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タスク・アンビエント照明における影の中の照明率について

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Academic year: 2021

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(1)

タスク・アンビエント照明における影の中の照明率について

−照明率の予測に関する検討−

日大生産工  ○内田  暁,大谷  義彦

Utilization factor within the shadow under Task Ambient Lighting –Examination about prediction of utilization factor–

Akira UCHIDA and Yoshihiko OHTANI 1. はじめに

事務室などにおける作業面を対象とした照 明設計を行う場合,一般的に式(1)に示すような 光束法 1) に基づいて光源(照明器具)の台数を 決定する.

N = EA

Φ UM (1)

ただし,N:光源(照明器具)の台数,E:作業面の 平均照度, Φ :光源からの光束, U:照明率,M:保守 率,A:作業面の面積.

式(1)は簡便な計算式であることから, 何も設 置されていない事務室への適用だけでなく,什 器が設置された事務室や,局部照明を併用した 事務室でも適用できるならば非常に実用的で

ある 2) ~ 4) .そこで,オフィス照明方式の一つで

あるタスク・アンビエント照明に光束法を用い た照明設計手法を適用することを目的とし,特 に照明率についての検討を行ってきた 5),6) .そ の結果,全般照明を担うアンビエント光源によ る照明率,ならびに局部照明を担うタスク光源 による照明率について,光源の位置や配置,ま た什器や遮光球の設置に関する情報を加味す る必要があることがわかった.

本報告では,現在までに行ってきた研究結果 を踏まえ,タスク・アンビエント照明を施し,

机やパーティションなどの遮光物体を設置し た模型室内において,作業面上の照明率の予測 に関する検討を,モンテカルロ法を用いた照度 計算 7) の結果を利用して行った.

2. 模型室の設定

図 1 に,検討に用いた模型室の概要を示す.

計算において,床面左手前隅を原点Oとし, XY 平面が床面と平行となるようなXYZ直角座標 系を設定した.また室内面は床面S 1 ,天井面S 2 ,

壁面S 3 ~ S 6 の計 6 面で構成されている.

5.0

5.0

1.75 ~ 5.0

Z

Y

O X

アンビエント光源

タスク光源 パーティション

L型状机

遮光球

床面:S1 天井面:S2

壁面:S3

壁面:S5

壁面:S4 壁面:S6

単位:m

① ② ③

④ ⑤ ⑥

⑦ ⑧ ⑨

アンビエント光源の 中心座標

①:(Xs

,Y

s

)=(1.0,1.0)

②:(Xs

,Y

s

)=(1.0,2.5)

③:(Xs

,Y

s

)=(1.0,4.0)

④:(Xs

,Y

s

)=(2.5,1.0)

⑤:(Xs

,Y

s

)=(2.5,2.5)

⑥:(Xs

,Y

s

)=(2.5,4.0)

⑦:(Xs

,Y

s

)=(4.0,1.0)

⑧:(Xs

,Y

s

)=(4.0,2.5)

⑨:(Xs

,Y

s

)=(4.0,4.0)

図 1 模型室の概要(単位:m) 

模型室の寸法は,幅,奥行き共に 5.0 m 一定 とし,高さを 1.75 m ~ 5.0 m の範囲で変化させ た.また,天井面に一辺が 0.3 m ~ 1.5 m の範囲 で変化できる均等拡散配光を有する正方形ア ンビエント光源を,図 1 に示す位置に設置でき るようにした.

この模型室内部に,作業面である机上面を含 んだ幅 1.0 m,奥行き 0.8 m,高さ 0.75 m の L 型状机に,幅 1.0 m,高さ 0.65 m のパーティシ ョンを取り付けたものを,机上面の中心座標が (X,Y,Z) = (2.5,2.5,0.75)となるように設置した.

また発光面が幅 0.5 m,奥行き 0.1 m のタスク 光源を,机上面に平行かつ机上面より上となる ように設置した.以後,これらを組み合わせた ものを什器と称する.

ここで,照明率はアンビエント光源,タスク 光源それぞれから放射される光束に相当する ところの粒子数に対する,作業面であるところ の机上面に入射する粒子数の比として算出し た 2) .また検討に際し,机上面との比較を行う ため,模型室内に何も設置しない場合の床面か

ら高さ 0.75 mの位置に,机上面と同じ面積を有

する仮想の作業面を設定した.

(2)

反射率は, 天井面70 %, 壁面 50 %, 床面30 %,

また模型室内部に設置した L 型状机とパーテ ィションを 30 %一定とした.なお,これらは 均等拡散反射特性を有している.

また机上面に影を生じさせるために,作業者 の頭部を想定した半径 0.1 m,反射率 0 %の遮 光球を中心座標が(X g ,Y g ,Z g ) = (2.5,2.5,1.1)とな るように設置した.

3. 結果と検討

3.1 アンビエント光源による照明率

図 2 に,検討に用いた天井面におけるアンビ エント光源の配置を示す.図中の数値は図 1 で 示したアンビエント光源の中心座標に対応し,

⑤に光源を設置しない配置を A ~ F,⑤に設置 した配置を A' ~ F'としている.

図 3 に,室内に何も設置しない場合,什器を 設置した場合,什器と遮光球を設置した場合を それぞれパラメータとした,アンビエント光源 の配置に対する照明率特性を示す.なお,模型 室の高さは 2.5 m,アンビエント光源の寸法は 1.0 m×1.0 m, タスク光源の中心座標は(X s ,Y s ,Z s )

= (2.5,2.85,1.4)の場合である.

図 3 より,多くのアンビエント光源の配置に おいて,室内に什器と遮光球を設置することで 照明率は減少していることがわかる.また,ア ンビエント光源の台数が同じである配置の A と B, A'と B',D と E, D'と E'を比較すると照 明率は異なる値となっている.これは,アンビ エント光源とパーティションとの幾何学的関 係によるためである.よって,アンビエント光 源による照明率は,什器と遮光球だけでなく,

アンビエント光源の配置によっても変化する こととなる.しかしながら光束法では,式(1) に示したように,算出される値は光源の配置で はなく台数であることから,光源の台数に対す る照明率を検討する必要がある.

図 4 に,アンビエント光源の寸法をパラメー タとしたアンビエント光源の台数に対する影 の中における照明率の比特性を示す.影の中に

おける照明率の比は,室内に何も設置しない場 合の照明率に対する什器と遮光球を設置した 場合の照明率で算出した.なお,模型室の高さ は 2.5 m,タスク光源の中心座標は(X s ,Y s ,Z s ) = (2.5,2.85,1.4)の場合である.

① ①

② ③

⑤ ⑤

⑤ ⑥ ⑤

⑦ ⑦

⑨ ⑨

配置A, 配置A' 配置B, 配置B' 配置C, 配置C'

配置D, 配置D' 配置E, 配置E'

⑦ ⑧ ⑨

① ② ③

④ ⑤ ⑥

配置F, 配置F'

図 2 アンビエント光源の配置 

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06

アンビエント光源の配置

照明率

A,A' B,B' C,C' D,D' E,E' F,F'

室内に何も設置しない場合 什器を設置した場合 什器と遮光球を設置した場合

図 3 アンビエント光源の配置に対する  照明率 

1 2 3 4 5 6 7 8 9

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0

アンビエント光源の台数

影の 中に おけ る照 明率の 比

(⑤) (A,B) (A',B') (C) (C') (D,E) (D',E') (F) (F')

(アンビエント光源の配置)

アンビエント光源の寸法 0.3 m×0.3 m 0.6 m×0.6 m 1.0 m×1.0 m 1.2 m×1.2 m 1.5 m×1.5 m 平均値

1.1

図 4 アンビエント光源の台数に対する影の  中における照明率の比 

図 4 より,アンビエント光源の台数が 2, 3,

(3)

6,7 台の場合,アンビエント光源とパーティ ションとの幾何学的関係により,光源の台数が 同じであっても影の中における照明率の比は 変化する.一方,光源が同一配置であるならば,

アンビエント光源の寸法の変化に対する影の 中における照明率の比の変化は, 0.05 未満の範 囲である.よって,光源の寸法の変化は影の中 における照明率の比にほとんど影響を及ぼさ ないと考えた.また,アンビエント光源の台数 毎に,影の中における照明率の比について平均 を求めたところ 0.8 ~ 0.9 となった.ここで,影 を考慮した照明設計において, 10 %以上の照度 の低下を影として取り扱うならば 8) ,図 4 より 得られた影の中における照明率の比の値は無 視することができない.

図 5 に,アンビエント光源の台数をパラメー タとした,模型室の高さに対する影の中におけ る照明率の比の平均値特性を示す.影の中にお ける照明率の比の平均は,図 4 に示すような結 果から算出した.

2.0 3.0 4.0 5.0

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

模型室の高さ:m

影の中におけ る照明率の比の平均 値 ~ 1.75 ~

アンビエント光源の台数

1 2 3

4 5 6

7 8 9

平均値

図 5 模型室の高さに対する影の中における  照明率の比の平均値 

図 5 より,影の中における照明率の比の平均

値は 0.75 ~ 0.95 の範囲である.また,検討を行

った模型室の高さ毎に平均を求めたところ

0.81 ~ 0.88 となった.影の中における照明率の

比は,何も設置しない場合の照明率から影の中 の照明率を求める際の補正係数と考えること ができる.よって,この補正係数を用いること で,アンビエント光源の影の中における照明率

を予測できるものと考えられる.

3.2 タスク光源による照明率

図 6 に検討に用いたタスク光源の位置(中心 X 座標と Y 座標)を, 図 7 にタスク光源の中心 X 座標と高さ(Z 座標)をパラメータとした,

タスク光源の位置(中心 Y 座標の変化)に対す る照明率特性を示す.

机上面 (2.25,2.85)

S 5

S 4 側 S 3

S 6

(2.25,2.75) (2.25,2.65)

(2.5,2.85) (2.5,2.75) (2.5,2.65)

遮光球

×:タスク光源の中心座標(X s ,Y s ) パーティション

図 6 タスク光源の位置

(中心 X 座標と中心 Y 座標の変化)

2.65 2.70 2.75 2.80 2.85 2.90 0

0.1 0.2 0.3 0.4

タスク光源の中心Y座標:m

照明 率

タスク光源の中心X座標

X s =2.25 m X s =2. 5 m  タスク光源の高さ          :Z s = 1.3 m          :Z s = 1.4 m          :Z s = 1.5 m          :Z s = 1.6 m

~ ~

パーティションの 設置位置

図 7 タスク光源の中心 Y 座標に対する照明率

図 7 より,タスク光源の位置が変化すること で照明率も変化する.しかしながらタスク光源 による照明率は,タスク光源の位置はもちろん のこと,パーティションの反射による照度の増 加と,遮光球による照度の低下も考慮して検討 する必要がある.

図 8 にタスク光源の中心 X 座標と高さ(Z 座

標)をパラメータとした,タスク光源の位置(中

Y 座標の変化)に対する全成分(直接成分と

間接成分を足し合わせたもの)に関する照明率

の比特性を示す.なお全成分に関する照明率の

(4)

比は,直接成分の照明率に対する全成分の照明 率から算出した.

図 8 より,タスク光源がパーティションに近 づくと,全成分に関する照明率の比は増加し,

その変化の範囲は 1.11 ~ 1.23 である.

図 9 にタスク光源の中心 X 座標と高さ(Z 座 標)をパラメータとした,タスク光源の位置(中 心 Y 座標の変化)に対する影の中における照明 率の比特性を示す.なお,影の中における照明 率の比は,図 4 と同じ方法で算出した.

図 9 より,タスク光源がパーティションに近 づくと,影の中における照明率の比は増加し,

その変化の範囲は 0.83 ~ 1.00 である.

図 8 より得た全成分に関する照明率の比の 平均値と,図 9 より得た影の中における照明率 の比の平均値を掛け合わせると,タスク光源の 位置に関わらず 0.99 ~ 1.12 の範囲となる.すな わちタスク光源による照明率は,遮光球を設置 しない場合の直接成分の照明率に対して,全成 分に関する照明率の比と,影の中における照明 率の比を掛け合わせたものを補正係数とし,こ の補正係数を用いることで予測できるものと 考えられる.

4. おわりに

本報告では,タスク・アンビエント照明に光 束法を適用することを目的とし,タスク・アン ビエント照明における作業面上の照明率の予 測に関する検討を行った.

その結果,アンビエント光源については,什 器や遮光球の設置に関する情報を有する影の 中における照明率の比を,タスク光源について は,影の中における照明率の比と,パーティシ ョンによる反射の情報を有する全成分に関す る照明率の比を導出した.これらの値は,タス ク・アンビエント照明における影の中の照明率 を予測するための補正係数となり,タスク・ア ンビエント照明における作業面上の照明設計 に光束法を適用する場合,これらの補正係数を 用いて,簡易に影の中の照明率を予測できるも

のと考えられる.

今後の課題として,導出した照明率の補正係 数を,今回検討した以外の模型室の寸法や,光 源の配置に適用させ,予測した結果の精度を検 討する必要がある.

2.65 2.70 2.75 2.80 2.85 2.90

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

タスク光源の中心Y座標:m

全 成分に関する照 明率の比

タスク光源の中心X座標

X s =2.25 m X s =2.5 m タスク光源の高さ          :Z s = 1.3 m          :Z s = 1.4 m          :Z s = 1.5 m          :Z s = 1.6 m

:平均値

~ ~

パーティションの 設置位置

図 8 タスク光源の中心 Y 座標に対する全成 分に関する照明率の比

2.65 2.70 2.75 2.80 2.85 2.90 0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

タスク光源の中心Y座標:m

影の中における照明率の 比

タスク光源の中心X座標

X s =2.25 m X s =2. 5 m  タスク光源の高さ          :Z s = 1.3 m          :Z s = 1.4 m          :Z s = 1.5 m          :Z s = 1.6 m

:平均値

~ ~

パーティションの 設置位置

図 9 タスク光源の中心 Y 座標に対する影の 中における照明率の比

参考文献

(1) (社)照明学会編:照明用語事典,オーム社, pp.42 ~ 43 (1990).

(2) Carter, D.J., et. al.: Lumen design method for obstructed interiors, Lighting Res. Technol., 24–1, pp. 15 ~ 24 (1992).

(3) Carter, D.J., et. al.: Design calculations for electric lighting in real interirors, J. Illum. Engng., 26–1, pp. 79 ~ 89 (1997).

(4) Newsham, Guy R., et. al.: The effect of office design on workstation lighting: A simulation study, J. Illum. Engng., 32–2, pp. 52 ~ 73 (2003).

(5) 内田,大谷:タスク・アンビエント照明における作業面 上の照明率について,第 36 回日本大学生産工学部学術 講演会電気電子部会講演概要,pp.101 ~ 104 (2003).

(6) 内田,大谷:タスク・アンビエント照明における影の中 の照明率について,平成 16 年度(第 37 回)照明学会全 国大会講演論文集,pp.104 ~ 105 (2004).

(7) 大谷ほか:直方体模型室における影の特性について,電 気設備学会誌,17‒8,pp.799 ~ 808 (1997).

(8) Moon, P. : Scientific basis of illuminating engineering, Dover

Publications, Inc., New York, pp. 507 ~ 514 (1936).

参照

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