Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
内航海運を取り巻く安全・環境規制
の動向について
平成24年10⽉
国⼟交通省海事局
概要
15.安全規制関連
5-1 SES及び⾼度船舶安全管理システム搭載船の乗組み制度⾒直し
2.NOx・SOx関連
2-1 国際的なNOx・SOx規制の動向及び内航への影響について
2-2 ECA※の概要及び我が国におけるその検討状況について
1.CO
2・省エネ関連
1-1 国際的なCO
2規制の動向及び内航への影響について
1-2 ⽇本でのCO
2・省エネの動向及びその⽀援策について
4.シップリサイクルの総合対策
シップリサイクルにおける現状説明とともに、内航における取組み状況について
※⼤気汚染物質放出規制海域5-2 ILO海上労働条約関連
3.天然ガス燃料船の早期実⽤化・導⼊に向けて
天然ガス燃料船における現状説明とともに、取組み状況について
・ 新興国等の経済成長に伴う貿易量の増大により、国際海運分野のCO2排出量は飛躍的に増大。 ・「京都議定書」では、国際海運のCO2排出対策は国際海事機関(IMO)において追求するよう 規定。IMOにおける国際対策の確立が急務となっていた。 国際海運からのCO2排出量予測[億トン] 2011年7月 国際海事機関(IMO)において、第一段階の対策 として国際海運に先進国、途上国の別なく一律にCO2排出規制 を導入することを合意 ※ 日本は規制の仕組みなど39の提案文書を提出し、条約作りを主導 2011年7月 国際海事機関国際海事機関(IMO)(IMO)において、第一段階の対策 として国際海運に先進国、途上国の別なく一律にCO2排出規制 を導入することを合意 ※ 日本は規制の仕組みなど39の提案文書を提出し、条約作りを主導 NEWS 基準値を満足しな い船舶は海運マー ケットに投入不可 2013年から新造船にCO2排出基 準適合を義務付け、基準は段階 的に強化 新造船の 新造船のCO2CO2排出規制排出規制 実燃費を把握し、継続 的な運航的手法の見 直しにより排出を削減 現存船を含む全ての船舶に、省 エネ運航計画の策定を義務付け 省エネ運航の義務付け 省エネ運航の義務付け
1-1 国際海運からの温室効果ガス排出削減対策
増大を続ける国際海運分野のCO
2排出
増大を続ける国際海運分野のCO
2排出
排出量約 3倍 排出量約 3倍 9億トン 9億トン 14億トン 14億トン26億トン 26億トン ・ 今通常国会で海洋汚染等防止法を改正する法律が成立(2012.9.6) 2 CO2排出規制の導入で、我が 国海運・造船業が得意とする 省エネ技術力を発揮できる環 境が世界的に整い、国際競争 力向上に大きな効果が期待さ れる期待されるCO
2
排出削減効果
0 5 10 15 20 25 30 35 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 CO2排出量[億トン] [年] 何も対策をとらない場合、国際海運からのCO2排出量は2007年比で 2030年に1.6倍、2050年に3.0倍と予測。 燃費規制等の効果で2030年で20%以上、2050年で約40%の排出 削減が見込まれる。 2050年約26億トン →約16億トン(規制後) 2030年約14億トン →約11億トン(規制後) 2007年 約8.7億トン 何も対策 を取らな い場合 ※ 条約改正後の 排出量 現在審議中の課題 ・ CO2排出削減に経済的インセンティブを与える手法の導 入により、更なる排出削減が可能。(IMOにおいて検討中) ▲3億トン (23%減) ▲10億トン (39%減) 2013年 規制開始 3UNFCCC
(国連気候変動枠組条約)におけるバンカー分野の議論
国際航空・国際海運分野(バンカー分野)の温暖化対策については、UNFCCC締約国会議 (COP)および特別作業部会でも、ポスト京都議定書の議論のなかで検討が進められている。 ダーバン会合(2011年末)では、当該分野についても検討を継続することは合意されたもの の、具体に踏み込んだ内容の合意はなされなかった。 CBDR原則*1と一律適用/非差別的取扱いの原則*2の調和 UNFCCCにはCBDR原則がある一方、ICAO・IMOには一律適用・非差別的取り扱いの原則がある。 このため、CBDRを根拠に途上国に削減義務を課さないよう主張する途上国と、国際交通分野の 原則に従いグローバルな枠組みの構築を目指す先進国とが対立しており、合意形成が極めて困 難な状況となっている。*1: Common But Differentiated Responsibility: 共通だが差異ある責任
*2: 国境を越えて活動する国際交通は国ごとの排出量割り当てのしくみがなじまない その他留意事項 EUは、2005年比で、2020年において、航空分野で10%削減、海運分野で20%削減を目標と しており、UNFCCCからICAO・IMOへ削減目標のガイダンスを与えるべきと主張。
UNFCCCの議論の枠組みとこれまでの経緯
UNFCCCの議論の枠組みとこれまでの経緯
UNFCCCにおける主要論点
UNFCCCにおける主要論点
国際海運分野の温暖化対策については、専門的知見を有する国際民間航空機関(ICAO)及び 国際海事機関(IMO)で引き続き検討していくことが大前提。 国際交通分野の決議については、上記大前提を基に途上国やEUへの対抗軸を表明し続けてい くことが必要。UNFCCCにおける我が国の対応方針
4途上国のための気候変動対策資⾦を巡る議論
第15回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP15)では、先進国は途上国に対する支援と して年間1,000億ドルの資金を共同で調達することに合意(2009年12月)。 国連事務総長の諮問グループ作成のレポートでは、年間1,000億ドルの調達先として、国際 航空・海運からの拠出を大きな資金源(年間$60~120億※1)と位置づけ(2010年11月) なお、EU、NGOも国際海運を有力な資金源と認識。国連気候変動枠組条約における議論
国連気候変動枠組条約における議論
G20財務大臣会合に世界銀行等が実施した各種資金源の分析結果が報告され、更なる作 業を求めることとされた(2011年10月14~15日) ⇒報告書では、国連事務総長の諮問グループ作成のレポートとほぼ同様に、国際航空・海運 からの拠出を大きな資金源(年間$70~110億※1)と位置づけている。 G20メキシコサミット(2012年6月)でのDeclaration(パラ71)において、効率的な Green Climate Fund資金の調達方法を検討するため、G20 study groupを設立すること、及 び、同年11月に各国財務大臣へレポートを提出することが記載されている。G20における議論
G20における議論
全世界のCO2排出量のうちわずか3.5%※2の国際交通分野だけが主要な資金源として取り上 げられることは問題であり、特定セクターに過度な負担を強いるべきではない。 国際交通分野の温暖化対策については、専門的知見を有する国際民間航空機関(ICAO) 及び国際海事機関(IMO)で引き続き検討していくことが大前提。我が国の方針
我が国の方針
※1:$25/CO2ton(中レベル)とした場合 ※2:出展 :CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION HIGHLIGHTS (2011 Edition)1-2 内航海運における地球温暖化対策の現状
海上輸送へのモーダルシフトに貢献する荷主企業及 び物流事業者を選定・顕彰。また、エコシップマークを 通じて、船を利用したモーダルシフトのアピールを行う エコシップ・モーダルシフト事業 内航海運省エネ診断 内航船の省エネルギー診断により、大幅な設 備の改善を伴わない運用上の工夫(運航管理、 保守管理等)を行いCO2排出削減を実施。 SES等の省エネ船を共有建造する場合、船舶使用料 を軽減。 共有建造制度 海上交通の低炭素化等総合事業(別途説明) 現存船に対する燃費の向上等に資する設備 導入等に対して、費用の1/3を助成。省エネ船舶・設備の導入促進
特定荷主及び特定輸送事業者に対して、年平均 1%以上のエネルギー消費原単位改善を義務づけ。 より精緻なエネルギー使用量把握に向け検討中。 省エネ法(別途説明) 地球温暖化対策税(別途説明) 石油石炭税にCO2排出量に応じた税率を上 乗せ(H24.10月~)。内航海運については 平成26 年3月まで免税・還付措置の対象。 6○現状の規制等
○支援策
モーダルシフト・省エネ運航の促進
省エネ設備を搭載する船舶の建造・改造に対し て、費用の1/3を事業者に助成。 (経産省)省エネ補助(別途説明) 船舶特別償却制度 ・環境低負荷船に対する特別償却(16/100) ・SES等省エネ船舶に対する支援を拡充(18/100)○ 一単位のエネルギー消費に対し、輸送事業者及び荷主に対して省エネ法※により規制
輸送事業者 特定輸送事業者 ・鉄道車両300両以上 ・事業用自動車200台以上 (タクシーは350台以上) ・自家用貨物自動車200台 以上 ・船舶2万総トン以上 ・航空、総最大離陸重量9000トン以上 国 土 交 通 省 輸送事業者の努力義 務 貨物輸送事業者に係るエネル ギーの使用の合理化に関す る貨物輸送事業者の判断の 基準等 計画書・定期報告 勧告等 届出 指定 輸送事業者 荷主 特定荷主 ・自らの荷物を年間3000万ト ンキロ以上輸送している者 経 済 産 業 省 等 荷主の努力義 務 貨物輸送事業者に行わせ る貨物の輸送に係るエネ ルギーの使用の合理化に 関する荷主の判断の基準 計画書・定期報告 勧告等 届出 指定 荷主省エネ法における運輸分野のスキーム
※エネルギーの使用の合理化に関する法律名前 計算式 説明 (エネルギー消費量=E とおく。) 使用頻度 特徴 算出 値 実績 値 一定 値 内航 荷主 ハード性 能 省エネ運 航 手 間 精 度 燃料 法 実績値よりEを算定。そのため、ハード性能、省エネ運航等全ての省エネ努 力が反映され精度も高い。反面、混載の場合荷主別按分が必要となるため 詳細なデータ把握が必要。 ○ 省令 ▲ ○ 反映 ○ 反映 × 多 ○ 高 燃費 法 実績値より算出した燃費を用いてEを算定。そのためハード性能は反映され る。精度は燃料法には劣るが、燃料法より手間は少ない。 燃費値には原則実績値を使用するが、トラックについてはデフォルト値が設 定されている。 × ▲ ○ 反映 × 一部例外 あり △ 中 △ 中 トン キロ 法 改良トンキロ法(トラック) ハード性能や省エネ運航等に関わらず、輸送量(トンキ ロ)からEを算定。その際使用する原単位を、積載率、積 載量毎に設定しているため、積載率の向上や輸送機器 の巨大化等の省エネ努力が反映できる。 ハード性能向上 や省エネ運航の 結果については、 反映されない。 × ○ 告示に 値記載 × 反映され ず × 反映され ず ○ 少 × 低 トンキロ法(鉄道・船舶、航空) ハード性能や省エネ運航等に関わらず、輸送量(トンキ ロ)からEを算定。積載率向上、積載量増加等の省エネ 等に関わらず使用する原単位値は一つのため、輸送事 業者の原単位改善にはつながらない。
特定荷主の定期報告で使⽤できる計算⽅法(輸送事業者は燃料法のみ)
8 トラックに適⽤されている「改良トンキロ法」を船舶にも導⼊内航船舶等に適⽤されている「トンキロ法」
【課題】 船舶の規模、積載率にかかわらず同⼀の数値を 使⽤。 積載率向上などの省エネ努⼒が報われない。より精緻なエネルギー使⽤量把握に向けた検討案1
9CO 2 排出指標( gram / ton-mile) EEDI EEDI 運航開始 設計・建造時 EEOI EEOI 減速・ウェザルーチング等、運航上の措置を適 切に取れば、トレンドとしてEEOIは改善。 貨物積載量× 速力 エンジン出力×燃料消費率 EEDI EEDI (g/ton
(g/ton--mile)mile) = = 船の効率ポテンシャル。一船に一つ、一生固定 のラベル。 運航 実貨物量× 実航海距離 実際の燃料消費量 EEOI (g/ton-mile) = 実際に達成された効率。航海毎に変動。 SEEMP SEEMP 設計・建造時:船舶の効率ポテンシャルを燃費指標により客観的に評価 運 航 時:省エネ運航計画に基づいて、船舶の効率を最大限発揮できるよう効率的に運 航 ・運航上の措置を自己宣言 ・プランを船上に備付け ・EEOIを自己(社内)モニタリ ング、改善に活かす 10
更に先進的な船舶の省エネ性能を評価するため、
トンキロ燃費の実測(EEOI)の普及を推進する。
より精緻なエネルギー使⽤量把握に向けた検討案2
第3章 4.消費課税 (2)地球温暖化対策のための税 ① 石油石炭税に、「地球温暖化対策のための課税の特例」を設け、CO2排出量に応じた税率を上乗せします。 ② 「地球温暖化対策のための課税の特例」により上乗せする税率は、原油及び石油製品については1キロリットル当たり760 円、ガス状炭化 水素は1トン当たり780 円、石炭は1トン当たり670 円とします。その結果、上乗せ分を合わせた石油石炭税の税率の改正は平成24年10 月 1日から実施することとし、次のとおり所要の経過措置を講じます。 次のイからニについては、「地球温暖化対策のための課税の特例」により上乗せされる税率についてのみ、平成26 年3月31 日までの間、免 税・還付措置を設けることとします。 イ 苛性ソーダ製造業において苛性ソーダ製造用電力の自家発電に利用される輸入石炭 ロ 内航運送用船舶、一定の旅客定期航路用船舶に利用される重油及び軽油 ハ~ニ (略) 原油・石油製品 ガス状炭化水素 石炭 〔1kl 当たり〕 〔1t当たり〕 〔1t当たり〕 現行 2,040 円 1,080 円 700 円 平成24 年10 月1 日 2,290 円 1,340 円 920 円 平成26 年4 月1 日 2,540 円 1,600 円 1,140 円 平成28 年4 月1 日 2,800 円 1,860 円 1,370 円 原油・石油製品 ガス状炭化水素 石炭 石油石炭税 現行税率 上乗せ税率 課税イメージ 「地球温暖化対策のための課税の特例」 (CO2排出量に応じた税率を上乗せ) 平成24年度税制改正大綱 (抜粋) (平成23年12月10日閣議決定)地球温暖化対策税について
経産省 省エネ補助制度の概要
SII (H22年度まではNEDO) メーカー等 事業者 運輸分野における手続き フロー図 運輸分野における手続き フロー図 国土交通省※ (地方運輸局、地方整備局等) ※省エネ効果、技術の先端性の書き方等について助言、申請事業に関わる国土交通省所管関係事項についての助言 発注 引渡し 補助 申請 申請状況を適宜連絡 申請相談 経済産業省 補助 連 携 ○事業者が計画した省エネ取組のうち、「技術の先端性」、「省エネ効果」及び「費用対効果」を踏まえ 政策的意義の高いものと認められる設備導入費(リプレースに限る)について補助 ○「先端的な設備・技術」等に対する導入補助、中小企業・エネルギー多消費企業等を重点的に支援 ○補助対象者 全業種、設備を設置・所有する事業者(法人格を有すること) ○補助率 事業者単独事業1/3以内 ○総額 約160億円 ○一件当たりの補助上限額 50億円/年度 12海上交通の低炭素化等総合事業
○目的 モーダルシフトの主要な担い手である内航海運・フェリーについて、低炭素化を通じた輸送モードとしての競争力の向上や 海上輸送の体質強化を図る。 ○内容 船舶運航事業者等が行う省エネ効果の高い機器の導入等やモーダルシフトに資する船舶関連輸送機器の導入に対して 補助を行う。 低炭素化改造等 ○船舶の省エネ化に資する改造等に対する補助 ( 1/3、1/2補助) <低炭素化に資する改造等> ・運航効率を向上させる船体改造・改修 ・推進効率を向上させる機器の導入 等 低燃費ディーゼル機関 プロペラボス取付翼 内航海運船舶輸送機器導入の促進 【日本再生重点化措置】 ○海上輸送へのモーダルシフトに資する輸送機器導入に対する補助 (1/4補助) <輸送機器の例> ・海上輸送の実現により一定水準以上のCO2削減 効果等が見込まれる被けん引自動車(シャーシ) 船底低摩擦化 ○環境に優しい輸送モード (CO2排出量はトラックの約3分の1) ○地域の生活の足やモーダルシフトの 主要な担い手 (東日本大震災の緊急輸送にも役割発揮) 競争力向上 や体質強化 が急務 しかしながら輸送量が減少しシェア低下 内航海運・フェリーの特長 平成24年度 約3.4億円 (うち日本再生重点化措置 約0.8億円) 陸走による輸送 発荷主~積荷港間を ピストン輸送 海上航送 揚荷港~着荷主間を ピストン輸送 シャーシ導入により海上航送へ転換 (事業のイメージ) 13ECA-N
ECA-S
2-1 NOx、SOxの国際規制の概要
14NOx規制
130kWを超えるディーゼルエンジンを搭載する 船舶が対象 エンジンの出力あたりのNOx排出量の上限値に より規制 2次規制 全ての海域に適用 2011年~2015年に建造される船舶 1次規制値より約15%~22%削減 3次規制 指定海域(ECA)に適用 2016年以降に建造される船舶 1次規制値より約80%削減 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 1次規制(外航2000年/内航2005年) 1次規制(外航2000年/内航2005年) 2次規制(2011年)1次時規制比約20%削 減 2次規制(2011年)1次時規制比約20%削 減 3次規制(2016年)1次規制値比約80%削減 3次規制(2016年)1次規制値比約80%削減 NOx 規制値 (g/kW h ) 機関回転数(rpm)SOx・PM規制
各海域内の全ての船舶が対象 燃料油の硫黄分濃度の上限値により規制 指定海域 (ECA) 一般海域 一般海域 2015年 2012年 2020年or2025年 3.5% 0.5 % 1.0% 0.1% 4.5% 2018年までにIMOで 規制開始時期を決定 段階的にS分濃度の上限値を強 化 一般海域よりも厳しい規制2-2 NOx、SOxの排出規制海域(ECA)
ECA
発効
北海、バルト海
ECA-S
発効済み
北米
ECA-N, ECA-S
2011年8月1日
(2012年8月1日よりECA-Sの規制開始)プエルトリコ周辺
ECA-N, ECA-S
2013年1月1日
(2014年1月1日よりECA-Sの規制開始) CanadaUnited States (48 states) Mexico Saint-Pierre & Miquelon Hawaii (U.S.) Alaska (U.S.) Greenland (Denmark) 160° 140° 120° 100° 80° 60° 2 0 ° 3 0° 40° 50 ° 6 0° 7 0 ° Bahamas
これらの海域を航行する船舶には、ECAの規制が適用される。
2-2 ⽇本でのECA検討状況
委員長 若松 伸司 愛媛大学 農学部生物環境保全学 大気環境科学研究室 教授 他 大学関係委員3名、研究機関委員2名 関係業界委員7名(外航、内航、客船、造船、舶用機、漁業、石油) 環境省、水産庁、総合政策局、海事局 計17名 委員長 若松 伸司 愛媛大学 農学部生物環境保全学 大気環境科学研究室 教授 他 大学関係委員3名、研究機関委員2名 関係業界委員7名(外航、内航、客船、造船、舶用機、漁業、石油) 環境省、水産庁、総合政策局、海事局 計17名 ECA技術検討委員会を組織 我が国大気環境の状況及び船舶による影響を把握し、 ECA設定の必要性を検討 検討会の開催 第1回 H21年度 ~第4回 ~H23年度 第5回 H24年7月19日開催 (第6回 H24年度末 調査取り纏め) 検討会の開催 第1回 H21年度 ~第4回 ~H23年度 第5回 H24年7月19日開催 (第6回 H24年度末 調査取り纏め) シミュレーションにより、船舶から排出されるSO2とNO2、及び二次生成物質であるPM2.5(微小 粒子状物質)とオゾンについて、将来の大気汚染状況を予測 ① SO2及びNO2について、環境基準は達成されると予測される。 ② PM2.5について、ECA設定(S分0.5%→0.1%)を追加する効果は極めて限定的であると予 測される。 ③ オゾンについて、ECA設定(NO2を20%削減→80%削減)を追加する効果は極めて限定的 であると予測される。現時点では我が国の海域ではECA設定の必要性があるとは判断されない。
16※IMF Primary Commodity Pricesの原油価格(WTI)、天然ガス価格(Henry Hub)より、 熱当量換算 原油価格 天然ガス価格 価格差 拡⼤ (dol lars / MMB tu ) ’11 ’12 ’13 ’14 ’15 ’16 … ‘19 ’20 … ‘25 … 3.5% 0.5%※2 4.5 % [ECA※] 80%減 [ECA※] 1.0% [ECA※] 0.1% 10%減 20%減 30%減 ⾮常に優れた天然ガスの環境性能 環境規制の強化 価格⾯の優位性 平均以上
※ECA(Emission Control Area:⼤気汚染物質放出規制海域):⼀般海域よりも厳しい規制が課せられる。
SOXは欧州・北⽶のECA、NOXは北⽶のECAが対象
※2 2020or2025開始。2018に規制開始時期をレビュー ⼆酸化炭素(CO2)
⽯炭、⽯油、天然ガスのCO2等排出量⽐較
IEA: Natural Gas Prospects to 2010 Natural Gas Prospects and Policies 窒素酸化物(NOX) 硫⻩酸化物(SOX) ⽯炭 ⽯油 天然ガ ス 100 125 75 -25 70 100
我が国海事産業の国際競争⼒強化のため、
天然ガス燃料船の早期実⽤化・導⼊が必要
船舶の燃料転換へ向けた動きが
世界でスタート
⽯炭から⽯油以来の⼤転換
船舶の燃料転換へ向けた動きが
世界でスタート
⽯炭から⽯油以来の⼤転換
⽯炭⽯炭 重油重油 天然ガス燃料船 19世紀初頭〜 20世紀初頭〜 現在3.天然ガス燃料船の早期実⽤化・導⼊の背景
SOX (燃料油中の硫⻩ 分) NOX (排出量規制) GHG (排出量規制) 20%減 ⽯炭 ⽯油 天然ガ ス 100 140 60 30 ~ 70 40 ~ ⽯炭 ⽯油 天然ガ ス 100 140 100 0 17船舶(ハード⾯)の 安全性の評価等を実施
天然ガス燃料船の早期実⽤化・導⼊に向けて
国際海運における天然ガス燃料船の早期実⽤化・導⼊のための戦略的対応 Ship to Ship概念図 補給船 補給船 天然ガス燃料船天然ガス燃料船H24年度
H24年度
H25年度〜 H25年度〜 船舶構造や機関などのハード⾯や、燃料供給や船員教育などの運⽤・ソフト⾯の 安全基準等が未整備 天然ガス燃料船の実⽤化・導⼊を阻害 課題 課題 ② 船舶(ハード)に係る 安全規制の検討 ② 船舶(ハード)に係る 安全規制の検討 船舶及び燃料供給システムの 国際標準化を戦略的に推進 ① 早期実⽤化・導⼊のための 国際動向調査等 ① 早期実⽤化・導⼊のための 国際動向調査等H24年度の成果を踏まえ、国際基準・標準化等を戦略的に推進すると
ともに天然ガス燃料船の早期実⽤化・導⼊に向けた環境を整備
基準策定に係る
国際的なイニシアティブ
をとるとともに、
天然ガス燃料船の
早期実⽤化
を図ることにより、
先⾏者利益を享受
国際海事機関(IMO):ロンドン 燃料供給に関する 安全性の評価等を実施 ③ 燃料供給(ソフト)に係る 安全規制の検討 ③ 燃料供給(ソフト)に係る 安全規制の検討 18 ○船舶解体(シップリサイクル)の大半は、労働コストや鉄需要の関係から インド・バングラディシュ等の発展途上国で実施されている。 ○これら発展途上国における船舶解体は劣悪な環境で実施されており、 環境汚染や労働災害が深刻な問題となっている。 ○海運・造船の実態を踏まえたシップリサイクルを実施すべく、一定の ルールのもとでの世界的な仕組みが必要とされていた。 発展途上国におけるリサイクルヤードの現場取組
条約の発効 条約の発効 ・安全、環境に配慮した船舶リサイクルの実現 ・安全、環境に配慮した船舶リサイクルの実現 ・我が国におけるシップリサイクル事業の創出・我が国におけるシップリサイクル事業の創出効果
○国際的取組(シップリサイクル条約) 労働災害・海洋汚染の解決のため、2009年5月に新条約を採択。我が 国は、IMOにおけるシップリサイクル条約起草への取り組みや関連ガイ ドラインの策定を主導。 ○国内における取組 日本国内における条約要件に対応 した大型船舶解体事業に向け、市 場特性を踏まえた事業運営スキー ムの検討等、環境整備を促進。 主要解撤国別船舶解撤実績の推移 【適用船】 国際トン数 500トン以上の商用船 【非適用船】 ・艦艇 ・官庁船 ・国際トン数 500トン未満の船舶 ・船舶の寿命の間、EEZ内のみを航行する 船舶(≒内航貨物船・旅客船、沿岸漁船)背景
4.シップリサイクルの総合対策
5-1 SES及び⾼度船舶安全管理システム搭載船の乗組み制度⾒直しについて 職員法第20条の特例許可 (初回は6ヶ月間、それ以降は1年毎に更新) 平成24年7月末 検証開始の申請 実船検証 (シャドープレーでの検証) 1ヶ月間 検証運航 (機関部職員を減員した体制での検証) SES、高度船舶の検証運航に係る手続き (平成21年12月より運用開始) 次世代内航海運ビジョン(平成14年4月) ◆地球温暖化対策:京都議定書における対応等、地球的規模での環境保全の取組の強化 ◆高度かつ効率的な輸送サービスの構築:技術革新の進展や経済社会情勢の変化に適切に対応し、一体的 かつ総合的な社会的規制の見直しが必要。 ◆平成16年8月より、官公労使で構成される「次世代内航船に関する乗組み制度検討会」において、次世 代内航船(新技術を導入した船舶)に適した効率的な乗組み体制のあり方について検討を開始 ◆第8回の同検討会(H21年7月)において、SES(スーパーエコシップ)、高度船舶(陸上から機関の運転 状態を監視するシステムを搭載した船舶)に関する配乗見直し(機関部職員を1名又は2名減員した体制 での運航)の実証を行うことを決定。 検討経緯 背 景 20 職員法第20条の特例許可 (初回は6ヶ月間、それ以降は1年毎に更新) 平成27年7月末 検証開始の申請 実船検証 (シャドープレーでの検証) 1ヶ月間 これまでの検証運航の実績 ・高度船舶4隻が実船検証(シャドープレイ)を実施し、そのうち2隻が検証運航(リアルプレイ)をH24.7まで実施。 ・これらの船舶は、いずれも限定近海区域を航行区域とする機関出力が3,309又は3,900kWの船舶であり、法令上、 機関部職員3名での乗組みのところ、1名減じた2名での体制にて運航を実施。 ・これまでの検証運航において、適切な航海当直体制が維持されていること、全ての乗組員の労働時間が船員法 の基準を満足していること、故障等の対応で支障をきたしていないことなど、適切な運航が実施されていることを確 認。 今後の取扱い① 限定近海を航行区域とする機関出力1,500kW以上6,000kW未満の高度船舶の機関部職員2名化 限定近海を航行区域とする機関出力1,500kW以上6,000kW未満の高度船舶においては、今後個船ごとに安全 性等に問題のないことを検証・確認(1ヶ月の実船検証及び3ヶ月の検証運航による)した上で、職員法第20条の規 定に基づく特例(2年間)として、機関部職員2名配乗(機関長、1機士)による運航を認めることとした。 これに伴い、個船ごとの安全性等を検証・確認するための通達を新たに策定。 今後の取扱い② 検証運航制度の延長(平成27年7月末まで) 検証運航制度を延長するため、現行通達を改正。 検証運航 (機関部職員を減員した体制での検証) 7月6日(金)の第11回検討会において、検証運航の実績等を踏まえ、平成24年8月以降、以下のとおり取り扱うこ とが妥当である旨決定された。 21
○船舶職員及び小型船舶操縦者法施行令(昭58政令13)別表第一第二号表(機関部) 遠 洋 区 域 近 海 区 域 沿 海 区 域 機 関 部 平 水 区 域 甲 区 域 乙 区 域 丙 区 域 航 行 区 域 近 海 区 域 (限定近海区域) 機 一 二 三 機 一 二 三 機 一 二 機 一 機 一 等 等 等 等 等 等 等 等 等 等 船 舶 職 員 関 機 機 機 関 機 機 機 関 機 機 関 機 関 機 関 関 関 関 関 関 関 関 関 関 長 士 士 士 長 士 士 士 長 士 士 長 士 長 士 一 二 三 三 一 三 四 五 三 四 五 三 四 機関出力 四 五 (KW) 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 6,000 二 二 三 四 三 四 五 五 未満 四 五 五 四 五 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 3,000 二 三 四 三 四 五 未 満 級 級 級 級 級 五 級 級 級 級 級 級 1,500 三 四 五 四 五 四 五 五 六 未 満 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 750 四 五 五 五 六 六 未 満 級 級 級 級 級 級 遠 洋 区 域 近 海 区 域 沿 海 区 域 機 関 部 平 水 区 域 甲 区 域 乙 区 域 丙 区 域 航 行 区 域 近 海 区 域 (限定近海区域) 機 一 二 三 機 一 二 三 機 一 二 機 一 機 一 等 等 等 等 等 等 等 等 等 等 船 舶 職 員 関 機 機 機 関 機 機 機 関 機 機 関 機 関 機 関 関 関 関 関 関 関 関 関 関 長 士 士 士 長 士 士 士 長 士 士 長 士 長 士 一 二 三 三 一 三 四 五 三 四 五 三 四 機関出力 四 五 (KW) 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 6,000 二 二 三 四 三 四 五 五 未満 四 五 四 五 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 3,000 二 三 四 三 四 五 未 満 級 級 級 級 五 級 級 級 級 級 級 1,500 三 四 五 四 五 四 五 五 六 未 満 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 750 四 五 五 五 六 六 未満 級 級 級 級 級 級 H24.8以降の20条特例による配乗 配乗表による原則 20条特例の運用に係る見直し案の概要 限定近海を航行区域とする機関出力1,500kW以上6,000kW未満の高度船舶の機関 部職員2名化については、1ヶ月の実船検証及び3ヶ月の検証運航により、安全性 等に問題のないことを確認した上で、その配乗を機関長(四級以上)及び一等機関 士(五級以上)とすることを通常の20条特例の手続きにより認める。 なお、既に実船検証又は検証運航を実施した船舶については、改めて実船検証等 を行うことを要しない。 ※( )書きは、資格