Mem. Faculty. B. O. S. T. Kindai University No. 43 : 21 〜 28 (2020) 21
エステラーゼ産生細菌の単離
岡 南 政 宏l、 大 池 達 矢l、 江 遁 正 平l、 阿 野 貴 司1
要旨
生分解性プラスチックの効率的な分解を目指して、ポリエステノレ系生分解性プラスチック分解菌の単離 を試みた。植物葉表面、土壌、自然水などから得られた微生物群を、生分解性プラスチックフィルムの分 解を指標としてスクリーニングした結果、プラスチックフィルムを分解できる微生物群がいくつか得られ た。それらの中で最も分解能力が高い微生物群
YH
の中から、最も高いエステラーゼ活性を示す4A
株を 単離した。16S rRNA遺 伝 子 の 塩 基 配 列 や 抗 生 物 質 へ の 耐 性 と グ ラ ム 染 色 の 結 果 か ら 、 4A
株 は
S t e n o
t1・' o p h o m o n a s
脚 l t o p h i l i aと判断された。 4A株が産生するエステラーゼは、 60
"Cの熱処理後でも比較的
高い活性を維持した。したがって、 4A
株は生分解性プラスチックの効率的な分解に有用なエステラーゼを
コードする遺伝子を持っている可能性が高い。
60
"Cの熱処理後でも比較的 高い活性を維持した。したがって、4A
株は生分解性プラスチックの効率的な分解に有用なエステラーゼを コードする遺伝子を持っている可能性が高い。キーワード 生分解性プラスチッ夕、生分解性プラスチック分解菌、エステラーゼ、
S t e n o
什' o p h o m o n a s m a l t o p h i l i a
1
緒歯科学技術の進歩によって幾種類もの合成プラスチックが開発されてきた。とくに強度と加工に関する技 術の進歩によって、またその軽量さによる輸送コストの削減効果によって、包装部材の多くがポリエチレ ン樹脂をはじめとする合成プラスチックに置き換わってきた。しかし、それにともなって分解されない廃 棄物の蓄積と環境汚染が問題となってきている【1)。そこで、環境中に存在する微生物によって分解され得
る生分解性プラスチックが開発された向。
生分解性プラスチックとは、環境中に生息する微生物がもっ分解酵素によって低分子化合物に分解され るプラスチックと定義されている町生分解性プラスチックは、化学系、微生物系、天然物系に分類され、
一般的に再生可能資源や化石資源から構成される判。再生可能資源を使ったものとして、多くの細菌によ って産生される天然ポリマーのポリー3ーヒドロキシプチレート
(PHB)
、発酵生産された乳酸の縮合重合に よって合成されるポリ乳酸 (PLA) がある。化石資源を使ったものとして、ε
ーカプロラクトンを開環重合 させたポリカプロラクトン(PCL)、 1 , 4 ‑
ブタンジオーノレとコハク酸から合成されるポリブチレンサクシネ ート(PBS)
などがある。これらは、強度および分解速度を制御するために生分解性プラスチックどうし で様々に混合され、包装部材、文具や雑貨、医療資材、長期耐久が求められる電子機器、自動車の内装材 など、幅広く展開されてきた例。しかし、使用期間内においては適切な性能を有していながらも、使用後 には完全分解される生分解性プラスチックは確認されていなし、(の。生分解性プラスチックの分解は環境条 件に依存しており、容易に制御できないため、分解に向けた技術開発が必要である仰}。生分解性プラスチックを分解できる微生物として、
Pseudomonas属
、S t r e p t o m y c
回属、B a c i l l u s属
、Corynebac
白' T I u m
属、Ar
幼r o b a c l e r
属、M i c r o c o c c u s
属など、様々な微生物が今日までに単離されている例。また、生分解性プラスチyクを分解する可能性がある酵素としてプロテアーゼやエステラーゼが、同様に
原稿受付
2 0 2 0
年1
月 初 日 、 受 理 日2 0 2 0
年2
月2 8
日本研究は近畿大学生物理工学部戦略的研究No目
1 2 ‑ N ‑ 2 1 . 2 0 1 3
の助成を受けた1
近畿大学生物理工学部生物工学科干6 4 9 ‑ 6 4 9 3
和歌山県紀の川市西三谷9 3 0
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