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「小児がん拠点病院による小児がん医療提供体制の整備」

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Academic year: 2021

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- 47 - 厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)

小児がん拠点病院等の連携による移行期を含めた小児がん医療提供体制整備に関する研究 分担研究報告書

「小児がん拠点病院による小児がん医療提供体制の整備」

研究分担者  家原知子 

京都府立医科大学大学院  医学研究科小児科学  准教授

A. 研究目的

小児がん患者が治癒して社会復帰が 可能となり、治療による妊孕性喪失が 問題となってきた。2017 年には妊孕性 温存に関する診療ガイドラインが刊行 され、我が国においての妊孕性温存が 行われつつある。小児がん拠点病院で ある本院において、近年取り組んでき た妊孕性温存について、現状を調査し、

今後の問題点について明らかにする目 的で後方視的に調査した。 

 

B. 研究方法

当院で、2013 年 1 月 〜2018 年 1 月の 間に妊孕性温存を実施した 10 例につい

て後方視的に調査した。 

 

C. 研究結果

    上記期間に妊孕性温存を行ったのは、

男性 5 例、女性 5 例の合計 10 例であった。

男性の年齢は 16 歳から 23 歳で平均年齢 は 18.6 歳であった。男性 5 例中 4 例はマ スターベーションによる精子採取が可能 であったが、1 例は骨盤内の原疾患により 採取が困難であり、精巣内精子採取術

(TESE)を試行した。1 例は精子保存とと もに、放射線照射前に精巣移動術も実施 した。いずれの症例も治療前保存が可能 で、抗がん剤治療開始の遅延は無かった。

女性の年齢は 9 歳から 17 歳で平均年齢は 研究要旨

小児がん拠点病院における妊孕性温存の現状と問題点を明らかにするため、当院での 2013 年 1 月から 2018 年 1 月までの妊孕性温存を行った10症例について検討した。男性 5 例中 4 例はマスターベーションによる精子採取が可能であったが、1 例は精巣内精 子採取術(TESE)を試行した。いずれの症例も治療前保存が可能で、抗がん剤治療 開始の遅延は無かった。女性 5 例の内、3 例が卵巣組織凍結保存術を受け、2 例は放 射線照射前の卵巣移動術を試行した。3 例中 1 例は治療前で、2 例は抗がん剤治療の 間に実施した。いずれも抗がん剤治療の遅延は許容範囲内であった。今後さらなる 妊孕性温存治療の増加に伴い患者への適切な情報提供と温存施設との連携が重要で ある。 

(2)

- 48 - 12.6 歳であった。女性 5 例の内、3 例が

卵巣組織凍結保存術を受け、2 例は放射線 照射前の卵巣移動術を試行した。 

卵巣組織凍結保存術を実施した 3 例中 1 例は治療前で、2 例は抗がん剤治療の間に 実施した。いずれも抗がん剤治療の遅延 は許容範囲内であった。精子、卵巣組織 の保存に関してはそれぞれ連携施設の協 力を得て実施した。 

 

D. 考察

男性においては、妊孕性温存治療が短 期間に低侵襲での実施が可能であった。

女性においては、初期の頃は卵巣保存 施設が近隣に整備されておらず、放射線 照射前の卵巣移動術に留まった。妊孕性 温存治療として実施されたのは卵巣組織 凍結保存のみであり、診断後治療を急ぎ、

治療間隔の遅延が望ましくない小児がん 患者では、試行に 2 週間以上かかる卵子 凍結保存の実施が困難であった。卵巣組 織凍結保存からの妊娠成立は近年報告が されつつある状況であるが、今後の技術 確立が期待される。 

本年度より、京都府においては、40 歳 未満のがん患者に対して、「京都府がん患 者生殖機能温存療法助成事業」が実施さ れ、がん患者が将来に希望をもって治療 に取り組むことが可能となった。妊孕性 温存治療を受ける小児がん患者は AYA 世 代患者を中心に増加していくことが予想

される。今後も近隣の妊孕性温存施設と 連携して、小児がん患者により良い情報 提供と迅速かつ適切な妊孕性温存治療の 提供を行っていきたい。

E. 結論

今後さらなる妊孕性温存治療の増加に 伴い患者への適切な情報提供と温存施設 との連携が重要である。 

F. 健康危険情報 該当なし

G. 研究発表 なし

1. 論文発表 なし

2.学会発表

2017 年癌治療学会において一部内容を発 表した。 

 

H. 知的財産権の出願・登録状況(予定を 含む)

1. 特許取得 該当なし 2. 実用新案登録

該当なし 3. その他

  該当なし        

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