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自己調整学習能力とトレーニング効果の関連

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Academic year: 2021

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(1)

自己調整学習能力とトレーニング効果の関連

著者 畝中 智史, 横山 茜理

雑誌名 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報

巻 10

ページ 137‑139

発行年 2019

URL http://doi.org/10.24794/00002967

(2)

─  ─ 137

2020年3月 March,2020 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報 第10号

Bulletin of the Northern Regions Lifelong Sports Research Center Hokusho University Vol.10

自己調整学習能力とトレーニング効果の関連

Relationship of the Self-Regulation of Learning and the Effect of Weight Training

畝 中 智 志

1)

  横 山 茜 理

1)

U

NENAKA

Satoshi

1)

  Y

OKOYAMA

Akari

1)

キーワード:スポーツ版自己調整学習尺度,最大発揮筋力,ウエイトトレーニング

Ⅰ.はじめに

 スポーツ競技では,選手は自らの心身の限界に挑み,

その成果を発揮するという目標のために日々練習を積み 重ねている。自ら課題を設定・計画を立て,実際に実行 に移し,振り返りや評価を行ったあとに改善していく過 程は,学業だけでなくスポーツ競技の技術練習や各種ト レーニングにおいても同様に行われている。実際の競技 の練習場面を鑑みると,上記の過程は“練習の質”を向 上させるという役割を果たしている。

 幾留他

1)

は,スポーツ選手が取り組んでいる練の質を 評価する指標として,スポーツ版自己調整学習尺度を作 成した。自己調整学習とは,予見段階(目標設定や計画 などの方略),遂行制御段階(実際の課題遂行に関連す る方略),自己省察段階(遂行後の評価や反省)の3つ の段階があり,課題達成へ向けて各段階が影響しながら 進んでいく過程である

2)

。また,スポーツ版自己調整学習 尺度では,学習者の動機づけの評価も含まれており,課 題に対しての意欲も測定可能であるとされている。実際 に尺度を作成する過程で,大学の体育系学部に所属する 大学を対象に調査を行い,競技レベルの高い選手が低い 選書に比べて自己調整能力が高いことを報告している

1)

。 したがって,自己調整学習能力の高い選手は,学習成果 が高くなる(トレーニング効果が高い)と予想できる。

 そこで本研究では,選手の自己調整学習能力と指導者 側からの計画,遂行の指示,反省を実施していない(す なわち自ら課題に取り組まなければならない)ウエイト トレーニング効果の関係を明らかにすることを目的とし た。

Ⅱ.方法 1.実験参加者

 H大学男子バスケットボール部に所属する学生選手20 名を対象とした。そのうち,すべての測定項目の測定が 完了した13名のデータを使用した。

2.測定項目

1)スポーツ版自己調整学習尺度

 「計画」 「自己効力感」 「セルフモニタリング」 「エフォー ト」「評価・内省」の下位尺度からなり,41項目の質問 で構成される自己学習測定能力を測定する質問紙であっ た

1)

2)最大発揮筋力

 ベンチプレス・スクワット・デッドリフトそれぞれの 種目において,十分なウォーミングアップ後に1回の最 大挙上重量を測定した。すべての種目は2〜3日間の間 で測定された。

3.測定期間

 最大発揮筋力の測定は,2018年5月下旬と2019年7月上 旬に測定が行われた。質問紙は2018年6月に実施された。

4.統計処理

 各種目の最大挙上重量について,2018年5月下旬

(2018.5)測定結果と2019年7月上旬(2019.7)測定結果 のそれぞれの平均を求め,対応のあるt検定を行った。

また,2018.5測定結果から2019.7測定結果までの個人の 変化率を算出し,スポーツ版自己調整学習尺度得点との 相関を求めた。

1)北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科

(137〜139)

(3)

─  ─ 138

自己調整学習能力とトレーニング効果の関連

Ⅲ.結果および考察 1. トレーニング結果

 ベンチプレス・スクワット・デッドリフトの最大挙上 重量の変化について図1に示した。t検定の結果,ベン チプレスでは2018.5測定結果より2019.7測定結果が有意 に高かった(p < .01)。スクワットに関しては,有意な 差は認められなかった。デッドリフトに関しては有意傾 向(p = .08)が認められた。

 個人での各トレーニングの変化率とスポーツ版自己調 整学習尺度得点の相関を図2に示した。ベンチプレスお よびスクワットの変化率と尺度得点では有意な相関は認 められなかったが,デッドリフトの変化率とは有意傾向 ではあるが相関関係が認められた(p=.08)。

 各トレーニングは,約1年間の期間を経てベンチプレ スが平均8.9kg,スクワットが平均1.8kg,平均9.6kg向 上した。種目別では,スクワットのみトレーニング効果 が得られなかったことを示している。同H大学バスケ部 を対象としてトレーニング結果の変化を調査した千葉

3)

は,4年間でベンチプレスが平均22.9kg,スクワットが 平均47kg増加していると報告している。本研究とはト レーニング期間が異なるため,単純な比較とはならない がスクワットについては今後取り組みの改善が必要であ

るといえる。それぞれの変化率に着目すると,ベンチプ レスでは100%を下回る選手がいなかったものの,スク ワット・デッドリフトではそれぞれ4名と3名が下回っ ており,今回実験参加者となった選手は,下半身よりも 上半身のトレーニングを重点的に行っていた可能性が考 えられる。

 ウエイトトレーニングへの取り組みについて,参加 者それぞれの自己調整学習能力と測定結果に関しては,

デッドリフトのみ相関に有意傾向が認められた。またト レーニング効果のあったベンチプレスにおいては,有意 ではないが弱い正の相関関係がみられた。したがって,

トレーニング効果が認められた種目については,自らが 効果的に課題に取り組むために必要な自己調整学習能力 との関連があると考えられる。

Ⅳ.結論

 指導者が介入しない状況下のトレーニングの効果と,

自ら計画・実行・評価・改善を行う自己調整学習能力に は関連がある可能性が示唆された。しかしながら,分析 に使用できた人数が13名と少数であったため,今後も対 象人数を増やして検討を続ける必要がある。

図1 各種目のトレーニング結果

図1 各種目のトレーニング結果の変化率と自己調整尺度得点の関係

(4)

─  ─ 139

北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報 第10号

付 記

 本研究は,2018・2019年度北方圏生涯スポーツ研究セ ンター・センター選定事業として実施された。また,本 研究に関して申告すべき利益相反状態はない。

文 献

1) 幾留沙智,中本浩揮,森司朗他:スポーツ版自己 調整学習尺度の開発.スポーツ心理学研究,44:

1-17,2018.

2) Zimmerman, B J:Development and adaptation of expertise:The role of self-regulatory processes and beliefs. In:Ericsson, K. A. et al. (eds.) The Cambridge handbook of expertise and expert performance. 705-722, Cambridge University Press, 2006.

3) 千葉直樹:H大学男子バスケットボール部員の最大

筋力の変化.北翔大学北方圏生涯スポーツ研究セン

ター年報,7:131-132,2016.

参照

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