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ま え が き
本書は 「ステップアップ」 の趣旨に沿った書籍の一環をなすものであり,有機 化学を扱うものである。本書は理学部,工学部だけでなく,医学部,歯学部,薬 学部,教育学部,あるいは食品系学部等の教科書として最適なものである。
「有機化学」 とは,有機化合物を扱う研究分野であるが,有機化合物は,炭素を 含む化合物のうち,二酸化炭素
CO2やシアン化水素
HCNのような簡単な構造の ものを除いた全てであり,その種類はきわめて多い。有機化学が明らかにしよう とするのはこれら有機化合物の構造,物性,反応性,合成法などであり,これま たすこぶる幅広い。
本書は第Ⅰ部 「原子と結合」,第Ⅱ部 「有機化合物の構造」,第Ⅲ部 「有機化合物 の性質と反応」,第Ⅳ部 「生命と有機化学」 からなる。
○ 第Ⅰ部は,有機化合物を構成する結合である共有結合についての説明であ り,混成軌道,
s結合,
p結合までを取り上げる。
○ 第Ⅱ部は,有機化合物の基礎である炭化水素の結合状態とその構造を扱う ものであり,基本的な化合物ならびに芳香族の構造,異性体,さらに命名法 について説明する。
○ 第Ⅲ部は,有機化合物の性質と反応性を扱うものであり,炭化水素から各種 官能基を持った化合物,さらに高分子の物性と反応性までを扱う。
○ 第Ⅳ部は,生体,天然物,遺伝を扱うものであり,DNA だけでなく,RNA の機能まで説明してある。
本書ではこれらの広範な内容をバランスよく選定し, 過不足なく説明してある。
説明はやさしくわかりやすいことを第一としているが,文章は簡潔をこころがけ た。いたずらに長い文章にして,文字離れの進んだ学生に無用の負担を掛けない ようにするためである。その分,丁寧でわかりやすい説明図を多用した。学生は 豊富な説明図を眺め,簡潔な説明文を読むことによって,感覚的な意味でも理解 を増すものと確信する。
本書を利用した読者の皆さんが化学の面白さを発見し,化学に興味を持ってく ださったら著者として望外の喜びである。最後に,本書刊行に並々ならぬ努力を 払ってくださった裳華房の小島敏照氏に感謝申し上げる。
2009年8月
齋 藤 勝 裕
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刊 行 趣 旨
「ステップアップ」 を書名に冠した化学の教科書を刊行する。「ステップアッ プ」 とは,目標を立てて階段を一段ずつ着実に登り,一階あがるごとに実力を点 検し,次の目標を立てて次の階段に臨み,最後には目的の最上階に達するという ものである。その意味で本書は
JABEE(日本技術者教育認定制度) の精神に 沿った教科書ということができよう。
本書はおおむね序章
+13章の全
14章構成となっている。それは多くの大学 の
2単位分の講義が,14 回の講義と
15回目の試験から構成されていることを考 えてのことである。
講義開始のとき,学生は講義名を知っていても,その内容までは詳しく知らな いことが多い。これは
1回ごとの講義においても同様である。そこで本書では,
最初に 「序章」 を置き,その本全体の概要を示すことにした。序章を読むことで 学生は講義全体のアウトラインを掴むことができ,その後の勉強の方針を立てる ことができよう。また各章の最初には 「本章で学ぶこと」 を置き,その章の目標 を具体的に示した。そして各章の終わりには 「この章で学んだこと」 を置き,講 義内容を具体的に再確認できるようにした。
本文の適当な箇所に 「発展学習」 を置いたことも本書の特徴の一つである。発 展学習について図書館などで調べ,あるいは学友とディスカッションすることに よって,実力と共に化学への興味が増すものと期待している。
そして各章の最後には演習問題を置き,実力の涵
かん