﹁公共経費の効率性﹂
山 之 内 光 躬
1 181
資本主義的民主主義を基調とした社会の入入の選好型式には二つのものがある︒その一つは﹁政治的決定﹂を行う
揚合に専ら適用される投票方式であり︑他は﹁経済的決定﹂を行なう場合に典型的に用いられる市場機構方式である︒
そして︑このような社会における個人の経済的欲求の充足は︑依然としてその大半が市場機構を通じて私的セクター
によって供給されている︒しかし︑現代の公共セクターは︑政府活動の量的︑質的拡大から砂土ハ経費の規模を大きく
膨脹させてきている.︑すなわち︑現代の主要資本主義諸国の国民総生産に対する平均政府収入の比率は二〇%i三五
%にのぼっている︵←︒このように︑その決定が政治的プロセスを通じて行なわれる公共セクターの規模が国民総生
産の五分の一以上を占めているとき︑公共経費の効率性の問題︑すなわち公共セクターでの国民経済的資源の利用効
率を高める道を求めることは現代財政理論の課題の一つでなければならぬ︒
周知の通り︑現代の財政理論は主としてケインズ的手法に基づくマクロ分析による財政の経済理論的論議を展開し︑
そこでは公共予算の経済的効果を総体経済的に把握しようとする試みが主たる課題となっている︒いうまでもなく︑
ケインズ派のフィスカル・ポリシーはもともと一九二〇1三〇年代の経済をその理論的背景としてもち︑主として大
181
182
不況に対処するための理論展開にほかならなかった︒従って不況のために大規模に生産能力が遊休し︑大きなデフレ
・ギャップの存在した当時としては︑国民総生産や公共経費そのものの質的な内部構成の問題︑換言すれば社会の生
産的資源を公共セクターと私的セクターに配分する際に依拠すべき準則の問題︑さらには公共セクター内部における
資源の効率的利用の問題等は顕在化されず︑資源の用途選択よりもむしろ目前のフル・エンプロイメント達成の方が
はるかに緊急の解決をせまられたのである︒それゆえ︑内外を問わず︑完全雇用対策から経済成長の間題にいたる財
政政策理論は︑当然所得分析を中心としたいわゆるマクロ経済学の領域を舞台として展開されてきたのである︒しか
し第二次大戦を契機として︑フル・エンプロイメントの問題が原理的に一応解決され︑さらに経済成長が多くのアン
バランスを生じてくるにつれて︑これらの巨視的分析による財政の経済理論的取扱とは別に︑経済理論の分野におけ
る価格分析を中心としたいわゆるミクロ経済分析︑特に資源の効率的配分の問題に大きな関心がよせられてきたのに
照応して︑財政理論においても︑特に公論問題クターと私的セクターとの問の資源の効率的配分の問題を中心とした︑
いわゆる最適予算の決定といういわば財政論の伝統的側面に大きな注意が払われてきている︒またこれまでの財政論
の主流が︑その分析対象を主として租税の側面に限定し︑特に租税負担の配分の問題にその分析的努力の多くを集中
してきたのに対して︑これら現代財政理論の﹈つの特徴は︑公土ハ経費の適正規模の決定︑公共サービスのパターンの
問題にまでその対象を拡大し︑同時に財政収支の両側面に厚生経済学的分析手法が適用されていることである︒もと
もとイギリスの財政論は一般的にいって︑広義の厚生経済学の学統をうけついでおり︑特にピグi︵﹀幽○℃一碧二︶
ではかれの﹁厚生経済学﹂が財政部門に適用され︑﹁政府の正しい目標としてうけいれられている総厚生の極大︵2︶﹂
という一般原理から︑課税配分の準則としての最小犠牲原則が導出されたし︑さらにドールトン︵=U鯖幹︒コ︶におい
ては︑経費の生産性を判定する基準が︑経費の経済的厚生の生産性に求められ︑財政的効果の判定は経済的厚生増進
182
の程度によって決定される︒従って社会的利益の極大化ということが財政の基本原理として導出されたのである︵3︶︒
しかし︑ビグーの厚生経済学における基礎前提︑すなわち個人間の効用の可測性の問題︑ならびに経済活動に関す
る私的評価と社会的評価との関連ずけについての批判や検討をきっかけとしての︑新厚生経済学の理論的展開ととも
に︑財政論のなかにもこれらの分析手法が採用せられ︑その理論的取扱が一層精緻化されてきた︒そしてこの領域で
特に大きな功績を果したのは︑ボーモル︵芝已冨ヨいじd2日9︶T︶︑サムエルソン︵℃p巳︾.ω餌旨二巴ω8︶?︶︑マス
グレイヴ︵ズ三蜀匙﹀■ζ二・︒σq鑓く︒︶言︶等であった︒本稿は以上の観点から︑特に公共経費の効率性の問題をまず資源
の効率的配分の問題として考察し︑さらに個別的経費σ効率性についても若干の考察と検討を加えようとするもので
ある︒
H
183
公共経費の効率性を資源の効率的配分の観点から論ずる場合に︑まず問題になるのは︑公共セクターの範囲︑すな
わち適正な政府活動の範囲である︒これについてはアダム・スミスの規定以来︑種々の古典的基準が示されてきた︒
しかし︑民主的な資本主義経済制度を前提とする限り︑私的な市場機構が有効に機能し得ない領域について︑これを
政府活動に委ねるという命題は一応一般的に認められるであろう︵7︶︒資本主義を基調とする社会では︑消費者の経
済的欲求の大部分が市場機構を通じて充足されているが︑ある特定の状況においては市揚のプライス・メカニズムが
適正に機能し得ない領域が存在する︒つまり︑その状況のもつ経済的特質のために市場機構はいわゆる失敗するわけ
である︒ 市場機構の有効圏の外にある第﹈のものは公共財︵℃⊆ぴ一搾○○︒紆︶のケースである︒本来の公共財と私的財との問
183
184
には明確な境界線がある︒すなわち︑公共財の供給は不特定多数の個入に対して無差別に行なわなければならないた
め︑市場機構の適用は不可能である︒樽入的公共財に対する各々の支払額とは無関係に︵たとえサービスに対して支
払わない場合でも︶︑同量のサービスを享けることができる︒いわゆる排他原理︵①×︒﹃︒︒δp 窟︷β︒︷且︒︶が適用され
得ないわけである︒かくして本来の公共財の領域では︑サービスに対して支払うものと支払わないものとを区別する
市場方式を創出することはできないであろう︵8︶︒けだし︑いま個人Hb㌦.v嵩の財の消費量をそれぞれ8ご8・.⁝8δ
とし︑消費される私的財の総量を×ひ公共財を×Qとすれば
×︾匹8一十独悼十:::十&謡
×qn越一n8bu⁝・:融濁
という関係が常に成立するからである︒
かくして以上のような特質をもった本来の公共財の供給は公共セクターの固有の領域となる︒しかし︑一般に公共
財とよばれているものがすべて不特定多数の個人によって結合消費されるとは限らない︒ある場合にはこれに排他原
理を適用することが可能であるす︶︒国立劇場のサービス等はこれに属する︒また道路や公園のようにボーダー.ラ
イン上にあるものもある︒このような見地から財・サービスのパターンを分類すると図Aのようになる︒﹀切Oの部
分は排他原理を適用し得る領域であり︑O国Oの部分が排他原理を適用できない本来の公共財を示す︒そして﹀しd届閃
の部分は謙遜機構が有効に機能するマーケッタブルな私的財であり︑斜線の閃O国の部分は排他原理が適用可能であ
り︑ある意味で可分性をもってはいるが︑その性格上︑全面的に市場機構に委ねられ得ないもので公共政策的基準に
基づいてその提供を公私両セクターがわかちあっている領域である︵紛︶︒ つまり︑ この領域は有効需要の範囲内で私
的購入者によって支払われる部分と︑公共予算を通じて供給するのが望ましい場A口には公共財になる部分を含んでい
184
図A
D A
F
E B
C
のケースであり︵n︶︑第四は独占のケースである︒
用が平均収入を超過するようなケースであり︑
ターによる直接的運営が有効であろう︒
て可能であるが︑このケースではむしろ直接的な独占規制や価格︑
われわれはここでは主として第︼と第二のケースのみをとりあげることにする︒ る︒これら公共財の効率的配分については後節で考察されるであろう︒ 市場機構の有効圏外にあるものの第二としては︑私的費用︵便益︶と社会的費用
︵便益︶との間に乖離が生ずるケースである︒競争的市場経済が完全に機能すると
き︑価格は生産者の限界費用を反映すると同時に︑消費者にとっては種々の財の限
界効用を反映する︒従って価格は便益と費用のシグナルとして︑すなわち︑客観的
な市場価格が資源配分のシグナルとしての機能を果す︒しかし︑外部経済効果が存
在する場合には︑すでにピグーが強調した通り︑価格はもはや適正なシグナルを提
供しない︒そこで︑このような領域では︑資源配分の効率化を達成するために︑財
政機能に大きな役割が与えられることになる︒
市場機構が完全に機能し得ない第三のケ:スとしてあげられるのは費用逓減産業
前者は平均収入が限界費用に均等化する産出量水準では︑平均費
これにはもちろん財政政策も有効であるが︑場合によっては公共セク
後者による最適状態からの乖離も︑ある程度まで財政的手段がその対策とし
産出量規制等の方がより︸般的であろう︒従って
皿 185
祝われわれは便宜上︑まず理想的産出量からの乖離という第二のケースから考察しよう︒まず理想的産出量のための
186
諸条件をボーモルの図形を借りながら検討する︹じ︒ここでは説明上カルドア!ピックスの社会的無差別曲線の概念が
用いられるが︑その場合の前提条件として︑dj完成財に対する市場の需要的側面があらゆる意味で完全であること︑
働消費の外部経済︑不経済が存在しないこと︑換言すれば︑財のある組合わせから得られるいかなる消費者の満足も
他の消費者によって影響を受けないこと︑㈲一定時点での社会に存在する財の総計は各人に市場を通じて︼義的に分
配されていること︑㈲嗜好と生産技術は一定である︑働一定水準の資源の雇用があり︑かつ現在の知識と技術の制約
のもとで︑どの利用にも資源ができるだけ効率的に雇用されていること︑個適当な範囲内で︑いかなる財の消費も飽
満に達していないこと︑Gり社会的無差別曲線は決して交叉しないこと︑があげられるならば︑理想的産出量の構想は
図B−1で示される︒いま問題を単純にするために︑ぼ︑v・の二財だけのケースを考え︑これが直角座標軸にそれぞ
れとられる︒さN\等示される︑二財の社会的に可能な種々の組合わせに関連した社会的無差別曲線が原点に対して
凸であD︑相互に交叉しないならば︑価格線℃︸︶︑とは﹈点イ.・のみ接するはず.・
図B−1
C
r︑
T P
y P T
0
ある.また章台の価格比が一定で︑各消費者の満足が他人の消費の影響を受けな
いとすれば︑価格線は﹈定である.次に︸定の資源量と技術的に可能な産出量の
組合わせを示す変換曲線︵生産可能曲線︶は︑資源の代替性が不完全である限
り︑原点に対して凹である.︑従ってこの曲線の勾配は二財の限界変形率︑すなわ
ち︑社会的限界費用の比率を表わし︑価格線とは︼点でのみ接するはずである︒
かくて理想的産出量は社会的無差別曲線と価格線と変換曲線が︸致する点で決定
される︒けだし︑この接点からのどちらの方向への移動も︑より低次の社会的無
差別曲線へ復帰するからである︒
186
187
以上はいわゆる公共財を含まぬ部門での資源の最適配分を扱うものであり︑すでに﹁厚生経済学の基本定理︵−3︶﹂
︵二お蕃︒︒ざ夢8話ヨoh芝¢開震①︒88日ド︒・︶として論じられたところであって︑それ自体としては財政政策の固有
の対象とはならない︒しかし︑これらの理想的産出量が実現するのは︑完全競争経済のもとで私的限界費用︵便益︶
と社会的限界費用︹便益︶との間に乖離がない場合であり︑もしこれらの不調整のために理想的産出量を達成できな
いときは︑財政的手段によって調整が行なわれなければならない.ここに理想的産出量達成の問題が財政論の対象の
一つとなる︑けだし財政的機能を利用して資源の効率的配分をはかり︑ひいては国民の私家政の厚生にまで配慮をお
よぼすことが︑国民公家政観にたつ現代財政論の課題でなければならいからである倉︶︒
さて︑競争的均衡は︑二産業間の私的限界費用の比率が問題の生産物の価格比に等しいことを要求するが︑いま︑
私的限界費用と社会的限界費用との問に大きな格差のある産業を想定すると︑この産業と他
︑ の産業との社会的限界費用の比率は私的限界費用の比率に均等しないであろう︑つまり︑均
p.− T ︑ 11 D 瑳
図B3
図B詑
E1 ら 島︒︐鼠.
E3 T
0 El 亀
E需
Q T
衡点ではそれが価格比に︼致しないので 図B−1に示されているようには︑価格線が変換
曲線に接しないであろう︒もし図B・一2において︑社会的限界費用が︵他の産業に比較し
て︶私的限界費用よりも相対的に小さいならば︵例えば︑ずが大きな外部経済を含む状況の
もとで生産されるケース︶︑供給の均衡に必要な価格線は変換曲線への接線ではなく国団︑等
で示される形態をとる︒換言すれば︑∬の価格は︑それらの乖離がない場合よりも相対的に
高くなる︒同様に図B13において︑社会的限界費用が私的限界費用に比較して相対的に大
きい場合︑すなわち規模の外部不経済がある状況で露が生産されるとすれば︑生産者の均衡
価格線はO一︶︑等の形態をとるであろう.︑また︑需要均衡のための条件は︑図B11で示さ
187
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れたケースと同じである︒すなわち︑社会的無差別曲線が均衡点を通じて価格線と接していなければならない︒かく
して︑図B−4では︑κが相対的に大きな外部経済を含む状況で生産され︑価格線が国国︑で示されるとすれば︑均衡
図B−4
P B E
一,
@ F
A
E/
奪1製
藁,.
T
以上のごく単純なサーヴェイによって明らかであるように︑
的限界費用︵便益︶との乖離が生ずるとき︑
ることができない.︑市場機構は
外部効果の領域は公共財のケースと同様︑
達成するために期待される︑ところで︑
である︒けだし︑資源配分のこの不調整は︑
の方式による修正をうけいれる問題であるからである︒ ・ はB点で決定され︑他方︑価格線がOU︑となれば︵∬における外部不経済︶C が均衡点となる︒Aは私的限界生産物と社会的限界生産物との乖離がなく︑℃ T ℃︑が価格線である場合に得られる均衡点︑すなわち理想的産出量を示す︒外部
C
経済をともなうとき︑エの競争的産出量は過小であろうし︑外部不経済のある
ときは過大であろう︑けだし︑外部経済があって私的費用が社会的費用を超過 D
する場合には︑e×℃一︒蹄することが社会的には有利であっても私的には不利と
なる機会が存在するからである︒外部不経済のケースには逆のことが妥当す
る︒そしてここで注意すべきは︑B︑C点ともA点よりも低次の社会的無差別
0
曲線に接していることである︒外部経済効果が存在し︑社会的限界費用︵便益︶と私
プライス・メカニズムはもはや︑理想的産出量f適正な資源配分を提供す
﹁パレート最適﹂を自動的に成立させるという無比のメリットを持っているが︑この
市場価格機構の効力圏外にあり︑ここに財政的機能が資源の効率的配分を
ここで導入されるべき財政的手段は租税!補助金方式︵冨メーげ︒諺受堕︒︒け①ヨ︶
その方向と大きさがかなり正しく把握できるという前提にたつ限り︑こ
例えば︑ある財の産出量が適正量を超過すると判定されると
189
189
き︑各産出量単位に対する高率課税は産出量制限に効果的に働くであろう︒この方式は費用曲線の形状を変えるので
はなく︑費用曲線を税額だけ上方にシフトさせるであろう︒かくて︑租税を含む平均費用が最小になる産出量は租税
を含まない平均費用が最小になる産出量でもある︒競争的均衡の場合には︑これがある産業における各企業の産出量
でなければならないから︑ほぼ競争的状態にあり︑課税後も生産することが有利である企業にとっては︑租税は一般
的に︑ ﹁能力﹂産出量からの離反をともなわないであろう︒その産業における企業の生産物に対する需要曲線が屈折
しない限り︑あるいは限界的企業がはじめから大きな利潤を得ている︵従って小額の租税が損失をもたらさない︶の
でない限り︑産出量はある程度低減傾向を示すであろう︒一般的に産出量の低減の程度は単位当たり租税の大きさに
依存する︒寡占的屈折需要曲線のケースでさえ︑十分高率な租税は若干の低減をもたらすであろう︒かくして一定の
資源の雇用水準が与えられると︑原理的には︑理想的産出量は租税i補助金方式で達成できるわけである︒けだし︑
租税はある特定の財の産出量を低減させ︑生産要素を他の用途に解放し︑他の財の産出量を増加させるからである︒
さらに︑理想的産出量が達成されるのは︑租税で徴収された額と補助金の形態での政府支出額が正確に均等するよう
な租税一補助金方式か︑あるいは理想的産出量の達成で得られる純租税収入︵正または負の︶が︑純粋の租税方式に
よって理想的産出量を達成する際に得られる額と︑純粋の補助金方式による場合に失われる額との中間に決定し得る
ようなシステムにほかならない︒
かくして理想的産出量からの乖離を修正するために︑ある種の租税一補助金方式は可能であり︑生産的資源の不調
整を認めるかぎり︑この方式はそれらの排除にかなうであろう︒そして︑この方式がこれら不調整の排除に効を奏す
る場合には︑市場機構を放棄する必要はないであろう︵6︶︒その上︑このシステムには︑理想的産出量の真の大きさを
算定する他の方途をもたぬ揚合に︑当局は市場の判定を︑可能な理想的産出量に対する最も合理的な近似値として受
189
190
けとることができるという利点がある..
以上の租税i補助金方式は︑エクスタイン︵○淳︒国︒駐8ぼ︶のあげているような︵−6︶︑=守口奪合出︒ξ︒・①O餌ヨにお
けるような外部経済のケース︑あるいは公害等による外部不経済のケースにも広く適用し得る方式である︒いずれに
せよ︑この方式は社会の経済的厚生を極大に維持するという目的で租税の徴収と補助金の形態での経済的支出との総
合的効果を期待するものである︒ただこの場合租税一補助金方式が適用されるべき︑便益あるいは損失に対する評価
の基準は︑市場機構では決定され得ず︑そのためには政治的プロセスが必要である︵71︶ことに注意しなければならない︒
w
公共財をも含めた資源の効率的配分︑すなわち予算の適正規模の決定の問題に︼つの接近を試みたのは︑サムエゥ
ソンーマスグレイヴである︒公共経費の効率性という観点からこの問題をみるとき︑経済的資源を公的セクタ:と私
的セクターとの間にいかに配分するかという問題と︑公的セクターそれ自体の内部において︑各費目問に資源をいか
に効率的に配分するかという問題の二つに分類できるであろう.︑
まずここでは最初の問題について︑主としてサムエルソンの図形を利用しながら︵18︶︑公土ハ財を含む場合のハレー
ト最適の条件を検討しよう︒問題を単純にするために︑ここでも理財︑二個人のケースを想定し︑図C−1︑図C1
2にそれぞれ個人1と玉入且の無差別曲線で公共財と私的財との聞の選好が示される︒図C13において︑﹀¢じ線は
社会全体の公共財と私的財との変換曲線である︒なお直角座標軸の縦軸に私的財を横軸に公土目財をとるとき︑三図形
は各々独立的なものではなく︑上述した公共財の特質から︑横軸は共通の尺度をもっていなければならない︒ここで
パレート最適条件とは︑他方の個人を特定の無差別曲線にとどめたままで︑一方の個人が自己の可能な最高の無差別
190
図C−/
Uf
Uf Ii
u玉
C
イ固人工の公共財
。u丘野 図。−2
0 〜
uな
︑
よE,
D
個人Hの公共財 図C−3
UI十U/B
≧
歪−ii≧
謹
E
9 D
0
ム勺オ A C矛白日ア
公共財 B
0
個人1の私的財個友置の私的財
191
水準に達することを要求するから︑いま個人Hが図C−2のO一︶線︵驚︑口︶上にあり︑これを固定した場合︑個人1
の移動し得る最高次の無差別曲線を求めればよいことになる..その場合︑経済的資源と技術水準からくる制約が変換
曲線﹀ゆによって示されており︑三図形とも横軸が共通であるから︑図Ci3の中に個人1と個人皿の無差別曲線
を積重ねることができる︒すなわち︑図C−2のOdを図C−3に移しこれをO︑っ︑とすれば︑♪ゆ線とO︑囲︶︑線と
の中問にある領城は︑個人皿の効用を従来のままに固定した時の︑個入1の利用可能な公私両年の組合わせを示す︑
そして︑O︑O︑の上に図C11の無差別曲線群を積重ねて︑ これが変換曲線﹀じ︒と接する点Eがパレート最適の点で
ある︒あるいは諺ζuからO︑O︑を差引くことによって︑図C−1に︒従を得ることができるが︒餌とそれが到達可能
な最高次の無差別曲線q︑一との接点Eが個人1にとってベスト・オーフになる点である︒また︑図Ci3のq︷+
︑黛自線は個人1および且の無差別曲線を積重ねたものであり︑その勾配は公私こ財問の限界代替率を両個人について
191
192
合計したものにほかならない︒従ってE点では︑これと変.換曲線の勾配が等しくなることが必要であるから︑噛.防H
伴薗︾調θ蟄魯母脾扇駐菩薩廟恐嚇.嶋3腔田鎮啓母鳶閣外㌧母β雪融愚豊野いう関係が常に成立しなければならな
い︒ ところで︑個人1の効用を固定させる場合の︑最初の無差別曲線は無数に可能であり︑その各々に対して個人1の
到達し得る最高次の接線を導出することが可能である︒それらの各接点もまたたひとしく︼つの最適点であり︑われ
われはここに社会的厚生関数が与えられない限り︑たとえば図C−3のE点と9点という二つのパレート・ポイント
を比較し得ないであろう︒けだし︑ある最適点から他の最適点への移動は︑ある個人を改善するが他の個人を必ず改
悪するからであり︑これらの変化のインター・パーソナルな比較法が与えられねばならないからである︒そこで図Ci
用 4は序数図表に効用可能性を示すものであり︑各軸はそれぞれ二個人の無差 鋤 別曲線レベルの指標を示す︒パレート・ポイントの効用フロンテでアは勺℃
線で示される︒従って斜線の部分は無数の非効率的なコ︒=︑℃霞①8︐︒〇ニヨニヨ
で︒ぎ訴を示している.︑℃℃フロンティアは北西から南東に向っており︑こ
C れは不可避な利害関係の衝突を反映する軌跡にほかならない︒ところで勺℃
4
図 上から︑より高次の最適点を選択するために︑いまもし︑ベルグソン的社会
厚生関数︵19︶︑肩11﹃︵qごq口︶が与えられるならば︑℃喝上に社会的厚生を
極大化するような点が求められるはずである︒すなわち︑社会的厚生関数か
ら導かれる社会的無差別曲線︵≦♂≦︑⁝︶と℃℃フロンティアの接点9によ
って与えられる︵20︶︒
n の W効用
W W
P
髪
9笏
多
吻
P個人1192
193
以上のサーヴェイによって明らかであるように︑公共財を含む資源の効率的配分については︑市場のプライス・メ
カニズムはもはやその機能を果し得ない︒けだし︑個人1と個人豆の公共財と私的財の限界代替率の和が公共財と私
的財の限界変形率に均等するという最適点における条件は︑市場機構を通じての個々の消費者行動によっては達成で
きないからである︒市場経済においては排他原理が支配するところがら︑消費者は各々その選好を表示しなければな
らないのに対して︑公共財では排他原理が働かないため︑公共財の消費は個人の支払額とは無関係であり︑原則とし
て各個人は供給総量を消費することができる︒それゆえ各個人は真の選好を明らかにしないことは明白であり︑ここ
に市場機構は失敗せざるを得ない︒つまり自発的選好方式では最適点への到達は期待できないわけである︒ここに共
同的選好方式が介入しなければならないであろう︒かくして︑資本主義的民主主義を基調とした社会では不可避的に
二元的選好システムをとらざるを得ない︒
この二元的選好方式のうち共同的選好方式は︑決定が政治的プロセスを通じて行なわれるが︑エクスタインがあげ
たように︑これを意思決定機構としてみるなら︑自発的選好システムとこの方式には次のような差異がある︵21︶︒ま
ず第一に政治的決定は強制的要素を含んでいる︒市場とは異なり︑政府が公共財の給付を決定すると︑それに対する
経費負担を拒否することはできない︒従って︑ここでは原子論的な消費者主権は主張し得ないであろう︵22︶︒第二に︑
市場のテストが存在しない限り︑公共サービスの効率性の確認は存在しない︒市場ではある財がその費用以上の満
足を提供しないとき︑生産者は損失を蒙る︒政府の場合は課税権を行使するために︑損失を蒙ることがない︒そのた
めに効率性が保証され得ない︒第三に︑政治過程は選択機構としては非弾力的である︒市場では個々の財を個別的に
選好決定することが可能であるが︑政治的決定においては︑投票者は選挙の際に限られた少数の問題を評価し得るに
すぎず︑一括選好表を示さなければならない︒第四に︑政治過程の決定は︑プレシャー・グループ︑地域等への政治
193
194
的権力の分配を反映している︒このことが公共経費のパターンにも影響を与える︒従って資源の効率的配分の基準が
無視されざるをえない︒以上は政治的決定における非効率的側面であるが︑同時にもう一つの側面も看過されてはな
らない︒第一は︑市場においては貨幣が投票数であり︑政治過程では各人が一票をもっている︒すべての決定が貨幣
の投票数で決定される社会では不合理な分配関係は免れない︒従ってある意味では政治過程が資本主義の安全弁とし
ての役割を果す.︑市場機構とは異なった投票数の分配方式により︑政治過程は市場とは異なった結果をもたらす︒第
二は︑ある状況のもとでは市場のメカニズムは有効に機能し得ない︒この領域では政治的決定は不可避である︒
二元的選好方式にはこのような相剋的要素を内在しているのであるが︑自発的選好方式と共同的選好方式とは相互
に排斥しあうものではなく︑民主的資本主義社会では両者は補完関係にあり︑今日では特に共同的選好方式は︑国民
公家政治的な観点から︑個人の私家政にまで配慮をおよぼしながら︑公土ハの福祉を増進するために経済資源の利用効
率を高めるとともにその成果の分配を公正の理想に近ずけることにより︑厚生水準の極大化の達成をはからなければ
ならないであろう.
194
v
さて︑われわれは公共セクター内部における効率性の問題に移ろう︒国民総生産の五分の一以上が市場機構による
個入的選好によらず︑共同的な意思決定を通じて配分されているとき︑公共セクターにおける資源の効率的利用は極
めて重大である︒われわれはまず公共セクターで経済の効率化のためにとられるべき方策をサーヴェイし︑次にこれ
ら効率化の実現がもたらす効果を検討しよう︒
公共経費の効率的決定に対する経済分析の可能性を論じた最近の経費論︵23︶は︑次のような意欲的な提案を試みて
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いる︒の限界便益と限界費用の均等化︒公共経費の決定は︑その限界便益が限界費用よりも大である点で︑あるいは
少なくとも等しくなる点で行なわれるべきである︒この原則の適用は資源配分上の二つの問題を解決する.︑一つは︑
各経費項目が少なくとも私的セクターに配分された財の価値に等しい便益をもたらすこと︒他は︑ある経費項目が他
の分野のより価値のある公共経費の支出を妨げないことこれである︒それゆえ︑この原則は︑限界経費の便益が私的
セクターにおいても公共セクターにおいても機会費用を超過することを要求する︑もちろんこの便益一費用原則は︑
便益の評価の問題に関連して︑便益の測定の可能な特定の分野の公共経費︵怨にのみ適用可能である. しかし︑この
原則の適用のもつ︑むしろ=︒西︹三く︒な意義を看過してはならない.︑すなわち第一に︑便益と費用との関係を無視し
た︑予算のいわゆる.ぐ2三﹁¢葺︒=肖竜℃﹁c霧︸巳.に対して︑第二には︑便益に着目する以前に経費総額を決定ずる
予算のいわゆる..ぴ象筑2隣﹃箕邸6箕︒m戸︒7..に対して︑この原則は有用な矯正手段を提供する.︑かくして︑便益i費用
原則は経費選択の問題に直接の解決を提供するものではないが︑特定の経費の価値についての判定を求め︑その経費
が租税費用に値いするのか︑はたして公金の最善の利用を表明するのかについての検討を求めるものである︒捌最小
費用解の発見.公共経費の決定に対する経済学的アプローチが直面する第﹈の困難は︑便益の測定可能性の問題であ
る.︑しかし︑特定の公共サービスの最小費用解を求めるという単純な方式を導入して︑実用的な側面を強化すること
ができる.︑国防や宇宙開発等の技術的に複雑な分野では︑通常広範な技術的に可能な代替的アプローチが存在するの
で︑どの方式が最も効率的であるか一どの方式が最小の費用で目的を完成するのかを発見するために︑包括的な経済
分析が必要である︒幟公共サービスの価格づけ︒すでにのべたように︑公共サービスのうちで特定の型のものは︑そ
れを無料で提供するか︑料金を徴収して提供するかについて選択が可能である︒しかし︑サービスの型によっては無
料の提供が資源の非効率的利用をもたらすかもしれない︒この領域ではサ:ビスの価格づけが公共セクターの資源利
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用の効率化を改善するであろう︒有効経済におけるルールは強面U昂艶蹄丑ということであるが︑このルールは原
則的には多くの政府サービスの領域でも適用できよう︒しかし実際にはこれらサービスには非常に低い価格がつけら
れており︑料金が過度に低いときは非効率的結果をもたらし︑ひいては適正な近代化のプログラムの遂行を困難なら
しめるであろう︒函意思決定過程の改善.経済的に効率的な意思決定のできる制度的状況が計画されねばならない︒
すなわち︑同一定の目的に対し︑一個の決定単位が責任をもつように︑組織構造を調整することができる︒この方式
では一当局が特定日的の達成に可能な多数の代替的手段の選択にあたり︑ベストなものを合理的に求めることができ
る︒㈲意思決定者が最適の選択にあたれるよう︑情報網が組織されること︒㈲費用は何年かにわたって検討されるこ
と︒㈹意思決定者に対する圧力が︑かれらを経済的選択の方向に導くような︑制度的機構が創出されること︒公共セ
クターでの意思決定の基準は︑市場経済の利潤極大とは別の公共政策上の適正な基準が与えられねばならない︒誤っ
た基準設定は非効率を拡大する︑陶政府調達のためのインセンティブ・コントラクト方式︒政府の調達する財のパタ
ーンが標準的なもので︑殆んど技術的な斬新さを要求しないときは︑通常の市場過程と同様︑契約は競争的入札が可
能である︒未経験の︑複雑な設備のような︑競争的入札の不可能な領域では︑従来は..8︒︒口唱ξ︒︒︑︑契約方式がとら
れ︑費用と利潤の比例的上昇が認められたため︑生産者に対して費用節約の誘因が働かなかった︒その対策として︑
一定の価格を明示して︑費用の節約が余分の利潤として残されるような方式を試みることができる︒この方式はたし
かに︑費用低減への誘因をもつであろうが︑費用が不明である揚合には適用し得ない︒けだし︑政府は︑この確定価
格契約がともなう大きな危険を負担させるためには︑過度に高い価格を提示しなければならぬからである︒費用節減
のすべての誘因を犠牲にする方式と︑極めて高価な危険プレミアムを支払う方式との中道的方式としてのインセンテ
ィブ.コントラクト方式は︑当初の見積り費用以下の費用節減部分は生産者が留保することを認め︑費用超過部分は
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生産者がこれを負担するものである︒この方式は正常な競争機構の代替物ではないが︑少なくとも費用を膨脹させる
よりもむしろ節約する誘因を導入するであろう︒
以上のサーヴェイは個々の公土ハ経費の効率性を促進するための若干の方策であるが︑これらの効率化の実現が期待
されるとき︑さきにわれわれの検討した分析はどのように修正されるであろうか︒われわれはここで再び変換曲線を
利用しよう.︑さて図Dにおいて直角座標軸にそれぞれ私的財と公共財をとると︑﹃雪見は資源の雇用と技術水準が与
えられた場合の変換曲線であり︑いわゆる私的財と公共財を含めた生産の
図D
w w
鯉
財鳴洪
.玄
鵬
M﹁一II−11G
…
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To
P
0
私的財
線とはB点で接している︶よりも高次の
ことは︑公共財・サービスの給付の増加が私的財生産部門に対してもたらす効果である︒
︵例えば道路︑警察等︶は︑企業自らが負担すべきであるはずの費用負担を軽減するはずである︒
線が↓︒↓︑︒から↓︒↓︑一ヘシフトされることよって︑ 有効領域︵生産可能性フロンティア︶である︒従ってM点における公共財︵︵︶¢︶と私的財︵○︸︑︶の組合わせも︑生産可能領域に位置する限り可能ではあるが効率的組合わせではない︒いま公共セクターにおける経費の効率化が実現せられたとすれば︑変換曲線は目︑覧︒︑.から曵︑養.︑にシフトされるはずである︒このことは︑ 一定の公共経費の規模で︑経費の効率化のためにより多くの公共財・サービスの供給が可能になることを意味し︑公共財やサービスの量を固定させると︑私的財の方に従来より多くの資源が配分されることを意味する︒従って︑社会的無差別曲線W︵変換曲WにH点で接することができるのである︒この場合看過してはならない 公共財・サービスの給付 それゆえ︑変換曲 もし︑公共財・サービスの給付が増大されるとすれば︑それは
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私的義僕産部門における費用関数を下方にシフトさせる効果をもつ︒そして︑私的財生産部門における費用関数の下
方シフトということは︑従来の資源量のままで︑より大きな産出量を生ずることを意味する︑また公共財.サービス
量を固定する場合を考えると︑効率化の分だけ私的セクターの租税負担が軽減され︑資源がその分だけ私的セクター
に配分されることになるであろう︒そのどちらを選好するかは︑その社会がたとえばガルブレイス︵旨囚.︵︸︹二言巴チ︶
の﹁ゆたかな社会︵25︶﹂をうけいれるかいなかにかかっているといえるであろう︒
さて︑以上のような公共セクターにおける効率化における変換曲線の東北方向へのシフトとその経済的効果は︑個
別的公共財相互間にも妥当するであろう︒すなわち︑公共財が例によって第−財と第皿財の二種類だけで象徴的に代
表されていると仮定すれば︑第−財における効率化の実現は︑従来の経費規模のままでは︑その財の給付水準をひき
あげるであろうし︑第−財の給付水準を固定し︑公課ハ経費規模を一定にすると︑第五財の給付水準をひき上げるはず
げ.・ある︒そしていずれの場合においても︑より高次の社会的無差別曲線に到達
図E
w
wBノ
B
叙
研賄 N畷 油 曄 P棚
M 彰6︐ 0第H財︵公共財︶の給付水準 するはずである︑この関係を図示すれば︑図Eのようになる︒すなわち︑直角座標軸にそれぞれ第−財と紅皿財の給付水準をとり︑ζZ線は効率化が導入される前の両財の給付水準の組合わせを示す︑いま第−財の領域で効率化が実現せられたとすれば︑両財の給付水準の組合わせを示すζZは東北方向のζ℃へとシフトされるであろう︒すなわち︑公共経費全額を第−財にのみ投入したとき︑OZの給付水準が得られたとすれば︑効率化の実現はさらにZ℃だけ給付水準を上昇させることを意味する︒かくてζ℃線は選択可能な組合わせ
を示す新しい軌跡である︒従ってこの場合の均衡点はζ℃と社会的無差別曲
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線Wとの接点Bである︒それはζZと無差別曲線Wとの接点Bよりも高次にあるはずである︒換言すれば︑ζZ
の給付水準の組合わせでは︑第−財の給付水準09と第H財の給付水準○ρの組合わせが社会的に最も望ましい
公共財の構成であるが︑第−財の側で効率化が実現せられ︑給付水準の新しい組合わせ軌跡ζ勺を得ると︑その均
衡点では第−財の給付水準09+90︑一と第H財の給付水準09+9︵きの組合わせが得られ︑これが社会的に最
も望ましい︑新しい公共財の組合わせとなる︒このようにして︑経費規模を一定とすれば︑公共財の一領域において
効率の促進が実現されることにより︑公共財によって達成され得る厚生水準は︑より高次のものが期待されるのであ
る︒ ○
これまでわれわれが検討を加えてきた︑資源の効率的利用という観点からの公共経費の分析は︑社会の経済的厚生
の極大化が財政政策の究極の目的として与えられている場合︑財政理論の固有の︑しかも最も重要な領域の︼部を形
成しなければならない︒
すでに︑ケインジァンのフィスカル・ポリシーが︑自由放任の終焉を契機として︑従来の国家の公家政の需要充足
財政から︑国民公家政敵財政として新たな転換をとげたが︑資源の効率的利用をめざした財政政策も︑明らかに︑も
はや単なる国家公家政観に基づいた財政論ではなく︑その枠を越え出て︑国民公家政的配慮をもって︑ひろく国民の
私家政にまで配慮を志向すべきものにほかならない︒すでにピックス︵¢.囚.国時︒D︶が︑規範的財政政策の基準と
して︑産出量の極大化︵箕︒曹︒叶δ口︒冥葺信日︶と効用の極大化︵葺二身︒冥一Bqヨ︶を導入したとき︵26︶︑財政に厚生
経済学的分析をとり入れ︑政策の究極の目的を完全雇用そのものでなく︑それによってもたらされる実質所得の極大
化に求めている︒しかし︑ヒックスでは国民公家政としての財政の立場がそれほど明確に分化されてはいない︒しか
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㎜し︑︒の動向は︑公共響の国民総生産に対する比率が高くなるにつれて︑︒た経済成長が多くのアいノづフンスを生㎜ じてくるのに照応して︑ますます顕在化されざるを得なくなった︒従って︑現段階においては︑マクロ経済学の応用
としてのフィスカル・ポリシーの問題とは別に︑以上のような資源の効率的利用を中心課題とした財政政策理論が財
政理論の固有の一部門として積極的に展開されねばならぬであろう︒
注ω︒h=ゆ目.O︒・三ヨ斜ω﹃鴛①ohOo<①昌昌①巨ぎOHo湊Z卑ご昌巴℃No窪ロ︒件︷o吋く舘δ岸㏄Oo⊆ロ鐸冨9トミ馬︑帖§謡肉8き︒ミ特
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く︒ド㏄メト¢⊆n伊℃戸践01繊①.以上の論客はいずれも︑鴫.ぎ60鳶象平縫ヒ竃§馬ミら︑亀㌧ミ︐肋ミ.建ミト・象ミミ切長︑ぴ①岱潔①鎚
び︽匂︒︒︒①℃プ国■ω臨σqま朗お⑤ρ︿or目り℃鍾Hににω一風㏄bこに収録されている︒
㈹.﹀﹄≦霧σq鑓<ρ賦︑ミ日︑ぎミ隻ミ︑︑暮翻ら諭︑︑§亀−卜恥ミ匙隻§︑袋ミ詩肉8ミミき旨浅¢■
m. これらに関しては︑例えば︑○偉︒国︒﹃舞似P︑匿ミ普︑執刀§ミ♪H㊤①企℃℃﹂O占鼻を参照せよ︒なお︑同書は近々平田寛一郎・
日向寺純雄両氏による邦訳が出る予定である︒
㈱ ℃■﹀︒009︒日⊆Φ﹃OP上掲の両論文参照︒
側 即.︾﹂≦二︒︒σq冨<①o℃■o搾v℃℃.一ω山餅邦訳︑ 一入一二〇頁︒
⑩ この領域のサービスを私的企業が供給している場合には︑当然︑公共政策上の種々の規制が加えられなければならない︒
⑳ ヵ﹀﹄≦匹αq冨く①り︒℃.9θ.vづ唱●P心中●邦訳︑二〇四一二〇八頁︒
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吻.≦■﹄.しd︒・日9︒や葺G℃℃■卜︒蔭中
樹6;﹄︒診ち.﹀.︒・9ヨ集︒一︵;≒︒・︒夏・ミミき晦ーミ譜へNミ肉§§:ミξじ・硫︾霧ξ.
=IS
働 時子山常三郎﹁財政本質論﹂および﹁財政学﹂参照︒
⑮﹀.¢国σq︒ξ︒7葺署.㊤蒔占09
矧O■団︒す8旦○や魯曜鴇竈.に山G︒・
面 即﹀■竃霧σq屋<Po℃.9叶Gワ目き●邦訳︑二一〇1.二一一頁︒
囎℃.﹀■︒っ二三8po謬属日日墓牙国砦︒声量8︒︷鎚↓一μ8蔓︒︷空窪︒国老窪9一ξρ︵・℃.舞二壱⁝脂㎝c頃.甲ド︑・・︑︵Mミ︐
腎二三窺語ミミ﹄瓢届昏﹂ざ憾ミ︐隔o勺・9酢;なお︑この問題については︑マスグレイヴも図解的説明を加えてい為.︵ヵ.﹀.ζ⊆肌σq同翁.5
0勺.ユf勺喝㏄01㏄吟邦訳︑ 一一八−一二五頁︒︶
鳴﹀﹄三三︒p諺㌘︷︒三夏件含︒︷○窪目コ﹀ぞ¢塗・・︷乏︒野羅響8︒三βO﹄ミミ︑◎・︑︒ミ.ミ︑ミミミミミひ明い霧︾
署.︒じド㌣︒︒︒︒斜.
⑳ もちろん︑このような最適点に関する判定について︑たちいった吟味が必要であるが︑ これらについては次のものを参照せ
よg一冒.鋭留置¢ぎp国食養件葺︒︷カ①巴以巴︒き=口8ヨρ○ミ竃︑翫津︒ミミ§津鷺・ひ︸§﹂¢頓︵.︶二︶℃﹄−己算べ︒︑ミ
︹園ミミミ円塔ミミら寄㌧ミ・ひ︒や︒三石δ駆駆⊥o刈にも肉§ミミ§・魚韓§§詩︾ミミ鴇多多㏄獅署蹟叢∴≦﹄■
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20ρ曽すけΦ旦8.簿G℃娼●嵩山O.一⑳︒︷・↓●︒︒︒ぎく・ζ9夢①℃冒9﹃︒︷o︒諺§塞.ω・話艮αq耳ざぎ建鷺訟§妄亀Sミ§載9︐§茎蒙♪署辱
lN蔭㊤■
⑳ρ国︒す梓⑦58・︒三娼やb︒ω出9
2Ql
202
⑳ 例えば︑災害防護施設︑発電事業︑郵便事業︑ ︼部の運輸事業︑あるいはレクリエイション施設等の限られたケースのみに 02 適罵し得るにすぎない︒ 2
⑳﹄.円Ω巴げ轟蹄7﹃︒曹ミミミ向ミ蹄含︾巳㎝Oc.
⑳q界宙︒頁︑尋ミミ起§3卜︒監¢・ごち契署.一︹デ;︒︒
︵一九六六・九・三〇︶