伝熱現象から見た熱可塑性樹脂製品の設計条件最適 化に関する研究
著者 奥泉 了
発行年 2012‑01
出版者 静岡大学
URL http://doi.org/10.14945/00007482
静岡大学 博士論文
伝熱現象から見た熱可塑性樹脂製 品 の設計条件最適化 に関する研究
2012年 1月
大学院 自然科学系教育部 環境・エネルギーシステム専攻
奥泉 了
The study of the optimization of design parameters for the thermoplastic resin products with heat transfer
Ryo Okuizumi
Department of Environment and Energt Systems, Shizuoka University
3-5-l,
Johoku, Naka-ku, Hamamatsu, 432-8561, JapanSummary
Recently, plastic materials are widely applied to electronic
components and automotive chassis. Designingwith
engineering plasticis
shongly demandedfrom
theview point of
environmentcontrol
throughlight weight, long life
andhigh
efficiency.Especially Polyoxymethylene
(POM)
and Polybutyleneterephthalate(PBT)
arewidely
appliedto
mechanical components such as gear, bearing and housing.For
a practical product designof
engineering plastics such asPOM
and PBT,it is
importantto
reduce.the number
of trial production.
However, there area lot of
parametersaffecting
theoptimizing of the
designconditions; it is very difficult to know which property
is dominant for optimizing the design parameters.Also it
is impossible to change only one parameter in an actual experiment.From
thesepoints of view, this
study has carriedout a
numericalsimulation
on heat transfer and experimental studyfor
investigatingthe optimization of the
design parameters such as the sliding conditions for POM and welding conditions for PBT.Chapter 1 shows background, previous research, and purpose
ofthis
study.Chapter 2 shows that a numerical simulation was carried out to evaluate the sliding surface temperature
of POM for optimization of sliding conditions. By using
the developed simulation codefor
determinationof
thesliding
surface temperature,it
was found that the effect of natural convectionof
ambient air on sliding surface temperature could be ignored since the induced convectionis
weak. On the othet hand, the forced convection dueto rotation
wassignificant for the
temperature.In addition, from
the tfuee-dimensionalnumerical simulations of heat transfer with intermittent
sliding geometry,although the sliding
surface temperatureof continuous sliding part
was constantat any time, that of intermittent sliding part dropped instantareously
by ambient air. Finally, we concluded that we could successflrlly predict thelimited
slidingvelocity \Mith various small surface areas by using numerical simulation.
Chapter 3 shows the
presumedresult of the welding domain by using
the developed simulation code for optimization of the welding conditionsin
PBT. Moreover,the new index which is
expressedthe
laserwelding
strengthwas
studied, and the techniqueof presuming
laserwelding efficiency with suffrcient
accuracywas
also developed. From the result of the welding domain by using developed simulation code,it was found that the laser energy was
decreasedsharply until laser
reaches the absorption side material.It
was observed that the welding behavior isvery
sensitive to iaserpower,
andhigh power
laserirradiation easily
inducespolymer
decomposition.Therefore, an accurate prediction
of
laserefficiency
is essentialfor optimizing
the laserwelding
process.In addition, it was found that the laser efficiency on
crystallinepolymer welding
can be easily estimatedwith
rearranging the experimental results by using the newly defined absorption energy parametel.Chapter 4 shows the conclusion in this paper.
伝熱現象から見た熱可塑性樹脂製品の設計条件最適化に関する研究
奥泉 了
静岡大学大学院 自然科学系教育部 環境 。エネルギーシステム専攻 静岡県浜松市中区城北3‑5‑1
概 要
近年、プラスチックは電子部材や 自動車用部品として広く用いられている。その中 でエンジニアリングプラスチックは金属と比較し、比重が小さい、長寿命である、耐腐 食性 に優れているなどの高しヽ性能を持っている事から環境への負荷が少ないために、
新規部品への採用要求が非常に強くなって来ている。特にポリアセタール(POM)樹 脂 とポリブチレンテレフタレート(PBD樹脂は、歯車、軸受け、ハウジングなどの機構部品 用の材料として広く適用されている。
POM樹
脂やPBT樹
脂を用いて部品を試作設計 する段階では、試作回数を如何 に少なくするかが重要な課題である。しかしながら、設 計条件を最適化させるためには、複数の条件が複雑 に影響しあつているため、最適化 に支配的な条件を求める事は非常に困難である。更に、現状の実験的手法では 1つ の設計条件の影響だけを検討しているため、複数の条件最適化には限界がある。このような問題を解決するために、本研究では、
POM樹
脂を用いた設計における摺 動条件の最適化について、またPBT樹
脂を用いた設計における溶着条件の最適化 について、開発した数値解析コードによる熱移動現象の解明と実験により、設計条件 の最適化に及ぼす影響を明らかにし、纏めたものである。第 1章 では、研究の背景、既往研究、目的について述べている。
第2章では、
POM樹
脂部品設計において、摺動条件の最適化を行うために、数値 解析にて摺動面温度の評価を行つた。開発した解析コードによる検討の結果、空気の 自然対流は、摺動面温度にほとんど影響を及ぼしていない事が分かった。一方、実際 のモデルにおける熱移動は、樹脂の回転によつて発達する層流の強制対流伝熱の考 慮が必要である事が明らかになった。カロえて、片側間欠摺動形態における3次 元数値 解析の結果より、連続摺動側では摩擦 に伴う熱が保持される一方で、間欠摺動側 に 与えられた熱量は空気との接触により瞬時に空気中に逃げる。そのために、間欠摺動 側では温度の急低下が起こり、間欠摺動側の部品は連続摺動側よりも材料の溶融流 出が遅れる事が明らかになつた。本研究にて作成した3次
元解析コードを用いる事で、これまで実験における限界滑り速度を材料の溶融を目視により確認した際の速度で決
定していたが、小さい摺動部材でも正確な限界滑り速度の算 出が可能である事が分 かった。
第 3章では、
PBT樹
脂における溶着条件の最適化において、伝熱解析による溶着 領域の推定を行つた。更に、レーザー溶着強度を表す新たな指標 についての検討を 行い、レーザー溶着効率を精度良く推定する手法の開発を行った。開発した数値解 析コードを用いて溶着領域を計算した結果、レーザー光が吸収側材料に到達し吸収 されるまでの段階で、レーザー光のエネルギーは大幅に減衰する事が明らかになった。溶着実験の結果より、成形品の溶着状態はレーザー出力が大きく影響し、高いレーザ ー出力により樹脂が容易に分解する挙動を確認する事ができ、レーザー溶着条件の 最適化おいて、溶着効率を正確に把握する必要がある事が分かつた。加えて、新たに 定義した吸収エネルギーを用い実験結果を再評価する事で、結晶性樹脂材料のレー ザー溶着効率が容易に推定出来る事が分かつた。
第4章では以上の知見をまとめ、本論文における結論を記した。
目次 第 1章
11 背景 ………1
1.1.1熱 可塑性樹脂の展望 ………1
1.1.2エンジニアリングプラスチックの位置づけ.…………・2
1.1.3熱 可塑性樹脂の摺動.…………6
1.1.4熱 可塑性樹脂の溶着.…………32
12 研 究 目的.……… . … … ………・ ……¨……・……… ¨…… …… … … ……46
13使
用記 号 ………50第 2章 ポリアセタール樹脂の摺動条件最適化 に関する検討 ミ,
21
はじめに.…¨………¨………¨…・522.2摺動面温度に関する数値解析 ………・53
2.21数
値解析法.…………532.211数
値解析モデル.…………532212解
析基礎式 。境界条件 ………552.2.1.3解析物性値.…………59
2.214計
算アルゴリズム ………622.2.2結 果及び考察 ……….64
2.2.2.1摺動面温度 に及ぼす樹脂周囲の熱移動の影響.……………64
2.2.2.2摺動面温度についての実験値との比較 ………67
2223限
界PV値
の評価 ………・702.2.2.4限界
PV値
に及ぼす摺動接触幅の影響 ………712.2250N‑OFF操
作における摺動面温度の評価 ………・7323片
側間欠摺動形態における樹脂摺動面温度の予測 ………¨762.31数
値解析法 ………762.311数
値解析モデル.…………762.3.1.2解析基礎式・境界条件 ………78
2.3.1.3解析物性値 ………81
23.1.4計算アルゴリズム ………83
23.2結
果及び考察.…………852.321限
界滑り速度の決定 ………852.3.22摺動面における熱移動 ………87
23.23接
触面積と限界すべり速度の関係.…………9024ま
とめ ………¨………9225使
用記号 ………942 6 Appcndix.. .... ..・ ¨¨・ ・ ・ ・・¨・・¨¨¨¨・・・・¨・・・・・ ・ ・ ¨・・・・ ・ ¨¨¨¨¨¨¨・・ ・・・ ・¨96
第3章 ポリブチレンテレフタレート樹脂のレーザー溶着条件最適化に関する検討 97 3.1 はじめに.…………¨97
3.2レ ーザー溶着における溶融領域予測 ………98
3.21数
値解析法 ………二………983.2.1.1数値解析モデル ………98
3.2.1.2解析基礎式 。境界条件.…………100
3.2.1.3解析物性値.…………103
3.214計
算アルゴリズム.…………105322結
果及び考察 ………1073221部
品内部の伝熱現象 ………1073.2.22透 過材内部での光拡散現象による影響.…………112
33レ
ーザー溶着における溶着効率測定手法の開発 ………114331実
験的手法.…………H4
3.3.1.1材料.…………・1143.3.1.2試験片 ………115
3.3.1.3透過率測定 ……… 116
3.3.14レ ーザー溶着.…………116
3315溶
着強度の測定 ……… ■83.32結
果及び考察 ………H9
3.3.2.1透過率の試料厚み依存性.…………・1193.3.2.2溶着強度のレーザー出力依存性.…………121
3.323溶
着強度の供給エネルギー依存性 ………123332.4新
たな供給エネルギー式の導入 ………1243.3.2.5拡散項と吸収エネルギーの計算 ………128
3.3.26溶着強度の吸収エネルギー依存性 ………130
3327平
板切削品を用いた検証.…………1313.3.2.8溶着効率測定手法の開発.…………・132
3.4ま とめ.…….………・………¨………・・135
3.5使用記号.…………137
第4章 第5章 31用文献.…………141
第6章 謝辞.…………¨………¨¨………¨……148
Appendix本研究の統 .…………149
第1章 序論
1。
1背 景
1.1。
1熱
可 塑 性 樹 脂 の 展 望プラスチックは、現代社 会 にお いて最も身近 な素材 の一つである。プラスチックは、
主 に石 油を原 料 とす る非 常 に大きな分子 量を持 つた有機 化 合 物 を主体 とす る人 工材 料 群 の総 称 であり、金 属 と比較 す ると、比 重 が軽 い、腐食 性 に強い 、絶縁性 が高い 、 成形や加 工が容易 であるなどの長 所 を持 っている。特 に熱 可塑性樹脂 は、加熱 により 繰 返 し溶 融 が可能 なため、一度 成 形 品として使 用 された後 でも回収 、リサイクル が容 易であることから、今後 、よリー層 需要 が増す と考えられる。Fig。1‑1は 日本 にお ける汎 用 エンジエアリングプラスチックの生産 量推移 を表 している。エンジニアリングプラスチ ックは工業 用部材 、機 構 部 品など、これまで金 属材 料 でしか設 計 されなかった部 品の 代替 に多く用 いられる事から、年 々需要 が増加 する傾 向が認 められる[1]。
様 々な種類 の熱 可塑性 樹脂製 品が数 多くある中で、各 用途 に応 じた最適設 計 は重 要 であり、特 に長 期信 頼 性 を必要 とするエンジエアリングプラスチックの設 計 において、
材 質 、形状 、スペ ック、などの条件 を事 前 に最 適化 す ることは、今 後 、自動 車 のエンジ ン部 品や ブレーキ部 品、シー トベル ト部 品など、重要保 安部 品の樹脂化 を進 める上で 必須 の課題 となっている。
口〇引↓oづ弓〇︼︒︺〇>や引↓口づσ 1.200
Э00 800
600
400
200
0
PBT
in‐PPE POM PA
PC
1995 1996 1997 1998 1999 2000 200t 2002 2003
2004 (F)(千トン)
Fig.l-l The quantity of production about
the engineering plasticsin Japan.[l|
1。
1.2エ
ンジニアリングプ ラスチ ックの位 置 づ け プラスチックの種類と分類プラスチックとは、非常に大きな分子量を有する有機化合物を主体とした材料群の 総称である。一般的にプラスチックは、金属やセラミックスに比べて、以下に示すような 特長を持っている。
(1)比重が小さく、機械的性質に優れている。
(2)腐食性が無い。
(3)成形・力口工が容易である。
また、プラスチックは熱や圧力を与えると流動化が起こるため、異種ポリマーとの重 合や強化繊維の添加 により、性質を改良することが可能である。このため、材料の混 合状態や比率を変更することにより、プラスチック材料の使用範囲は無限に拡大させ ることができる。このように、プラスチックには様 々な種類があるが、Fig。1‐
2に
表すよう に、一般的に熱可塑性と熱硬化性の二群に大別される。特に熱可塑性プラスチックは、用途によつて汎用プラスチックとエンジエアリングプラスチック(エンプラ)に分類するこ とができる[2]。
plastlc.1[thermosi l:. ̲thermop 熙 mvttEhmostabilけ ]
Fig.l-2 Classification
of plastic.熱可塑性プラスチック
熱可塑性プラスチックは、加熱 により融点を上回れば常に溶融し、冷去,し融点を下 回れば固化する。また、熱可塑性プラスチックは一次成形では加温し流動化したとこ ろを金型に流し込み、冷去口・固化させて最終製品とする射出成形加工、二次成形では 対象の接触面を溶融させ、冷却・固化により接合する溶着加 工など、加 工が容易であ るために広く利用されている。プラスチック国内総生産量の 80%以上が熱可塑性プラ スチックである。
・ 汎用プラスチック
家庭用品や電気製 品の外箱、雨樋や窓のサッシといった建築資材、フィルムや クッションなどの梱包資材に使用される。
例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン
・ エンジニアリングプラスチック
汎用プラスチックと比べ融′点が高く、家電製品の歯車や軸受け、CD・
DVDな
ど の記憶媒体、自動車用センサー部品、水道蛇 口部品など、強度、寿命設計が要 求される部品に使用される。耐熱性は 100℃以上あり、強度が50MPa以
上、曲げ 弾性率が 2.4GPa以 上あるプラスチックをエンジニアリングプラスチックとし、汎用プ ラスチックと区別している。耐熱温度がさらに高く、150℃以上の温度でも長期間使 用できるものをスーパーエンプラとしている。例:ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート ポリアセタール
(POM)樹
脂POM樹
脂は、化学名であるポリオキシメチレン(P。lyOttmethDlene)の 諸略した呼称 で、一般的にはポリアセタール、アセタール樹月旨と呼ばれている代表的なエンジニアリ ングプラスチックである。POMに
はホルムアルデヒドの結合で作られたポリオキシメチ レンの分子鎖からできているホモポリマーと、ホルムアルデヒドの三量体であるトリオキ サンにエチレンオキサイドなどを結合して作られたコポリマーがある。主として歯車、軸 受けなど摺動性を必要とする工業部材の多くに採用されており、AV機
器、OA機
器、家庭用電気機器 自動車部品の多くに採用されている[3]。 長時間、広い範囲の温度で 様々な機械的特性をバランスよく保つており、特に摺動特性、耐疲労性、耐クリープ性
[4‐6]に優れていることから、長期信頼設計が必要な部品への採用が期待されている。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹 脂
PBT樹
脂は主鎖にエステル結合を持つ直鎖状の熱可塑性飽和ポリエステルで、化 学名のP01ubutylene Tercphthdtteを省略した名称である。高い融点と結晶化度を持ち、吸水率や熱膨張係数が低いため、優れた寸法安定性を示す樹脂である。また電気絶 縁性 にも優れ、吸湿 による電気特性の変化が小さく、絶縁破壊電圧が高いという特徴 を持っている[7]。 主として電子部品、
OA用
機能部品、電気 。電子部品用のフタ・ケース用材料への採用がされている。特に自動車用
ECUケ
ースなどへの適用が期待され ており、寸法精度 向上に関する研究例[8,9]や疲労特性 に関する研究[10]がされてい る。熱硬化性プラスチック
加熱 により
3次
元架橋構造を形成しながら硬化するため、その後はカロ熱しても流動 しない。そのため、熱や溶剤 に強く、電化製 品や家具の表面処理、焼付け塗料などに 使用される。例:フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂 熱可塑性樹脂の成形法と問題点
上記の熱可塑性プラスチックを成形するために用いられる最も一般的な樹脂成形法 のひとつである射出成形は、以下の三つの基本段階を経て達成される。
加熱または加圧により、プラスチックの原材料を溶融状態にする。
流動化した樹脂を製 品形状に沿つた空間(キャビテイ)を持つ金型 に高圧で充填す る。
③ 冷去口・固化させて、製品を金型から取り出す。
原材料 にガラス繊維やカーボン繊維などの強化繊維を添加する場合、②の充填過 程で生じる流動起因の繊維配 向は、③の冷去口段階において樹脂の収縮率に影響を 及ぼすため、思い通りの製品形状や性質を得ることは非常に困難となる。このため、成 形品を大量生産するための安定したプロセス条件が得られるまでには、多数の金型を 用意し、何度も材料の試作 。選定を行わなければならない。そこで、製 品開発期間の 短縮や成形不良原因の検討を目的として、射 出成形における繊維配 向に関するいく つかの研究がなされている[11‑19]。 また、樹脂流動過程 において、溶融樹脂がキャビ ティ内で会合する箇所をウエルドと呼んでいるが、このウエルドラインによる物性低下 が製品性能、外観に大きく影響を及ぼす事が知られている[20]。
一方、射出成形されたエンプラ部品は 10年以上、場合によつては30年以上という 長期 間連続使用されることを前提として設計されるようになり、疲労・クリープといった 長期力学的課題に対する検誂 されている[21,22]。
①
②
以上のように、プラスチックは多種多様な性質をもつため、製 品の用途に応じた材 料と最適な設計を行う必要がある。上記の分類からも、これらの判断において材料と熱 との関係 は重要な要素である。そこで本研究では、金属の代替として使用頻度の高い エンジエアリングプラスチックを材料とする製品の設計において、部品同士を溶着する 際にその条件を最適化するための2つの課題 に着 目した。
1ポ リアセタール(POM)樹 脂の摺動条件最適化
2ポ リプチレンテレフタレート(PBT)樹脂の溶着条件最適化
前者 は、実用段階において、製 品の摩擦や摩耗 による劣化が使用環境 によりどの 程度影響されるかをあらかじめ予測して設計を行う際に必要な要素である。またスピン 溶着、超音波溶着、振動溶着のように製 品同士を摺動させ溶着する加 工法において、
摺動部材の設計における限界滑り速度の決定は 日視での判断に頼っているが、摺動 における影響因子を明らかにし条件最適することは、小さく複雑な部品同士の摺動で あつても最適な溶着強度を得るために必要である。
また後者は、電気・電子部品のフタとケースを溶着させる場合、全体を加振させる工 法では内部部品へのダメージが大きいため適用が難しいが、レーザー溶着であれば、
接合部分にレーザー光を集 中的に照射し溶着させる接合法であるため、内部部品ヘ の影響が少ない。このレーザー溶着において、各々の移動現象が溶融領域に与える 影響について検討し、レーザー溶着効率を精度良く推定する方法を開発する事は、
設計どおりの外観や強度を得るために必要である。
1。 1。
3熱
可 塑 性 樹 脂 の摺 動 熱可塑性樹脂の摺動部材へ適用熱可塑性樹脂の機構部品への応用は金属代替から始まり、ポリアセタール、ポリブ チレンテレフタレート、ポリアミド等多くの樹脂が採用されてきた。現在では独 自の発展 を見せ、数十種類の結晶性樹脂が、おのおのの特長をいかした用途に使用されてい る。その中でも、とりわけポリアセタール樹脂はバランスの取れた良好な長短期機械物 性、易成形性を併せ持つため、一種の個体潤滑剤としての性能を持った射出成形用 機能部材として軸受、歯車、カム機構等に多く用いられてきた。Fig。1‑3に は樹脂別し
ゅう動材料の 日本国内需要量推移を示した。ポリアセタール需要の量、伸びが非常に 大きいことが分かる[23]。
1996 1997 1998 2000
Fig。1‐3 The dolllestic delmand of sliding plastics in Japan.[23]
00
00
00
00
0 0 0 0 0 0 5 0 5 2 1 1 日の増ぢ 劇 Q肩層喘¨
︺ oづ∩口日①
J
一 一
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PP
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PttS
PA PAR
PHENOL
POM
PttEK
PttFE 一
一 一 一
一
一
樹脂摩耗 に関する研究は比較的新しく戦後のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の 登場以降から徐々に研究が盛んになつてきている。それ以前の研究は金属に関する ものがほとんどであるが、金属の摩耗 についてもその機構は複雑であり、信頼性のある 定量的な法則はまだない。樹脂は温度に対して敏感であるため、その機構はさらに複 雑である。
最近では樹脂の摩耗 に関する多くの研究があるが、大別すると以下のようになる。
1)
特 にゴムなどにおけるアブレーションパターンと摩耗 の関係 に関するもの[24,25]
2)
摩擦係数、硬さ、引張強さ、破壊伸びなどのバルクな物性とアブレッシブ摩 耗を関連付けることを試みたもの[26,27]3)
凝着摩耗において、摩耗と粘弾性を関連付けることを試みたもの[28]4)
材料移着と摩耗の関係 に関するもの[29,3015)
しゅう動面温度と摩耗を関連付けることを試みたもの[31‐33]6)
摩耗に及ぼす試験方式やしゅう動形態の影響に関するもの[34]7)
比摩耗量ついて、すべり速度の影響を調べたもの[35]それぞれの文献において詳細な検討が行なわれているが、市場の種々部品の摩 耗設計に応用できるほど体系化された知見は未だなく、更なる研究が必要である。ま たアブレッシブ摩耗ではバルクな物性としゅう動面温度を広い温度範囲に渡つて関連 付ける検討例[26]はみられるが、市場でもつとも多い凝着摩耗では緻密な裏付けを行 つた例は少なく、むしろ現象が複雑でバルクな物性とは相関づけられないとする意見 が大勢である[36,37]。
摺動素材と摺動形態
摺動部材 として用 いられるプラスチックの代表例としては、ポリアセタール樹脂 (POM)、 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。Fig.1‑4に示すように、こ れらのプラスチックの化学構造は、非常に単純であるが故に優れた摺動特性を持つて おり、軸受や歯車など多くの機械的要素部品に適用されている[38,39]。
(D
Fig.1‐4 Chemical structure of(→ POM and(b)PTFE.
F I C I F
一
F I C I F
一O H I C I H
6)
摺動部品は Fig。1‑5に 示すとおり、部品同士の接触形態により『 両連続摺動形態』、
『 片側間欠摺動形態』、『 両間欠摺動形態』の3種に大別できる[40]。
両連続摺動形態
両連続摺動形態は軸受けや平板摩擦クラッチのような摺動の接触面が面同士であ り、互いの摺動面全体が常に摺動接触している形態を指す。
片側間欠摺動形態
片側 間欠摺動形態はカム・スライダ機構が該 当し、片方の部品の全接触面は常に 相手側部品と摺動接触しているが、もう一方の部品は摺動する部分が時間と共に移動 し、摺動面全体は相手部品と同時に摺動接触をすることがない形態である。
両間欠摺動形態
両間欠摺動形態とは、互いの部品の摺動接触する部位が時間と共に移動し、双方 の摺動面全体が同時には摺動接触しない。代表例としては歯車などがこれに該 当す る[41]。
continuous
&
continuous
continuous
&
intermittent
Fig.l-S Classification
ofsliding
geometry.ソ
intermittent
&
intermittent
Fig。1‐
6に
ポリアセタール 同士の摩耗 に関して、両連続 しゅう動 形態 と片側 間欠 しゅ う動形 態 の比摩 耗 量 のデ ー タを示 した[42]。 摩耗 量 は、しゅう動 形 態 の影 響 を受 けや す い。したがって単一 のしゅう動形態 で得 られた結果 に基づき、他 のしゅう動形態 の摩 耗 計算 を行 うことや材 料選 定を行 うことは困難 であり、数 多くの試 験 方 法が散在 してい るのが実情 である[43‑45]。Upper sleeve Lower sleeve Upper cylinder (Continuous)
Lower sleeve (intermittent)
200 400 600 800 1000 Specific rate of wear
(x10‐3mm3/(N・ km))
Fig.l-6 Influence
of thesliding condition
against theamount
of wear.エンジエアリングプラスチックなどの可塑性材料 を用いた摺動 における限界条件 の 指標 としては以 下 に示す
PV値
という経験則からなる値 が用 いられている。PVvducLg/cm2.m/司 =ねccPressureLg/cm2卜 vdocttylm/司 (1… 1)
Eq。(1‐1)で示す
PV値
は見かけの接触 面 当たりの加 重 と滑 り速度 の積 で表 される値 で あり、材 料 物性 や 摺 動 形 態 により固有 の値 をもつ。この値 において、材 料 が溶 融 し部 品が溶 出や変形 を起こす 直前 の値 を限界PV値
と称す。この面圧 、滑 り速度 という要 素 は摩擦 熱 の影 響 因子 である。つまりPV値
が指標 となるということは、プラスチック摺 動 部 品 にお いて、熱 移 動 という現象 は摩 擦0磨耗 現 象 にお いて最も支 配 的な現 象 で あるといえる。POM combination
摩耗特性の評価
一般的に、摩耗量は同種類の部材であっても摩耗試験方式や接触形態 によつて異 なる。このため、摩耗予測の一環として、幾つかの試験方式や接触形態における摩耗 特性 に関する研究が報告されている[46‑48]。
Bin―Bin Jiaら 149]は phOn̲disc試験機により潤滑剤の有無および操作条件におけ る摩耗量の変化について検討し、荷重、滑り速度、潤滑剤の有無といつた条件ごとに
Eq(1‑2)よ嚇 耗率を算出した。
(1‑2)
Bin―Bin Jiaらは実験結果より、潤滑剤 のない状況下で摩耗率は
PV値
に比例すると結 論付けている。Q Zhangら[50]はポリエーテルエーテルケトン(PEEり をコーティングした摩耗試験 機を使用し、摩耗率と滑り速度および摩耗率と荷重の関係 について検討した。使用し た摩耗率はEq。(1‑3)で算出されている。
勧 一 蹄
K
″ =作 =#レ
3Ⅳちヨ
] (1‑3)各加重における摩耗量と滑り速度の関係から、低カロ重の下では滑り速度の増加 に伴 い、摩耗量は比例するが、高加重、高滑り速度の状態では摩耗量が低下する結果を 得た。高カロ重、高滑り速度の結果の
SEM解
析より、摩耗量の低下がガラス転移温度 到達による粘性の変化であると推測され、摩耗と摺動面温度との関係 が示唆された。M KadaとM.Ishikawa[51‑53]は 、Fig l‑7に示す、連続間欠摺動形態を持つ試験方 式について、ポリアセタール樹脂の摩耗 に及ぼす影響を検討している。ここで、連続 間欠摺動形態とは、組み合わされる片方の部品(連続側)の摺動面は常に摺動接触し ているが、もう一方の部品(間欠側)は、摺動接触する部位が時間と共に変化する形態 である。
ylinder specimen (Continuously sliding)
Sliding
surface Sleeve specimen(Intermittently sliding)
Φ
100
(の
Fig.1-7 Schematic
diagram
of weartesting.
[51](a) The dimension of the sleeve specimen
(Intermittentty sliding)
(b) The dimension of thecylinder
specimen(Continuously sliding)
上記の試験方式について、比摩耗量の線速度(すべり速度)依存性を測定した結果、
連続側の比摩耗量は間欠側と比較して極めて少ないという特徴を示した(Fig.1‑8)。 彼 らは、連続側の摩耗が抑制される理由を検証するため、連続側と黒着色した間欠側の 試験片を組み合わせ、摩耗粉の移着を観察している。Fig l‐
9は
、摺動開始後 lmin, 3min,lh後の摺動面の観察結果を示しており、いずれの時間においても黒色の摩耗 粉が連続側摺動面を覆うように移着していることが示された。また、この摩耗粉を lmin または5min毎 に除去しながら摩耗試験を行つた場合には、Fig l‐10に 示すように、連 続側の比摩耗量が増加することを示した。以上の結果から、間欠側摺動面に対して連続側摺動面の比摩耗量が少ない理由 は、発生した摩耗粉のほとんどが物理的に連続側によってかき寄せられる摩耗粉の選 択的移着効果によるものであると説明している(Fig l‐■)。 また、彼らは、Fig l‐12に示 すように、比摩耗量に及ぼす連続側の接触面形状の影響についても検討した結果、
連続間欠摺動形態ではその接触面形状に関わらず、摩耗粉の選択移着効果による 連続側の摩耗の抑制が起こると結論付けている。
(b)
11
[IsI°3111pIIs lo再 ι
S001辱 Ins SIIIPIIs oЧ
工
811 6‑I・
dlsnonurluoc
Eurprls uorurcods
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[IsI°SOItt10010A 3Ⅱ IPIIS
Ч 070'7017Л
1702櫨
IJ100dS OЧ Э
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ulu18°
Z
■ 8 IIIⅡ
Ч
奮
ロ
IIIl■ モ
II
Without removing
weardebris
Removing
wear debris every5
min
Removing wear debris every
I rnin
10 20 30
40 (*
l0-6)The
specitic
wear rate, mrn3,'NmFig.l-l0 The specific wear rate of the
specimenslid continuously when removing
thewear debris.
[5Usfer layer
Fig.l-11
Selectivetransfer
effect. [511.Wear debris
Sleeve Sleeve
Sleeve rvith cutting lack by 90o Sleeve
Sleeve r,vith cutting lack bv 270o Sleeve
Plate in 3.2mrn thickness Sleeve
Cylinder Sleeve
200 400 600 800
The speciflc、 、rear rate,IIun3,T(lm
Fig.l-l2 The
specificwear rate of
eachsliding
geometry.[5U.
1000 (,< l0'6)
■
1J
〕
個
∃
Ч
I∃ 4
4
ー
│ │
ヨ く ■
Ч
:一
■YJo Merglerら [54]は、摺 動 部材 を水 平 に設 置 したスライダオンシー ト型摩耗 試 験
(Fig。1‑13(a))と垂 直 に設 置 したピンオンディスク型 摩 耗試 験(Fig。1‑13(b))に 関して、
走査 型 電子 顕微 鏡(SEM)を用 いて摺動 面 に生 じる摩耗 粉 の移 着 を観 察 した。この結 果 、スライダオンシー ト型摩耗試 験機 では、Fig。1‑14に示すように、試 験 の経過 に伴 い、
ポリアセタール樹脂 の摩耗粉 が固定側 のステンレス鋼 の摺動 面 に付着 し、最終 的 にス テンレス鋼 の摺動 面 にはポリアセタール樹脂 の移着層 が形成 されることが示された。こ れ に対 し、ピンオンディスク型摩耗試 験機 は、固定側 および摺動側 の部材 が共 に垂 直 に設 置されているため、ポリアセタール樹脂 の摩耗粉 はステンレス鋼 のディスク上 にほ とんど留まらず 、摩耗試 験 が十分 に経過 した後 においても摩耗 粉 の移 着層 を形成 して いないことが観 察結果より示されている(Fig。1‑15)。
Fig.l-l3
(a) Slider-on-sheet set-up and(b) pin-on-disc configuration.
[541(b)
1可 為
(a) (b)
(C)
Fig.l-l4 Various
stagesin material transfer
ofPOM to
stainless steel. [541 (a) Loosedebris
is pressedinto
valleys.(b)
Excessmaterial
is smeared across the surface.(c)
Higher lying
areas are coveredwith polymer
Fig。1‐15 POM surface after 20 sliding against stainless steel in a pin‐ on‐disc experiment.[54]
上記の研究は、ポリアセタール樹脂の摩耗特性 に関する研究のごく一部であるが、
摺動部材の種類・摺動条件について多様な組み合わせが存在していることが分かる。
また、摩耗過程における摩耗粉の移着は、摩耗メカニズムを複雑化する要因であり、
試行錯誤実験による摩耗量の予測は、多大な労力を要すると考えられる。
摩耗解析
摩耗特性 に関する研究は数多く行われているが、報告されている研究のほとんどは、
実験により摩耗量を直接的に測定し、摩耗特性の傾 向を検討しており、画期的な摩耗 量の予測方法は依然として確立されていない。このため、近年では、数値解析を用い た直接的な摩耗評価に関する研究が報告されている。
N.Laraqiら[55]は摺動時の熱移動に着 目し、金属同士のpin‐on‐discモデルを対象 として解析解を算出した。彼らはそれぞれの支配方程式(Eq(1‑4)、 Eq。(1‐5))を Fourier
変換や Hankel変 換により、Eq。(1‑6)およびEq.(1‑7)の温度と投入熱量の関数の形にし た。そして、双方の式からEq.(1‐8)により熱量の分配率を求め、摩擦熱の挙動を検討し た。
Ⅸ 頷 ;多 [等
)+ナ 》 +争 ― 芳作 =0
R・
ター みら =0
(1‐4)
(1‑5)
(1‑6)
(1‐ 7)
(1‐ 8)
Disc:To.*
= RoqoPin:T 0,,, = RrQ,
ρ ′ =芳
=≡ザヤ
=『
lg=̀υ
+̀´)得られた結果は disc側 の分配係数のペクレ数(Pc)に対する依存性にまとめられ、disc の回転速度の増加に伴い、disc側 への摩擦熱の移動が増加する結果が得られた。ま た、disc側 のビオ数(Bぅに対する依存性も検討し、双方の結果より摩擦熱の分配は境 膜伝熱係数が支配的であるとの知見を得た。
17
K Mao[56]はプラスチック製歯車(両間欠摺動形態)おける閃光温度算 出のための 解析コードの開発を行つた。対象となる閃光温度とは歯車の歯が噛み合う時に瞬間的 に上昇する温度のことである。
Maoは
歯車の歯が噛み合った瞬間の状態を想定し、Eq(1‐9)の円筒 同士の接触に対するヘルツ接触の法則より接触面積を算出し、その領
域を解析対象とてモデリングを行った。
(1‐ 9)
支配方程式には熱拡散方程式を使用し、有限差分法により計算を行つた。解析 により 得られた温度分布は既存の解析解と比較が行われ、より良好な一致が得られた。また、
歯同士の接触面の始めと終わりにおいて解析解と20%の差が現れており、位置により 既存解析解に不正確さが現れるという知見も得ている。
H.Benabdallahと D.01endcr[57]は、Fig.1‑16oに 示すスチールの回転ディスクと ポリアセタール樹脂のピンを採用し、ピンオンディスク型摩耗試験機を想定した解析を 実施した。解析モデルは、Fig.1‐16o)に示す
2D平
面モデルであり、有限要素法パッ ケージソフトANSYS6 1を用いて解析を行つた。彼らの解析では、Fig.1‑17に示すよう に、あるサイクル数 におけるピンーディスク間の接触面の圧力分布を決定し、Archardの摩耗式(Eq。(1‐10))を利用してそれぞれのノード(要素点)における摩耗分布を評価して
いる。新しい摩擦表面のノード位置は、垂直に連結されたノード亀″を用いて表され、
Eq(1‑11)を用いて更新される。
λ
=KOPS
″′+1,夕 ″ノ+1,,1+0カ
″ブ+1,2=″ブ+1,1+°カ
″ノ+1,1=″′+1,0+″Oλ
上記の方法を用いて、各サイクル における摩耗分布を評価した結果、サイクルが経 過するとともに、摩擦力を受けたピンの接触面が傾く性質を表現できることが示された
cig l‐18)。 また、彼らは、Fig.1‑19に示すように、解析結果の妥当性を検証するため、
3回
の摩耗分布の評価実験の結果と比較を行つている。この結果、摩擦面の平均傾 斜 は約 1°となり、実験結果と同様の摩耗の傾 向が得られていることを示した。ただし、彼らの研究を含め、Archardの摩耗モデルを用いた研究[58‐60]は、
2D解
析への簡略 化が行われており、計算コストの面から摺動部材のうち一方のみの摩耗量を決定してα =
︲・ツ2
・一
﹂ ・ 一
1 一E
上 Q 上 q
l 一G
/ 1 1 1 1 ヽ
(1‐ 10)
(1‑11)
.4FG
らπE
いる研 究がほとんどである。また、摺動 面の形状 を更新するための再メッシュ構 築方法 が確 立されていないという問題 点を抱 えている。
\ w"r. l,l",n"nr.
J (i'nr,'r t;t,.r 多 (:('nt.lct li!clllcnt、
l)isc lilcrncnts
(a) (b)
Fig.1-16 (a)
Pin-on-disc contact
zonefor simulation
and(b) pin
meshing. [5718
7
6
5
4
3
2
1
0
T a 2︼ 03 02 Q ぢ
︐ co 0
Fig。1‑17 Simulated
cycles。[57]
0.5 1 1.5
2Length along pin diameter [mmJ
contact pressure distribution
asfunction of the number of
19 A
Dbmnd―測utt Phlml
………Cyde 2
・・・・・・・Cyde 3
‑― Cyde 4
‑・―・ ―Cyde 20
[l9l
'selc.&;o reqrunu eqt
qg,t{
algo-rd rue,rl, eIIl Jo
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κ Э Ca:●
0.1 0.09 0.08 0.07 0,06 0.05 0.04 0.03 0.02 0.0r
0
0.5 r r.5 2
2.5Distance along the pin diameter [mm]
Fig.l-l9 Equilibrium wear profile obtained experimentally and predicted by
thesimulation.
[57]冒旦 i 8 想 お
.
Simulalion-
Experimenaal I
" "
Experimental 2- -
Experimental 3り
V Hegadckattcら [61,62]は、Archardの摩耗モデル により摩耗量を解析する際に、弾 性体基礎理論 に基いて算 出した平均接触圧力を用いる GIWM(Globtt hcrcmcntd
Wcar Modcl)を適用している。この弾性体基礎理論では、 摺動接触 におけるせん断
変形を無視し、局所的な圧力分布を計算せずにHettzの接触式を用いて平均接触圧 力を決定するため、計算負荷を減少させることができる。彼らは、ピンオンディスク型摩 耗試験において、Fig.1‑20o,o)に示す解析手順を踏むことにより、摩耗深さの更新を 行つた。
GIWMで
は、Eq(1‑12)で与えられるArchardの 摩耗式 中の摩耗係数 ら は、ある垂 直荷重下における全体変位の実験値とのフィッティングにより決定される。また、ここで フィッティングされた摩耗係数は、他の荷重条件においても適用される。生 =ちら
S
(a)
Fig.1-20 Flow charts for the global
for computing
(a)pin
and(b)
disc wear. [61](1‑12)
0
wear
t・=0,■‐0
暉ら ―●│‐
イ‐ 裁
17島
=暑J..l‐■+
貯 鳥叫
4‐イ+ちPIN
■.‐r十島H"
gl.l=ぃ、 ̲端
イ ==針
incremental model (GIWM)
Sf.l‐SI+2『
4=げ+21´r屁
4.‐ lr+島嘔"
ュ= F「
イ
=瓦ぼ ■圭再
・ 4=J需
Fig。 1‑21は 、荷 重
20N下
で の 実 験 との フィッティングにより決 定 した摩 耗 係 数 ち=21×10‐H mm3/Nmmを
用いた際の摩耗 痕跡 の分布 を示 している。この荷重20Nに
おいて決 定された摩耗係 数 を用いることにより、荷重40Nにお ける摩耗 分布 はJo Jiang
ら[63]によって行 われた実験結果 との一致を示 していることから、
GIWMを
用 いた解析において、摩耗 量が予測 可能であることが示 された。ただし、彼 らの解析 は、垂直荷重 が大きい条件 にお ける摩耗 量の予測 に限定されるため、
GIWMの
さらなる改 良が必要 になると考 えられる。・0
・0
・0
﹇日ュ﹈gQo∩oに﹄いL0≧
・0
¨0
・0
・0
﹇Ei﹈fQo∩o﹄卜﹄どメ
300 350 400 450 500 Wear Track Width[μm]
(a)
Fig.1‐21(Comparison of the cross section (b)40N.[611
300 350 400 450 500 Wear Track Width[μm]
(b)
proflle of the wear track for(a)20 N and
―
Jiang and Amell(1998)
― GIWM
■=40N .
――――Jiang and Amell(1998)
一 GIWM
23
‑08
J.Dingら[64‐66]は、摩擦面が接線方向に微少振動した際に生じるフレッティング摩 耗 に及ぼす摩耗粉の影響について、汎用有限要素解析プログラム
ABAQUSを
用い て解析を行っている。従来の摩耗解析 において摩耗粉の影響は無視されていたが、彼らの研究では、摩耗粉の形成・取り込み・除去を含む下連のフレッティング摩耗過程 のためのモデルが提案されている。フレッティング摩耗過程で形成された摩耗粉は、
Fig。1¨22(a)に 示されるように、初期段階では摩擦面を移動できる状態(Loose debris)
であり、摺動の経過とともに摩擦面から排除される摩耗粉(Escaped debris)と摩擦面に 留まり強固な移着層を形成する摩耗粉(CompaCted debris)に 分かれる。解析では、摺 動側の摩耗粉はすぐに除去されると仮定し、Fig。1‑22(a)の Q31と Q33の摩耗粉のみが 考慮されている(Fig。1‑22(b))。
Normal load
1 Direction of movement
H
i
Q33(l°°Se deb百s)
(a)
/).
Qr Qz: contacting bodiesut
Q3: the debris layer
(b)
Fig.l-22 (a) Schematic representation of a fretting contact with
presenceof wear
debris.
(b) Thesimplified fretting wear
contact modelwith
adebris layer.
[641Fig.1‐ 23(al―(d)は 、摩耗粉の考慮の有無における摩耗表面分布の解析結果を示し ている。この結果、摩耗粉を考慮した場合、平面の試験片表面の摩耗痕跡幅は小さく なっているが、最大摩耗深さはわずかに増加していることが示された。また、摩耗粉を 考慮した場合の円筒試験片においても、最大摩耗深さはわずかに増加する傾 向が示 されている。しかしながら、18000サ イクル後の上記の解析結果について実験結果との 比較を行うと、摩耗粉を考慮した場合の摩耗量は、摩耗粉を考慮していない場合の摩 耗量に比べさらに摩耗量が過小評価されてしまっていることが分かる(Tablel‑1)。 この 原因として、彼らは、解析で用いられた摩耗係数を一定の値で与えており、局所的な 値が必要であるとしているが、これに対する詳細な検証は、現段階では報告されてい ない。
│
:││││li
Hor鮨●ntal口 o8 :●n{mm)
(al
Ho市
"ntal p●●bn{mm}
(b)
03 ‐o2 0 1 o o l o2 03 HO 2●ntal p●●ion lmm)
(C)
Fig.l-23 Comparison of predicted worn surface profrles for (a) the flat body without
effectsof debris, (b) the flat
bodywith
effectsof debris,
(c)the cylindrical body without
effectsof debris and (d) the cylindrical body with
effectsof
debris.164l
(0
佃 叫
¨
¨ 一
〇〇3
25
‐01
︵Eこ5ヨ8■8■S
︵目 百 ヨー 中に 言 タ 含FこE●褥悛一ュ■●P3
︐ 官こc8
一8
■●虐tS
HOr120n●l poslto● (mm,
Table
1-1Comparison of FE predictions and experimental results for
awear
scar on theflat
specimenafter
180000wear
cycle. [64]Expelmental em Prediction i{itlurt riE effe.ls of dekis Predmm vlth ttefFec●ofebns
Scar nillh Imm) Mtrt- *eordepb (pml
We{ i0luoB tmd/udt c! an hq$l
前述したように、摺動接触部では、凝着部分のせん断により内部破壊された粒子が 集合堆積する摩耗粉の形成や、摺動を繰 り返すことによる摩擦熱の発生といつた、接 触形状や操作条件 によつて変化する付加 的な現象が起こる。ここで示された数値解 析を用いた摩耗 に関する研究はまだ発展段階にあり、複雑な摩耗の実現象を正確 に 模擬するには至っていない。
厠 0
∞ 0
和酬
m ︐
噺 42 m
摩耗と摺動面温度の関係
上記に述べた摩耗解析の複雑性を懸念して、摩耗量を予測するための因子として 摩耗量と摺動面温度の関係を評価する研究がなされている。
M Kadaと M Ishika、va[40][67‑69]により、ポリアセタール樹脂の摩耗と摺動面温度 の関係性に着 目した研究が報告されている。彼らは、ポリアセタール樹脂の円筒試験 片についてスラストシリンダ型摩耗試験機を用いて、比摩耗量に及ぼす線速度と雰囲 気温度の影響を評価した。また、比摩耗量は、Eq。(1‑13)を用いて計算されている。
Specific wear amount [mm3/ (N/km)]= V
/(px F
xS)
(1‐ 13)線速度および雰囲気温度を変更した際の比摩耗量を Figs l‐ 24,1‐
25に
それぞれ 示している。結果として、線速度を変更した場合には 50‑60cttsに おいて、雰囲気温 度を変更した場合には約90℃ において、比摩耗量の極大値 に達するS字曲線を描く ことが示された。彼らの実験では、上記の摺動条件の変更による比摩耗量を予測する ための因子として、摺動面温度について検討している。ここで、摺動面温度の測定は、試験片の固定側に約
5mmの
切欠きを設け、放射温度計によつて行われた(Fig.1‐26)。各摺動条件 における摺動面温度を評価することにより、Figs l‑24,1‐
25に
示した比摩 耗量に対する線速度および雰囲気温度の依存性は、Fig.1‑27に示す比摩耗量に対 する摺動面温度の依存性として関連付けることが出来る。すなわち、Fig l‐27のS字 由 線を用いることにより、摺動条件に関わらず摺動面温度から比摩耗量をほぼ決定する ことが出来ると結論づけている。ただし、彼らの研究における摺動面温度の測定では、ポリアセタール樹脂に切欠きを 設ける必要があるということ、また、放射温度計のレーザースポットの直径が
12mmで
あることから、試験片形状によつては温度測定が非常に困難になると考えられる。
27
2040080100
割Hhtt V●1●●
"(●
耐め
X'ig.1-24 The specific
wear amount
dependency onsliding velocity.
[67]0 50 100 Amo日由
""m脚
口●雌 )X'ig.1-25
The
specilicwear amount
dependency onatmospheric temperature'
[67]剛 綱 鰤 師 枷 0
2 1 1
︽1導そ■Eヽマ︶ 一冒85塁●颯1ぉ
獅 6 0 0 5 0 0 m
Ⅷ 畑 Ш
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T︶ 一言 暑 3 3 1 募