高速道路整備が地方圏の産業構造に与える影響につ いて
著者 田部井 伸夫, 河野 芳輝, 川上 洋司, 本多 義明
雑誌名 福井大学工学部研究報告
巻 42
号 2
ページ 229‑239
発行年 1994‑09
URL http://hdl.handle.net/10098/3684
第42巻 第2号 1994年9月
高速道路整備が地方圏の産業構造に与える影響について
田部井伸夫本 河 野 芳 輝 * 本 川 上 洋 司 * 日 本 多 義 明 **本
229
A Study on出eEffect of the Expressway on the Indus仕ia1Structure in Regional Sphere Nobuo TABEI, Yoshiteru KOUNO, Yoji KAWAKA叩, and Yoshiaki HONDA
(Received Aug. 31, 1994)
The出m of出ispaper is to make dear the effect of expressway improvement on the indus出a1s仕ucture in regional sphere by using population data. The main results ob匂inedare as fol1ows.
TI】efirst one is白atthere are no close relations between仕leeffect of expressway improvement and a location of interchange慣Thesecond one is白at白e m仕oductionof the expressway influences mainly the locations of the secondary industry.
1 . は じ め に
今後の高速道路整備は、これまで、の人口集積地域を対象とした整備とは異なり、人口集積が低く したがヮて当初から大きな需要の見込みにくい路線・地域への展開が主とならぎるを得ないc この ため、高速道路整備に当たっては、その影響を地域として効果的にうけとめるための条件整備が重 要となる乙そのためには、これまでの高速道路整備が地域に与えた影響を種々の観点から分析・把 握することが必要となる。
高速道路整備が地域に与える影響の研究は、佐々木ら 1¥による名神高速道路の経済分析を始め、
数多く行なわれている。しかし、これら従来の研究は産業や教育・文化あるいは医療等の面への整 備効果を個別事例的に紹介したものが多い。 2) 3)また、整備効果の推移を長期に分析した例もあ
るが、特定の地域のみを対象としている 4) 5) 6)
このため本研究では、高速道路整備効果の地域への波及フローを図‑1のように考え、高速道路
*システム設計工学専攻料環境設計工学専攻*林環境設計工学科
は結節点としてのインターチェンジを介して地域と結びついていることから、その地域に与える影 響の程度はインターチェンジとの位置関係により異なり、さらに整備時期や地域の持っている産業・
人口特性によっても影響のきれ方が異なると仮定し、この3つの視点による地域比較を通して高速 道路が地域に与えた影響を把握しようとするものである。
図一 l 高速道路整備効果の地域波及フロー
高
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設 置
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2.分 析 対 象 地 域 の 設 定
r :::俊 効 果
続 ! 愉送;]1"[函の合 I型化一一生産日卜函l の合 l~ イヒー「
迎l 流 通 経 済 の 合 理 化 トー企業立地i宜i
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果
分析対象地域は、影響を把握する3ワの視点、①整備時期、②地域特性、③インターチェンジと の位置関係に基づき、次のように設定した。①に関しては、高速道路全通衡0年以上経過し、日本 社会が高度成長から安定成長へと移行した昭和40年代から50年代に整備された高速道路として東名 高速道路、中国自動車道、北陸自動車道の沿線地域とした。②に関しては、政令指定都市を含まず 人口集積の違いが明確な太平洋岸と日本海岸の地域として、静岡県 (S.45年全通と設定) ・岡山 県 (S.50年全通と設定) ・福井県 (S.55年全通と設定)を対象とした。③に関しては、各県下の 全市町村をインターからの位置関係により、インタ一所在圏、インター隣接圏、インタ一周辺圏
(インター所在市町村の隣接しない市町村群)の3圏域に分類した。
東名高速道路
昭和43年!富士 静岡間開通 昭和44年j静岡 岡崎間開通
2
月 ;
昭和44年j大井松田 御殿場間 5月 j開通
3.分 析 の 方 法
表~ 1 各高速道路の開通経緯
中国自動車道
昭和49年!美作 落合間開通 昭和50年!福崎 美作間開通 昭和51年;落合 北房間開通 昭和53年i北房 三次間開通
北 陸 自 動 車 道
昭和48年i小松 丸岡間開通 昭和50年i丸岡 福井間開通 昭和51年(福井 武生間開通 昭和52年j武生 敦賀間開通 昭和55年i敦賀 米原間開通
本研究は、各地域・圏域における高速道路整備前後の地域変化を事後的に把握するものであるため、
分析期間は各高速道路の供用時点を含む15年間とし、静岡県は昭和40年から55年、岡山県は昭和45 年から60年、福井県は昭和50年から平成2年としたD
分析の視点としては、産業構造、地域の就業パターンといった面に着目し、前者については産業 別就業人口構成・産業特化指数、後者については昼夜間人口比率、自圏内就業率をとりあげ、その 傾向を特に整備前後に着目して各県・圏域別に比較するC 次に高速道路整備効果が最も顕著に現わ れると思われるインタ一所在市町村について、都市分類、別・人口規模別の分析を行なう口
4 . 産 業 構 造 へ の 影 響 4 ‑ 1 産業構成比による分析
各県及び各圏域の l次・ 2次・ 3次産業人口構成比の変化から産業構造への影響を見ると以下の ような結果となったに
(1i 静岡県:開通前の昭和40年当時め県全体の産業構造は全国の構造と比較すると2次め割合が やヤ多く、 3次の割合がやや低い状態であった。各圏域の変化を見ると、所在圏においては全国の 平均的な変化と同様であるが、隣接圏では高速道路整備と前後して2次産業構成比が約8 %増加し ている。また、周辺圏においても2次産業構成比が約5 %増加し全国の2次産業構成比の増加を上 回っている。
(2) 岡山県:開通前昭和45年当時の県全体の産業構造は、全国の構造と比較すると l次の割合が やや高い状態であった。各圏域について見ると、所在圏では高速道路整備の前衛0年間で2次が約
7 %増加し、隣接圏では 1次が約2 1 %減少したのに対し、 2次が約 12 %増加しており、両国域 においては全国の平均的な変化に比較して2次産業の伸びが高速道路の供用開始と同時に顕著に見 られる口また、周辺国においては全国の平均的な変化と同様の変化しか見られない。
(3) 福井県:開通前昭和50年当時の県全体の産業構造は全国の構造と比較すると l次、 2次の割 合がやや高い状態であった。各圏域について見ると、所在圏・隣接圏共に全国の平均的な変化傾向 と同様であるが、周辺圏において高速道路整備の前衛0年間で3次産業の比率が約 12%増加して いるc
これらの変化を全国の産業構造の変化と対比したものが図‑3であるが、静岡県では周辺都市圏 に伊豆半島の各市町村が含まれ3次産業比率がもともと高かったことを考慮すると、所在・周辺都 市圏の産業人口構成の変化は全国変化と同様であるが、隣接都市圏においては大きく 2次産業にシ
フトしており、隣接都市圏の2次産業に高速道路整備の効果が現われている。
岡山県では所在都市圏・隣接都市圏で2次産業に大きな影響を与えているが、静岡・福井県と異 なり、山間部に高速道路が整備されたため、他県の所在都市圏を構成する都市が周辺都市圏に含ま れていることを考慮すると、もともと l次産業の比率の高かった都市に影響があヮたと言えるC
福井県では各産業に大きな影響はなく、もともと2次産業が4 0 %前後ある地域では高速道路整 備の効果が2次産業には大きな影響を与えないものと考えられる。
以上のような結果を見ると、高速道路整備は地域の2次産業に大きな影響を与えるが、その影響 の現われ方は地域が2次産業の立地を受けとめる受け皿としての l次産業人口の大きさにより異な り、対象地域では隣接圏の方が大きいものと考えられるC また、 2次産業の比率が整備前より高い 地域においては2次産業への影響はあまりないものと言えるC
図‑2 各県・各国域就業人口構成の変化
静 岡 県
%
6 0 .‑一一一一一一一一一一一一一ー一一一一一一ー一一一一一一一一ー一一一一ー一一一一一一‑
50
4
講40成3 0 比
20
10
O
%
4 0 i手 ι~~ 50年 5 5年 4 0年 'Ui1手 5 0年 5 5年 4 0年 4一三年 5 0年 5 5年
所 在 圏 隣 接 薗 周 辺 国
岡 山 県
60 .‑‑‑ー一一一一一一一一ーーー一一一一一ーー一一一ーーーーーー一一
50
構 ol‑一
成3 0 比
20
10
。
45年 三4主 55年 60年 45年 三 土 星 55年 60年 45年 L旦主 55年 60年
所 在 圏 隣 接 圏 間)ll圏
福 井 県
%
60 .‑一一一一ー一一一一一一一一‑一一一一一一ー一一一一一
50 ー一 構 成 30
比
20
10
O
5 0年 55年 60 年 2年 50年 55年 60年 2年 50年 551手 60年 2年
所 在 圏 隣 接 圏 周 辺 圏
図‑3 各県の産業構成の全国比較
0.9 0.8 0.7 3次産業 0.6
静 岡 県
口 40年 o 4 5年
1:0 5 0年 x 5 5年
0.1
o
1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 2次産業
1雪 ".0 岡山県
︽UnuEJ
n u
﹃A AM
業産次
司 ︒
1次産業口 45年 o 5 0年
1:0 5 5年 x 6 0年
0.1
。
1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 2次産業 福 井 県
1ョ=0
3次産業
ロ 50年 o 5 5年
1:0 6 0年 x 2年
0.1
。
1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 2次産業
4‑2 産業特化指数による分析
高速道路整備は地域の2次産業に大きな影響を与えるが、どのような業種に影響があるかを明ら かにするため、国勢調査の産業大分類、の業種別に図‑4に示す産業特化指数という指標により各圏 域の産業特性の変化を比較分析したc この産業特化指数は各年次の全国の平均的な産業構成比に対 する偏りの程度を示すものである。 1以上の場合は、その産業の構成比が全国平均値を上回って特 化していることを示し、 l以下の場合はその逆を示す。
図‑4 産 業 特 化 指 数
各国域各産業就業者 全 国 各 産 業 就 業 者
産 業 特 化 指 数 ニ /
各圏域産業総就業者 全 国 産 業 総 就 業 者
(1) 静 岡 県 : 所 在 圏 に お い て は 、 金 融 ・ 保 険 業 の 構 成 比 が 全 国 平 均 に 比 較 し 約20%低 下 し て い る他はほとんどの業種で大きな変化はなし玉。隣接圏においては製造業が全国平均に比較し30%増 と大幅に伸びている他は大きな変化はない。周辺圏においては、金融保険、運輸通信が減少し、製 造業が全国平均に比較し20%増となヮているC
表一2 静 岡 県 各 圏 域 産 業 特 化 指 数 所在都市圏
農業 建設業 製造業 却売.小売業 金融.保険業 運輸通信業 サービス業 公務 40年 0,66 0,88 1.34 1.08 1,23 .105 0,97 0,99 45年 0,65 0,91 1.31 1,06 1.01 .101 0,91 0,09 50年 0,67 0,90 1.31 1,05 1.00 0,97 0,89 0,80 55年 0.73 0,83 1.35 1.02 0,99 0,95 0,88 0.79 隣接都市圏
農業 建設業 製造業 部売.小売業 金融保険業 運輸通信業 サービス業 公務 40年 1,25 0,82 1,19 0,77 0.72 0,86 0,87 0,77 45年 1.25 0.89 1.24 0.78 0,67 0,82 0,85 0,07 50年 1,29 0,92 1.32 07.8 0.74 0,80 0,85 0.73 55年 1.32 0.88 1.50 0.78 0.73 0,83 0,82 0,69 周辺都市圏
農業 建設業 製造業 却売.小売業 金融.保険業 運輸通信業 サービス業 公務 40年 0,97 1.22 0,51 0,86 0.7 0,97 1.83 0,63 45年 .100 1.14 0,58 0,88 0,55 0,99 1
. 7 3
0,06 50年 0,97 1.15 0,64 0,87 0,57 0,89 1.68 0,64 55年 1,08 1.07 0.71 0,87 0,58 0,84 1.52 0,69(2) 岡山県:所在圏においては、建設業・製造業の特化指数が全国平均に比較し24‑26%増 加している。隣接圏においては、建設業・製造業・農業の特化指数が大幅に増加しているO 特 に 製 造業は全国平均に比較し約42%増と大幅に伸びているO た だ し 、 農 業 に つ い て は 、 産 業 人 口 は 減 少を続けており、全国構成より減少傾向が少ないためである。周辺国においては大きな特化指数の 変化はないc
(3) 福井県:所在圏においては、運輸・通信が減少した以外に特化指数の大きな変化はない。隣 接圏においては、農業が大幅に減少し、製造・卸小売り・金融保険・運輸通信業の特化指数が全国 平 均 に 比 較 し 15‑25%増加した。周辺圏においては、建設業の特化指数が増加した以外に産業 特化指数の大きな変化はない。
以上の様な分析から見ると、高速道路整備は2次産業の中でも製造業を中心として大きな影響を 地域に与えたと考えられる。しかし、福井県のようにもともと2次 産 業 構 成 比 の 高 い 地 域 で は 、 顕 著な影響は見られず、 3次産業の各業種に影響が現われている。
表‑3 岡山県各圏域産業特化指数 所在都市圏
農業 建設業 製造業 部売小売業 金融保険業 運輸通信業 サービス業 公務 45年 1.86 0.80 0.68 0.88 0.59 0.86 1.03 0.82 50年 1.76 1.15 0.75 0.91 0.59 0.86 1.03 0.95 55年 1.75 1.16 0.82 0.92 0.62 0.87 1.00 0.99 60年 .183 1.12 0.93 0.88 0.68 0.84 0.95 .101 隣接都市圏
農業 建設業 製造業 却売小売業 金融保険業 運輸通信業 サービス業 公務 45年 2.65 07.6 0.61 0.52 0
3 .
5 目。71 0.72 0.80 50年 2.65 .113 0.82 0.56 03 .
8 0.74 0.76 0.96 55年 2.22 .101 0刀 0.49 03 .
3 0.61 0.63 0.83 60年 2.97 1.20 1.03 0.57 0.40 0.71 0.76 1.04 周辺都市圏農業 建設業 製造業 却売小売業 金融.保険業 運輸.通信業 サービス業 公務 45年 1.12 1.00 1.15 0.87 07.6 1.00 0.92 0.81 50年 1.06 1.02 1.17 0.90 07.9 1.03 0.94 0.85 55年 1.06 0.99 1.16 0.92 0.84 1.05 0.95 0.88 60年 1.10 1.02 .114 0.91 0.87 1.04 0.96 0.87
表‑4 福井県各圏域産業特化指数 所在都市圏
農業 建設業 製造業 部売小売業 金融保険業 運輸通信業 サービス業 公務 50年 0.84 1.03 1.21 .101 1.07 1.01 0.97 0.92 55年 0.78 0.97 1.26 1.01 1.08 0.97 0.95 0.92 60年 0.69 1.11 1.27 1.00 1.07 0.99 0.92 0.86 2年 0.74 1.06 1.30 1.00 1.03 0.84 0.93 0.85 隣接都市圏
農業 建設業 製造業 却売小売業 金融保険業 運輸.通信業 サービス業 公務 50年 1.96 1.10 .121 0.57 0.43 0.51 0.97 0刀 55年 1.99 1.04 1.34 0.59 0.48 0.47 0.98 0.79 60年 1.87 1.21 1.32 0.59 0.47 0.52 .102 0.83
2年 1.55 1.13 1.35 0.72 0.68 0.77 0.96 0.95 周辺都市圏
農業 建設業 製造業 却売小売業 金融保険業 運輸.通信業 サービス業 公務 50年 1.90 14.9 1.01 0.67 0.56 0.56 0.93 0.86 55年 1.97 1.33 1.09 0.69 0.54 0.58 0.97 0.86 60年 1.78 1.69 1.06 0.71 0.56 0.58 0.98 0.91 2年 1.72 1.67 1.07 0.74 0.59 0.64 0.98 1.04 5・ 就 業 パ タ ー ン へ の 影 響
高速道路の整備により、新たな就業の場の創出及び地域内の交流圏の拡大等により、就業人口の 地域内流動が促進されるものと考えられるC このため、各県及び圏域の就業パターンへの高速道路 整備の影響を昼夜間人口比率及ぴ、自圏域内就業率の2指標により分析した口図‑5で右上に向かう
ほど中心都市としての性格が強く、左下に向かうほどベットタウン的性格が強くなるι
(1) 静岡県:隣接、周辺圏域共に高速道路の全通時に昼夜間人口比率が大幅に増大したが、これ
は隣接・周辺圏域の夜間人口が全通後減少する中で、 2次産業立地に伴う就業者が大幅に流入し昼 間人口が増大したためであるが、全通10年後で夜間人口が増加し、元来の地域間の就業パターンに 戻っているc
(2; 岡山県:所在圏域においては高速道路全通時に昼夜間人口比率が増加し就業パターンの変化 があったが、全通後 5年間程度で夜間人口が増加し元のバターンにほぼ戻っているじ隣接・周辺圏 域においては全通後夜間人口は増加しているが常住就業者が減少し、大幅に昼夜間人口比率が低下 し住機能型へと移行しており、高速道路整備による就業圏の拡大により就業パターンに変化があっ たと考えられるc
(3) 福井県:所在、隣接、周辺圏域共に相対的には就業パターンに変化はないc
図ー5 各県各国域の就業パターンの変化
静 岡 県
100 r 中心~
独立型
40
、 一 一
5ー5・zt=4z0f ・:.50 就闘肉a 8 0
55
、
一一}.5 5400ロー‑ S~。
繁 70 率
60
住担豊能型 相量舵分担型
50 60 70 80 90 100 110 120
昼 夜 間 人 口 比 率
岡山県
100 r 中心霊
独立型 90
自 間 80 内 就 業 70 率
60
住居担能型 機能分担型
50 B a
.
50 60 70 80 90 100 110 120
昼 夜 間 人 口 比 率
福井県
100 r
独立~ 中心豊百
90 55‑:・ 50
自 50
60%
、
.155 60・2 慣 80内 2
蹴 業 70
$ 60
住割豊能型 織能分担~
50 E .
.
50 60 70 80 90 100 110 120
昼 夜 間 人 口 比 率
一‑一ー‑ー4均ι〉一ーーーー一一一所院属 在後辺
ー
ー4ー→・J‑一ーーーー所周開 辺銀在
6.所 在 都 市 へ の 影 響 分 析
高速道路整備の影響が本来忌も直接的に現われると考えられるのは所在圏であるが、影響が顕著 にみられたのは岡山県のみであった。これは、岡山県においては、県内の人口集積地域を高速進路 が通過しておらず、逆に静岡県、福井県は集積地域を通過し、所在圏域の中に県庁所在都市等の比 較的人口規模の大きな中心都市を含んでいる影響が考えられる。このため、所在都市を対象として 高速道路整備前の都市分類別、人口規模別に高速道路整備効果を前述した産業特化指数により分析 する。
6‑1 都市分類別の影響分析
高速道路整備前の所在都市の産業構成人Ll比の全国の構成比からの卓越度合により l次産業者15市、 2次産業都市、 3次産業都市に分類し、各分類毎に産業特化指数の変化を分析した。
(1) 3次産業都市群:製造業がやや増加し、運輸通信業・金融保険・サーピス業の特化指数がや や低ドした以外はほとんど変化はない。
(2) 2次産業者15市群製造業の特化指数がやや増加し、運輸通信業が低下した以外は大きな変化 はない。
(3) 1次産業者IS市群製造業の特化指数が増加し、農業・建設業の特化指数も増加しているO
特に製造業は全国平均に比較して43%と大幅に仲びているC 他はほとんど変化はない。
表一5 都市特性別の産業特化指数の変化
3次産業都市
農 業 建設業 製造業 卸売.小売 金融.保険 運輸.通信 サービス 公 務 前5年 0.75 0.93 0.95 1.14 1.23 1.1 0 1.13 1.92 全通年 0.73 0.96 0.94、 1.13 1.10' 1.03 1.07 1.88 5年 0.68 0.98 0.97 1.12 1.1 0 0.99 1.04、 1.60 1 0年 0.69 0.90 1.04 1.08 1.1 0 • 0.95 1.01 1.55 2次産業都市
農 業 ー 建 設 業 製造業 卸売.小売 金融.保険,運輸.通信 サービス 公 務 前5年 0.88 0.95 1.54 0.85 0.81 0.95 0.83 0.66 全通年 0.84 0.91 1.57 0.85 0.75 0.94 . 0.81 0.65 5年 0.77 1.02 1.57 0.85 0.74 0.91 0.79 0.60 1 0年 0.78 0.99 1.61 0.85 0.76 0.86 0.79 0.61 1次産業都市
…ァ号、.~•• ' 麗 業 建 設 業ι … 製 造 業 … γ席、面l琵:iJI;売…叩造語[保険…'運輸.逓信 、す二:::Eス、 益、務
前5年 一 (96.' . O.81öJ~6. . 0.65 aSS • . ... Ö~äö .0.7 ι9 0.68 全通年 1.89 0.99 1.04 0.66 0.50 0.81 0.81 0.72
5年 2.00 0.98 1 .16 . 0.67 0.54 0.80 0.83 0.73 1 0年 2.14 0.95 1.29 0.65 0.52 0.79 0.80 0.77
6‑2人口規模別の影響分析
高速道路整備前の所在都市を人口10万人以上、 10万から 5万人、 5万人以下で分類し、産業 特化指数の変化を分析した。
(1) 人口10万以上の都市:製造業の特化指数がやや減少し、金融保険業・運輸通信が減少して いる他はほとんど変化はない。
(2) 人口 10‑5万の都市:農業の特化指数が全国平均に比較して24%減少し、建設業・製造 業の特化指数が増加しているC 特に製造業は全国平均に比較して24%と伸ぴているO 他はほとん
ど変化はないc
(3) 人口5万以下の都市群:農業・建設業・製造業の特化指数が増加し、特に製造業は全国平均 に比較して4 2 %の伸びとなり大幅な増加となっているO 他はほとんど変化はない。
表ー6 人口規模別の産業特化指数の変化 10万以上都市
農 業 建設業 製造業 卸売.小売 金融.保険 運輪.通信 サービス 公 務 前5年 0.53 0.99 1.36 1.13 1 .28 1 .11 0.99九 0.81 全通年 0.54 . 0.96 1.31 1.11 1.09 1.08 0.92 0.74 5年 、 0.55 0.96' 1.28 1.10 1.07 . 1.04 0.90 0.69 1 0年 0.60 0.89 1.30 1.07 1.07 • 1.01 0.89 0.70 5‑10万都市
良 業 建設業 製造業 卸亮
年 0.94. 0.87 1.17 0.88 0.7同'4 0.97 0.96 1.5訂7 6 年 0.邸88 0.的89. 1.22 0.訓引99 0.76• 0.95 0.担94己 1工.5珂 芋 0.75 1.02 • 1.32 ' 0.88 0.77 0.93 . 0.89 1.33
9 年 0.7刊o 0.部98 1.訓4引1: 0.筋86 0.80 • 0.86 0.87 1.2泊
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tI'tt、 0.77 0.68 0.77 0.79 0.74 5年 2.関 1 . ' ∞ 1 .18 0.64 0.51 0.76 0お 0.74 1 0年 、 2.23 0.97 1.31 0.62 . 0綿 0.75 0.80 0.78
以上のような分析から見ると、整備前の産業人口構成が3次2次型の所在都市においては、高速 道路整備効果はあまり現われず、また、人口 10万以上の都市にもあらわれにくいと考えられる。
逆に整備前の産業人口構成がl次産業型の都市や、人口規模が5万未満の都市においては、製造業 を中心とした2次産業の活性化に高速道路整備は寄与しているD ただし、人口5万以下都市の平均 都市人口は約24 0 0 0人程度であり、規模の大きな1工場の進出によヮても産業構造が大きく変 わるため、高速道路整備の産業構造への影響は見かけよ1次型都市や人口5万一10万都市に大き
く現われるものと考えられるO
7 .まとめ
高速道路整備の効果は非常に多岐にわたり、また地域の変化も種々の要因により構成されている ため、今回の分析に用いた指標のみで高速道路整備の地域に与える効果・影響を明確に把握するこ とには限界があるが、以下の様な傾向は本研究で把握できたと考えられるO
(1) 高速道路整備は製造業を中心とした地域の2次産業の立地促進に大きな影響を与えてきた。
特に昭和40年代といった早い時期に整備された地域において、その傾向が顕著に見られる。
(2) この影響も近年では少なくなり、福井県のように整備前から2次産業比率がある程度高い地 域では、 2次産業への影響は特に顕著に見られなくなり、観光等のサービス業を中心とした 3次産 業への影響が大きい地域もある。このことは、我が国全体の産業構造及び経済成長の大きな変化期 間の中で、高速道路の地域に及ぼす影響も大きく変化してきたことを示しているO
(3) インターとの位置関係により分類した所在圏、隣接圏、周辺圏間の高速道路整備前後の産業 構造、就業パタ}ン変化を見る限り、地域に対する高速道路整備の影響の程度がインターの位置と 密接に関わっているとはいえない。
(4) 圏域の就業パターンに与える高速道路整備の影響は地域により異なるが、地域内の人口集積 地帯に高速道路が整備された場合は、あまり景簿を与えない。
(G) インター所在都市の中で、 2次 .3次産業型都市及び人口10万 以 上 の 都 市 に は 高 速 道 路 整 備の効果は産業面では余り見られないが、 l次産業型都市および、人口己万以下の都市では2次 産 業 を中心とした産業構造の変化が見られる。人口規模と各業種の就業人口の増減から見ると、人口5 力i‑1 0万都市に影響が大きく現われているO
以 上 、 地 域 間 比 較 に も と づ い た 高 速 道 路 整 備 の 地 域 に 於 け る 産 業 構 造 、 就 業 パ タ ー ン 面 へ の 影 響 分 析 を 通 し て 、 影 響 の さ れ 方 に 地 域 的 差 異 の あ る こ と が 捉 え ら れ た が 、 こ の 段 階 で は 、 そ の 差 異 が もともと有しているどのような地域特性、あるいは高速道路整備に連携した計画的対応等に関わっ て 生 じ た か は 明 ら か に さ れ て い る わ け で は な いO 今 後 は こ う し た 観 点 に 立 っ た ミ ク ロ な 整 備 効 果 分 析をさらに進める必要がある口
[参考文献]
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