富 山大 学教 育 学部 紀要 Nα5 6:3 1‑4 2 ( 平成1 4年)
海 運 政 策 と 商 船 教 育 研 究
‑
先 進 国 型 商船教 育研究
の内容 は 何 か
‑雨 宮 洋 司
(2 0 0 1年1 0月2 2 日受 理)
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On e of m y c o n clu sio n sis that the key points of m e r c a ntile m a rin e c a r ric ulu m iIl a n adv a II C ed state c o n sist of 4 ele me nts & 2 fa n ctio n s ba s ed o n the tr ad itio n al s e a ma n sh ip.
は じ めに
本 論は我が国の商 船 ・ 船 員 教 育が 2 1世 紀の始ま りの現 段 階で到 達し たレベ ルと その内 容を海 運 政 策との関 連で論じ た もの で あ る。 明 治以来, 常に 国 家 政 策と ともに歩ん できた商 船教育は 2 1世 紀の 始まりの時 点で, いよい よ正 念 場に さ し か か っ て い る。 商 船 大 学が他 大 学と合 併し, 単 科と して の
商 船 大 学が消 滅 する とい う 政 策 決 定は, も は や他
の教 育に比べて, 商 船 教 育が国 家 的 見 地か ら特 別
の意 味 を もた なくな っ たことの象 徴である。 2 1世 紀へ の出 発を前に し て, 我が国の商 船 教 育 研 究の 存 在 意 義は何か を国 民の前に明ら か にすること が 迫ら れて い る。 そのた め に は戦 後か ら今日 まで の
商 船 教 育の歩みを, 海 運 政 策へ の対 応という視 点 で整 理 し て み る必 要がある。 本 論で示 すよ う に,
そこに は学 校 教 育と して の ユ ニ ー ク な到 達 点を見 て取るこ と が出 来るので あ る。 こ こ で は, その到
遠 点のポ イ ン ト を整理 ・ 指 摘し, そ れ を核に し た 教 育 研 究の姿こそ が国 民 経 済 的 視 点か ら み た 2 1世 紀に お け る先 進 国 型の商 船 ・ 船 員 教 育 研 究 機 関で あ ること を主 張 するo
以 上の展 開に あ た って, 戟 後の海 運 政 策につ い て, 前 半の部 分で船 員 政 策に結びつく 点に限っ て その ま と め を行っ たうえ, 後 半で 2 0世 紀 末に到 達 し た商 船 教 育 研 究の内 容を整理 して い る。 こ こに,
留 意しておい てもらいたい点 をま えもっ て二 つだ け指 摘し て おきたい。
G ) 我が国の国 立 商 船・ 船 員 教 育 機 関と し て は文 部 科 学 省 所 属の 2商 船 大 学と 5 商 船 高 等 専 門 学 校 ( 商 船 高 専) そ し て国 土 交 通 省 所 属の 8海 員 学 校,
再 教 育 機 関の海 技 大 学 校お よ び大 型 練 習 船に よ る 受 託 訓 練 機 関の航 海 訓 練 所が あり, 第二次 大 戟 後 か ら今日 まで, その基 本 的 枠 組み に根 本 的 変 化は ない。 た だ し, 後 者の国 土 交 通 省 所 属の三機 関は 2,0 0 1年4月より, 国 立の付 属 施 設か ら独 立 行 政 法
‑ 3 1 ‑
Tab一e I Japa n e s e F 一e et
(1 9 7 0 ‑1 9 8 5)
All S h ips Jpn.F lag ー9 7 0 Ye a r ー9 7 0 1 5 0 8 1 9 7 1 Ye a 「 2 1 2 3 1 5 3 1 1 9 7 2 Ye a r 2 2 3 5 ー5 8 0 1 9 7 3 Ye a r 2 2 9 6 1 4 7 6 1 9 7 4 Ye a r 2 4 0 0 1 4 2 7 1 9 7 5 Ye a 「 2 4 6 9 1 3 1 7 1 9 7 6 Ye a r 2 4 1 6 1 2 7 4 1 9 7 7 Ye a r 2 4 0 8 1 2 3 4 1 9 7 8 Ye a 「 2 4 9 4 ー2 0 4 1 9 7 9 Ye a r 2 3 8 8 1 1 8 8 1 9 8 0 Ye a 「 2 5 0 5 1 1 7 6 19 81 Ye ar 2 4 0 5 1 1 7 3 1 9 8 2 Ye a 「 2 3 4 0 1 1 7 5 1 9 8 3 Ye a r 2 1 7 5 ー1 4 0 1 9 8 4 Ye a r 2 1 3 5 1 0 55 1 9 8 5 Ye a 「 2 4 3 5 1 0 2 8
(Nu m be r)
So u r c e :S hip ping W hite Pape r
Table 2 Japa n e s e F一e et
(I 9 8 5‑2 0 0 0)
C ha rte r ed C ha rte r ed Japa n e s e
Fo , ci gnS h i .s J pn S h i ps F 一ags
1 9 8 5ye a r
1 9 8 6ye a r
1 9 8 7ye a r
1 9 8 8yedr
1 9 8 9ye a r
1 9 9 0ye a r
1 9 91ye a r
1 9 9 2ye a r
1 9 9 3ye a r
1 9 9 4ye a r
1 9 9 5ye a r
1 9 9 6ye a r
1 9 9 7ye a r
1 9 9 8ye a r
1 9 9 9ye a r
2 0 0 0ye a r
8 7 8 5 2 9 1 0 2 8 8 4 5 4 4 7 9 5 7 8 6 4 4 0 2 8 1 6 9 4 4 5 4 3 6 4 0 8 5 5 6 1 5 5 3 2 1 0 5 3 4 9 0 4 4 9 9 6 1 6 8 0 ■4 1 9 8 9 8 7 3 9 3 7 6 1 0 4 3 6 6 5 3 4 0 1 0 9 7 6 1 3 2 8 0 1 1 5 4 6 2 7 2 1 8 1 1 2 9 6 8 7 1 9 1 1 1 4 0 6 9 9 1 8 2 1 0 7 4 7 2 8 1 6 8 1 0 8 3 7 5 9 1 5 4 1 1 7 5 7 3 0 1 3 4 So u r c e :Sa me a s Table 1
人に なっ ている点に注 意 する必 要が あ る。
② 船 員 数 育と商 船 教 育の違い であ る が, 前 者は 海 技 免 状 等の資 格に代 表さ れ る船 員 職 業に直 結し た教 育の意 味で使い, 国 土 交 通 省 所 属の 三機 関で
の教 育が そ れ に該 当 する。 後 者は そ れを 包 含しつ
つ も科 学 的 ・ 技 術 学 的 知 識の伝 授と探 求 ( 商 船 学 と称 する) を重 視 する意 味で使 用 する。 従 って,
後 者は前 者に比べその教 育 期 間は長 く, 学 校 教 育 法 第 一条に規 定 する 「 一 条 校」 で文 部 科 学 省の 商 船 大 学と商 船 高 専に お け る教 育が商 船 教 育にな る。
た だ し, 商 船 教 育であ っ ても 船 員 教 育に限 りなく
(Ac c u m ulated Nu mbe r) F ig.1 Nu mbe r of Japa n e s e Se afa r e r s
So u r c e :Japa n S h ip pingStatistic s published by theJapa n e s e S h ipo w n e r s
'As s o ciatio n
近いもの (ま た は その逆) もあ るので, その語の
使 用に当たっ て は前 後の文 脈か ら判 断し てもらい たい。
1 .
商 船
・船 員 数 育 機 関
と海 運 政 策
第二次 大 戦 後か ら今日 ま で, 商 船 ・船 員 教 育 機 関に直 接の影 響を与え た海 運 政 策 (っ ま り, 我が 国の中 心 的 産 業 資 本の強 化 策に連 動し た国 土 交 通 省に よ る経 済 政 策) の変 遷 史は 四段 階に分 けて み るのが適 切で あ る と考え る。 第 一 段 階は敗 戦 直 後 か ら 1 9 5 0年の海 運 業 民 営 化や朝 鮮 動 乱 勃 発までと し, 日本 国の新た な自 立へ の始 動 時 期に相 当 する。
第二段 階は高 度 経 済 成 長 体 制の終 蔦を示 すドル シ ョッ
.
ク や石 油ショ ック が現れ る1 9 7 0年 代 央まで の時 期
である。 第三段 階は各 種の経 済 的シ ョ ッ ク を乗り 切る た めの経 営 合理化を模 索し た時 期で 8 5年の プ ラザ合 意に よ る極 端な円 高とバ ブル開 始の1 9 8 0年 代 後 半まで であ る。 そ して本 論の詳 細な分 析 対 象 で あ る第四段 階は,
バ ブル期そ し てバ ブル後の不 況の中で の グロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン政 策の展 開と規 制 緩 和を声 高に掲 げる 1 9 9 0年 代と2 1世 紀に入っ た 今日 まで の段 階であ る。 まず, 各 段 階の状 況 を 大 ぎ っばに見ること か ら始め よ う1 )0
1 ‑1 商 船・ 船 具 教 育 機 関の戦 後の再 出 発 ( 敗 戦‑ 1 9 5 0年 頃) 1 9 5 2年の講 和 条 約 発 効 まで は連 合 軍 総 司 令 部
海運政策と商船 教育研究
(G HQ) の意 向が第 一 であっ た。 敗 戦 直 後の政 策
は, 戦 時 中, 第二海 軍 的 役 割 を 演じ た商 船 ・ 船 員 教 育 機 関の非 軍 事 化を成し遂 げ, いか に その再 建 を厳 格に監 視して いくか にあったo 唯一 , 大 型 練 習 船を所 有 運 航し ていた航 海 訓 練 所だけは引 き 揚 げ 者 輸 送や石 炭 等 緊 急 物 資 輸 送 等の役 割を重 視し て, 1 9 4 3年の逓 信 省 ( 国 土 交 通 省) に よ る練 習 船
一 元 管理の戦 時 的 措 置は解か れ ること が ないま ま,
その形 態が温 存さ れ る契 機に な っ た。 や がて, 占 領 政 策 の変 更 は初の船 舶 建 造 許 可と計 画 造 船 (1 9 4 7年), 経 済 復 興5 カ年 計 画に よ る船 腹4 2 0万 トンの必 要 性と初の ペ ル シ ャ湾 航 海の開 始 (1 94 8 年) と なり、
, 1 9 5 0年の海 運 業 民 営 化と朝 鮮 動 乱の 勃 発は船 員 教 育 機 関の再 出 発の必 要 性を加 速さ せ
.た。 し か し, 商 船 大 学の誕 生 (1 9 4 9年), 商 船 高 校の誕 生 (1 9 5 0年), 海 員 学 校の誕 生 (1 9 5 2年)
という新 学 校 制 度での再 出 発は 一 般の大 学や高 校 な どの新 教 育 制 度 への移 行 時 期に比べ, 商 船 大 学 で 3 月, 商 船 高 校で3 年の遅れ があり, 当 局の慎 重ぶ りを 読み と ること が出 来る。 慎 重になっ た背 景と して は民 主 的 海 運 労 使 関 係の積 極 的 整 備 政 策 (1 9 4 0年の 海 員 組 合 結 成と 1 94 7年の船 主 協 会の設 立,) に合わ せ た商 船 ・ 船 員 教 育 機 関の民 主 化 問 題があっ た. 結 局, 商 船 大 学の目 的が 「 船 舶の運 航に関 連 する学 術の研 究」 と規 定さ れ た ように,
戦 前の "高 級 船 員の養 成"や" 甲 種二等 海 技 免 状の
取 得"とい っ た狭い職 業 教 育の目 的 設 定 を 避けて,
新 学 校 教 育 法の理念に沿い"時 代に即し た社 会 人 と して の良 識と教 養を高め た う え での専 門 教 育"
ということ が商 船 教 育の目 的に なり, 商 船 大 学 及 び商 船 高 校は文 部 省 ( 文 部 科 学 省) の機 関と して
戦 後の再 出 発を し たので あ る。 他 方, 海 技 免 状 取 得のた めの乗 船 訓 練を施 す 航 海 訓 練 所と海 技 免 状 に無 関 係な短 期 的 普 通 船 員 養 成 所である海 員 学 校 は引 き 続 き 運 輸 省 ( 国 土 交 通 省) の所 管と さ れ た。
こ こ に, 商 船 教 育と船 員 教 育を 理念 的に区 分け し て再 出 発し た我が国の 「 商 船 船 員」 のた めの教 育 機 関の姿を見て と ること が出 来る。
1 ‑ 2 商 船 ・ 船 員 数 育 機 関の1 的 ・ 質 的 充 実 ( 第 一 次 石 油ショ ッ ク 後の 1 9 7 0年 代 央 まで) 戦 後 経 済 再 建のた め に は国 際 貿 易 貨 物を安 定 的 ・
低コ ストで支え, 且 つ外 貨 獲 得が出 来る 日本 海 運
の再 建は不 可 欠と さ れ た. そのた めに, 船 価の6 0
‑7 0 % を低 利で融 資し て計 画 的に造 船 を 奨 励 する 政 策 (1 9 4 7年‑) や 一般 会 計か らの海 運 企 業へ の
利 子 補 給 制 度 (1 9 5 1‑ 1 9 7 4年) の優 遇 政 策が推 進 さ れ, 増 大 する輸 出 入 量 ( 戦 前 水 準の回 復は輸 入 が 1 9 5 4年, 輸 出が 1 9 6 3年) を 後 追いする形で強 力 に推 進さ れ た。 1 9 6 0年の国 民 所 得 倍 増 計 画や 1 9 7 0 年の新 経 済 社 会 発 展 計 画は さ ら に外 航 船 腹の拡 充 策 を 要 求し た。 こ の よ う な船 腹の増弊政 策は船 員 養 成 数の拡 大に結びつ き, 入 学 定 員は商 船 大 学が 2 8 0人 (19 5 2年) 一斗3 0 0人 (1 9 5 9年) ‑ 3 2 0人 (1 9 6 2 年), 商 船 高 校 ( 高 専) は 3 0 0人 (1 9 5 2年) ‑4 0 0 人 (1 9 6 5年) ‑ 6 0 0人 (1 9 6 9年) と なり, 海 員 学 校 は新 増 設 も 行っ て 1 1校 体 制に な り, その定 員は5 4 0 人 (1 9 5 2年) ‑ 8 0 0人 (1 9 6 3年) ‑ 1 2 7 5人 (1 9 7 1年) と なっ て急 激な量 的 拡 大が は か ら れ てい っ たo
他 方, 同 時に質 的な充 実 もは か ら れ た こと を指 摘 する必 要がある。 商 船 大 学の場 合は学 則の目 的 に添う形で , 研 究 施 設で あ る海 務 学 院の設 置 (1 94 9年) を機に, 六 部 門の研 究 分 野をセ ッ ト し,
洞 爺 丸 沈 没 事 件の調 査に取り組む な ど大 学と して の社 会 的 役 割 も 開 始 し た。 カ リ キ ュ ラ ムも ‑ 般 教 育の充 実, 国 際 経 済 ・ 法 律 関 係の教 科を増や し,
"
大 学ら しい授 業" を要 求 する学 生 運 動にも 対 応 し
てい っ た (1 9 6 2年‑ )0 1 9 6 4年に は海 運 業 界か ら の船 舶 士 ( 航 海 士と機 関 士を合 体し た船 舶 職 員) 教 育 導 入の要 求を,
"
専 門を深め る大 学 教 育に は
馴 染ま ない" と して拒 否し, 1 9 7 3年に は船 員 職 業
の た めの訓 練 期 間と大 学 教 育 期 間の区 分けを 明 確
にする た め, 4 年6 月の修 業 年 限を 4 年で卒 業と し, 海 技免状 取 得 希 望 者だけが, その後, 6 月の 船 員 職 業 訓 練を受け る制 度にするこ とを 提 案して い る (1 9 7 6年に実 現)。 そ して, 1 9 7 4年に は他の 大 学と同 様に念 願の大 学 院 ( 修 士 課 程) 設 置が認 め ら れ て, 商 船 大 学に お け る研 究 拠 点の充 実が は か ら れて い ったo 商 船 高 校の場 合は, すで に1 9 6 1 年に制 度 化さ れて いた新 高 等 教 育 機 関 ( 中 学 卒 業 後の5 年 間の 一 貫 教 育) で あ る高 等 専 門 学 校 制 度
へ の昇 格が 1 9 6 7年に認め ら れ, その修 業 年 限 も 船 舶 実 習 を 含めて 5 年6 月に延 長さ れ, 専 門 分 化さ れ た カ リ キ ュラム の導 入 も 行っ てい る。 海 員 学 校
の場 合 も1 9 6 2年に その修 業 期 間 を1年 間 延 長して 2年 制に して高 校 的カ リ キ ュラム の導 入を行っ た。
こ のよ う な学 校 数 育と し ての質 的 充 実は 1 9 5 0年 代か ら始ま っ た自 動 化 船 (M ゼロ 船) の 出 現や 1 9 6 0年 代の コ ン テ ナ リ̀ゼ ー シ ョ ンとい っ た技術 革 新の動 き‑ の学 校 教 育 機 関の当 然の対 応であ る が,
その間に 同 時 進 行 する船 舶 士 養 成という企 業の合 理化 追 求との せ めぎ合いも 行わ れて いるの であ る。
し か し, 大 学を始め とする文 科 省の商 船 教 育 機 関 は, 戟 後の再 出 発 時 点で示さ れ た大 学の目 的 ( 港 事や船 舶 運 航に関 する学 術 研 究) に沿っ て自 主 的 な判 断をくだ し, 海 運 業 界の動 きと は 一 線を画し た姿 勢 も 示し ているので あ る。
.
日 本 海 適 業の戟 後 再 建の時 期は同 時に新しい商 船 教 育 研 究 機 関の基 礎を固め る時 期でもあっ たことを 示し ていよ う。
1 ‑ 3 新 「 商 船 教 育 体 制」 の模 索
(1 9 8 0年 代 後半まで)
1 9 71年のドル シ ョ ッ ク と1 9 7 3 ・ 79年の石 油シ ョ ッ ク は高 度 経 済 成 長 政 策の終 蔦を意 味 する と ともに,
円の変 動 相 場 制 への移 行 (1 9 7 1年) は 日本 船の コ
スト を相 対 的に高いものに し ていっ た。 そのた め,
輸 出に頼る主た る産 業 資 本は, より 安い海 上 運 賃
の提 供を 日本 海 運 業 界に迫ることに な る。 そ れ は 安い外 国 船の物 色であ り, 日本 人 船 員の コ スト削 減策である。 前 者は, 次 第に便 宜 置 籍 船に代 表さ れ る外 国 用 船 ( 外 国 人 船 員) の利 用 増 大と なっ て 現れ, その傾 向は今日 まで続 き, 1 9 7 2年の 日本 船
の隻 敦 (2 千 絵トン以 上) が 1 5 6 0隻で そ れ が ピー ク で, 以 後 今日 まで年々漸 減して い っ た (2 0 0 0年 に は 1 3 4隻) (Table 1 , Tab le 2 参 照)。 そ れ に 応じて 日本 人 外 航 船 員 数 も1 9 7 4年の5 6,8 3 3人か ら 年々減 少 し, 1 9 9 2年に は 1 万 人を切 っ て 今日
(1 9 9 9年) では 5,5 73人に な って し ま って い る (F i g. 1 参 照)。 後 者の コ ス ト削 減 策は航 海と機 関に分 か れ た職 種の合 体に よ る乗 組 員 数の削 減を ね ら う
「 船 員 制 度近代 化」 政 策と して展 開さ れ る こと に な る (1 9 7 9年‑ 1 9 9 7年)2 )0 1 9 8 3年に は そのた め の船 員 法・ 船 舶 職 員 法の大 改 正 も 行わ れ, 商 船・ 船 員 教 育 機 関に対しては そ れ に沿っ た カ リ キ ュ ラ ム の改 正 を 促して い る. 官 公 労 使が 一 体と な っ た 近 代 化 政 策は 1 9 8 3年に, そ れ ま での2 4名 乗 組 員 体 制を 1 8名 乗 組に し, その後, 1 6名 船, 1 4名 船, 1 3 名 船そ して1 9 8 7年に は1 1名 船 も 誕 生さ せ る な ど大 きな 「 成 果」 を あげた。 し か し, 近 代 化 船の隻 数 は 1 9 8 7年の2 2 2隻を ピ ー ク に その 後 も 増 加 するこ と なく, や がて船 員 制 度 近 代 化 政 策は破 綻 するの で あ る。
こ のような海 運 ・ 船 員 政 策の展 開の中で, 海 運 企 業 への就 職 困 難は常 態 化して いく ( 卒 業 生の海 運 企 業 へ の就 職 率は 1 9 74 に商 船 大 学が 5 1.0 % へ,
1 9 75年に商 船 高 専が 5 1.9 % に落ち込み, そ? 後 回 復して いない) こと に な る が (Tab le 3,4 参 照),
商 船 大 学と商 船 高 専の そ れ への対 応 策は船 員 職 業 に結び っく 学 科 ( 航 海 ・機 関) の縮 小を は か り な が らも, 根 強い需 要 を 持っ陸 上 産 業 向けの工学 系
の諸 学 科を併 設し て その規 模を維 持 すること で あっ
た。 船 員 制 度 近 代 化に対 応し た カ リ キュ ラ ムも,
基 本 的に は航 海 学と機 関 学の専 門 体 系 を 崩さずに 対 応 する とい う学 校ら しい抵 抗 も 行っ てい る3 ) (1 9 8 3年 ‑ 8 4年に航 海 学 科と機 関 学 科を合 体さ せ
て商 船 学 科に変 更して近 代 化 船 員 育 成の対 応 策に する が, 実 質は航 海コ ー スと機 関コ ー ス を設 置 す ること に よ り, 専 門 教 科の温 存に努 力し ている)0
商 船 大 学の場 合, 1 9 7 7年か ら1 9 8 0年に か けて航 海 学 科と機 関 学 科の定 員を 3 2 0名か ら 24 0名に削 減
Table 3 E mploym e nt S itu atio n of Gr adu ate s
2u niv e r sitie s ● 一三‑ ー3marine s cho ○ls
A B A a A B
ー9 7 4ye a r 2 7 4 1 4 0 4 2 7 4 0 1 6 0 3 5 9 4 ー9 7 5ye a r 2 9 3 ー8 1 4 2 8 2 2 2 6 4 2 5 3 8 1 9 7 6ye a r 3 4 0. 6 3 4 1 4
E E ]
6 7 9 5 5 01 9 7 7ye a r. 3 2 2 4 6 4 5 9 1 3 4 4 9 5 4 ー0 A:Nu mbe rofgr adu ate s
B:Numbe r emp一oyed by S hip pl ng c ompa nie s
So u r c e : H istry of Tr a spo rtatio n M inistryfo r3 0 Ye a r s
海運政 策と商船 教 育研究
Tab le 4 Emp一oym e ntS itu atio n of Gr adu ate sfr o m Ma rin e Lis e nce Cour se
2 m a ri time u niv e r si tie s
Ma rihe tr a n spo rtatio n La nd
■
G.tota一 Ye a r Gr adu ate Oc e a n Co a sta一 O t he r s Tota一
ー9 9 5 ー2 7 5 3 ー■ 3 3 8 7 ー8 1 0 5
1 9 9 6 一o o 3 3 3 2 5 6 1 2 6 8 7 .■
ー9 9 7 ー0 2 4 6 2 2 3 7 ー ー5 8 6
ー9 9 8 ー0 1 4 8 0 3 0 7 8 6 8 4
●= 1 ー7 4 6 4 2 7 7 7 ー9 9 6
5 ma rit im e c oF[eges
Ma rin e Tr a n spo rtatio n La nd
G.total Ye a r Gr adu ate Oc e a n Co a stal O t he r s Total
1 9 9 5 l 4 2 5 8 5 3 6 6 5 4 ー2 0
ー9 9 6 ー6 5 3 6 6 1 7 0 6 9 1 3 9
1.9 9 7 1 6 0 6 8 3 9 5 3 5 7 ーー0
ー9 9 8 ー5 3 4 7 3 3 4 4 6 5 1 0 9
1 9 9 9 1 7 6 2 ー 3 7 4 0 8 1 ー2 ー
8 ma rin e scho oJs
Ma rin e tr a n spo rtatio n La nd
G.total Ye a r Gr adu ate s Oc e a n Co a sta一 O t he r s Tota一
ー9 9 5 3 9 5 ー 7 1 2 1 5 2 8 5 6 4 3 4 9
ー9 9 6 4 0 3. 3 6 0 2 2 3 2 8 6 4 8 3 3 4
1 9 9 7 4 0 7 0 5 0 2 2 6 2 7 6 5 0 3 2 6
ー9 9 8 4 ー1 0 3 2 2 ー8 2 5 0 7 3 3 2 3
1 9 9 9 3 9 7 0 2 6 ー9 8 2 2 4 7 1 2 9 5
Unit:pe r s o n Sou r c e :Sa me a s F ig.1
し, 制 御工学 科, 運 送工学 科, 運 送 料 学 科, 海 洋 機 械工学 科 を 各2 0名の定 員で設 立し てい るo 1 9 9 0 年に は前 者の定 員を さ ら に減 少 (工学 系が増 大)
さ せ て, 商 船 系 学 科の規 模は 1 6 0名と し た。 こ の よ う な新 学 科の登 場と ともに, 女 子 への門 戸 開 放 が な さ れ, さ ら に, 船 員 教 育 展 開の 一 部に な って いた全 寮 制 度 も 事 実 上 取り や め ること に な っ た。
商 船 高 専の場 合 もは ぼ大 学と同 様の動きにな る が, 統 廃 合の議 論 も 起こ ぅ た た め に学 科 改 組は大 幅に遅れ, 工業 系 学 科 ( 情 報とメ カ トロ系) の設 立は 1 9 8 5年と 1 9 8 8年に な り, 女 子へ の門 戸 開 放や 全 寮 制 度の事 実 上の廃 止 も 順 次 行わ れ ていっ た4 )0
商 船 大 学と異な っているの は, 商 船 系 学 科の卒 業 年 限と航 海 訓 練 所の実 習 期 間の切り離し は せず,
商 船 高 専の場 合はあ くまで も 乗 船 実 習 期 間 を 含む 5 年6月の修 業 年 限 を 維 持して船 員 教 育の制 度 的 継 続 を 図 ったこと で あ る。
海 員 学 校の場 合は その行 政 目 的が船 員 養 成に限 定し ている た め に, 規 模の縮 小は避 けら れ な
中
った. 19 8 1年に3 校を廃 止してその定 員 を9 8 0名か ら7 3 0名に し, 最 終 的に は 4 4 0名 規 模に な って いく
ので あ る が, こ の機に修 業 年 限 を 従 来の 2 年 制か ら 3 年 制に延ば して高 校 資 格 を 与え る と共に, 高 校 卒 業 生 も 受け入れ るコ ー スも 設 置し て高 学 歴 化に 対 応し た質 的 充 実を は か っ た。 ま さ に教 育に携わ る関 係 者の し た た か な 一 面 を 見せ るこ とにな った。
こ のよ う な制 度 改 革が 9 0年 代に お け る国 土 交 通 省 独 自の船 員 教 育 制 度の展 開に結びっくの である。
2 .
新
しい商 船 教 育 体 系
の明確 化
と船 員 数 育 制 度
の二極 化
(
19 8 0年 代 後 半
‑2 0 01年)
2 ‑1 グE ) ‑ パル化 促 進の海 運 政 策
1 9 8 5年の プ ラ ザ合 意によ る円 高ドル安へ の誘 導 は, 船 員 制 度 近 代 化 政 策に影 響 を 与え, 急 速, コ ン テ ナ船 を 使 っ た 1 1名 乗 組の近 代 化 船を出 現さ せ るパ イロ ッ ト実 験も行 った。 し か し, そ れ でも 途 上 国 船 員が乗り組む便 宜 置 籍 船の利 用に比べ て コ
スト高で あ り, 日本 人 船 員に よ る 日本 籍 船の維 持 は困 難なこと が判 明して いく。 結 局, 近 代 化 政 策 そのものを実 質 的に放 棄し て ( 船 員 制 度 近 代 化 協 議 会の 正 式 解 散は 1 9 9 7年), 1 9 9 4年に は近 代 化 船
‑ 3 5‑
にも 外 国 人 船 員と 日本 人 船 員の混 乗を開 始さ せ る こ と に な る (Tab le 5 参 照)。 他方, 1 9 8 6年に採 択さ れ た 「 船 舶 登 録 要 件に関 する国 際 条 約」 は便 宜 置 籍 船の存 在を固 定 化し た う え, 先 進 国が自 国 国 旗 を 掲 げてもその乗組 員 問 題は自 国 法と切り離 すこと が で き る, という先 進 国に配 慮し たフラ ッ
ギングアウ ト対 策の第二船 籍 制 度 を 公 認 すること に な っ た。 従 来, 我が国が法 的 解 釈のや りくり で 認め てきた 日本 籍 船 への外 国 人 乗 組 (マ ル シッ プ) 政 策 も1 9 8 9年には労 使 間で 日本 人 船 員と外 国 人 船 員の マ ル シ ッ プ混 乗を公 認し て,
一 層の脱日本 人
船 員 化 政 策が加 速さ れ ること に なっ た。 そ し て,
官 労 使は 1 9 8 7年か ら 二年 間, 余 剰と な っ た 日本 人 船 員の雇 用 調 整 ( 緊 急 雇 用 対 策) に乗 りだ し, 89 年に は外 航 船 員 数は半 分の1 1,1 6 7人にな っ て し ま う。 その後 も日本 人 船 員 数と 日本 籍 船の数は減 少 を続 けて い る。 そ して, これ以 上の減 少は好ま し くないということ で 1 9 9 6年に, その歯 止め策と し て第二船 籍 制 度で あ る国 際 船 舶 制 度を導 入し た。
そ れ は, 安 定 的な国 際 海 上 輸 送の確 保 上 重 要な 日 本 籍 船を 「 国 際 船 舶」 と し て指 定し, 当 該 船舶へ
の税の軽 減 措 置や当 該 船 舶 ‑ の船 長 ・機 関 長 以 外 は外
国
人 船 員の乗 組と して, 日本 籍 船のコ ストダ ウンを図る政 策で あ る。 1 9 9 9年に は, 日本の海 技 免 状 を 外 国 人 船 員が取 得できる よ う にする新た な試験 制 度 も 発 足して外国 人 職 員 導 入の制 度 作り が 着々 と進 行し てい る。
以 上のよ う に 8 0年 代 後 半か ら今日 ま で展 開さ れ
てきて い る海 運 政 策は明ら か に船 舶と船 員とい っ
た生 産 要 素を世 界の市場か ら外 航 海 運 業が自 由に 手に入れ ること が できる枠 組で あ るグロ ー バ リ ゼ ー
シ ョ ン化 政 策が先 行し, 国 民 経 済 的 視 点か らの政 策 展 開が後 退してきていることを 示し てい る。 そ うい っ た 日本 人 船 員を取 り 巻 く 困 難な
班
況のな かで, 我が国の商 船 ・ 船 員 教 育 機 関は どのよ うに対 応し よ う と してきたのかを 次に見てみ よう。
2 ‑2 新し い商 船 教 育の到 達 点と そ のエ ッセン ス
国 際 航 海に従 事 する高 級 船 員の養 成を出 発 点に し た商 船 教 育で あ る が, 第二次 大 戦 後の学 制 改 革
の中で 一 般の大 学や高 専とい った高 等 教 育 機 関と の激しい競 争や脱日本 人 船 員 化の進 展の中で, 徐々 に 一 般工学 教 育 研 究 ‑ 傾 斜し, 海 離れ を し てい っ
た傾 向は否 定できない。 特に, 7 0年 代 後 半から8 0 年 代 央に かけての商 船 大 学 ・ 高 専に お け る矢 継 ぎ 早の 工業 系 学 科‑ の改 組は その証 左にな る。 し か し, 後 述 する商 船 大 学の 「2 1世 紀 ビジョ ン」 ( 港
へ の回 帰 宣 言に等しい) を 支え るの にふ さ わ しい 商 船 教 育 内 容の維 持 ・ 発 展 も 同 時に積み上 げら れ て き ていた こ と も関 係 者は認め る必 要がある。
1 9 8 8年に行わ れ た商 船 大 学の教 育 研 究 組 織の改 革 は, 商 船 大 学が実 社 会の要 請 ( 直 裁に言え ば, 船 舶 職 員の養 成) に応え な が らも, 大 学の専 攻 別 学 生 定 員の変 化と そ れ に リンク し た教 員の配 置 換え,
そ し て カ リ キ ュラム の組み替え等に, その都 度 振 り回さ れ ないよ う にする た めのもの であり, 学 生
Tab le 5 C ha nge of t he numbe r of m ode r nized sh ips
Total Japa n e s e c r ew o nJy fo reign e r s
Ye a r A t y pe B t y p.e C t y pe D ty pe P ty pe ad ded
ー9 8 8 2 2 2 7 4 1 1 4 2 7 7
1 9 8 9 1 8 4 4 3 9 6 2 6 1 2 7
1 9 9 0 ー7 0 3 3 9 0 2 6 1 4 7
1 9 9 1 1 5 2 2 5 7 7 1 9 2 4 7
ー9 9 2 ー2 2 ー5 5 7 1 8 3 2
1 9 9 3 9 0 ー0 1 0 3 8 3 2
ー9 9 4 8 0 5 2 8 8 3 2 7
1 9 9 5 9 7 2 1 9 5 2 8 4 3
ー9 9 6 9 5 1 1 4 1 1 0 6 9
ー9 9 7 9 7 6 2 2 6 6 3
ー9 9 8 9 5 3 3 2 4 6 5
1 9 9 9 9 3 ー 4 1 4 7 7
Ja ロ,2 0 0 0 8 9 1 8 8 0
D e c.2 0 0 0 7 5* 1 7 4
aPa ∩ C 「 e W ー8c 「 e w ー6c 「 ew 1 4c r ew 1 3c r ew ーーc 「 ew 8‑9 Jap∩
So u r c e :Sam e a s F ig 1
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