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令和元年度  厚生労働科学研究費補助金(肝炎等克服政策研究事業) 

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Academic year: 2021

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令和元年度  厚生労働科学研究費補助金(肝炎等克服政策研究事業) 

分担研究報告書(自治体 follow up 調査班) 

 

福岡県における自治体肝炎ウイルス検査の実態と陽性者 follow up 研究  3 年間のまとめ 

 

研究分担者:井出 達也  久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門  准教授 

 

研究要旨:福岡県において、県、および市で行っている肝炎ウイルス無料検診につい て、陽性率や陽性者のフォローアップ状況を調査した。この事業は福岡市、北九州市、

久留米市、大牟田市の 4 つの市と、上記の市以外の計5つの地区に分かれて事業が行 われている。調査の結果、H24 年度から H30 年度は毎年 2.5〜3.0 万人程度検診を受け ており、とくに減少傾向などはなく安定した検診数であった。B 型肝炎陽性率は 0.7〜

1.0%で年度により変化ないが、C 型肝炎陽性率は H24〜H26 年度 0.78〜0.99%であった のに対し、H27〜H30 年度 0.52〜0.79%と若干減少し、H30 年度が 0.50%と最も低かった。

H30 年度を地区別に見ると、福岡県南部(久留米市、大牟田市)が北部(福岡市、北九州 市)にくらべ、C 型肝炎の陽性率が高かった。ウイルス肝炎陽性者のフォローアップ率 は、比較的高く、その理由として保健師などが患者に直接電話してフォローしていた。

福岡市では、陽性者の人数も多く、フォローアップは医療機関に依頼していた。 

まとめ:福岡県無料検診における肝炎ウイルス陽性率、フォローアップ率が明らかに なったが、いまだ一定数の陽性者がおり、検診を促進することが必要と考えられた。

フォローアップ率は比較的良好であるが、さらなる充実を工夫する必要があると考え られた。 

A.

研究目的

自治体主導の(基本/特定/がん)健診時 (特定感染症検査等事業)に行われる肝炎ウ イルス検診等により、福岡県でも毎年多く の県民がウイルス性肝炎の検査を受けてい る。今回 H24 年度から H30 年度までの検診 受検者数と陽性率、フォローアップ率など を解析し、また地区別にも検討し、問題点 などを抽出した。 

 

B.

研究方法 

福岡県では、この事業は福岡市、北九州 市、久留米市、大牟田市の 4 つの市と、上 記の市以外の計5つ地区に分かれて事業が 行われ、結果が集積されている。また B 型 (HBs 抗原)、C 型肝炎ウイルス(HCV 抗体)別 にも統計が取られている。 

検討 1) H24 年度から H30 年度の福岡県全体 における B 型および C 型の受検件数と陽性

率を算出した。 

検討 2) H30 年度の 5 つの地区別の受検件数、

陽性率を算出した。 

検討 3) 4 つの市の人口あたりの受診率を算 出した。厳密な受診率は困難であるので、

市の人口に対する受診者数で表示した。 

検討 4) 地区別の陽性者数とフォローアップ 率について算出した。フォローアップとは、

陽性者が検診後に医療機関を受診している かが確認できた例とした。受診していない 患者は受診勧奨し、受診まで至ったことを 確認できた患者もフォローアップありとし た。 

 

C.

研究結果 

検討1:福岡県全体における B 型および C

型の受検件数と陽性率を示す。B 型肝炎は

H24 年から H30 年まで受検人数は 25,000 人

から 30,000 人程度であり、陽性率は 0.7〜

(2)

 

−249−

1.0%であまり変化なかった。一方、C 型肝炎

の受検人数は B 型肝炎と同じであるが、陽 性率は H24〜H26 年度 0.78〜0.99%であった のに対し、H27〜H30 年度 0.50〜0.79%と、

次第に陽性率が低下していることが判明し、

H30 年度が 0.50%と最も低かった。 

B

26766 27011

31442 29940

28148 28660

26051

244 249

323 268

225 211

192

0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000

H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 0 . 9 %

(人)

0 .9 % 1 .0 %

0 .9 %

0 . 8 % 0 . 7 % 0 . 7 %

 

C

26756 27036

31720

29944 28148 28664

26110

264 236

249 237

185 185

132

0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000

H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 0 . 9 9 %

(人)

0 . 8 7 % 0 . 7 8 %

0 . 7 9 %

0 . 6 6 % 0 . 6 5 % 0 . 5 0 %

  検討 2:H30 年度の 5 つの地区別の受検件数、

陽性率を示す。大都市である福岡市、北九 州市の検査数は多いが、B 型肝炎陽性率は、

各地区に差はなかった。一方、C 型は久留米 市、大牟田市の県南部が、北部に比べて有 意に陽性率が高かった(p=0.02)。 

H30 B

11954

8895

1388 831

2984 93

70

8 7

13

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000

0 . 8 %

0 . 8 %

0 . 6 % 0 . 8 %

0 . 4 %

 

H30 C

12001

8920

1385 833

2980 49

45

13 5

25

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 0 . 4 0 %

0 . 5 0 %

0 . 9 3 % 0 . 6 0 % 0 . 8 3 %

福岡県南部が有意に陽性率高い

 

 

検討 3:4 つの市の人口あたりの受診率を概 算した。久留米市は 0.5%と低かったが、残 りの 3 市は 0.7〜0.9%であった。 

 

B+C (H30 )

157

95

30.6

11.6 1.2

0.89

0.14

0.08 0

20 40 60 80 100 120 140 160 180

0 . 8 %

0 . 9 %

0 . 5 %

0 . 7 % 人口

(万人)

   

検討 4:H29 年度の地区別の陽性者数とフォ ローアップ率を示す(H30 年度はデータ集積 中のため解析不可)。ウイルス陽性者数は検 査数の多い、福岡市や北九州市で多かった が、フォローアップ率は人数の少ない久留 米市、大牟田市が高かった。北九州市は、

統計のずれがあるため、実際のフォローア ップ率はもう少し高いとの報告を受けた。

ウイルス肝炎陽性者のフォローアップ率は、

比較的高く、保健師などが患者に直接電話 や、郵送などでフォローしていた。一部、

外国籍や移転などで、フォローできない患 者もいたとのことであった。福岡市では、

フォローアップは検査を行った医療機関に 依頼していた。 

 

(3)

 

−250−

H29

7 4 %

6 5

0 20 40 60 80 100 120 140 160

8 0 % 7 9 %

5 4 % 3 5 %

1 5

1 9

1 4 5

1 5 1人 フ ォ ロ ーア ッ プ し て いる 人

陽性者数

   

D.

考察 

福岡県における肝炎ウイルス検査数は、

25,000 人から 30,000 人程度で、観察期間中 大きな変動はなく、横ばいであることがわ かった。B 型肝炎ウイルスの陽性率の推移は 変わりないが、C 型肝炎ウイルス抗体の陽性 率は次第に陽性率が減少していることが観 察され、C 型肝炎患者は減少していると考え られた。 

地区別にみると、B 型肝炎は地区によって その陽性率に変化はないが、C 型肝炎は、福 岡県南部で有意に多いことが判明した。以 前より福岡県南部は北部に比し肝炎患者が 多いと考えられていたが、現在もそれは持 続していることが明らかとなった。 

地区別のフォローアップ率は、福岡市、

北九州市で低かった。しかし、北九州市で の統計は調査期間のずれから実際はもう少 し高いと報告を受けているため参考値であ る。福岡市でフォローアップ率が低い理由 として、福岡市では陽性者がいた場合、そ の後受診状況の検査を行った医療期間に確 認しているのみであるのに対し、福岡市以 外では陽性者に保健師などが、直接電話し たり、つながらない場合は、手紙を郵送す るなどして、細かな対応を行っていた。手 間がかかるがこのような対応を行うことが 必要であると考えられる。しかしながら、

福岡市は人口も多いため陽性者の人数も多 く、フォローアップを行うことは容易では

ないとも考えられる。また都市部は住民の 移動や外国人も多くフォローアップが困難 な例も多いと聞く。今後はこのような都市 部でのフォローアップをいかに効率よく行 うことが重要と考えられた。 

 

E.

結論 

福岡県ではウイルス肝炎の無料検診は、

毎年 2.5〜3.0 万人程度安定して受けている。

B 型肝炎の陽性率は変化ないが、C 型肝炎は 若干減少している。C 型肝炎は福岡県南部で 陽性率が高かった。フォローアップ率は、

直接患者に連絡すると比較的高かった。 

最後に、福岡県無料検診における肝炎ウ イルス陽性率、フォローアップ率が明らか になったが、いまだ一定数の陽性者がおり、

検診を促進するとともに、フォローアップ も充実させる必要があると考えられた。 

 

F.

政策提言および実務活動 

<政策提言> 

福岡県および各市から福岡県の受検状況 やフォローアップ状況を聴取し解析した。

その結果より、検診受検率やフォローアッ プ率上昇のための工夫などを提案した。 

<実務活動> 

福岡県は、リーフレットの配布を行った り、市政だより等にも情報を載せて、さら なる受検、受診を促進し、肝炎撲滅に取り 組んでいる。 

 

G.

研究発表  1. 発表論文 

なし   

2. 学会発表 

*  井出達也:「福岡県における肝炎ウイル ス検査陽性者の精密検査受診率の検討」

メディカルスタッフセッション 2,   肝臓 60 supple(1),A296. 2019  

メディカルスタッフセッション記録集 

MP 2‑33, p91, 2019 

(4)

 

−251−

3. その他 

啓発活動 

*  井出達也:講演「C 型肝炎の完全撲滅を 目指して」市民公開講座、 

平成 29 年 9 月 9 日   

主催:福岡県肝疾患相談支援センター 

*  井出達也:講演「C 型肝炎 飲み薬でみん な治ってしまいます」市民公開講座、 

平成 30 年 10 月 13 日   

主催:福岡県肝疾患相談支援センター 

*  井出達也:講演「C 型肝炎:まだ調べてな い人、いませんか?」市民公開講座、 

令和元年 10 月 19 日   

主催:福岡県肝疾患相談支援センター   

H.

知的財産権の出願・登録状況

1.

特許取得  

なし 

2.

実用新案登録   なし 

3.

その他 

なし

参照

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