル モデル系統として,合計定格出力82000MW のEAST10 機系統[3]を用いており,図 1 にそのモデルの周波数解析ブ ロックを示す。各プラントモデルや LFC モデル等は文献 [1]のものを用いた。なお,系統に接続されるウィンドフ ァームの容量は 10660MW(系統容量ベースで 13%)とし, 5 台の風力発電機(PMSG1,PMSG2,…,PMSG5)で模擬した。 3. 慣性エネルギーを用いたウィンドファーム出力制御法 図2 に慣性エネルギーを用いて風力発電機出力を平滑 化するための制御ブロックを示す。各風力発電機は通常 の MPPT 運転を行う場合の目標値 Pref1~Pref5ではなく,図 のように5 台の最大出力目標値 Pref1~Pref5の合計からフィ ルタを用いて特定の帯域を抑制し,その特定の帯域が取 り除かれた合計の信号を各発電機の回転数に応じて分配 し、1 台分の目標値 Pref1’~Pref5’を算出する。図 2 は PMSG1 を対象にした図であるが,PMSG2~PMSG5 においても 同様の手順で目標値を算出する。 4.フィルタパラメータの決定 (1),(2)式に前章で説明した制御系で使用する LPF 及び ノッチフィルタの伝達関数を示す。 2 c c 2 2 c 2 No tch + s 2 + s + s = ) s ( G
(1) sT + 1 1 = ) s ( GLP F (2) LPF の時定数 T 及びノッチフィルタの帯域幅 ζ は,大 きくすると抑制効果も上がるが,系統に送電される電力 が減少するため,両者にはトレードオフが存在する。従 って,以下に示すように,系統の伝達関数を利用し,フ ィルタによって補正した風力発電機出力による最大周波 数偏差が最悪の場合においても 0.2Hz になる最小の T お よびζ を決定する。 図 1 のモデルにおいて,慣性エネルギーを利用した制 御を行わない場合のウィンドファーム出力の変動電力の p.u.値から周波数変動までの伝達関数を求める。その伝達 関数より得られた周波数特性を図 3 に示す。制御を用い ることで,図3 に示した周波数特性の最大値が 0.2Hz 以 Thermal Power Plant Hydro Power Plant Nuclear Power Plant Wind Farm Load Reference Setting System LFC System + + - + + ⊿ω Generator Model D Ms 1
Fig.1. Block diagram for frequency analysis
2015 年電気設備学会全国大会
B-24
0 600 1200 1800 2400 3000 3600 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 P o w er [ p .u .] Time [s] 0 600 1200 1800 2400 3000 3600 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 LPF P o w er [ p .u .] Time [s] 0 600 1200 1800 2400 3000 3600 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Notch filter P o w er [ p .u .] Time [s]
Fig.6. Wind farm output Table 4. Result MPPT LPF Notch filter ΔFMAX (Hz) +0.254 / −0.142 +0.162 / −0.206 +0.150 / −0.159 σ (Hz) 0.0412 0.0405 0.0382 Total power (MWh) 5923 5782 5788 Loss (%) 0 2.381 2.279 100-4 10-3 10-2 10-1 100 101 0.2 0.4 0.6 Frequency [Hz] Max imu m freq uen cy dev iat io n [H z] (Hz)
Fig.3.Frequency characteristic of power system
10-4 10-3 10-2 10-1 100 101 0 0.2 0.4 0.6 Frequency [Hz] Max imu m freq uen cy dev iat io n [H z] (Hz)
Fig.4. Frequency characteristic of power system with LPF
100-4 10-3 10-2 10-1 100 101 0.2 0.4 0.6 Frequency [Hz] Max imu m freq uen cy dev iat io n [H z] (Hz) ζ=3.0 ζ=1.0 ζ=1.8
Fig.5. Frequency characteristic of power system with notch filter Table 3. Constants of filter
Characteristic frequency fc [Hz] 0.107 Characteristic angular frequency ωc ( = 2πfc) 0.672
Damping ratio ζ 1.8 Time constant of LPF 6.2 がフィルタを含む全系の周波数特性である。図 4,5 より, 表 3 に示すフィルタパラメータを用いたとき,ウィンド ファーム出力が0.107Hzで0から1[p.u.]まで変動する最悪 のケースでも 0.2Hz 以内に抑制できることが確認できる。 なお,ノッチフィルタにおける中心周波数 fcは図 3 より 周波数偏差が最大となる 0.107Hz に設計した。 5. シミュレーション 提案法の有効性を確認するため,最大電力を電力系統 に供給した場合(MPPT 法)と提案法で運転した場合の実 風速データを用いたシミュレーションを行った。図 6 に ウィンドファーム出力を示す。表 4 に結果を示す。各種 フィルタを用いた場合では,最大周波数偏差および標準 偏差σ ともに MPPT 法より小さくなっている。同じ条件 で設計したため,どちらのフィルタを用いた場合でも同 様の抑制度を達成するはずであるが,LPF ではマイナス 側に 0.2Hz を越える周波数変動が発生している。この原 因としては,LPF は抑制する帯域がノッチフィルタに比 べて広いために,慣性エネルギーを放出しすぎてしまい, MPPT 運転の動作点から大きくはずれ,風から得られる エネルギー量自体が減少したためだと思われる。 6. まとめ 風力発電機の慣性エネルギーを利用して出力変動を抑 制する制御法にフィルタを応用する設計法を提案した。 実風速を用いたシミュレーションによりその有効性を検 証した。その結果,用いるフィルタによっては慣性エネ ルギーを放出しすぎるために,十分に平滑化された出力 を出せない場合もあるが,従来,試行錯誤によって決め られてきたフィルタパラメータを決定する 1 つの目安を 与えることができたのではないかと考える。今後は,周 波数変動のみならず,風力発電機の運転範囲を越えない 慣性エネルギーの利用についても考慮して,さらなる検 討を行っていきたい。 7. 文献 1) 小岩 健太 他:「可変速風力発電機を用いたウィンドフ ァームの出力周波数帯域制御による系統周波数変動抑 制」, 電学論 B, Vol. 135, No. 6, P351-361 (2015). 2) 佐藤 大騎 他:「可変速風力発電の運動エネルギーを利 用したウィンドファーム出力変動の平滑化技術」, 電学論 B, Vol. 129, No. 5, P580-590 (2009). 3) 「電力系統の標準モデル」, 電気学会技術報告, No. 754 (1999).