秋 田 大 学
総 合基礎教 育研 究紀要
6
4‑ 7 4
(1996)多様性 のなかの ヨー ロ ッパ近 代
一 比較 文化 論 の試 み
一
服 部 裕
Di ve r s i t y o fEu ro p ea nMo de m i t y:
ASt ud yo fCo mp a r a t i veCu lt u re Hi r o s hiHATTORI
は じめ に
西 ヨ ー ロ ッパ の主 要 各 国 は、 い ま
21
世 紀 に 向 けて遠 大 な プ ロジェ ク トに取 り組 ん で い る0 1992年、 マー ス リヒ ト条 約 を締 結 す る こ とで 、 この世 紀 の 一大 事業 は始 ま った。 ヨー ロ ッ パ の通 貨統合 を経 、 最終 的 には政 治 的統 合 を果 た そ う とい う、 いわ ば文 明的規模 の実験 の こ と で あ る。 ヨー ロ ッパ統 合 が 、 ヨー ロ ッパ 共 同体 の枠 を大 き く越 えた政 治 的統 合 で あ る こ とを考 え る と、例 え ば経 済 管理 とい った 一見個 別 分 野 の 問題 と思 わ れ る事項 に、 各民族 が持 つ 固有 文 化 間 の衝 突 が 顕 在化 す る こ とに な る。経 済管 理 の相 違 の 問題 は単 に その手法 の違 い にあ るの で は な く、相 違 す る手 法 を支 えて い る各 国 の 文化 の差 異 の 中 に こそ あ るか らだ。近代 の ヨー ロ ッパ 文化 は、 西 ヨー ロ ッパ だ け に限 ってみ て も、 その成 長 した 姿 しか見 て い な いわ れ わ れ 日本 人が 漠然 と思 い描 いて い るよ うな 一様 性 の なか にあ るの で は な い。 ヨー ロ ッパ は一 口 に近代 ヨー ロ ッパ と片付 けて しま うには、 あ ま りに多様 で あ るo 自由 と平 等 を求 め る系 譜 が あ る一方 、権威 と服従 に酔 う歴 史 を残 して きた民 族 もあ るか と思 えば、 平 等 の問題 には ど ち らか とい う と無 頓 着で あ るが 、 ひ た す ら自由 を求 めて や まない国民性 を持 つ 国 家 もあ る。 そ れ ら多様 な価 値 観 が 互 い に衝 突 し、 お び た だ しい数 の 人 々の血 が流 され て きたの が、 ヨー ロ ッ パ 史 で あ る とも言 え る。 ヨー ロ ッパ史 が示 す多様 性 は、 堅 固 な共 通基 盤 の上 の単 な るニ ュア ン ス の 問題 では な く、 共通基 盤 を不 可能 に して しま う根 本 的 な理 念 の相 違 に関わ って い る。 ヨー ロ ッパ か ら輸 入 した近代 性 を国家基 盤 と しな が らも、 ヨー ロ ッパ 文化 圏外 に い るわ れ わ れ 日本 人が ヨー ロ ッパ 近代 の功 罪 を検 証 しよ う とす る とき、 この ヨー ロ ッパ の多様 性 を認識 しない 限 り何 ら本 質的 な もの はみ えて こな いo そ して 近代 の終 蔦 が 奏 しや か に語 られ る今 、 ヨー ロ ッパ 近代 を批 判的 に捉 えなお す こ とは、西洋 文化 圏 内の人 間 のみ な らず、 そ の外 に身 を置 きなが ら、
そ の影 響 を免 れ えな いわれ わ れ 自身 の課 題 で あ る とい え る。 その意 味 で、 ヨー ロ ッパ 文 化 の 多
モダニデイ
様 性 を検 証 し、 分析 す るこ とは、 ひ いて は 日本 にお け る近代 の 問題 に光 を 当て る こ とに な る。
ヨー ロ ッパ 近 代 は、 中世 カ トリック文化 の一様 性 を克 服 す る ところか ら殆 ま る. まず 宗教 改 革 が 起 こ り、 ヨー ロ ッパ 文化 は互 い に全 く異 な る二 つ の陣 営 に分 裂 す る
0 18
世 紀 に な る と、一部 の 地 域 で 早 くもキ リス ト教 離 れ が起 こ り、 宗教 にか わ るイデオ ロギー が 出現 す る。 しか し キ リス ト教 の後 退 の時期 は、各 地域 固有 の基 底 的 な世界 観 の相違 に よって大 きな ズ レが 生 ず る。
神 の権 威 が強 い地域 で は そ の時期 は遅 く、逆 に神 の権 威 が脆 弱 な地 域 で は早 い。 しか し19世
紀 夫 の工 業化 とダー ウ ィニ ズ ムが もた らす科 学 革命 に よ って、 西 ヨー ロ ッパ の ほ とん どの地 域 は脱 キ リス ト教 化 されて しまう。 20世紀 は、 宗教 の不在 を埋 め るイデオ ロギーの時代 であ り、
また そ の後退 の始 ま りの時代 で あ る と言 え る。 この よ うに ヨー ロ ッパ 近代 は、 キ リス ト教 の分 裂 、 宗教 の消 滅 、 イ デオ ロギー の誕 生 と大 きな 変化 を経 験 す るが、 それ ぞ れ の地 域 内の 変遷 は 同一 の世 界観 に貫 か れ て い る。権 威 主義 と不 平 等 主 義 が支 配 す る地 域 は、 宗教 もイデ オ ロギ ー ち (左 右 いず れ のイ デオ ロギ ー で も) 同 じよ うに権 威 主義 的 で不 平等 主義 的 で あ り、 自由 と平 等 を愛 す る地 域 で は 同様 に、 宗教 もイデ オ ロギー も 自由主義 的 で 平 等 を基 調 とす るo そ こに は エ マニ ユエル ・トッ ドが 言 うよ うに、 各 地 域 固有 の 家族構 造 に顕 在化 す る 「人類 学 的基 底 」 と で も呼 べ るよ うな不 動 の基 盤 が あ る よ うにみ え る (1)0
西 ヨー ロ ッパ は、 幾 多 の犠 牲 を払 う こ とに よ って 、第 二 次 世界 大戦後 よ うや く西 ヨー ロ ッパ 型 民 主 主義 とい う共 通理 念 を兄 い だ すO そ の集 大 成 と して、 い まヨー ロ ッパ統 合 が模 索 され て い る。 こ こに至 る道 の りは上 記 の よ うに長 く困難 な もので あ った。 また、 これ か らの道 の りも 同様 に多様 な価 値 観 のぶ つか りあい の場 とな るで あ ろ う。 以 下、 ヨー ロ ッパ 近代 が もつ 多様 性 に光 をあて、 ヨー ロ ッパ 文化 の基 盤 を理 解 す る助 け と した い。
「人類 学 的基 底 」 と して の家族 構 造
トヅ ドの実 証 的 な研 究 に よれ ば、 家族構 造 にお け る萩 との 同居 あ るい は非 同居 関係 と、相 続 に対 す る兄弟 間 の平 等 あ るいは非 平 等 関係 とい う係 数 の掛 け合 わ せ か ら、 西 ヨー ロ ッパ には 四 つ の家族 構 造 が存在 す る。複 合 世帯 は 父親 の権 威 が 強 い こ とを意 味 し、核 家族 は父親 の権威 が 弱 く、 自由主義 的 な傾 向 を帯 び る。相 線 が兄 弟 間 に平等 に行 なわれ る家族構 造 で は平等 主義 の、
また平 等 に行 な わ れ な い とこ ろで は 非 平 等 主 義 の傾 向が強 くな る。各係 数 を組 み合 わ せ る と、
1)権 威 主義 的 で不 平等 主義 的 な直 系家族、 2) 自由主義 的 か つ平 等 主義 的 な平 等 主義 的核 家 族、 3) 自由主義 的 だが非 平 等 主義 的 な絶 対核 家族 お よび4)権 威 主義 的 だが平 等 主義 的 な共 同体 家族 (これ は西 ヨー ロ ッパ には極 めて希 )、 とい う四 つ の家族 型 に分類 で き る。 この四 つ の家族 型 のい ずれか が各 地域 毎 に支配 的 な家族 構 造 で あ り、 それ ぞれ の地 域集 団 に共通 の世 界 観 お よび価値 観 を表 す基 底 的 な指 標 とな る。 トヅ ドは支 配 的 な家族 型 を特 定 す る地 域 の最低 単 位 に、 国家 あ るいは 民族 とい ったお お ざ っぱ な単 位 を使 用 す るので な く、 各 国 の行 政組 織 に応 じて 、 同一 国 内 の 家族 型 の差 異 が 十 分 現 わ れ る こ とを可能 に す る地理 的 単位 を採 用 して い る。
そ の調 査 とデ ー タ処 理 の 方法 は綿 密 か つ論理 的 で、 デ ー タの単純 比較 には 陥 らない有効 性 の あ るもので あ る。 その結 果 、各 地 域 の文化 集 団が各 家 族 型 が 示 す特徴 を、地 域 共 通 の基 底 的 な 文 化 的性 格 と して持 って い る こ と、 しか もそれ が歴 史 の あ る一 時期 だ けの もので な く、時 代 を越 えた 永続 的 な もの で あ る とい う こ とが わ か る。 そ の意 味 で 、 トヅ ドは これ を 「人類 学 的 基底」 と呼 んで い る。勿 論 この基 底 以外 に多数 の係 数 ‑ 農 地制 度 、識 字化 、地理 的条 件 、 工業化 、 科 学 革命 、 受 胎調 節
e t c.
‑ が検 討 され、 あ る係 数 と別 の係 数 との掛 け合 わ せ に よ るデー タ 処 理 が行 なわ れ る、 とい うよ うに作 業 は非 常 に複雑 に進 む 。 しか し、 家族 制度 は常 に検 討 の 出 発 点 で あ り、 また終 着点 で もあ る。以 上 の よ うに四つ の家族 制 度 を基 底 的指標 と し、 それ ぞれ の指標 が表 現 す る価値 に宗教 的 価 値 並 び に イデ オ ロギー的価 値 が分 類 され る。例 え ば、 強 い父 の権 威 は強 い神 の権威 な らび に権 威 主義 的 なイ デ オ ロギー に、 また兄 弟 間 の不 平 等 は救 済 の不 平 等 な らび に社 会 的 な不平 等 に反 映 され る、 とい う風 にで あ る0本稿 で は、 この分 類 法 を援 用 しなが ら、近 代 ヨー ロ ッパ の文 化 的多様性 を表 現 す る出来 事 を照射 した い 。
‑ 65 ‑
一様 性 の なか の ヨー ロ ッパ
ヨー ロ ッパ が 多様 な文化 の諸 相 を とお して 、 各 地 域 ・民族 に基 底 的 な価 値 観 の多様性 を示 す よ うにな るの は、長 い 中世 が終 蔦 に近 づ き、 近代 の費 明 を予感 させ るよ うに な る過 渡的 な時期 か らで あ る。 よ り正 確 には、 中世 の 間潜在 して い た価 値 観 の多様 性 が、 あ る決定 的 な重 石 を取 り外 され るこ とに よ って 一気 に吹 き出 し、 収 拾 が つ か な い混 乱 と分 裂 の状 態 を招 来 す る時期 こ そが 、近 代 の襲 明期 だ と言 え る。
「決定 的 な重 石 」 とは、 ロー マ ・カ トリック教 会 で あ り、 そ れ に独 占され て い た文化 的 言語 の一様 性 で あ る。 中世 ヨー ロ ッパ の文化 を開花 させ、 それ を長 く維 持 させて きた の は、 唯 一 カ トリ ック教 会 で あ った。 民族 と世俗 の 言語 の違 い を越 えて、 全 ヨー ロ ッパ に共 通 の精 神 基 盤 、 つ ま り共 通 の文 化基 盤 を与 えて い たの が カ トリック教 会 で あ る。文化 の基 底 にあ る識 字 の問題 を考 えれ ば明 らか な よ うに、 中世 文化 は偏 にカ トリック教 会 の聖職 者 に独 占され て いた 。文 化 が 言語 に よって しか 可能 とな らず、 よ り高 次 の文 化 が文 字 の支 配 に よ って初 めて到 達 され る こ とを考 えれ ば、 文 字 を独 占 して い た聖職 者 (教 会 )が 文化 を支 配 して いた こ とは 明 白で あ る。
各 民 族 が持 つ 世俗 言語 は未 だ文 字 言語 た りえず、 唯 一 の文化 的 言語 は全 ヨー ロ ッパ に共 通 の ラ テ ン語 で あ った。 そ の意 味 で、 中世 の ヨー ロ ッパ には一 つ の言語 しか存在 せ ず、 その文 化 も各 民族 固有 の潜 在 的文 化 を封 じ込 め る一様 性 の なか にあ った と言 え る。 中世 にお け る国家 間あ る いは民族 間の 文 化 の相 違 は いわ ば量 的 な もので、 各 地 域 の経 済状 態 お よび識 字 率 に応 じて文 化 レベ ル は異 な るが、 質的 な 一様 性 は不 動 の もの だ った。 中世 文 化 の唯 一 の基 盤 は、 キ リス ト教 を理 性 に よ り理 論 的 に基 礎 づ け る こ とで教 義化 しよ う とす るス コ ラ哲 学 にあ ったわ けで 、 ス コ ラ哲 学 が 衰退 す る と きは 中世 文化 そ の もの の衰退 を意 味 して い た。
ス コ ラ哲学 は理性 を も って神 学 を科 学 化 したが、 理 性 は興 味 の対象 を 自分 自身 に 向け るこ と に よ って 、神 学 か ら次 第 に 自立 して い く。 人間 は こ こに至 って 、理 性 と意 志 を武器 に世 界 と人 間 を発 見 す る。 この よ うに して生 まれ たル ネサ ンスは 、理 性 の 目を通 して 現 世 的 生 を肯 定 し、
そ の美 を きわ め よ う とす る。ル ネサ ンス にお け る思想 は、 もは や神 学 とい う他 者 に依 拠 す る も ので な く、 「借 りもの で な い 自分 自身 の思想 形 式 とい うもの を 自由に形 づ くろ う とす る関 心、
思 想 それ 自体 を 自由に批 判 的 に形 成 しよ う とす る関心」 (2)の 上 に形 成 され た。 中世 文化 を貫 くキ リス ト教 精 神 か ら離反 し、独 自の 人 間精 神 を獲 得 しよ う とす るのが ル ネサ ンスだ った とい え る。 そ れ は、 トレル チ の 言 を借 りれ ば、 「キ リス ト教 的 禁欲 に対 す る対 立 」 (3)で あ る。徹 底 的 に 自己 に依 存 す る個 人 主義 的 なル ネサ ンス の 出現 に よ って 、 中世 文化 の一様 性 は激 し く揺 さぶ られ るが 、 これ が ヨー ロ ッパ の社 会 学 的 な分 裂 を導 くよ うな こ とは なか った。精神 運 動 と して は カ トリシズ ム を批 判 し、封 建 主義 に抵抗 こそ すれ 、政 治 的及 び社 会 学 的 にみ れば ル ネサ ンス は全 く非 生 産 的 な活 動 だ った(4)。 み ずか らの創 造 活 動 の 自由 を保 障 して くれ さえ すれ ば、
ル ネサ ンスは どん な権 力 とも結 ぶ 用 意 が あ った か らだ。 そ の意 味 で、 ル ネサ ンスが 中世 文化 の 終 蔦 を決定 的 に した とは い えな い。 中世 が終 わ りを迎 え るため には、 「静 止 的 で、過剰 な富 を 非 生 産 的 蕩尽 に化 して い た」 (5)中世経 済 に対 立 し、 急 速 にそ れ に取 って か わ る経 済 システ ム、
つ ま り資 本 主 義 が 出現 す る こ とが 必要 で あ った。経 済 シ ステ ム の転 換 こそが、 中世 的 身 分社 会 の枠 組 み その もの を解 体 す るエ ネル ギー だ ったの で あ る.
権 威 主 義 と不 平 等 主 義 の 系譜
生 産 の 目的 、 富 の分 配 、 学術 ・芸術 の意 義 、 果 て は 人 間 の生 その もの、 これ らの どれ を とっ て もヨー ロ ッパ 中世 にお いて は、 キ リス ト教 (カ トリシズ ム) に依拠 しない もの は何 一 つ なか った o そ こに は、 自立 した個 人 が 自己 目的 的 に生 きる可能性 は 皆 無 だ った。 そ う した 中世文 化
に初 めて 意義 を 申 し立て、個 人 の 自由 と創 造性 を追求 したのが、 上 で述 べ たル ネサ ンスだ った。
しか しすで に述 べ た よ うに、 ル ネサ ンスは社 会 学 的 に全 く非 生産 的 な活動 で 、 その個 人 主義 が 直接 社 会 の枠 組 み を変 え るエ ネル ギ ー を集 積 す る こ とは なか った 。
「個 人 」 を認 め よ う と しなか った 中世 に決 定 的 な一撃 を加 え るの は、 ル ネサ ンス とほ ぼ 同時 代 、 同様 に個 人 主義 を前 面 に押 し出 した宗教 改 革 で あ った
0 1517
年、 マル テ イ ン ・ル ター が カ トリック教 会 の 腐敗 を批 判 した公 開 質 問状「95
ヶ条 の論 題 」 を公 表 した こ とに端 を発 す る宗 教 改 革 は、 瞬 く間 に北 方 ヨー ロ ッパ を 中心 に 西 ヨー ロ ッパ の約 半 分 の地 域 に受 容 され る。ル ター の宗教 改 革が 目指 す のは、 一 口に言 う と、聖 職 者 に よ って独 占 され て い た信 仰 を、信 者 一 人 一 人 の 内面 に解 放 しよ う とす る こ とだ った。 それ は、 カ トリック教 会 の位 階制 、 ドグマ、
サ ク ラ メ ン トに縛 られ た組 織 的 な信 仰 形 態 を解 体 し、 一 人 一 人 の個 人が み ずか ら聖 書 を読 む こ とで信 仰 を深 め る、 いわ ば信 仰 の個 人 主義 を 目指 す もの だ った。
信 仰 の個 人 主 義 は 明 らか に、 地 上 の権威 で あ るカ トリック教 会 を否 定 す るもの で あ る。 しか し、 それ が地 上 にお け る 自由主義 的 な世 界観 を導 くもので あ る と考 え るの は 明 らか に誤 りで あ る。 プ ロテ ス タ ン トは地 上 的権 威 か らの信 仰 の 自由 を求 め こそ す れ、 神 そ の もの には絶 対的 に 服従 しな けれ ば な らない とい う意識 にお いて、権 威 主義 的 な支 配構 造 をむ しろ強化 した か らで あ る. マ ック ス ・ヴ ェ‑バ ー が そ の本 質 を鋭 く指摘 して い るよ うに、 宗教 改 革 は 「人間 生活 に 対 す る教 会 の 支 配 を排 除 したので は な くて、 む しろ従 来 の とは別 の形 態 に よ る支 配 にか えた だ けだ 。 しか も従 来 の形態 に よ る宗教 の支 配 が きわ め て楽 な、 当時 の実 際生 活 で は ほ とん ど気 付 か れ な いほ どの、多 くの場 合 にほ とん ど形 式 に過 ぎな い もの だ ったの に反 して 、新 し くもた ら され た ものは、 お よそ考 え う るか ぎ り家庭 生 活 と公 的 生活 の全 体 にわ た って お そ ろ し くきび し く、 また 厄 介 な規 律 を要 求 す る もの だ った」 (6). キ リス ト教 者 に とって 最 大 の 目的 で あ る死 後 の救 済 は、 プ ロテ スタ ン トに とって は人 間 の 自由意 志 に基 づ く善行 の努 力で到 達 で き るもの で は な い。 人 間 は、 ひ とえ に神 の意 志 に隷 属 す る存 在 で あ る (ル ター : 『奴 隷 意 志論 』 )。
権 威 主 義的性 格 と並 んで プ ロテ ス タ ンテ ィズ ム を特 徴 づ け る も う一 つ の本 質 は、救 済 に対 す る不 平等 の原理 で あ る. 「選 ばれ た者 だ けが救 済 され る」 とい うル ター も持 って いた考 え方は、
カル ヴ ァ ンに よ って よ り尖鋭 化 され る。 カ トリ ックに とって 地 上 の生 は救 済 へ の試 練 で あ り、
試練 を克 服 す るも しない も結局 人 間 の 自由な意 志 の 問題 で あ り、 また すべ て の 人 間 には救 済 を 求 め る権 利 が 平 等 に与 え られ て い た。 それ に反 しプ ロテ ス タ ンテ ィズ ム、特 にカル ヴ イニ ズ ム は 「救 霊 予定 説 」 を唱 え、救 済 され るか否 か は 人 間 の意 志 に関 わ りな い ばか りか、 誰 が救済 さ れ るか も予め決 め らて い る と考 えた。
プ ロテ スタ ンテ ィズ ムは この二 つ の本 質、神 へ の絶 対 的 な隷 属 と救 済 の不 平 等 とい う原理 か ら成 り立 って い る。 この 宗教 的 本 質 が 、 プ ロテ ス タ ン トの社 会 的構 造 に対 す る基 本 的 姿勢 、 つ ま り権 威 主義 と不平 等 主義 へ の傾 きを決 定 づ け る。
Jt)レ‑フ
ル ター に とって職 業 は神 か ら与 え られ た 「天職 」 あ り、彼 は仕 事 を す る こ とに対 して 宗教 的 な倫 理観 を付 与 した く7)。 さ らに カル ヴ ァンに とって は、 本来 の 目的 は個 人 の救 済 はで は な く、
神 の讃 美 で あ り、善 き事 業 に個 人的 な功徳 を求 め る こ とを全 面 的 に否定 した。善 き事業 はむ し ろ救 済 の証 で あ るが 故 に、 不 可 欠 な ので あ る。両 者 に認 め られ る職 業 観 は、職 業 を宗教 的 な功 徳 か ら切 り離 した こ とで、職 業 は た だひ た す ら地 上 的営 み と して 自律 的 に追 求 され な けれ ば な らな い とい う こ とで あ る。 した が って、神 を費 え るた め に富 を費 や す とい うカ トリックの経 済 観 は完全 に否 定 され る。 生産 は地 上 的 な価 値 以 上 の もの は もち えな いが故 に、 宗教 的価 値 か ら 解 放 され てひ た す ら生産 的価 値 、 つ ま り利 潤 の追求 と資本 の蓄 積 、 お よび さ らな る生産 のた め の投 資 の み を 目指 す 自己 目的 的活 動 とな る。 ヴ ェ‑ バ ー と トレル チ が プ ロテ ス タ ンテ ィズム に
‑ 67 ‑
近代 資本 主義 の神髄 を認 め る理 由は、 まさ に こ こに あ る。
以 上 の よ うに、 宗教 改 革 が追 求 す る信 仰 の個 人 主義 は、 中世 の封 建 的 身分制 社 会 の根 幹 を な して い た カ トリック教会 の位 階制 を真 っ向か ら否定 す る とともに、 「キ リス ト教 [カ トリック]
的倫 理 法 則 に生 産 活 動 を従 属 」 (8)させ て い た 中世経 済 の メカ ニ ズ ムを覆 して しまった. そ の 意 味 で 、 宗教 改 革 を近代 の始 ま りと捉 え る こ とは妥 当で あ る。 しか し、 近代性 の根 底 に あ る個 人 主義 に、二 つ の全 く異 質 な様 態 が あ った こ とを見 逃 して は な らな い。 一 つ は権 威 主義 と不 平 等 主義 に根 ざ した プ ロテ ス タ ン ト的個 人 主義 で あ り、 も う一 つ は反 宗教 改革 の カ トリック と結 ぶ こ とで後 の啓 蒙 主 義 につ な が る、 自由主義 的 な ル ネサ ンス 的個 人 主 義 で あ る。 この よ うに、
近 代 ヨー ロ ッパ は相 反 す る原 理 が 互 い に対 立 しあ う場 とな る。
ル ター 派 並 び にカル ヴ ァ ン派 の い わ ば正統 プ ロテ スタ ンテ ィズ ムは、 四つ の家族 構 造 のな か で 最 も権 威 主 義 的か つ不 平 等 主義 的 な直 系 家族 が 支 配 的 な地 域 で瞬 く間 に受容 され た (北部 ド イ ツ、 ス ウェー デ ン、 ス イ ス、南 フ ラ ンス
e t c.
)。 自由主義 的で あ るが非 平 等 主義的 な絶 対 核 家族 が 支配 的 な地 域 で は、 救 霊 予定 説 を否 定 し、 救 済 へ の 人 間 の 自由意志 を再 導 入 しよ う とした アル ミニ ウス派 プ ロテ ス タ ンテ ィズ ムが 受 け入 れ られ る (イ ング ラ ン ドや ホ ラ ン ト)。 ア ング リカ ンは カ トリック に最 も近 い プ ロテ ス タ ン トで あ るが、 ピュー リタ ン革命 前夜 に お け る ア ング リカ ンの代 表 的 宗派 は アル ミニ ウス派 で あ り、 また多 くの ピュー リタ ン諸 派 もカル ヴ ァ
ン主義 と枚 を分 か ち、 アル ミニ ウス派 に近 づ く。
早 くも
16
世紀 に識 字化 が進 んだ正統 プ ロテ スタ ン ト地 域 が脱 キ リス ト教 化 に襲 わ れ るのは、工業化 とダー ウ ィニ ズ ムが相 携 えて押 し寄 せ る
19
世紀 末 の こ とで あ る。強 い神 の権威 と救 済 の不 平 等 を背 景 に した正統 プ ロテ ス タ ンテ ィズ ム、 お よび救 済 の平 等 には無 関心 な アル ミニ ウ ス派 プ ロテ ス タ ンテ ィズ ムは、 18世 紀後 半 の イ ギ リス に始 ま る第 一次 産業 革 命 の脱 キ リス ト 教 化 作 用 は免 れ る。 しか し、 聖書 を唯 一 の拠 り所 と して い るプ ロテ ス タ ンテ ィズ ムは、 人 間 を 動 物 の進 化 の 系譜 に位 置 づ け る進 化 論 には もはや抵 抗 で きなか ったわ けで あ る.ル ター 派 お よ び カル ヴ ァン派 にお け る強 い神 の消 滅 は人 々 に大 きな空虚 感 を与 え、神 にかわ る強 い イ デオ ロ ギー が求 め られ た。民族 主義 的 で あ るに しろ階級 主義 的 で あ るに しろ、 正統 プ ロテ スタ ン ト地 域 の イデ オ ロギーは権威 主義 に貫 か れ て いた。 ドイ ツにお け る汎 ゲル マ ン主義 、反 ユ ダヤ主義 、 そ して ナ チ ズ ムが権 威 主義 的原 理 に貫 か れ て い た こ とは い まさ ら指 摘 す るまで もな いが 、 当時 の左 翼 勢 力 で あ った ドイ ツ社 会 民 主 党 も右 翼 勢 力 と同様 の権 威 主義 を基 調 に して い た こ とは、改 めて銘 記 して お く必要 が あ る。 「社 会 主義 は組 織 で あ る。組 織 を乱 す こ とは社 会 主義 の最 大 の敵 で あ る」 (9)とい う19 13年 当時 の党 首 エ ーベ ル トの言葉 は この こ とを よ く示 して い る し、 19 18年 の ドイ ツ人 民 革 命 を徹 底 的 に弾 圧 し、 妥協 の 産 物 と して の ドイ ツ初 の共 和 国 (ワイ マ ール 共和 国 )か ら民 主 主義 の精 神 を抜 き取 って しま ったの も社 会 民 主党 で あ る。 20 世 紀初 頭 には議 会 の ‑大勢 力 とな っ た社 民 党 は、 も とよ り君 主制 を否 定 す る こ ともな く 一 皇 帝 ヴ イル ヘル ム
2
世 の退 位 の動 因 は18
年 の 人民 革命 で あ り、 本 質 的 には第 一次 世界 大戦 の敗プ■ル ク フ リ‑・・デ
戦 で あ る一、 14年 には戦 争 を推 進 す る国 家 予算 案 を支持 した こ と (城 内平和 ) にみ られ る よ うに、修 正 主義 路線 を歩 ん で いた 。
ドイ ツの民 族 主義 は社 会 主義 同様 、 キ リス ト教 (正統 プ ロテ ス タ ンテ ィズ ム )が後退 した空 虚 を埋 め る近 代 イデ オ ロギー 時代 の産 物 で あ る。 そ の基 本理 念 は、 フラ ンス革命 が追求 した 自 由 と平 等 に基 づ く 「普遍 的 人 間」 とい う概 念 の否 定 と、 人 間 は本来 不 平 等 で あ る とい う信 念 に 貫 か れ て い る。 この権 威 主義 的 不 平 等 主 義 は 、 必 然 的 に 自民 族 中心 主 義 を産 み 出 す 。 これ は、
対外 的 には他 民 族 蔑 視 に つ な が り、 国 内 的 に は労 働 者 階 級 お よびユ ダ ヤ 人 劣等 説 を産 み 出す。
自民族 中心主 義 の決 定 版 は勿 論 ナ チ ズ ムで あ る。 ナ チ の台頭 の直接 的原 因 は い くつ か あ る。 第
一次世界 大戦 の敗戦 と君 主制崩壊 に よる精神 的 お よび経 済的混 乱、 な らび に
1929
年 の金 融 恐慌 が それで あ る。 しか し経 済 的原 因だ けで は十分 で ない。社会 民 主党 の権威 主義的性 格 が ワ イマール共和 国の非 民 主的 な成 立 を決定 づ けた こ とに もみ られ るよ うに、 ナチ ズ ムは ドイ ツ人 が近代 史 を通 じて持 ち続 けて きた権威 主義 と不平等 主義へ の 内的傾斜 とい う前提故 に可能 とな ったので あ る。自由主義 と平等 主義 の系譜
ル ネサ ンス市 民が もた らした楽 天主義、 人間主義 お よび科 学的合理 主義 は反 宗教 改革 のカ ト リック文化 に受容 され るこ とで、 近代 の科学 ・哲学 ・法学 ・美学 ・芸術 の基 礎 を形成 す る。ル ネサ ンスに始 ま り
17‑ 18
世紀 の諸科学 に引 き継 が れ る汎神論 的世界観 は、 自然界 を 「恩寵 の世界 の 中で相 対的 に独 立 を与 え られて い る下部構 造で あ る とみ な し、 [・・・] 自然 的生 に 対 して も 「・ ・・]十分 に活動 す る 自由を許 した」 (10)カ トリックの土壌 が あ ったれば こそ可 能 とな った。現 世的 生 は 自己 目的で はな く、 いか な る神性 も宿 しては いない、 とい う正統 プ ロ テ スタ ンテ ィズムの考 え方は、峻厳 な職業体 系 に現世 的生 の すべ て を収赦 させ るには この上 な い機 能 を果 た したが 、近代 の諸科 学 を発展 させ るには理 想 的 な環 境 で あ った とはい えな い。近代科学 は 「この世界 を創 造 主であ る神が合理 的 に作 り上 げた とい うキ リス ト教 的偏 見」 (ll)
が あ ったか らこそ発 展 した とい う村 上 陽一郎 の指 摘 は、 上記 のカ トリック精神 とプ ロテ スタ ン ト精 神 との比較 を見 れ ば正鵠 を得 て い るこ とがわか る。 (ニ ュー トンの イ ングラ ン ドは、 すで に指摘 した通 りプロテ スタ ンテ ィズムの 中で原理 的 に最 もカ トリックに近 か った。 )近代科 学 は理 神 論 を経 由 し、 18世紀 の フラ ンス にお いて 無神 論的 な啓 蒙思想 へ とつ なが るわ けだが、
フラ ンス啓蒙 主義が表 面的 に示 す反 カ トリック的 な姿勢 は額 面 どお り受 け取 ることはで きない。
それ はむ しろ、 救済 にお け る人間 の神 に対 す る本 質的 な 自由 と人間相 互 の平等 を (トリエ ン ト 公会 議 で )認 めてい るカ トリック精神 が本来持 って い る、 白由主義的か つ平 等主義的性 格 の思 想 的 ヴ ァ リエー シ ョン と見 るこ とがで きる。勿論、 イデ オ ロギー化 した 自由 と平等 の価値観 が、
現実社 会 の 中で のカ トリックお よび絶 対君 主制 の支配構 造 を否定 して いた事実 を忘れて はな ら ないが、 その形 而上的価値 はカ トリック精神 と対 立 す るもので はない とい うこ とで あ る。
さ らに、啓 蒙 思想 を理 論 的背景 とす るフラ ンス革命 は、 このカ トリック精神 との親和 性 を よ り鮮 明 に示 して い る。信仰 を捨 て、理 神 論的考 え に立 つ革命 ブル ジ ョワは、 地上 の人間 の心 の 中に神性 を求 め るこ とで、神 のイメー ジを地上 の理想 に置換 しよう とす る。その際重要 なのは、
イ ングラ ン ドの ように 「選 ばれ た者 」 だ けで な く、 すべ て の人間 に神性 が付 与 され る とい う こ とで あ る。 これ が、 自由 と平等 の基盤 の上 に立つ普遍 的 な人権 宣 言へ とつ なが る。 つ ま り、 自 由 と平等 の原理 にたつ個 人主義 で あ る。
普遍的 人間 の 自由 と平等 を求 め るフラ ンス革命 を実現 したのは、 ヨー ロ ッパ で最 も早 くキ リ ス ト教 を捨 て たパ リお よび その周辺 の ブル ジ ョワで あ った。 この地域 に支配 的 な家族構 造 は平 等 主義的核 家族 で、 も とよ り父 の権威 は弱 く、兄 弟 間の関係 も平等で、非平 等主義 によ って権 威 主義 が補完 され る こ ともない地域 だ った。 この地域 に、神 に対 す る人間の 自由 と救済 の平 等 を保 障 す るカ トリックが、最 も頑 強 に根 付 いた こ とは偶 然で はない。最 も重要 な啓 蒙思 想家 の 一人で あ るル ソーは、政 治 の基盤 が家族構 造 にあ るこ とを見抜 き、 自分 の文化 圏 を規定 して い る家族構 造か ら ‑ これ以外 の家族構 造 があ るこ とを知 って いたか どうか はわか らないが一 人間の社会的 ・政治 的 自由 と平 等 を帰納 的 に主張 して い る。
「あ らゆ る社会 の 中で、 もっ とも古 く、 そ して唯一 自然 な社会 は、家族 とい う社 会 で あ
ー 69 ‑
る。 子供 は、 自己 を保 存 す るた め に父親 を必 要 とす るあい だ だ け、 引 きつ づ き父親 に結 び つ け られ て い る。 そ の必要 が な くな るや い なや、 この 自然 の きず なは解 け る。 子供 は父親 に服従 す る義務 を免 れ 、 父親 も子 供 の世 話 をす る義務 を免 れて 、 両 者 は等 し く独 立 の状 態 に戻 る. [・ ・ ・] [父 と子 に]共 通 す る この 自由は、 人 間 の本性 の結 果 で あ るO 人 間悼 の第 一 の按 は、 自己保 存 に留意 す る こ とで あ り、 そ の第 一 の配慮 は、 自分 自身 に対 して な され るべ き配慮 で あ る。 そ して、 人 間が もの ご ころつ く年 頃 に達 す るや い なや、 自分 の み が、 自己保 存 に適 す るい ろい ろな手段 の判定 者 とな るの で、 そ の理 由に よ り、 人間 は 自分
自身 の 主 人 とな るので あ る。
それ ゆ え、 家族 は いわ ば政 治社 会 の最初 の雛 型 で あ る。首長 は父親 にた とえ られ 、人民 は子 供 に た とえ られ る。 両者 ともに、平 等 か つ 自由に生 まれ つ いて い るの だ か ら、 自分 た ちの得 に な るので な けれ ば、 自由を譲 り渡 した りは しな い。」 (12)
さ らにパ リ盆 地 は大規模 農 業 経 営 が支 配 的 な地 域 で、 土地 も財 産 も持 た な い農 業 労働 者 が 農 業 人 口全 体 に対 して 占め る割 合 が高 か った O ヴ ェ‑ バ ーが 言 う よ うに、強 い信 仰 心 は経 済 的独 立性 を必要 とす るこ とを考 え る と(13)、 も とも とこの地 域 の農 民層 の信 仰 は強 い もので はな か った と思 われ る。 この地 域 の宗教性 を支 えて い た の は む しろパ リの都 市市 民層 で あ るが 、文 化 的水 準 が高 か った彼 らは理 神 論 的 な らび に無神 論 的啓 蒙 思 想 に直撃 され、 早 々 に信 仰 を捨 て 去 って しま う。 それ に よって、 この地 域全 体 の脱 キ リス ト教 化 は促 進 され る。 カ トリックが後 退 した後 、 それ と本質 的 に 同 じ精 神 的基 盤 の上 に、 自由 と平 等 を求 め るイデ オ ロギーが生 まれ る こ とに な る。 この よ うに見 る と、 フラ ンス革命 が まさ にカ トリック圏以外 で は起 こ りえ なか っ た とい う こ とが理解 で き る。
フラ ンスの民族 主義 は すで に革命 期 に形成 され て いた。 カ トリック にかわ って 「 (フラ ンス ) 民族 」 とい う概 念 が神性 を帯 び る。 しか しフラ ンスの民族 主義 は、個 人 の 自由 と平 等 を求 め る 普 遍 主義 と同 じ理念 に支 え られ る。 つ ま り、 人 間 と諸 国民 の平 等 の原 則 で あ る。 しか し、 この 普 遍 主 義 的 民 族 主 義 が 現 実 に求 め る もの は、 他 民 族 の個 人 を 自由に し、 そ の個 人 を 同化 す る (フラ ンス人 と平等 にす る) こ とで あ る。 ナ ポ レオ ンの ヨー ロ ッパ征 服 の試 み は、他 民族 の 万 人 を解 放 し、 「自由 と平 等 を愛 す る」民族 に 同化 す る とい う、 この普遍 主義 的 民族 主義 の野 望 で あ った と言 え な い こ ともな い。
19
世 紀後 半 の労働 者 の増 加 に ともな い社 会 主義 とい う新 た なイデ オ ロギー が誕 生 す るこ と に よ って、 フ ラ ンス のイデ オ ロギー は民族 主義 と社 会 主義 に二 分 され る。社 会 主義 が労働 者 階 級 を ま とめ よ う とす るこ とか ら、 民族 主義 は それ以 外 の階 級 の利 害 を代 表 す るよ うな構 図が 生 まれ、 左 実 と右 翼 の対 立構 造 が 出現 す る。 しか し平 等 主義 は、政 治 的 な領 域 にお いて権 威 を強 く否定 す る傾 向が あ り、 そ の イデ オ ロギー は 国家 や堅 固 な組 織 を受 けつ け ない アナ ー キ ー (個 人 主義 的 )な性 格 を持 つ 。 すで に フラ ンス革命 で もそ う した傾 向が あ った よ うに、 自由 と平 等 を求 めた パ リ ・コ ミュー ンが組 織化 を嫌 い国家 その もの を否定 した無政 府 主義 的 な革命 で あ り、そ の後 の社会 主義運 動 も数 多 くの 小 グル ー プに分 散 し続 けた事実 、 また新 た な民 族 主義 (ボ ナ パ ル テ イスム )が 「権威 へ の嫌 悪 」 、 「組 織 能 力 の欠 如 」、 あ るいは 「厳 格 な教 義 の拒 否」 と い った左 翼 と同様 の性格 を分 か ち合 って い た こ とを考 え る と(14)、 表 面上 の左 翼対 右翼 とい う 対 立構 造 は両陣営 の異 質性 を示 す もの とはい え ない。 つ ま り、社 会 主義 が階級 の概 念 に依拠 し、
民族 主義 が民 族 の統 合 を計 る とい う政 治 目標 の違 いが あ るにせ よ、 両 者 とも フラ ンス革命 が 求 め た普遍 主義 的 人間 のイ マー ジュの系 譜 に身 を置 い て い る と考 え る。 右 に しろ左 に しろ、 自由
と平 等 とい う理 想 を否定 す る こ とはで きな い の で あ る。
自由 と差 異 を求 め る系譜
イ ング ラ ン ドは、 外 部 の人 間 に とって は不 思議 な 国で あ る。 マ グナ ‑カル タ以来 連綿 と自由 を求 め る伝統 は、 14世 紀 に は い ち早 く議 会 制 を発 展 させ、 ピュー リタ ン革命 に よ って 早 くも 17世 紀 半 ば に して 近代 ヨー ロ ッパ 最初 の共 和制 を うちたて た。王政 復 古後 も名誉 革命 を とお して 「権 利 の 章 典 」 を発 布 し、 王権 の制 限 、議 会 の 立法 権 の確 立、議会 内 にお け る言論 の 自由 の保 障 な どを勝 ち取 り、 立 憲 君 主制 に基 づ く近代 市 民社 会 の基 礎 を築 く。 な ん とフラ ンス革 命 よ り百年 以上 も前 の こ とで あ る。 この よ うに イギ リス (イ ング ラ ン ド) 人 は 自由を求 め てや ま な い。 に も拘 わ らず彼 らは、 自分 た ちの思想 に学 び、 それ を発 展 させ た フラ ンス啓 蒙思 想 家 た ちが 自由の概 念 に平 等 の概 念 を 当然 の ご と く結 び つ けた の とは違 い、 す こ しも平等 を求 め る こ とを しなか った。 ヴ オル テ ー ル が書 いて い るよ うに、 「イ ギ リス にお け る内乱 はつ ね に 自由の 原 則 を承 認 す る こ とに終 わ って い る」(15)の で あ る。 この傾 向は近代 化 が進 展 して い く後 の時 代 に も、 イギ リス社 会 が示 す特徴 と して生 き残 る。 い ち早 く議会制 を確 立 させ た に も拘 わ らず、
イ ギ リス にお け る普 通選 挙 の 導 入 は19 18年 で 、 これ は フ ラ ンスの1848年 、 さ らに ドイ ツの1871年 に も遅 れ を とって い る。普通 選 挙 導 入後 にお いて も、 大学教 員や商 工業 財所 有 者 とい った特 定 の個 人 には二 重投 票権 が維 持 され 、 「一 人 一 票制 」 は
1950
年 の総 選 挙 か らよ うや く実現 され た (16)。選 挙制 度 は この時期 か ら小選 挙 区制 が導 入 され、総 得 票数 が 下 回 る 政 党 が よ り多 くの議 席数 を獲 得 す る こ とも許 容 され て い る。
トッ ドの分 類 に よれ ば、 イ ング ラ ン ドに支 配 的 な家族 制 度 は絶 対核 家族 で あ る。成 人 した子 供 は早 い時期 に親 元 を離 れ、 独 立 した世 帯 を築 き、 自由 に生 きて行 か な けれ ば な らない。 しか し財 産 の相続 に関 して は、 父親 は 自分 の意 志 で相続 人 を決 め る。 つ ま り、 この家族制 度 の特 徴 は、 自由へ の傾 斜 と平 等 に対 す る無 関 心 で あ る。 この二 つ の原理 か ら導 か れ る価 値 観 は、絶 対 的 な個 人 主義 で あ る。 この個 人 主義 的性 格 は、 プ ロテ ス タ ンテ ィズ ムの受 容 を促 すが、 父親 に 対 す る 自由主 義 が もた らす 弱 い神 の イ メー ジは
1620
年 以 降 は 正統 プ ロテ ス タ ンテ ィズ ム (カル ヴ ァ ン主義 ) の変形 を迫 る。結 果 的 に イ ングラ ン ドの キ リス ト教 は、 すで に見 た よ うに 予定 説 を否定 す るア ル ミニ ウ ス派 が 中心的 存在 とな る。「17
世 紀 イ ギ リスの知 的歴 史 の最 も 魅 惑 的 な問題 の一つ は、 カル ヴ ァ ン主義 の崩壊 で あ る。 [・ ・ ・]1640
年 以前 には、 カル ヴ ァ ン主義 は賛 課 派 お よび聖 礼 派 の アル ミニ ウス派 に よ る右 か らの攻撃 に さ らされ て い た。 と ころが 革命 の 間 は、 ジ ョン ・グ ッ ドウ イン、 ミル トン、 クエ ー カ ー教 徒 とい った左 翼合 理 主義 アル ミニ ウス派 に攻 撃 され た の で あ るO」 (17)ク リス トフ ァー ・ヒル の この指摘 が示 す よ うに、ピュー リタ ン諸 宗派 (クエ ー カー 、独 立派 の多 く、 ジ ェネ ラル ・バ プテ ィス ト) は アル ミニ ウ ス派 の性 格 を備 え、 カル ヴ ァ ン主義 の プ レス ビテ リア ン と対 立 した。何 故 な ら、後 者 が あ くま で純粋 な 「神 の選択 」 とい う概 念 を文 字 どお り信 じて いた ‑ つ ま り人 間 には誰 が選 択 され て い るか わか らない ‑ の に比べ 、 前 者 は そ の非 平 等 の概 念 を捨 て たわ けで は な いが 、 「選 ばれ た者 の集 ま り」 (「教 会 契 約 」 )や 「内 な る光 」 とい う 自覚 を肯定 したか らだ 。
も とよ りア ン グ リカ ンは、 ヘ ン リー
8
世 の政 治 的 な思 惑 か ら行 なわ れ た宗教 改 革 の結 果成 立 した もので、 た だ ロー マか ら自由 にな る こ とだ けが 目的 だ った。実 質的 には、 国王 自 らが 国教 会 の首 長 にな り、政 教 一致 を計 ったわ けで、 本来 の プ ロテ スタ ンテ ィズが 目指 した信仰 の個 人 主義化 とは異 な るもの だ った 。 そ の意 味 で、 ア ング リカ ンは カ トリック に最 も近 い。ピュー リタ ン的 アル ミニ ウス 主義 は、 地 上 で の信 仰 の 自由を求 め る、 つ ま り宗教 的 エ リー ト の地 上 で の権 威 を拒 否 す る とい う意 味 で は あ くまで も プ ロテ スタ ン ト的 で あ るが、 「選 ばれ た
‑ 7 1 ‑
者 の 自覚 」 とい う人 間の 自由意 志 を再 導 入 して い る ところは、 正統 プ ロテ ス タ ンテ ィズ ム とは 異 な る。 こ う した ピュー リタ ンの考 え方、 お よび ピュー リタ ンが数 多 くの分 派 に枝 分 か れ して い った とい う事 実 は 、彼 らが徹 底 的 した信 仰 の 自由、 つ ま り神 に対 して の 自由、 お よび 地上 の 権 威 で あ る教 会 に対 す る 自由の いずれ を も求 め て い た こ とを物語 って い る。
こ う した ピュ ー リタ ン的個 人 主義 お よび 自由主義 の 土壌 の なか で こそ、 主権 者 で あ る人民 の 社 会 契約 に よ って信 託 を受 けた 国家権 力 は、 市民 の権 利 と 自由を侵 して はな らず、 それ が守 ら れ な い と きは 人民 は いつ で も政 府 を交替 せ しめ る こ とが で きる、 とい う ロ ックの 自由主 義 を基 盤 に した民 主 主 義理 論 が誕 生 した。
他 の プ ロテ ス タ ン ト諸 国 と同様 、 イ ギ リスで も
19
世 紀末 にキ リス ト教 の後 退 が起 こ る。 キ リス ト教 の後 退 で空 自に な った場 所 を イデ オ ロギ ー が 引 き継 ぐの も、 他 の 国 々 と同様 で あ るO しか しイ ギ リス に特 徴 的 なの は、 英 国国教 会 と非 国教 会 派 との宗教 的 対 立構 造 が、 二元 的 な イ デ オ ロギ ー対 立 に引 き継 がれ る とい うこ とで あ る。 す なわ ち、 保 守 党対 自由党 あ るいは労働 党 とい う対 立で あ る。労働 党 は明 らか に労働 者 階級 の利 害 を代 表 す る とい う限 りにお い て 「社会 主義 的 」で あ るは ず だが 、社会 の構 造 的 変革 は ま った く目指 さな い奇 妙 な政 党 で あ る。国 家 に対 す る 自由は主 張 す るが、 社会 にお け る労 働 者 の平 等 に は根 本 的 に無 関心 な ので あ る。平 等 を求 め るフラ ンス 人 が 人 間 の普遍 性 を求 め るの に反 し、 イ ギ リス人 は平 等 に対 す る無 関 心 か ら人 間 (階 級 ) の差 異 化 を容 認 す る。差異 が 明確 か つ 自明 の こ とで あ る こ とか ら、 階級 意 識 とそれ ぞれ の階級 に対 す る帰 属 意 識 は きわ め て強 い もの に な る。 イ ギ リスが今 日で もなお 王 室 を維 持 し、 それ に相応 す るよ うに階級 社 会 の性格 を色濃 く残 して い なが らも、 反 面、 国民 が 王 室 を笑 いや ス キ ャ ンダル の種 に しなが ら、 自 由に非 害 した り禁 しん だ り、 あ るいは 同情 した りして い るの も、 イ ギ リス 特 有 の個 人主義 的 (非 平 等 主義 的 ) 自由主 義 に 由来 す る とは考 え られ な いだ ろ うか 。
国 内に お いて 階級 意識 を基 礎 づ け、様 々 に異 な る階級 の存在 を容 認 す る価 値 観 が、差 異 の原 理 に基 づ く個 人 主義 (‑非 平等 主義 ) と 自由主義 に よ って支 え られ て い るの と同様 に、 イギ リ ス の民族 主義 も民族 の差 異性 と 自由を容 認 す る。 イ ング ラ ン ドの帝 国 主義 は、他 民 族 の個別 性 を認 め、 同化 と均 質化 を強 要 しない 「寛 容 さ」故 に大 きな成功 を収 め た、 とい う逆 説 が成 り立 つ。 この意 味 で イギ リス人 の民族概 念 は、 民 族 文化 の 同化 を求 め る フラ ンス の普遍 主義 や、 民 族 間 の優 劣 を 主張 し、 「劣 等 な」民族 を支 配 しよ う とす る ドイ ツの 白民族 中心主 義 とは本 質 的 に異 な る。帝 国主義 時代 の スペ イ ン人 や ポル トガル 人 が他 民族 と混血 して い った の とは対照 的 に、 イギ リス 人 はオ ー ス トラ リア にお いて も南 ア フ リカ にお いて も、 あ るい は イ ン ドや香 港 に お いて も他 民 族 と融 合 しよ う とは しなか った 。 自由 とい う唯 一 の原 理 の上 に成 り立 って い るア メ リカ合 衆 国 で、今 日なお ヨー ロ ッパ 系 ア メ リカ 人 と非 ヨー ロ ッパ 系 (特 にア フ リカ系 )ア メ リカ人 との融 合 が進 まな いの は、 建 国 の理 念 で あ るア ング ロ ・サ ク ソ ン (イ ング ラ ン ド)文 化 に 由来 す る差 異 の原 理 に基 づ く個 人 主義 的 自由主 義 の陰画 とも言 え る0
以 上見 た とお り、 イ ギ リス の文化 に一 貫 して流 れ るの は徹 底 した非 平 等 主 義 的個 人主 義 で あ り、 それ は 自由‑ の飽 くな き欲 求 に支 え られ て い る。 ドイ ツの宗教 改 革 と異 な り、 17世紀 の ピュー リタ ンの 宗教 活 動 が政 治 的性 格 を持 っ たの も、 この個 人 主義 的 自由主義 の結 果 で あ る。
また、 今 日なお 階級 社会 の性 格 が 西 ヨー ロ ッパ で最 も強 く残 って い る こ との淵 源 も、平 等 に は 根 本 的 に無頓 着 な 自由主義 に求 め る こ とが で き る。
お わ りに
以 上見 て きた よ うに、 ヨー ロ ッパ近 代 は多様 な価 値 観 とそ の実践 の衝 突 の場 で あ った 。 ヨー
ロ ツパ の近代 史 は、 回 り道 をせ ず理想 に まっ し そらに突 き進む よ うな調和 の とれ た文化 のなか にはなか った 。様 々 な曲折 を経 て、 不 安定 な足取 りで少 しづつ進 んで来 た と言 え る。 しか しそ う した複雑 な歴 史 を通 じて、 時代 か ら時代 へ と継承 されて来 た価値 の系譜 の存在 も、 また否定 で きない。それ は、 トヅ ドが終始 一貫 して実証 的 に主張 して い る家族制度 とい う 「人類 学的基 底 」 を出発点 とす る決定 論 的 な系譜 なのだ ろ うか ‑ トヅ ド自身 は 自 らの仮 説 が決定論 吋 とは 考 えて いない と言 ってい る。 なぜ な ら家族制度 は基底 的で はあ るが、 あ くまで (充分条 件 で な く)必要条件 の一つ に過 ぎず、他 の要件 との組 み合 わ せが必要で あ る と考 えて い るか らだ。 た だ本稿 の 目的 は も とよ り、 トッ ドの仮 説 を批 判 的 に検 証 し、 その妥 当性 を確 か め る ところにあ ったわ けでは ない。 「人類 学 的基底 」 に よって合理 的 に説 明 され るヨー ロ ッパ 近代 の多様 な 出 来 事 その もの と、 出来事 と出来 事 の関係性 と多様性 を浮 き彫 りにす るため に、 トッ ドの仮説 を 借 用 しただけ の ことであ る。 さ らに トッ ド理 論 は非 常 にマ ク ロな人類 学 的文化 論 とで も言 うべ きもので、 それ ぞれ の文化 の系譜 は、 あ くまで もその平均 的 な全体像 を提 示 して い るに過 ぎな い と考 え るべ きであ る。一般化 されて しまった平均像 には現 われ ない個別 的 主体 の営み が、 そ の裏 には数 多 く隠 されて い るこ とも忘れて は な らない。 さ もな けれ ば、歴 史 はあ らか じめ決 め られ た軌 道 を、決定 論的 にた どって行 くだ けの こ とにな って しまう。歴史 つ ま り人間の生の営 み は、本来 予測不能 なダイナ ミズ ムの なか にあ る。事後 に、 予測 で きなか ったその時点 に戻 っ て 予測 し直す こ と、 つ ま り歴 史 的事項 を跡 づ け し、 分類 す るこ とは可能 で あ るが、歴 史 が分類 を追 いか け るこ とは ないはずで あ る。
しか し、 こ こに明 らか にされ た近代 ヨー ロ ッパ文化 の様 々な系譜 が、 その発 生 の説 明 の妥 当 性 は別 に して、歴史 的事実 と して存在 す る こ とは認 めな けれ ばな らない。 ただそれが、 トッ ド が示唆 してい るように、未来永劫 変わ ることのない ものであ るとい うこ とには な らないだ ろう。
本稿 で は扱 えなか ったが、第二次世界 大戦後 つ ま り現代 の ヨー ロ ッパ、 さ らに未来 の ヨー ロ ッ パ も同様 の 「人類学 的基底 」 に限定 されてい る とい う トッ ドの示唆が正 しいか どうかの判断は、
歴 史 の進行 を まつ以外 にない。 当面は、 トヅ ドが 明確 に反 対 の意志表 明 を して い る、 ヨー ロ ッ パ統合 の進展 を見守 るこ とに したい。
注
1
)エ マニ ユエル ・トッ ド : 『新 ヨー ロ ッパ 大全 Ⅰ』 、 『新 ヨー ロ ッパ 大全 ⅠⅠ』 、藤 原 書店 、 1992‑ 93年参照2)エル ンス ト ・トレル チ : 『ル ネサ ンス と宗教 改革』、 岩波文庫、 1994年、P.26 3)前掲 書、P.28
4)前掲 書、P.38
5) ジ ョル ジ ュ ・バ タイユ : 『呪われ た部 分』、二 見書房、 1995年
、P.
1556)マ ックス ・ヴェバー : 『プ ロテ スタ ンテ ィズムの倫理 と資本 主義 の精 神』 、岩波文庫 、 199
4
年、P.
17‑187)前掲 書、特 に第 一章 、第三節参 照 8)バ タ イユ :P.155
9
) トッ ド : 『新 ヨー ロ ッパ大全 ⅠⅠ』 か ら引用、P. 1 9
10)トレルチ :P.61ll)村上 陽一郎 : 『新 しい科 学論』 、講 談社、 1987年、P.111
‑
73 ‑
12)ジ ャ ン ・ジ ャ ック ・ル ソー : 『社 会 契 約 論 』 ル ソー全 集 第 5巻 、 白水 社、 1979年、