タイサブリ点滴静注 300 mg
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第 1 部(モジュール 1):
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1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯
目次
1. 起原又は発見の経緯 ... 6
1.1 多発性硬化症 ... 6 1.1.1 病態、病因及び疫学 ... 6 1.1.2 診断 ... 8 1.1.3 治療 ... 82. 開発の経緯 ... 9
2.1 物理的及び化学的特性並びに薬剤学的特性 ... 13 2.2 非臨床試験 ... 14 2.3 臨床試験 ... 15 2.3.1 臨床薬理試験 ... 15 2.3.2 有効性及び安全性を評価した臨床試験 ... 163. 本剤の特徴 ... 21
4. まとめ ... 22
5. 参考文献一覧 ... 23
表一覧
図一覧
図 2-1 開発の経緯(物理的及び化学的特性並びに薬剤学的特性) ... 10 図 2-2 開発の経緯(非臨床試験) ... 11 図 2-3 開発の経緯(臨床試験) ... 12
略号一覧
略号 省略していない表現(英) 省略していない表現(日)
BBB Blood-brain barrier 血液脳関門 CD Crohn’s disease クローン病
CL Clearance クリアランス
CNS Central nervous system 中枢神経系 DMT Disease modifying therapy 病態修飾療法
EU European Union 欧州連合
IM Intramuscular 筋肉内
MAdCAM-1 mucosal addressin cell adhesion molecule-1 ― MS Multiple sclerosis 多発性硬化症 PD Pharmacodynamic (s) 薬力学(的) PK Pharmacokinetic (s) 薬物動態(的) PML Progressive multifocal leukoencephalopathy 進行性多巣性白質脳症
RMS Relapsing form of multiple sclerosis 再発性多発性硬化症 RRMS Relapsing-remitting multiple sclerosis 再発寛解型多発性硬化症
SC Subcutaneous 皮下
SPMS Secondary progressive multiple sclerosis 二次性進行型多発性硬化症
US United States 米国
1. 起原又は発見の経緯
ナタリズマブ(以下、本薬又は本剤)は、ヒトα4 インテグリンに特異的に結合する遺伝子組換 えヒト化 IgG4モノクローナル抗体である。本薬はマウス骨髄腫細胞 NS/0 で産生される。グリコ シル化ナタリズマブの分子量は約 149 キロダルトンである。 本薬はα4β1 及び α4β7 インテグリンの α4 鎖に結合する。α4 インテグリンは好中球を除く全て の白血球及び造血系前駆細胞の細胞表面に発現し、ホーミング及び接着機能を媒介する。これは、 血管内皮細胞の細胞表面に発現する VCAM-1 及び MadCAM-1 にα4 インテグリンが結合すること による。MadCAM-1 は、腸管において、主に T リンパ球及び単球に発現するα4β7 インテグリン に特異的に結合する(Lobb and Hemler, 1994)。その他のα4 インテグリンのリガンドには細胞外基質に発現するオステオポンチン及びフィブロネクチン(CS-1)がある(Bayless et al., 1998; Guan et
al., 1990)。本薬はα4 インテグリンとそのリガンドとの相互作用を阻害する。これらの分子間相互 作用の阻害により、単核白血球が血管内皮細胞を通過して炎症組織に遊走することが抑制される。 本薬は、細胞外基質内のリガンドへのα4 インテグリン発現白血球の結合を阻害することにより、 病巣で進行中の炎症反応を抑制する可能性もある。 本剤は、多発性硬化症(MS)及び中等症又は重症クローン病(CD)の治療を目的として Biogen Idec 社と Elan 社で共同開発されたものである。国内では、MS のみで開発が行われている。MS では、活性化 T リンパ球が血液脳関門(BBB)を通過することにより病巣が形成されると考えら れている。白血球の BBB を通過した遊走には、α4β1 インテグリンと VCAM-1 間の相互作用が関 与する。白血球が組織に移行すると、α4β1 インテグリンはさらに細胞外基質の CS-1 及びオステ オポンチンと相互作用する。その結果、炎症カスケードは促進され、最終的には白血球による髄 鞘の破壊により脱髄が引き起こされる。このように MS の発生及び進行には活性化 T リンパ球の 遊走が大きく関与することから、MS は本剤による治療候補である。 1.1 多発性硬化症 1.1.1 病態、病因及び疫学 MS は、炎症、脱髄(神経を覆う髄鞘の破壊)及びオリゴデンドロサイトや神経細胞などの中 枢神経系(CNS)細胞の消失を病理学的特徴とする CNS の慢性的な自己免疫疾患及び神経変性疾 患である。MS の原因となる病的変化は、活性化 T リンパ球が BBB を通過し、血管内皮細胞の活 性化、更なるリンパ球及び単球の動員、炎症性サイトカインの放出に至る一連の反応が開始され るために出現すると考えられている。MS 病巣は CNS 全体にみられる。MS 病巣の形成により炎 症、浮腫及び脱髄が生じ、最終的にオリゴデンドロサイトの細胞死や軸索切断などの不可逆的損 傷に至る。このような病態生理学的過程の進行に伴い、一過性の臨床症状として再発が生じるこ とも多く、次第に MS の後期にみられる持続的な身体的障害があらわれるようになる。二次性進
行型多発性硬化症(SPMS)では通常、CNS の変性過程が持続すると報告されているが、二次性 進行期の MS 患者でも多くの場合、活動性炎症が引き続きみられる(Rovaris 2006)。炎症カスケ ードがどのように開始されるのか十分に明らかにされていないが、初期の重要な段階として、炎 症細胞が血管内皮細胞に接着通過して CNS に移動することが考えられている。 MS は、CNS の脱髄性疾患としては最も多くみられ、患者数は全世界で約 250 万人である。有 病率は白人が最も高く、その中でも北米、欧州、オーストラリア及びニュージーランドでの報告 率が高い(Noseworthy et al., 2000、Rosati 2001)。日本では年々、患者数が増加しており、過去 10
年間で 2 倍近い数字になっている(Houzen et al., 2012)。
MS は厚生労働省の特定疾患に指定されている。2004 年に日本で実施された全国疫学調査によ ると、MS の患者数は MS の疑いのある患者を含めると 12400 人、MS の疑いのある患者を除くと 9900 例であり、有病率は 100000 人あたり7.7 人と推定された(Kira 2006、Kira et al., 2005)。別の
解析では、Houzen 及び Nakamura により、北日本での MS の有病率が 2001 年の 8.6/100000 人から、 2006 年には 13.1/100000 人、2011 年には 16.2/100000 人に上昇していることが確認されている (Houzen et al., 2012、Nakamura et al., 2009)。
全世界で最も多くみられる MS の病型は再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である。欧米諸国、 日本とも MS 患者の約70~90%が RRMS を呈し(Saida 2002、Weinshenker et al., 1989)、残りの患 者は進行型 MS を呈する。 RRMS では、神経学的症状の悪化(急性増悪/再発)と症状が比較的安定する時期を繰り返す。 神経学的悪化の症状は 1 日をとおして発現する可能性があり、視力喪失又は複視、四肢のしびれ 又はピリピリ感、筋力低下、不明瞭な発語、協調運動困難、膀胱機能障害のほか、認知障害、心 理的変化などがみられる。RRMS の初期には、再発してもこれらの症状は数日又は数週間で完全 に消失する傾向にあるが、時間の経過とともに完全な回復は難しくなる。最終的に、RRMS 患者 の約 70%が、明らかな再発の有無にかかわらず、神経学的症状が進行性に悪化する病型である SPMS に移行する。RRMS から SPMS へと進行するにつれ、再発とは無関係に身体的障害が進行 しやすくなる。病態修飾療法(DMT)を施行しない場合、全 MS 患者の約半数が最初の診断から 15 年以内に補助具なしでは歩行不可能になる(Weinshenker 1995)。適切な治療を受けている患者 では、寿命が短縮することはまれであるが、MS は生涯のうちで活動的かつ生産的な時期におけ る疾病負担が大きく、この負担は徐々に増加していく。このことは、MS 患者の生活の質に関す る研究で毎回報告されている(Benito-León 2003)。また、MS は患者だけでなく、家族や介護者の 生活にも多大な負担をかける。
1.1.2 診断
「多発性硬化症治療ガイドライン 2010」によると、MS の診断基準としては、McDonald の診断 基準が国際的に用いられている(日本神経免疫学会及び日本神経治療学会 2010)。
診断基準は 1960 年代に作成され、長年にわたる改訂により新たな診断ツールが取り入れられて きた。McDonald の診断基準はまず、2001 年にインターナショナルパネルにより発表され (McDonald et al., 2001)、2005 年に改訂が加えられたあと(Polman et al., 2005)、2010 年に更に改
訂された(Polman et al., 2011)。McDonald の診断基準は主に、臨床像又は早期の MRI 検査により、
異なる時点及び CNS の異なる場所に脱髄性病巣が 2 個確認され、臨床症状と臨床検査値から他疾 患の可能性が除外されていることをもって MS と診断する。MRI 検査が改良されたことを考慮し て、McDonald の診断基準改訂版が作成され、臨床現場での使用により適したものとなったが、全 般的な概念には変更がなく、他の診断基準で診断された患者集団との差はほとんどない。外国人 RRMS 患者を対象とした本剤の第 III 相評価試験(試験 C-1801 及び C-1802)では 2001 年の McDonald の診断基準を用い、日本人患者を対象とした試験 101MS203 では McDonald の診断基準改定版 (Polman et al., 2005)を用いた。これらの診断基準は、国内試験を含め、MS を対象とした近年の 各種臨床試験で使用されている(Saida et al., 2012)。 1.1.3 治療 MS は再発と寛解(急性増悪と回復)を繰り返すことから、治療は 2 種類に大別される。急性 増悪(再発)に対しては通常、高用量副腎皮質ステロイドの静脈内投与、経口投与又はその両方 が行われる。再発以外に対しては、再発予防と MS 進行の抑制を目的に、主に DMT が行われる。 これらの治療法は国内の治療ガイドラインに記載されている(日本神経免疫学会及び日本神経治 療学会 2010)。現在、日本、米国(US)及び欧州(EU)の 3 極全てで承認されている RRMS の 治療薬はIFNβ 製剤 2 種類(アボネックス®及びベタフェロン®)及びフィンゴリモド(ジレニア® /イムセラ® 0.5 mg 1 日 1 回)である。これら以外のインターフェロン(IFN)製剤( 及び )並びに ( 、 )、natalizumab(Tysabri®)及び ( )は本邦未承認である。 日本で最も使用率が高い治療薬は、皮下(SC)注射又は筋肉内(IM)注射用のIFNβ 製剤であ る。IFNβ 製剤は、抗増殖作用、抗ウイルス作用を示すサイトカイン製剤であり、免疫調節作用を 示す MS 治療薬である。いずれのIFNβ 製剤も重要な臨床効果を示すが、その効果は中程度に止ま り、製剤の特性から使用が制限される。すなわち、IFNβ 製剤は SC 又は IM への頻回(隔日ある いは毎週)の自己注射が必要なため、一部の患者では、針に対する恐怖心やインフルエンザ様症 状などの急速注射に伴う反応に耐えられないことから、治療の開始をさけたり、これらの治療へ の忍容性が得られない場合がある。 フィンゴリモドは選択的な経口免疫抑制薬であり、リンパ球上の S1P 受容体の機能的アンタゴ
ニストである活性代謝物のフィンゴリモドリン酸塩に代謝される。日本では、フィンゴリモド 0.5 mg の 1 日 1 回投与が承認されており、国内治療ガイドラインでは、活動性が極めて高いなど の再発寛解型 MS の第 2 選択薬として推奨されている(日本神経免疫学会及び日本神経治療学会 2010)。また、フィンゴリモドは開始時の徐脈、肝障害、黄斑浮腫、感染(特にヘルペス)などの 副作用に対する十分な配慮が必要である。 本剤はこれまでに得られているデータに基づき、日本人 MS 患者に対して、未充足な医療ニー ズに対して、次の 2 つのニーズを提供することが可能である。その 1 つとしては、本剤の極めて 高い治療効果を求める患者のニーズであり、もう一つは既承認の DMT を使用してもなお、継続 する疾患活動性を示す患者に対する治療ニーズである。このように、本剤は MS 治療の領域に多 大な進歩をもたらすことが期待できる。
2. 開発の経緯
本剤は現在、60 を超える国において MS の治療薬として承認されている。US では、再発性多 発性硬化症(RMS)患者の治療において、障害進行を抑制させ、臨床的増悪の発現率を減少させ るための単剤療法として承認されている。本剤は、2004 年 11 月 23 日に US で最初に承認された。 2005 年 2 月 日、Biogen Idec 社は、臨床試験において進行性多巣性白質脳症(PML)の発生が 認められたことから、本剤の販売を自主的に休止した。その後、PML の危険因子に関する詳細な 調査を行い、リスク管理計画を導入した上で、同社は 2006 年 6 月 5 日に本剤の販売を再開した。 EU では 2006 年 6 月27 日に承認された。 本邦では、厚生労働省より、「医療上の必要性が高い未承認薬」として開発要請がなされ [M1.13.4.2-2 未承認薬の開発の要請]、 年から MS 患者を対象として 2 つのパートからなる第 II 相臨床試験を実施した。MS 治療薬としての開発の経緯を図 2-1、図 2-2、図 2-3に示す。図 2-1 開発の経緯(物理的及び化学的特性並びに薬剤学的特性)
品質 原薬
図 2-2 開発の経緯(非臨床試験) 遺伝毒性試験 受胎能及び着床ま での初期胚発生に 関する試験 胚・胎児発生に 関する試験 薬理 薬物動態 毒性 効力を裏付ける試験 副次的薬理試験 安全薬理試験 吸収 単回投与毒性試験 反復投与毒性試験
図 2-3 開発の経緯(臨床試験) 比較BA試験 及びBE試験 健康被験者におけるPK及び 初期忍容性試験 患者における 初期忍容性試験 外因性要因を検討したPK試 験 患者におけるPD試験及び PK/PD試験 申請する適応症に 関する比較対象試験 PD試験 有効性及 び安全性 試験 非対照試験 その他の臨床試験 生物薬剤 学試験 PK試験
2.1 物理的及び化学的特性並びに薬剤学的特性 本薬は、ヒト化抗α4 インテグリンモノクローナル抗体(IgG4/κ)であり、マウス骨髄腫細胞株 NS/0 における組換え DNA 技術により生成する。 その構造は、IgG4 サブクラス、すなわち 2 つの H 鎖及び 2 つの L 鎖より構成されている。分子 内に 32 個のシステイン残基が存在し、これら全てがジスルフィド結合しており、12 ヵ所で鎖内 ジスルフィド結合を、4 ヵ所で鎖間ジスルフィド結合を成している。 初期の製剤試験において、 、 及び を緩衝剤として用い、pH ~ の範囲における変更、 の添加、 の添加などにつ いて、本剤の安定性に及ぼす影響を観察した。 これらの試験の結果、pH は ~ が推奨された。緩衝剤については、 と を併用すると が生成するので、 や がより優れていた。 pH は、本薬の化学的安定性に大きく影響するので、より詳細に検討した。 mmol/L 緩衝液を用い pH ~ 又は mmol/L 緩衝液を用い pH ~ に調整し、それぞれ ~ °C、 °C 及び °C に ヵ月間保存したところ 緩衝液(pH )及び 緩衝液(pH 、 、 、 )では、 °C 下で 、 、 した。しかしなが ら、 緩衝液(pH ~ )及び 緩衝液(pH ~ )では、大きな変化は認められ なかった。 これらの緩衝液の pH 条件において、 スペクトルを測定したところ、 緩衝液(pH 、 、 )では、温度の上昇と共にスペクトルが変化し、pH 以上ではスペ クトルの変化は認められなかった。このことは本薬の二次構造は pH 以上では、より安定である ことを示している。 さらに、これらの緩衝液の pH 条件において、 により熱安定性を測定した ところ、pH ~ の範囲が最も安定であった。 安定性 実生産スケールで製造した 11 ロットを用い、長期保存試験(5°C ± 3°C 、 、 及び ヵ月 間)及び加速試験(25°C ± 2°C/60 RH ± 5%RH、 及び ヵ月間)を実施したところ、長期保存試 験では、全てのロット及び試験条件において、いずれの規格にも適合した。 加速試験では、 ヵ月間まで、全てのロット及び試験条件において、いずれの規格にも適合し
2.2 非臨床試験 本薬の薬理開発は、 年から、本薬の機能的特性及び特異性を評価すること、動物モデルに おける有効性を確立し、製造処方、方法及びスケールの変更においてその有効性評価方法を利用 すること、本薬による免疫機能への作用を評価すること、心血管系への作用を評価すること、並 びに MS 治療に使用されるアボネックスとの相互作用を評価することを目的として行われた。本 薬はヒト、アカゲザル、カニクイザル、イヌ、ブタ、モルモット及びフェレットのリンパ球、単 球及び好酸球の細胞表面のα4β1 及び α4β7 インテグリンの α4 サブユニットに特異的に結合するが、 マーモセット、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット又はアレチネズミでは結合しない。 効力を裏付ける試験は 年から 社(現 社)により、マウス親抗体(AN100226) の特異性、本薬のマウス、モルモット、アカゲザル、カニクイザル及びヒトに対する結合親和性、 MS 患者のリンパ球における α4 インテグリン発現、モルモットの実験的自己免疫性脳脊髄炎
(experimental autoimmune encephalomyelitis, EAE)モデルにおけるマウス親抗体(AN100226)及 び本薬の病態抑制効果を検討した。さらに、EAE モデルを用いて、病態抑制効果に対する製造ス ケールアップの影響について検討した。 副次的薬理試験は、 年から 社(現、 社)で、in vitro における免疫系への影響 及びカニクイザルを用いた免疫毒性について検討した。 安全性薬理試験は、 年から 社(現、 社)又は 社が、イヌ、カニクイザル (幼若及び成熟動物)及びアカゲザル(AVONEX®との併用)を用いた心血管系への影響が検討し た。さらに、 年から 社が、PML 発症に関する本薬の影響について検討した。 薬物動態試験は、代謝及び排泄に関する試験を除き 年から 社(現 社)、 社あるいは Biogen Idec 社により、ヌードマウス、SCID マウス、モルモット、カニクイザル(幼 若及び成熟動物)及びアカゲザルを用いて実施された。代謝及び排泄については実施していない。 本薬の代謝は、他の抗体と同様に一般的に明らかであり、他の抗体と同様にエキソペプチダーゼ 及びエンドペプチダーゼによる各アミノ酸への切断を介した異化によって代謝される。本薬の異 化によって生成された遊離アミノ酸は、一般的に明らかにされているとおり、正常の代謝、生合 成及び排泄を受ける。 毒性試験は、 年から 社(現、 社)、 社あるいは Biogen Idec 社が、マウス、 モルモット、カニクイザル(幼若及び成熟動物)、アカゲザル及び in vitro 系を用いて実施した。 がん原性については、本薬はラット及びマウスのα4 インテグリンと交差反応性を示さないため、 ラット又はマウスを用いた標準的な 2 年間のがん原性試験は実施しなかった。
2.3 臨床試験
2.3.1 臨床薬理試験 薬物動態評価項目
各試験において、PK パラメータの推定値は従来の方法を用いて算出した。血中濃度のプロファ イルは非コンパートメント法を用いて解析した。本薬の体内動態の評価に用いたパラメータは、 Cmax、AUClast、0 時間から無限大時間までの濃度-時間曲線下面積(AUC0-inf)、分布容積、クリア
ランス(CL)及び消失半減期である。 試験 101MS101 及び C-1801 に組み入れた 641 例のデータを用いて総合的な母集団 PK 解析を実 施した結果、抗ナタリズマブ抗体及び体重を除き、ほとんどの因子が本薬の体内動態に影響を及 ぼさないことが示され、本薬の薬物動態は患者特性が幅広く変化しても一定であると考えられた。 薬力学的評価項目 本薬はリンパ球上の受容体に影響を及ぼすことから、α4 インテグリン飽和度及び末梢血白血球 数の増加は、薬物作用のマーカーとすることができる。本剤 300 mg を 4 週間に 1 回点滴静注する と、α4 インテグリン飽和度が一貫して高いレベルで維持され、本剤の投与中止に伴い、飽和度は 低下した。末梢血白血球数の増加も、開発プログラムを通じて一貫して認められた。これらの上 昇は、投与中止後 16 週間以内に正常なレベルまで戻った。 日本人 MS 患者における薬物動態及び薬力学 PK 及び PD は、日本人 MS 患者でも試験 101MS203 のパート A において評価した。日本人集団 と外国人集団の間で PK を比較した結果、体重の差にもかかわらず、両集団における単回投与時 及び反復投与時の曝露量はほぼ同程度であった。日本人で血清中ナタリズマブ濃度がわずかに高 かったものの、この差は臨床的に意味のあるものではなかった。α4 インテグリン飽和度では、日 本人は、外国人患者集団よりは低くかったものの、概してα4 インテグリン飽和度は日本人でも高 い値を維持した。さらに、本薬に特徴的な白血球数の増加も認められた。 日本人試験における PK 及び PD の結果は、300 mg の固定用量の使用を支持するものであった。
2.3.2 有効性及び安全性を評価した臨床試験 MS 患者を対象に有効性及び安全性を評価した主な臨床試験の一覧を表 2-1に示す。 表 2-1 MS患者を対象に有効性及び安全性を評価した主な臨床試験の一覧 試験の 種類 試験番号 添付資料 番号 試験の目的 試験デザイン 治験薬/ 投与量 被験 者数 対照 投与期 間 資料 区分 比較対 照試験 AN100226-231 外国試験 5.3.5.1-3 有効性、安全 性、忍容性、 PK、PD、免疫 原性 多施設共同無 作為化二重盲 検プラセボ対 照並行群間比 較 プラセボ 本剤 3 mg/kg 6 mg/kg 213 再発性 MS 患者 6 ヵ月 評価 比較対 照試験 101MS203(パ ート B) 国内試験 5.3.5.1-4 有効性、安全 性、忍容性、 PK、免疫原性 多施設共同無 作為化二重盲 検プラセボ対 照並行群間比 較 プラセボ 本剤 300 mg 94 再発寛解型 MS 患者 6 ヵ月 評価 比較対 照試験 C-1801 外国試験 5.3.5.1-5 有効性、安全 性 多施設共同無 作為化二重盲 検プラセボ対 照並行群間比 較 プラセボ 本剤 300 mg 942 再発寛解型 MS 患者 24 ヵ月 評価 比較対 照試験 C-1802 外国試験 5.3.5.1-6 有効性、安全 性(AVONEX® に本剤を追加 投与時) 多施設共同無 作為化二重盲 検プラセボ対 照並行群間比 較 プラセボ 本剤 300 mg 1171 再発寛解型 MS 患者 24 ヵ月 評価 非対照 試験 C-1808 外国試験 5.3.5.2-2 有効性、安全 性、免疫原性 多施設共同非 盲検継続投与 本剤 300 mg 1615 再発寛解型 MS 患者 最大 24 ヵ月 評価 非対照 試験 101MS204 国内試験 5.3.5.2-10 有効性、長期 安全性、忍容 性 多施設共同非 盲検長期継続 投与 本剤 300 mg 97 再発寛解型 MS 患者 本邦で 本剤が 承認さ れるま で 評価 2.3.2.1 海外で実施された臨床試験 本剤の有効性及び安全性は、大規模な無作為化プラセボ対照二重盲検臨床試験である 3 試験及 び長期継続試験である 1 試験において、RMS を有する外国人患者を対象に評価された。無作為化 プラセボ対照二重盲検臨床試験の 3 試験としては、4 週間に 1 回、3 mg/kg 又は 6 mg/kg の用量で 投与したときの本剤の効果をプラセボと比較した 6 ヵ月間の第 II 相試験 AN100226-231 と、300 mg の固定用量で 4 週間に 1 回点滴静注した 2 年間の第 III 相試験 C-1801 及び C-1802 である。試験の 主要評価項目は、MRI 上の Gd 造影病巣及び新規又は新規に拡大した T2 高信号病巣の発生で評価 した MRI に関する評価項目や、再発の発現及び EDSS で評価した持続的障害進行などの臨床的評 価項目であった。更に長期継続試験として、すべての被験者に本剤 300 mg を 4 週間に 1 回、最長 24 ヵ月間点滴静注する非盲検試験を実施した。
2.3.2.1.1 第II相試験AN100226-231 [M5.3.5.1-3] 試験 AN100226-231 は、男性及び女性の RRMS 又は SPMS 患者を対象として本剤(AN100226 製剤)を点滴静注したときの有効性、安全性、忍容性、PK、PD、及び免疫原性を検討した無作為 化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験である。検討した用量は 3.0 mg/kg 及び 6.0 mg/kg であ った。各用量群での本剤の投与例数は、3.0 mg/kg 群では 68 例、6.0 mg/kg 群では74 例であった。 また、プラセボ群は71 例であった。本試験では、本剤を 4 週間に 1 回、24 週間(0、4、8、12、 16、及び 20 週目)投与した。 RRMS 及び SPMS 患者に本剤 3 mg/mL 又は 6 mg/mL を月 1 回、6 ヵ月間点滴静注した結果、臨 床及び画像効果結果判定法より有益な薬効が示され、安全性プロファイルは忍容可能であり、MRI 及び臨床評価からα4 インテグリンを介した白血球との接着及び遊走の選択的阻害が MS に対する 効果的な治療方法であることが示された。更に、PD 及び有効性プロファイルは安定しており、2 種類の用量で同等であったことから、第 III 相試験 C-1801 及び C-1802 では、4 週間に 1 回、300 mg の固定用量を点滴静注により投与することを決定した。以下に有効性の結果の要約を示す。 MRI に関する評価項目 プラセボ(9.7 個)と比較して、6 ヵ月間に発生した新規活動性 MRI 病巣の平均累積数が 92% 及び 89%(3 mg/kg[0.8 個]及び 6 mg/kg[1.1 個])減少した。また、Gd 造影病巣の平均累積数 はプラセボ(9.6 個)と比較して 93%及び 89%(3 mg/kg[0.7 個]及び 6 mg/kg[1.1 個])、新規又 は新規に拡大した T2 高信号病巣の平均累積数はプラセボ(2.6 個)と比較して 92%及び 88% (3 mg/kg[0.2 個]及び 6 mg/kg[0.3 個])と有意な減少が認められた。 臨床的評価項目 本剤を 6 ヵ月間投与した後に、各実薬群は 81%の被験者が無再発であったのに対し、プラセボ の投与を受けた被験者では 62%のみであった。 2.3.2.1.2 第III相試験C-1801 [M5.3.5.1-5]
減少させ、MRI 上の病巣形成を軽減させた。有効性は早期に現れ、試験期間を通して維持された。 再発及び MRI に対する有意な効果に加え、安全性及び忍容性プロファイルが得られた。以下に有 効性の結果の要約を示す。 MRI に関する評価項目 2 年間の投与後に、本剤では、プラセボと比較して、Gd 造影病巣数が 92%減少し(本剤 0.1 個、 プラセボ 1.2 個)、新規又は新規に拡大した T2 高信号病巣数が 83%減少した(本剤 1.9 個、プラ セボ 11.0 個)。 臨床的評価項目 2 年間の投与後に、本剤では、プラセボと比較して調整した年間再発率が 68%低下し(本剤 0.235、 プラセボ 0.733)、無再発例の割合がプラセボの 41%から本剤の 67%に上昇し、EDSS スコアによ る持続的障害進行開始までの時間をプラセボと比較して 42%延長した(ハザード比 0.58)。2 年目 までに持続的な障害進行が認められた被験者の割合は本剤で17%、プラセボで 29%と推定された。 2.3.2.1.3 第III相試験C-1802 [M5.3.5.1-6] 試験 C-1802 は、男性及び女性の RRMS 患者を対象として AVONEX®に本剤を追加投与したと きの有効性及び安全性を検討した第 III 相多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比 較試験である。固定用量として本剤 300 mg を 4 週間に 1 回、2 年間投与した。全ての被験者は、 試験期間中継続して AVONEX® 30 µg を週 1 回、筋肉内(IM)に自己投与した。589 例が本 剤 + AVONEX®群に、582 例がプラセボ + AVONEX®群に無作為に割り付けられた。 本剤 300 mg の 4 週間ごと点滴静注と AVONEX® 30 μg の週 1 回静脈内投与との併用療法は、 AVONEX®単独療法に比べ有意に障害進行のリスクを低減し、臨床的再発率を低下させ、MRI 上 の病巣形成を軽減させた。有効性は早期に発現し、投与期間中維持されていた。AVONEX®と本剤 の併用投与により、全般的に好ましい安全性プロファイルを示した。以下に有効性の結果の要約 を示す。 MRI に関する評価項目 2 年間の投与後に、プラセボと比較して Gd 造影病巣数が 89%減少し(本剤 + AVONEX® 0.1 個、 プラセボ + AVONEX® 0.9 個)、新規又は新規に拡大した T2 高信号病巣数が 83%減少した(本 剤 + AVONEX® 0.9 個、プラセボ + AVONEX® 5.4 個)。 臨床的評価項目 2 年間の投与後に、プラセボと比較して調整した年間再発率が 55%低下し(本剤 + AVONEX® 0.336、プラセボ + AVONEX® 0.749)、無再発例の割合がプラセボ + AVONEX®の 32%から本
剤 + AVONEX®の 54%に上昇し、EDSS スコアによる持続的障害進行開始までの時間をプラセボと 比較して 24%延長した(ハザード比0.76)。2 年目までに障害進行が認められた被験者の割合は本 剤 + AVONEX®で 23%、プラセボ + AVONEX®で 29%と推定された。 2.3.2.1.4 第III相試験C-1808 [M5.3.5.2-2] 試験 C-1808 は多施設共同非盲検試験で試験 C-1801、C-1802、及び C-1803 を完了した被験者 1615 例を対象に本剤投与を継続した。被験者に本剤 300 mg を 4 週間に 1 回、最長 24 ヵ月間点滴静注 した。最終投与後 3 ヵ月間被験者を追跡調査した。MS 患者における PML が 2 件報告された後、 本試験は早期中止になり、全被験者を対象に安全性を評価した。 本剤の忍容性は良好であった。本剤は全般的に好ましい安全性プロファイルを有していた。し かしながら、1 例が治験期間中に、もう 1 例が本試験の前で本剤と Avonex の併用投与(試験 C-1802) 後に、計 2 例の PML が発現した。 本剤は 3 年間の投与にわたり、再発率及び障害進行抑制に対して、持続的な効果を示した。投 与中止後に反跳作用(ベースライン時に認められた疾患よりも悪化すること)を示す事象は認め られなかった。 2.3.2.2 国内で実施された臨床試験
Biogen Idec 社は、 年に医薬品医療機器総合機構(PMDA)と本剤の日本での開発方針に関 する意見交換を開始した。本剤は 年 月 日に優先対面助言品目に指定され[M1.13.4.1 機 構への提出資料(写)]、2008 年 5 月 20 日に希少疾病用医薬品の指定を受けた[M1.13.4.2 厚生労 働省への提出資料(写)]。PMDA との面談は 年 月 日に開催された。 Biogen Idec 社は、 、PMDA と協議 した。PMDA との協議の結果、 。 、 、 を実施することとした。 、 を変更した。
られている情報を提示するため、今回の提出資料には、投与 1 年目のデータベースロック時点で の長期安全性及び忍容性並びに有効性の評価を含めた。 2.3.2.2.1 試験 101MS203 [M5.3.5.1-4] 試験 101MS203 は多施設共同試験で、2 つのパートで構成され、各パートは異なる本剤未投与 被験者集団で行われた。パート A は 12 例以下のコホートを対象とした本剤 300 mg を 4 週間に 1 回、24 週間投与し安全性、忍容性、PK、及び PD を検討する多施設共同非盲検反復投与試験であ る。パート B は約 90 例のコホートを本剤 300 mg 又はプラセボの 4 週間に 1 回、24 週間投与のい ずれかに 1:1 で割り付け、安全性及び有効性を検討する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対 照反復投与試験である。 日本人 RRMS 患者に本剤を 4 週間に 1 回、300 mg の用量で点滴静注したときの有効性、安全性、 及び薬物学的プロファイルは、外国での RRMS 患者を対象とした臨床試験及び市販後試験に基づ いて予想できる内容と一致した。新規活動性病巣数、Gd 造影病巣数及び新規又は新規に拡大した T2 高信号病巣数はそれぞれ著しく減少した。年間再発率が減少し、無再発例の割合が増加し、臨 床的有効性に及ぼす有意な影響がみられた。点滴静注したときの忍容性は良好であり、新たな安 全性シグナルは観察されなかった。それぞれの試験結果の要約を以下に示す。 試験 101MS203 パート A パート A では、12 例を対象として試験を行ったところ、本剤は外国人患者集団の場合と同等の PK を示した。α4 インテグリン飽和度は他の患者集団より低い値を示したものの、試験期間を通 してその値は高く、臨床的意義が認められた。300 mg の用量で 4 週間に 1 回点滴静注することが 同試験のパート B に妥当であることが確認された。 試験 101MS203 パート B パート B では、MS 患者 94 例を対象として、6 ヵ月間の本剤 300 mg の点滴静注による投与に ついて、プラセボと比較検討した。本剤 300 mg を 4 週間に 1 回点滴静注したところ、プラセボと 比較して 84%と有意な MRI 上の新規活動性病巣の発生率の低下や(本剤 0.058、プラセボ 0.352)、 新規活動性病巣の平均累積数(本剤 1.5 個、プラセボ 8.5 個、82%減少)、新規 Gd 造影病巣の平均 累積数(本剤 1.2 個、プラセボ7.4 個、84%減少)及び新規又は新規に拡大した T2 高信号病巣の 平均累積数(本剤 0.3 個、プラセボ 1.1 個、73%減少)の有意な減少が認められた。臨床的評価項 目に関しても、本剤投与群では、プラセボを上回る有意な改善が認められ、調整した年間再発率 は 69%低下し(本剤 0.532、プラセボ 1.727)、無再発例の割合はプラセボの 38%から本剤の 79%
に上昇した。4 週間に 1 回の本剤 300 mg の点滴静注の有効性は、日本人 RRMS 患者と外国人患者 で同様であった。 2.3.2.2.2 試験 101MS204 [M5.3.5.2-10] 試験 101MS204 は、試験 101MS203 を完了した RRMS 患者97 例を対象として本剤を 4 週間に 1 回点滴静注したときの長期安全性及び忍容性並び有効性を検討した多施設共同非盲検長期継続投 与試験である。今回の提出資料には、投与 1 年目のデータベースロック時点での評価を含めた。 試験 101MS204 の本剤の安全性及び忍容性プロファイルは、試験 101MS203 のプロファイルと おおむね同様であった。試験 101MS203 と同様に、抗ナタリズマブ抗体を産生した被験者はわず かであり、持続的陽性例も少なかった。以上の結果より、本剤の日本人被験者に対する忍容性は 良好であると考えられる。 本試験で評価した有効性評価指標(年間再発率、無再発例の割合、及び EDSS スコア)の投与 1 年目のデータベースロック時点での解析結果は、試験 101MS203 で得られた有効性プロファイ ルと一致した。
3. 本剤の特徴
(1) 現在の治療法に対して、本薬は新規の作用機序を有することから、新たな選択肢となる可能 性がある。本薬の作用機序としては、白血球に発現するα4 インテグリンと血管内皮細胞に発 現する VCAM-1 の相互作用を阻害することにより、炎症部位への白血球の動員が抑制される と考えられ、その他、細胞外基質のリガンドとの相互作用を阻害することにより、病巣の炎 症反応を抑制する可能性も考えられる。 (2) 本剤の有効性結果はプラセボと比較して、統計学的に有意であった。国内外の臨床試験によ り、本剤投与による障害進行の抑制、臨床的再発率の低下、及び MRI 上の病巣(新規又は新 規に拡大した T2 高信号病巣、Gd 造影病巣、T1 低信号病巣)の減少が認められた。 (3) 本剤の有効性は、未治療患者に投与した場合、又は DMT でも十分な効果が得られない患者 に対して投与した場合のいずれにかかわらず幅広く認められた。 (4) 再発の遅延は、本剤投与後 6 週間という早期の時点で認められ、第 III 相試験(C-1801 及び C-1802)の 2 年間全体にわたって持続した。と比較して IFNβ-1a[0.61]で 32%低下[Jacobs et al., 1996]、プラセボ[1.27]と比較して IFNβ-1b
8 MIU[0.84]で 34%低下[The IFNB Multiple Sclerosis Study Group 1993])又はフィンゴリモ
ド 1 日 1 回 0.5 mg(日本人患者:プラセボ[0.99]と比較してフィンゴリモド[0.50]で 49% 低下[Saida et al., 2012]、外国人患者:プラセボ[0.40]と比較してフィンゴリモド[0.18] で 55%低下[Kappos et al., 2010])に比べて、大幅な低下が認められた。試験 C-1801 におい て本剤では持続的障害進行までの時間をプラセボと比較して 42%(本剤17%、プラセボ 29%) ~54%(本剤 11%、プラセボ 23%)延長したのに対し、フィンゴリモドではプラセボと比較 して 27%(フィンゴリモド 17.7%、プラセボ 24.1%)~34%(フィンゴリモド 12.5%、プラセ ボ 19.0%)延長(Kappos et al., 2010)、IFNβ-1a ではプラセボと比較して 37%(IFNβ-1a 21.1%、
プラセボ 33.3%)延長(Jacobs et al., 1996)であった。 (6) 本剤安全性のデータは、4000 例を超える被験者を対象とした臨床試験、10 万例を超える患者 に対する 5 年間を超える市販後の経験及び 20 万人年を超える累積曝露から得られたデータに 基づいて、十分に評価されている。 (7) PML は本剤の使用と関連がある最も重要なリスクであるが、PML の危険因子としては、抗 JCV 抗体陽性、本剤の投与期間(特に、2 年を超える治療)及び免疫抑制療法による治療歴 の 3 つが特定されている(Bloomgren 2012)。これらの 3 つの危険因子を用いたリスク層別化 アルゴリズムを用いて、PML のリスクが高い患者及び低い患者の両者を特定することができ る。さらに、層別化アルゴリズムを用いて、本剤療法の開始又は継続に関して、個々の患者 におけるリスク-ベネフィットを鑑みることができる。
4. まとめ
本剤は日本人の RRMS 集団を含む検討した全ての患者集団において無症候性疾患活動性を減少 させ、再発予防と障害進行を抑制する極めて効果的な治療薬である。本剤は未治療の MS 患者集 団と治療歴のある MS 患者集団の両方集団に対して、肯定的なリスク-ベネフィットプロファイ ルを示す。 α4 インテグリン飽和度の妥当性、日本人患者における PK データの外国人データとの同等性、 更に有効性及び安全性のデータに基づき、日本人 RRMS 被験者における本剤の推奨用量は、1 回 300 mg を 4 週に 1 回 1 時間かけて点滴静注することが妥当であると考えられる。 日本人患者を対象とした本剤の臨床試験から、身体的障害進行を抑制させ、再発(臨床的増悪) の発現予防を裏付ける十分なデータが得られ、MS 患者に対し単剤として本剤を治療に用いるこ との妥当性が示された。5. 参考文献一覧
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