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たりの面積が大きい北海道だから普及できる技術体系であり 北海道が先陣を切らなければならない 岩見沢市の ICT 活用の取り組みは教育 福祉 医療などで成果を上げている 新たな企業の進出と雇用の場が創出されている もちろん農業においてもスマート農業の先駆けというべき取り組みを進めている このほか 水稲

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Academic year: 2021

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第4章

調査結果のまとめ

1、人口減少の克服と地方創生 一昨年の 5 月に日本創生会議が、2040 年までに日本の半分の市町村が消滅の恐れがある とした、いわゆる「増田レポート」を公表した。この衝撃的な報告を一つの契機に、国は一昨 年 11 月に「まち・ひと・しごと創生法」を制定して、2060 年までに 1 億人程度の人口確保と将 来にわたり活力ある日本社会を維持するために、人口減少の克服と地方創生に本腰をいれ ることにした。 北海道の多くの市町村にとって、人口減少とほぼ同義語の過疎対策は昔から最大の課題 であり、これまでもあらゆる手を講じてきた感が強い。それだけに、今回の地方創生で、短 期間に数値目標を定め、本当に必要で有効な施策を構築することは簡単ではない。その取り 組みは、トップダウン的で性急なものとなっているきらいもあるが、人口減少や地域経済の 衰退への危機感を喚起し、何としても立ち向かっていかなければならないという認識の共 有化が進む点では大きな意義がある。 2、地域農業を支える人材の確保・育成 地方創生を目指す農業施策のあり方は地域の条件や状況によって様々であろうが、解決 すべき最優先課題は担い手の確保問題である。農家子息への経営継承を中軸にしながら、 第三者継承、新規就農者の育成、さらには農業生産法人の結成をベースとした従業員とし ての迎え入れなど、あらゆる手立てを尽くす必要がある。政策面では、放牧酪農や小規模 経営への参入に対応する新タイプのリース事業の拡大など、農業参入のハードルを下げる 仕組みづくりが重要になる。また、TPP 大筋合意により、効率と競争を優先し規制緩和や 市場経済を重視する潮流がいっそう強まり、地方の疲弊が加速することが懸念される。こ れ以上、農家の仲間を減らしたくない、若い人が残ってほしいという地域の思いに対し て、提示される将来像が効率的な経営体ばかりでは夢がない。誰かの一人勝ちではなく、 一人ひとりが等身大の夢を自己実現できる懐の深い地域農業の構築を目指す必要がある。 そのためには、集落を基盤とした担い手確保の取り組みなど、地域的・集団的な取組みが 重要となる。 その1 例が栗山町農業振興公社による新規就農者の幅広い間口と多様な就農の取組であ ろう。同公社では、くりやま女性農業塾により女性農業者の育成・交流を図り、くりやま 農業未来塾により地域農業の中心となる人材育成を進めるなど、地域農業を支える人材の 確保・育成に力を入れている。 3、先端技術を活用した省力的・効率的な生産体制の確立 農業経営の規模拡大と人口減少は農業労働力の不足問題をいっそう顕在化させる。この ため、北海道創生総合戦略では、ICTなどの先端技術を活用した省力化や作業効率を向 上させる技術の開発やシステムの導入の促進を進める計画である。農業機械の自動走行は 現場でかなり進んできており、GPSや自動操舵装置の価格低下、性能向上から北海道で の出荷台数は伸びている。全国の出荷台数の8∼9 割は本道といわれている。圃場 1 筆あ

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たりの面積が大きい北海道だから普及できる技術体系であり、北海道が先陣を切らなけれ ばならない。 岩見沢市の ICT 活用の取り組みは教育・福祉・医療などで成果を上げている。新たな企業 の進出と雇用の場が創出されている。もちろん農業においてもスマート農業の先駆けとい うべき取り組みを進めている。 このほか、水稲やてん菜では苗作りを行わない直播が増加しており、経営環境に応じた 一層の取組み拡大が見込まれる。酪農では搾乳ロボットをはじめ、エサ寄せロボット、搾 乳ユニット自動搬送機などの省力化機械の導入が進んでいる。 こうした省力的で効率的な農作業を可能とするためには、農地の基盤整備や分散してい る農地の団地化により条件整備を進めることが必要である。 加えて、清水町の農業サポートセンターや畑作の地域連携型法人、シルバー人材センタ ー、津別町の畑作の複数戸法人による作業受託、TMR センターなど、農業経営を支援する 組織の体制の整備も必要である。 4、6 次産業化と農畜産物の輸出拡大 地方創生を目指す農業施策のあり方では、「所得向上」も共通した大きな柱である。国は 農業所得向上に向けて輸出の拡大や 6 次産業化の推進を重点施策に掲げている。 6 次産業化は「農家・農村」所得を確保・拡大する有力な方途であり、後継者確保の一方策 にもなりえる。北海道の場合、本業である農業自体の規模が大きく手間が無いことや、消 費地が離れていること地域が多いなどの課題があるため、農家自らが全部を担うのではな く、食品製造業や観光・流通業界との連携が重要であり、また農協等が中心となった地域 全体での取り組みの推進もポイントとなる。これまで成功した 6 次産業化の多くの事例は 決して孤立的に展開してはいない。域内外の多様な方々・団体などとの協力・協同・連携が 重要であることを示唆している。6 次産業化の展開に当たっては、「農商工」や「農商工・ 消」の連携強化が大切である。併せて、6 次産業化と所得確保との関連、後継者確保や地域 農業発展などへの寄与、地域発展への寄与などについて、農業者、関係者の共通認識を深 め合うことが大切である。そして 6 次産業化を一部農業者の取組みから地域全体で支える 取組みへと変えていく必要がある。 その 1 例が、知内町のニラとかきの PR、消費拡大に関する町をあげての取組みである。 知内町ではニラの選別出荷体制の整備と生産拡大の加えて、ニラなど営農施設への木質バ イオマス機器等の導入やニラの茎等の回収システム構築や循環活用も検討されている。既 存の地域資源(ニラ)を活用したワンステップ進んだ地域づくり・地域振興の取組みが始ま っている。 また、津別町では全国で 3 つしかない有機(オーガニック)酪農が推進されており後継者 確保という成果につながっている。そして「飼料自給率 100%」の目標を掲げ耕畜連携や 広域連携を模索しており、漁業者からの応援証を得てブランド品の開発検討が行われてい る。 さらに、紋別市では大規模酪農経営が牧場の初乳とデントコーンサイレージだけで肥育 する養豚を行い、精肉・豚肉加工品の製造販売を皮切りに、現在は牛肉製品や牛乳・乳製 品の製造販売も加わって、直売所・レストランを運営し地域の雇用拡大に貢献していた。 一方、輸出に関しては、わが国の食品マーケットが人口減少と高齢化で市場規模が縮小す る中で、食料需要の大幅な拡大が見込めるアジア圏やイスラム諸国の成長力を取り込むこ

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とを目標に、北海道創生戦略では道産食品輸出額を 1 千億円にほぼ倍増させる目標を掲げ ている。平成 26 年度の道産食品輸出額は 667 億円で、ホタテやなまこなどの水産物、水産 加工品が 9 割以上を占めている。農畜産物は長いもやLL牛乳を中心に 24 億円である。道 では米や乳製品など、品目別国別に輸出戦略を策定・推進する計画である。今回の地域資源 調査では輸出に取組む事例はなかったが、地域や農業団体の積極的な関わりが望まれる。 5、消費者の理解・応援の深化 消費者の理解・応援などは農業発展に極めて重要である。特に、TPP 大筋合意などの自由 化や国際化が進展する中、消費者理解・応援の深化は、輸入食料に対する 防波堤 となる。 また、農畜産物の内外価格差を埋める手法が関税から国内対策へと重心を移すことに伴い、 国民・納税者の理解と納得を得る上でもますます重要である。 欧州は納税者負担型農政の先進地である。欧州市民の 90%が持続可能な農業に賛同し、 環境や生き物、手入れされた景観を守り世話する農業者の行為への税金投入に賛成してい るという。その欧州でも農業の果たす役割を伝えることは難しい。農家育ちの人や親類に農 家がいる人の数は着実に減っている。農業の役割を肌で理解できる人は減り、農業を異質な ものと受けとめる人が増えているからだ。 農家と市民が意思疎通を図る手段では直売所や庭先販売、直接販売が有効である。欧州で は、これらが市民に農業生産の魅力を伝えるショーケースとなり、消費者交流の重要な場と なっている。また、20 年の歴史を持つ「農場学校」では、毎年、数万人の子供たちが農場を 訪れ、牛乳が作られるまでを学び、種まきや収穫、加工といった農家の仕事を理解する。納 税者負担型農政は、何十年に渡る消費者理解のためのこうした取組みがあって成立する。大 切なことは、農家自身が他人に頼らず自分の口で納税者に提供する農業の恩恵を語ること である。6 次産業化や体験農場、ファームインなどの取組みは、地域の所得と雇用の確保に 加えて、納税者負担型農政の拡大、定着を図るためにも重要である。 6、「付加価値」のベースとなる農業本来の「基本価値」 6 次産業化や輸出など「付加価値」を生み出す取組みのベースは、安全安心な農畜産物生産 という農業本来の「基本価値」である。先に本道の 6 次産業化の課題を述べたが、府県では そもそも魅力ある資源が少なく、かつ少量多品目生産のため原料不足に陥りやすいことが 課題に挙がられるという。対して北海道は農水産物の資源に恵まれ、生産量の確保が容易な 品目が多い。安全安心な農畜産物の安定生産、安定供給という農業本来の「基本価値」のた めの対応策もしっかり重視すべきである。 7、農業の安定的な発展なくして地方創生は無い 北海道は開拓の歴史の中で、石炭産業など様々な盛衰があったが、農業については一貫し て基幹産業であり、将来に向けても生存の基本である「食」を担う生命産業がなくなること はありえない。そして、北海道の多くの市町村では、農業の安定的な発展なくして地方創生 は無いというのが実態である。まずは総合戦略に地域農業の課題や将来方向がきちんと盛

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り込まれ、必要な対策が位置づけられることが重要である。 同時に地に足を着けたボトムアップ型の総合戦略の策定と実践を進めるには、行政と農 業関係者、経済界、住民らが十分に意思疎通を図り、地域振興に役割を発揮する必要がある。 それが真の地方創生の実現につながるだろう。 8、地域農業・農村戦略の策定・実践に向けて 今回の調査では道内市町村の分類を試みた。1つは主成分分析・クラスター分析の手法に よる分類である。もう1つは、農山漁村活性化法の地域指定の方法を参考にした分類である。 こうした分類は、他市町村の地域資源活用の取組みに学ぼうとする際、類似の条件にある市 町村を見分ける際に参考となるだろう。今回の分析手法と分析結果を参考にして、使用する データ(非公表データの無いものが望ましい)の吟味や、他の地域指定の手法に関して、更な る検討がのぞまれる。 最後に、地域農業・農村戦略の策定・実践に当たっては、農業者・集落構成員が自ら将来像 を描き、関係機関がそれに沿った技術支援や施策を検討・推進することが何より重要である。 この点に関して、岩見沢市北村は、農業者や集落の話し合いを重視した農業・農村づくり を進める先駆的な地域といえよう。また、紋別市の地域資源調査報告では、酪農家自身のア イデアを地域全体の計画に落とし込む取組みの重要性が指摘されている。 参考までに、岩見沢市北村の地域資源調査結果から関係部分を引用して、調査結果のまと めとする。 ・TPP による影響や農政・施策のあり方など、今後の営農展開を展望するに不明要素ば かりであるが、可能な限り自らの環境条件を見とおして対応の筋道を検討・準備してお くことが営農を続けるための基本的要件であるといえる。 ・共通の目的(生活と経営の持続・向上)のために、集落構成員が自主的に話し合う会合 をもち、以後、地域の方向付けを決める「話し合いの場」の基盤となってきた。 このような地域全体で意見交換ができる場をとおして、個別完結的な経営が多い中で 法人組織化も積極的に推進する弾力的な考え方も生まれてきたといえる。また、このこ とが地域内での後継者の育成・確保に繋がり、担い手の充足度を高める結果を招いてき たといえる。 ・「空知型輪作」ともいうべき技術体系の確立には、農業改良普及センターによる技術指 導等の推進体制が不可欠であった。 現在、さらに普及センターによる技術指導対象となる重点地区は拡大しているが、各地 域条件に応じた作物導入・技術普及が考慮されている。 ・岩見沢市における北海道指導農業士、認定農業者など、担い手の層の厚さには遜色なく、 むしろ人材には恵まれているといえるが、さらに地区ごとの日常的な意見交換の場の 設定化など、個々の展開を推進させる組織化・まとまりについて検討することが必要と なっている。

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(岩見沢市やJAなどの関係機関は) 、各集落や営農集団などのもつ条件について実態 調査を行い、改めて地域ごとの営農スタイル(将来像)を自ら描いてもらい、それに沿 った施策の展開について検討することが必要となっている。

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【執筆者】 東山 寛 北海道大学大学院農学研究院 准教授 第2章 地域資源調査の結果 津別町 小林国之 北海道大学大学院農学研究院 助 教 第2章 地域資源調査の結果 紋別市 正木 卓 北海道大学大学院農学研究院 特任准教授 第2章 地域資源調査の結果 栗山町、知内町 丸山 明 酪農学園大学循環農学類 教 授 第3章 道内市町村の分類 地域資源の類似性から道内の市町村を分類する試み 黒澤不二男 一般社団法人 北海道地域農業研究所 顧 問 第2章 地域資源調査の結果 清水町 第2章の補章 地域戦略構築のための「SWOT 手法」適用の試論 黒河 功 一般社団法人 北海道地域農業研究所 顧 問 第2章 地域資源調査の結果 岩見沢市(北村地区) 一般社団法人 北海道地域農業研究所 第1章 調査の背景や調査方法 第3章 道内市町村の分類 道内市町村の、農山漁村とそれ以外への分類 第4章 調査結果のまとめ 【事務局】 飯沢理一郎 一般社団法人 北海道地域農業研究所 所長・副理事長 竹林 孝 一般社団法人 北海道地域農業研究所 特別顧問 大坂 雅博 一般社団法人 北海道地域農業研究所 専務理事 入江 千晴 一般社団法人 北海道地域農業研究所 常務理事 片岡 省二 一般社団法人 北海道地域農業研究所 事務局長 山口 和宏 一般社団法人 北海道地域農業研究所 専任研究員 申ドンチョル 一般社団法人 北海道地域農業研究所 専任研究員 発行

一般社団法人

北海道地域農業研究所

〒060−0806 札幌市北区北6条西1丁目4番地2 ファーストプラザビル 7階 TEL(代)(011)−757−0022 FAX (011)−757−3111

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