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真空蒸着法で成膜した Al 膜による AZO 膜の耐熱性向上 1200065

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Academic year: 2021

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高知工科大学システム工学群電子・光工学専攻 学士論文要旨 2020 年 2 月 13 日

真空蒸着法で成膜した Al 膜による AZO 膜の耐熱性向上

1200065 佐田

瑞穂 (機能性薄膜工学研究室)

(指導教員 牧野 久雄 教授)

1.研究背景・目的

現在、酸化インジウムスズ(ITO)が透明導電膜材料として広 く用いられている。しかし、金属インジウム(In)の資源問題や 毒性、製造コストから、高い導電性と透明性を持った酸化亜 鉛(ZnO)透明導電膜が、ITOの代替材料として使用されている。

Al添加ZnO(AZO)膜は太陽電池の透明電極として使用されて

いるが、高温下での熱処理で抵抗率が急激に上昇するため、

高温プロセスを含んだ太陽電池において優れた性能を得るた めに耐熱性を向上させることが必要となる。AZO膜(0.5wt%) に Al 膜をスパッタリング法を用いて薄く成膜すると耐熱性 に効果がある事がわかっている[1]。スパッタリング法ではプ ラズマによる効果も考えられる。また、AZO膜の耐熱性はAl の濃度に依存する[2]。そこで本研究では、Al膜の効果とプラ ズマの効果を分けること、高濃度AZO膜への効果の有無を明 らかにすることを目的として真空蒸着法で成膜した Al 膜に よるAZO膜の耐熱性を検討した。

2. 実験方法

ガラス基板上に RF マグネトロンスパッタリング法で膜厚 約250 nmのAZO膜を基板温度250℃で成膜した。ターゲッ トはZnO: Al2O3( 3 wt%)焼結体を用いた。AZO膜上に真空蒸着 法で膜厚約 10 nmのAl 膜を成膜し、窒素中において300、

400、500℃で1時間熱処理し、室温まで自然冷却させた。Al

膜成膜前後にプラズマ処理を行い、プラズマによる効果を検 討した。評価方法として、ホール効果測定と分光光度計によ る分光透過率・反射率測定を行った。

3.実験結果と考察

3.1 電気特性

ホール効果測定で得られた抵抗率を図1に示す。熱処理前

は室温25℃とした。熱処理温度500℃において、AZO膜は熱

処理後抵抗率が 67倍に増加したのに対し、Alを成膜したサ ンプル(Al/AZO)は抵抗率の増加が3倍に抑えられた。さらに プラズマ処理後Alを成膜したサンプル(plasma/AZO→Al)が最 も耐熱性が高く、400℃の熱処理で最も低い抵抗率を示した。

しかし 、Al 成膜後プ ラズマ処理し たサンプル(Al/AZO→

plasma)はAlを成膜しただけのサンプルとほぼ同じ値となり、

プラズマ処理のみ行ったサンプル(plasma/AZO)はAZO膜とほ ぼ同じ値となった。これらのことからAlによる耐熱性の効果 が確認できた。また、プラズマ処理そのものによる効果はな く、補助的な役割であることが分かった。

図1 抵抗率の熱処理温度依存性

3.2 光学特性

AZO膜にプラズマ処理後Al膜を成膜したサンプルを300、

400、500℃の窒素中で熱処理した透過率と熱処理していない AZO膜の透過率を図2に示す。熱処理前はAl膜の影響でAZO 膜に薄く色が付き可視光領域の透過率が、AZO膜より下がっ

た。300℃の熱処理で少し可視光領域の透過率が上がり、400、

500℃の高温下での熱処理で、透過率はAZO膜と同じ値まで

上昇し、見た目も透明になった。Al は酸化したと考えられ、

金属 Al の影響で電気特性が向上したわけではないことが確 認できた。長波長領域では熱処理温度 500℃の透過率が最も 高く、400℃が最も低くなった。

図2 透過率の熱処理温度依存性

3.3 電気特性と光学特性の関係

Drudeモデルより、キャリア密度が上がると長波長領域の

反射率が上がり透過率が下がるという関係になる。プラズマ 処理後Alを成膜したサンプルを400℃で熱処理すると、AZO 膜と比較してキャリア密度と移動度が上がり抵抗率が下がっ た。長波長領域の透過率は、熱処理温度 400℃で最も低く、

300℃、熱処理前、AZO膜、500℃の順で高くなる。この傾向

は、ホール効果測定で得られたキャリア密度の結果と一致し ており、熱処理によるAZO膜の電気特性向上を示している。

4.まとめ

本研究では、AZO膜上に真空蒸着法を用いて Alを成膜す ることでAZOの耐熱性を検討した。Al成膜前後にプラズマ 処理を行い窒素中で熱処理を行った結果、プラズマ処理自体 に効果はないが、プラズマ処理後Alを成膜することで最も高 い耐熱性が得られた。可視光領域の透過率は熱処理後高くな り透明になるため、金属Alの影響ではなくAZO膜の電気特 性が向上したことが確認できた。このことから、真空蒸着法 でAlを成膜しても耐熱性に効果があることが分かり、また、

高濃度AZO膜に対しても効果があることが確認できた。

参考文献

[1] Hoa T. Dao, “Improving electrical conductivity and its thermal stability of Al-doped ZnO polycrystalline films using ultrathin Al film as a passivation layer,” Sol. Energy Mater. Sol. Cells, vol.203, 110159, Dec. 2019.

[2] 難波幸佑, “ ZnO透明導電膜の耐熱性に対する薄膜配向性 の影響とドーパント依存性, ”高知工科大学システム工学群,平 成29年度.

0.0001 0.001 0.01 0.1

0 100 200 300 400 500

Resistivity(ohm-cm)

Heat treatment temperature(℃) AZO

Al/AZO→plasma plasma/AZO→Al Al/AZO plasma/AZO

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

200 660 1120 1580 2040 2500

Transmittance(%)

Wavelength(nm) AZO

500℃

400℃

300℃

熱処理前

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