石器剥離面検討・ 計測システム
埋 蔵 文 化 財 セ ン タ ー
剥離面計測のシステムを完成したので報告する。システム開発は平成2年度から始まった三 年計而の文部省科学研究費補助金一般研究B研究課題「石器製作経過復原と製作追試実験研 究」に伴う基礎作業である。
剥離而の検討が石器づくりの経過復原に欠かせない手続きであることは,改めて述べるまで もない。とくに立体的な剥離而構成一複合した打撃点,割れ面の広がりデータの取り込みは長 年の懸案事項であったが,正確(緒密)なデータを容易に扱えるようになった。
計測には三次元空間座標測定装瞳(ベクトロンV S C ‑ 0 7 型小坂研究所製)を導入し,測定した。 本装置は測定環境が整備されていて,信頼できる測定が可能である。とりわけ測定時の電子案 内機能が,基本軸とは別に自由設定できる利点がある。この機能によって,死角となっていた 主軸に平行的な剥離面に対しても安定したデータを取り込める。三軸回転を行う基本面広がり データとして有効であり,後の回転照合処理を妓小限に抑えることができる。
ここに,単純な面構成をとる資料サンプルを取り上げて説明する。資料は握り拳大の円牒を 素材に一方の端部を加工した「喋器」(6 7 × 5 1 × 9 0 mm)で,剥離而数は4面ある(松沢1 9 9 1 ) 。
測定原点を原則として資料本体のほぼ中央に置いた。もし測定データを図に展開するとすれ ば,石器作図正面形をXZ平而(表製)に,YZ而が左右側面形に,XY而が上下側面と横断而形 に当てられる。同じデータのXYZ値の組み合わせと向きの設定で6面の作図が自在である。
4面間の而界稜,エッジの測定値,また全体の形状をとらえる平行したXY面すなわちZ軸
を 2 m m 間 隔 で 切 る 断 面 座 標 値 を 準 備 し た ( A ) 。 基 本 的 に は こ の デ ー タ で 面 検 討 が 可 能 で あ る 。 な お 各 断 面 の X ・ Y 軸 方 向 の 肢 大 小 を 求 め た デ ー タ の 集 ま り を つ く れ ば , X Z 面 の 平 面 輪 郭 図 , Y Z 而 の 側 面 輪 郭 図 を 描 け る 。 た だ し 単 純 な 面 構 成 な ら と も か く , 複 雑 に な れ ば な る ほ ど 個 々 の 剥 離 面 の 広 が り デ ー タ が 必 要 と な る 。 剥 離 4 而 そ れ ぞ れ を 独 立 し て 扱 い , 打 点 付 近 に 電 子 案 内 原 点 を 設 け , 剥 離 の 流 れ 方 向 に 主 軸 を と っ た 測 定 面 を 設 定 し , 得 た 面 広 が り デ ー タ ( B ) を 基 本 と す る 。 そ れ を 三 軸 回 転 さ せ た 計 算 値 か ら , コ ン タ ー 値 を 得 て , 同 心 円 状 に 腿 開 す る こ と を 確 認
する( c ) 。三軸回転値が正しい割れ而を得る作業に対する素材の設侭状況を示していることにな│ ベクトロン+パソコン
〔 測 定 〕 1 ) 剥 離 而 界 線 2 ) 断 面 3 ) 剥 離 面 広 が り 4 ) 而 交 角 ・ 距 離 計 算 5 ) 不 在 部 分 復 原
│パ ソ コ Z − l
〔修正〕1)データ整理(訂正,切り張り,重複削除)
〔加工〕1)マトリックスデータ作成2)三軸回転3)コンター計算
プ ロ ッ タ ー + パ ソ コ ン
〔作図〕1)測定データ作図2)加工データ作図3)コンター作図
− 4 6 −
第2回転:(−15.0,0)
. . . L一彦・ 、竜‑ ‑ 、. .
る。また加工過程での剥片不在部分の復原座標XY値は同装綬の機能( K EEP ・LI N K ) を使いZ値を 測 定 し て 同 じ 精 度 の 測 定 値 と し て 取 り 込 め る 。
測定検討作業の流れは三者の間を行き来している。それぞれの作業に関わるプログラムの準 備が必要であり,また作業効率を商めるためにもプログラムの整備が要求される。
以上のように,測定データおよびその処理価は次の5種類である。()内の数値は本資料で
の測定および計算数値である。総数約4万点である。測定には忍耐を要する。
l)面輪郭座標値( 3 8 8 0 点)2)面広がり測定値( 1 3 9 5 0 点)3)断面形嘩標値( 1 9 1 1 0 点) 4)面交角・打点間距離に関する座標値および計算値( 9 0 ケ所,6 7 0 点)
5 ) 不 在 部 分 復 原 測 定 値 ( 1 5 0 0 点 ) ( 総 計 3 9 1 1 0 点 ) 付図はその成果を作図したものである。火並データを同時的に処理する要求は今のところな い。使用機種は小型のパソコン範I 州(N E C P C ‑ 9 8 0 1 LV 2 1 )であるが,十分にその役割を果たして くれている。追試実験はただ似た石器ができればよいわけではない。こうした剥離而構成の検 討の上にたった実験こそ,意義ある追試になるだろう。本測定は現物に応接接する接触方式で あるが,今後の方向として非接触方式の測定に大きな魅力を感じている。
< 参 考 文 献 > 松 沢 亜 生 1 9 9 1 「 在 外 研 修 報 告 」 ( i 年 報 1 9 9 0 」 ) ( 松 沢 亜 生 )
第 1 回 転:(0,83,0) 剛 1
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A:XY断面図‑ 10mmを境に,上半に表面側,下半に裏I前側データを組み合わせて作図。
B:而l測定データ取り込み位侭図第1同I 肱:本体を逆1 1 旅│ 何りに8 3 度(Y II i l l l ) 。
C:而1打点位侭復原推定例第2回転:手前に1 0 度(X軸)傾けて求めた削れ斜而等間線(−6〜‑ 2 4 mm) c
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