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理科におけるパソコンの利用について

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

理科におけるパソコンの利用について

著者 松村 佳子, 西野 恭一

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 10

ページ 73‑82

発行年 1987‑03‑16

その他のタイトル Use of Personal Computer for Science Education

URL http://hdl.handle.net/10105/4580

(2)

松 村 佳 子 ・ 西 野 恭 一 (物 理 教 室) (桜井市立桜井中学校)

Use of Personal Computer for Science Education

Keiko Matsumura and Kyoichi Nishino (Department of Physics) (Sakurai junior high School)

We have attempted to use the personal computer in science classes of junior high school. The items for education are (1) practice of using the ampere meter, (2) simu‑

lation describing the buoyancy and (3) the illustration of the growth of angiosperms.

Students are found to be interested in the teaching materials in the screen display.

The use of such visual materials seems to give a good impact on the Science education.

I は じめ に

数年前より、一般家庭でも使用され易い形でパソコンが市場に現われ始め、各メーカーから は毎年のように新機種が発表されるようになった。それと共に性能は向上し、価格は相対的に 低下してきたO一般事務用としてはもちろんのこと、最近では子供の遊びの中にまで浸透し、

コンピューターが生活の中にとけこんでいるかに思えるようにまでなってきた。このようにパソ コンとその関連機器が発達し普及してくると、それらを如何に効果的に利用するかということ が各方面での関心事になってきた。理科教育の分野においても例外ではない。アメリカ等でC

A I (Computer Assisted Instruction )が開発され、日本でも研究が進められてきている。

一部の実験校ではCA Iが試行されており、文部省も学校教育へのコンピューター導入のために、

昭和60年度には20億円の補助金を予算として計上しており、数年以内には、総額50億円程度の 教育機器を学校に導入しようとしているときく

近年パソコンは学校教育現場でも急速に使われるようになってきた。その利用のし方につい ては大別して次のように考えられる。

(1)学校事務処理

oワードプロセッサーとして利用 o教材記録と検索(CMI) (2)教育統計とデータ解析

oマークカ‑ド利用による個別診断・処方システム o授業分析

oデータベースと情報検索

(3)

松村佳子・西野恭一

(3)個別学習での利用(CA工)

oコンピュータリテラシー

(4)教育内容の提示や実験器具の1つとして o黒板 OHP スライドの代わりとして

O シュミ レーショ ン oソシオメトリー

この報告では、現在実際にはパソコンがどんな使われ方をしているかをアンケートにより調 査した結果と、理科の授業の中でどのような使い方ができるのかを試行実践した例について述 べてみたい。

Ⅱ 中学校におけるパソコンの利用

学校現場におけるパソコン利用の実態をみるために、奈良県下の中学校の理科の先生方にア ンケート調査をした結果をみることにする。答えていただいた59名を年令別にみると表.1のよ うになる。

表1年令分布

割 合 年令 細 30 n 下 〜 35 〜 40 〜 45 〜 50 55

数 (人) 17 1 7 1 0 7 3 5

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男女別にみると、男性43名、女性16名となっていた。これらの先生方の中で、学校でパソコ ンを使っているかどうかを問うたところ、よく使う・10.2%、ときどき使う15.3:となって おり、全く使わない人が 74.6:と3/4を占めている。パソコンを使わない理由としては、

oその必要がない。

oパソコンを使うことにあまり賛成できない。

oパソコンの知識がない。

。そ の 他

の順になっており、まだまだ普及率が低いことがわかる。

学校でパソコンをよく使う、ときどき使うと答えた方の年令をみると、 45才未満が93%、 45

‑55才が7%で、パソコンになじむことのできる年令は40才前半までであることがわかる。で は、どのような使い方をしているかを調べた結果を表2に示す

表2 パソコンの用途

用 途

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(4)

成績処理や事務処理のために使われているのが大半で、理科の授業で使われているのは、わ ずか5.9 であった。なぜ授業にパソコンをとり入れないのかその理由をみると、

o授業に使える機械がない。

oパソコンを授業に使うことに賛成できない。

oそ の他

oよいソフトがみつからない。

の順になっており、授業で活用するには、学校の保有台数や授業形態など、まだいろいろな問 題があることがうかがえる。

調査に協力いただいた先生方のうち、パソコンに興味があると答えた方は81.4 もあるの に、実際に学校で使われているのは25.4%と差があるのは、奈良県下では、パソコンが導入 されていない中学校が相当数あるからであるともいえようO個人的にパソコンを持っておられ る方が35.6 もあり、個人もちの機械を授業やクラブ活動等に使用している例もあった。

皿 理科の授業でのパソコンの利用例

杜で述べたように、まだ奈良県下では、中学校の理科の授業にパソコンが使われている例は 少ないのが現状である。授業形態や適当なソフトがないなどの問題はあるけれども、ここでは、

実際に授業で使ったプログラムの例について述べる。授業実践を行ったのは、操作学習の1つ として、ある概念を説明するための簡単なシュミレーション、そして、簡肇なアニメーション 的手法を用いたものについてである。以下に簡単に説明する。

(1)電流計の日盛りの読み方

乱数にようて指針を移動させ、同時にレンジを変えることにより電流の値を読むように出題 する。出題数を最初に設定して終了後に正答率を示す。もちろん実際に回路を作り、電流計を つ7'=いでその回路に流れる電流値を読みとるという操作をさせることも必要であり、授業中にや

らせている。一方では、電流計の読み方に慣れさせるためには、この方法を使って十分効果を あげることができた。

(2)浮力の説明

物体が押しのけた水の重さ分だけ浮力が生じ、それだけ水中では物体の重さが軽くなる事を 簡単なシュミレーションで説明する。水中に沈める物体の体積を10C適単位で変化させることに よって、浮力・重さの値が変化する OctR‑100c房の11段階の変化しかしなかったが、 OHP で提示するよりも動きがあり生徒は興味をもった。

(3)被子植物の構造

被子植物の花の部分の名称と受粉・受精について、簡単なアニメーション的手法を使って説 明する。直線や円の繰り返しのプログラムで行数だけは多い。

これも、教科書にある図やOHPで提示して説明するよりも、動きが加わるために、生徒は より興味をもって学習した。パソコンを利用して効果があったと考える。

プログラムの例を次に示す。長くなるので被子植物の構造"FLOWER、のみを紹介する。

(5)

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(7)

松村佳子・西野恭一

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‑ 78 ‑

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写真5 果  実

Ⅳ まとめと今後の課題

理科の授業の中でパソコンを利用するためには、まだまだ多くの問題がある。先ず考えられ ることは、利用したいのだが適切なソフトがない。自分で作るには時間的にも技術的にも困難 がある。市販のソフトは価格的にかなり高く、又自分の授業に適しているとは号い難いし、操 作もめんどうである。などがあげられる。これらを解決するために、誰にでも手軽に使え、括 用しやすいソフトの開発が必要になる.そして、それらに取り組んでいるグループの例もある。2)

操作が簡単で、自分の授業の場面に合わせて少々の変更は可能であるようなソフトの開発が今 後必要になってくるであろうO次に考えられ13ことは、機種間のハードの互換性の問題である。

これはメーカーの例で考えてもらわなければならないことである。又、授業形態、授業の展開 のし方など、教師の側にも工夫していくべき問題も残る。

生徒たちにとっては、パソコンは生活の一部になりつつある現在、学校でも何らかの対応が 必要になってくるであろう。自分の授業に合った手作りのプログラムを作りながら、生徒たち にもコンピュータを活用した学習・演習をさせることができるようになるには、各学校に少な くとも数台のパソコンが導入されることが望ましい。

未だ机上プランのものもあり、今後はそれらの改良と、理科で使えるプログラム作製を心が けていきたい。何よりも、肩肘張らずにパソコンを使ってみたいと考えている。

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(11)

松村佳子・西野恭一

参考文献

1)平田邦男・,理科の教育 Vol . 34 Nal2 (1985) P9

2)山田卓三、岡田稔、十亀好雄、村上優;日本理科教育学会近畿支部大会発表要項

(1986)

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