津波時の高台避難と
避難時間のシミュレーション
筑波大学
鈴木 勉(システム情報系)
笹 圭樹(社会工学類 4 年)
科学研究費補助金基盤研究 (A)
「地理情報科学と都市工学の空間情報解析融合技術の 戦略的活用」
2013年2月16日(土) GIS-ASA科研全体報告会@東京大学柏キャンパス
1.
高台避難の可能性
A)
道路通行量から混雑の起こる避難路をみつける
B)
避難完了時間と津波到達時間から避難困難地域を求める
研究の目的
2.
減災対策効果分析
A)
混雑の起こる避難路に必要な幅員
B)
津波避難ビルの整備による避難困難地域の解消
C)
高台移転による避難人数の減少
平成
24年
8月
29日 内閣府発表
•
東日本大震災後に設置された「南海トラフ巨大地震のモデル検討会」において、
従来の想定を見直したもの
•
想定された地震のケースは11ケース存在し、基本となる5ケースとそこから派生 した
6ケースに分けられる
•
モデル検討会において、
10mメッシュによる津波高及び浸水域などの推計結果 がまとめられた
•
被害が最大となる際には死者・行方不明者数が従来の想定の
32倍のなると考 えられている
内閣府 防災情報のページ(http://www.bousai.go.jp/)より
南海トラフ巨大地震の想定
内閣府 防災情報のページ(http://www.bousai.go.jp/)より
市町村 高知県 南国市
徳島県 鳴門市
高知県 黒潮町 津波高:(m) 14 3 19
浸水面積:(ha)
( 浸水深 30cm 以上 ) 1510 1380 1180
津波到達時間:(分)
(津波高+1m) 20 49 14 浸水範囲人口:(人) 7543 21498 3459
対象地域
•
津波発生時の避難先を明確にする
•
高台までの避難可能性を検証する
•
高速道路を除く道路ネットワークを使用
•
高台までの避難は最短経路で行動する
•
避難時は原則徒歩で移動する(2.65km/h)
•
避難までにかかる時間は
5分とする
高台避難の可能性
仮定
a
.南海トラフ巨大地震想定の浸水範囲を使用
b
.避難先は浸水範囲外の避難場所,もしくは避難所とする
(黒潮町については標高
40mの等高線と道路との交点
) c.町丁目ごとの人口をランダムで浸水範囲内に配置する
分析方法
陸地
浸水範囲
海域
海岸線
海域
道路 避難先 陸地
海岸線
海域
海岸線
•
津波到達時間を利用して重 み付けを行う
•
津波到達時間の遅い方向
→ コストを軽く
•
津波到達時間の早い方向
→ コストを重く なるようにする
ネットワークボロノイ図
避難方向の考慮
• 評価
A) 避難路の混雑度
B) 避難困難地域
C) 避難先の容量
• 避難が不可能になる問題
A) 避難速度の低下
B) 避難が不可能な地域の存在
C) 容量を超える避難者の所在
避難可能性の評価
•
避難先前の道路について、その推移から混雑具合をみる
•
避難先までの距離から住民一人一人の移動時間を求めて、 1 分ごとの道 路通行量の推移をつくる
避難先までの距離 (m) ÷ 避難時の速度 (44m/ 分 ) = 移動時間 ( 分 )
•
移動時間 1 分ごとの人数を合計することで、 1 分ごとの道路通行量のグラフ を作成する
道路通行量
避難先 1分後
避難先
(
人
)0 50 100 150 200 250 300
時間
(分
) 14 18 22 26 30 34 38 42 46 50 54 58 62 66避難人数の推移 市町村 鳴門市 浸水範囲人口:人 21498
道路通行量 ( 鳴門市 )
•
道路の容量
避難速度から
2.65km/h÷
60 ≒ 44(m/s)より
1
㎡
/人とすると,
1mにつき
1分間に約
44人が通行可能
混雑の発生
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150
速 さ
v
通行量Q
Q-V 曲線
(人) (km/h)
2.65
44
※通行量が44人を超えると、
2.65
÷
(通行量/
44) =混雑時の速度
市町村 鳴門市 浸水範囲人口:人 21498
道路通行量 ( 鳴門市 )
(
人
)0 50 100 150 200 250 300
時間
(分
) 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 55 58 61 64 67避難人数の推移
幅員4m•
住民が浸水範囲と道路の交点に到着するのが、交点の津波到達時間前 であれば避難可能とする
•
避難可能の判定式
交点の津波到達時間 - ( 移動時間+避難までにかかる時間 ) ≧ 0
海域
道路 避難先 陸地
避難所要時間
海域 陸地
-1 -2
-2
市町村 南国市 津波到達時間:分
(津波高+1m) 20
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000
時間(分) 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 84 90 96 102
総避難完了人数
(人)
高台への避難可能性 評価するために
A) 道路の通行量
B) 避難所要時間 を使用
減災対策
左記の評価から
A) 避難路の整備
B) 津波避難ビルの整備
C) 高台への集団移転
の方法を使用
•
道路の容量
避難速度から
2.65km/h÷
60 ≒ 44(m/s)より
1
㎡
/人とすると,
1mにつき
1分間に約
44人が通行可能
→
ピーク時の通行量 ÷
44 =必要となる幅員
(m)避難路の整備
鳴門市では
251 ÷ 44 ≒ 5.7(m)
0 50 100 150 200 250 300
時間
(分
) 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 55 58 61 64 67避難人数の推移
幅員4m幅員6m
(
人
)津波避難ビル
•
避難論の整備や津波避難ビル の整備を行っても避難困難地域 が解消されない場所を高台移転 の候補地とする
市町村 高知県 黒潮町 浸水面積:(ha)
(
浸水深
30cm以上
) 1180浸水範囲人口:(人)
3459高台への集団移転
( 黒潮町 )
1.
最短経路問題を使用することで高台への避難可能性を評価して、その 評価に合わせた減災対策を適用した
2.
避難可能性の評価から津波発生時の危険個所を特定して、減災対策 によって被害が抑えられることがわかった
•
市町村や地域ごとの想定の違いは、避難可能性の評価にどう影響を与え るのか
•