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ダイナミックモデルによる身のまわりの現象についての理解

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BulletinofFacultyofEducation,NagasakiUniversity:CurriculumandTeachingNo.41(2003)37‑45

ダイナミックモデルによる身のまわりの現象についての理解 一中学校理科教材 「凸レンズでできる像」について‑

森 下 浩 史 * 下 村 周 子 * 今 田 将 志 * 原 中 あ ゆ み * 内 田 太 郎 * 川 里 祥 之 ** 池 本 浩 幸 *** 楠 本 正 信 *** 宮 上 和 夫 干***

(平成153月15日受理)

Anunde r s t a ndi ngo nphe no me nawee xpe r i e nc eda i l y ba s e do nt hed yna mi cmo de lo ft hes o l ut ei ns o l ut i o ns

HirofumiMORISHITA*,SyukoSHIMOMURA *,MasasiIMADA*, AyumiHARANAKA

*

,TaroUCHIDA

*

,YoshiyukiKAWAZATO

* * ,

HiroyukiIKEMOTO

H

,MasanobuKUSUMOTO*H andKazuoMIYAGAMIHH

(ReceivedMarch15,2003)

1.は じめに

我 々は多 くの ものに囲まれて生活 している。生活 してい く上で, ものその ものおよび も のが示す性質や変化についての理解は,基本的に必要である。 ものについては,我 々が生 来備 えている五感を通 して把握 し認識するのが普通である。学習の場に於いて も,生体セ ンサー としての視覚や触覚な どの感覚を最大限に活用 して,教育に当ることが基本であろ う。

筆者等は先に小学校理科単元 「ものの とけ方」に関わって,シ ュリー レン現象が鮮明に 観察で きるように工夫 したい くつかの溶解実験例を示 し,粒子のダイナ ミックな振 る舞い を観察 させ ることによ り,児童に粒子概念を形成 させてい く場合の道筋を提案 した1)。即 ち, もの (溶質)が溶媒 に溶ける時, ものが小さい ものへ と変化 してい く現象を感覚 (視 質)的に観察させた り, ものの巨視的な認識を深めさせることによって,小さ くなった も のか らさらに小さい ものになって遂には 目に見 えな くなった現象について,視認で きない ほ どの微小粒子になった もの (デモ ク リトスが唱えた再分割破片2,3・4)と同等の微粒子)が 溶液中に分散 した結果であると,児童は推測で きるようになると考 えた。巨視的な溶解現 象に伴 って発現する,流動性 と透明性を併せ もったシュリー レン現象の観察 とその考察か

*長崎大学教育学部理科教育講座, 日長崎大学教育学部附属中学校

***長崎大学教育学部附属小学校, HH長崎市科学館

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38 長崎大学教育学部紀要 教科教育 No.41(2003)

ら,微視的立場か ら溶解現象を理解 させる一手法 として,ダイナ ミックモデル と名付けた モデルを提唱 した。

ものについてのより深い認識を得 させるために,光についての学習は極めて大切である。

また,現代の情報化時代に於ける科学技術を支えるエレク トロニクスやオプ トエレク トロ ニクスの基礎 として,光についての基本的な理解は不可欠である。

光は感覚的に捉えがたい とい う点か ら,光の教材の学習は中学生 に とって理解が難 しい 分野5)である。最近著者等は,凸 レンズの結像の様子を表わす作図が うま く描けない多数 の中学生を見掛けた。 これは,理科の教科書に記載 されている実像や虚像についての図お よび説明文6)に欠陥があったか らである。光線が レンズの内や外を実際 どの ように通過す るのか7),コロイ ド等を用いた実験でその光の道筋が生徒に見えるように工夫 してやれば, この問題は容易に解決できる。またこの場合には,光 と微小粒子 との相互作用 (この場合 には反射)を実際に視認 させ ることができることか ら,光 というエネルギー と物質 (微小 粒子) との関係を兄い出させ得 る学習の場を生徒に提供で きることになる。以上の観点か ら,中学校理科教材 「凸 レンズでで きる像」の学習の中に,ダイナ ミックモデル (溶質桂 子の溶解モデル)を組み込んだ実験 を試行錯誤 しなが ら模索 してみたので紹介する。「凸 レンズでで きる像」教材における,光線の作図8)の学習についての議論の端緒 になること を切に望む ものである。

2.

光について

可視光域の波長は約700nm〜400nmであ り,太陽光や白色光では これ らの波長を持 っ たいろいろな光が混在 している。 この ことは,鳥の羽毛を太陽光にかざ してみた り,また は 目をすぼめて 自分の睦毛で,太陽光 (可視光)を分光すること等により簡単に知 ること がで きる。光の伝播速度は真空中で約30万kmである。光 と空気 とは殆 ど相互作用 しない ので,空気中での光速は真空中のそれ とほぼ同じである。水中の光速は約22.5万km,ガ ラス中では大体20万kmである。 これは光の電場 と,水やガラスを構成 している原子や分 子な どの電場 とが相互作用するか らである。 この結果,光速は真空中の場合 よりもこれ ら の相互作用 に応 じて遅 くなる。 この ことが原因で,光は媒質間における境界面で屈折現象 を示す。電場同士の相互作用は温度や波長 によって当然変化する。従 って,屈折率 も温度 条件や可視光の波長によって変化する。 白色光が屈折時に分光 される様子を強調 して,図

1に模式的に示 した。

図 1 白色光線の分散の様子

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森下 ・下村 ・今田 ・原中 ・内田 .ダイナ ミックモデルによる身のまわ りの現象についての理解

川里 ・池本 ・楠本 ・宮上 一中学校理科教材 「凸 レンズでできる像」について ‑ 39

3.中学校理科教材 「凸 レンズでできる像」について

中学1年生で光について,反射,屈折,光の直進性, レンズで像ができること等を学習 する。 また,凸 レンズ (虫めがね)を用いた実験や観察を通 して,焦点距離 と像ので き方 の関係や結像に関する作図法 (図2‑ 5)を学習する。図2,.3,4はそれぞれ媒質 1と 媒質2における球形屈折面の実焦点および実像を表わす。図4の作図は次の1) 2) 3) の内容を表わす。 1)屈折面の曲率中心0へ向かって進む光線は真直に屈折表面 を通過す る。2)平行な光線は屈折 して焦点F2を通 る。3)焦点Flを通 る光線は屈折 して平行 な光線 となる。

図2 球形屈折面の実焦点 (ド:焦点)nl:媒質1,∩2:媒質2

図3 球形屈折面によって作られる物体像 nl:媒質1,∩2:媒質2

図4 球形屈折面によってできる実像の作図 (F:焦点)nl:媒質1,n2:媒質2 A

5 凸レンズによってできる実像の作図 (F:焦点)

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40 長崎大学教育学部紀要 教科教育 No.41(2003)

凸 レンズを通 して結像 した実像はスク リーン上 に映 し出す ことがで きる。しか しなが ら, 光源か ら出た光が媒体中をどの ように伝播するのか,凸 レンズ内を通 って,また どの よう

にして像を結ぶのかは視覚的に認知 し難い。そのために,生徒が深 く確かめ もせず,教科 書に記載 されている図,説明や作図の方法をそのまま鵜呑みにするだけの,受け身の学習 に陥 りがちになることを心配する。

学校で普通行われているガラス厚板を 用いた光線の屈折実験9)か ら,境界面で の光線の屈折 (図6)を学習 した生徒 に は,図7の(丑に波線で示 した レンズの中 央で屈曲する光の道筋については,理解 で きないにちがいない。凸 レンズの左半 分 と右半分 の材質 が異 な っていない限 り,レンズの中央で光線が折れ曲がるこ とはないか らである。また,図7の② に 波線で示 したレンズの中心点に向かう光 線 については,生徒だけでな く誰 もが こ れは正 しくない と直観的に考 えるであろ う。凸レンズの中心点を通 って光が直進 で きる条件は,光線 とレンズ表面が垂直 になるとき,つま り,レンズが球の場合 の ときだけである。

図6 境界面における光線の屈折 (nl<∩2)

i:入射角,ì:屈折角

図7 凸レンズにおける光線の屈折

波線①,②は教科書の作図で用いられる光線の道筋

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森下 ・下村 ・今田 ・原中 ・内田 .ダイナ ミックモデルによる身のまわ りの現象についての理解 川里 ・池本 ・楠本 ・宮上 一中学校理科教材 「凸 レンズでで きる像」について ‑

8,9に,ア ク リル樹脂製 凸 レンズのシ リ ン ドリカルスモー クレンズ (中村理科工業製 ,

‑50mm,f‑50mm)に横方 向 (厚味方 向) か らレーザ ・ポ イン ターで レーザ光 を照射 した 場 合の光 の道筋 を示 す。 図8は凸 レンズ に対 し て平行光線 を照射 した場合 を示 した。 凸 レンズ 内を通過 す る光線 は当然 なが らレンズ表面 で屈 折 した後 ,レンズ中央で折 れ曲が るこ とはない。

図9は レーザ光 を凸 レンズの中心点 に向か って 照 射 した場 合 を示 した。 斜 め か ら発 射 され た レーザ光線 は レンズ表面 で屈折 す るので,光線 は凸 レンズの中心点上 を通 るこ とはない。教科 書 で示 してい る図7の① ,② の光 の道筋6)は, 実 際 の光 が凸 レン ズ を通 過 す る光線 とは異 な る。 この光 の道筋 は飽 くまで も,実像 に光 が集 光 す るこ とを示 すため に便宜 的な方法 で表 わ し た ものであ る。従 って,本教材 内容の作 図の学 習 を行 な うに当た っては,「結 像 の様 子 を作 図 とい う手法 で便宜 的 に表 わす」とい うこ との説 明を,教師は生徒 に一言付 け加 えるべ きであ る。

本学部理科教育専修 の院生 に実施 されてい る 授業科 目 「実践授業研究」の教育の一環 として, 長 崎 大 学 付 属 中学 校 1年 生 の生 徒 に対 して ,

「凸 レンズでで きる像」学習教材 に関連 した授 業 を現著者 の院生 が担 当 した。 この際,生徒 の 中の相 当数 は凸 レンズ に よる結像の作 図を,醍 布 され た学 習 シー ト上 に うま く描 け な いで い た。 これは,平行光線 が レンズを透過 す る場合 , 教師側 が予想 していた作 図 (レンズの中央 で光 線 を屈折 させ る とした作 図) とは異 な って, こ れ らの生徒 は図7の(参に実線 で示 した ように, その光線 は入射時 に レンズ表面 で屈折 す る と正 し く考 えた こ とが原 田であ った。 凸 レンズの光 の屈折 に対 す るこれ らの生徒 の考 え方 は正 しか った に もかかわ らず,その直後 ,教 える側 の思 惑通 りに教科書 に示 されていたの と同 じ作 図 に 書 き改めていた。教 わ る生徒 たち も教 える側 も 共 に,教科書 に記 された教条的な作 図法 を, こ の場面 では了解 していた。 しか しなが ら,筆者 等は この学習局面での,教科書 に添 った教 え込

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「レーザー・ポインター

図8 平行光線に対する凸 レンズ内に おける光の道筋

「レーザー・ポインター

図9 凸 レンズの中心点に向かう光線 に対する光の道筋

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42 長崎大学教育学部紀要 教科教育 No.41(2003)

み方式には無理があった と感 じた。 また,生徒 自らによる探究心の育成を如何にするのか とい う,教育指導面での課題が浮 き彫 りにされた と強 く感 じた。

光の不思議 さや,凸 レンズによって像がで きる10)ことの驚 きや神秘 さに 目を見はる生徒 の感性や主体性を,一体 どの ようにして教 え育てていけるのであろうか。生徒 自身の感覚 では把 えきれない 「みれない

「さわれない」世界を感 じ取れるようにさせるためには,

「みれる

「さわれる」世界の中で全力を注がせて主体的に感性 を磨 かせ ること,即ち,

「みれる」世界を通 して 「みれない」世界を強 く感 じさせ ることが大切である。 この よう な学びの中で, 自分 自身を鍛 え自分で発見することが,教科書や教師による教義以上に大 切なことだ と考 える。 この発見の喜びが,さらにまた生徒の感性 と主体性を引 き出す こと に繋がると信 じている。

4.中学校理科教材 「凸レンズでできる像」へのダイナミックモデ

の適用につ て 光の道筋は,光源か ら見て箱の前面に小孔をあけ,側面 に透明な膜 を張った暗箱に線香 な どの煙 を充満 させてやれば,簡単に観察できる (図10)。 同様な方法で,水槽 と懐中電 灯な どの光源および牛乳な どがあれば,光の道筋を観察することができる。今回は,水槽 の前方に懐中電灯を置 き,水槽の前面に凸 レンズとダンボ‑ル紙で作 った円孔をセ ットし, 水槽の側面か ら観察をした。図11に水槽中の水に牛乳を加えた場合の懐中電灯の光の道筋 を示す。砂糖水を加 えて も水槽

中の光 の道 筋 は観 察 で きな い が,牛乳 を数滴 を加 える と,光 の道筋が くっき りと明る く見 え て くるようになる 。水槽の後方 に立てたスク リーンに,水溶液 を透過 して きた光のスポ ッ トが この時点 までは明瞭に観察 され ていたが,さ らに牛乳を加 えた 場合 には,水溶液中の光の道筋 の 周辺 までが輝 くよ うにな り,光の道筋は不 明瞭 にな って くる 。 同時に,水槽後方のスク リーン上の透過光のスポ ッ トの 明るさは減少する。

図10 暗箱中の光の道筋

図11 牛乳が入った水槽中の光の道筋 左側 :撹拝前,右側 :撹拝緩

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森下 ・下村 ・今田 ・原中 ・内田 .ダイナミックモデルによる身のまわ りの現象についての理解

川里 ・池本 ・楠本 ・宮上 一中学校理科教材 「凸レソズでできる像」について‑ 43 光の道筋は,多数のほぼ同 じ大 きさの牛乳の小さな粒が懐中電灯の光を反射することに より,出現するものであることが見て分かる。光の道筋をよ く観察 してみると,この光の 道筋の中で牛乳の小さな粒は常に動めいている。 この状況において,図11右側の写真に示 している均一 になった水溶液をさらに激 しく撹拝 して も,光の道筋の様子及びその明るさ に変化は見 られない。また,光線の方向を上下左右何れの方向に傾けて変化 させて も,逮 過する光線の様子に何 ら変化は見 られない。 この観察か ら,生徒は溶質が溶媒中に溶解 し た場合の,溶質粒子の均一分散状態のモデルを,イメージ化することがで きると考 える。

図11左側の写真では,水槽中へ牛乳を注いだ直後の光の道筋の様子を示 している。牛乳 の集合状態の様子は,光の道筋 とは別に白 く光 り輝 き,絶 えず動め きなが らその姿を刻 々 と変化 させていた。 これ らの事象は,まさに溶質が溶媒中に溶け出した ときのシ ュリー レ ン現象q)ダイナミックなイメージその ものである。 これ らの不均一な牛乳粒子の集合状態 は,経時的変化あるいは機械的な捜拝操作等による拡散によって,エン トロピー的に安定 で均一な粒子の分散状態へ と移行する。

透明な下敷 きやラップな どに水滴を落 した もので も,虫めがねの代用品になる。凸 レン ズ型水 レンズが市販 されているが,凸 レンズ型水 レンズ としては試験管 (図12),アク リ ル管 (図13),大小2枚の時計皿を組み合わせた もの等で も代用で きる。シ リン ドリカル凸 型の水 レンズ も簡単に自作で きる。2枚の透明な下敷 きの端 どうLを貼 り合わせ,これを アク リル板な どの上に接着剤で固定 し,これに水を入れると出来上がる。 もっと簡単には 市販の透明な洗剤容器が利用で きる (図14)。図15では透明な洗剤容器の横方向か らレー ザ光を照射 した場合の光線の様子を示 した。

図12 凸型水 レンズ (試験管)

図13 凸型水 レンズ (アク リル管)

図14 凸型をした洗剤用透明容器

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44 長崎大学教育学部紀要 教科教育 No.41(2003)

図15 凸型をした洗剤用透明容器とレーザ光 左側 :水,右側 :牛乳水溶液

図16,17はシ リン ドリカル凸型水 レンズの上部 にテ ィーバ ッグをつるした場合の装置図 と写真である。 このティーバ ッグの中に入浴剤や石鹸な どのコロイ ドの性質を示す ものを 入れてお くと,スモーク製の水 レンズを作 ることがで きる。暗箱の中に置いた このスモー ク製水 レンズのセ ットに外部 より光を当てることにより,凸レンズによる光の道筋が確認 で きる (図18)。 また,入浴剤等はダイナ ミックに拡散現象を示 しなが ら経時的に溶解す るので,溶質が溶解するときの溶解 イメージ と重ね合わせることがで きる。光 とコロイ ド 粒子が繰 り広げるダイナ ミックな状況が,光線の明 りの中で見て採れる。 これ らの観察を 通 して,生徒由 ま溶解現象における 「みれない」溶質粒子によるダイナ ミックな拡散‑均 一分散過程のイメージが創 られてい くもの と考 える。

(ヽ一′

′ ノ

図16 暗箱中の水 レンズにおける 図17 凸型をした洗剤用透明容器による

光の道筋観察装置 光の道薪観察装置

図18 暗箱中の凸型をした洗剤用透明容器と光の道筋

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森下 ・下村 ・今田 ・原中 ・内田 .ダイナ ミックモデルによる身のまわ りの現象についての理解

川里 ・池本 ・楠本 ・宮上 一中学校理科教材 「凸 レンズでできる像」について ‑ 45 5.おわ りに

「みれ る」「さわれ る」 な どの直接体験 は,生徒 たちの身体 とこころを揺 れ動 かすであ ろ う。「みれ る」「さわれ る」の直接体験 を通 して,「みれない」「さわれない」 自然現象 に 対 す る価値観や謙虚 な態度 を創造 し,探究心 を身 に付けさせ るこ とが,今の理科教育 に求 め られているように思 う。

上 に示 した光教材への溶質の溶解 ダイナ ミックモデルの適用例は,透 明な光の道筋の検 証過程 の中か ら思い付 いた実験操作法であ る。微小な粒子概念 を生徒 に得 させたいがため に,溶質 として敢 えて コロイ ドを用 いて紹介 した ものであ る。今回の実験 では水媒質 に不 透 明性 を示す牛乳や石鹸な どの コロイ ドを添加 したが,透 明性の高い コロイ ド (ゼ ラチン な ど) を用 いれば,理科教育 におけ る学習指導上別の もっ と効果的な学習展開が期待 され るであ ろう。

本報告では,凸 レンズに よる結像の学習 に溶解現象の学習 を組み合 わせ るこ とに よって, 光 (エネルギー) と粒子 (物質) との関係 に も注 目させ るこ とを,学習の 目的の 1つ とし て貰 いたい との願 いがあ る。 1つの概念 とまた別の概念 とが組 み合わ さって結びつ き,さ らに概念間のネ ッ トワー クが形成 され, これ らが総合 されて生徒の感性や主体性 が育 まれ てい くこ とに繋 が ってい く。 これ らの有機的な概念の結び合 いの中か ら, 自然現象 を正 し

く観、る生徒 が数多 く育 って くれ るこ とを切 に願 うものであ る。

謝 辞

10に付随 した一連の写真 を見た長崎大学教育学部 の福 山豊教授 か ら 「散乱後 の懐 中電 灯の光線 が水槽 の後方 で赤色味を帯びている」 こ との指摘 を受けた。 自然現象が示す理 由 (こ とわ り)について,奥行の深 さを感 じさせて頂 くことがで きた. スモー クレンズは環 境科学部 の後藤信行 ,富塚 明の両教授 にお借 りした。各種の実験 お よび写真撮影 は立 山敬 啓君 (教育学部3年生)の仕事 であ る。上 の方 々に心 よ りお礼 申 し上げ る。

文 献

1)森下浩史ほか,教育実践総合センター紀要,第 1号,21(2002)

2)アイザ ック ・アシモフ著,竹内散人訳,化学の歴史』,河出書房新社,21(1971) 3)田中実はか,『化学の歴史』,朝倉書店,5(1965)

4)都築洋次郎,化学史』,朝倉書店,57(1966)

5)広瀬正美,理科の教育 (東洋館出版社)γol.41,No.ll,8(1991) 6)三浦登ほか,新 しい科学 1分野上,東京書籍,13(2002)な ど 7)厚地大司,理科の教育,Vol.33,Nol,20(1991)

8)石井俊行,橋本美彦,理科教育学研究,γol.41,No.3,41(2001) 9)三浦登ほか,新 しい科学 1分野上,東京書籍,5(2002)な ど 10)吉原邦夫,科学 と実験 (共立出版)Vol.32,No.1,12(1981)

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