ま とめ‑砂 丘湖 の現状 と保全 の課題
福原 晴夫 1)・大高明史
2)
1 )
新潟 大学教育人 間科学部
2)
弘前大学教 育学部
1 砂丘湖 の現状
本報告書では, 新潟県 2 6 湖沼 ( 湧水) ( 福原 ら 、2 0 0 8 ) ,青森県 3 9 湖沼( 大高 , 2 0 0 8 ) ,計 6 5 の砂 丘湖 について,陸水生態学的な観点か ら砂丘湖の現状 を取 り上げた. Ho r i e( 1 9 6 2 ) が報告 した 1 9 湖沼を超 える大小 さま ざまな砂丘湖が新潟県,青森県 に分布 した. これ まで 日本 の砂丘湖 につい てのま とまった報告書 はな く,本報告は今後の研究の基礎 とな るものである. 日比野 ら ( 2 0 0 2 ) は 遠州灘砂丘における砂丘湖 の水質 を報告 している.日本 には Ho r i e( 1 9 6 2 ) には記載 されていない 砂丘湖が他 にも存在す る.今後, 日本の砂丘湖の分布や生物多様性 の現状 を把握 ・記載す る必要 がある.
砂丘列及び砂丘湖の形成過程 については, 青森県犀風 山砂丘を中心に第 四紀 の地形 ・地質 に関す る資料お よび現地調査 をもとに湖沼の成立要因を検討 した
砂丘湖の生物多様性 の調査は十分 とはいえないが,水生植物及び周辺陸上植物,軟体動物,水 生貧毛類.動物 プランク トン,水生昆虫類 を中心に, フロラや フアウナ を明 らかに し,また砂丘 湖生物 に関す る多 くの文献収集 を進 めた.特に,最近,調査がほ とん ど行われ てきていない下北 湖沼群の現状 について今回予報的な結果 を得 ることができた.水生植物 では,環境省 レッ ドリス ト種であるオニバ ス,ガガブタ,アサザ、 ミズニラ、イ トモ、イ トトリゲモ、イバ ラモ,ヒメ ミ ク リ、タチモ、イヌタヌキモ、タヌキモ、ヒメタヌキモ、アギナシ、マルパオモダカ トチカガ ミ、
リュウノヒゲモ、カ ワツルモな どの分布 が明 らかにな り,今後の保全対策の基礎 を得 ることが出 来た.現状 は必ず しも楽観 できる状況にな く, 自然湖岸 の消失,漢漢 による掘 り下げ、乾燥化、
湿地の土石採取等 によ り多 くの水生植物が影響 を受 けていた.周辺植物 では 、5 3 6 種 を確認 した‥
貴重種 として、ヌカボタデ、タコノアシ、ハイハマポ ッス、ハ ンゲシ ョウ、分布上重要な群落 と してカシワ群落、クロマツ群落、マイズル ソウ群落 な どが認 め られた. 水生動物では環境省 レッ ドリス ト種 としてオオタニ シ、マル タニシ、 ヒダ リマキガイモ ドキ、 ヒダ リマキモ ノアラガイ、
モ ノアラガイ、 ミズシタダ ミ、カ ラスガイな どの分布 が明 らかになった.貴重水生植物同様, 自 然湖岸 の消失や富栄養化 は これ ら貴重種の存在 をおびやかす.水生植物 自体の消失 も動物の分布 に影響す る. ウスイ ロフ トヒゲ コカゲ ロウ、ハ ゴイ タ トビケラ属 ヒメマル ミズムシ ( マル ミズム シ科)、 ミゾナ シ ミズムシ (ミズムシ科)の青森県初記録種 も確認 できた.今後詳細 な検討で さ らに増加す る見通 しである.ホク リクヨコエ ビと 7 0ラナ リアの捕食一被食 関係 を安定同位体 を用 いて初めて確認す ることが出来,湧水生物の生態 を明 らかに した.
植物,動物含 めて各県独 自指定の貴重種,例 えば新潟県ではハ ンゲシ ョウ, ミズ ワラビ,テナ ガェ ビ、 トラフ トンボ,青森県ではオオ トリゲモ、コシボ ソヤンマ、ヒゲブ トコップゲンゴロウ、
タイ コウチな どの分布状況 も明 らかになった.また,砂丘湖は浅いため,ハスや ヒシ, コウホネ
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