『人文コミュニケーション学科論集』17, pp. 31-50. © 2014茨城大学人文学部(人文学部紀要)
稲葉奈々子・大曲由起子・髙谷 幸・樋口 直人・鍛治 致
要約
本稿では、1985年に実施された国勢調査データのオーダーメイド集計を 用いて、この時期における韓国・朝鮮籍と中国籍の仕事にみられる特質を 描述する。これまで韓国・朝鮮籍の自営業従事比率の高さは知られてきた が、中国籍との比較はなされてこなかった。韓国・朝鮮籍の自営業従事比 率の方が10ポイント程度高いものの、中国籍も十分に高い。両者の違いは、
中国籍の方が全体として階層が高く、自営業に従事する場合でも経営規模 が大きいことである。
1 問題の所在
本稿では、1985年に実施された国勢調査データのオーダーメイド集計から、この時点で の在日外国人の仕事を描き出す1。1985年は、ニューカマーが本格的に増加する前であり、
その時に実施された国勢調査もそうした人口構成を反映している。85年は、女性差別撤廃条 約批准に伴う改正国籍法が施行された年でもあり、父系制から父母両系制へと国籍法が変化 した。これ以降、母親が日本籍の国際結婚カップルから生まれた子どものほとんどが、日本 国籍となった。特に日本人との結婚が多い在日コリアンにとって、この法改正が国籍構成に 及ぼす人口学的な影響は大きい。本稿の第一の目的は、こうした人口学的な転換点における 在日外国人の職業構成を、国勢調査データから明らかにすることにある。
本稿の第二の目的は、在日コリアンの従事する産業構造の変化について検討することにあ る。韓載香(2010)の画期的な研究では、1980年代になって製造業からサービス産業への 転換が、在日コリアンについては日本全体より急速に進んだとされている。エスニックな連 帯が新たなニッチへの移動を可能にし、在日コリアンのビジネスは衰退を免れたという韓の 説は、国勢調査からどこまで妥当だといえるのだろうか。明快な議論はそれに続く研究を触 発するものであり、韓の問題意識を受けて在日コリアンのエスニック経済の変化をあとづけ ていきたい。
2 国籍と職業
2.1 職業小分類
表1では、国籍別に職業小分類の比率を示している。これをみると、専門職での中国籍の 比率が高く、日本籍と比較した時のオッズ比が5以上になるものもいくつかある。韓国・朝 鮮籍の場合、医師の比率がやや高いほか専門職で目立ったニッチはない。中国籍については、
日本の医師免許を持つ台湾籍の医師と歯科医師が、日本の主に過疎地に招聘されていること による(髙谷ほか 2014a)。日本への留学生が大々的に増える以前であるため、それ以外の 専門職比率の高さは、老華僑の社会移動の結果とみることができる。これについては、さら に5年遡った1980年データをみることで明らかになるだろう。韓国・朝鮮籍で専門職の比率 が低いのは、人的資本に恵まれたものがビジネスを指向した結果だと考えられる2。
それに対して、会社や団体役員の比率は韓国・朝鮮籍、中国籍とも日本籍よりかなり高い。
6~7%は役員となっており、大企業の比率が低いとはいえ商工人になることが上昇移動へ の最短経路であることをうかがわせる。ただし、表では割愛したが管理職の比率は低く、中 小零細を中心とするエスニック・ビジネスの枠内という限界も示す。こうした傾向は中国籍 でも同じであることから、専門職比率の高い分だけ中国籍の方が全体としての階層は高いと も思われる。
一方で、事務職の比率は韓国・朝鮮籍も中国籍も日本籍より低い。たとえば、ハワイのよ うな民族的多様性が高い社会では、専門・管理職=白人、事務(及び中間管理)職=日系人 というようにホワイトカラーのなかでも民族的ヒエラルキーが存在する(山中 1993)。だが、
日本において事務職は日本籍優位の状況にあり、それが就職差別の所産なのか否かは時系列 的な変遷をみて検証せねばわからない。
商業については、小売店主の比率がやや低い一方で、卸売と飲食店主は高い。特に飲食店 主のオッズ比は韓国・朝鮮籍も中国籍も6前後に達している。下段の調理人や給仕従事者も 含めれば、韓国・朝鮮籍で約15%、中国籍で約25%を占めるだけの雇用吸収力を持つ産業 となっている。ただし、細かくみれば違いもある。韓国・朝鮮籍の場合、調理人のオッズ比 は2.6、給仕従事者は3.0であり、飲食店主の6.1より低い。飲食産業に従事していても、店主 になる比率が高いことを意味しており、意味ある上昇移動の経路になっているといえるだろ う。中国籍の場合、調理人が6.6、給仕従事者が4.6に対して飲食店主が5.8だから、調理人の 多さが特徴となる。中華料理店が多いことが、技能職ニッチにつながっていることになるが、
これが三把刀と呼ばれる老華僑に該当するのかは1980年のデータをみないとわからない。
再生資源卸売・回収は、在日三大産業の1つと呼ばれてきた金属リサイクルを含むため、
オッズ比は32.2と突出している。しかし、絶対的な比率としては3%弱と雇用吸収力は飲食 業の5分の1程度にしかならない。また、このニッチは斜陽産業であることから、従事者数も これ以降激減していく。恐らくは新規参入者が少ないため、高齢になって後継者もおらず廃
表1 職業小分類(15歳以上)
日本 韓国・朝鮮 中国
N 万分率 N 万分率 オッズ比 N 万分率 オッズ比 自然科学系研究者 94,130 16 70 3 0.2 70 29 1.8 情報処理技術者 320,240 55 470 19 0.4 170 71 1.3
医師 180,650 31 1,040 43 1.4 820 341 11.3
歯科医師 62,580 11 280 12 1.1 220 92 8.6
薬剤師 92,640 16 480 20 1.2 90 37 2.4
看護師 666,760 115 730 30 0.3 60 25 0.2
あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう
師,柔道整復師 81,740 14 240 10 0.7 90 37 2.7
大学教員 127,420 22 220 9 0.4 300 125 5.7
デザイナー 126,600 22 540 22 1.0 70 29 1.3 俳優,舞踊家,演芸家(個人に教授するも
のを除く) 38,140 7 130 5 0.8 190 79 12.1
会社役員 1,411,610 243 13,620 562 2.4 1,690 704 3.0
その他の法人・団体の役員 60,530 10 490 20 1.9 30 12 1.2 他に分類されない管理的職業従事者 87,090 15 2,620 108 7.3 40 17 1.1 一般事務員 7,179,270 1237 20,210 834 0.6 1,990 828 0.6
小売店主 1,180,680 203 3,750 155 0.8 400 167 0.8
卸売店主 219,010 38 1,890 78 2.1 210 87 2.3
飲食店主 384,290 66 9,520 393 6.1 890 371 5.8
販売店員 3,063,210 528 8,570 354 0.7 970 404 0.8
再生資源卸売・回収従事者 50,220 9 6,580 272 32.2 40 17 1.9 商品販売外交員 1,804,840 311 5,020 207 0.7 630 262 0.8 外交員(商品,保険,不動産を除く) 631,860 109 2,820 116 1.1 110 46 0.4 不動産仲介人・売買人 218,610 38 3,020 125 3.3 220 92 2.4 自動車運転者 1,831,090 316 13,580 561 1.8 270 112 0.3
鋳物工 63,100 11 330 14 1.3 30 12 1.1
金属工作機械工 391,700 68 1,950 81 1.2 210 87 1.3 金属プレス工 179,790 31 1,140 47 1.5 110 46 1.5 金属溶接工 326,310 56 1,880 78 1.4 60 25 0.4 鉄工,びょう打工,製缶工 110,310 19 720 30 1.6 20 8 0.4
めっき工 48,720 8 290 12 1.4 20 8 1.0
その他の金属加工作業者 802,820 138 5,450 225 1.6 220 92 0.7 一般機械器具組立工 455,030 78 980 40 0.5 240 100 1.3 電気機械器具組立工 919,520 158 1,510 62 0.4 300 125 0.8 自動車組立工 102,630 18 70 3 0.2 20 8 0.5 編物工,編立工 62,570 11 800 33 3.1 20 8 0.8
染色工 71,950 12 1,350 56 4.5 20 8 0.7
ミシン縫製工 661,850 114 2,800 116 1.0 200 83 0.7 その他の衣服・繊維製品製造作業者 204,790 35 1,260 52 1.5 80 33 0.9 ゴム製品成形工 83,820 14 790 33 2.3 20 8 0.6 プラスチック製品成形工・加工工・仕上工 259,210 45 3,240 134 3.0 110 46 1.0
製革工 8,890 2 160 7 4.3 0 0 0.0
靴製造工・修理工 55,770 10 5,240 216 23.0 0 0 0.0 その他のかわ・かわ製品製造作業者 17,550 3 460 19 6.3 0 0 0.0 パン・菓子製造工 251,060 43 430 18 0.4 170 71 1.6
とび工 76,710 13 700 29 2.2 10 4 0.3
配管工,鉛工 282,020 49 2,540 105 2.2 40 17 0.3 土木工,舗装工 785,550 135 8,130 336 2.5 130 54 0.4 建設機械運転工 124,970 22 1,670 69 3.2 10 4 0.2 塗装工,画工,看板工 345,630 60 2,560 106 1.8 80 33 0.6 かばん・袋物製造工 47,680 8 1,330 55 6.7 20 8 1.0
清掃員 473,460 82 3,040 126 1.5 120 50 0.6
理容師 266,430 46 310 13 0.3 220 92 2.0
美容師 358,900 62 1,500 62 1.0 70 29 0.5
調理人 1,586,620 273 16,410 677 2.6 3,740 1557 6.6
バーテンダー 20,070 3 400 17 4.8 50 21 6.0 給仕従事者 822,540 142 10,090 417 3.0 1,490 620 4.6 接客社交係 97,170 17 1,150 47 2.8 100 42 2.5 娯楽場等の接客員 277,740 48 6,090 251 5.4 370 154 3.3
総数 58,027,930 242,220 24,020
業する例が多いと思われる3。
それ以外の商業をみると、絶対的な比率は高くないが不動産業者のオッズ比が韓国・朝鮮 籍で3.3、中国籍で2.4と一定のニッチになっている。一方で、自動車運転者のオッズ比は韓 国・朝鮮籍で1.8、中国籍で0.3と対照的であった。ここでいう「自動車」の多くはタクシー と思われ、移民にとって従事しやすい職業としてのタクシー運転手という通念は、韓国・朝 鮮籍についてのみ当てはまることになる。
製造業のなかでは、韓国・朝鮮籍の金属関係がやや高く、縫製関係がさらに高いほか、靴 製造が突出して高い。金属関係のオッズ比は1.5前後とニッチと呼べるほど集中しているわ けではないが、機械や電機のオッズ比が低いことからすると製造業の中では目立つ方だとい える。これは、関西に在日コリアンのエスニック・ビジネスが多いという地域性による可能 性がある。縫製、靴、かばん・袋物製造への集中は、先行研究でもすでに指摘されるとおり だが(韓 2010; 庄谷・中山 1997; 山本 2002)、両方とも海外移転による衰退が著しいことか ら、製造業のニッチは全体として消失しつつある4。
それに対して中国籍の場合、製造業にニッチと呼びうる産業はなく、三把刀の1つとされ てきた縫製関連のオッズ比も1未満である。三把刀の最後の1つである理容師のオッズ比は2.0 であるが、女性が多い美容師は0.5と低く、理容師に男性のニッチとしての性格が若干残る 程度である。
2.2 職業とジェンダー
前項の議論をジェンダーで区別するために用意したのが、職業中分類と男女別を掛け合わ せた表2である。ここで注目すべきは、ジェンダー分業と国籍間分業の関係であり、両者は 強化し合うこともあれば、相殺する場合もあるだろう。つまり、「男の仕事」「女の仕事」と いう日本社会の分業に対して、国籍毎に異なる職をあてがわれる状況をみることが本項の目 的となる。
全体としてみると、小分類ではオッズ比が高いものも、中分類にすると目立たなくなるも のが多い。専門職のなかでは中国籍男性の保健医療従事者比率は高く、もっぱら男性医師・
歯科医師によることを示す(この背景については、髙谷ほか 2014bを参照)。中国籍女性で 音楽家、舞台芸術家の比率が高いが、これは後のフィリピン人女性のような状況があったの か、管見ではわからない。
役員についてみると、韓国・朝鮮籍は男性のオッズ比が2.3、女性が2.4とほぼ同じである。
比率自体は男性が8%、女性が2%と差があり、韓国・朝鮮籍の管理職労働市場は、日本の 一般労働市場と類似したジェンダー構成になっていると考えられる。それに対して中国籍は、
男性が9%(オッズ比2.6)、女性が3.1%(オッズ比6.7)と女性の進出が目立つ。就労産業の 相違、文化的な相違などさまざまな要因が考えられるが、こうした差は何に起因しているの か、今後の研究で解明される価値がある違いだろう。
表2 男女別職業中分類(15歳以上)
日本 韓国・朝鮮 中国
男 女 男 女 男 女
N 万分率 N 万分率 N 万分率 オッズ比 N 万分率 オッズ比 N 万分率 オッズ比 N 万分率 オッズ比 科学研究者 88,780 25 8,500 4 70 5 0.2 30 3 0.9 90 58 2.3 10 12 3.2
技術者 1,654,290 466 70,210 31 2,600 169 0.4 110 12 0.4 480 308 0.6 50 59 1.9
保健医療従事者 479,600 135 1,104,710 490 2,050 133 1.0 1,800 204 0.4 1,110 712 5.6 360 427 0.9 法務従事者 39,050 11 3,580 2 30 2 0.2 0 0 0.0 10 6 0.6 0 0 0.0 公認会計士,税理士 47,280 13 2,090 1 30 2 0.1 0 0 0.0 0 0 0.0 0 0 0.0
教員 799,240 225 576,330 255 1,170 76 0.3 800 91 0.3 300 192 0.9 140 166 0.6
宗教家 95,450 27 20,200 9 180 12 0.4 80 9 1.0 20 13 0.5 0 0 0.0
文芸家,記者,編集者 90,660 26 23,400 10 320 21 0.8 110 12 1.2 50 32 1.3 20 24 2.3 美術家,写真家,デザイナー 144,030 41 63,620 28 450 29 0.7 280 32 1.1 50 32 0.8 60 71 2.5 音楽家,舞台芸術家 55,840 16 106,630 47 240 16 1.0 310 35 0.7 20 13 0.8 260 308 6.7 その他の専門的・技術的職業従事者 311,890 88 568,050 252 750 49 0.6 590 67 0.3 370 237 2.7 130 154 0.6 会社・団体等の役員 1,287,430 363 184,710 82 12,370 804 2.3 1,740 197 2.4 1,390 892 2.6 330 391 4.9 その他の管理的職業従事者 735,890 207 18,530 8 3,860 251 1.2 180 20 2.5 200 128 0.6 20 24 2.9 一般事務従事者 4,130,410 1164 5,713,120 2533 8,860 576 0.5 21,530 2438 1.0 1,240 795 0.7 1,700 2017 0.7 外勤事務従事者 49,880 14 48,790 22 60 4 0.3 90 10 0.5 0 0 0.0 0 0 0.0 その他の事務従事者 74,340 21 176,980 78 150 10 0.5 650 74 0.9 10 6 0.3 70 83 1.1 商品販売従事者 2,498,890 705 2,511,830 1113 18,590 1208 1.8 12,360 1400 1.3 1,530 981 1.4 1,010 1198 1.1 販売類似職業従事者 2,722,980 768 513,830 228 11,780 765 1.0 1,980 224 1.0 850 545 0.7 220 261 1.1 農業作業者 2,499,100 705 2,358,920 1046 840 55 0.1 370 42 0.0 220 141 0.2 20 24 0.0 林業作業者 107,100 30 19,150 8 80 5 0.2 0 0 0.0 10 6 0.2 0 0 0.0 漁業作業者 312,520 88 81,640 36 60 4 0.0 60 7 0.2 0 0 0.0 0 0 0.0 採鉱・採石作業者 27,250 8 770 0 100 6 0.8 10 1 3.3 0 0 0.0 0 0 0.0 その他の採掘作業者 31,230 9 1,020 0 80 5 0.6 10 1 2.5 0 0 0.0 0 0 0.0 自動車運転者 1,814,940 512 16,150 7 13,410 871 1.8 180 20 2.9 270 173 0.3 10 12 1.7 船舶・航空機運転従事者 62,120 18 720 0 30 2 0.1 0 0 0.0 20 13 0.7 0 0 0.0 その他の運輸従事者 141,750 40 22,370 10 140 9 0.2 50 6 0.6 10 6 0.2 0 0 0.0 通信従事者 119,690 34 86,960 39 10 1 0.0 60 7 0.2 10 6 0.2 10 12 0.3 金属材料製造作業者 284,800 80 19,890 9 720 47 0.6 140 16 1.8 60 38 0.5 0 0 0.0 金属加工作業者 1,662,590 469 344,080 153 10,000 650 1.4 1,820 206 1.4 530 340 0.7 130 154 1.0 一般機械器具組立・修理作業者 701,050 198 98,540 44 1,350 88 0.4 230 26 0.6 230 148 0.7 50 59 1.4 電気機械器具組立・修理作業者 686,170 193 814,330 361 840 55 0.3 1,340 152 0.4 140 90 0.5 260 308 0.8 輸送機械組立・修理作業者 693,530 196 19,070 8 1,800 117 0.6 60 7 0.8 160 103 0.5 0 0 0.0 時計・計器・光学機械器具組立・修理作業者 107,920 30 97,660 43 140 9 0.3 100 11 0.3 30 19 0.6 30 36 0.8 製糸・紡織作業者 209,890 59 336,070 149 2,040 133 2.3 1,160 131 0.9 50 32 0.5 80 95 0.6 衣服・繊維製品製造作業者 192,880 54 925,360 410 1,730 112 2.1 2,890 327 0.8 160 103 1.9 280 332 0.8 木・竹・草・つる製品製造作業者 359,810 101 120,820 54 420 27 0.3 240 27 0.5 20 13 0.1 0 0 0.0 パルプ・紙・紙製品製造作業者 118,180 33 78,570 35 350 23 0.7 220 25 0.7 30 19 0.6 10 12 0.3 印刷・製本作業者 286,080 81 112,560 50 910 59 0.7 390 44 0.9 110 71 0.9 50 59 1.2 ゴム・プラスチック製品製造作業者 264,200 74 178,850 79 3,200 208 2.8 1,540 174 2.2 130 83 1.1 20 24 0.3 かわ・かわ製品製造作業者 41,620 12 40,590 18 3,120 203 17.6 2,740 310 17.8 0 0 0.0 0 0 0.0 窯業・土石製品製造作業者 261,120 74 104,480 46 660 43 0.6 340 39 0.8 60 38 0.5 50 59 1.3 飲食料品製造作業者 435,720 123 489,360 217 710 46 0.4 1,140 129 0.6 270 173 1.4 140 166 0.8 化学製品製造作業者 223,700 63 50,440 22 300 19 0.3 140 16 0.7 10 6 0.1 10 12 0.5 建設作業者 2,647,790 746 124,700 55 15,440 1003 1.4 620 70 1.3 320 205 0.3 0 0 0.0 定置機関・機械及び建設機械運転作業者 354,710 100 940 0 2,120 138 1.4 10 1 2.7 70 45 0.4 0 0 0.0 電気作業者 590,180 166 4,570 2 1,450 94 0.6 0 0 0.0 40 26 0.2 10 12 5.9 その他の技能工,生産工程作業者 809,470 228 605,510 268 4,520 294 1.3 2,280 258 1.0 270 173 0.8 110 130 0.5 運搬労務作業者 856,860 242 270,800 120 3,250 211 0.9 950 108 0.9 220 141 0.6 40 47 0.4 その他の労務作業者 545,410 154 700,880 311 2,660 173 1.1 4,970 563 1.9 170 109 0.7 270 320 1.0 保安職業従事者 799,640 225 21,010 9 230 15 0.1 10 1 0.1 40 26 0.1 0 0 0.0 家事サービス職業従事者 1,870 1 92,970 41 10 1 1.2 240 27 0.7 10 6 12.2 20 24 0.6 個人サービス職業従事者 1,353,400 382 2,341,880 1038 16,450 1069 3.0 20,400 2310 2.6 3,990 2559 8.7 2,320 2752 3.3 その他のサービス職業従事者 144,750 41 176,020 78 530 34 0.8 580 66 0.8 90 58 1.4 50 59 0.8
総数 35,469,590 22,558,350 153,910 88,310 15,590 8,430
事務職をみると、韓国・朝鮮籍男性のオッズ比が0.5で女性が1.0となっている。1985年段 階では、国籍差別が緩和されたとはいえない状況下で労働市場に参入した者がサンプルと なっているため、女性が一般労働市場に多く参入したとは言い難い。女性がエスニック・ビ ジネスに就職し、そこでの事務職を担い、男性はその分だけ管理職になる比率が高くなるの だろう。販売関係については、言及するほど顕著なジェンダー的相違があるとはいえない。
韓国・朝鮮籍も中国籍も、男性の方がオッズ比が高いことが目立つ程度である。一般に販売 職につくのは女性が多いから、韓国・朝鮮籍は相対的に女性にあてがわれた仕事につく傾向 がある。これは、女性が多い事務職から男性が排除されるのとは対照的である。
製造業に関しては、金属関係で韓国・朝鮮籍女性の比率が高い。金属関係の製造は一般に 男性優位であるのに対して、韓国・朝鮮籍の場合は「男の仕事」に進出していることになる。
金属については、程度はやや弱いものの中国籍にもある程度該当する。それに対して、製糸・
紡績と衣服・繊維製品製造については、韓国・朝鮮籍と(後者しか該当しないが)中国籍は 男性のオッズ比が高い。絶対的な比率としては双方とも女性の方が高いため、繊維関連が「女 の仕事」という性格は保たれているが、外国人の場合は「男の仕事」でもあることになる。
これは、繊維産業という労働集約的な産業が、外国人の「主たる生業」としてあてがわれて きた状況を示す。それに対して、韓国・朝鮮籍の皮革製品については男女ともオッズ比が約
18と変わらず、ジェンダー的に大きな特徴はない。
最後に、前項でふれた飲食業も含めた個人サービス職の場合、韓国・朝鮮籍では男女と もオッズ比が高いのに対して、中国籍の男性は8.7と突出している。これは、中国籍男性の 15%が料理人であることと関係しており、女性が多いサービス職のなかでの「男の仕事」
に進出しているともいえる。三把刀のうち理容と縫製は、出自のある国と直接の関係はない のに対して、中華料理と密接に結びつく料理人はニッチとして残ったといえるのかもしれな い。
2.3 失業者比率
本節の最後に、年齢別の失業者比率をみていこう。失業者比率といっても、労働統計にあ る失業率とは定義が異なっており、当該人口に対して完全失業者と答えた者の比率を示して いる。当該人口には在学中の者も含まれているため、特に若年層で分母が大きくなって失業 者比率が低く出ることになる5。国籍別にみると、韓国・朝鮮籍のオッズ比はどの年齢層で も高いのに対して、中国籍の若年層は低い。
オッズ比自体は、働き盛りの30~50代前半で高く出ており、その年代に外国人の失業リ スクが高くなることを示唆する。これは、就労する事業所の規模による不安定性に起因する のか、一般労働市場から排除されたことによる構造的な理由なのか、解明できていないこと は多い。そして65歳以上の高齢者でオッズ比が上がるのは、日本籍では引退している者が多
いのに対して、外国籍の場合には働かねばならない状況がある可能性がある。つまり社会保 障からの排除や就職差別の結果として、定年→年金生活という「悠々自適」の生活を送りに くい構造があると思われる。これは、生活保護にも回収されない隠れた貧困の所在を示唆し てもいるだろう。
3 社会経済分類
3.1 国籍別の社会経済分類
国籍別の社会経済分類をみると、一次産業従事者の比率が著しく低いことが目立つ。ただ し、中国籍の農林漁業雇用者の比率は日本籍より高い。研修・技能実習制度の導入以前で
表3 年齢別失業者比率
日本 韓国・朝鮮 中国
N % N % オッズ比 N % オッズ比 15~19歳 完全失業者総数 149,330 1.7 1,580 3.3 2.0 40 1.2 0.7
8,917,810 48,200 3,250
20~24歳 完全失業者 297,840 3.7 3,250 7.0 2.0 130 1.9 0.5
総数 8,128,330 46,590 7,010
25~29歳 完全失業者 220,370
2.8 2,390
5.1 1.8 150
1.7 0.6
総数 7,759,820 46,600 8,590
30~34歳 完全失業者 194,330
2.2 2,150
4.4 2.1 250
3.1 1.5
総数 8,996,910 49,260 7,980
35~39歳 完全失業者総数 200,790 1.9 2,070 4.2 2.3 200 3.4 1.8
10,664,680 49,020 5,960
40~44歳 完全失業者 145,450 1.6 1,480 3.7 2.4 80 2.3 1.5
総数 9,077,510 39,660 3,420
45~49歳 完全失業者 133,380
1.6 1,270
3.8 2.4 80
3.0 1.9
総数 8,202,570 33,160 2,630
50~54歳 完全失業者 145,340
1.8 1,260
4.9 2.7 80
3.6 2.0
総数 7,894,400 25,870 2,200
55~59歳 完全失業者総数 207,680 3.0 1,200 5.3 1.8 50 2.2 0.7
6,969,670 22,710 2,230
60~64歳 完全失業者 207,710 3.9 1,510 6.4 1.7 150 5.9 1.6
総数 5,372,000 23,740 2,540
65~69歳 完全失業者 77,720
1.9 960
5.6 3.1 80
4.8 2.6
総数 4,163,220 17,110 1,670
70歳以上 完全失業者 39,140
0.5 530
2.3 5.0 20
1.0 2.2
総数 8,254,910 22,590 1,970
総数 完全失業者総数 2,019,070 2.1 19,640 4.6 2.2 1,310 2.6 1.2
94,401,830 424,490 49,460
表4 男女別社会経済分類(15歳以上)
日本 韓国・朝鮮 中国
総数 男 女 総数 男 女 総数 男 女
農林漁業者 % 5.2 5.6 4.9 0.2 0.3 0.2 0.1 0.0 0.1
N 4,934,240 2,568,600 2,365,640 950 590 360 30 10 20
農林漁業雇用者 % 0.4 0.6 0.2 0.0 0.1 0.0 0.5 0.9 0.0
N 351,590 266,340 85,250 180 140 40 230 220 10
会社団体役員 % 1.6 2.8 0.4 3.3 5.8 0.8 3.5 5.6 1.3 N 1,472,140 1,287,430 184,710 14,110 12,370 1,740 1,730 1,390 330 商店主 % 1.7 2.5 1.1 3.4 4.3 2.5 2.8 4.0 1.5 N 1,644,800 1,128,360 516,450 14,400 9,040 5,360 1,380 1,000 380 工場主 % 0.8 1.5 0.1 2.1 4.0 0.2 0.4 0.6 0.1
N 713,620 665,880 47,740 8,930 8,570 360 180 150 30
サービス・その他の
事業主 % 0.8 1.4 0.3 2.8 4.9 0.7 1.8 3.1 0.4 N 760,470 631,410 129,060 11,970 10,420 1,550 880 770 110 専門職業者 % 0.7 1.1 0.2 0.5 0.8 0.2 3.1 5.2 0.9 N 640,900 522,700 118,200 2,170 1,770 400 1,520 1,300 220 技術者 % 3.2 4.2 2.2 1.1 1.5 0.7 1.8 2.5 1.1 N 2,995,730 1,905,350 1,090,390 4,780 3,200 1,580 890 630 260 教員・宗教家 % 2.1 2.0 2.2 0.6 0.7 0.6 0.6 0.7 0.5 N 2,015,680 935,190 1,080,490 2,710 1,460 1,260 290 170 120 文筆家・芸術家・
芸能家
% 0.7 0.8 0.5 0.5 0.6 0.4 1.6 1.5 1.6 N 622,030 383,370 238,660 2,030 1,220 810 770 380 390 管理職 % 0.8 1.7 0.0 0.3 0.7 0.0 0.4 0.6 0.1
N 779,150 766,250 12,900 1,450 1,400 50 180 160 20
事務職 % 11.1 9.9 12.3 7.4 4.3 10.5 6.3 5.3 7.3
N 10,486,040 4,520,800 5,965,240 31,360 9,180 22,180 3,120 1,320 1,790 販売人 % 7.0 8.8 5.2 6.4 8.7 4.2 4.2 5.0 3.4 N 6,571,110 4,041,710 2,529,400 27,360 18,520 8,840 2,090 1,250 830
技能者 % 16.4 24.9 8.4 15.1 23.1 7.1 7.7 10.8 4.6
N 15,467,150 11,404,940 4,062,210 64,110 49,040 15,070 3,820 2,680 1,140 労務作業者 % 3.5 4.9 2.3 4.5 5.8 3.2 2.0 2.4 1.6 N 3,349,080 2,253,670 1,095,410 18,960 12,270 6,690 1,000 600 400 個人サービス人 % 4.1 3.0 5.2 8.1 6.7 9.5 11.8 14.2 9.4 N 3,894,580 1,370,420 2,524,160 34,390 14,160 20,230 5,840 3,510 2,330 保安職 % 0.9 1.7 0.0 0.1 0.1 0.0 0.1 0.2 0.0
N 819,420 798,450 20,970 240 230 10 40 40 0
内職者 % 0.5 0.0 1.0 0.5 0.2 0.9 0.1 0.0 0.2
N 510,200 18,720 491,480 2,140 330 1,810 60 0 60
学生生徒 % 9.2 10.2 8.2 11.0 11.8 10.2 23.3 25.9 20.6
N 8,679,610 4,693,870 3,985,740 46,560 25,000 21,560 11,510 6,420 5,090 家事従事者 % 17.9 0.5 34.4 19.2 0.5 37.9 20.1 0.6 39.7 N 16,891,390 208,810 16,682,580 81,500 1,090 80,410 9,930 140 9,790 その他(労働力状態
不詳を含む) % 11.4 11.9 11.0 12.8 15.3 10.2 8.1 10.6 5.5 N 10,802,900 5,467,730 5,335,170 54,210 32,590 21,620 4,000 2,640 1,360 総数 94,401,830 45,839,990 48,561,840 424,490 212,590 211,910 49,460 24,790 24,670
も、一次産業で雇われる外国人は存在したことになる。そして韓国・朝鮮籍は男女とも比率 が低いが、過去には必ずしもそうではなかった。戦前から戦後まもなくにかけての韓国・朝 鮮人労働者は、周辺部の県では切り出した木材の搬出や炭焼きなどに従事していた(内藤
1989)。それが、林業の衰退と共に都市へと移動しており、韓国・朝鮮籍は一次産業と無縁 だったというよりは、産業構造の転換に合わせて撤退したといったほうがよい6。
それ以外は、職業分類での知見と共通する点が多いため、重複しない論点を提示していこ う。まず、同じ自営業主といっても商店主で女性比率は高く、工場やサービスではジェンダー 間格差が著しく大きい。これは日本籍についてもいえることだが、韓国・朝鮮籍の男性工場 主が多いだけに目立つ。
学生・生徒の比率が中国籍で高いのは、留学生がこの時期にも一定程度いることを示す。
韓国・朝鮮籍についても同様だろう。中国籍女性で家事従事者が多いのは、職業のジェンダー 分業が顕著でないだけに意外な感がある。これは、中国籍が専業主婦になりやすいというよ りも、年齢構成が相対的に若く引退高齢者が多い「その他」の比率が低いことと裏表の関係 にあると思われる。
3.2 日本籍と韓国・朝鮮籍における年齢別社会経済分類
表5では、人口が多く年齢別の分析が可能な日本籍と韓国・朝鮮籍を比較している。表の 左上から順にみていくと、若いほど会社団体役員の比率に差がある。紙幅の都合でオッズ比 を掲載していないが、20~24歳の6.2から歳を追って低下し、50~54歳では2.2になる。管理 職についても、30代まではオッズ比が1を超えるが、それからは逆に1を下回ることとなる。
エスニック・ビジネスは同族企業が多いことから、徐々に出世して役員になるよりもむしろ、
若いうちから経営に携わるキャリアパスを辿るということだろう。こうした年齢による相違 は、商店主・工場主・サービス事業主にはみられない。役員に関してのみ、人的資本に恵ま れながらも就職差別に遭遇する若年層にとって、能力を発揮する機会が開かれるという見方 が可能である。
専門職業者についてみると、25~34歳でオッズ比はわずかながら1を超えている。40~64 歳で軒並み0.5を下回っていることからすると、大きな変化といえるのではないか。ただし、
技術職についてこうした変化はみられず、若年層のオッズ比も0.5以下で推移している。専 門職の変化は、韓国人留学生による専門職労働市場への進出の結果なのか、在日コリアンの 新たな上昇移動の経路が開かれた結果なのか、1980年のデータと比較して検討する必要が ある。
事務職のオッズ比は、20代以上は一貫して1未満であるが、20代前半に限っては0.8と相対 的に高く、40代になると0.5未満まで落ちていく。これは就職差別が緩和された結果なのか、
60年代生まれのその後の軌跡をみていく必要があるだろう。販売・サービスのうち販売人 は年齢による差が大きくないが、そのなかでも若年層になると低下する傾向にある。サービ