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ペ イ トン会 計 学 の 基 本 問 題 画

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一57一

ペ イ トン会 計 学 の 基 本 問 題 画

貨 幣 価 値 変 動 の会 計,結 論

古 賀 実

貨 幣 価 値 変 動 の会 計 の基 本理 念

ペ イ トン博士 が ア メ リカ的 資本主 義経 済の信 奉者で あ ることは,博 士 の多 くの論文, 著書 の所 々に 明瞭 に示 され てい るが,資 本主義経 済は貨 幣価値 の変動 をそ の本質 的特徴

とす るもので あ り,損 益 と財産 との計算 にお いて貨 幣価値 の表 示を本質的 使命 とす る会 計 は,必 然的 に,貨 幣価 値の変動に ど う対 処す るか を,そ の基 本問 題 と して当面せ ざ る

を得 ない。 この問題 につい ての博士 の基本理 念は,経 済学上 の犠 牲 の概 念に依拠 し,時 間或 は空 間を異 に して同一の財貨 及至用役を取 得す るた めに 支払 われ る貨 幣価 額は異 っ

て も,取 得者 の受け る犠牲 の度合 は本質にお いて同 じで あ ることを考慮 しなけれ ば な ら ない とす る。 即ち,時 間空間 を異 にすれ ば,人 間や 企業 の蒙 る犠 牲の度合を貨 幣価額で 表示 すれば,異 るのが 当然で あ るとす るので あ る。

又,博 士は,会 計報 告に 関 し,名 目上 の真実 よ りも常 に実質上 の真実 を求め尊重 す る 思想 の持 主 な ることは,こ れ も,博 士 の論 文,著 書 の多 くの箇所 に散見 され るところで あ る。貨 幣価値 の変 動に対 し会計 を どの よ うに対応せ しめ るか の基本的背景 とな る思想 で もあ る訳 であ る。

貨 幣 価値 の下 落 に対 応 す る会 計

本 項 の 主 な る 資 料

(1)MeasuringProfitsunderInflationconditjons;Aseriousproblem forAccountan七s:theJournalofAccountancy,Januarỳ1950.

(2)Utili七yRatesmustrecognizeDollardepreciation;PublicUtilities Fortnightly,March12,1953.

(3)AssetAccoun七ing,PP,313‑332,345‑349,388‑445.

(4)Accountants'Handbook,thirdedi七ion,PP.815‑825.

1969年1月9日 受 領

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e表 示上 の原 価 と時価 との調和 法

過 去約30年 程 は,資 本主義経 済国家に おいては,貨 幣価 値は下落 の一途 を辿 ってい ることは 概ね世界的 現 象 と いえ るであ ろ う。 第 二次大 戦 勃発 以後 は 特 にそ うであ る。

米 国弗に して も,戦 前 と戦後 とで価値 が 著 しく異 な るので,博 士 は,戦 前戦後の弗 の 呼称 も,全 く同一 にす るの も いかがか と 思われ るとな し,第 二 次大 戦前 の ドルは ゾル (Zollar)と で も呼称 を変え ることに よって戦後の ドル との差 異を 明瞭 にす るのが よい と さえ述 べてい る。 この考え方 の根拠 となってい るのは,特 に資産 の価 額表 示年度 を明瞭 に しなけれ ぽ正 しい表 示には な らない とす る所 にあ る。 実際 問題 として,流 動資産 につ い ての表示 価額 の貨 幣価値 の年度 と固定資産 のそれ とが 同一 で ない ことが あ り,か くて は貸借対照表 の真実 性 も表 わ され ない ことに な り,出 資者 に対 す る配 当の面に も不 当な 処理をす ることに な り兼 ね ない とす るので あ る。 この博士 の見解 は,企 業 の財政 状態表 示上 の陰路 を衝 いてお り,流 動資産 と固定 資産 との価 額表示 に 当 っての免れ難 い,時 間 を異 にす るための,難 点 をあ らわに してい る。そ して この見 解は,流 動資産だけ の間, 固定資産 だけ の間の問題 に も,原 則上 当ては まる ものであ る。 この件 について博士 は次 の例を挙げ て説明す る。1940年 に平屋 の建物 を10万 弗で建て,1952年 に同 じ建築を 前 記平 屋に二階 と して 建て増 しを した所,20万 弗かか った場 合,支 払 った金額を加算 し て 建物価 額の原価 を30万 弗 と表示 しただけ では,当 該建物 の真の価額 を説明す る こと に はな らない。 即 ち,12年 間に貨幣価値が5割 方下落 した ことを 考慮 して二階 を建 て 増 した後には,建 物原 価 をそ の ときの 正 しい貨幣価 値で40万 弗 と表示す るのが現実 に は正 しい。 しか し 実際 の支払貨幣 は30万 弗 であ るか らこの こ とを考慮 して次の よ うに 表示 すべ きであ る とす る。

一 一階 価:1940年:$100

,00()J1952年 の 弗 価 値 に 換 算 … … …

二階 建増原価,1952年 度弗価値 1952年 度弗価値表示 実際原価

$200,000 200,000 ,$400,000

そ して も し.1940年 度 の 建 築 に 対 す る 支 払 金 額 を そ の ま ま表 示 し て,1952年 度 支 払 金 額 を 加 算 し て1952年 建 増 後 に 表 示 した け れ ば,1940年 度 支 払 の10万 弗 に つ い て そ の 支 払 年 度 を 明 示 し な い と,1952年 に お い て 現 実 に 合 わ な い 表 示 価 額 に な っ て し ま う と い う の で あ る 。 蓋 し,当 然 の理 で あ る 。

空 間 を 異 に す る こ と に よ る 貨 幣 価 値 の 相 異 に つ い て も,博 士 は 同 じ論 法 で 次 の 例 を 挙

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ペイ トソ会 計学 の基本 問題㈲(古 賀) 一59一

げ て説 明す る。米国 の会社 が 同国 内 シヵ ゴ市 の銀行 に1万 弗 とカナダの トロン トの銀行 に1万 弗をそ れぞれ預 金 している と した場合,も しカナダ弗が米 国弗 よ り2仙 方強 い と きには,そ の米国 の会社 はつ ぎの よ うに表示す べ きだ とす る。

トロン トにおけ る預 金 シ カ ゴ におけ る預 金

$10,000,@1.02 $10,200.製 10.OOO

$20,200.9璽

か くて,固 定 資産に ついて も,当 座 資産につ いて も,明 瞭に時価 の反映 す る ものは時 価 で表 示す べ きもの との態度 を示 してい る。 こ こには 博士 の明瞭 な時 価主義 を見 るこ と がで きる。

貨幣 価値変 動の時 期にお いては,原 始 記入価額 を毎年度,別 に評価 額の記入 を行 って 企業 内外 の関 係者 に,原 価主 義記入に よる現 実 の認識 を誤 らせ ない よ うにす る ことが肝 要 であ る。本来,原 価は単 に金額 を示す ことに意味が あ るのでは な く,そ れ を表示す る

ことに経 済上 の意味 があ る ことを考えねば な らない。原価 は,料 金 の決定 や投資収益 の 算定に際 しては,費 消 され た財 を貨 幣単位 で表示 され た るもの と解す べ きであ る。従 っ て,工 場 設備 に1940年 に 支出 され た200弗 は.単 に価額200弗 と記帳す るだけ で十全 な もの と考 え ては な らない。 この支 出額 を 真に よ く表示 す るに は1940年 の200弗 とい うよ うに表示 すべ きであ る。公共企業 では,貨 幣価 値下落 の時期 にお いて この こ とが行 われ ていないために,そ のす べての費 用 を回収す るに足 る料 金 を課 していない ものが あ るが,こ れ は企業 の財政 的破滅へ の道 を進ん でい るよ うな もので,誠 に愚か しい こ とで あ る と博士 は指摘 す る。1940年 に投 資 した1弗 を回収す るのに1952年 の1弗 を以 てす るのでは,投 資額 の1952年 の時価 の半分位 を回収 す るに 等 しい ことに な って了 うので ある。 この事柄 につ き博士 はそ の基本的考 え方 を次 の よ うに述 べる。現 在 の貨幣価 値に 基 く収 入か ら原始 記入額 を控除 す る金銭的 収益 に つい ての説 明は,会 計は安定 した価 値 を有す る貨幣単位 で営 まれ る財 務的取 引の成 果 を示す ことにあ る とす る仮 定に概ね立脚 してお り,こ の考 え方に従 うと,類 似 した状況 の下で の同種 財貨 の取得原 価 と取 替原価 とは一致す ることに な る訳 であ り,こ の概 念体系 を完全 な ものにす るには異 る貨幣価値 を換算 す る ことが必要 とな るであろ う。只 博士は,こ の論 理は議論 の余地 のあ る所 だ と し,自 らの意見 として唱導 は してい ないが,原 価主 義会計 を全 き ものにす るために は固 定資産勘定 には異 る 貨幣価値が 記 入 され てい るこ とを 考慮 しなけれ ば な らい としてい

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る。 ここに一 つの問題 として残 るのは貨 幣価値換 算 の過程 を統制的 又は他 の特殊 な 目的 のた めの補足的計算 と して取扱 うのか,或 は会計 処理方 式 の枠 の中に導入す るか の問題 であ る。 この問題 につい ては,換 算 の成果 を示す 資料が正 しくあ つめ られ,関 係 者に説 明で き る状態におかれ,且 つ結論が これ等資 料に基 いた もので整理 され てい る金額に基

くものであ る限 りは,借 方貸方 の処 理方式機構 に入れ る必 要は ない と述べ てい る。

惟 うに,問 題 の核心 は,会 計 は一・般に.安 定 した価 値 を有す る貨幣 単位 で営 まれ る財 務 的取 引の成 果 を示す ことを前提 とす る点 に る。 これ は確 かに一 面 の真理 を示 してい る が,少 くも自由経 済 の現 実的基 盤に立 脚 していない。博士が 屡 々述 べ る如 く,会 計 は経 済 的事 象であ るな らば,上 記 の よ うな会計 の一般的 前提 の存在 につ いて大 いに批判 され ねば な らない。

貨 幣価値変 動に対応す る二 つ の経理 方法

貨 幣価 値変動 の著 しい場合 に,こ れに対応す基 本的 な会 計処理 法 と して二 つの ものが 考 え得 られ る。 そ の一 つは 「折衷 法(ComPromiseapproach)」 とで も 称す る もので あ り,他 の 一 つは,企 業 の 「準 甦生(Quasi‑reorganization)」 乃至 「新 出発(Fresh start)」 とで も称すべ き ものであ る。 この二つ の方法 の概 要は次 の通 りであ る。

(1)折 衷 法。 この方法 は1920年 代 の末 頃に価 額増大 を 処理す る方法 と して発展 しか け た ものであ るが 十 分発展 せずに終 り,実 際 界に も殆 ど 採 用 されず に 終 った ものであ る。 この方 法 の要訣 はつ ぎの通 りであ る。 φう利 益剰余 金勘定 とは切 り離 され,且 つ固 定資産 勘定 の修正 に基 くものな ることを明か に した株主持 分 の修正 を行 うと共に修正 前 の価額 を 不明に しない方 法で 資産修正 を 特 別勘定 で 行 うこと。 α)全 面的評価替 の一・

環 としての償 却費 を計上す るこ と。(ウ)持 分修正 勘定に借記 す る と共に当期純 利益又 は 利益剰余 金勘定に貸記 す る ことに よって収益 勘定 の控除額 と該控 除額 の修 正貨幣価 値換 算額 との差 額 を算定す るこ と。更 に,増 価計上 の場合には,利 益 剰余 金 を年 度毎に 規制 す る措置 の と られ る ことが あ る。 この折 衷法 の方 式に よる損益 計算書 では,株 主 の利益 金が最 初に修正 金額 で明示 され,次 に これ を修正 前貨幣価 値で表示 され てか ら,固 定 資 産修正額が 記録 され るこ とに な る。か くの如 くして折衷法 に よれば,緊 要性 を持 った現 時 の価額 と法的に は よ り適正 な修正 前価額 との双 方 を保持 す るこ とが で きる。

折衷法 は,周 到 な記録 と明瞭性 とを具備す ることに よって,次 のよ うな長所があ げ ら れ る。 第一 には,確 固 とした経理 組織 の下で 情 況 の変 動 を 掴め る ことであ り,第 二 に は,営 業費 を時価 に近似 した貨 幣価値 であ らわす ことであ り,第 三 には,株 主持 分に つ

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ペイ トソ会計学 の基本 問題㈲(古 賀) 一61一

き修正 を受けな い 部分 の金額は,こ れ を株主持 分 の 本来 の もの と して 取 扱 うことであ り,第 四に は,利 益 剰余 金勘定 は 修正 前の 記録 のままに して お くこ とが で き る等であ る。そ して折衷法 には,一 般 に認め られ てい る会計上 の原 則に違反 す る点は見 当 らない と博士 は述 べてい る。

「新 出発 」処理法 。 貨幣価 格が大 幅 に変動 した ときに認容 され た会 計規則 に準拠 して企 業財産 の全面 的評価替 をすべ き ことについ ては学者 間に も反対論 はないが,実 際 の面 では この処理法 も余 り発展 を見 てい ない。新 出発処理 法に よれば,貨 幣価値 の変動 に㎡ ℃て金額 の修正が 行われ ることにな り,例 えば,株 主持 分 の修正 は,加 算 され る場 合は,持 分 の一種 の再資本化(recapitalization)と みなす ことが で きる ものであ り,広 い意味 でかか る持 分修正 額 は資 本金に組み入れ られ る もの と考 え る ことが で きる訳 で, 取 締役会 と株主総会 の正 式処置 に よ って表示 資本金 の一部 にな り得 る訳 であ る。 この方

法 の特徴 とな る点 は,固 定資産 の修正 金額 は収益 か ら控除 され るこ とに な るので,こ れ らに対応 す る株主持分修 正金額 は利益 剰余 金に算 入 され ない こ とで ある。 この故に,損 益 計算書 は,全 く明確 な表示 を され るこ とに な る。 しか し,修 正 の内容 を明かに し,そ

の成果に 就 ての脚注乃至 挿入 の説 明は少 くとも当初におい て これ をなす ことが望 ま しい のは勿論 であ る。

博士 は新 出発 の処理法 を支持 し,そ の根拠 と して次 のよ うに述 べ る。第一 に,会 計 の 本筋に叶 った処理 法で,関 係 者全部に対 し具 体的に 納得せ しめ 得 る ものがあ り,第 二 に,こ の処理 法に会計上 の諸原則 に違反 す る点 の見 られ な い ことであ り,第 三 に,慎 重 に して周到 な経理 方法 であ るこ と,第 四 に,原 価表示 に固執 してい ては会計本来 の 目的 を達せ られ ない こ とが 明かにな った ときに株主及び経営 者 の真正 の要請に答 え る方法 で あ るこ とであ る。

物価指数 の援 用

凡そ貨幣価 値変動 の会計 を論ず るに当 って貨幣価値 の変動 の度合 を測定す る物価 指数 の援 用に つい て触れ ない訳 には いか ない。会計学上 におい てこの物価指 数 の扱 い方 につ い ては,大 き く分け て,二 つ の方法が 挙げ られ る。そ の一 つは,価 々の企業 につい ての 取 替原価(replacementcost)又 は取替 価額に よるもので あ り,他 の一つは,経 済全 般 の物価水準 の変動並 びに このために起 る貨 幣単位 の価値 の変動 を反映 す る指数 の採 用で あ る。次に この二つ の方法 につい ての博士 の所 見 を述 べ る。第 一の方 法は,個 々の会 社 で,経 済環境 の変動に よって 著 しく現 実 と遊離 した 金額につ いて 修正 を加え るのであ る。 しか し,こ の方 法は,減 価償 却費に よって修正 を受 けた取 替原価 は,陳 腐化又 は半

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陳腐 化 した固定資産 の時価 を正 しく表 お さない ことを考え る と,解 法 として適当でない 面が あ る。別言すれば,固 定資産 の取 替原 価がそ の意義 を発揮 し得 るのは,そ れが 概ね 複製 ので きる ものであ り,且 つ 当該企 業 並 びに そ の競争企業が 現 に入手す る設備であ り,且 つそ の設備が 規格 を有 して最新式 の ものであ る場 合に 限 るのであ る。 このこ とを 考 え ると,同 一物件 の再取 得費 と考 えないで,能 力 と機 能 との再取 得だ とい う考え方に 切 り換 え るこ とに よって上 述 の如 ぎ取替原 価 の持 つ隆 路は打 開 され る可能性 があ る。

第 二の方 法は基 木的 に原 価主 義 と合致 してい る点で強 味 を持 ってい る。即 ち,こ の方 法 では,記 録 され た原価 を放棄 しない建前を採 りなが らも貨 幣価 値に大幅 の変動が ある 場合 には会 計上 の処理方 法に よ らないで記録原価 に修正 を加え るので あ る。 この方法 の 支持者 は多い。反対論 者は,指 数 の編成 に伴 う混 乱 を指摘 し,実 際 性に 乏 しい とな し, 全般的 に通 用で き る物価 指数は存在 し得 るものでな く,価 格 構成上 の全要素 に関 し,同 一 の地位 に複数 の企 業は厳 密 に云 ってあ り得 ない こ とを考 えれ ば,個 人や企 業 の数 だけ 物価指数 は存在 し得 るのだ との説 までなす者 もい るが,こ れ は極 端な議論 に属 す る とい うべ きだろ う。博士 は,上 述二法 に就 て,会 計が守 護す る ことにな ってい る種 々の利益 を考 えていずれ か といえば第一法 に賛成 した い と述 べ てい る。

思 うに,博 士 の時価評価 主義 の思想か らは,第 一 法の取 替原価 乃至取替価 額に基 くも のの方が 第二法 よ りも,よ り明確 な妥当性が見 られ るに違 いないであ ろ う。確かに,個 々の具体 的 な企業 を主体 とした会計 を思念す る ときには,博 士 のこの考 え方 が妥 当且 つ 現実的 であ る。

後 入先 出法 の不徹 底

貨 幣価値変 動の 著 しい時 期にお いては,利 益算定 の上 か ら,特 に 有形 資産 の価額管 理 の問題 が 擁頭す る。 後入 先出法 は,米 国 の 「国 内 収 益 法(theInternalRevenue

Code)」 に よ って,統 制面 ですべ ての 納税 者が これ を 採 用す る ことが 認 め られ てい る が,そ の適用対 象が 棚卸 資産に 限定 され てい るために,材 料,製 品,貯 蔵 品な どの取 引 を表示 す る損益 におい て,こ れ等 に関す る収益 に対 応す る費 用は,収 益 と殆 ど同 じ金額 が計上 され,そ の結果,殆 ど利益 を生 じていない よ うな損益 計算 書 の表示 を認 め られ る ことにな り,こ のおかげ で,こ れ 等 の棚卸 資産 を取 り扱 う商事会社や製造 会社 は,巨 大 な利益 を享受 してい るが,他 方,こ うい う棚卸 資産 の取 引 を しない公益企 業体 は,こ の 種 の甘い汁 を吸えない とい う不公平 な事態 を招来 してい る。固定資産 の中には,広 い意 味 で考え る と,上 記 の如 き棚卸 資産 と同様に棚卸 を して よい性質 を具 え ている ものが 相

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ペイ トン会計学 の基本問 題四(古 賀) 一63一

当にあ る。 この種 の固定資産 の価 額減耗 に対 しては,後 入先 出法 の理 念 を適用す るのが 公正 とい うべきであ る。一 例 を挙 げ てい うと,石炭は後入先 出法 の適用 を受け る ときに, 石炭 を燃 や して使用 され るボイ ラーに対 しては,石 炭 と同様に後入 先出法 の適 用 を認め るのが 当然 と思 われ るのに認め られ ていな いのは 不可解であ る。又,こ れに 関連性 を持 つ事柄 と して,家 屋 の買替に対す る免税 を租上に あげ るべ きで あ る。現 行(1953年)の 米 国税制 では,1万 弗の家屋 を買 ってか らそれ を1万5千 弗 で売却 し,こ の1万5千 で又 別 の家屋 を買い取 った場合 に,こ の差額5千 弗に対 し何等課 税がな いのであ るが,

この買替 の行われ る時間的経過 におい て この差額 分 の貨幣価値 減少が あ った場 合には じ め て妥 当性 を 認め得 られ る 筋 合 の ものであ る。 かか る次 第であ るか ら,企 業 の固定 資 産,個 人 の住宅 を含む すべ ての減価償 却可能 の資 産に対 し後入先 出法 を適用す べ きであ る。又,年 度毎 の周到な減価償 却 をす る ことが必 要で,こ れ に よって特定年度 に一括清 算す るこ とに伴 う不 合理 が避け られ るこ とに なる。

惟 うに,博 士 のい う如 く,後 入先出法 の適用 を棚卸資産 に限局す るのは,特 に貨幣価 値変動 の時期に おい ては,そ の片手 落が痛感 され る。後入先 出法は,本 来貨幣価 値変 動 に対 処す る方法 と してそ の主要 な る存 在価値 もあ る ことを考 え る とき,固 定資 産 の評価 に際 してこの適用 を拒 否す る ことは正 し くないであ ろ う。

公正 な利益 率 の算 定

貨幣価 値変動 の時期 にお いて,正 しい利益率 を算 定す ることは中心的 な重要 性 を持 つ 事柄 であ るが,固 定 資産 の利益 率に対 しては,特 に注意 を払 う必 要があ る。 固定資産 の 費用 につ いて記録原価 を一一々修正 して行 くことは必要 とは 思われ な いが,企 業の利益決 定 に関連 して必要 な る都度時価 に換算 す る ことは必 要な ことであ る。 しか し,人 為的に きめ られ た収益率 は,妥 当な もの と思われ る場 合で も,予 定利益 金 を算定す るに際 して 記録 され た原価 にそれ を適用す るのは妥 当でない。現時 の貨 幣価 値で表示 され た現 金そ の他の流動資産 を含 む企業 の全 財産に対 して適用 しなけれ ばな らない。 ここで注意す べ きは,そ の時 の経 済市況 に収益 率 を求め て,こ れ を全 く異 る性質 の貨幣 で表示 され た帳 簿価 額に適用 して よい もの と誤解 しては な らない こ とで あ る。ただ理論上 は,基 本収益 率 を記 入原 価に基 い て表示 し,収 益 率 を必要 に応 じ修正す ることに よ って貨幣価 値 の変 動そ の他 の経済発展 の計上がで きない ことはない。即ち,基 本収益 率 と適正 な収 益率 と の二つ の要素 を共に修 正す るか,又 は いずれか の一つ の要素 を必要程度修正 し,他 の一 つの要素 を据え 置 くか,こ のいずれ の方法 を と って も,同 一 の予定 金額 の算定 をす るこ

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とは可 能で あ る。惟 うに,こ の方法 論に ついては概 ね技術的 な性質 の もので,そ の優劣 を論 ず る価値は ないであ ろ う。

貨 幣価値変 動に よる評価替 をす る方法 と して,余 り実際 的ではないが,も 一つ の方法 が あ る。それは次 の如 き ものであ る。財政 金融市況 を周到 に調 査 した結 果企業の収益率 と して7パ ーセ ン トが妥 当であ るとの結論 に達 し,他 方 イ ソフ レのた めに企業がそ の事 業 財産 を取得 した ときに比 しJ貨 幣価値が25パ ーセ ソ ト即ち4分 の1に 下落 した とす る場 合,投 資成果 の計算 を最新 の貨幣価 値で表示 してなすために は,帳 簿上 の利益率 を 4倍 にす る ことが必 要 であ ろ う。数学的 には,事 業財 産の帳 簿価 額 を原 始記入 の ままに 据 えお いて も.利 益率 を4倍 すれ ば 同 じ結 果が得 られ るが,こ れは 支持 で ぎない。 なぜ な らば,妥 当な利益 率が概ね7パ ーセ ン ト前後 だ とい うことが一般 に認め られ てい ると して も.そ れ を4倍 して28パ ーセ ン トにす る ことは,よ しんばそれ が 利益率 の枠 を逸 脱 しな いため の技 術的 な方法 に過 ぎな い ことが は っき りして も,適 正 な方 法 とは認め 難 いか らで あ る。それ よ りもこの場 合に は,原 始 記入額 を時価 に換算 して後 にそ の ときの 経済 市況 と睨み 合せ て7パ ーセ ン トを乗ず る方 が遙 か に賢 明な処理 であ ろ う。上述 の よ うに公正 な収益率 の算定 とい う難 しい問 題につ いて博士 は次 の よ うに結 論 づけ てい る。

帳 簿価額に対す る貨幣価値 変動 の影響 を当初に きめ ないで古い貨幣価 値で表示 され た基 本額に収益率 を適 用す る ときに,公 正健 全な成 果 を得 るために収益 率 を どのよ うに変 え るかに ついて決定 的な断案 を下す訳 に はいかない とな し,妥 当な収益 の流れ を正 し く算 定す るためには,貨 幣価値 の変動 と収益 率 との双方 をそ の ときの状況 に照 らして これ を 十分に検討 す るこ とが必要 で,一 定 の数字 に きめ て しまって修正 を排除 し,一 方他 の要 素はそ の ときの状況に 即応 して修正 を認 め るが如 きは,徒 らに混乱 を招 き,判 断 を誤 ら せ る虞が あ ると述べ てい る。惟 うに,平 凡 とい えば いえ るか も知れ ない注意で あ るが, そ れだけ にやや もす る と等閉視 され 勝 な,し か も基本的 に肝要な注意事項 であ る。

貨幣価値 上昇 時の会計 問題

本 項 の 主 な る 資 料

AccountingProblemsoftheDepression,theAccountingReview, December,1932.

Accountants'Handbook,thirdedition,pp.714‑749,pp.1047‑1409.

事 業 の不況が 長 く続 いて,そ れ に伴 う金融 逼迫 の状況 にな る と,評 価,収 益,剰 余金

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ペ イ トン会計学 の基本問題㈲(古 賀) 一65一

の測定 の問題が生起 して くる。 これ 等問題 の表見 乃至内包す る所 は極 めて複雑で会計上 大 いに技 術的工夫 の要請 せ られ る所 であ る。評価 の問題 の基本 的な事 柄は 本論 文←う(本 誌19巻1号)に 述べた ので本 号では収益 と剰 余金 の測定 につ いて論 ず るに とどめ る。

(→ 営 業費 と営 業外費 用につい て

営 業費 と営 業外 費用 の定義に関す るペ イ トン博士 の所 説 につい ては本論文⇔(本 誌19 巻3号)に 述べた る所 であ るか ら再論 を避け る。ただ博士 は後 述す る如 く,貨 幣価値上

昇時 の会計政策 として営 業費を営業外費 用に対 し優先 的取扱 いをすべ しとす る所 論 の前 提 として必要 な る範 囲に おい て両者 の識 別 を論ず るので,こ の点につい て述べ る必要が あ る。営業費 に属す るか営 業外費用 に属 す るか を決定 す る基準 と して次 の項 目を挙げ て い る。

(1)通 常 の方 法で実際 に受け且つ使 用 され る用役 をあ らわす 費用であ るか ど うか 。 (2)経 常的 に生ず る項 目をあ らわす費 用であ るか ど うか。

(3)企 業経営 者 の管 理可能 の費用 であ るか ど うか 。

(4)経 済的技 術的観点か らは有効 な用 役 をあ らわ さな くとも,現 に存 在す る法律的社 会的 観点か ら必要 な る費用 であ るか どうか 。(こ の(4)の 基準は租税,会 社設立 費,免 許

料,赤 十 字社 への寄附等 を処理 す る場 合 等に適用 され る。)

しか し,こ の基準 の識別 をい ざ実際 に 完壁 になす ことは頗 る困難 であ る。 これ は,工 場 労務費 を例 に挙 げ て考 えて もす ぐわか るこ とで あ る。工場労 務費は一般 に営 業費 と考

え られ てい るが,工 場 の種 々の非能率,労 務者 の怠業 を考慮 しな くと も,理 想 の営業技 術 の観点か らみ た場 合には一 日と して労 務上 の徒費 のない工場 はない とい って よい。そ れ に も拘 らず,こ うい う徒費 され る労務費 の項 目を労 務費か ら締 め出そ うとす る試 み は 殆 どな され ないのであ る。工場 内で労務 者が 精励 してい るか ど うか,又 そ の働 きに応ず る収益 が生み 出 され てい るか ど うかに つい て細密に労働 者 を監視す るこ とはな され てい な い。ただ生産が 妥当な基準以下 に落 ちる とか,労 務 の内容が質的量的 に不 当に悪 化 し てい るとか設備 の維持 費が不 注意 な取 扱 いのために 嵩み 過 ぎてい るとい った ときに,生

じた 関係費用 の一部 を営 業費か ら分難す る ことがは じめて考 慮 の対 象にな る とい った程 度で あ る。又営業費 と営 業外費用 とを区別す る ことの困難性 の説 明 と して,製 造会 社が そ の所 有す る有価証券 を売却換 金 した場合 の損失 を考 察す る。邑一寸考 え ると,営 業外 費 用に 思われ るが,製 造会 社がそ の資金 の金額 を銀行に預 金す る ことを しな いで,年 々規 則的 に多額 の市場性 あ る有価証券 を保 有す る場 合には,こ の投 資活 動の費用は営 業上 の

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費 用 と考え るべ きであ る。なぜ な らば,企 業がそ の営業 を完 全に遂行 して行 くため には 多額の現 金 の予備 を必 要 とす る訳 であ り,当 面必 要 な金額 以上 を銀行 預金に してお くよ りも当面必 要 な限度 以上 の資 金は これ を更 に有利 な有価証 券へ の投資 に 向け る方が経済 の道 に叶 っている と経 営者が考 え るのは 当然 の ことで あ るか らであ る。経営 者が長期的 観点か らの経営 の基本 的方策は競争 に堪え抜 くため の必要手段 を講ず ることであ り,こ のた めには巨額 の予備 資金 を保有 す る ことが必要 であ ることを近年 の経済状 況は証 明 し てい る。以 前には緊要性 を持 た ない現 金 を多額 の資金に縛 りつけ てお くことは論難 され たが,最 早 こ うい うことは過去 の話 で,現 今では逆 に賞揚 され る時代 にな ってい るので あ る。

営 業費に属 す るか らとい って,こ れ をすべ て一律に剰余金勘定 に直接借 、氾す る処理 法 は,会 計学的 に見 て,余 りに粗雑 で賛成 で きない と している。問題 は企業全体 の立 場 に 立 つか 企業 の部 門別 の立場 に立 つか であ る。例えば,自 己株 式(treasurystock)は,

会社 の経 理部所管 の資産 と考 え る こともで きれば会社 全体 の資産 とみ る こともで きる。

又,追 徴 に よ って得 た市 の一般資 金は,市 全 体の資産 と しな いで,市 の一般資 金 と し, 貸借対照表上 の資 産 とす る こともで きる。又,遊 休工場 の減価 償却 は,工 場 自体 の活 動 の関す る限 り,営 業外 費用 とな し得 るが,又 これ を当該工場 を所 有す る会社 の収益 に対 す る費用 とす る こともで きるのであ る。かか るが故に,損 益 の報告書 につい て考 えなけ れ ぽ な らない こ とは,比 較 的狭 い技 術的部門的 な営 業費 と当期の損費 の実態 を持 っても

当期に賦課 し得な い損失 との区別 を明示 す る ことであ る。

営業費 と営 業外費 用 とを区別す る他 の方法 と して,剰 余 金計算 書 と合 併 した損益計算 書 に一 切 の剰 余金勘定借記事 項 を記入 す る ことであ る。 この方 法は,剰 余 金勘定 を当期 損益 計算 と相並 んで 同時的 に処理す る便宜 もある。 しか し当期 に入 ってか ら発見 され た もので も,過 去 の営 業 に附随 した る費用 であれば,当 期 の費用 に入れ る訳 にはいかず, 剰余 金か ら控除 す る外は ない。陳腐 化 した固定資産 につ いて も同様な ことが いえ る。

惟 うに,営 業費 と営業外費 用 とを客 観的 に厳密 に区別す ることは殆 ど不 可能 に近 い と す る博 士 の見解 は,上 述 した る所 に よ り,又 本論文⇔(本 誌前 号所 載)に 述 べた る所 に よ り明 瞭 で あ るが,こ の問 題 を博 士 が 繰 返 し姐 上 に あ げ て い るの は,特 に 収 益 の 減 少 す る景気 下降期 に真に必 要 な費 用 と然 らざ る費 用 とに区分 して,前 者 を一応営業 費 とみ な し,利 益 の減少 を,能 う限 りにおい て規制 しよ うとの理 念に発す るもので あろ うと思わ れ る。

営業 費 の優先的取 扱 いについ て

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ペ イ トソ会計学 の基本問題 ㈲(古 賀) 一67一

減価,減 耗 等 を勘定面 に計上 でき るのは,利 益 を出 している ときに限 るべ きであ り, 又利益 を割 らない範 囲内に限 るべ きで あ るとの説 に対 してはペ ィ トン博士は一貫 して反 対 を表 明 してい る。実際 におい て減価償却 をす る ことに よ って企業 財政 を赤字 に陥れ る 場 合は減価償却 をす るのは妥 当でな く,又 そ れは不可能 であ る との見解 を抱 く人 々は多 い。 この考え方 は,現 実 を無視 して徒に表見 を飾 ろ うとす る考え方 で,会 計 上危険 な考 え方 とい うべ きで あ る。 この考 え方 はそ の前提 として,企 業 はそ の支出 した種 々の費 用 の中でそ れ を回収す る手順 をきめ るこ とがで き,販 売に よる入金 の使途 の順序は,先 づ 材 料費 と労務費 との直接 費に 当て られ,そ の残余が 出た場 合に初め て固定 資産や間接費 の如 き費 用の回収 に当て られ るもの と してい る。又 この前提 は,経 済学 の価格形成 の理 論に照 ら して も正 しい とはいえな い。一 般論 と して 源 価 は価格形成 の要素で はあ るが, 真 に決定的 な要 素 とな るのは,生 産者 全部 の場 合 よ りも寧 ろ若 干の特定 の生産者に取 っ

てこそ切実 な ものな ので あ る。又,投 下 費用 の一部 しか回収 で きな くて も生 産 を継 続せ ざ るを得 ない生 産者 もお り,不 況時 にお いては,減 価償却 費 を含む一切 の費用が原 始記 入額 に よ らず時価 で計 上 され る ことに なって も生産 を中止す る訳に はいかな い企業 も出 て来 るのであ る。 しか しこの理 由で,特 定 の生産費は 他の費用に対 し市 場 の影響 で優先 的に扱 われ ている とか,市 場 の影響 で 費用に順位が 附 されつつ あ る と考 え ては な らな い。 この問題 につい ては,各 販売 につ き,こ れ に対応 す る生 産費 の各部 門 の回収は,こ れ を各部門費 の平均値 を出 してきめ るのが正 しい解 決法 であ る。即ち,材 料 費 と労務費

との直接費が販 売額1弗 につ き85仙 で,減 価償 却費 を含む 間接費 が販 売額1弗 につ き 40仙 で,結 局販 売額1弗 当 り1弗25仙 の費用 とな る場 合に ついて考 え る と,当 該企業 の費 用回収率 は,総 費用,各 部 門費用一 率にそれぞれ80パ ーセ ン トと 考 え るのが 正 し い ことにな る。 この事柄 につ き博士は,減 価償 却及び 同種 の費用 は収 益総額 と睨み合せ て計上 す るか しないか をきめ る便宜 的 な項 目であ る とす る不健 全極 まる考え方に対 して は断乎 と して これ を排 撃す る立場 を聞 明す べ きだ と し,減 価償却 費等 に妥当な 引当金 を 設定す る前に,収 益 額 の表示 され る営業報告書 に対 して批判 的検 討 を加え るべ きだ と主 張す る。 ハ ッ トフ ィール ド(Ha七field)教 授 の名言 と してあげ られ るこ とだが,ボ イ ラ ーの損費 は,そ の中 で燃や され る石 炭 と同 じ く営 業費 であ るか ら,こ のボ イ ラーにかか った適正 な損費 を当期費 用に計上 しない こ とはそ のボ イ ラーで燃 や され た石炭 の費用 を 計上 しないの と同 じ く重大 な誤謬で あ る。尤 も,償 却総額が 明瞭 であ って,特 定年 度 に 対 す る賦課額 は見 積 りの域 を脱 す る ことはで きない。 しか しこの見 積 りをす る基礎 事項

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は,一 切 の資 料を周 到に検討 して仕上げ るべ きもので あ ることは勿論 で,不 完全な表示 に な らない様に とい う程度 の消極 的な態度 で検討 しては な らない と力説す る。

学者 の中には生 産費理 論に従 って,景 気後退時 には減価償 却費 を少 くす べ きだ と考 え てい る人 もい るが,全 般的不況時 におい て も,減 価 償却費 の大 々的縮減 をす るこ とは, 生産費理論 の正 しい適用に な らないであ ろ う。機 械 の償却 につい ていえば,推 定耐 用年 数に応 じて推定 生産費 を算 定 し,こ れ を問題 の年 度に ついて生産費 の名 称 を用 いて毎月 又は もっ と長 い期間 毎に配賦す る ことは全 く合理 的で あ り,こ の方法 に従 えば,季 節的 な景気変 動な どの小変 動に対 し,生 産量に応 じて減価償却 費 を修正す るこ とが可能 にな る。 これだけ で も,長 期 間 の完全遊 休乃至は 標準 を割 った操 業中 の減価償 却 の停 止乃至 著 しい減少 と比較 すれば大 変 な違 いにな る。 これ に関連 して銘 記す べ き事 は,減 価償 却 を促す理 由にな る機能的原 因は不況 にな って も減 少 しない とい うことで,こ れは立 証で き る事 象で あ る。

上 述 の博士 の理 論は,収 益 の安定 を計 る上 か ら発生 した費 用の計上 に操 作 を加 え るべ き ことを主張す る議論に反 論を加え る ものであ る。 この反 論の基 礎理念 は,惟 うに,会 計 の もつ公 共1生を重視 し,こ れ が企業 の収 益 の安定 の 目的 のため の操 作に よってそ こな われ てはな らない と し,真 実 の報 告 を避 止す べきでな く,真 実性 の原則 をここで も力強

く主 張 している ものであ る。

収 益 の平準 化に つい て

高収益 の年度 に低収益 の年 度に対す る会 計措置 を講ず る ことは,平 凡な考え方で はあ るが,や は り十分 に考慮す べ き案件 た るを失わ ない。 これ は,前 節で述 べた減価償却 に 関す る生産費理論 を少 しひね った ところのあ る考 え方であ って,下 記 の如 き特徴 を持 っ てい る。第一に,純 利益 の表示 に 関 して,好 景気 の頂点 と不景気 の どん底 とに修正 乃至 削除 を加え,営 業成 績 の平準 化 を もた らす如 き会計上 及び統計上 の慣行 を造成 すべ き も の とす るこ とで あ る。 第二 に,最 上 の会 計は景 気 の波 を 顧慮せ ず最高度 の 収益 の安定 を表示 で きる ことに あ るとす る ことであ る。 第 三に,安 定 した 収益表示 に よって収益 も向上 し,安 定 した配当 も 可能 にな る 素因 を造 るこ とに な ることであ る。 第四に,収 益 を算定 す る 期間 と して 一年 内外 の短 い期間に 会計操 作 を加え,そ れ以上 の長い期間

につ いては 考 慮 しな い とす るこ とで あ る。 第五 に,例 えば,棚 卸 資産に つい ての基準 棚卸 法(thebuses七 〇ckmethodofpricinginventory)の 如 き複雑 な統 計方法 を も つあ らゆ る 統 計方法 を 援 用せ ん とす るもので あ る ことで あ る。 このよ うな特徴 を述 べ

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ペイ トン会 計学 の基本問 題四(古 賀) 一69一

る となかなかに立派 な理 論 の よ うに思われ るが,そ の本質 を衝 いて考 察 してみ ると,事 実は,極 め て不安定 な状況に おかれ ている企業 に対 し適 用 され る この議 論 の組 み立 ては 極 め て不確定 な要 素 を含ん でい ると して博士は次 の如 く辛辣に批判 して いる。総体 的に 云 って,こ じつけ の理 論であ って,目 先 の対策 に と らわれ た議論で あ る。具体的 にいえ ば,企 業経営 者は 自由に繰延 費用 を設定で き る し,減 価償却 額 を減少 乃至計上せず,経 済 的意義 を喪失 した資 産 を廃棄せず,計 上 され た損失 を,剰 余金勘定 叉は当該 目的 のた

めに設定 され た特 別剰 余金勘定に直接 借記す る場 合には,そ の真 の 目的 とな る所 は,概 ね,当 期収益計算 を不況 の打 撃か ら隠 蔽す る ことであ り,そ の結 果は人 を誤断 させ る損 益計算 に なる ことは殆 ど間違 ない。

安 定 した 収益 力が収益 と 安定 した配 当を 増進 させ易 い ことは 間違 のない こ とで あ る が,大 きな景気 変動 の与えた成果 を修正 した決算報 告 をす るのは,ど う考え て も正 しい ことでは ない。継 続企業が年 次報告書 を作成す るに当 って多少の技術的操 作 を加え るこ との必要性 は当然 の ことと認め られ るけれ ども,報 告書 は最 後 の到達 点であ るか ら,こ れは 当該年度 の状況が 企業 に与えた影 響の 態 様 を能 う限 り正確 に反映 すべ き ものであ

る。不景 気 の谷間 を埋 め,好 景 気 の頂 点 を削 る統計 操作 をす る収益 の平準 化 を主張す る 人 々は,須 くそ の論理 を徹底 させ,年 次 の報告書 を出す ことな く、五年乃至十年 の平均 に基 く報 告書 を出す べ きであ る。 或 は,更 に長 い期間 を採 り,「航 海事業 の収 益 の完 壁 な る会計 は,帰 港 地が決定 され,船 主が 清算 を して収益 を分 配 し終 る迄 はあ り得 ない。」

と述 べた ブ ラソデ ィス判事(JusticeBrandeis)の 言に従 って企業がそ の最終 的結 論に 到達す る迄営業上 及び収益 勘定に一 切 の修正 を加えな い よ うにす べきであ る。

好景 気 の年 と不景 気 の年 との関係 の問 題は,従 来 兎 角不景気 に襲われ てい る企業 の立 場 か ら考 察 され,こ の立 場にあ る企業 は実状 よ りも好況 にあ るが如 き方 法で決算報 告書 の修 正 を試み,こ のや り方 を弁護す る論拠 として好 況だ った前年 度に秘密 積立 金を既 に 作 り,又 将来予想 され る長期 の好 景 気 の諸年度 に超保守主 義的会計方 法 を再び採 るっ も りだ とす るのであ る。 ここにお いて我 々は好景気 の頂 点にあ る企業 の立 場に立 っての考 察 を試 み たい。一 体,好 景 気 の頂点 にあ る企業は,将 来 の不況 に備 える安全主義経理 計 画の一環 と して虚偽 の報 告書一歩手 前位 の所 で,利 益 処分 に際 し種 々の手段 を講 じて利 益 を過小表示す べき ものか ど うか の問題 を提 起 したい 。 この問題 の答 は,一 般的 にい っ て,否 定 的で なければ な らない。そ の理 由は,特 定年度 の財政報 告書 の表 示 の完 全性 を 保持す ることの重要性 は好況 の年 と不況 の年 とに差 違 のあ るべ き ものではな いか らであ

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る。真 実の会計が常 に肝要で,好 況 の年 におい て も,減 価 償却費 を故 らに過剰計上 した りす ることが あっ てはな らず,手 堅 い配 当方 針 を堅持 し,負 債 の返済 に努 力 し,企 業 全 体 の改善 に 力を尽す べ きで,年 度 の営業成 績 を明示せ る隠蔽す る所 な き決算報 告書 を作 成す べ きであ る。

惟 うに,収 益平準 化論に つい て も真実性 の原則 を堅持 す る博士 の一 貫 した論 旨が述 べ られ てい るが,会 計 の根本問 題に触れ てい る所が あ る。それは ブラ ソデ ィス判事 の言 を も引用 し,会 計上 の記録 は,そ の最終到達点 であ る営業 報告書が 作成 され る迄 は,修 正 を考 えずに進 め られ るべきだ とす る点 であ る。平凡 な警 告 の様 に聞え るが,響 く所 の大 き く広 い,千 斤 の重 味 のあ る警告 とい うべ きであ ろ う。西洋 の格 言で の晴 天 の 日に雨天 の 日の備え をす る とい う会計理念 に通ず る考 え方 も,人 為的操 作のために却 って悪い結 果 を もた らす よ うではいけな い とす る考え方 であ る。

剰余 金 と配 当 との関係

株式会社 がそ の剰 余分 の処 分 と して配当金 を決定す る場 合に は法 規に合致す るのが基 本的要 件であ るか ら,見 出 し項 目の問題は,こ の面か らの検 討が基本的 要請事 とな る。

この線 に沿 った博士 の この問題 につ いての見 解 を述 べ ると,概 ね 次 の通 りであ る。剰余 金(Surplus)はJ広 義におい ては,株 式会 社 の株主持 分 の簿価 総額(thetotalbook valueoftheequityofthestockholders)が 法定 資本金(legalcapita1)を 超過す る 金額 を指 称す る もので,負 債 と株式資本 金に対す る資産 の超過分 を形而上 的に示す もの であ って,近 い将来 に配 当に当 て られ得 る現 金,流 通 有価証 券そ の他 の高度 の流通性 を 持 つ金額等を具体 的に指 称す るものでは決 してな い。そ して配 当金は剰余 金処分に よっ て計上 され るが,現 金で支給 され る ものであ る。 ここにお いて,剰 余 金は法制的見地 か らの規制要 素 とな り,現 金乃 至運 転資 本は株主へ の配当金支払 の見 地か らの規制要素 と な る。従 って,運 転 資本 を維持 す るため帳 簿上剰余 金の余裕 のあ る場 合で も,配 当金 を 削減乃至 停止せ ざ るを得 なか った会社 の例 も多 い。 このこ とは 言い換 え とと,好 況年度 に配 当金支払 を抑制 し剰 余金 の蓄 積 を して も,そ の金 額乃至は大部分 を不況 の年 に配 当 金 として 支出す る ことはで きない場 合が 多 い ことが 立 証 され た ことで あ る。 肝要 な事 は,剰 余 金 処 分 に 当 っ ては,配 当 前 剰 余 金残 高 が 近 い将 来 本 当 に 配 当 で き得 る 金 額 に な

ってい ることであ る。

上 記 の場 合 と逆に,現 金面 では株主配 当 をす る余裕が あ るが,剰 余 金面 で法制上 の規 制 のた め処分 の余裕が ない企業 の例 も多 い。 この よ うな事 は,企 業が減価 償却費 を削減 した り,こ の種 の利益控 除上 の操 作 をす る結 果 と して当期純 利益 を超過す る資金 の蓄積

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ペ イ トン会計学 の基 本問題㊨(古 賀) 一71一

を したた めに不要 とな って了 った増価 及び取 替 のため の引当金 の設定 に よって生 ず るこ とが あ る。 この よ うな場合に は,不 要 にな った この種 引当金 を体系的 方式で未処分利益 剰余 金に引 き戻 して も不合理 な ことは ない。又,本 来,配 当前利益 金の投資範 囲をあ ら わす 剰余金処分 額は,処 分 の撤 回が不 可能 にな った と解すべ き ものでな く,遊 休施 設の 減価償 却引当金 の金額 な どは未 処分 利益剰余 金に戻 さるべ き ものであ る。会 計処理手 続 の方 式につ いては,配 当金は,そ のた め積立 金勘定に 直接借 記 され てはな らず,先 ず未 処分利益剰 余金に戻 し入れ,改 め て検 討 を受け,然 る後 に未 処分利 益剰 余金か らの配当 金支払 額 をきめ る ことにな り,即 ち配 当金処分 とな るのであ る。 これ に附随 して配 当金 支払 の財源に ついては決算報告書 に詳細に記載 され なければ な らな い。

好景気 の年度 に利益剰 余金か ら配 当金支 出が で きるな らば,不 景 気 の年度 に配 当金支 出をす るに十分 な現金が あ る場 合に も,配 当金 を抑 え て利益剰余 金 の増 加を計 る ことは 合法的措置 であ ろ うか 。 これ に ついては,処 理方 式が妥 当で且 つ正 し く統理 され てい る 場 合は 合法的 といえ る。勿 論,法 律 に違 反 しないな らば,代 替方 式 と して剰 余金 の復 帰 な き按分比 例に基 く資 本支出があ る。最 後に博士 は,剰 余金 の資 本化か非資 本化か の問 題 につ いての総括 的意見 と して,株 主 配当金 として正 式 な資本 化 よ りも寧 ろ 別途 剰余 金

(earmarkedsurplus)と して 自由な形 の資 本化 の方 を望 ま しく思 うと述べ てい る。

固定資産 の損費処理 に つい て

会 計 の立場か らい って,重 大 な不景気 現 象は,最 終 的には資本減 少 の方法 に よる固定 資産 価格 のの全面 的償却 であ る。資本 金の剰 余金 への振 替が行 われ ると共に,剰 余金 は 固定資産 の減価 償却額 を填補 した りそ の他 の 目的 に当 て られ ることに な り,急 速 な問題 の展開 のため採 用す る方 法 と実践 とが 適正 な ものか ど うか につい て煮詰 った意見 を述 べ るのは困難 であ る との全般的態度 を示 し乍 ら,博 士は問題 の若 干 の角度 に関 し次 の様 な 見 解 を述べ る。

第一 に,問 題 の分析 と処理 方法 の研 究 とに力 を注 ぎ,一 概に この問題 を忌避 す る態度 をすべ きでない。不況年度 の固定資産 の原価修正論 の多 くは,そ の潜在的理念 は,前 期 の好況年度 中の減 価償却 を実 施せ しめた潜在的理念 に比 し,よ り以 上に賞揚す べ き所 は ない 。又そ の処理方 式 も好 景気年度 の減価償却 の多 くに採 られ た処 理方 式 と同様体系的 で な く,妥 当性 の欠け た もので あ ること も明瞭 であ る。

問題 に対 す る態 度 を きめた ら,次 の段取 は固定資 産価額縮少 の現象 の分 析であ る。 こ の分 析 をす る と,固 定 資産 の価 額減 少に は次 の四つ の形態 を挙げ る ことがで きる。

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(1)使 用 され てい るが陳腐 化 している場 合。

(2)使 用 され てお らず再び使 用 され る見込 のな い程経済 価値が失 われ てい る場 合。

(3)現 在 使用 され てい ないが近 い将来再び 使用 され る見 込 のあ る場 合。

(4)標 準型 の もので使用 され ているが,機 能 を甚 だ しく喪失 してい る場 合。

上 記四 つの形態 の各 々につ いて以 下検討 を加え てみ る。

(1)の場 合。 陳腐 化に基 く損失 が 当該 企業 の減価償却 引 当金累計 高 を超過 してい る と きは,繰 越 利益剰 余金勘定に借記 す るか,又 は剰余 金勘定 で唄補 で きない ときは,欠 損 金 と して次年 度繰越 をす る外 な く,従 つ て この場 合は取替原 価や資産鑑 定専門家 の意見 な どに煩 わ され る ことはな い。そ こで,残 存耐 用年数期間 に挙げ られ るべ き収益 を見 積 った金額に残存 価額又 は売却価額 を加算 した価 額 を もって表示 価額 とすべ きであ る。

(2)の場合。 この場 合の答は好不 況いずれ の場合に も当 ては まる ものであ る。 即ち, 帳 簿上 の見積 残存 価 額を もって表示 す る ことであ る。再び使 用す る可能性 が万に一 つ の 割 ででああ ると,兎 角廃 棄価 額 に したが らない傾 向が見 られ るが,こ れ は正 しい態 度で は な く,こ ん な場 合は,潔 く廃棄価 額にすべ きであ る。

(3)の場 合。 原則 的に は,取 得価 額か ら陳腐 化な どの機能的原 因に よる減 価償却 高 を 控除 した価額 を超 え ざる価額 をもって表示 すべ き ものであ るが,景 気後退時 には,取 替 価額迄切 り下げねば な らない場 合 も生 じ得 るであ ろ う。

(4)の場 合。 バス事 業に例 を取 って述 べ ると,企 業 全体 の売上 価額 は,不 景 気 のたあ に減少 す る ことにな るが,乗 客一人 当 りの コス トは高 くつ くよ うに なる。 この例は,収 益 の単位 当 り資 本的 損失が販 売量 の減 少 のた めに増大 す る ことを示 す ことにな るのであ

るが,さ れ ば とい って,こ の資本的損失 を早 期償却 に よって調 節 しなければ な らない と 考え るべ きでは ない。

以上 の所 見に 関連 して附 言 した い ことは,固 定資産 へ の未練乃至 は過信 に よって誤 っ た費用計上 に陥 り易 い こ と,競 争 者 との競争 に負け まい とす る気持 か ら不 自然 な人為的 な原 価操 作 をす る ことに よって妥 当な価額決 定 を阻害 す るこ とを警戒 しなければ な らな い こ とであ る。例 えば,遊 休設備 の償却 な どす る必 要 はない し,能 率 の低下 した設 備 の 償 却は,低 下度に即応 して償 却額 を減少 させ るこ とを躊躇 すべ きでない。

ここに一 つの問題 として固定 資産 の減価 償 却の 目標乃至 は規準 と して取 替原価 とす べ きではないか との問題に つい ては,次 の よ うに考 え る。固定 資産 の適正妥 当な る価額決 定 に取 替原価 をとる ことは次 の四 つの理 由に よ り正 しくない と考え る。即 ち,第 一に,

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ペイ トン会計 学 の基本問題 四(古 賀) 一一73一

新 式 の設備機械 が 日進 月歩 の勢 いで製造 され る時代に は,取 替原価 は殆 ど意味が ない。

第 二に,近 代 の複 雑な固定 資産 は極 め て分 化 してい て,全 く同 じ物 の複製 はで きない。

第三 に,景 気後退時 には,建 設業,製 造業 な ど皆萎 縮 し,固 定 資産 の取替 は減 少す るの で,固 定 資産評価 の基 準 として取替 原価 の見積 りは正確 さが ない。第四に,取 替原価計 算は経費が 高 くつ き,且 つ種 々の設 備が入 り混 ってい る場合 には色 々の問題点が 出 て来 る。

次に,減 価償 却 の処理 方法に ついて の見解 を述べ る。陳腐化 に よる償却 の場 合は前述 した所 であ る。帳 簿上 の増価 額の償却 の場 合は,当 該 増価 の原始記 入 の際に設定 され る 増 価 引当金勘定又は増価 積立金勘定 に借記す るのが最 も筋が通 る ことに なる。資 本金 を 減 らし損失 を借記す る ごまか しの剰 余金 の設定 を して償却 を遂行す るや り方は支持 者が 多いが概 して賛成 で きない。 明確 でない無形資産 及び名 目的資本 金に表 見的有 効性 を与 え て くれ る他 の資産 の償却に つ いては,こ の場 合の償 却は,原 始記 入 の修正 を意味 す る に過 ぎないか ら資本 金に借記すれば よいが,損 失 を填補す る目的 で払込剰余 金を剰余 金 に振 り替 え るこ とは,完 全に合法的 にな され て も,望 ま しい処 理方 法では ない。 この種 の損費 は,欠 損 金又は 消極剰 余金(NegativesurPlus)と して計上 すべ きで,貸 借 対照 表上 では資本金 の反 対勘 定 として期 末資本金額 を減 少 させ る性質 の ものであ るが,資 本 金勘定 に直接増減 の措置 を加えな いので資本金 の元 入か らの金額が 保持 され て示 され る こ とに な る。 この処理 方法に よれば,企 業 の全取 引の歴 史が保持 され る ことに な り,且 つ当該企業 が重大 な損失填 補 をす る こと も明示 され ることにな る。

惟 うに,減 価償却 の形態 は,博 士 が挙げ ている よ うに,種 々あ り,殊 に景気変 動期に は,更 に これに基 く複 雑 な経済的要 因が入 り込 んで来 て,景 気変 動時 の減価償却 を一 つ の基 準乃 至 目的に よって割 り切 った方法論 を打 ち出す のは,博 士 も示 唆 してい るよ うに 至 難 な ことは了解で き ることであ る。従 って結局は,個 々の減価償却 の態様 を どの よ う

に把握す るか,又 そ の形態 をどのよ うに分 析す るか に よって会計処理方 法 も決定 され る べ きであ ろ う。

本 誌 第19巻 第1号,2号,3号 及 び 本 号 と4回 に 亘 っ て ペ イ ン ト会 計 学 の 基 本 的 な 事 柄 を 挙 げ,述 べ て 来 た が,不 満 足 な 内 容 乍 ら,こ こ で 一 応 の ま と め を し て,結 論 と 致 し た い 。 博 士 の会 計 理 念 が 資 産 を 中 核 と し て 構 成 さ れ て い る こ と は,特 に 上 記19巻1号

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にお いて叙べた所 で あ り,後 続3回 の シ リーズに おい て叙述 した る所 に よって もほぼ 明 か に された であ ろ うと思 う。財 産 の計算が会 計 の主要 任務で あれば 資産計算がそ の中心 にな る ことは 当然 と して,会 計 の も一つ の 主要任 務た る損益計算 も,博 士に よれば, 資 産の増減,生 滅の現 象なのであ る。 つ ま りは資産 の価 額 の評定 を ど うす るか の問 題 と

な る。 この問題 に対 し博士 は,基 本的に は当該資産 の価 格形 式に参 与 した費用 とす る。

確 かに博士 の説 くよ うに これ に よってあ らゆ る資産 の価 額 をきめ る ことは一応 は可能 で あ るが,こ の種費用 の価 額決定に際 し,原 価主 義,時 価主 義,低 価 主 義の適用上 の問 題 が存立 してい る。 この場 合博士が会計事 実 の真実 性追求 の至上 目的か ら低価主 義 を排 撃 す るのは筋 を通 した態度 と称す べ きであ る。

資産 の価 額決定 の規準 として 博士が も一 つ提 起す るのは 交換 価値であ る(本 誌19巻 1号 拙稿)が,自 由経済下 の商 品 のよ うに 変動を常 とす るものは有効費 用に よってのみ 価 額決定 を しては,現 実 の市場 価額 と極端 に遊 離 して しま うことがあ り,か くては会計 の真実 も記録 しない ことに なる ことを理 由 とす るのであ る。尤 もこの場合,極 端に遊離 す ることを予防す る方 法 としては,棚 卸 方法 と して最終 仕入原価 法に よる ことが 考え ら れ てい る。 これ に よって有効費用 に近 似せ しめ ることが可能 とな る訳 で あ る。

後 入先出法 の考 え方 は,固 定資 産に対 して も適用すべ き ことを博士は ハ ッ トフ ィール ド教授 の考え方 に左祖 して説 く。石炭 とス トー ヴの関係 の如 く不可分 の関係に あ るもの は,流 動資産 と別扱 いにす る ことの 不 合理 を説 く。 蓋 し,再 思三 考すべ き 意見 であ る が,個 々の具体的資産 につい て適切妥 当な取 扱 いを きめ るべ き事柄 であ ろ う。

次 に,増 価 並び に減価 の問題 であ るが,博 士は時間,空 間 を異 に して生起 した る増価 乃至減価 は これ を記録 して明示す るのが会 計 の真実 の報 告に合致す るものであ る との基 本的態度 を持 し,状 況 に応 じ,原 価 と時価 との双方 の表示 を望 ま しい とす る。惟 うに, 考え方 と して妥当 であ るが,こ れ等 の場 合博士が特 に重視 す る時価 な る ものの算定 も, これ を絶対正確 に算 出す ることは必ず しも可能では ない。尤 も博士 も原価 と時価 との間 に著 しい懸隔 あ る場合 に限 るのが適 当であ ると述 べてい るが,そ の限 界線 を明確 に示 す ことは全 くの至 難事 とい うべ きであ ろ う。 この こ とに 関連 し,博 上は,所 謂保守主 義会 計思想に対 しては極 め て批判 的であ る。端的 な一 例 と して,未 実現利益 の計 上 も,こ れ を計上せ ざる よ りも,そ の時点 の会 計上 の真実 に,よ り近 い場 合には,敢 て計上 す べ し とす る。 この点博士 の会 計思想 は革新 的 な ものの様に響 くが,博 士 の この点 につい ての 理念 は,単 に企業 の保護 のた めの奉仕に会計が堕 す る ことに反対 し,会 計本来 の客 観的

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