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通勤者の出発時刻と経路を考慮した 機関選択に関する行動分析

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長野工業高等専門学校紀要 ・第 2 9 号 ( 1 9 9 5 ) 47

通勤者の出発時刻 と経路 を考慮 した 機関選択に関する行動分析

柳 沢 吉 保   飯 田 恭 敬   内 田 敬 ( 平成 7 年 9 月 2 7 日) Behaviour Analysis on Aodal Choice 

Considering Departure Time and Route Choice Yoshiyasu YANAGISAWA Yasunori IIDA Takashi UCHIDA

Thi spa p e re xa m in e st h emo d a lc ho i c ec ha r a c t e rd u r i n gp e a k‑ p e r i o dt r a f h cc o n ge s ‑ t i o n. I tp r e s e n t s仇eu t i l i t yf u n c t i o no fr o a da n dr a i lwa yf a c i l i t i e ss e Ⅳi c e st ha tc o n s i s t s o ft r a v e lt i mea nds c h e d u l ed e l a ya two r ks t a r tt i mea ndt r a n s i tf a r e s .Toa na l y z e t r a v e l e rd e c i s i o n s ,an e s t e dl o gi tmo d e lo fd e pa r t u r et i me s , r o ut ea n dmo d ec ho i c ewa s e s t i ma t e d .I nt hi sa n al y s i s ,weu s e dt hePe r s o nTr i pDa t a,f r o m Suz a kaCi t yt ot he Na ga n oCe n t r alBu s i n e s sDi s t r i c t .

1. は じ め に

潜在的な交通需要が大 きい今 日,道路整備による交通渋滞の解消 は期待で きない. また整 備 までの期間が長期化 した り,膨大 な財源 を必要 とす ることにも問題がある.一 日に発生す る交通需要の大 きな割合を占めている通勤交通 に対 しては,時差出勤方式や公共輸送機関 の サービス向上, さらに経路誘導 などによって対応す る方向にある.すなわち, ある特定 の時 刻 と経路 に集中 していた トリップを, ピーク需要 コン トロールによって多の時刻,経路‑分 散 し渋滞を解消す ることを考 えてい る.通勤者 は,始業時刻の制約 を考慮 にいれた出発時刻 や経路,手段の選択を行 っている. そこで, ピーク需要 コン トロールによって トリップを分 散 させ る方法を考 えるにあた り,通勤者が どのよ うに して,手段 ・経路 ・出発時刻 の選択 を 行 っているかを究明す る必要がある.

出発時刻選択問題 に関す る従来の研究では, ドライバーは出発か ら始業時刻 までの実効旅 行時間 と,所要時間の変動 によ り生ず る遅刻確率 との トレー ドオフを考慮 していると仮定 し, 通勤実態調査 よ り実効旅行時間 と遅 刻確率 との関係 を実証的 に分析 してい る1 ト3 ) .ただ し, 経路や手段 も含めた同時選択行勤 まではふれていない.出発時刻や経路の同時選択行動 を ロ ジ ットモデルを用いて説明 した研究 がある 4) 15) . これ らは通勤効用関数を もとに交通行動 を

● 平成 7 年 1 月第 1 7 回土木計画学研究講演会にて発表 日 環境都市工学科 講師

日暮 京都大学工学部 教授

HH 京都大学工学部 講師

(2)

モデル化 し,シ ミュレーシ ョンによって行動特性を分析 している. このモデル化の概念を基 本 とし,通勤実態調査を用いて,出発時刻 と経路選択行動を実証的に分析 した研究がある6 ) . そ こでは ,NL モデルを用いて出発時刻,経路 の選択 ツリー構造を仮定 し,モデルのパ ラメ ータを推定す ることによって,選択行動パ ターンを明 らかにしている.ただ し,手段選択 ま で考慮にいれた通勤行動特性までは分析 していない.

本研究は ,NL モデルを用いて道路 と鉄道に対する交通行動の出発時刻,経路,手段選択 のモデル化を行 う.そして通勤実態調査結果を用いて,モデルの′ iラメータを推定 し,通勤 行動特性を明 らかにする.

2. 通勤行動モデル 2‑1 マイカー利用者の効用関数

ドライバーは,時刻 t s に出発 してか ら始業時刻 t 。までに費やす旅行時間損失 と,所要時 間の変動により生ず る遅刻ペナルテ ィーを考慮 して,出発時刻や経路の選択行動を行 ってい ると考 えられる 1 ) 3) .旅行時間損失 と遅刻ペナルテ ィーは トレー ドオフの関係にあるので, 所要時間の変動が確率分布 に従 うとし,効用関数は( 1 ) 式のように表す ことができる.

V ( 1, r , t sJt d )‑al +P( t .‑t s )+yF( t d I r, t s ) ( 1 ) t 。 ‑t s:実効旅行時間 α1:自動車固有の定数 β , γ: 不効用に関す るパ ラメータ F( ・) :経路 rを利用する ドライバーが,時刻 t s に出発 した ときに,

始業時刻 t d に遅刻 してしま う確率

2‑2 鉄道利用者の効用関数

鉄道利用の場合, イグレスとして徒歩や自転車の他に, 自動車,バスなどを選択す る可能 性がある.自動車やバスを利用 した場合,駅から会社 までの旅行時間の変動 も考慮 しなけれ ばならず,モデルが複雑 になる. ここではモデルを単純化するため, イグレスとして徒歩や 自転車 など,旅行時間の変動が無視できるほど小 さい手段 を選択 した通勤者を対象とした効 用を考 える.

・鉄道利用の場合 も時間損失の項 として,実効旅行時間が考 えられる. しかし所要時間の変 動 は自動車利用 と比較す ると無視できるはど小 さいので,勤務地の始業時刻に間に合 うよ う

な列車を選択 した場合,遅刻確率は 0として扱 う.一方,マイカー利用 と異な り,車 内混雑 と乗車料金を不効用 として考 えねばならない. これ らを考慮 して,鉄道の効用関数は( 2) 式の よ うに表す ことがで きる.

Ⅴ ( 2 , r, t sIt 。 )‑q2+β( t 。It s )+γ' 6( t a1r , t s ) +E f ( r )+qC( r , t s ) ( 2)

t 8 : 勤務地への到着時刻 f ( r ) :経路 r の乗車料金

C( ・) :時刻 t s に駅を出発す る経路 rの列車の混雑率

α2:鉄道固有の定数 E, q: 不効用 に関す るパ ラメータ 6( t alr , t s ) ‑( 1: t a>t 。 , 0: t a≦t 。

2‑3 通勤行動モデル

通勤行動のモデル化 は ( 1 ) ,( 2 ) 式の効用関数 に基づ くpジ ッ トモデルを用いて行 う4 ) ・ 5 ) .選 択 ツ リー構造 は図 ‑ 1 に示す ( a) ,( ち ) ,( C ) の 3 種類 を想定す る.

図 一 1 ( a ) の選択 ツリーは,各通勤者の利用手段が完全に分離固定 されていて,一方の手段

(3)

通勤者の出発時刻と経路を考慮した機関選択に関する行動分析 4 9 だけで出発時刻 と経路選択が決定 されている場合

に適用 され る.出発時刻 と経路の選択 プロセスは 既存の研究6 ) か ら,出発時刻 を下位 レベル とす る 方がモデル適合度がよいことがわかっているので, 本分析でも( a ) の選択 ツリーを適用す る.出発時刻

と経路 の同時選択確率は ( 3 ) 式で計算できる.

p( r , t s ) ‑p( r ) ・p( t s I r ) ( 3) 図‑ 1( b) の選択 ツリーは各手段選択肢の類似性 が比較的高 く,通勤者が目的地までの選択可能 な 各手段 の経路を一体 として同時選択を行 っている 場合に適用 され る. ここで レベル 2 の選択肢数 は,

自動車 の利用経路が R 個,鉄道 の利用経路が R' 個 ある場合 ( R+R' ) 個 となる.出発時刻 と各手 段経路の同時選択確率 は ( 4 ) 式 よ り計算できる.

p( r , t s )‑p( r ) ・ p( t , lr ) ( 4)

(自助

OR鉄道 )

/

r ‑

1.

‑. 良

/ \

出 発 時

刻t 暮 It O , ‑. T ( a) 選択ツリー A

手 段 / へ

道 路 経 絡 鉄 道 利 用

r = 1・ ・ ・ ・ ・ R r Z 1, . ・ ・ . R・

< / へ

出 発 時 刻

ただ し, ここでの rほ各手段 の経路をすべ て含む. I . .t 。 , . . . . T 図 ‑ 1 ( C ) の選択 ツリーは手段選択肢間の類似性が

低い場合に適用 される.手段 と経路の選択 レベル を分け,最上位 レベルを手段選択 とした.出発時 刻,経路,手段の同時選択確率は ( 5 ) 式で求められ

p( m, r , t s )‑p( m)・p( rlm) ・p( t s I m, r ) ( 5) 以上のツ リー構造を想定 して,通勤不効用パ ラ メークを推定す る.

3. 対象ネッ トワークと使用データ 3‑ 1 対象ネッ トワーク

本研究では,須坂市から長野駅周辺の中心業務 地区に向か うトリップを分析の対象 とす る.ネ ッ

t ■ tt o , ・ ・ ・ , T ( b) 選択ツリー B

機 関 n /\ ‑ 1 . ‑ , N 経 路 /\ r B l . ・ ・ 1 , 良 /\

出 発 時

刻t . ニ ー 0 , ‑. T

( C) 選択ツ1 )‑C

図‑ 1 各選択肢の選択ツリー構造 トワークは図 ‑ 2 のように一般道路か らなる 2 本の経路 と 1 本の鉄道からなる.選定 した 2 本の経路は,国道 4 06 号 ‑1 8 号 ‑4 0 6 号を経路 1 ,国道 4 06 号 ‑1 8 号 ‑1 9 号を経路 2 とす る.

3‑ 2 使用データと通勤の実態 平成 2 年度長野都市圏パーソン トリ ッ

プ調査データを用いて通勤行動の実態を 分析す る.データは 7:0 0 か ら 8:4 0 の間 に須坂市か ら発生す る通勤 目的の トリッ プを抽出し,それ らの出発時刻,所要時 間, トリップ数を調べた.通勤時間帯の 到着分布を調べた結果,大半の鉄道利用

819 2117

図 ‑2 対象道路網

(4)

者が ,8:0 0 か ら 8:1 0 の間に長野市 CBD の勤務先に到着 していることがわかった. このた めマイカー利用者 も含めた通勤者の うち ,8:0 0 から 8: 1 0に勤務先に到着す る トリップを通 勤行動分析の対象にす ることにした.効用パ ラメータの推定を行 うために旅行時間 と各経路 を利用す る トリップ数 ( 台数)が必要 となるが, このデータを得 るための始業時刻 と利用経 路が不明である.そ こで対象データの到着分布 と各経路の所要時間 よ り,始業時刻 と利用経 路 を仮想的に与 えることにす る.

始業時刻は分析対象の通勤者の到着余裕時間が0か ら 1 0 分であると仮定 し,到着時刻 8: 0 0 か ら 8:1 0 の うち最 も遅い到着時刻の 8: 1 0を始業時刻 とした.

ドライバーを各経路へ配分す る作業 は, 目的地 までにかかった所要時間によ り行 う.各経 路の所要時間を,平成 2 年度全国道路交通情勢調査データより調べた.その結果,各 ドライ バ ーについて,所要時間の回答値が 4 0 分以下 は経路 1 ,4 1 分以上 は経路 2 を利用 した と仮定

して分けた6 ) .

鉄道利用者 は ,8: 1 0 の始業時刻 に間に合 うため ( 令 ) 2 ∝〉

に,須坂駅を 7:0 2 ,7:1 6 ,7:2 9 ,7:4 0 に発車す る 4 本の列車を利用するもの とす る. PT データを 用い, まず自宅から須坂駅 までの所要時間か ら,顔 坂駅へ到着す る時刻を算出 し, これよ り長野電鉄の 各列車の利用者数を求めた.鉄道利用の場合,表坂 駅 までのアクセスに複数の手段が選択 されている場 合が多 く, アクセスも含めた通勤行動分析 を行 う場 合,手段の組み合わせが複雑 になって しま う. ここ

1 5 0 先 生 三 1 ∝ ) 丑

5 0

0 7 : 0 5 7 : 1 5 7 : 2 5 7 : 3 5 山 発時刻

図 ‑3 対象地域の出発時刻分布 では主要交通手段に絞 った分析を行 う目的か ら,鉄道利用者 は須坂駅からの行動を分析 の対 象 とす る.以上の作業により,対象 とす る通勤者の各手段別出発時刻分布 は図 ‑3 に示す と お りとなる. この図は 7:0 5 より 1 0 分間隔で,通勤者数を集計 した ものである.ただ し ,7:

0 2 ,7:1 6 ,7:2 9 ,7:4 0 発の列車はそれぞれ7 :0 5 ‑7:1 4 ,7:1 5 ‑7:2 4 ,7:2 5 ‑7:3 4 , 7:3 5 ‑7:4 4 の時間帯の中に含める.

PT データか ら抽出した所要時間データより ,7:0 5 から 7:4 4 までの時間帯の各手段,経 路 の平均所要時間,標準偏差を表 ‑ 1 に示す.

発生時刻分布 よ り,マイカー利用者 は 7:2 5 ‑7:3 4 台で発生 トリップの ピークとな り, 7:3 5 ‑7:4 4 台では発生 トリップ数が減少 していることが分かる. 7:3 5 ‑7:4 4 に出発す る と始業時刻 ぎ りぎりに到着す ることにな り,所要時間の変動 も考慮す ると遅刻の可能性が大 きくなると考 えられ る.鉄道の場合は,目的地 までの所要時間が短 く, しかもその変動が小 さいので,始業時刻 にぎ りぎ り到着で きるような列車が選択 されやすいと考 えられる.

次に,時間損失以外の要因 として混雑率 と出発分布 との関係をみ る.混雑率 C( t s) 紘,車 両定員に近づ くほど限界不効用が増加することを考慮 して,次式のよ うに定義す る.

Y ( t s )

C( t s ) ‑( cp ( t s ) ・L( t s )) ) 2

Y ( t s) :時刻 t s に須坂駅を出発する列車を利用す る通勤 トリップ総数 Cp ( t s ) :時刻 t s に須坂駅を発車する列車の 1 両当た りの乗車定員

( 6)

(5)

通勤者の出発時刻と経路を考慮した機関選択に関する行動分析 5 1 秦‑ 1 平均所要時間と標準偏差

経 路 平均所要時間 ( 分) 標準偏差 1 3 3. 8 3. 8 2 2 4 7. 5 2. 5 0 鉄 道 2 0. 0◆ 0. 0 0 'CBD までの平均所要時間

義‑ 2 鉄道利用者の車内混雑 発車時刻 常用者数 容量・ 車両数 混雑率

7:0 2 1 4 7:1 6 1 2 3 7:2 9 31 3 7:4 0 5 51

1 3 9 8 0 2 8 6 0 2 0 9 0 0 1 0

3 2 3 3

0 0 0 0 3 3 0 4 1 1 1 1

● 1 車両当た りの乗車定員 L ( t s ) :時刻 t s に須坂駅 を発車す る列車 の車両数

表 ‑ 2 よ り,通勤 に利用 されている 7:29 ,7:40 発の列車 の混雑率差 は小 さ く,各列車 と も大 きな混雑 は起 こしていない.手段選択 では,各手段 の持つ固有の利便性 が影響 してい る 場合 も考 えられ るので,次章ではこの点を考慮 し,各手段 の所要時間 とその変動,各手段 の 利便性,車内混雑が通勤行動に与 える影響 を分析す る.

4. 通勤効用のパラメータ推定 4‑ 1 パ ラメー タ推定のためのデー タの作成

通勤行動 を分析す るため,( 1 日2) 式で示 した効用 パ ラメータα,β , γ ,E , q とス ケー ル パ ラメータ〟を推定す る.

出発 時刻 の選択 肢 は道路,鉄道 ともに 7 : 05 よ り 1 0 分 間 隔 で 7 : 0 5 ‑1 4 ,1 5‑24,2 5‑34 , 3 5‑4 4 の 4 つの時間帯 を設 けた.経路の選択肢 は道路が 2 つで鉄道が 1 つである.手段 は道

義‑3 選択肢の説明変数値 遅 刻 確 率 rl r 2 t s t e

7:0 5 台 7:1 5 台 7:2 5 台 7:3 5 台

0 0 0 0 1 1 1 1 5 5 5 5

1 3 9 8 0 2 8 6 0 2 0 9 0 0 1 0

0 0 0 0

2 1 0 0 4 0 0 8 0 0 0 0 1

2 7 0 7 0 3 0 0 0 0

5 5 5 5 6 5 4 3

t s . '出発時刻 ,t e . '実効旅行時間 ,r l . .経路 1 r 2 :経路 2 ,r 3: 長野電鉄,f:混雑率,C: 乗車料

路 と鉄道の 2 つである.

長野電鉄の車内混雑 は表 ‑ 2 に示 し た とお りで あ り,乗車 料金 は 51 0 円 で ある.

手段,経路別の各出発時刻 の発生量 は図 ‑ 3 に示 した とお りで,道路 の経 路 1 の総 トリップ数 が 1 30 ,経路 2 が 2 9 ,鉄道 の総 トリップ数 が 21 0 であ っ た.表 ‑ 1 で示 した各手段,経路 の所 要時間 と標準偏差を用 いて,始業時刻 8: 1 0 に対す る各選択肢 の実効旅行時間 と遅刻確率 を求めてお く.各 トリップの代替選択肢

の説明変数の値 は表 ‑3 に示す.

4‑ 2 パ ラメー タの推定方法

図 ‑ 1 で示 した選択 ツ リーで表 され る. ,ジ ッ トモデルの効用パ ラメータを,最尤推定法 を 用 いて推定す る.段階的にパ ラメータの推定を行 うので, I /ベル 1 のスケールパ ラメータは 1. 0 とした 8) . よって図‑ 1 ( a ) ( b) の よ うに 2 段階推定 の場合 のスケールパ ラメータの存在範 園は,

0< 〃2 ≦1. 0

でなければならない. また図 ‑1 ( C ) のよ うに ,3 段階推定の場合 は,

( 7 )

(6)

0<〟3 ≦〟 2 ≦1. 0 ( 8 ) を満たさなければならない.

4‑ 3 選択ツ リー A のパラメータ推定結果の検討

図 ‑1 ( a) 選択 ッリー A の,各手段 ごとの経路 と出発時刻の選択行動の分析を行 う. ここで は各手段別にパ ラメータを推定す るので,手段固有の′ iラメ‑タは除 くことにす る.マイカ

表 ‑4 選択ツ. ) ‑A の推定パラメータ 表 ‑5 ′ 'ラメータ推定結果

式名称 手 段 推定パラメータ 式名称 β γ

I L 2 Al 自動車 β ,γ ,〟2

会;) 鉄 道 芳 :芋,

A1 ‑ 0. 1 6 6 ‑7. 2 0 8

0. 7 8 3 ( 8. 7 5 ) ( 9. 4 0 ) ( 7. 3 1 )

‑ 0. 2 1 6

'

1 1. 7 8 6 +

( 0. 3 0 ) ( 0. 1 9 8 )

‑ 0. 1 2 7 ‑ l l. 9 8 6 ◆ ●

( 1 0. 6 3 ) ( 0. 7 0 ) ( ):t 値 ●:除外

一利用者の不効用パ ラメータは,表 ‑ 4 の Al の よ うに実効旅行時間 と遅刻 に関す るβ,γ である.推定結果は表 ‑ 5 に示 されている.

推定 されたパ ラメータの意味を ,3 節で作成 した各手段,経路の発生時刻分布 と対応 させ て考 えてみる.マイカー利用者の発生分布 は,出発時刻が 7:1 5,7:2 5 と実効旅行時間が短 くなるほど発生 トリップ数は増加 している.実効旅行時間は長 くなる縁ど ト1 )ップ数が減少 す るので不効用 として作用 し ,β の符号は負 となっている.出発時刻がさらに早ま り遅刻確 率が増加すると,発生 トリ√ ップ数 は逆 に減少 している. したがって,遅刻確率が不効用 とし て作用す るので ,γ の符号 も負 となっている. I /ベル 2 の I L 2 は経路選択 に関す る′くラメー タである . 〟2 の倍は( 7 ) 式の範囲内に入 っている . 〟は大 きくなるほど不効用の小 さい経路が 選択 される確率が高 くなる特性を持っている.作成 した発生分布では経路 1 に トリップ数が 集中 していた結果,〟2 の値が大 きく推定された.

次 に,鉄道利用者の′ (ラメータ値を検討す る.鉄道の経路は 1 つ しかないので,選択肢 は 出発時刻だけとなる.説明変数は,実効旅行時間,遅刻確率のほかに車内混雑,乗車料金が 考 えられる.今回設定 した 4 つの出発時刻の遅刻確率 はどれ も 0. 0 で,乗車料金 は 51 0 円 とし ている.選択肢が出発時刻だけの場合, どの出発時刻 に対 しても遅刻確率や乗車料金が同 じ なので, これ らのパ ラメータは 0. 0 となる.そこで A 2 では実効旅行時間 と車内混雑のみを説 明変数 とする.

鉄道の利用者数はマイカー利用 と同様に,実効旅行時間が短 くなるにつれて多 くなるので, βの符号は負 となっている.車内混雑 に関す るパ ラメータ qの符号 は正 となっている.過 常,不効用は車内混雑が増加す るほど大 きくなるので,符号は負 とならなければな らない.

各発車時刻の混雑率を見 ると ,7:2 5 と 7:3 5 発の列車の混雑率の差 は小 さい. 7:25 と 7:35

発の実効旅行時間差の方が,混雑率差 より発車時刻選択に大 きく影響 した結果,混雑率が不

効用 として働 かずに , qの符号が非現実的になってしまっていると考 えられ る. このことか

らレベル 1 のパ ラメータ推定では,鉄道利用についても,出発時刻 と経路選択の説明変数は

実効旅行時間 と遅刻確率のみを用いることにす る.

(7)

通勤者の出発時刻と経路を考慮した機関選択に関する行動分析 5 3 A 。 は,遅刻確率がすべての出発時刻で 0. 0 とならない ようにす るため ,CB Dの始業時刻 に遅刻 してしま う列車の発車時刻 として 7:4 5 をさらに設定 し, この時刻の遅刻確率を 1. 0 と した.表 ‑5 の結果をみ ると,遅刻に関す るパ ラメータ γの t債 は低いが,β,γの符号 は 現実的であ り,説明変数 として実効旅行時間 と遅刻確率を用いることが妥当であることが分 か る.

4‑ 4 選択ツ リー Bのパ ラメータ推定結果の検討

図 ‑ 1 ( b) 選択 ツリー B は各手段 も 1 つの経路 とみなして行動す る場合を想定 している.推 定す るパ ラメータは表 ‑6 に示す.前 に述べた とお り,出発時刻選択であるレベル 1 の説明

秦‑6 選択ツリー B の 推定パラメータ 推定パラメータ レベル 1 レベル 2 BI P ,γ a 2 , E, B 2 β

, γ

E, B 3 β,γ α2

2 2 2 〃 〃 〃

秦 ‑7 パラメータ推定結果

レベル 1 レベル 2

β γ a2 E F E 2

B1 ‑ 0. 1 4 5 ‑ 6. 5 7 0 ‑ 1 6. 3 2 3 8 3. 8 4 2 0. 8 7 8 ( 1 5. 0 8 ) ( l l. 2 6 ) ( 0. 5 7 ) ( 0. 5 6 ) ( 7. 3 1 ) B 2 ‑ 0. 1 4 5 ‑ 6. 5 7 0 ● 0. 1 1 7 0. 8 7 8

( 1 5. 0 8 ) ( l l. 2 6 ) ( 2. 8 0 ) ( 7. 3 1 ) B 3 ‑ 0. 1 4 5 1 6. 5 7 0 0. 5 9 4 ' 0. 8 7 8

( 1 5. 0 8 ) ( l l. 2 6 ) ( 2. 8 0 ) ( 7. 3 1 ) ( ):t 債 ●:除外

変数は実効旅行時間 と遅刻確率を用いた. I /ベル 2 ではスケールパ ラメータ,乗車料金,秩 道の固有′ (ラメークを導入 した.推定計算の収束性の関係上,乗車料金 と鉄道の固有パ ラメ

ータを不効用 として,それぞれの説明変数値を ‑ 5. 1( 1 00 円を 1. 0 ),‑1 として与 えた.推定結 果は責 ‑ 7 に示す.

Bl 〜B 。 の レベル 1 のパ ラメータP ,γ の値 は符号が負であ り,現実現象 と整合 している とい う点で合理的である. A lと比較 し ,Bl 〜B 4 の β ,γ は大 きく推定 された. ピーク発生 時刻 はマイカー利用者で 7:2 5 ,鉄道利用者で 7:3 5 に生 じてお り, ツリー構造 A の ときと比 較 し トリップ発生時刻分布 のば らつ きが大 きいためである.ただ し A l では β:γ‑1:4 3 , Bl 〜B 4 では β:γ‑1:4 5 で,選択 ツ リー B の γ/β 比 が大 きい. これ は鉄道利用者 の ピー ク発生時の遅刻確率が 0で,全体 として遅刻確率が小 さい出発時刻が選択されているためで ある.

レベル 2 について ,B l では乗車料金,固有パ ラメータの t値 は ともに 0. 5 で低 い値 となっ た. B 2 では乗車料金はパ ラメータの符号 より不効用 とな り ,〟 2 が( 7 ) 式の範囲内にあるため合 理的な結果 となった. B 3 は,固有パ ラメ‑タ a2 が不効用 と推定 された ことか ら,時間損失 以外の面では鉄道 よ りも自動車を利用する方が メ リットが大 きいことを示 している. しか し a2 倍 は 0. 59 4 であ り,時間損失による不効用 と比較 してかな り小 さ く,通勤行動 には大 きく 影響はしないと考 えられる. また,交通政策の計画変数 として取 り入れに くいことか らも, 以下のモデルでは国有パ ラメータを除外す る.

4‑ 5 選択ツ リー C のパ ラメータ推定結果の検討

図 ‑ 1( C ) 選択 ツリー C では推定手順 は手段 と経路選択を明確に分 け,最下位 レベルを手段

選択 とした 3 レベルか らなっている.推定する′ くラメータは表 ‑8 に示す.出発時刻 と経路

(8)

衣‑ 8 選択ツ1 ) ‑C の推定パラメータ 推定パラメータ

レベル 1 レベル 2 レベル3

CI P , γ p2 E ,p3 C 2 P , y F L 2 I L 3

義‑ 9 パラメータ推定結果

レベル 1 レベル 2 レベル3 β γ J L 2 E J L 3

C1 ‑ 0. 1 4 5 ‑6. 5 7 0 0. 8 7 8 4. 5 1 8 2. 5 9 8 ( 1 5. 0 8 ) ( l l. 2 6 ) ( 7. 3 1 ) ( 0. 0 5 ) ( 0. 0 5 ) C 2 ‑ ( 2 6 1 3 3 ) ‑ ( 1 6 1 ・ . 5 2 7 6 0 ) 0 ( f 雪空) ' 官 主 莞g )

( ):t 値 ̀:除外 .

選択 は図‑ 1( a) と同様 に, レベル 1 の説明変数は実効旅行時間 と遅刻確率を, レベ ル 2 では スケールパ ラメータを用 いる.手段選択であるレベル 3 の説明変数 は,スケールパ ラメータ と乗車料金 とす る.推定結果 は表 ‑9 に示す.

C l は, レベル 3のスケールパ ラメータ〟3 が( 8 ) 式 の存在範囲内 とならなかった.

C 2 の推定結果を分析す る. レベル 1 の′ <ラメータ推定で用 いられ るデータは,選択 ツ リー

B と同 じなので β , γの値 も Bl 〜B3 と同一 となる. レベル 2 の経路選択 に関す るパ ラメー タ 〟 2 は,鉄道 の経路 が 1 本 なので, ここでは道路 の経路選択 に関す るパ ラメータとな る.

旅行時間損失 に関す る不効用が小 さい経路 に ドライバ ーが集中 しているので , 〟 2 は0. 87 8 と 大 きな値 となっている.

レベル 3の p3 は機関選択 に関す るスケールパ ラメータで あ る.I L 3 は( 8 ) 式 の範 囲内 にある が,0. 2 80 と比較的小 さな値 を示 した. レベル 3 の ログサ ム変数 は レベル 1 の実効旅行時間 と遅刻損失による不効用が反映 される.今回設定 した列車 を利用 した場合,遅刻す る危険は な く, しかも時間損失が小 さいので, マイカーを利用す るよ り鉄道 を利用 した方が通勤不効 用 は小 さ くなる. しか し道路 と鉄道の利用者数の比率 は1 5 9:21 0 で,時間損失差 ほど利用者 数が鉄道 にかた よっていない.それゆ え仲の値 は比較的小 さな値 となっている. この こと 紘,各手段,経路の所要時間が短 くなって も手段選択が大 き く変動す ることはないことを示 していて,各通勤者 の利用手段 はある程度固定 されてお り,所要時間の変動 に対 し出発時刻 で対応 していると解釈で きる.

5. お わ り に

本研究 で得 られた結論 は以下 のようにまとめ られ る. まずパ ラメータの推定値 より,次の よ うに結論で きる.

( 1 ) 手段選択 に関す るスケールパ ラメータが比較的小 さい ことか ら,各通勤者の利用手段 は ある程度固定 されていて,所要時間の変動 に対 し出発時刻で対応 しているもの と考 えられ る.

( 2 ) マイカー利用者 だけの ときと比較 し,鉄道利用者 も含めたパ ラメータ推定では遅刻 に関 す る γ の絶対値 が小 さい ことか ら,通勤者 は実効旅行時間損失 を重視 してい ることが分 かっ

た .

( 3) 1 0 分 とい う比較的大 きな間隔で出発時刻選択行動 を見た場合,各出発時刻の混雑率差 よ

りも,実効旅行時間損失差 の方が選択行動に与 える影響 は大 きい.

(9)

通勤者の出発時刻 と経路を考慮した機関選択に関する行動分析 5 5

( 4) 推定 した鉄道 の固有定 数 が不効 用 とな った. よって, 時間損 失以外 の面 で, 鉄 道 は 自動 車 よ りも利 便性 が悪 い こ とがわ か った. ただ し旅 行時 間 損失 に よ る不効 用 の大 き さ と比 較

し, 固有定 数不効 用 は小 さい.

参 考 文 献

1 ) Ha l l , R. W/ : Tr a ve lo u t c o mea n dp e r f o r ma n c e:Th ee f fe c to fu n c e r t a i n t yo na c c e s s i b i l i t y , Tr a n s . Re s . ‑ BVo l . 1 7 B,No . 4 , p p . 2 7 5 ‑ 2 9 0 , 1 9 8 3 .

2) 松本昌二, 白水義暗 :旅行時間の不確実性 が時刻 の指定 された物資輸送 に及ぼす影響,土木学会 論文集 第 3 5 3 号 /Ⅳ‑ 2p p.7 5 ‑ 8 21 9 8 5 年 1 月

3) 内田 敬,飯田恭敬,松下 晃 :通勤 ドライバーの出発時刻決定行動 の実証的分析,土木計画学 研究 ・論文集 ,p p . 3 9 ‑ 4 6 ,No . 1 0 ,1 9 9 2 年 11 月

4 ) Be n ‑ Ak i v a:Dy na mi cMo d e lo fPe a kPe r i o dTr a 爪Cw it hEl a s t i cAr r i v a lRa t e s , Tr a m s .Sc i . Vo l . 2 0 , No . 2 , p p .1 6 4 ‑ 1 8 1 ,1 9 8 6 .

5) 飯 田恭敬,柳沢吉保,内田 敬: 通勤交通の経路選択 と出発時刻分布 の同時推定法,土木計画学研 究 ・論文集 ,No . 9p p .9 3 ‑ 1 0 0,1 9 9 1 年 1 1 月

6) 飯 田恭敬,柳沢吉保,内田 敬 :通勤 ドライバーの出発時刻 と経路の同時選択 に関す る行動分析, 交通工学 ,Vo l . 2 8No . 6p p .l l ‑ 2 0 ,1 9 9 3

7 ) 飯 田恭 敬 :交通管理 の‑ イテク化 と都市交通計画,都市 問題研究 ,Vo l . 4 1 ,No . 1 2 ,p p .3 ‑ 1 5 ,

1 9 8 9

8 ) 原田 昇 :非集計行動 モデルによる多次元選択行動の分析,土木計画学研究 ・論文集 No . 4p p . 1 5

‑ 2 7 ,1 9 8 6 年 1 0 月

図 一 1 ( a ) の選択 ツリーは,各通勤者の利用手段が完全に分離固定 されていて,一方の手段

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