• 検索結果がありません。

地域振興を目的とした未利用資源の有効利用に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "地域振興を目的とした未利用資源の有効利用に関する研究"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

地域振興を目的とした未利用資源の有効利用に関する研究

一竹資源の現状と利用状況一

藤原 敏*

Study on the Effective Utilization of Unused Resources

for the Purpose of Regional Development

一 Present State of the Bamboo Resources and the Situation of Utilization 一

Sateshi FUJrWARA*

Recently, the血terest of the nation on energy saVing problem and global enVironment may be getting higher. The construction of cycloid type production system is one of the important problems. This study carried out situation survey of the bamboo resources in oder to effective

utihzation the bamboo resources that there is unused condition, and it considers mading to develop into the region proposional research. in this paper describes general properties, habitat distribution,

situation and possibdity of utihzation of the bamboo resources.

1、まえがき

1997年12月に気候変動枠組み条約第三回締約会議(地

粛温暖化防止京都会議)が開催されて以来、わが国における 環境問題に対する関心は大きく高まった。

筆者は97年に文部省在外研究員としてドイツ国で5ヶ月間リ サイクル・環境問題について調査・研究を行ってきたが、リサ

イクルに関する研究は多額の費用を要し、高専での研究とし

ては不向きであると結論付け、98年より「逆転の発想」で未利

用資源の有効利用についての研究を開始している。

すなわち、エネルギー資源の枯渇化、環境問題の高まりとと

もに、社会生活を通じて排出される一般廃棄物の抑制が大き な課題となっている。このため資源を有効に活用し環境へ の負荷を軽減すると同時に生産性向上を目的として廃棄物

(Emissions)をゼロにするべく企業努力がなされているが、

まだ十分な成果を収めているとは言いがたい。

このような状況下では再生可能な自然資源について再評価 する必凄がある。自然資源の中でも成長力が極めて旺盛で、

材質面でも各種の優れた特性を有する「竹」は世界的に見て

も注目度の高い自然資源の一つに挙げられるであろう。

これまでの竹の利用としては工芸・民芸的なものへの利用 が大半であった。本研究は先人の知恵を生かしながら現代 の工学的手法を用い、地域に林立し未利用資源である竹の

有効利用を図ることを目的としたものである。

*機械工学科

平成11年8月31日受理

本報告では、98年秋に中米のコスタリカで開催された「世界

竹会議」に参加する機会を得たので、その報告をも含めなが ら竹資源の現状とその利用状況、さらには利用の可能性につ

いて述べる。

2.竹の生息地域

竹と笹の区分については種々な説があるが、一般には「た けのこ」が地上に現れ成長を終えると竹の皮が離脱するもの

を竹と呼び、成長後も長期間にわたり皮を保持しているものを

笹と呼んでおり、世界には約1500種類もの竹が生息してい

ると言われている。

世界の気候区分から竹の生息分布域1)を見ると、世界中で

竹林は約1600万haでその約80%が熱帯地域に生息して おり、さらに、その約90%はアジアの熱帯からモンスーン地

帯や温暖帯に生息していることが一般に知られている。

竹は生自域の最寒月の平均気温によって生育型を散桿型、

株立型、中間型に分けられ、わが国に多く生息するモウソウ チク、マダケは地下茎の芽子からの桿が成長するタイプであ り二品型と呼ばれている。 一方、平均気温20℃以上の熱 帯地方では短い地下茎がそのまま立ち上がって稗を成長す る株立型となる。写真1にコスタリカで撮影した株立型の竹 の様子を示す。この種の竹は挿し木感覚で増殖させること ができ、広大な土地で栽培され多方面で利用されている。

北米の一部には自生の竹が存在するが、ヨーロッパ、北米

の大部分は導入して栽培されているものである。

(2)

3.我が国、岡山県の竹資源の現状

我が国の森林資源の現況を面積的に見ると表1のようになる

2)

o

表1 我が国の森林資源の現況(単位:千ha)

区 分

総  数 森林面積 竹林面積

総  数 25,146 23,333

152 国有林

7,844 7,844

0 公有林

2,730 2,725 5

私有林

14,572 14,425

147

表からも理解できるように竹林面積は森林全面積に対して

約0.6%であり、しかも林野庁等により管理されるのではなく

その大部分は私有林になっており、マイナーな扱いになって

いることがよくわかる。

竹の生息地域について見ると、「般的には栽培北限は北海

道南部、天然分布で見ると海岸線と内陸部とでは若r二の差異 はあるものの、東北地方は秋田県辺りと言われている。

単材を産出する竹林(たけのこ用竹林は除く)は竹林面積の

約半分でその約6割が九州地方に存在している。

三大有用竹としては、モウソウチク、マダケ、ハチクが挙げら れるが、そのうちモウソウチク生産量のy立は鹿児島県であり、

マダケについては大分県が第一位で、共に全生産量の約4

割近くを占めている3)。

岡山県における森林資源の現況について見ると表2のよう

になる4)。

  表2岡山県の森林資源の現況(単位:ha)

森林面積

@(A)

竹林面積

@(B)

B/A

i%)

岡山県 481,897 4,890

1.01

津山振興局管内 82,650 1,096

1.33

津山市

9,591 334 3.48

真備町

1,869

80

4.28

奈義町

3,095

43 1.39

岡山県における竹林面積の占める割合は約1%で全国平 均より少し多い程度であるが、津山市のそれは平均以上であ ることがよくわかる。岡山県のたけのこの約90%を産出する 真備町は竹の町としてよく知られているが、竹林面積の占め

る割合が高く地域の特性を生かしている様子が表2からもうか

がえる。一方、地域興しを目的として若者たちが地域の竹林 を整備し、新しいたけのこの産地化を目指す奈義町について 見ると面積的にはそれほど広くは無い。しかし、たけのこの 時は生鮮食料品として扱われ、成長後は農業・漁業用をはじ めとした資材として扱われるユニークな自然資源に注目した

地域興しには大いに期待したい。

岡山県における特用林産物生産量の推移5)について調査し

たものを衷3に示す。材の単位は束で表され材種、材長、地 域によって竹宿入本数が若=F異なるが、轍腫量25㎏として

取り扱われている。

表3 岡山県における林産物の生産推移(抜粋)

      単位:たけのこ、木炭(tOn)、竹材(千束)

年 次

1970 1985 1990 1996 1997

たけのこ

1,508 1,796

903 249 383

竹 材

113 27 18

8 6 木 炭 1,207

207 340 34フ 409

 たけのこ生産は、1996年から97年にかけて約50%の増

加が見られるが、平成に入り急激に減少している。資材とし

ての踏継は1970年以降建築様式の変化から急激に減少し

ており、最近ではほとんど用いられていない状況にある。参 考のため記載した木炭について言えば、化石燃料にとって変

えられた燃料革命の時期以降その生産量も急激に減少して いる。最近ではグルメブームからか若干ながらその生産は

増加傾向にあることがよくわかる。

岡山県下での林産物生産額から見ても1970年当時と比較 して、最近ではたけのこで約20%の3800万円、竹材で約1 5%の750万円程度である。多くの竹林は山里近くに位置し

ているにも関わらず手の入らない放置状態にあると言っても

過言ではないと思われる。良質のたけのこ採取は3〜4年生

の灘南からで、それ以上のものは伐採し竹林に適当な日光を 入れる必要があると言われていることからして、管理が必要で

ある。5年生以上の竹の有効利用が大きな課題になるものと

思われる。

 4.竹の有用性について

我が国には笹を含めて約700種があるが、有用竹としては

次の3種が挙げられる。

  ①モウソウチク(孟宗竹)

  約300年前に琉球から鹿児島市磯公園へ移されたのが  始まりと言われており、現在でも竹林面積は鹿児島が最大  である。幹は太く気候条件にもよるが鹿児島には直径が  20cmにもなるものがある。

  たけのこは美味で生食、缶詰用として多用されている。

 竹皮は紫褐色の斑紋がでて、柔らかく毛が一面について  いる。カキ養殖用いかだ等に用いられている。

  ②マダケ(苦竹)

  目本古来の竹と言われており、竹林面積の約50%を占  める。幹は平滑で葉はやや大きく竹皮には斑があるが、毛  はない。写真2にマダケのたけのこの状況を示す。

  たけのこは少し苦味があるが。材質が良く工芸品をはじ

 め各種ijp工に適する。大分県が最大のマダケ製品生産  県で国内唯一の竹に関する公的研究機関である別府産業  工芸試験所がある。

  ③ハチク(淡竹)

  マダケに似たところがあるが、節間はやや短く径も比較

  的細く枝は密であり、節の下に可分が付着して:いる。

   寒さには強くたけのこは淡白でモウソウチのような苦味

  はない。写真3にハチクのたけのこの様子を示す。写   真2と比べればマダケとハチクの違いがよくわかる。

   通常、モウソウチクのたけのこが採取できる頃以外は竹

(3)

林に入ることはないが、竹皮が脱落していく時期を含め

竹の持つ自然の美しさには格別なものがある。

竹と木の一般的特性を比較したものを表4に示す

    表4 竹と木の比較

竹 木

地上にたけのこと 毎年肥大、成長する

して頭を出して約2ヶ ものが多い。

成長

月で成長を完了し、

ほとんどのものには

その後は伸びないし

地下茎がない。

太らない。

成木になるまで永年

年輪がない。 を要す。

地下茎による無性 伐採後は新植をする 繁殖。毎年たけのこ 必要があり、以後も下

繁殖と

が出て維持管理も容 刈り、枝打ちをはじめ

維持管 易。

として維持管理に多大

な労力を要す。

桿の表面は滑らか 桿の表面は樹皮に覆 で硬く、中空で節が

われ竹ほど硬くない。

形状

ある。 割裂、弾力性は竹より 割裂性に富み、弾 弱く、材料も採取位置 形質 力性強く、伸縮性が により収縮・変形が異

少ない。

なる。

竹は木に比べてその成長速度は極めて速く、条件がそろえ

ば一日に120cmも伸びると言われており、わずか2ヶ,月ほど

で成竹になる。約5mまで成長する際の成長速度を測定し た当研究室の結果によると、最大で一日に約70cm伸びるこ

とが明らかになった6)。

維持管理を含め竹林経営の有禾牲について考えると次のよ

うになると考えられる。

①②③④

伐採後に新植を必要としない。

成長が速く単極が短い。

定期連年収入が期待できる。

たけのこ、竹材以外の用途開発をすることにより 高度な利用法が考えられる。

欧米では庭園材料として用いられている。

しかし、現状は川岸、屋敷地周辺、山里に分散し所有規模も 小さいためか竹への認識が低く、邪魔者扱いされている。

今後は、生産技術・利用技術の普及と、竹材の流通・販売機

構を確立すべく竹林組合等の設立と同時に、利用法の研究を

含めた調査研究を進める必要があると考えている。

5.素材としての竹利用について

竹は古くから日本人の生活と深いかかわりを持っており、竹

の各種性質を利用して建築材、茶道具、家具、おもちゃ、楽 器などいろんな利用法が考案され、生活の中に自然に取り入 れられてきた。しかし、人件費の高騰さらには便利さを追求 するあまりに大量生産が可能な石油製品への転換が進み、

かご、ざる等をはじめとして竹製品は発展途上国からの輸入

に頼っている。

98年10月には台風の影響で吉井川が氾濫し、津由市を中 心に大きな被害を受けた。古くから竹は傾斜地土壌の崩壊防 止、河川土手の保護等水害防止林としての役割を果たしてき たが、河川敷にまで竹が繁殖し流れを阻止するようになって

いる所も見うけられる。地球環境を考えた場合、コンクリート

による護岸工事よりも自然の竹、杉による河川保護が水環境 に与える効果は大きいがそのためには適度な管理が必要で ある。竹の各種利用法について思いつくままに以下に述べ

る。

5.1庭園材料としての利用

竹が常緑であることから最近欧米では個人の庭園で竹が多

用される傾向にある。

我が国では、水俣市、鳥取県船岡町7)等に竹林公園があり

市民の目を楽しませているが、竹が日本人の生活とよくマッ チするためかホテル、旅館等の中庭に植えられているのをよ

く見かける。

写真4は岡山県二郷温泉の旅館「竹亭」内の露天風呂のも

のであるが、竹林をうまく利用している。

日本三大名園の一つである後楽園においても旭川沿いに

竹林を要し、園とのマッチングには素晴らしいものがある。

最近では各家庭でも観賞用の竹が庭に植えられるようにな

ってきているが、垣根に無味乾燥なコンクリートブnックを用

いるのではなく、竹を生垣に利用するとか垣根材として用い れば自然との調和には最適と思われる。

写真5に工夫して竹の皮を用いた例を示す。最近ではか ーデニングがブームとなり庭先が多くの植物で飾られている が、味気ないプラスチック容器もその外周を竹の皮で覆えば 雰囲気は良くなる。写真の場合、観賞用竹がさらに竹の皮と

マッチして玄関先の雰囲気を良くしていることがわかる。

5.2 生活用品としての利用

農業用品をはじめ古くから、我が国の気候・風土に合った竹

製品が台所用品をはじめとして生活用品として多く用いられ

てきた。

岡山県勝山町には昭和54年に国から伝統的工芸品として

指定された竹加工(細工)があり、生活用品として用いられて

きた竹製品は全国的に見ても有名である。

同町内には以前は50名を越える竹細工職人がいたが、高 度経済成長期を境に年と共に職人の高齢化が進み、後継者 不足とも関係して、その数はしだいに減少している。現在で は通産大臣認定資格である「伝統工芸士」所持者は3名だけ

という状況である。

写真6に伝統工芸士川元重男氏の作業場、作業状況を示

す。氏の話によると竹細工に用いられる竹は三年生以上の

マダケで11月頃に伐採したもの赫1」用しており、岡山、広島

県材が最適であるそうである。概して雪の多い地方のもの

は粘りが無く、九州・四国地方のものは柔らかく染色して利用 することが多いとのことであった。約一時間にわたって話を聞

かせていただいた。最近になり現在の生活様式を改める傾

(4)

向からか竹製品を求める人が多くなっているが、手作業のた

め生産が追いつかないとのことであった。

竹に関する全国大会へ毎年のように参加し研究する氏の話 から、最近では輸入製品が江艦しているが材料選定から技術 力の違いも含めて、目本で使用する竹製品は日本製でなけ

れば長持ちしないとか、使い捨てのプラスチック製品より天然 材料を使うことが自然であるという言葉が印象的であった。

伝統的竹細工製品は岡山市のシンポニービル内で販売され

ているとのことを付記しておく。

全国的に見ても各種職人の数が減少している中、日本独自 の竹細工技術継承には自治体の生涯教育の中に組み込む

等の工夫が必要と思われる。

5.3 民芸・工芸品としての利用

各地で竹を用いた民芸・工芸品が作られているが、先に述 べた岡山県真備町では約200haの竹林からたけのこを生産

するのみならず、町の生きがい推進事業として「竹工芸」に力 を入れている。

以前から、同町には「竹工芸同好会」があったが、町振興の ため竹を有効利用し高齢者の生きがい対策をと考えた町は、

昭和62年4月に町内まきび公園内に「竹工房」を設置した。

現在、同好会(会長:前田勝美氏)は8名の会員で構成され活 発な活動を続け、多くの感謝状、賞状を受けている。

活動状況の一一部を写真7に示すが、この工房の特徴として

は「糸鋸」を自由に操り、写真8に示すように竹の浮き彫りを

し文字や絵を切り浮かした作品の制作にあり、これらの製品

からは独特な雰囲気が感じらる。

他には民芸調の花器から昆虫の置物、竹とんぼをはじめと した竹製玩具や各種竹製品が展示・即売されている。

5.4 建築・家具材料としての利用

高温・多湿であり地震国でもある我が国では、古くから住宅

建設に際して屋根や壁の下地に組みわたす材料として竹を 用いる「木舞」工法がとられてきた。100年を超える建物の 壁部分に使われた竹は建築廃棄物として出される時にも十分

な強度を持っているし、屋根裏に使われた竹は「煤竹」として 物にもよるが高い価値をもっており、茶道道具として使われて

いる。

我が国における代表的な日本建築と庭園に桂離宮があげら れると思うが、新御殿の御手水の間、中書院の月見台には特 別にi選別された後に油抜き、乾燥した幅5から6cmの竹が用

いられている。

世界的には、中米のコUンビアには世界最大の竹の建築物 ともいえる高さ30m、長さ50mにも達する大型のクラブハウス がある8)。これには長さ9mの半年3000本が使われている

そうである。構造計算はコンピューターで簡単に計算できるこ

とからして、接合部の構造に工夫をこらせば我が国でも竹を 用いた本格的な建築物の建造も可能と思われる。

98年秋に訪れた中米のコスタリカでは国家プロジェクトとし

て竹財団を中心に竹のプランテーションと竹を用いた住宅供 給が進められており、現在では年間1500戸の住宅が供給さ

れている。それらの状況を写真9と住宅のミニチュアモデ ルを写真10に示す。

5.5 家具としての利用

大分馬ll府産業工芸試験所内に展示されている家具の一 例を写真11に示す。同所では職掌の高度利用について

研究が進められており、竹材利用について考えておられる向 きには一度訪問されることを勧めたい。

98年10月に第13回国民文化祭(主催:文化庁、大分県ほ か)が大分県で開催された。日本最大の竹工芸製品の生産県

だけあって、メインテ・一一一マに竹が選ばれ会場にはアジアから

の竹製品も展示されてい為ベトナムからの出展である竹製 椅子を写真12に示す。

コスタリカの竹財団も竹製の住宅だけでなく、家具の製造に

も力を入れている。熱帯性の竹であるためか我々日本人に

は家屋内で使用するには少しためらうような製品もあったが、

写真13に示すように色んな工夫がなされた家具が展示され

ていた。

5.6 楽器としての利用

竹を用いた楽器としては笛、竹琴、トラム、弦楽器をはじめ実 に多種多様なものがあり利用されている。

 先の真備町は竹の町として知られているが、子供から大人

まで世代を超えた多くの人達でアマチュアのバンブーオーケ

ストラを96年に結成し、99年7月25日には町内であの有名な

ニューヨーク・シンポニッタ・アンサンブルと共演した。

 優秀な竹を産出する我が国には世界的にも有名なバンブ

ーオーケストラがあり、コスタリカでの世界竹会議のイベントの 一つとして伝統ある国立劇場で演奏をした。大小さまざまな 楽器からかもしだされるダイナミックな音とか繊細な音色に満 員の聴衆は魅了され、何曲ものカーテンコールがされた。

 フランスへ移住した知次誠氏は93年にマルセイユ・バンブ

ーオーケストラを結成し、「音を創り出す喜び」を子供達に与 えるべく、フランス各地の小・中学校で創造的音楽活動をして

いる9)。

最近、各地で子供達を対象に竹細工教室が開催されているよ うであるが、竹を利用した楽器つくりは創造性豊かな教育さら には環境教育にも通じるものがあると思う。

6.竹利用に関する最近の話題

6.1竹炭・竹酢液

エネルギL一一一一革命以来ほとんど忘れられていた炭焼きが、数 年来のグルメブームとともに市民レベルで再開されている。

特にここ1,2年前より、地球環境、自然保護の観点から木に 比べ再生能力の高い竹を用いた炭焼きに対する関心が高ま

っており、新聞、TVでの報道をよく見かける。

竹炭・一睡液に関する参考資料10・ 11・ 12)によると竹炭・竹酢 液の製造には木炭のように熟練を要する技術は必要とせず、

ドラム缶等を用い比較的簡単に焼き上げることができるとされ

ている。これらについては上記参考書に記載されているの

(5)

でここでは省略するが、竹炭・竹酢液には各種効能があり利

用価値は大きいとされている。

これら資料より効能の一部を列挙すると以下のようになる。

 竹炭の用途

①水浄化作用、 竹は多孔性であり、竹炭1g当たり約2 00から300平方メートルもの内部表面積を有しており、木炭 に比べて優れた吸着能力を持っている。写真14にモウソ

ウチクを用いた竹炭横断面の電子顕微鏡観察結果13)を示す。

根から吸い上げた無機成分や水分を葉に運ぶ導管部と、葉 で作られた有機成分を桿や地下茎へもどす師管部からなる 維管束の状況がよくわかる。同時に、竹炭が細管の集合体 であることがわかる。木炭による水質浄化効果14)について

はすでに報告されているが、二二による詳細な報告例はない。

しかし、一部の自治体ではすでに河川、湖沼の汚濁した水質

の浄化に竹炭が利用されている。

この二尊の多孔性に注目して、室内の消臭・浄化さらには 冷蔵庫内の消臭にも用いられている。

②床下置畳材  林野庁総合森林研究所の木炭を用いた 模擬室内試験結果によれば、夏の多湿期に湿度が低下し、

冬の低湿期にはそれを補う効果が見られると報告されている。

竹野が優れた吸着能を有することから、最近では、建売住宅

の床下に竹炭を用いた調湿材が標準仕様で施用されたという ことをも聞いている。

③土壌改良材  農薬や化学肥料の使いすぎで、酸性化 したり、連作障害の出ている田畑では適量の灰を散布すると 中和され、微量成分の補給ができ地力を回復させるのに有

効であることは知られている。

高温で焼いた三炭はアルカリ性(pH8.5〜9,5)で酸性土

壌の中和剤としても有効であると言われているが、使用量、炭

化温度を含め不明な点が多くある。農業の場合、最低3年は

連続して調査する必要があると思われることから、今後は地域 と連帯して調査をすることが必要と思われる。

④電磁波遮蔽材 携帯電話、家電製品、OA機器など身 の回りの機器から発生する超低周波の電磁波が、人体に及

ぼす影響が心配されている。

京都大学木質科学研究所では木炭、遭難の粉体を特殊な 樹脂で固めた板を作製し、シールド効果について研究が行 われている。その結果、これまで金属のような導電体で機器 を覆って不要電磁波の放出や侵入を防ぐ以外に方法がなか ったが、木・竹炭を加工した材料で金属あるいはそれ以上の

性能が得られると報告されている15)。

⑤工芸材料  古くから竹を素材とした花器が用いられて

いたが、最近では自然の造形美を生かした観賞用の芸術品、

装飾品が竹を炭化する方法で製作し販売されている。

竹は樹木とは異なった形をもつ植物で観賞用には最適であ るが、炭化時の収縮率が大きく熟練した技術が必要とされて

いる。現在、当研究室でも新しいクラフトアートを楽しむべく、

素材条件、炭化条件を変えて実験中である。

意外な利用例としては、サントリー(株)が竹炭でろ過したウ

イスキー「膳」はこれまでのもとと異なり、繊細で微妙な日本料 理にマッチするとしてされている。

竹酢液の用途

竹炭をつくる過程に出る煙を冷却することにより得られる乾

留液を竹酢液{という。製炭時に得られる乾留液はタール分 を多く含む粗竹酢液と呼ばれるもので、タール分等不純物を

多く含むため蒸留・精製する必要がある。

我々の研究結果16)では、11月下旬に伐採した5年春以上と

思われるモウソウチク14㎏から約3㎏の炭と約4000ccの粗

竹酢液{が回収でき、蒸留後のpHは2.2〜2.7であった。

最近では二階よりも、多種成分の混合物である竹悪液の利

用についての関心が高いように思われる。

竹酢液の成分分析、利用効果等についての学術的な研究 例は非常に少なく、筆者の知る限りでは以下の二例と思われ

る。

①殺菌・消臭作用

液回収時の温度管理を徹底した竹酢液を蒸留・精製するこ

とにより、アンモニア臭の95%以上消臭することを明らかにし、

96年以来IR九州の大分駅のトイレで使用している。また、

大腸菌やサルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などに対して竹野1 を用いると、1〜3時間で菌が消失したと報告されている12)。

②成長促進

適度の濃度に薄めた竹酢液は、作物の発芽と成長を促進さ

せる一種のホルモン作用があるとされている。

徳島大学の高石教授らのキュウリの生育調査17)によると、50

0倍に希釈された竹酢液1を用いると成長促進効果があると報

告されている。

戦後まもない頃の研究、「竹乾留液ならびに竹タールの皮 膚疾患に対する治験」18)で皮膚炎、湿疹等80例に竹滑液を 使用したところ、濃度等にも関係するが消炎作用には効果が 大きいとされている。製造方法等不明な点があるが、竹酢液

は湿疹などに対して有効であると考えられている。

竹炭、竹酢液については市販の書物や販売時の説明文に 数多くの効能が書かれている。例えば、淘濃薬効果、土壌 殺菌効果、入浴効果等書き上げればきりがないほど多くある が、未だその多くが科学的に証明できていない状況であると

いっても過言ではないであろう。

竹炭と同様に竹酢液についても材料、伐採時期、窯の形式、

蒸留法等が異なれば、竹酢1も同一のものを製造することは

困難と思われる。

竹炭、竹酢液の効能について新聞、TVで報道されるように なっている。市民レベルで製造された竹炭、竹酢液{が販売 されているが、効能の誇大広告、粗悪品の流通なども耳にす るようになってきた。未利用資源である竹の利用法の拡大は 地域振興の面からも大いに期待できる。しかし、このために は竹炭・竹酢液の効能についての研究を利用者である市民と

共に推し進める必要がある。

現在、日本三炭・竹酢液協会を中心に規格化を検討中であ

(6)

るが、利用者も効能を正しく認識して使用する必要がある。

6.2 フローリング材としての竹

一般的な鋼管製造には板材を熱し、ローラーで順次円形に 加工した後に溶接する方法が用いられている。竹の場合は この逆で、まず縦方向に切開した後に適当な高圧水蒸気下 でU一ラー加工をすれば床材として利用できる。施工例とし ては高槻市にある天満宮の廊下、水俣市立中学校の体育館 がある19)。竹は表面が硬くしかも弾力性に富んだ材料であ ることをいかしたものである。竹を利用する際の最大の問題 点は虫害とカビの発生であり、この問題を解決できれば竹の

用途はさらに広がると思われる。

6.3竹繊維セメント板

竹の持つ強度、粘り、耐腐食性に注目して、竹の繊維とセメン トの混合物を成形したパネルが製造・販売されているeo)。こ

れは加工性、施−性に優れた轡オで、主として屋根の下地材 として利用されており、住宅の遮音板、その他の用途にも大

いに期待されている。

国内で出願されている竹関連特許を利用分野別にまとめる

と次のようになる2e}。

  燃料(竹炭)、抗菌・消臭製品、医薬品、食品・健康

  食品添加物、肥料・飼料、建材、パルプ

工業製品としては建材資源、パルプ資源であるが、国内に

は竹を用いるパルプ工場はない。燃料(竹炭)については、

全国の約400ヶ所で竹炭が焼かれるようになっているが、数 ヶ所を除き大幅な赤字に陥っていると聞いている。これには 木炭に比べて販路がまだ確立されていないことも一因と思わ

れる。

7.まとめ

地域に林立し、今ではすっかり未利用資源となっているい 竹の利用について98年より研究を開始しているが、本報では 竹資源の利用状況について紹介した。

これまでの竹資源の利用は工芸品としての色合いが強い中、

各地で地域振興を目的とした補助金事業が竹炭を中心に行 われてきたが、成功例は少ない。今後は先例から多くを学 び、産学官のみならず市民とも一体となり竹資源の高度利用 について、これまでの観念とは異なる発想で事業推進をはか

る必要があると考えている。

参考文献

1)内村悦三、「竹」への招待、p.21、研成社(1996)

2)農林統計協会編、図説林業白書(平成9年度版)

  林業の動向に関する年次報告参考付表、p.9 3)大分県別府産業工芸試験所資料

4)県農林水産部、岡山県森林資源(平成11年3月)

5)県農林水産部、岡山県特用林産物生産統計(平成11   年3月)

6)藤原他、未発表

7) htto://wuw. hal.ne..ipZfunaokLa/1,ik−un 一n/

8)中野、コロンビアの竹建築、Bamboo Voice,

  No.2p.19 v 24 1997

9)柴田、矢吹、バンブーオーケストラ、Bamboo

  Voice, No. l p.22A−27 1997

10)岸本、池嶋、竹炭・竹道幅{のつくり方と使い方、

  農文協(1999)

11)池嶋、竹炭は効く、致知出版社(1999)

12)植山、殺菌・消臭機能で用途が拡大する竹血液、

  Bamboo Voice, No,4p.10n−14 1998

13)藤原他、未発表

14)谷田貝他、木炭による水質浄化効果、木材学会誌

  p.42541巻4号1995

15)京都大学木質科学研究所編、木のひみつ、p.170   東京書籍(1997)

16)岩崎他、廃棄物を利用した高能率炭化炉の設計・製   作と2,3の実験、津:山高専卒研報告書(1998)

17)高石、竹資源活用フォーラム、第7回研究会講演資

  料(1999)

18)樋口、竹乾留液並びに竹タールの皮膚疾患に対する

  治験、治療30巻p.254(1948)

19)北川、循環型社会に向けての竹フロ・一リング材事   業、Bamboo「Voice, NO.2p,14〜181997 20)高野、竹繊維セメント板と竹資源総合利用への展開

  Bamboo Voice, No.2 p.7 v 13 1997

付録

当研究室で所蔵する竹、炭関連図書として

高間新論、

室井緯、

室井緯、

室井緯、

内村悦三、

池嶋庸元、

竹を語る、

竹を知る本、

竹の世界パート1、

竹の世界パート2、

竹への招待、

竹炭は効く、

世界文化社 地人書館 地人書館 地人書館 研成社 致知出版社 岸本定吉、池嶋庸元、硬炭・竹翻心のつくり方と

         使い方、    農文協

竹資源活用フォーラム編、Bamboo Voice 炭やきの会編、炭と木酢液、    家の光協会 岸本定吉、杉浦象虫、目隠炭やき師入門、

      総合科学出版

三枝敏郎、木酢液・炭と有機農業、   創官社

岸本定吉、木酢液の神秘、      DHC

杉浦銀冶、炭焼き:革命、      牧野出版 大槻彰他、木炭パワーのすべて、   青龍社 杉浦銀鼠、世界の炭焼き、日本の炭焼き、

      牧野出版

岸本定吉他、炭・木酢液の利用辞典、 創森社

他多数本を揃えている、利用していただきたい。

(7)

写真1株立ち型竹の一例

   (コスタリカ)

写真2マダケ 写真3ハチク

写真4竹と露:天風呂

(美作町睡郷竹亭)

写真5竹皮利用例

      ㍗田

圃 鴨沢        ㍉㍉註

  ヘ ヘ へ       じサせ

飛騰二、ヂ 職、一壷帳舞糠 写真6竹細工(勝山町)

写真7竹工芸同好会(真備町) 写真8工芸品例(真備町)

(8)

写真10竹を用いた住宅モデル

    (コスタリカ)

 写真9竹栽培例

(コスタリカ国家事業)

懇鱒1

i灘

 写真11竹製家具

(別府産業工芸試験所)

写真12竹製家具

 (ベトナム)

写真!3竹製家具

 (コスタリカ)

纏黎懸嚢

      O.lmm

      一

写真14三炭断面の電子顕微鏡写真

参照

関連したドキュメント

こうした状況を踏まえ、森林の有する多面的機能を維持・増進し、健全な森林を次世代に引き

農業の構造 農産物販売金額 農地分析 農業者分析 林業総収入 山林分析 林業者分析. 海面漁獲物等販売金額

Fig. 9  Temporal  variation  in  water  temperature,  pH,  and  volume  of  water  discharged  in  preliminary  and  follow-up  investigations 

 事例の舞台となる島根県隠岐郡海士町は、日本海の島根半島沖合約 60km に浮かぶ隠岐諸島 の中の一つである、面積 33.46…km 2 、周囲 89.1…km

(注 2 )  そのほか,全国町村会は地域運営組織が「地 域づくりに積極的なJAとの連携を進める」(全 国町村会( 2017 , 25

ループは生態系に応じて14区画に分けて森林を管理し,人工林の間伐を進め

吉野町を実際に訪れ森林セラピーを体験したことで、ほとんどの学生は吉野町への理解

木の二酸化炭素吸収量は約 1.6 kg/kg とされてお り 3) ,2880