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住宅のエネルギー需要とSOFCの導入効果に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)住宅のエネルギー需要と SOFC の導入効果に関する研究. 熊埜御堂 令 1. はじめに. 表 1 SOFC 機器仕様 SOFC 定格発電出力 0.7kW 定格熱出力 0.89kW 定格発電効率(HHV) 41.5% 定格排熱回収効率(HHV) 35.4% 貯湯温度 70℃ 貯湯槽容量 90L サブボイラー効率(HHV) 80% 燃料 都市ガス13A. 宅の新たな流れとなりつつあり、固体高分子形燃料電池(以下 PEFC)に続き、2011 年 10 月には固体酸化物形燃料電池(以下 SOFC)の商用化も開始された。また、太陽光発電(以下 PV). が進んでおり、省エネルギー化に向けた期待は益々高まってい. 要素. る。燃料電池の導入効果には住宅の電力負荷と給湯負荷のバラ ンス、他機器との組み合わせ、機器の運転方法などが大きく影 響する。そこで本研究では、住宅のエネルギー需要と SOFC 導. 30% 25%. y = 0.188x + 0.166. 20% 15% 10%. y = -0.8213x4 + 1.9787x3 - 2.0207x2 + 1.2783x. 5% 0% 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 部分負荷率[%]. 水準2 (標準型). 水準3 (節約型). 世帯構成. 世帯人数. 6人. 4人. 2人. B. 一般電力. 家電機器. 多消費型. 標準型. 節約型. 湯の使用 夏期 C. また、SOFC と家庭用エネルギー機器を組み合わせた併用システ. 水準1 (多消費型). A. 入効果の関係性を数値シミュレーションによって明らかにする。. 1年中湯. 冬季のみ湯. 1年中水. 毎日入浴. 1日おきに入浴 とシャワー. 毎日入浴. 毎日入浴. 1日おきに入浴 とシャワー 1日おきに入浴 とシャワー. 給湯 入浴形態 中間期. ムの導入効果を算出し、運転方法の検討を行う。. 2.1 SOFC 概要. 35%. 図 1 部分負荷特性 表 2 入力負荷データの要素と水準. や家庭用蓄電池(以下 BT)などの家庭用エネルギー機器の普及. 2. シミュレーション概要. 排熱回収効率. 40%. 効率(HHV)[%]. 近年、オンサイトでの発電や発熱、自然エネルギー利用が住. 発電効率. 45%. 毎日入浴. 毎日入浴. 毎日入浴. D 空調用電力. 暖冷房温度 (暖房/冷房). 冬期. 24/24℃. 22/26℃. 20/28℃. E 暖房用給湯. 温水式床暖房. あり. なし. ―. 表 1 に SOFC の機器仕様を示す。 SOFC は燃料電池の中で最も 発電効率が高い機器であるが、その一方で他の燃料電池に比べ 作動温度が非常に高く、起動及び停止に長時間を要するため、 『24 時間運転』が基本となる。 SOFC 導入効果算出プログラムは、既往研究 1)で構築したプロ グラムをベースとし、図 1 に示す部分負荷特性を用いて再構築. 温水式床暖房. した。また 24 時間運転であることから、貯湯槽が満蓄になった 場合は、停止するのではなくファンを用いて放熱する設定とし. (a)1 階平面図. ている。現在、SOFC の余剰電力を逆潮流させることが法律上禁. (b)2 階平面図. 図 2 標準住宅モデル平面図[単位:mm]. 止されており、本研究では電力負荷追従運転による検討を行う。. 暖房は居間に敷設した。生活スケジュール自動生成プログラム. 以降のシミュレーションにおいては、系統からの買電及びガ. SCHEDULE Ver.2.04)により、在室パターン、一般電力負荷、給湯. スボイラー(効率 0.8)により需要を賄うシステム(以下、従来. 負荷を作成した。空調負荷は動的熱負荷計算プログラム. システム)との比較により 1 次エネルギー削減率を算出する。. THERB5)を用いて算出した。空調期間は冷房が 6 月~9 月、暖房. 2.2 入力負荷データの作成. が 12 月~3 月とし、運転は在室時運転、設定温度は表 2 の水準. エネルギー需要の異なる入力負荷データの作成は表 2 に基づ. に応じて設定した。気象条件は福岡市の拡張アメダス気象デー. き行った。住宅内のエネルギー消費量に影響を与えると考えら. タ 6)(標準年) 、市水温度は福岡市の市水温度データ 7)を用いた。. れる要素として世帯構成、一般電力、給湯、空調用電力、暖房. 図 3 に作成した各入力負荷データの月別の需要分布を示す。. 用給湯の 5 つを抽出した。各要素とも、基本的に水準 2 を標準. 電力負荷は 170~1147 kWh/月、給湯需要は 104~1175 kWh/月の. 的な設定(標準型)とし、水準 1 にエネルギー消費が多い設定. 範囲内で分布している。夏期は給湯負荷、中間期は電力負荷が. (多消費型) 、水準 3 にエネルギー消費が尐ない設定(節約型). 小さくなっており、冬期は電力負荷、給湯負荷どちらも大きく. 2). とした 。なお、暖房用給湯に関しては、温水式床暖房あり・な. なっている。また、斜線は電力負荷と給湯負荷との比である熱. しの 2 つの水準を与えた。建物モデルは図 2 に示す日本建築学. 電比が 1.0 となるポイントを示している。冬期は温水式床暖房で. 会標準住宅モデル. 3). 暖房する月があるので、給湯需要が増え、熱電比が 1.0 を上回る. を採用し、部位構成は地域区分Ⅳに定めら. れている Q 値及びμ値の基準値を満たす仕様とした。温水式床. 月も多く見られる。. 42-1.

(2) 冬期. 中間期. 25. 夏期. 1400 1次エネルギー削減率[%/月]. 熱電比=1.0 1200. 1000. 800. 15 10 5. 0 0. 200. 400. 600. 800. 1000. 1200. 1400. -5 -10. 600. -15. 電力負荷[kWh/月]. (a)電力負荷に対する分布. 400. 25. 電力負荷 [kWh/月] 0~300 300~600 600~900 900~. 20 1次エネルギー削減率[%/月]. 200. 0 0. 200. 400. 600. 800. 1000. 1200. 1400. 電力負荷[kWh/月]. 図 3 各負荷モデルの月別の需要分布. 3. エネルギー需要別導入効果. 15 10 5. 0 0. 200. -15. 1000. 1200. 1400. (b)給湯負荷に対する分布 図 4 1 次エネルギー削減率. にするために、1 次エネルギー削減率と 1 次エネルギー削減量を 3000. 1次エネルギー削減量[MJ/月]. 電力負荷、給湯負荷別に分析を行った。図 4 に 1 次エネルギー 削減率の分布、図 5 に 1 次エネルギー削減量の分布を示す。 1 次エネルギー削減率は、電力負荷が 682kWh/月、給湯負荷が 899 kWh/月の月で最大となり、約 20%の削減率となる。電力負 荷が 682kWh/月以上になると、減尐傾向にある。電力負荷と給 湯負荷がどちらも小さい月では、1 次エネルギー削減率はマイナ. 給湯負荷 [kWh/月] 0~200 200~400 400~600 600~. 2500 2000. 1500 1000 500. 0 0. スとなっている。また、給湯負荷が大きくなるに従って 1 次エ. 200. 400. -500. 600. 800. 1000. 1200. 1400. 電力負荷[kWh/月]. ネルギー削減率も高くなる傾向にあるが、電力負荷に対する分. (a)電力負荷に対する分布 3000. 布と比べてばらつきが大きく、給湯負荷が 300 kWh/月を超えて 1次エネルギー削減量[MJ/月]. も電力負荷が小さいとマイナスとなる月も見られる。 1 次エネルギー削減量は、 電力負荷が大きくなるに従って増加 する傾向が見られるが分散している。給湯負荷に対する分布で も同様な傾向が見られ、電力負荷が 1069kWh/月、給湯負荷が 1175 kWh/月の月で 1 次エネルギー削減量は最大となり、 2474MJ/. 電力負荷 [kWh/月] 0~300 300~600 600~900 900~. 2500. 2000 1500. 1000 500 0. 0. 月の削減となる。. -500. 3.2 PEFC との導入効果比較. 200. 400. 600. 800. 1000. 1200. 1400. 給湯負荷[kWh/月]. (b)給湯負荷に対する分布. 8). 既往研究 で構築したPEFC導入効果算出プログラムを用いて、. 図 5 1 次エネルギー削減量. エネルギー需要別の PEFC 導入効果を算出し、SOFC と PEFC の. 表 3 PEFC 機器仕様. エネルギー需要に対する 1 次エネルギー削減量の比較検証を行 図 7 に SOFC と PEFC のエネルギー需要と 1 次エネルギー削減. 発電効率[%]( HHV). 量のマップを示す。 電力負荷と給湯負荷が共に 200kWh/月以下になると、SOFC、. PEFC 運転方法 1kW 1.36kW DSS運転 33% (予め最適な運 45% 転時刻を算出し 60℃ その時刻内で運 200L 転を行う運転) 80% 都市ガス13A. 定格発電出力 定格熱出力 定格発電効率(HHV) 定格排熱回収効率(HHV) 貯湯温度 貯湯槽容量 サブボイラー効率(HHV) 燃料. った。表 3 に PEFC 機器仕様、図 6 に PEFC の部分負荷特性、. 期待できるが、給湯負荷が小さくなると削減効果は大幅に減尐. 800. 給湯負荷[kWh/月]. 住宅のエネルギー需要と SOFC の導入効果の関係性を明らか. は、熱電比が 1.0 以上の負荷で一定の 1 次エネルギー削減効果が. 600. -10. 3.1 SOFC 導入効果. PEFC のどちらも1 次エネルギー削減量はマイナスとなる。 PEFC. 400. -5. 60 50 40 30 20 10. y = -101.85x4 + 295.57x3 - 324.96x2 + 161.08x + 0.0329. 排熱利用効率[%](HHV ). 給湯負荷[kWh/月]. 給湯負荷 [kWh/月] 0~200 200~400 400~600 600~. 20. 0 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0. する。一方、SOFC は PEFC よりも広い負荷範囲で一定の導入. 部分負荷率(発電量/定格発電量). 効果があり、特に熱電比が 1.0 を下回る負荷で高い 1 次エネルギ. 60 50 40 30 20 10. y = -257.85x4 + 692.08x3 - 680.4x2 + 297.96x + 0.0686. 0 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 部分負荷率(発電量/定格発電量). 図 6 PEFC 部分負荷特性. 42-2.

(3) 熱電比= 1.0. 熱電比= 1.0. 1次エネルギー 削減量 (MJ). 1200 1000. 1000. 0 500. 800. 1000 1500. 600. 2000 2500. 400. 1次エネルギー 削減量 (MJ). 1200. 給湯負荷 (kWh/月). 給湯負荷 (kWh/月). ※囲み線は燃料電池の平均的な設置サイト. 1400. 1400. 200. 0. 500. 800. 1000 1500. 600. 2000 400. 2500. 200. 0. 0. 0. 200. 400. 600. 800. 1000. 1200. 1400. 0. 200. 400. 電力負荷 (kWh/月). 600. 800. 1000. 1200. 1400. 電力負荷 (kWh/月). (a)SOFC. (b)PEFC 図 7 エネルギー需要と 1 次エネルギー削減量. ー削減効果が期待できる。燃料電池の平均的な設置サイト 9)(電. 表 4 PV 機器仕様 太陽電池容量. 力負荷:400~800kWh/月、給湯負荷:320~750kWh/月)では、. 3kW. モジュールの温度ロス 冬期10%、中間期15%、夏期20%. PEFC を導入すると 500~1500kWh/月の削減、SOFC を導入する. その他ロス 設置状況. と 500~2000kWh/月の削減が期待できる。. 11.5% 傾斜角30度、南面屋根. 4. 家庭用エネルギー機器との併用システムの検討. い日でも売電することが可能となっている。また、PV 単体時の. 4.1 SOFC と PV の併用システム. 売電量よりもSOFCとPVを併用した場合の売電量の方が冬期平. 併用システムの検討には標準型負荷データ(表 2 の水準 2 の. 均で 1.8 倍大きくなる。中間期運転状況については、昼間は電力. みの組み合わせ)を用いた。表 4 に PV 機器仕様を示す。家庭. 負荷が SOFC 定格発電出力の 700W を超えることがほとんどな. 内で発生する電力負荷に対しては、SOFC による発電でまず賄. く、SOFC 発電量で電力負荷の大部分を賄えている。したがって. い、不足分は PV 発電量で補う。それでも不足する場合は、系統. PV 発電量はほぼ全て売電される。また、SOFC と PV 併用後の. からの買電によって補完する。PV の余剰電力が発生した場合は、. 売電量は PV 単体時の売電量と比較して中間期平均で 1.4 倍とな. 全て売電する設定としている。. った。夏期運転状況については、昼間の電力負荷を SOFC 発電. 図 8 に冬期運転状況、図 9 に中間期運転状況、図 10 に夏期運. 量でほぼ賄えるため、PV 発電量の大部分は売電される。また、. 転状況、図 11 に売電量を示す。全ての季節において、電力負荷. PV と SOFC 併用時の売電量は PV 単体時と比較して夏期平均で. の小さい昼間の時間帯に PV が発電しているため、 発電量の大部. 1.7 倍となった。. 分は住宅の電力負荷に使われず売電される。冬期運転状況につ. 図 12 に従来システム、SOFC 導入時、PV 導入時、併用シス. いては、2 月 25 日は晴れ日で PV 発電量が最大 2kW 以上出て. テム導入時の年間 1 次エネルギー消費量を示す。従来システム. いるが、2 月 26 日は天候が悪く日射が届かないため、PV 発電. と比較して 1 次エネルギーは年間で、SOFC 導入時に 11%、PV. 量は非常に小さい。しかし、SOFC と併用することで天候が悪. 導入時に 40%、併用システム導入時に 52%削減される。. PV発電量. 2. 1. 1. 0 -1. 1. 0. SOFCとPV併用時の売電量. SOFCとPV併用時の売電量. SOFCとPV併用時の売電量 -4. 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24. 2月26日. PV単体時の売電量. PV単体時の売電量. -3. 図 8 SOFC+PV 冬期運転状況 400. -2. PV単体時の売電量. 5月5日. -4. 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24. 5月6日. 8月22日. 図 9 SOFC+PV 中間期運転状況. SOFCとPV併用時の売電量. 逆潮流. 3200. 350. 2800. 300. 2400. 250. 2000. 200. 1600. 150. 1200. 100. 800. 50. 400. 0. 0. 売電量[kWh/年] 1次エネルギー消費量[GJ/年]. 2月25日. 0 -1. -3. 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24. SOFC発電量. 電力負荷 2. -2. PV単体時の売電量. -3. PV発電量. 3. 電力負荷. -1. -2. 売電量[kWh/月]. SOFC発電量. 3. 2. -4. 4. PV発電量. SOFC発電量. 電力[kW]. 電力負荷. 電力[kW]. 電力[kW]. 3. 4. 8月23日. 図 10 SOFC+PV 夏期運転状況 夏期. 中間期. 冬期. 削減率. 90. 60. 80. 50. 70. 60. 40. 50. 30. 40. 30. 20. 20. 10. 10 0. 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年間. 0 従来システム. 図 11 売電量. SOFC. PV. 図 12 年間 1 次エネルギー消費量. 42-3. SOFC+PV. 従来システムに対する削減率[%]. 4.

(4) 4.5. 9. 4. BT は、経年劣化と充放電時のロスが大きいので、適切な運転. 8.5. 3.5. 8. 3. 能性がある。よって、SOFC、PV に BT を加えた併用システムで. 7.5 蓄電量. 電力[kWh]. 制御を行わなければ BT 導入前よりも電力消費量が増加する可. 2. は、BT の運転制御方法の検討を行った。表 5 に BT 機器仕様を. 放電量. 6.5. 買電量. 6. SOFC発電量. 1. 5.5. 0.5. 示す。ロスは全て充電時に見込む設定とした。. 5. 0. 4.5. 0. 表 5 BT 機器仕様 8.96kWh (うち半分は非常用) 2.0kW インバータ:8% コンバータ:8% 経年劣化:15%(導入10年目を想定). 2 4 6 充電時間帯. 8. 10 12 14 16 18 20 22 8月22日 放電時間帯. 0. 2 4 6 充電時間帯. 8. 10 12 14 16 18 20 22 8月23日 放電時間帯. 0. (a)通常運転 4.5. 9. 4. 8.5. 3.5. 8 蓄電量. 電力[kWh]. 3. BT の運転制御として現在一般的に採用されているのは、放電. 7.5 電力負荷. 2.5. 時間帯を 7 時~23 時、充電時間帯を 23 時~7 時とし、放電時間. PV発電量. 2. SOFC発電量. 7 6.5. 買電量. 放電量. 1.5. 帯でSOFCとPVからの発電分よりも家庭の電力需要が上回ると. 6. 1. 5.5. 0.5. きに放電を行い、充電時間帯で充電量が満蓄でないとき系統電. 蓄電量[kWh]. ロス. PV発電量 7. 1.5. 蓄電池容量 瞬間最大出力. 電力負荷. 2.5. 蓄電量[kWh]. 4.2 SOFC、PV、BT の併用システム. 5. 0. 4.5. 0. 2. 4. 6. 8. 力から充電するという運転方法(以下通常運転)である。. 10 12 14 8月22日. 16 18 20 22. 0. 2. 4. 6. 8. (b)SOFC 充電運転. 10 12 14 16 8月23日. 18 20 22. 0. 図 13 運転状況. 本研究では、充放電時間帯を設けず、充電量が満蓄でないと 電力(通常運転). きに SOFC の発電分を BT に充電し、SOFC と PV からの発電分. 電力(SOFC充電運転). 給湯(SOFC充電運転). 100. よりも家庭の電力需要が上回るときに放電を行い、不足分は系. 90 寄与率[%]. 統からの買電によって補う運転方法(以下 SOFC 充電運転)を 提案し、その導入効果を通常運転と比較し、検証を行った。. 80 70. 図 13 に通常運転と SOFC 充電運転の運転状況、図 14 に寄与. 60. 率(併用システム由来の電力及び熱で家庭の需要をどれだけ賄. 50 40. えたかを評価する指標) 、図 15 に電力消費量、図 16 に年間 1 次. 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 通年. 図 14 寄与率. エネルギー消費量を示す。通常運転では、充電時間帯で系統か 夏期. 方、 SOFC充電運転では、 1日を通してほぼ買電しておらず、 SOFC. 2000. は定格発電出力を保ちながら安定して運転を行っている。その ため、通常運転と比較して、電力寄与率が年間で 19%上昇して. 1000. いる。また、中間期の電力寄与率が 100%となり、住宅の電力負 荷を併用システムの発電のみで賄うことができている。夏期に. 0. 冬期. 40 35. 30 25 20. 15 10 5. 0. 通常運転. SOFC充電運転. 図 15 電力消費量. おいては、電力寄与率が 97%以上、給湯寄与率が 100%となっ. 中間期. 45. 1500. 500. 夏期. 冬期. 1次エネルギー消費量[GJ/年]. 2500. 電力消費量[kWh/年]. らの買電が多く、SOFC は部分負荷運転となる時間帯が多い。一. 中間期. 通常運転. SOFC充電運転. 図 16 年間 1 次エネルギー消費量. 【謝辞】. ており、住宅のエネルギー需要のほぼ全てを併用システムの供 給するエネルギーで賄うことができている。通常運転と比較し て SOFC 充電運転を行うことで電力消費量は年間で約 55%、1 次エネルギー消費量は年間で約 7%削減される。 5. おわりに 本研究では、数値シミュレーションによる SOFC 導入効果の 検討として、住宅のエネルギー需要に対する 1 次エネルギー削 減効果の検討、および標準住宅における PV、BT との併用効果 の検討を行った。SOFC は PEFC よりも広い負荷範囲で一定の導 入効果があり、特に熱電比が 1.0 を下回る負荷で高い削減効果が 期待できる。また、家庭用エネルギー機器と組み合わせる場合、 適切な運転制御を行うことでより高い削減効果を得られること がわかった。今後は、太陽熱温水器など様々な機器との組み合 わせについて検討を行っていきたい。. 42-4. 本研究は、西部ガス株式会社総合研究所と九州大学の共同研究「分散型電熱源機器の導入効 果に関する研究~数値シミュレーションによる導入効果の検討~」の一環として行ったもの です。研究の実施にあたり西部ガス株式会社の関係者の方々に多大な御協力を頂きました。 記して、謝意を表します。 【参考文献】 1) 黒木洋,他3 名:家庭用固体高分子形燃料電池CGS の運転方法と導入効果 家庭用分 散型電熱源の導入効果に関する研究 その1,日本建築学会環境系論文集,No.610, pp.67-73, 2006 年12 月 2) 長谷川兼一, 他7 名:低負荷ライフスタイルの省エネルギー効果, 日本建築学会環境系 論文集,No.608,pp.97-104, 2006 年10 月 3) 宇田川光弘:標準問題の提案 伝熱解析の現状と課題,日本建築学会環境工学委員会第 15 回熱シンポジウム,1985 年 4) 空気調和・衛生工学会:シンポジウム 住宅における生活スケジュールとエネルギー消 費 テキストと付属プログラム SCHEDULE Ver.2.0,2000 年 5) Ozaki A., Watanabe T. and Takase S. : Simulation Software of the Hydrothermal Environment of Buildings Based on Detailed Thermodynamic Models, eSim 2004 of the Canadian Conference on Building Energy Simulation, pp.45-54, 2004 6) 赤坂裕,他7 名:拡張アメダス気象データ,日本建築学会,2002 年 7) 福岡市水道局浄水部水質試験所:水質試験年報/第 29 集,2004 年 8) 青木博子, 他5 名:床暖房住宅における家庭用燃料電池の併用効果 その4 燃料電池 と床暖房の併用効果, 日本建築学会九州支部研究報告 第50 号pp.253-256, 2011 年 3月 9) 財団法人 建築環境・省エネルギー機構:固体酸化物形燃料電池実証研究 H19 年度設置 サイト運転結果,2009 年12 月.

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図 8  SOFC+PV 冬期運転状況  図 9  SOFC+PV 中間期運転状況  図10  SOFC+PV 夏期運転状況

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