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トキイロヒラタケの子実体生長に及ぼす光照射の影響

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2018年1月31日、28

トキイロヒラタケの子実体生長に及ぼす光照射の影響

環境資源学専攻 森林資源科学講座 森林資源生物学 横山 貴史

1. 諸言

きのこ栽培における子実体の形成は,温度や光,水分,酸素,二酸化炭素などの環境因子によっ て影響を受けている。このため,きのこの施設栽培ではこれらの環境を調節することによって品質 や収量の安定化を図っている。トキイロヒラタケ(Pleurotus djamor var. roseus)はヒラタケ科 ヒラタケ属に属する担子菌の一種で,鮮やかなピンク色の傘をもつ食用きのこである。近年,子実 体から抗酸化作用を持つ物質が抽出されており,健康食品としても注目され始めているが,これま でに安定した栽培法は確立されていない。そこで,本研究ではトキイロヒラタケの子実体生長に及 ぼす光照射の影響について調査し,栽培における光条件の最適化を目的とした。

2.材料と方法

1)供試材料 供試菌としてトキイロヒラタケPSF株を用いた。培地基材にカエデ(Acer sp.)の おが粉(10 mesh pass),栄養剤に米ぬか(20 mesh pass)を用いた。培地基材と栄養剤を体積比 3:1で混合し,水道水を加えて含水率を65%に調整したものを供試培地とした。

2)栽培条件 850mLPP製栽培瓶に培地を約510g充填し,高圧滅菌(121℃,60分)を行った。

自然冷却後,おが種菌を接種し,温度21℃,湿度70%の暗所で培養した。栽培瓶全体に菌糸が蔓延 した後,菌かき及び注水処理を行い,芽出しの確認を経て,温度23℃,湿度90%で,各種LED光源

(赤,緑,青,白)による光照射区(光量子束密度 12µmol m-2s-1)と暗黒下で生育を行った。芽出 しから 4 日後に子実体を収穫し,収量,傘の直径,傘の厚さ,柄の長さを測定した。傘の厚みは,

傘の断面積における肉質部の割合を求めて比較した。

3)顕微鏡観察 子実体の襞の一部を切り取り,光学顕微鏡で担子胞子形成の有無を観察した。ま

た,肉質部から組織をピンセットで取り,5%KOH を滴下してほぐした後,フロキシンで染色し傘組 織の菌糸構成を観察した。顕微鏡観察は,芽出し後から7日目まで毎日行った。

3.結果と考察

各種LED光を当てて生育させた子実体は,暗黒下で生育させた子実体に比べて柄が短く,傘が厚 くなった(図1,図2)。それらの効果は青色LEDで強く表れた。また,青色LEDの強さを変えたと ころ,2µmol m-2s-1程度の弱い光でも柄の伸長抑制や傘の肥厚に効果があり,2~36µmol m-2s-1の強 さでは子実体の形態に差異は見られなかった。子実体の担子胞子及び菌糸構成を観察すると,青色 LED光照射下では暗黒下で生育させた子実体

に比べて担子胞子の形成及び骨格菌糸の生 長が早いことが分かった。また,子実体の退 色が始まるのとほぼ同時に骨格菌糸の生長 が確認された。したがって,トキイロヒラタ ケの菌床栽培において,発生は 2µmol m-2s-1 以上の青色LED光照射下で行い,子実体が 退色する前に収穫するのが最適であると 判断した。

2 子実体の断面

1 暗黒下及び青色LED 下で生育させた子実体

せた子実体

Dark Blue Dark Blue

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