高熱処理牛骨粉の土壌の化学性におよぼす影響
その他(別言語等)
のタイトル
Effects of heated bovine bone powder on chemical properties of soil
著者 横山 和成, 美濃 羊輔
雑誌名 帯広畜産大学学術研究報告. 第I部
巻 16
号 4
ページ 231‑236
発行年 1990‑06‑30
URL http://id.nii.ac.jp/1588/00002029/
2三il
帝大研報l.16(1990):231〜236
高熱処理牛骨粉の土壌の 化学性におよぽす影響
樺山 和成1・美濃 羊輔
(受理二】989年11月30日)
Effectsofheatedbovinebonepowder OnChemicalpropertiesofsoil
KazunariYoKOYAMAlandYosuke MINOl
要
高熱処理した牛骨粉(カルファミネラル:C加1)の土壌の化学性に及ぼす影響を調べた。得られ た結果は下記の如し。
l.CM処凰こより土壌pliは若干上昇した。
2・CMの土壌への導入により土壌中のカリウム,かレシウムおよび熱水抽出窒素含量は増加し なかった。
3・CMの周人により土壌中のマグネシウム含量は若干,有効態りん醍含雲は著しく増加した。
4・微量要素である亜鉛,マンガン,瑚素および鋼の土壌中含果は無処理区とCM処理区の間 に有意羞はみられなかった。
5.土壌層別(30およぴ60cm土壌深度)の各成分の含量は無処理区とCM処摺屠の間に大き な差異は認められなかった。
6・CM処理により,土壌の塩基飽和度は若干高くなったが,石灰飽和塵は増加しなかった。
上記の結果からCMがりん酸肥料として使用しうることが示唆された。
キーワード
,高熱処理牛骨粉;土壌の化学性,有効怒りん敢粉は殆ど使用されていない。
近年,我国で1、200bCで40時間処理した牛骨粉が開発 された。本品は多孔性の構造港宿しており,土壌の理
化学性や微生物相に好影響を与えるものと期待されて
いる。前掛こおいて】り,本年骨粉の土壌の物理性に及ぼ す影響につき報告した。しかし,本品の土壌の化学性
諸 君
化学肥料がなかった時代には,獣骨粉は貴重な肥料 の一つであった。また,低開発国や発展途上国の一部
では今なおこれを肥料として用いている所がある。し かし,現在先進諸国では化学肥料が≠流となり,獣骨
1帯広畜産大苧環増穂物学研究宴
1LaboratoryofEnvironmentalBotany・ObihiroUniversityofAgricultllreandVeterinaryMcdicjne,Obihiro.
HokkaidoO80,Japan
lT l
横山和成・美濃半群
㍊2
や巌生物相に与える効果については明らかにされでい
ない。したがって,本研究においては,本品の導入に
より主として土壌の化学性にどのような変化が生じる
かを調べることを目的とした。
材料および方法 供拭材料および導入方法
カルアアミネラルHF44(CM)ll)を用いた。本学 の帝密圃場内に′2処理6区画(1区画3;篭1.5m才)を設 け,それぞれの処理につき3区画をランダムに配置し た。処理の→方を対照区,他方をCM処理区とした。
処理区にはCMを300kg/10aの割合で導入し,1地表面 から20cmの撫さまで十分に混食した。
土壌のサンプリンダおよび分析
各処埋区とも表層土壌を異なる3区画から5月,8 月,10月に搾取し,それぞれを分析に供したむまた,
土壌層別のサンプルは10月のみに各区とも3区画から.
表層(0〜5仁m)カよび表層から帥と鵜cmの所から採 取し,それぞれ殿分析に供した。採取した土壌の分析
臥すぺて十勝農協連農産イヒ学研究所土壌分析センタ
ーに依頼した。カリウムトカルシウムおよぴマグネシ ウム含量は原子吸光法によって定量した1〉。亜鉛9)粛よ
び銅1軌含量凄土液比を2:1にし,オートクレープを 用い1略℃で10分間抽出復原子吸光法にて定量した。マ
ンガン含量は小林の記載した方法き=こより,確莱ほアブ メナンHを用いる方法にて比色定量した㌔勲水抽出窒
素はLIJ岸の方法(未発表)に、よって定量した。土液比 を1:10とし,オートクレープを用いて1月50Cで1時間 軸出し,抽出液につきキエルタール法マ)にで要素含星を
測定した。有効怒りん表層土(自〜5璧)攣!て盈告′。仁
塩基置換零圭はショーレンベ/レガ一法8)にて測定した。
塩基および石灰飽和度は鎌田の記載した式釘により算出
した。拓果は,各処現につき3区画から得られたもの 砂平均として表した。
結 果
土壌pIiの変化
表1に土壌pHの変化を示した。無処理区でほ実験期 間を通じて殆どpIiは変化しなかったが,CM処理区の
それは無塵卑区のそれより若干商い億で推移した。
土壌中壇養成分含tの変化
図1〜3にカリウム,かレシウムおよぴマグネシウ
ム含羞の変転を示した。カリウムおよびカルシウムに
表1.土妹pHの変イヒ
5月 8日 10月
無処理区
6.33 6.23 6.18CM処理区 6、37 6.34 6.50 表層土(0〜58Ⅵ)のpflである.
5月31日 g月4日 10月6口
図1,土躾中推量の経時的変化 スクリーン:Cか1処理
白 :無処理
5月3川 8月4ト 10月8日 図2.土壌中C嵐量の経時的変化
スグリーーン:C瓦′1処理 白 :無処坤
牛骨粉の土壌の化学性におよぼす影響
23…【関しては無処理区とCM処理区の間に殆ど差異は認め
られなかった。また実験期間を通して量的にも殆ど変 動は認められなかった。しかし,マグネシウムに関し
ては時期別に大きな変動ほみられなかったが,無処理 区よりCM処理区の方が若干高い値で推移した。
土壌中熱水抽出量棄および有効鮪りん酸含1の変化 園4と5に熱水抽出窒素および有効懸りん酸含量の 変化を示した。熱水抽出窒素に関しては無処理区とCⅣⅠ 処理区の間に殆ど差異は認められなかったが,有効観
りん軌こ関しては,無処理区に比してCM処理区で著 しく高い値を示し,また時間の経過に伴い増加し続け た。
土凛中微1要素倉上の変化
表2に敬呈要素含量の変化を示した。亜鉛,マンガ
5月31口 8日4日 10日6U
図3.土壌中Mgの絃時的変化 スクリーン:CM処理
白 :無処理
管主讐;与ぎヨ忘
5月31日 8月4‖ 】り月6日
国4.土壌中Nの経時的変化 スクリーン:CM処理
白 :無処理
5J」31日 8日4日 10H6日
団5.土壌中P2qの蛙時的変化 スクリ【ン:CM処理 自 :無処理
蓑2.土壌中徴且音素含量の変化
無 処 理 区
Cか‡処理区5日 8月 1〔桐 5月
畠月
嗣
0.23 0.33 0_46亜 鉛
2.03 2.50 2.01 マンガン 77.0 台2.0 93.0側 素
0.9 1.2 0.74 5
2 3 00 0U
nU 2 7 ︵U
1 5 g 只リ 0 ?レ 8 1
1 .■4 只− 9 nU 2 ・・t O
表中の数字は乾土100g当たりのppm値である.
−】9
樺Ll」和成・美濃羊輔
素月.土壌啓別の各成分含羞の変化 234
Cか1処理区
無 処理 区
表層 30鳳
4 1 ︵YU 5 0 9 3 3 ∩ロ・4 5 り山 9 3 1 4 6 1 2 ︵U 1 5 0
4 7 3′ 39 鳩 4921 256 1 2 7 3 7 八U 1 3 ︵U 5一〇 1 3
Lへ︶ A− Fリ 3 9 5 4 ア ンリ つ山 3 只︶ 00 4732払59202 97ロ 1 2
5 3 6 貞U 7 ビリ 9 9 0 q︶ 5 RU−〇 ワ︼ 罰応142.〇.〇.軋軋〇.
1 0 4 2 4 Al ■∂ 5 1 長U 6つu 5 A− 7 5 9 3 2 n︶一1 4 爪U 5 1
3 只︶ 一6 1 ワ・ 4一日∂ l R−ウ︼・4 0 ∩﹀一代 亜詔225.8.〇.2.軋8▲
カ リ ウ ム■
カルシウムー マグネシウムー
熟 純量 素●
有効懲りん酸一 鋼…
亜 鉛
マ ン ガ ン=
湖 東…
*乾1:10ロg中のmg数り**乾土10ひg中のppm値
素に関しては層別に大きな差異は認められなかったが,
有効懸りん軌こ関してはCM処理区において若干下層 の方が高い値を示した。
塊茎および石灰飽和鹿
図6に塩基および石灰飽和産を示した。鱒基飽和度 に関しては,C〜Ⅰ処理区が無処理区より,実験期間を通 して若干商い値や推移したが,石灰飽和摩に関しては 姪時的に増加する傾向がみられたものの,両区間に殆
ど差異はみられなかった。
考 察
近年,高熱処理した牛骨粉が開発され,作物栽培や 家琶の飼料への添加剤上して使われは,じめてしユるやす でに,多くの農家で本品の使用による増軍勢果が認め られている8 しかし,その機構については殆ど明らか にきれていない。前報11〉に東川、て,本品が土壌の物理
性の改良に有効であることを報告した。今回の研究に おいてほ,主として本品の土壌の化学性に及ぽす影響
につき調べた。
表1に示したように,pIlに閲しでほ、CM処理区の方 が無処理区より若干商い僧を示した。また,土壌成分 中,特碇有効怒りん酸の含量がCM処理区において著 しく高い値となっている(囲5)。本品中で,りん醗は
主としてりん酸カルシウムと重りん酸カルシウムの形
態で存在している。もしも,このりん酸が可溶化して いるとすればCM処理区におけるかレシウÅの増加が みられないので,PHはかなり低そなるはずである。事 実験ではp艮3でりん敢を抽出し,Tmぐ)g演にて測定し 5月31日 8月4日 11〕月6自
呵6.塩基飽和度およびカルシウム飽和席の
経時的変化
黒三角:塩基飽和虔(CM処理)
白二角: ク (糎処理)
黒白角:カルシウム飽和度(CM処理J
自四角: (無処理)
ンおよび確素に関しては,無処理区とCM処理区の間 に殆ど悪臭がみられなかったが,鋼ⅠまCM処理区にお
Ⅴゝでいずれの時期にも無処理区の約半分に減少してい
た。
土♯層別の巷成分含▲の変化
泰3に土壌層別の各成分の変化を示した。無処理区 とCM処理区むの間にカリウム,カルシウム,マグネ シウム.熱水抽出窒素一鍋∴甜紛 マンガンおよび瑚
∵紺
牛骨粉の土壌の化学性におよぽす影響
235た。したがって,骨粉中のりん酸が酸性領域で可溶化 したものと推定きれる。よって,骨粉中のりん骸は土 壌中では不溶性の形で存在しており,植物の根から分
泌される酸性物質により可潜化され植物体に利用され
るものと考えられる。
塩基成分のうち,カリウムとかレシウム含量に関し ては無処理区とCM処理区の間に殆ど差異は認められ なかった(図1と2)。しかし,マグネシウム含量につ いては若干ながらCM処理区の方が高くなっている(図
3)。日本食品分析センターによる定性試験の結果によ れば,本品中にl%以上のマグネシウムが含まれている。
したがって,ChI導入による土壌中マグネシウムの増加
は本品中に含まれているマグネシウムに由来するもの
と結論される。カリウムについては,無処理区とCM処
理区との間になんら差異は認められなかった。これは 本品中にカリウムが含まれているものの,僅か0.nl%
以下でありカリウムの供給が誤差範閣内にあるためと
思われる。
図4に示したように,熱水抽出窒素に関しても無処 麿区とCルⅠ処理区との間に殆ど差異は認められなかっ た。本品は1,2師Cという高温にて処理きれており,窒
素はいかなる形態でも殆ど存在していないと考えられ
る。したがって,カリウム同様,本品は窒素の供給源 とはならないと結論される。一方,りん酸は本品中に 約柑%も含まれており,pHの項目で述べた通り有効態
りん酸の摩れた供給源となるであろう。
微量要素中,隠払マンガンおよび瑚粟の含且につ いては無処理区とC八ヰ処理区との間に殆ど差異は認め られなかった(表2)。しかし,節食童についてはCM
処理区の方がいずれの調査時斯においても処理区より
低かった。一般に,鋼の抽出は酸性領域(1規定塩酸)
で行なっているので,pHが高いと抽出きれにくい。自打 述めように,CM処理区のpIIが若干無処理区より高い ので,このことに銅含望の低さが起因するものと推定 される。
表3に示したように.カリウム,かレシウムおよぴ マグネシウム含量の土壌層別分布に関して,無処理区
とCM処理区との間に殆ど相違はみられなかった。し かし,下層における有効態りん酸のみはCM処理区に
おいて若干ながら無処理区より高かった。一般にりん 酸の下方向への移動は起こりにくし)といわれている㌔
土壌の層別サンプリングは穴を掘り,その穴底から行 なった〔したがって.上層から土壌が崩れおち,下層
のサンプルに混入したためと推定している。また,本 品は粒径削りmと非常に小さいので,土壌間隙をぬっ
て雨水などにより下層へ移動したものとも考えられる。
実際に若干のりん醒が下方へ移動するのか,サンプリ
ングエラーによるかは今後の研究に待ちたい。
図6に示したように,石灰飽和直については実験期 間を通して無処理区とCM処理区との間に殆ど差異は 認められなかったが,塩基飽和度はいずれの時期にお いても,CM処理区の方がより高い値で推移した。この ことは,本品中にカルシウムが約40%も含まれている にも拘らず,殆ど可溶化していないことを示唆するも のであろう。本実験においては,土壌中のナトリウム 含量は調べなかったが,本品中にナトリウムが約軋7%
も含まれている。したがって,塩基飽和度がCM処理 区において高く推移したのは,マグネシウム(図3)
およぴナトリウムに起関するものと推論している。
本実験において,高熱処理した年骨粉を土壌に導入
すると土壌中の有効簸りん酸が著しく増加することが
認められた(囲5)。一般に,作物によって異なるもの の土壌中の有効態りん醍の適正濃度は10〜30mg/100 g乾土と言われている。また,南濃摩では生育阻害すら
起こる場合がある。今回の実験では本品を300kg/ユOa の割合で導入した。したがって,りん憩の供給という 面からみる限り,この垂は著しく過剰であると言わぎ るを得ない。よって,本品を今後りん酸肥料の代替物 として用いるには,510kg/10aの割合で導入するの が適切であると判断される。また,本品は土壌中で可
溶化しにくいことも明らかとなった。このことは、土 壌中でりん酸を緩慢に供給できることを意味しており,
多量にりん酸を必要とするタマネギや豆類の栽培には
憧れたりん醍肥料といえるであろう。
謝 辞
本研究を遂行するにあたり,野中千賀子さん(帯広 畜産大学)に資料や原稿の整理などで多大の協力を頂 いた。ここに感謝の意を表します。また,高熱処理牛
骨粉を心よく提供してくれたカルファケミカル株式会 社ならびに土壌サンプルの分析を引き受けてくれた十
勝農協連農産化学研究所の諸氏に感謝の意を表します。
引 用 文 献
1)鎌田春海.交換性陽イオン.土壌標準分析・測定 軋土壌照準分析・洲走法重点会編.pp.155158.
21一−
横山和成・美漢羊輔
2:沌
1粥7.
11)横山和威▲藤間 充・美浪羊萄.高熱処理午骨粉 の土壌の物理性におよぽす影響.帝大研報l.16:
33朝.19鴇.
Summary
Effects of heated bて〉Vjne bo†le pOWder(Calfer M主heTal:C叫onsomechemica】prop訂臼esof頸il were examined h this study▲ The results were summarizedasfblIows
1.SロilpHwasslightlyel飢・atedbyCMtreatme血 2.Contents Df Kaliu叫Ca】cillln and bbt water extracはblemitrqgenins8ilwerenotincre乱撃適もy CM h・eatment
3.CDr】tentS O‡magnesium and availabIeI血¢S pllatehsdlwereTeSPeCtively.sIightIyandrema−
kably,increasedbyCMtreatment
4.Contents of mil蛤r elements s11Cb as zinc.
mangane能,boronalldc8pperWerer帽talteredby CM treatment
5.Nogreatdiffereneesintheeonte批SOftested comppnentsatd5fferentsoi11ayers(38、即Id邸愕m depth)were foundbe抽eenCM treated andhon−
treatedplots
6.CatioTtSaturation degree ofsoilwas slightly 飢堰mentedl入rhile caldum satu∫ation血管ree WaS
佃亡byCMtreatmemt.Theaboveresultss噌geSt tbatCMcouldbelユ鑓daspho申ba比fertilizer
博友牡.東京.1鍾7.
釦礫間者海.交換性陽イオン.土壌標準分析■測定 汝.土櫻標準分析・測定法乗員会鼠′p.160」等友杜.
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