博士論文
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(2) 目次 略語表. 第一章. 2 序論. 4. 1-1 アルツハイマー病治療の現状と課題. 4. 1-2 アルツハイマー病とアミロイド β ペプチド(Aβ). 5. 1-3 γ-セクレターゼおよびその阻害薬の現状と課題. 5. 1-4 γ-セクレターゼ調節薬. 7. 第二章. Aβ42 選択的低下作用を示す新規ピペラジン誘導体の合成研究. 9. 2-1 研究背景. 9. 2-2 分子設計戦略. 10. 2-3 化合物の合成. 10. 2-4 生物活性と考察. 14. 2-5 第二章のまとめ. 22. 第三章 5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン骨格を有する新規γ-セクレタ ーゼ調節薬の合成研究. 23. 3-1 研究背景. 23. 3-1-1 シード化合物 1,2,4-トリアゾール誘導体 42 の創出. 23. 3-1-2 Ligand-lipophilicity efficiency (LLE)を指標とした創薬研究. 23. 3-2 分子設計戦略. 24. 3-3 化合物の合成. 24. 3-4 生物活性と考察. 33. 3-5 第三章のまとめ. 46. 第四章 総括. 47. 実験の部. 48. 参考文献. 91. 1.
(3) 略語表 Aβ. amyloid-beta. Ac. acetyl. ADDP. 1,1'-(azodicarbonyl)dipiperidine. Anal. elemental analysis. APCI. atmospheric pressure chemical ionization. APP. amyloid-beta precursor protein. Ar. aryl. AUC. area under the concentration-time curve. BA. bioavailability. Boc. tert-butoxycarbonyl. CDI. carbonyldiimidazole. CLtotal. total body clearance. Cmax. maximal drug concentration. CNS. central nervous system. dba. dibenzylideneacetone. DEAD. diethyl azodicarboxylate. DEPC. diethylphosphorocyanidate. DIPEA. ethyl N,N-diisopropylamine. DME. 1,2-dimethoxyethane. DMF. N,N-dimethylformamide. DMSO. dimethyl sulfoxide. ELISA. enzyme-linked immunosorbent assay. ESI. electronspray ionization. Et. ethyl. FBS. fetal bovine serum. HATU. O-(7-azabenzotriazol-1-yl)-N,N,N',N'-tetramethyluronium hexafluorophosphate. HPLC. high performance liquid chromatography. IC50. half maximal (50%) inhibitory concentration. IP. inflection point. IPE. diisopropyl ether. i.v.. intravenous injection. LAH. lithium aluminium hydride. LC. liquid chromatography. LLE. ligand-lipophilicity efficiency 2.
(4) Me. methyl. MLM. mice liver microsome. MOE. molecular operating environment. MRT. mean residence time. Ms. mesyl, methanesulfonyl. MS. mass spectrometry. mp. melting point. NADP. nicotinamide adenine dinucleotide phosphate. NCS. N-chlorosuccinimide. NMDA. N-methyl-D-aspartic acid. NMR. nuclear magnetic resonance. NORT. novel object recognition test. NSAID. nonsteroidal anti-inflammatory drug. Ph. phenyl. p.o.. per os. Py. pyridine. rt. room temperature. RT. retention time. SEM. standard error of the mean. TFA. trifluoroacetic acid. THF. tetrahydrofuran. Ts. tosyl, p-toluenesulfonyl. UV. ultraviolet. Vdss. steady state volume of distribution. WT. wild-type. 3.
(5) 第一章. 序論. 1-1 アルツハイマー病治療の現状と課題 近年、認知症は拡がり続けており、公衆衛生上の重要課題として認識されている。2014 年、世界における認知症患者数は約 4400 万人に達し、2050 年までにその 3 倍近くに増加す ると見られている。また、認知症のケア、治療等による社会的損失コストも 6040 億 US ド ルと試算され、増加の一途を辿っている. 1. 。高齢化の進む日本においても、認知症患者数. は 2012 年で推計 460 万人を超えており、国を超えての認知症対策が急務である 2 。 認知症にはいくつかの種類がある。脳の血管障害による脳血管性認知症や、脳にレビー 小体という異常タンパク質が蓄積し、神経細胞が死滅するレビー小体型認知症などが知ら れているが、アルツハイマー型認知症(アルツマイマー病)の患者数が最も多く、認知症 患者全体の 50‒75%を占めると言われている 1,. 2. 。アルツハイマー病は、記憶力が低下しは. じめる初期症状、行動障害を示すこともある中期症状、更にはコミュニケーション不能や 運動機能の低下も伴う後期症状を示す進行性の神経変性疾患であり、病を抱える患者本人 のみならず、家族をはじめ周囲への影響も非常に大きい 3 。 現在、Figure 1 に示したとおり、アルツハイマー病の治療薬としてドネペジル 4 、ガラン タミン 5 、リバスチグミン 6 、メマンチン 7 が承認されているが、いずれも対症療法薬(ア ルツハイマー病の症状に対する治療薬)である。ドネペジル、ガランタミン、リバスチグ ミンはいずれもアセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、脳内のアセチルコリン濃度を 高めることにより、日常生活動作や認知機能の一時的な改善をもたらす。また、メマンチ ンは N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗作用により認知機能の改善を示す。 しかしながら、これらの薬剤はあくまで対症療法薬であり、その効果が長期間持続するこ とはなく、アルツハイマー病の進行そのものを止めることはできない。ドイツのアロイス・ アルツハイマー博士により、アルツハイマー病が報告されてから 100 年以上が経過し、世 界中の研究機関、医療機関による調査、研究、および数多くの臨床試験が行われてきたが、 未だにアルツハイマー病の発症、進行のメカニズムは不明な点が多く、根本的な治療法は 確立していないのが現状である 8 。. 4.
(6) Figure 1. アルツハイマー病治療薬として承認されている薬剤. 1-2 アルツハイマー病とアミロイド β ペプチド(Aβ) アルツハイマー病の特徴的な病理学的所見として、脳におけるアミロイド斑(老人斑) と神経原線維変化の形成が挙げられる 9 。これらは異常タンパク質の凝集・蓄積によるもの であり、神経細胞の外側に形成されるアミロイド斑はアミロイド β ペプチド(Aβ) 、内側に 形成される神経原繊維変化は過剰リン酸化タウタンパク質によって、それぞれ構成されて いる。アルツハイマー病の約 10%を占める家族性アルツハイマー病の遺伝子解析において、 Aβ 前駆体タンパク質(APP)の遺伝子や、Aβ の産生に関わる酵素の遺伝子から原因遺伝子 変異が同定されている。これらのことは、Aβ の脳への蓄積がアルツハイマー病の発症に関 与している可能性を示しており、アミロイド仮説として広く提唱されている 10–12 。. 1-3 γ-セクレターゼおよびその阻害薬の現状と課題 アミロイド斑の構成成分である Aβ は、APP が β-セクレターゼおよび γ-セクレターゼによ り切断されることで生成する(Figure 2) 。第一段階として、β-セクレターゼが APP を切断 し、第二段階として、膜に残った 99 アミノ酸からなるフラグメント(C99)を γ-セクレタ ーゼが切断し、種々の Aβ を産生する 13, 14 。Aβ として、40 アミノ酸からなる Aβ40 および、 Aβ40 よりもアミノ酸が 2 残基多く、神経毒性が強くて凝集性の高い Aβ42 等が知られている。. 5.
(7) Figure 2. β-セクレターゼおよび γ-セクレターゼのによる APP の切断機構. これらのことから、アミロイド仮説に基づき、Aβ の産生を抑えることを目的としたアル ツハイマー病治療薬として、β-セクレターゼおよび γ-セクレターゼの阻害薬の研究が精力的 に行われてきた 15–20。β-セクレターゼ阻害薬に先んじて、γ-セクレターゼ阻害薬の臨床開発 が進められたが、γ-セクレターゼは細胞分化に関わる Notch など APP 以外の基質も切断す ることが知られており、γ-セクレターゼ阻害作用は副作用につながると考えられている 21 。 実際 γ-セクレターゼ阻害薬であるセマガセスタット(Figure 3)は、アルツハイマー病の臨 床試験第 III 相まで進んだが、Notch シグナルの阻害が原因と考えられる皮膚ガンのリスク や免疫細胞の減少といった深刻な副作用を示し、その開発は中止された. 22–24. 。さらにセマ. ガセスタットの臨床試験においては、認知機能の低下も報告され、C99 の膜内への蓄積が原 因の一つとして考えられている. 25. 。副作用の低減を目的に、Notch の切断に対して APP の. 切断をより選択的に阻害する γ-セクレターゼ阻害薬の開発も進んでいるが、未だに臨床試 験における種々の副作用の問題は解決していない 26, 27。. Figure 3. γ-セクレターゼ阻害薬セマガセスタット. 6.
(8) 1-4 γ-セクレターゼ調節薬 γ-セクレターゼ阻害薬とは異なる薬剤クラスで、病原性の Aβ 生成を抑える薬剤として、 γ-セクレターゼ調節薬が知られている。Tarenflurbil に代表される非ステロイド性抗炎症薬 (Nonsteroidal anti-inflammatory drug, NSAID)系の γ-セクレターゼ調節薬、および E-2012 に 代表される non-NSAID 系の γ-セクレターゼ調節薬の二系統が報告されている(Figure 4)28– 32. 。γ-セクレターゼ調節薬は直接的に γ-セクレターゼを阻害せず、Notch 切断に影響しない. ことから、γ-セクレターゼ阻害薬と比較して、副作用の低減が期待されるアルツハイマー病 治療薬として注目されている。. Figure 4. 代表的な γ-セクレターゼ調節薬. γ-セクレターゼ調節薬は γ-セクレターゼのアロステリックサイトに結合し、γ-セクレター ゼの構造変化による C99 の切断パターンの変化を引き起こすことで、病原性が低いと考え られている Aβ37、Aβ38 や Aβ39 の生成を増やし、同時に病原性の Aβ40 や Aβ42 の生成を抑え ると考えられている. 33–39. 。Non-NSAID 系の γ-セクレターゼ調節薬からデザインされた種々. の光親和性標識プローブが報告されており(Figure 5) 、これらのプローブを用いた実験によ り、γ-セクレターゼ調節薬が γ-セクレターゼの構成成分であるプレセニリンの N 末端側部 位に結合することが示されている。. Figure 5. γ-セクレターゼ調節薬の光親和性標識プローブ 7.
(9) 本博士論文では、アンメットメディカルニーズの非常に高いアルツハイマー病治療薬を 指向した新規な γ-セクレターゼ調節薬の創薬研究について記述する。第二章で Aβ42 とアル ツハイマー病との関わりを検証できる薬理ツールの創出を目的とした Aβ42 選択的な阻害作 用を示すピペラジン誘導体の合成研究について述べ、第三章では、γ-セクレターゼ調節薬の 創薬研究における新規な活性向上戦略の創出を目的に、ligand-lipophilicity efficiency (LLE) を指標とした 5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン系 γ-セクレターゼ調節 薬の合成研究について論じる。. 8.
(10) 第二章. Aβ42 選択的低下作用を示す新規ピペラジン誘導体の合成研究. 2-1 研究背景 新規 γ-セクレターゼ調節薬の創出を目的として、ラット初代培養神経細胞における Aβ 低 下作用を指標に、自社化合物ライブラリーのハイスループットスクリーニング、およびヒ ット化合物からの誘導体合成を行った 40。その結果、Aβ42 の低下作用を示す新規ピペラジン 誘導体 1 が見出され、興味深いことに、1 は NSAID 系の γ-セクレターゼ調節薬と同様に、 Aβ40 に対しては低下作用を示さなかった。種々の Aβ の中でも、Aβ42 およびそのオリゴマー は特に強い神経毒性を示すことから、Aβ42 はアルツハイマー病の病態に深く関わっている と考えられている。既存の γ-セクレターゼ調節薬の中にも選択的な Aβ42 低下作用を示す化 合物はあるものの、in vivo 試験において、Aβ42 とアルツハイマー病との関わりを検証する のに十分な動態、中枢移行性を示す化合物は少ない 41, 42 。また、化合物 1 も in vivo 試験に おいては、わずかな脳内 Aβ42 低下作用(4% reduction after 3 h at a dose of 100 mg/kg p.o.)を 示すに留まり、 アルツハイマー病における Aβ42 選択的低下作用の効果を検証するには in vivo での Aβ42 低下作用を増強させる必要があった。この原因として、化合物 1 の不十分な in vitro 活性および経口吸収性が考えられたため、化合物 1 をシード化合物として、Aβ42 選択的低 下作用を維持したまま、活性の向上、および代謝安定性の改善による経口吸収性の向上を 目的とした最適化研究を開始した。. Figure 6. シード化合物(新規ピペラジン誘導体 1). 9.
(11) 2-2 分子設計戦略 γ-セクレターゼ調節薬の合成研究において左側ビアリール部分は変換の余地が少ないこ とが知られているため、この部分の変換としては、イミダゾール環の代替として、より高 極性の 5 員ヘテロ環の導入により代謝安定性を向上させることを計画した (Figure 7) 。ま た、ピペラジン環および 1-ナフチルエチルウレア部分に関しては、構造変換による代謝部 位の特定および代謝部位のブロックによる代謝安定性の改善を計画した。. Figure 7. 新規ピペラジン誘導体 1 からの分子設計戦略. 2-3 化合物の合成 種々のビアリールハライド 4a‒d の合成を Scheme 1 に示した。アニリン 2 を酸性条件下、 亜硝酸ナトリウムと反応させジアゾニウム塩とした後に、塩化スズで還元してヒドラジン 3 を調製した。続いて 3 とメチル=エタンイミドチオアートとを縮合させた後に、オルトギ 酸トリメチルとピリジン存在下、加熱することで、1,2,4-トリアゾール 4a を得た。ブロミド 5 を 1-メチルピラゾール-4-ボロン酸ピナコールエステルとのカップリングにより、ビアリ ール体 6 へ導いた後に、ナトリウム=メトキシドと反応させることで、ピラゾール誘導体 4b を得た。 アニリン 7 と α,α-ジクロロアセトン=トシルヒドラゾン 43 とを反応させて、1,2,3 トリアゾール 8 を調製後、求核反応によりメトキシ基を導入し、目的の 4c を得た。既知反 応 44 を応用し、ケトン 9 をオキサゾール 10 へと導いた後に、メトキシ基を導入し、4d を 合成した。. 10.
(12) Scheme 1. Reagents and conditions: (a) NaNO2, conc. HCl, H2O, ‒20 ºC to 0 ºC, then SnCl 2, ‒20 ºC to rt, 90%; (b) i) methyl ethanimidothioate hydroiodide, MeOH, rt; ii) CH(OMe) 3, toluene, pyridine, 100 ºC, 61%; (c) 1-methyl-4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-1H-pyrazole, Pd(PPh3)4, 2. M. Na2CO3, toluene, EtOH, 80 ºC, 62%; (d) 28% NaOMe/MeOH, DMF, 100 ºC, 88‒100%; (e). α,α-dichloroacetone tosylhydrazone, MeOH, 0 ºC to reflux, 14%; (f) PhI(OAc)2, CF3SO3H, MeCN, rt to reflux, 75%.. 得られたウレア誘導体の合成を Scheme 2 に示した。ビアリールハライド 4a‒d を原料に、 Buchwald 反応により 1-Boc-ピペラジンを導入し、Boc 基の脱保護、ウレア化を順次行い、 12‒16 を得た。. Scheme 2. Reagents and conditions: (a) 1-Boc-piperazine, Pd2(dba)3, DavePhos, t-BuONa, toluene, 90 ºC, 62‒82%; (b) 4 M HCl/EtOAc; (c) isocyanate or amine, CDI, 43‒81%.. 11.
(13) 次に中央のピペラジン環を変換した化合物群を Scheme 3 の通り合成した。ホモピペラジ ン 20、メチルピペラジン 21 および 22 は Scheme 2 と同様の方法で合成した。ブロミド 4d と N-Boc-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-ボロン酸ピナコールエステルとのカップリング、 続く Boc 基の脱保護により、テトラヒドロピリジン 23 を得た。続いてウレア化、二重結合 の還元により、目的のピペリジン 24 を合成した。. Scheme 3. Reagents and conditions: (a) cyclic amines, Pd2(dba)3, DavePhos, t-BuONa or t-BuOK, toluene, 90 ºC, 48‒88%; (b) i) 4 Et3N. or. DIPEA,. M. HCl/EtOAc, EtOAc, rt; ii) (S)-1-(1-naphthyl)ethyl isocyanate, DMF,. rt,. 32‒95%;. (c). tert-butyl. 4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-5,6-dihydropyridine-1(2H)-carboxylate, Pd(PPh3)4, 2 M Na2CO3, DME, 80 ºC, 100%; (d) 4 M HCl/EtOAc, EtOAc, rt, 66%; (e) i) (S)-1-(1-naphthyl)ethyl isocyanate, THF, 0 ºC to rt, 53%; ii) H2, Pd/C, MeOH, rt, 58%.. 12.
(14) Scheme 4 にアミド誘導体の合成を示した。原料となる 11d および 18 の Boc 基を脱保護し た後に、25 のクロロアセチル化、続く求核置換反応により 28 を得た。類縁体 33 および 34 も同様の方法で合成した。アミド体 29 は 1H-インダゾール-1-イル酢酸との縮合により調製 した。同様の反応条件で、対応するカルボン酸からアミド体 35‒37 を合成した。ピペラジ ン 25 または 26 と N-アリールグリシン 30 とを縮合させ、オルトギ酸トリメチルおよびギ酸 存在下、ニトロ基を還元することでベンゾイミダゾール誘導体 31 または 32 を得た。類縁 のベンゾイミダゾール誘導体 38‒40 も同様の方法で合成した。. Scheme 4. Reagents and conditions: (a) 4. M. HCl/EtOAc, EtOAc, rt, 93‒97%; (b) chloroacetyl. chloride, Et3N, DMF, rt, 62%; (c) dihydroisoindole, DIPEA, NaI, DMF, 70 ºC, 38%; (d) (1H-indazol-1-yl)acetic acid, DEPC, Et3N, DMF, rt, 73%; (e) i) 30, DEPC or HATU; ii) H2, Pd/C, CH(OMe)3, HCO2H, rt, 26‒31%.. 13.
(15) 2-4 生物活性と考察 ラット初代培養大脳皮質神経細胞を用いて、合成した化合物を 3 日間処置し、ELISA に より Aβ42 量を測定した(Table 1) 。一連のピペラジン誘導体は、パーシャルな Aβ42 低下作 用を示したため、変曲点(inflection point, IP)および最大阻害活性値にて Aβ42 低下作用を記 載した。また in vitro の代謝安定性はマウスの肝ミクロソームを用いた代謝安定性試験で測 定した。なお、本研究におけるアッセイ全般は共同研究者により実施された。 一般的に、化合物の極性を増すと酸化代謝に対する安定性は向上すると言われているた め 45 、まずは化合物 1 のイミダゾール環を、より高極性の 1,2,4-トリアゾール(12) 、ピラ ゾール(13) 、1,2,3-トリアゾール(14)およびオキサゾール(15)へと置換したものの、高 極性の 12 および 15 において、わずかな代謝安定性の改善を示すにとどまり、1,2,3-トリア ゾール誘導体 14 においては、大きく代謝安定性が低下した。この結果は、一連のピペラジ ン誘導体において、代謝安定性に対する化合物の極性の寄与は限定的であり、1 のピペラジ ン環、または 1-ナフチルエチルウレア部分が酸化代謝を受けていることが推測される。活 性面に関しては、オキサゾール誘導体 15 が最も強い Aβ 低下作用を示した。一方で、1,2,3トリアゾール誘導体 14 において大幅な活性の低下が確認された。 これら誘導体の活性差とコンフォメーションの考察から、γ-セクレターゼ調節薬において 広く保存されている左側ビアリール構造の活性コンフォメーションを推察するために、 Molecular Operating Environment (MOE) software46 を用いて、1, 14 および 15 のビアリール部 分フラグメントである 1', 14’および 15’の最安定配座を計算した。その結果、いずれのフラ グメントでもねじれ配座が最安定となり、これには、それぞれのヘテロ環上の水素原子と メトキシ基との分子内水素結合が寄与していると考えられた(Figure 8) 。14’の 1,2,3-トリア ゾール環は 1’および 15’のイミダゾール環およびオキサゾール環と比較して、180 度フリッ プした配座で安定化されている。また 14’の 1,2,3-トリアゾール環を 180 度フリップさせる ためには 1.4 kcal/mol のエネルギーが必要であるとの計算結果を得た(Figure 9)。この回転 障壁は、先に述べた 14’の最安定配座における分子内水素結合、および最安定配座から 180 度フリップする際の 1,2,3-トリアゾール環 2 位の窒素原子とメトキシ基の反発によるものと 推測される。これらのことから、1’や 15’で固定化されている末端ヘテロ環の窒素原子とメ チル基の両方、またはいずれか一方の位置が γ-セクレターゼ調節薬としての活性発現に重 要であると考えられる。. 14.
(16) Table 1 Aβ42-lowering effects of 1, 12‒15 their clog P values, and their in vitro metabolic clearance in mice liver microsomes. Aβ42 IP a. Max. Inh. b. (nM). (%). 1. 56. 57. 5.1. 150. 12. 170. 68. 4.3. 110. 13. 180. 63. 4.3. 150. 14. 450. 47. 4.9. 230. 15. 34. 67. 4.4. 130. Compound. a. Ar. clog P. c. MLM d (μL/min/mg). IP value is the mean of triplicate measurements. b Maximum inhibition (Max. Inh.) is % inhibition. at 3 μM of compound. Each value is the mean of triplicate measurements. c Calculated by Daylight Software.47 d In vitro metabolic clearance in mice liver microsomes.. 15.
(17) Figure 8. The most stable conformations of 1’ (yellow), 14’ (purple) and 15’ (green) calculated by MOE.. Figure 9. Calculated energy barrier between the most stable conformation of 14’ (left) and the 180° rotated form (right).. 次に、一連のピペラジン誘導体から、オキサゾール誘導体 15 を選出し、酸化代謝を受け ていると推測されるピペラジン環、または 1-ナフチルエチルウレア部分の最適化により代 謝安定性の向上を検討した。15 のピペラジン環を環拡大したホモピペラジン誘導体 20 にお いては、Aβ 低下作用は維持したものの、代謝安定性が低下した(Table 2)。またピペリジン 誘導体 24 においては、活性が約 8 倍低下し、24 におけるコンフォメーション変化が、望ま しくない影響を与えたと考えられる。次にピペラジン環へのメチル基の導入を検討したが、 (S)-体 21 において、わずかな活性の向上が確認され、代謝安定性への影響は確認されなか った。一方で、(R)-体 22 においては、活性の向上は確認されなかった。これらの検討から、 ピペラジン環への(S)-メチル基の導入は、活性向上に利用できることが明らかとなった。 16.
(18) Table 2 Aβ42-lowering effects of 15, 20‒22, 24 and their in vitro metabolic clearance in mice liver microsomes. a. IP value is the mean of triplicate measurements. b Maximum inhibition (Max. Inh.) is % inhibition. at 3 μM of compound. Each value is the mean of triplicate measurements.. c. In vitro metabolic. clearance in mice liver microsomes.. 最後に、1-ナフチルエチルウレア部分の最適化を行った(Table 3)。まずはベンジル位の (S)-メチル基が活性および代謝安定性に与えている影響を確認するために、無置換体 16 を 合成し、評価した。その結果、活性および代謝安定性はほとんど変化せず、15 のベンジル 位(S)-メチル基がそれらに与える効果は限定的であった。続いて、酸化代謝を受けやすいと 考えられるベンジル位を取り除くために、ヘテロ環の窒素原子でリンクしている 28, 29 お. 17.
(19) よび 33‒36 を合成し、代謝安定性の改善を図った。また、更なる代謝安定性の向上を目的 に、 代謝を受けやすい 16 のナフタレン環の一方のベンゼン環の除去を検討した。その際に、 16 のナフタレン環において、いずれのベンゼン環が活性発現に重要かを判断するために、 イソインドリン誘導体 28 およびインドリン誘導体 33 を調製し、それぞれの活性を比較し た。いずれの誘導体においても活性は減弱したが、とくに 28 において顕著であった。この 結果から、16 のナフタレン環の両ベンゼン環は、いずれも Aβ 低下作用に重要であり、特に 内側のベンゼン環の重要度が高いことが示唆された。続いて 33 のインドリン環を、インド ール環へと変換したところ、活性の向上が確認された。34 においては、代謝安定性の向上 は達成されなかったが、より極性の高い 29, 35 および 36 において、代謝安定性が大幅に向 上した。なかでもベンゾイミダゾール誘導体 35 は最も強い Aβ 低下作用を示した。続いて、 更なる活性向上を目的に、16 のナフタレン環が占有していた空間の再充填を指向し、35 の 末端にトリフルオロメチル基を導入した。ベンゾイミダゾール環 4 位へのトリフルオロメ チル基の導入は、活性に影響しなかったものの(37) 、5-CF3 誘導体(31)および 6-CF3 誘導 体(38)はナフタレン誘導体 16 と同等の活性を示した。一方で、7 位へのトリフルオロメ チル基の導入は大幅に活性を減弱させた(40)。また、中央ピペラジン環への(S)-メチル基 の導入により、さらなる活性の向上を達成し(32, 39)、良好な代謝安定性を示した 32 を精 査化合物として選出した。32 の Notch シグナルに対する活性を調べたところ、予想通り、 全く阻害活性を示さなかった (IC50 > 30 μM)。次にヒト神経芽細胞腫細胞 IMR-32 を用いて、 32 の Aβ40, Aβ42 および total Aβ に対する影響を調べた。その結果、Aβ42 に対しては濃度依存 的な阻害作用を示し、Aβ40 に対してはわずかな増加作用を示した。また、total Aβ はほとん ど変化しなかった(Figure 10) 。これらの結果は、32 が γ-セクレターゼの APP 切断部位をシ フトさせ、その結果として、Aβ42 が選択的に低下することを示唆している。さらに 32 はマ ウスを用いた動態試験において、良好な経口吸収性を示した(Table 4) 。この結果には、32 の良好な代謝安定性が大きく寄与していると考えられる。最後に 32 を用いて、マウスへの 投与における in vivo Aβ 低下作用の検討を行った。その結果、in vitro 試験のプロファイルを 反映し、32 の 100 mg/kg 経口投与によって、脳内および血漿中の Aβ42 が有意に低下し、一 方で、Aβ40 への影響はほとんど観察されなかった(Table 5) 。. 18.
(20) Table 3 Aβ42-lowering effects of 15, 16, 28, 29, 31‒40 and their in vitro metabolic clearance in mice liver microsomes. 19.
(21) a. IP value is the mean of triplicate measurements. b Maximum inhibition (Max. Inh.) is % inhibition. at 3 μM of compound. Each value is the mean of triplicate measurements. clearance in mice liver microsomes.. 20. c. In vitro metabolic.
(22) Figure 10. Effect of 32 on Aβ levels in IMR-32 human neuroblastoma cells.. Table 4 Pharmacokinetic parameters of 32a. a. Vdss b. CLtotal b. Cmax c. AUC c. MRT c. BA d. (mL/kg). (mL/h/kg). (μg/mL). (μg·h/mL). (h). (%). 360. 117. 773.1. 3932.0. 3.26. 46. Mice cassette dosing at 0.1 mg/kg for i.v. administration and 1 mg/kg for p.o. administration (male,. n = 3). b Vdss (steady state volume of distribution), and CLtotal (total body clearance) obtained with i.v. administration. c Cmax (maximal drug concentration), AUC (area under the concentration-time curve), and MRT (mean residence time) obtained with p.o. administration. d Bioavailability.. Table 5 In vivo profile of 32 in C57BL/6J mice (male, 10 w.o.) brain Aβ (%)a. a. plasma Aβ (%)a. Aβ42. Aβ40. Aβ42. Aβ40. 41b. 105. 36b. 106. Expressed as % vehicle at 3 h after dosing (n = 7). b p < 0.05 Student’s t-test.. 21.
(23) 2-5 第二章のまとめ 第二章においては、Aβ42 とアルツハイマー病との関わりを検証できる経口投与可能な薬 理ツールの創出を第一の目的に、新規ピペラジン系 γ-セクレターゼ調節薬のデザインおよ び合成を行った。Aβ42 低下作用および代謝安定性の向上を目的に、シード化合物 1 の各部 位の最適化を行い、ベンゾイミダゾール誘導体 32 を見出した。また、その過程で化合物 32 の部分構造であるオキサゾリルフェニル基は、多くの γ-セクレターゼ調節薬の共通部分構 造であるイミダゾリルフェニル基の代替となることを示した。32 は強力な in vitro の Aβ42 低下作用、およびマウスを用いた動態試験において良好な経口吸収性を示した。さらに 32 はマウスを用いた in vivo 試験において、Aβ42 を選択的に低下させた。以上のことから、化 合物 32 には、アルツハイマー病の発症や進展における Aβ42 の役割を解明する際の有用な薬 理ツールとしての役割が期待される。. 22.
(24) 第三章 5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン骨格を有する新規 γ-セクレターゼ調節薬の合成研究 3-1 研究背景 3-1-1 シード化合物 1,2,4-トリアゾール誘導体 42 の創出 第二章において独自に見出したオキサゾリルフェニル基を活用し、新規な γ-セクレター ゼ調節薬を見出すことを目的に、オキサゾリルフェニル基と、既知の様々な γ-セクレター ゼ調節薬の右側部分構造とのハイブリット合成を行った。その結果、米メルク社から報告 されている γ-セクレターゼ調節薬 4141 の部分構造を有する 1,2,4-トリアゾール誘導体 42 が、 中程度の Aβ42 低下作用(IC50 2000 nM)を示すことを見出した (Figure 11) 。. Figure 11. ピペラジン誘導体 32 および 1,2,4-トリアゾール誘導体 41, 42. 3-1-2 Ligand-lipophilicity efficiency (LLE)を指標とした創薬研究 創薬研究において、化合物への脂溶性の付加は、活性の増強につながることが多いもの の、同時に毒性発現に関連する酵素やレセプター等への非特異的な親和性の向上や、物性 の悪化等、ドラッグライクネスの低下につながることが多い。したがって、化合物の標的 分子に対する真の活性と、化合物の脂溶性とを切り離して最適化研究を進める場合には、 以下の式で表される Ligand-lipophilicity efficiency (LLE)が最適化の指標として利用される 48 。. LLE = 活性(pIC50 など)- 脂溶性(clog P, log D など). γ-セクレターゼ調節薬の合成研究において、Gijsen らが化合物への脂溶性の付加と Aβ 低 下作用の関連性を解析している 49。彼らは、化合物への脂溶性の付加は Aβ 低下作用を効果 的に増強しているものの、化合物のドラッグライクネスは低下していると論じている 50 。 以上のことから、脂溶性の付加によらない新たな γ-セクレターゼ調節薬の活性向上戦略 の創出を目的に、1,2,4-トリアゾール誘導体 42 から LLE を指標とした最適化研究を行った。. 23.
(25) 3-2 分子設計戦略 第一にシード化合物 42 の末端ベンゼン環の活性コンフォメーションの固定化による活性 および LLE の向上を計画した (Figure 12) 。さらに LLE 向上を指向する上で適切な極性基 および脂溶性基の導入位置、コンフォメーションの探索を計画した。. Figure 12. シード化合物 42 からの分子設計戦略. 3-3 化合物の合成 Scheme 5 の通り、ブロミド 4d をニトリル 43 へと変換したのちに、ヒドラジド 44 との縮 合、分子内環化を行い 1,2,4-トリアゾール誘導体 42 を合成した。. Scheme 5. Reagents and conditions: (a) Zn(CN)2, Pd2(dba)3, DavePhos, DMF, 130 oC, 88%; (b) K2CO3, n-BuOH, 120 oC, 12%.. 24.
(26) 次に、ニトリル 43 を原料とし、カルボン酸 45 を経て、カルバジン酸 tert-ブチルと縮合さ せた後に、Boc 基の脱保護を行いヒドラジド 46a へと導いた。45 とヒドラジンを縮合させ てヒドラジド 46b を直接得ることも可能であった。フェニルアセトニトリル誘導体 47 のベ ンジル位をアルキル化した後に、 酸性条件下でのエタノリシスによりイミダート 49 を得た。 49 とヒドラジド 46a とをイミダゾール存在下反応させることで、テトラヒドロ[1,2,4]トリア ゾロ[1,5-a]ピリジン誘導体 50 を合成した(Scheme 6) 。. Scheme 6. Reagents and conditions: (a) n-BuOH, 8. M. t-butyl carbazate, DEPC, Et3N, DMF, rt, 73%; (ii) 4. NaOH aq., reflux, 74%; (b) For 46a, (i). M. HCl/EtOAc, EtOAc, rt, 96%; For 46b,. hydrazine monohydrate, CDI, THF, 92%; (c) 1-bromo-3-chloropropane, t-BuOK, THF, ‒10 oC to rt, 35%; (d) AcCl, EtOH, 0 oC to rt, 76%; (e) 46a, imidazole, MeOH, rt to 65 oC, 46%.. 25.
(27) テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン誘導体および関連誘導体は Scheme 7 の通 り合成した。フェニル酢酸誘導体 51 のベンジル位を 1-ブロモアルカン類 52a‒c によりアル キル化し 53a‒c とした後に、ヒドラジド 46a または 46b と縮合させることで、ジアシル体 54a‒d へと導いた。続いて四塩化炭素、トリフェニルホスフィンを用いて環化させることに より、オキサジアゾール誘導体 55a‒d を得た。次に 55a‒d に対して求核的に導入したアジ ド基を還元することにより、アミン体 56a‒d へと導いた。酸性条件下にて 56a‒d の分子内 環化を進行させ、目的の 57‒60 を合成した。ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン誘導 体 62 は、57 のベンジル位の酸化、続く脱水反応により合成した。. Scheme 7. Reagents and conditions: (a) 1.6 M n-BuLi/hexane, THF; (b) 46a, HATU, Et3N, DMF, or 46b, DEPC, Et3N, DMF; (c) CCl4, PPh3, MeCN or Burgess reagent, THF; (d) (i) NaN 3, DMSO; (ii) PPh3, H2O, THF; (e) AcOH, reflux; (f) NaH, DMF, air, rt, 39%; (g) TsOH·H 2O, toluene, reflux, 94%.. 26.
(28) テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン誘導体 66a‒j は Scheme 8 の通り、57 と同様 の方法で合成した。カルボン酸 64e および 64h はエステル 68e および 68h のベンジル位の アルキル化、続く加水分解により調製した。化合物 64g の合成においては、フェニル酢酸 誘導体 63g のベンジル位のアルキル化が進行しなかったために、保護体 69 を経由して、所 望の 64g へと導いた。モルホリン誘導体 66e はブロミド 67 を原料とするカップリング反応 により合成した。. Scheme 8. Reagents and conditions: (a) n-BuLi, 1-bromo-3-chloropropane; (b) (i) 46a or 46b, HATU or DEPC; (ii) CCl 4 or CCl3CN, PPh3, (c) (i) NaN3; (ii) PPh3, H2O; (iii) AcOH; (d) (i) NaH, 1-bromo-3-chloropropane,. DMF;. (ii). NaOH,. H2O,. MeOH,. THF;. (e). 1,1-di-tert-butoxytrimethylamine, toluene, 80 oC, 81%; (f) (i) NaH, 1-chloro-3-iodopropane, DMF, rt, 91%; (ii) TFA, rt, 99%; (g) morpholine, DavePhos, Pd2(dba)3, t-BuONa, toluene, 100 oC, 20%.. 27.
(29) 次にテトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン誘導体の合成を行った(Scheme 9)。ブ ロミド 4d と 5-ヘキシン-1-オールとの薗頭カップリング反応、続くアルコールの酸化により アルデヒド 71 へと導いた。アルデヒド 71 と 3,4-ジクロロフェニルマグネシウム=ブロミド との反応により 2 級アルコール 72 を得た後に、メシル=クロリドと反応させて、メシラー ト 73 へと導いた。73 のアジド化、続く分子内[3+2]環化付加反応をワンポットで行い、テト ラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン環を構築し、目的の 74 を合成した。. Scheme 9. Reagents and conditions: (a) 5-hexyn-1-ol, PdCl2(PPh3)2, CuI, Et3N, 70 oC, 83%; (b) Dess–Martin periodinane, MeCN, DMSO, rt, 83%; (c) 3,4-dichlorophenylmagnesium bromide, THF, ‒78 oC, 41%; (d) MsCl, Et3N, THF, 0 oC, 97%; (e) sodium azide, DMSO, 110 oC, 48%.. 28.
(30) Scheme 10 に示したとおり、57 の 8 位に種々の官能基を導入した。塩基性条件下で、57 の 8 位を酸化し、生じたヒドロキシ基のメチル化を行うことで、8-メトキシ誘導体 75 を得 た。パラホルムアルデヒドと 57 とを反応させヒドロキシメチル化を行い、生じたヒドロキ シ基をトシル化して 76 へと導いた。続いてアジド化、還元を経てアミン 77 を調製した。 次に 77 を N-アセチル化することで、アミド 78 を得た。エステル 79a の α 位にエトキシカ ルボニル基を導入後、 アクリロニトリルとの Michael 反応を行い、 ニトリル 81a へと導いた。 次にワンポットでの 81a のシアノ基の還元、分子内環化反応によりラクタム 82a を合成し た後に、Lawesson 試薬によりチオラクタム 83a を調製した。83a をヨウ化メチルにより活 性化した後に、ヒドラジド 46a との環化反応を行うことで、5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリ アゾロ[4,3-a]ピリジン骨格を合成し 84a へと導いた。最後に 84a のエトキシカルボニル基を メチルマグネシウム=ブロミドにより 2-ヒドロキシプロパン-2-イル基へと変換し 85 を得た。 ジフルオロ誘導体 86 も同様に合成した。. Scheme 10. Reagents and conditions: (a) NaH, air, then NaH, MeI, DMF, 31%; (b) (i) NaH, paraformaldehyde, DMF, 13%; (ii) TsCl, Py, 69%; (c) (i) NaN3, DMSO; (ii) PPh3, H2O, THF, 49% 29.
(31) (2 steps); (d) AcCl, Et3N, THF, 72%; (e) NaH, diethyl carbonate, THF, 90‒100%; (f) NaOEt, acrylonitrile, t-BuOH; (g) H2, Raney cobalt, NH3, EtOH, 41‒73%; (h) Lawesson's reagent, toluene, 79‒90%; (i) MeI, MeCN, then 46a, EtOH, 59‒68%; (j) MeMgBr, THF, 36‒41%.. ベンジル誘導体 90‒95 およびフェノキシ誘導体 100‒102 の合成を Scheme 11 に示した。テ トラフルオロほう酸トリメチルオキソニウムによりラクタム 87 を活性化した後に、ヒドラ ジド 46a との環化反応を行い、二環性化合物 88 へと導いた。続いてベンジル=ブロミドに より、88 の 8 位をアルキル化して 89 を調製後、メチルマグネシウムブロミドとの反応によ り、3 級アルコール 90 へと導いた。また副生成物としてケトン 91 を得た。続いて、エステ ル 89 の LAH による還元で 1 級アルコール 92、ホルムアミドとの反応によりカルボキサミ ド 93 をそれぞれ合成した。また、89 の加水分解、続く 2,2,2-トリフルオロエチルアミンと の縮合により 2 級アミド 94、続く N-メチル化により 3 級アミド 95 を調製した。エステル 88 を N-クロロスクシンイミドで処理することで α 位がクロロ化された 96 を得た。3 級クロ リド 96 に対するフェノール類の求核置換反応によりフェノキシ体 97‒99 を調製後、メチル マグネシウムブロミドで処理することにより 2-ヒドロキシプロパン-2-イル誘導体 100‒102 を合成した。. 30.
(32) Scheme 11. Reagents and conditions: (a) (i) Me3OBF4, MeCN; (ii) 46a, MeCN, 38% (2 steps); (b) NaH, 3,4-difluorobenzyl bromide, DMF, 87%; (c) MeMgBr, THF, 48% for 90, 8% for 91; (d) LAH, THF, 73%; (e) HCONH2, NaOMe, MeOH, DMF, 85%; (f) (i) 1. M. NaOH aq., MeOH, THF; (ii). 2,2,2-trifluoroethylamine, HATU, Et 3N, DMF, 31% (2 steps); (g) MeI, NaH, DMF, 25%; (h) NCS, NaH, DMF, 69%; (i) various phenols, K2CO3, DMF, 43‒62%; (j) MeMgBr, THF, 58‒66%.. 31.
(33) Scheme 12 にスピロ誘導体の合成ルートを示す。エステル 88 に対して 2-ニトロベンジル 基を導入して 103 へと導いた。フェニル誘導体 104 は 88 と 1-フルオロ-2-ニトロベンゼンと の反応により合成した。それぞれニトロ基を還元して、分子内環化反応を行い 108 および 109 を得た。環状アミド部分を 2,2,2-トリフルオロエチル=トリフラートを用いてアルキル 化し、目的の 113 および 114 を合成した。エステル 88 の 8 位を塩基性条件下で酸化して、 生じたヒドロキシ基と 2-ニトロベンジル=ブロミドとを反応させることでベンジルオキシ 誘導体 105 へと導いた。105 からニトロ基の還元およびエトキシカルボニル基の加水分解に よりアミノ酸誘導体を合成した後に、HATU による分子内環化反応を行い、ベンゾオキサゼ ピン誘導体 110 を調製した。続いて、N-トリフルオロエチル化を行い、目的の 115 を得た。 類縁体の 116 および 117 も同様の方法で合成した。また、エステル 88 の 8 位のヒドロキシ メチル化、2-ベンジルオキシアニリンとの縮合により 119 を調製後、ベンジル基の脱保護、 続く光延反応によりベンゾオキサゼピン誘導体 120 を得た。最後に 120 の N-トリフルオロ エチル化を行い、121 へと導いた。. Scheme 12. Reagents and conditions: (a) NaH, 2-nitrobenzyl bromide, DMF for 103, 60%; NaH, 1-fluoro-2-nitrobenzene, DMF for 104, 46%; NaH, air, DMF, then NaH, 2-nitrobenzyl bromide analogs for 105‒107, 35‒64%; (b) (i) H2, Pd/C, MeOH, EtOH; (ii) EtOH for 108, 43% (2 steps); Fe, AcOH for 109, 39%; (i) H2, PtO2, MeOH; (ii) NaOH aq., THF; (iii) HATU, Et3N, DMF for 110, 57% (3 steps); (i) NH2NH2·H2O, FeCl3·6H2O, activated charcoal, THE, MeOH; (ii) NaOH aq., THF, MeOH; (iii) HATU, Et3N, DMF for 111 and 112, 45‒69%; (c) 2,2,2-trifluoroethyl triflate, NaH or Cs2CO3, DMF, 40‒73%; (d) NaH, paraformaldehyde, DMF, then H2O; (e) 2-benzyloxyaniline, HATU, DMF, 55% (2 steps); (f) (i) H 2, Pd/C, MeOH, THF; (ii) PPh3, DEAD, THF, then P(n-Bu)3, ADDP; (g) 2,2,2-trifluoroethyl triflate, NaH, DMF, 22% (3 steps).. 32.
(34) 3-4 生物活性と考察 第二章と同様に、合成した化合物はラット初代培養神経細胞を用いて Aβ42 低下作用を測 定した。IC50 値を活性の指標とし、化合物の脂溶性は、実測値の log D (pH 7.4)50 を用い、 LLE は pIC50 - log D (pH 7.4)で示した。また in vitro の代謝安定性はマウスの肝ミクロソー ムを用いた代謝安定性試験で測定した。 1,2,4-トリアゾール誘導体 42 をシード化合物として、末端ベンゼン環の活性コンフォメー ションの固定化による活性の向上を試みた。42 のトリゾール環とベンジル位を環化させた 二環性の 50 および 57 の活性は、いずれも向上した。しかしながら 50 は、シード化合物 42 と同様の LLE を示すに留まり、50 における脂溶性の増加のみが、Aβ42 低下作用を増強させ たと考えられる。一方で、化合物 57 においては、顕著に LLE が向上しており、42 の活性 コンフォメーションが効果的に固定化されたと考えられる。化合物 57 の 1,2,4-トリアゾー ル環を 1,2,3-トリアゾール環に置換した 74 は、57 と同等の活性を示したが、増加した脂溶 性により LLE が低下する結果となった。また、環拡大した 58 において LLE は低下し、環 縮小した 59 においても活性および LLE が低下した。さらにテトラヒドロピリジン環内に二 重結合を導入した 62 においても、活性および LLE が低下した。これらの結果から、二環構 造の環のサイズ、および末端フェニル基のコンフォメーションが γ-セクレターゼ調節薬と しての活性に大きく影響し、57 のコンフォメーションが Aβ42 低下作用にとって最適である と考えられる。また、57 と同様のコンフォメーションを持つトリアゾロオキサジン誘導体 60 において活性および LLE が低下したことについては、トリアゾロオキサジン環内の酸素 原子の極性がその原因として推察される。以上の構造活性相関研究により、中央骨格とし て、57 におけるテトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン環を選択し、更なる最適化を 行った。. 33.
(35) Table 6 Aβ42-lowering effects of 42, 50, 57‒60, 62, 74, their log D values and their LLE. Compound. a. Aβ42 IC50a (nM). log Db. LLEc. 42. 2000. 4.1. 1.6. 50. 860. 4.4. 1.7. 57. 210. 3.2. 3.5. 74. 210. 4.2. 2.5. 58. 220. 3.5. 3.2. 59. 630. 3.3. 2.9. 62. 600. 3.6. 2.6. 60. 530. 3.1. 3.2. IC50 values are means of triplicate measurements. b log D at pH 7.4. c LLE = pIC50 ‒ log D. 34.
(36) 次に末端フェニル基上の置換基に関する構造活性相関研究を行った。化合物 57 の末端フ ェニル基 3 位のクロロ基を取り除いた 66a においては、Aβ42 低下作用はわずかに減弱した ものの、LLE は維持した。4-CF3 誘導体 66b は 66a と同様の活性および LLE を示した。ま た、脂溶性の低下した 4-F 誘導体は、活性は低下したものの、66a と同様の LLE を示した。 極性基を導入した際にも同様の傾向が示され、4 位にメトキシ基(66d)やモルホリノ基(66e) を持つ化合物においても、LLE は維持された。また、66f(3-CF3)や 66g(2-CF3)が 66b とほぼ同等の活性、LLE を示したことから、置換位置も LLE に与える影響は少ないことが 示唆された。これらの一置換誘導体の活性と脂溶性との間には強い相関が認められ(Figure 13) 、一連のテトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン誘導体においては、末端フェニル 基の脂溶性が、ほぼ直接的に Aβ42 低下作用を支配していることが明らかとなった。したが って、更なる活性の向上を指向し、二置換誘導体を調製したところ、期待通り 66h‒j におい て大幅な活性向上が認められた。特に、最も脂溶性の高い 66j は極めて強い Aβ42 低下作用 を示した。 Table 7 Aβ42-lowering effects of 66a‒j, their log D values and their LLE. a. Aβ42 IC50a. log Db. LLEc. 570. 2.8. 3.4. 4-CF3. 510. 2.9. 3.4. 66c. 4-F. 1500. 2.4. 3.4. 66d. 4-OMe. 1900. 2.4. 3.3. 66e. 4-morpholine. 2300. 2.3. 3.3. 66f. 3-CF3. 370. 2.8. 3.6. 66g. 2-CF3. 380. 3.0. 3.4. 66h. 3-CF3, 4-Cl. 220. 3.2. 3.5. 66i. 2-CF3, 5-CF3. 300. 3.3. 3.2. 66j. 2-CF3, 4-Cl. 84. 3.5. 3.6. Compound. R. 66a. 4-Cl. 66b. (nM). IC50 values are means of triplicate measurements. b log D at pH 7.4. c LLE = pIC50 ‒ log D. 35.
(37) Figure 13. Plot of pIC50 against log D for 42, 50, 57 and 66a‒j.. 次に、興味深いことに 62 の合成中間体であるアルコール 61 が、中程度の Aβ42 低下作用 および無置換体 57 と同等の LLE を示すことに注目した。この結果は、テトラヒドロ[1,2,4] トリアゾロ[4,3-a]ピリジンの 8 位への極性基の導入が許容されること及びそれにより LLE の向上が期待されることを示している。そこで、この位置への極性基の導入を検討した。 8 位に種々の極性基を導入した化合物群の構造活性相関を Table 8 に示す。61 を O-メチル 化したメトキシ誘導体はわずかに活性向上に寄与したものの、脂溶性が増加しており、LLE が低下した。また 8 位へのアミノメチル基(77)やアセトアミドメチル基(78)の導入に おいても、LLE は向上しなかった。一方で 2-ヒドロキシプロパン-2-イル誘導体 85 は、57 と比較して 8 倍の活性向上を示し、同時に大幅な LLE の向上を達成した。末端ベンゼン環 の置換基を 3,4-ジフルオロ基へと変換した 86 も高い LLE を維持し、この傾向は Table 7 と 同様であった。さらに、母核であるテトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン環と末端 ベンゼン環との間にメチレンリンカーを挿入したところ、活性および LLE が大幅に向上し た(90) 。この結果は、8 位の極性基だけではなく、末端ベンゼン環の位置も LLE に大きく 影響することを示している。しかしながら、ベンジル誘導体 90 はマウス肝ミクロソームに 対して、低い代謝安定性(93 μL/min/mg)を示した。そこで次に、酸化代謝部位と考えられ る 2-ヒドロキシプロパン-2-イル基、およびベンジル位の置換を行い、代謝安定性の改善を 目指した(Figure 14) 。 36.
(38) Table 8 Aβ42-lowering effects, log D values, and LLE values of 57, 61, 75, 77, 78, 85, 86 and 90. Compound. 1. R. 2. Aβ42 IC50a. R. log Db. LLEc. (nM). a. 57. H. 240. 3.2. 3.5. 61. OH. 290. 2.9. 3.6. 75. OMe. 120. 3.7. 3.2. 77. 280. 3.1. 3.5. 78. 300. 3.2. 3.3. 85. 35. 3.7. 3.8. 86. 160. 2.9. 3.9. 90. 48. 3.0. 4.3. IC50 values are means of triplicate measurements. b Measured at pH 7.4. c LLE = pIC50 ‒ log D.. 37.
(39) Figure 14. Approaches to improve metabolic stability of 90.. まずは、2-ヒドロキシプロパン-2-イル基の置換を行い、LLE および代謝安定性に対する 構造活性相関を取得した(Table 9) 。90 からのジェミナルジメチル基の除去(92) 、および 2-ヒドロキシプロパン-2-イル基からアセチル基への置換(91)を行ったが、いずれにおい ても代謝安定性は改善されなかった。一方で、カルボキサミド 93 においては、大幅に代謝 安定性が向上した。93 は LLE のわずかな低下を示したが、N-トリフルオロエチル誘導体 94 は、良好な代謝安定性を維持したまま、93 と比較して高い活性、LLE を示した。94 のアミ ド基の N-メチル化は、さらに LLE を向上させたが、代謝安定性が大幅に低下する結果とな った。従って、化合物 94 を in vivo 試験への精査化合物として選出した。. 38.
(40) Table 9. Aβ42-lowering effects, log D values, LLE values, and in vitro metabolic clearance of 91‒95 in mouse liver microsomes. Aβ42 IC50a Compound. R. log D. b. LLE. (nM). a. c. MLMd (μL/min/mg). 92. 250. 2.5. 4.1. 144. 91. 290. 2.6. 3.9. 148. 93. 870. 2.3. 3.8. 22. 94. 75. 3.0. 4.1. 3. 95. 50. 2.9. 4.4. 101. IC50 values are means of triplicate measurements. b Measured at pH 7.4. c LLE = pIC50 ‒ log D. d In. vitro metabolic clearance in mice liver microsomes.. 39.
(41) 次に、Table 9 に示す通り、90 のベンジル位の置換を行い、LLE および代謝安定性に対す る構造活性相関を取得した。90 において酸化代謝部位と考えられるベンジル位を酸素原子 で置き換えたところ、代謝安定性が大幅に改善し、LLE も維持することがわかった(100) 。 末端ベンゼン環置換基の脂溶性を増加させた 101 および 102 においては、期待通り、高い LLE を維持したまま Aβ42 低下作用が増強した。また、高い代謝安定性も維持されたため、 101 および 102 を in vivo 試験への精査化合物として選出した。. Table 9 Aβ42-lowering effects, log D values, LLE values, and in vitro metabolic clearance of 100‒102 in mouse liver microsomes. Aβ42 IC50a Compound. R. log D. b. LLE. (nM). a. c. MLMd (μL/min/mg). 100. 88. 2.8. 4.3. ‒1. 101. 38. 3.2. 4.2. ‒7. 102. 41. 3.2. 4.2. ‒3. IC50 values are means of triplicate measurements. b Measured at pH 7.4. c LLE = pIC50 ‒ log D. d In. vitro metabolic clearance in mice liver microsomes.. 40.
(42) 次に、更なる LLE の向上のために、高い LLE を示したアミド 95 をリード化合物として、 Figure 15 に示す様に、95 の 8 位のジェミナルな置換基であるベンジル基とアミド基とを結 合させ、活性コンフォメーションの固定化を指向したスピロ化合物をデザインした。また、 このデザインにおいては、酸化代謝を受けやすいアミド基上のメチル基の除去、および中 枢神経系薬剤としては望ましくないとされる 95 のフレキシビリティーの低減も同時に指向 している 51 。. Figure 15. Design of spiro compounds from N-trifluoroethyl amide analog 95.. スピロ誘導体の構造活性相関を Table 11 に示した。期待通り 6 員環スピロ誘導体 113 は高 い LLE および良好な代謝安定性を示した。LLE に関して更に適切なコンフォメーションを 探索する目的で、113 のスピロ環サイズの調整を行った。その結果、5 員環誘導体 114 にお いて、LLE は低下したものの、ベンゾオキサゼピン誘導体 115 は非常に高い LLE を示した。 しかしながら 115 の代謝安定性は低下しており、ベンジル位の酸化代謝が示唆された。そこ で、代謝部位をブロックするために、115 のオキサゼピン環の酸素原子をシフトさせた 121 を合成した。121 の LLE は低下したものの、予想通り代謝安定性は大きく改善した。これ らの結果は、想定通り 115 のベンジル位が酸化代謝されていることを示している。したがっ て、115 のベンジル位への酸化代謝酵素のアプローチを妨げるために、嵩高い置換基を 115 のベンゾオキサゼピン環 6 位に導入した。しかしながら、クロロ誘導体 116 およびトリフル オロメチル誘導体 117 において、代謝安定性は改善しなかった。これらスピロ誘導体の構造 活性相関から、高い LLE を維持したまま、代謝安定性を改善することは困難であると判断 し、強い Aβ42 低下作用および極めて高い LLE を示した 116 と 117 を in vivo 試験への精査化 合物として選出した。. 41.
(43) Table 11 Aβ42-lowering effects, log D values, LLE values, and in vitro metabolic clearance of 113‒117 and 121 in mouse liver microsomes. Aβ42 IC50a Compound. R. log D. b. LLE. (nM). a. c. MLMd (μL/min/mg). 113. 240. 2.4. 4.2. 29. 114. 520. 2.2. 4. ‒ 10. 115. 140. 2.2. 4.6. 62. 121. 420. 2.5. 3.9. 11. 116. 30. 2.8. 4.8. 107. 117. 31. 2.9. 4.6. 83. IC50 values are means of triplicate measurements. b Measured at pH 7.4. c LLE = pIC50 ‒ log D. d In. vitro metabolic clearance in mice liver microsomes.. 42.
(44) 続いて野生型マウス(C57BL/6J)を用い、in vivo における Aβ42 低下作用の評価を行った (Table 12) 。In vitro 試験において中程度の Aβ42 低下作用を示した N-トリフルオロエチルア ミド誘導体 94 は 30 mg/kg、その他の精査化合物は、代謝安定性を指標に、2-ヒドロキシプ ロパン-2-イル誘導体 101 と 102 は 10 mg/kg、スピロ誘導体 116 と 117 は 30 mg/kg でそれぞ れ経口投与し、投与後 3 時間後の脳内および血漿中の Aβ42 を測定した。その結果、94 以外 の化合物は、脳内および血漿中の Aβ42 低下作用を示し、特に 101 および 102 は強力な in vivo 活性を示した。この結果には 101 および 102 の極めて良好な代謝安定性が寄与していると 考えられる。. Table 12 In vivo Aβ42-lowering effects in C57BL/6J mice. a. brain Aβ42 (%)a. plasma Aβ42 (%)a. 94 (30 mg/kg). 96. 80. 101 (10 mg/kg). 71. 42. 102 (10 mg/kg). 66. 35. 116 (30 mg/kg). 77. 49. 117 (30 mg/kg). 75. 39. Expressed as % vehicle at 3 h after p.o. administration, n = 4‒6.. 最終的に、 最も強力な脳内 Aβ42 低下作用を示した 102 を更なる精査化合物として選出し、 光学活性体の調製を行った 52 。その結果、立体配置は活性に大きく影響し、in vitro 試験に おいて、 (R)-102 は (S)-102 の 460 倍以上の Aβ42 低下作用を示した(Table 13)。また Neuro2A 細胞を用いた実験において、(R)-102 は Aβ42 および Aβ40 を低下させる一方で、Aβ37 を増加 させ、total Aβ 量は変化させなかった 53 。この結果は、(R)-102 が γ-セクレターゼの機能を 調節し、APP 切断部位をシフトさせていることを示唆している。さらに、期待通り、(R)-102 は Notch シグナルに対して阻害作用を示さなかった (IC50 >10 μM)53 。. 43.
(45) Table 13 Aβ42-lowering effects, log D values, LLE values, and in vitro metabolic clearance in mouse liver microsomes, and in vivo Aβ42-lowering effects of (R)-102 and (S)-102 in C57BL/6J mice. Aβ42 IC50a Compound. R. b. log D. LLE. (nM). a. (R)-102. 26. 3.2. (S)-102. >10000. 3.2. 4.4. c. MLMd. In vivo Aβ42 (%)e. (μL/min/mg). brain. plasma. -7. 60. 36. -20. N.T.f. N.T.f. IC50 values are means of triplicate measurements. b Measured at pH 7.4. c LLE = pIC50 ‒ log D. d In. vitro metabolic clearance in mice liver microsomes.. e. Expressed as % vehicle at 3 h after p.o.. administration, 6 mg/kg, n = 6. f Not tested.. 更に(R)-102 の薬理作用を確認するために、 (R)-102 をアルツハイマー病モデル動物として、 APP を過剰発現するトランスジェニックマウス(Tg2576 マウス)を用いた連投試験(3, 6 mg/kg/day)に供した。(R)-102 の単回投与後 18 時間後には、(R)- 102 は血中からは検出され ないこと、また、連投試験で(R)-102 が脳内および血中に蓄積増加しないことを確認した。 58 日間の連投試験後の解析により、(R)-102 は濃度依存的に脳内に蓄積した不溶性 Aβ42、お よび可溶性 Aβ42 を有意に低下させた (Figure 16) 。また、Aβ40 に対しても低下作用を示す一 方で、total Aβ に対しては影響を示さなかった。さらに、マウスの認知機能を評価する試験 として、連投試験の 45 日目に新奇物体認識試験を評価した (Figure 17) 。その結果、(R)-102 投与群において、新奇物体への嗜好性は有意に増加し、認知機能の改善が示唆された。さ らに、(R)-102 の連投終了後、7 日間の休薬期間をおき、同様の新奇物体認識試験を行った ところ、認知機能改善効果は維持されていた. 53. 。これらの結果は、(R)-102 の連投投与が、. Tg2576 マウスの脳内への病原性 Aβ の蓄積を低下させて、認知機能の改善に寄与したこと を示している。. 44.
(46) Figure 16. Effect of (R)-102 on insoluble Aβ42 (A), soluble Aβ42 (B), soluble Aβ40 (C), and soluble total Aβ (D) in Tg2576 mouse cortex. (R)-102 was administrated for 58 days and at 3 h prior to decapitation, n = 10‒15. The bars represent means±SEM. +++p < 0.001, Aspin-Welch test vs wild-type (WT) mice treated with vehicle. $p < 0.025, Shirley-Williams test vs Tg mice treated with vehicle. #p < 0.025, Williams test vs Tg mice treated with vehicle.. Figure 17. Effect of (R)-102 on novel object recognition test in Tg2576 mouse on the 45th day of 58-day oral administration, n = 10‒15. The bars represent means±SEM. ***p < 0.001, t-test vs WT mice treated with vehicle. $p < 0.025, Shirley-Williams test vs Tg mice treated with vehicle. 45.
(47) 3-5 第三章のまとめ 第三章においては、脂溶性の付加によらない新たな γ-セクレターゼ調節薬の活性向上戦 略の創出を目的に、LLE を指標とした γ-セクレターゼ調節薬の合成研究を行った。 新規 1,2,4トリアゾール誘導体 42 をリード化合物として、活性コンフォメーションの固定化により LLE を向上させたテトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン誘導体 57 を見出した。さ らに 57 の 8 位への 2-ヒドロキシプロパン-2-イル基の導入、および末端ベンゼン環へのメチ レンリンカーの挿入によりさらに LLE を向上させた 90 を見出した。化合物 90 は低い代謝 安定性を示したものの、2-ヒドロキシプロパン-2-イル基のトリフルオロエチルアミド基へ の置換、またはベンジル基のフェノキシ基への置換により、高い LLE を維持したまま、代 謝安定性の大幅な改善を達成した。さらに、トリフルオロエチルアミド誘導体から、その 活性コンフォメーションの固定化を指向してデザインしたスピロ誘導体が極めて高い LLE を示すことを見出した。本研究で得られた高い LLE を示す化合物群における極性基や脂溶 性基の位置およびコンフォメーションの情報は、脂溶性の付加によらない γ-セクレターゼ 調節薬の活性向上戦略を考える上で有用な情報となる。 また、代表化合物群を in vivo 試験により評価し、強力な脳内 Aβ42 低下作用を示す(R)-102 を見出した。 さらにアルツハイマー病モデル動物である Tg2576 マウスへの(R)-102 の連投投 与試験を行った。 その結果、 (R)-102 投与群において、 有意に脳内 Aβ42 の蓄積が減少し、Tg2576 マウスの認知機能が改善した。これらの結果は、γ-セクレターゼ調節薬(R)-102 が、脳内病 原性 Aβ の蓄積の減少を介して、アルツハイマー病の根本的な治療薬になり得る可能性を示 唆している。. 46.
(48) 第四章 総括 本博士論文では、アンメットメディカルニーズの非常に高いアルツハイマー病治療薬の 創出に貢献するために、脳内の病原性 Aβ を低下させる作用を持つ種々の新規 γ-セクレター ゼ調節薬の創薬研究を実施した。. 第二章では、Aβ42 とアルツハイマー病との関わりを検証する上で、十分な Aβ42 選択性、 動態および中枢移行性を示す化合物が少ないことから、脳内 Aβ42 を選択的に低下させる経 口投与可能な薬理ツールの創出を目的に、新規ピペラジン系 γ-セクレターゼ調節薬のデザ インおよび合成を行った。In vitro 試験において Aβ42 を選択的に低下させるシード化合物 1 から、代謝部位の特定および代謝安定性の改善を行うことで、Aβ42 選択的低下作用を維持 したまま、in vivo 試験での薬効の増強を図り 32 を見出した。32 は in vitro 試験および in vivo 試験において Aβ40 の低下作用を示さず、Aβ42 を選択的に低下させることから、Aβ42 とアル ツハイマー病との関わりを検証する上で有用な薬理ツールになると考えられる。. 第三章では脂溶性の付加によらない新たな γ-セクレターゼ調節薬の活性向上戦略の創出 を目的に、LLE を指標とした 5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン誘導体の 合成研究を行った。LLE の向上を指向し、活性コンフォメーションの固定化や、極性基、 脂溶性基の至適な位置への配置を行った結果、極めて LLE の高いフェノキシ誘導体(R)-102 およびスピロ誘導体 116 の創出に成功した。これらの化合物における極性基や脂溶性基の位 置およびコンフォメーションの情報は、脂溶性の付加によらない γ-セクレターゼ調節薬の 活性向上戦略を策定する上で有用な知見になる。 さらに(R)-102 は、連投試験において、アルツハイマー病モデル動物 Tg2576 マウスの脳内 Aβ の蓄積を減少させ、マウスの認知機能を改善させる薬効を示した。これらの結果は、 (R)-102 がアルツハイマー病の根本的な治療薬になり得る可能性を示唆している。. 47.
(49) 実験の部 核磁気共鳴スペクトル (1H NMR) は Varian Mercury-300 (300 MHz)、Bruker AVANCE III (300 MHz) または Bruker Advance III plus (400 MHz) を用いて測定した。化学シフトはテトラメ チルシランを内部標準として用い、δ 値 (ppm) で示した。多重線は以下の様に示した: s = singlet, d = doublet, t = triplet, q = quartet, quin = quintet, m = multiplet, dd = doublet of doublets, dt = doublet of triplets, td = triplet of doublets, qd = quartet of doublets, brs = broad singlet. 結合定数 (J 値) はヘルツ (Hz) で表記した。LC–MS 分析は、Waters Liquid Chromatography–Mass Spectrometer System (LC–MS) または Shimadzu LC–MS を用い、APCI (+ or −) または ESI (+ or −) のイオン化モードを使用した。融点は Yanaco micro melting point apparatus または Büchi melting point apparatus B-545 を用いて測定し、未補正である。各種アッセイに供した化合物 の純度は Shimadzu UFLC (L-column 2 ODS 2 µm 2.1 x 30 mm, gradient method 1 : mobile phase A [10% MeCN / 90% 5 mM AcONH4], mobile phase B [90% MeCN / 10% MeCN]. The ratio of mobile phase B was increased linearly from 5% to 95% over 3 min, 95% over the next 1 min; gradient method 2 : mobile phase A [5 mM AcONH4], mobile phase B [98% MeCN / 2% MeCN]. The ratio of mobile phase B was increased linearly from 14% to 86% over 3 min, 86% over the next 1 min.) または元素分析により測定した。元素分析は武田分析研究所で実施された。クロマ トグラフィーによる精製は、Merck Kieselgel 60, 70‒230 mesh or 230‒400 mesh (Merck 社) 、 Chromatorex NH-DM 1020, 100‒200 mesh (富士シリシア社) または Purif-Pack (Si or NH) (モリ テックス社) を用いた。市販の試薬、溶媒は精製せず用いた。本論文に記載の実験及び動物 飼育条件は武田薬品工業株式会社の実験動物倫理委員会の承認を得た。. (4-Bromo-2-methoxyphenyl)hydrazine (3) NaNO2 (6.1 g, 89 mmol) を水 (8 mL) に溶解させ、4-bromo-2-methoxyaniline (2) (17 g, 85 mmol) と濃塩酸 (150 mL) の混合液に‒20 ºC で加えた。生じた混合液を‒20 ºC で 15 分間撹 拌後、0 ºC で 20 分間撹拌した。この反応混合液を SnCl2 (60 g, 320 mmol) と濃塩酸 (200 mL) の混合液に‒20 ºC で加えた。生じた混合液を‒20 ºC で 10 分間撹拌後、室温で 40 分間撹拌し た。0 ºC に冷却後、沈殿物をろ取し、冷水およびジエチルエーテルで洗浄した。得た固体を 酢酸エチルおよび 10%炭酸カリウム水溶液に溶解させ、不溶物をろ別後、有機層を単離し た。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネ シウムで乾燥させ、減圧濃縮し 3 (16 g, 90%)を褐色の油状物質として得た。1H NMR (CDCl3) δ: 3.80 (3H, s), 4.36 (3H, brs), 6.81‒6.85 (2H, m), 7.02 (1H, dd, J = 8.1, 1.8 Hz).. 1-(4-Bromo-2-methoxyphenyl)-3-methyl-1H-1,2,4-triazole (4a) Methyl ethanimidothioate hydroiodide (16 g, 75 mmol) を 3 (16 g, 71 mmol) のメタノール (130 mL) 混合液に室温で加えた。生じた混合液を室温で 30 分間撹拌し、減圧濃縮した。残渣と 48.
(50) オルトギ酸トリメチル (50 mL) のトルエン (100 mL) 混合液に、ピリジン (100 mL) を室温 で加えた。生じた混合液を 100 ºC で 16 時間撹拌後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルおよ 炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、有機層を単離した。水層を酢酸エチルで抽出し、あ わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製し 4a (12 g, 61%) を淡白色の結晶として得た。 1H NMR (CDCl3) δ: 2.49 (3H, s), 3.94 (3H, s), 7.20‒7.24 (2H, m), 7.65 (1H, d, J = 8.4 Hz), 8.61 (1H, s). MS m/z: 268 (M+H)+.. 4-(4-Chloro-2-fluorophenyl)-1-methyl-1H-pyrazole (6) 窒素雰囲気下、Pd(PPh3)4 (0.29 g, 0.25 mmol) を 5 (1.1 g, 5.0 mmol) 、 1-methyl-4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-1H-pyrazole (1.0 g, 5.0 mmol) 、2 M 炭酸 ナトリム水溶液 (5 mL) 、トルエン (5 mL) およびエタノール (5 mL) の混合液に加えた。 生じた混合液を 80 ºC で 12 時間撹拌後、酢酸エチルと飽和食塩水で希釈した。有機層を単 離後、水層を酢酸エチルで抽出した。あわせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マ グネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸 エチル/ヘキサン) で精製し 6 (0.65 g, 62%) を無色の油状物質として得た。 1H NMR (CDCl3) δ: 3.97 (3H, s), 7.13‒7.16 (2H, m), 7.47 (1H, dd, J = 8.7 Hz, 8.1 Hz), 7.75 (1H, d, J = 2.7 Hz), 7.82 (1H, s). MS m/z: 211 (M+H)+.. 4-(4-Chloro-2-methoxyphenyl)-1-methyl-1H-pyrazole (4b) 28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液 (1.8 mL) を 6 (0.65 g, 3.1 mmol) の DMF (10 mL) 混合液に加えて、100 ºC で 1 時間撹拌後、酢酸エチルと飽和食塩水で希釈した。有機層を単 離後、水層を酢酸エチルで抽出した。あわせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マ グネシウムで乾燥させ、減圧濃縮し 4b (0.70 g, 100%) を無色の油状物質として得た。 1H NMR (CDCl3) δ: 3.92 (3H, s), 3.95 (3H, s), 6.93‒6.98 (2H, m), 7.43 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.81 (1H, s), 7.83 (1H, s). MS m/z: 223 (M+H)+.. 1-(4-Bromo-2-fluorophenyl)-4-methyl-1H-1,2,3-triazole (8) 4-Bromo-2-fluoroaniline (7) (13 g, 68 mmol) を 0 ºC で α,α-dichloroacetone tosylhydrazone (4.0 g, 14 mmol) のメタノール (25 mL) 混合液に加えて、室温で 2 時間撹拌後、1 時間加熱還流し、 減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、不溶物をろ別した。ろ液を 1 M 水酸化ナトリウム水 溶液および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣 をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製し 8 (0.50 g, 14%) を褐色の結晶として得た。 1H NMR (CDCl3) δ: 2.47 (3H, s), 7.46‒7.51 (2H, m), 7.82 (1H, d, J = 2.7 Hz), 7.89 (1H, dd, J = 9.0, 8.1 Hz). MS m/z: 256 (M+H)+.. 49.
(51) 1-(4-Bromo-2-methoxyphenyl)-4-methyl-1H-1,2,3-triazole (4c) 4b と同様の合成法で、8 から 9c を 95%の収率で褐色の油状物質として得た。 1H NMR (CDCl3) δ: 2.45 (3H, s), 3.91 (3H, s), 7.22‒7.26 (2H, m), 7.66 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.82 (1H, s). MS m/z: 268 (M+H)+.. 5-(4-Bromo-2-fluorophenyl)-2-methyl-1,3-oxazole (10) トリフルオロ酢酸 (3.7 mL, 42 mmol) を PhI(OAc) 2 (6.7 g, 21 mmol) のアセトニトリル (100 mL) 混合液に加えた。混合液を 30 分間室温で撹拌後、4-bromo-2-fluoroacetophenone (9) (3.0 g, 14 mmol) を加えた。混合液を 2 時間加熱還流した後に、飽和水酸化ナトリウム水溶液で 中和し、有機溶媒を減圧下留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で 洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロ マトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製し 10 (2.6 g, 75%) を淡黄色の結晶として 得た。 1H NMR (CDCl3) δ: 2.54 (3H, s), 7.31‒7.40 (3H, m), 7.52‒7.65 (1H, m). MS m/z: 256 (M+H)+.. 5-(4-Bromo-2-methoxyphenyl)-2-methyl-1,3-oxazole (4d) 4b と同様の合成法で、15 から 4d を 88%の収率で無色の結晶として得た。 1H NMR (CDCl3) δ: 2.52 (3H, s) 3.95 (3H, s), 7.10 (1H, d, J = 1.9 Hz), 7.17 (1H, dd, J = 8.3, 1.9 Hz), 7.39 (1H, s), 7.59 (1H, d, J = 8.3 Hz). MS m/z: 268 (M+H)+.. tert-Butyl 4-[3-methoxy-4-(3-methyl-1H-1,2,4-triazol-1-yl)phenyl]piperazine-1-carboxylate (11a) 窒素雰囲気下、4a (400 mg, 1.5 mmol) 、1-Boc-piperazine (310 mg, 1.6 mmol) 、DavePhos (59 mg, 0.15 mmol) および t-BuONa (220 mg, 2.2 mmol) のトルエン (3 mL) 混合液を 90 ºC で終夜撹 拌した。混合液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン) で精製し 11a (460 mg, 82%) を褐色の結晶として得た。 1H NMR (CDCl3) δ: 1.50 (9H, s), 2.48 (3H, s), 3.15‒3.25 (4H, m), 3.55‒3.66 (4H, m), 3.87 (3H, s), 6.50‒6.61 (2H, m), 7.53 (1H, d, J = 8.5 Hz), 8.43 (1H, s).. tert-Butyl 4-[3-methoxy-4-(1-methyl-1H-pyrazol-4-yl)phenyl]piperazine-1-carboxylate (11b) 11a と同様の合成法で、4b から 11b を 64%の収率で淡白色の結晶として得た。 1H NMR (CDCl3) δ: 1.51 (9H, s), 3.17 (4H, t, J = 5.1 Hz), 3.61 (4H, t, J = 5.4 Hz), 3.91 (3H, s), 3.94 (3H, s), 6.54‒6.58 (2H, m), 7.41 (1H, d, J = 8.7 Hz), 7.75 (1H, s), 7.80 (1H, s). MS m/z: 373 (M+H)+.. tert-Butyl 4-[3-methoxy-4-(4-methyl-1H-1,2,3-triazol-1-yl)phenyl]piperazine-1-carboxylate (11c) 50.
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