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解析学B 第2
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2
条件付きの極値問題 その2 陰関数定理2.1
条件G
y6 = 0
前回の話は
G
y= 0
である点では上手く行きませんでした。ここをもう少し詳しく見 てみましょう。曲線
G(x, y) = 0
上の点(a, b)
においてG
y(a, b) = 0
であった場合、ここが特異点で さえなければG
x(a, b) 6 = 0
であって、法線はx-
軸に平行、接線はy-
軸に平行になりま すから極端に言えば下図の様になっているわけですね:この点の近くで
y
をx
で表そうとしても、例えば左 図中のx
に対して対応するy
の値が2つあって定まり ません。こう云った点の周りではy
をx
の関数と思う 事は出来ないのです。y(x)
の 具体的な形はわからな い 以前に存在しないわけですからもうどうしようも ありません。しかしよくよく考えてみればなぜ
y
をx
で表した かったかと言うと、それが出来ればF(x, y)
からy
を 消去してx
の1変数関数に帰着させる事が出来たから でしたね。と云うことは、別に何が何でもy
を消去し なくてもx
を消去したって良いはずですよね? つま りx
をy
の関数として表せれば良いわけですがこれは 右図の様に問題なく可能ですね!ローカルに
x = x(y)
であるとして計算してみると、まずG(x(y), y) = 0
の両辺をy
で微分すれば、G
x6 = 0
の時にG
x(x(y), y)x
0(y) + G
y(x(y), y) = 0,
すなわち、x
0(y) = − G
y(x(y), y) G
x(x(y), y)
ですから、やはりローカルな1変数化
J (y) = F(x(y), y)
の微分はJ
0(y) = F
x(x(y), y)x
0(y) + F
y(x(y), y) = − F
x(x(y), y) G
y(x(y), y)
G
x(x(y), y) + F
y(x(y), y)
となって、
J
0(y) = 0
である事はF
x(x, y)G
y(x, y) = F
y(x, y)G
x(x, y)
となりますから前回と全く同じ条件に辿り着きます。2.2
陰関数定理前回、そして今回、結局のところ次のような事実を確認しました:
事実
2.1 (
陰関数定理)
曲線G(x, y) = 0
上の点(a, b)
においてG
y(a, b) 6 = 0
であ るならば、(曲線上の)この点の近くではy
はx
の微分可能な関数として表すこと が出来ます。曲線
G(x, y) = 0
上の点(a, b)
においてG
x(a, b) 6 = 0
であるならば、(曲線上の)この点の近くでは
x
はy
の微分可能な関数として表すことが出来ます。単に2変数の関係式を提示しているだけで、誰もはっきりと『
y
はx
の関数だ』など と言っているわけではないのに、事実上1変数関数y(x)
が存在してしまうので、これ は 隠喩 の様なものだと云う事で、こうして関数を定めるプロセスの事を『陰関数』、あるいは『陰伏的に関数が定まる』などと言います。
2.3
前回の演習問題解答例基本演習
1 G(x, y) = xy − 1 = 0
の条件のもとでのF(x, y) = x
2+ y
2の極値を、次の3つの方法で求めて下さい。
(1)各点ごとに
y
をx
の関数と見る方法でローカルに1変数化して。(2)条件式を使って直接グローバルに1変数化して。
(3)問題を幾何学的に捉える事によって別の視点から。
陰関数を使って1変数化すればまず1階微分を計算して極値の候補点を求める事が出 来、2階微分を計算すれば極値が判定されます。前回はそれを事実(定理)の形でまと
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めて利用しましたが、結局そんなものを覚えるよりも、ローカルに1変数化して、あとは通常の1変数関数の極値判定を粛々と進めれば良いわけです。次の解答の進め方を良 く見てまねして下さい。
(1)【下ごしらえ:曲線上でのローカルな陰関数とその微分】
G
x(x, y) = y, G
y(x, y) = x
ですから
G
y= 0
となる点はx = 0
となる点であり、そうした点は条件式の表す曲線xy − 1 = 0
上にはありません。従って陰関数定理により、この曲線上の任意の点の近くで
y
をx
の微分可能な関数y = y(x)
で表すことが出来ることが分かります。このとき
G(x, y(x)) = 0
が成り立っていますからこの両辺をx
で微分すれば、xy(x) − 1 = 0 y(x) + xy
0(x) = 0
y
0(x) = − y(x) x
が得られます(曲線上ではx 6 = 0
であることに注意)。【
F (x, y)
を1変数化したものの1階微分の調査】条件式と陰関数定理を使って曲線上の各点でローカルに1変数に帰着させたものを
V (x) = F (x, y(x)) = x
2+ y(x)
2と定めます(一見グローバルな式に見えますが、これもあくまでも各点においてその付 近でローカルに定義しているわけです)。まずこれを微分すると
V
0(x) = 2x + 2y(x)y
0(x) = 2x − 2y
2x = 2 x
2− y
2x
ですから、
V
0(x) = 0
となるのはx
2− y
2= (x − y)(x + y) = 0
となる点であり、xy = 1
に注意すればこれは(x, y) = ( ± 1, ± 1)
の2点しかありません(複号同順)。【2階微分による極値判定】
今見た
V
0(x)
の形を見れば、これはもう一度微分可能である事が分かります。そこ で、更にこの極値の候補点で2階微分の符号を調べます。するとV
00(x) = 2 − 2 2yy
0x − y
2x
2= 2 + 6y
2x
2> 0
となっていますから先に求めた2つの候補点では共に極小値であることが分かります。
【結論】
V (x)
の極値はこの2つのみですから、求めるF (x, y)
のG(x, y) = 0
の下での極値 もこの2つしかない事が分かります。2点での値を調べるとF( ± 1, ± 1) = 2
ですから、題意の極値は2点
( ± 1, ± 1)
での(複号同順)極小値2
のみです。(2)条件式によれば
y =
1xであることが具体的に分かるので、これをF (x, y)
に代入 して得られる1変数関数V (x)
の具体的な形も分かってしまい、V (x) = F µ
x, 1 x
∂
= x
2+ 1 x
2 です。まず微分するとV
0(x) = 2x − 2
x
3= 2(x
4− 1) x
3 であり、V (x) = 0
となるのはx = ± 1
です。また2階微分はV
00(x) = 2 + 6 x
4> 0
なので、さっき求まった2つの候補点ではどちらも極小値であることが結論されます。
従って元の関数
F (x, y)
は、(x, y) = ( ± 1, ± 1)
で極小値2
を取る事が分かります(複 号同順)。(3)問題を絵に描いて良ーく眺めれば、この問題は
双曲線
xy = 1
上の点における原点からの距離の自乗の極値を求めて下さいという問題である事に気が付きます。そうすれば明らかに双曲線の頂点
( ± 1, ± 1)
で最 小かつ極小値2
であり、双曲線上を無限遠方に進むと原点からの距離は単調に増加して 行くので極大値あるいは最大値は存在しないことがすぐに分かる筈です。2.4
多変数への一般化条件式を使ったローカルな1変数化によって極値の候補点を求める方法を、
y
をx
で 表す場合とx
をy
で表す場合に分けて学びましたが、どちらも核となる判定式は全く 一緒であり、よくよく吟味してみると、条件曲線G(x, y) = 0
の特異点でさえなければRevised at 19:35, October 16, 2015
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回http://my.reset.jp/˜gok/math/ 3 G
x6 = 0
あるいはG
y6 = 0
のいずれかは成り立っており、この判定式で判定出来る事が分かります:
事実
2.2 (
極値の候補点の条件)
条件G(x, y) = 0
の下でF (x, y)
が極値をとる可 能性がある点は次の2種類の点のみ:(i) G(x, y) = 0
の特異点(ii) G(x, y) = 0
上の特異点でない点でF
xG
y= F
yG
xを満たすものこの方法の問題点は、2変数の場合にしか使えないと云う事です。元々2変数の問題 だったからこそ、条件式を使って1変数減らす事によって1変数の既知の戦略に帰着出 来たわけですが、元の問題が3変数、それ以上だった場合はどうしようもありません。
数学では、低次元で成立している事柄を高次元に一般化したいとき、幾何学的に考 えると上手く行く事があります。つまり、目の前の数式に任意の次元で意味をもち得る 幾何学的な意味合いを見いだせればそこを手掛かりにして次元を上げる事が出来るの です。
例えば今日見た極値の候補点の条件式は
F
xG
y= F
yG
x⇔
√ F
xF
y! //
√ G
xG
y!
⇔ gradF//gradG
と変形出来ますから、2変数関数
G(x, y)
のgradient
が曲線G(x, y) = 0
の法線ヴェク ターと云う幾何学的な意味をもっていた事を手掛かりとして高次元への一般化を考える 事が出来ますし、そもそもgradient
は何変数でも定義可能ですからこの時点で3変数以 上への一般化が出来る事になります。事実
2.3
適当に滑らかなn
変数関数G(x
1, . . . , x
n)
とF(x
1, . . . , x
n)
が与えられた とき、条件G(x
1, . . . , x
n) = 0
のもとでF (x
1, . . . , x
n)
が極値となる可能性がある のは以下の2種類の点のみです:(i) G = 0
であってgradG =
となる点(ii) G = 0
であってgradG 6 = , gradG//gradF
となる点Exercise
基本演習
1 G(x, y) = x
2+ 2xy − y
2− 1
のとき以下の問いに答えて下さい。(1)曲線
G(x, y) = 0
上の点のうち、G
x(x, y) = 0
となる点及びG
y(x, y) = 0
となる点をそれぞれ全て求めて下さい。(2)曲線
G(x, y) = 0
上の特異点を求めて下さい。(3)曲線
G(x, y) = 0
上のG
x(x, y) 6 = 0
となる点の近くでdxdyを求めて下さい。
また同様に曲線
G(x, y) = 0
上のG
y(x, y) 6 = 0
となる点の近くで dydxを求めて下 さい。
基本演習
2
次の関数G(x, y)
に対して、前問と同じ設問に答えて下さい。(1)
G(x, y) = x
2+ y
2− 4
(2)G(x, y) = x
2(x + 1) − y
2基本演習
3 (
佐賀大H18) g(x, y) = x + y − 1, f (x, y) = x
2+ y
2のとき、条件g(x, y) = 0
のもとで関数f (x, y)
の極値を次の3通りで求めて下さい。•
具体的に条件式を使って1変数化して•
陰関数定理を使って抽象的にローカルな1変数化によって•
幾何学的な解釈によって(大雑把な説明で構いません)基本演習
4 (
電通大H17)
点(x, y)
が条件y
2− x
2− 1 = 0
を満たしながら動くと きの関数f (x, y) = y
3+ 2x
の極値を求めて下さい。発展演習
5 (
九州大H10 )
次の各問いに答えて下さい。(1)
f (x, y)
は2階偏微分可能な関数とし、f
y6 = 0
となる点の近くでf (x, y) = 0
により定義される関数をy = φ(x)
とする。そのとき、(
a
)φ
0(x)
をf
x, f
yを用いて表して下さい。(
b
)φ
0(x) = 0
となる点でのφ
00(x)
をf
の2階までの偏微分を用いて表して下 さい。(2)曲線