3. 10. 1 耐災害 I CT研究センター ロバストネットワーク基盤研究室
室長 淡路祥成 光通信の大容量を災害復興に活用
【概 要】
光ファイバ通信は長距離・大容量通信の基盤技術であるが、固定的設備に立脚しているために、想定を超え る大規模災害時に損壊する可能性が高い。従って、当研究室では、耐災害性向上の主眼はダメージコントロー ルと応急復旧に重点化されると考え、研究開発を行っている(図 1)。
第 1の課題であるダメージコントロールとは、局地的なネットワーク設備損壊の影響が、全国の通信網に波 及し輻輳を生じることを軽減する機能である。ネットワークの輻輳軽減には多数の取り組みが存在するが、当 研究室では通信の基盤であり、大容量の通信帯域を供給する光ネットワークの波長資源を動的に調整すること で、重要回線を確保しつつ、多数のユーザを収容可能な光パケット・光パス統合ネットワーク技術の研究開発 を進めている。本技術は、現在はまだ商用導入されていない光パケット技術を含む近未来のネットワーク技術 であり、中・長期にわたる継続的な取り組みが必要である。
第 2の課題である応急復旧とは、大規模な津波などに対しても、埋設された光ファイバが生残する確率が高 いという教訓を踏まえ、それらの生残設備を用いて短期間に光ネットワークを暫定再構築する技術群を指す。
具体的には、高機能な光スイッチング装置(ROADM)を製造ベンダごとの仕様の違いを越えて運用する相互接 続技術や、代替ネットワークを接続する際に動的に IPアドレスを割り当てる仮想ネットワーク技術、寸断され た光ファイバ網を応急復旧する可搬型バースト EDFA技術など、サブシステムレベルからネットワーク技術ま で垂直統合的に取り組んでいる。
さらに、当研究室で取り組んでいるコア・メトロネットワーク技術は、個々のユーザレベルでは無く、多数 のユーザを収容する通信・ネットワークシステムに恩恵をもたらすものである点に特色がある。すなわち、耐 災害 ICT研究センターの他 2研究室で研究開発を行っている、災害情報の提供技術やワイヤレス技術を用いた 地域網などが必要とする大容量の通信帯域を確保する役割を担っている。
平成 25年度は、それまでの原理実証実験の結果を継承して、それぞれの研究課題ごとに、波長資源境界制御 機構の実装や、ミドルウェアのマネジメント層への拡張、僻地停電環境に適応した可搬パッケージの開発など、
実装機能の拡張やアップデートを行うと共に、動作実証を行った。
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図 1 ロバストネットワーク基盤研究室の研究活動の概要
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活 動 状 況
3. 10 耐災害 I CT研究センター
【平成 25年度の成果】
光パケット・光パス統合ネットワークテストベッド設備(光パケット・光パス統合ノード(以下、光統合ノー ド)および伝送線路、評価測定装置群から構成される)を活用し、災害時緊急動作モードとして物理パスの高速 切り替え、および伝送距離延伸化技術の開発を行った。具体的には、光パケットと光パスのサービスで共有す る波長資源量を動的に調整する自律境界制御を光統合ノードシステムに組み込み、使用中の光パス数に応じて 自動的に光パケット資源量および、光パス資源量の変更が行われていることを実証した(図 2)。これにより、
災害時に被災地の高精細映像などの重要コンテンツを収容する通信路の品質を確保しつつ、安否確認などを含 む一般ユーザの通信収容量を 2倍以上(同等品質での同時アクセスユーザ数を 3倍弱)に増加させられることを 実験的に確認した。
また、光ネットワーク応急復旧技術の最上位層の研究課題である、異種ベンダ ROADM 相互接続技術の研究 開発においては、これまでのデータプレーンと制御プレーンでの実証からレイヤーを拡張し、管理プレーンま で組み込んだシステムの開発と、復興期における被災地での通信要求を満たせる暫定光ネットワークを最短時 間と最小資源で構築する、ROADM 相互接続ポイントの最適選択アルゴリズムの作成を行った。また、暫定光 ネットワークから、本格的な復興へのマイグレーションを円滑に行う、ROADM 相互接続方法のアップグレー ドに着手し、新提案の相互接続方法とマイグレーション手順を構築すると共に、光パケット・光パス統合ネッ トワークテストベッドを用いて実証実験を行った(図 3)。
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図 3 異種ベンダ ROADM 相互接続技術を用いた暫定光ネットワーク構築方法の研究開発
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図 2 光パケット・光パス統合ネットワークの災害時緊急動作モードの実証実験