層状KCI飽和水溶液の水蒸発による結晶粒の点状分 布
著者 中峠 哲朗
雑誌名 福井大学工学部研究報告
巻 32
号 2
ページ 215‑222
発行年 1984‑09
URL http://hdl.handle.net/10098/4340
工 学 部 研 究 報 告 第32巻 第2号 昭和59年9月
層 状 KCI飽和水溶液の水蒸発による 結 晶 粒 の 点 状 分 布
中 峠 哲 朗 *
Dotted Distribution of Crysta1 Partic1es from Layer of KC1 Aquaous Solution Under Evaporation of Water
Tetsuro .NAKATAO (Received Aug. 15, 1984)
Preveous1y, dotted distribution of rectangular KCl crysta1 particles was observed when saturated KCl aquaous solution 1ayer
,
O.14‑2.4mm thick,
is dried over in a Petri dish under natura1 evaporation of water in a room. The present paper reports a simp1e mode1 that such a distri‑bution of the partic1e is exp1ained ana1ytica11y by dif‑
fusion of solute into the partic1e. Then the spacing be‑
tween the partic1es and edge 1ength of the partic1es are given in terms of the initia1 mass of solute per unit area
,
diffusion constant of solute in water, evaporation rate of water and the other physica1 constants. It is subsidiary noted that a similar relation stands for different crystal types of particle such as dendrite‑ or amorphous‑type
,
and a1so for groups of particles.1 序 論
飽 和 溶 液 中 よ り 結 晶 が 析 出 さ れ る 現 象 は 非 常 に 複 雑 で , 得 ら れ た 結 晶 の 形 状 , 大 き さ な ど は わ づ か な 環 境 の 変 化 に よ っ て も 著 し く 異 な るO 特 に 溶 媒 を 蒸 発 さ せ て 結 晶 を つ く る 方 法 は 純 物 質 を 得 る た め に 古 く か ら 用 い ら れ て き た に も 拘 ら ず , 単 結 品 研 究 の 目 的 に は あ ま り 用 い ら れ て い な い 。 し か し 巨 現 的 に は 結 晶 の 生 成 状 況 に い く つ か の 系 統 性 が み ら れ , た と え ば 樹 枝 状 結 晶 の 生 成 K 関 す る PapapetrOuの研究などはよく知られている。
我 々 は 層 状 のKCl飽 和 水 溶 液 か ら 水 を 自 然 に 蒸 発 さ せ て 結 晶 を 作 っ た 場 合 の 結 晶 生 成 状 況 を 報
* 応 用 物 理 学 科
216
告した。乙 の 実 験 で 得 ら れ た 結 晶 は,状況に応じて(jl結 晶 形 で は 立 方 体,樹枝状, その他各種のも のが得られ, (jj)底面 上 に 点 在 し た り , 連 続 し た 膜 状 分 布 を し た り す る。また, (iijl乙れらの結晶粒は そ の 大 き さ , 分 布 の 仕 方 が 溶 液 の 厚 さ と か な り 密 接 に 関 連 し て 変 化 す るO ζれ ら の 状 況 は 多量の溶 液 中 に お け る 結 晶 成 長 の 場合と多く の類似点をもつけれども, 二次 元 的 成 長 に 近 い た め に 扱 い や す い利点があるO し か し , 乙 れ ら 多 様 な 状 況 の 差 異 を 説 明 す る 乙 と は 検 討 さ れ て い な い。
今 回は主 と して@)の状況を解析的に基 礎 づ ける巨視的な方法を述べる。
2 析 出 結 晶 の 概 略
層 状 水 溶 液 か ら 得 られ た 各 種 結晶 状 況 の 詳 細に つ い て は 前 報 で 報告したO そのうち,今 回 考 察す る結晶 粒 分布 の 概 略 を 以 下 に記 す。
まづ,比較 的 単 純 な 結 晶 粒 状 況 の 例 をFig.1 (a), (bH乙示す。ζれ は 直 径50mmの ベ ー ク ライト 製ペトリ血 中 に 小量のKCユ飽和 水溶 液 を分布させたのち, 室内 で 自 然 乾 燥 さ せ て 得られたもので,
実 験Aと呼ぶ。乙の間,室温は10...15 oc ,相対湿度 は40...60 %であった。結品粒の形状,大きさ,
分 布 の 様子 が中 央 部 付 近 で は写真のように比較的一様 で あ り , かっそれ ら が 溶 液 の厚さにしたがっ て 変 化 するので, その点を主として討論する。周 辺 部 で は か な り 複 雑 な 結 品 状 況 と な る の で , 扱 わ ない。
観 測 さ れ た 結 晶 粒 の 形 状 は2種類に大別され, 一つは立方 体 に 近 い 直 方 休 結 晶 で , 簡 単 に立方結 晶 と 呼 ぶ。他 は 群 を な し た立 方 結 晶 で,は じ め 多 く の 小 さ い 立 方 結 晶 が 群 生 し , そ れ ら が 結 晶 成 長 と と も に つ な が っ た も の で,数 個 な い し 十 個 程 度 の 集 ま り の よ う に み え る。立方 結晶 及 び 群 を な し た立 方結晶の両者と もに,個々の粒子は 中 心 付 近 が 白 色多孔性の不 透明 結 晶 , 外 周 が透明 結 晶 で あ って,両者の 構 成 比 率 は 結 晶 粒子の大きさとは 直 接 的 な 関 連 が な い。結 晶 粒 は全 表 面 で 成 長 し,不 透 明 部 が 先 づ 生 じ た の ち , 透 明 部 が 生 ず る け れ ど も , そ れ ぞ れ の 面 に よ っ て 透 明 部 の 厚 き が 異 な る, す な わ ち 成長 速 度 が 異 な るO
他の例として,直 径90mmの ガ ラ ス 製ペトリ皿の底に黒 い 木 綿 布 を し い て同 様 な実 験 を 試 み,こ
。 eJ 〉 l
L I r J
•
5ii 帯図‑
(a) M = 5 mg/cm (b) M = 50 mg/cm (c) M = 30mg/cm
Fig. 1 Examp
ユ
es of 七hedistribu七工onof crystal pa了七icles (a) and (b) on the bakelite bottom and (c) on the cottonC工othbottom
れを実験Bと呼ぶ。結果の一例をFig.1 (c)に示すO このときは布の織模様の上に多孔性で白い不 定 形 結 品 の み が 現 わ れ て い る け れ ど も , 液 厚 と と も に 粒 子 の 大 き さ , そ の 他 が 変 化 し , ま た 群 結 晶
を生ずることなどは実験Aと同様であるO
両 実 験A,B において液厚による結晶粒生成の様子を調べる例として,底面の単位面積当たりの 溶 質 量Mo1[.対する孤立結晶粒の間隔A (実 験Aでは立方結晶粒の間隔, Bで は 無 定 形 結 晶 粒 の 間 隔)をFig.2 1[.示す。ここに粒子間隔Aは面積S中に観測された粒子数Nより ,A=(S/N)2 として計算したO 孤 立 粒 子 の 間 隔 は い づ れ の 実 験 で も ほ ぼM02に 比 例 し て 変 化 す る ( 近 似 直 線 は 両 実験で僅かに異なるが,図にはAでの近似直線を示しであるO 群結晶については,後に3.41乙付帯 的に述べる。
今回はζれらの系統性を多少一般的な巨視的結晶成長の観点から討論する。
3 拡 散 に よ る 結 晶 粒 成 長 の 簡 単 な 模 型
実 験Aでの立方結品粒成長の簡単な模型を考えるo
3. 1 結 晶 粒 の ま わ り の 溶 質 移 動
肉眼で観察し得るほど大きくなった結晶粒の中心を通る断面での溶液分布はFig.2 (a)のようで あるo 21乙述べた結品粒中の透明部と不透明部との分布状況から,溶液内の溶質移動は同図 (b)の 矢印のようであると思われ,矢印の太さは拡散する溶質成分量の大小に対応させてある。
今回は,計算の便宜から,同図 (b)により次の近似を用いるo (Al)結 品 の 周 囲 は 結 晶 表 面 と 平 衝 し た 一 定 濃 度 Ccγyの溶液層Qで被われている。 (A2)容器底面は一様な厚さdの溶液Pで被われ 液 厚 が 小 さ い の で , 液 内 の 濃 度 分 布 に お い て は , 厚3方向の差異を無視し得るo (A3)粒 子 間 隔 が
1 . 0
‑0.5 E
Uロ3
c
[ 0 . 1
tf)
与 え £
B (Amorphous )
Fig. 2 Growth of particユes
口 ! E
( b ) Simple model o f l a y e r
O λ / 2
入3 λ / 2
Xー→
( c ) I n i t i a l c o n d i t i o n
Fig. 3 Mo‑deperdence of A
218
粒 子 の 大 き さ に 比 し て 十 分 大 き い と す る 。 し た が っ て , 今 後 溶 液 層 の 大 き さ は 無 限 に 大 き い と し て 近似計算を行う。
また溶液層P中 の 濃 度 の 初 期 条 件 を 次 の よ う に 考 え る 。 (
Bd
無 限 に 広 い 溶 液 層 中 の 濃 度 分 布 は A31乙より 2次 元 的 に 考 え る 乙 と が で き る が , と と で は 簡 単 に l次元的に扱い,のちに3.3で修正に つ い て 触 れ る 。 (B2)溶 液 の 濃 度C (重 量 比 で 示 す ) に つ い て は , 結 晶 の な い 部 分 で は 過 飽 和 が お こり得るが,濃度Cml乙 達 す る と 自 然 的 に 結 晶 核 を 生 じ , そ れ 以 上 の 濃 度 に は な ら な い 。 (B3)結 晶 核 が 析 出 す る と , そ の 近 傍 の 溶 液 濃 度 は 急 激 に 減 少 し てCcγyと な り , 結 晶 核 部 分 で 濃 度 の 不 連 続 を生ずるo (B4)しかし t>
0の と き , 液 層Pの 内 部 で の 濃 度 分 布 は 溶 質 の 拡 散 係 数Dを用いて次 式で計算されるOC一22一X 珂ぴ スぴ
D C
O 一 ︐ E
ズぴ 唱EA︑ ︐ ︐ ︐ ︐
(
乙 の 具 体 的 な 計 算 に つ い て は , い く つ か の 問 題 が あ り , 後 に3.5で 再 び 触 れ る が , 簡 単 な 計 算 の 例 を次項I乙示す。
3.2 濃 度 分 布 の 計 算
濃 度Cを 単 位 面 積 当 た り の 溶 質 量M ( x,t)と水の量W ( x,t)とで表わすと
C(x,t) = M ( x,t)/W(x,t) (2)
乙ζで , 計 算 壱 極 単 に す る た め にMとFとのx, 依 存 性 を 分 離 し て 近 似 的 に 扱 う こ と と し , 次 の ように仮定するo (02)水 の 量Fは蒸発によって特定数τで減少する指定関数で与えられるとする。
( C2 )なお時刻t= 0か ら 結 晶 核 の 生 成 が は じ ま る と し , そ れ に 対 応 し てFの場所的分布は一様な ものから僅かに異なるとして, C1, C2全体では次式により近似されるとしよう。
W =
民{
1 + α α c 0 s ( 2 7r x / A ) } exp (~
t /τ) (3)( C3) Wの時間的,場所的差異は小さいとして近似すると, (1)式を直接計算するかわりに,微分方 程 式
θM 七 θ2M
一 一 一
θ~ ax2 (4) によってM (x, t )を求めたのち, (2), (3)両式よりC(x,t)を計算してよい。
以 上 C1‑‑‑‑‑‑03の仮定によると ,W及 びMの 初 期 分 布 及 び そ の 後 の あ る 時 刻 れ に お け る 分 布 の 例 はFig.3 (c)のようになるO
な お , こ れ ら の 仮 定 は 理 論 計 算 を 簡 単 に す る た め の 一 万 法 で あ り , 後 に3.5で再び触れる。
いま, (4)式 を 境 界 条 件 :
M (x, 0) = Mo , (θM/θx) 1i../2.t = 0
(5) M ( 0 , t ) = Mo exp (~ t / r )
の 下 で 解 く と , 次 式 が 得 ら れ るO
ここl乙
r
(π+* ) ( ‑
1 )n C 0 8~
( n +~
)π(1‑2X/A)~一 (η+ 占 )2 ・ 4 t l
M=2 πMOn~l
I
】¥ o
exp 】l
L
九 十 ‑ 2
)π2 τ JC08
( 4 ‑
X)+
MC r1l 0 0 exp ( ‑t /7:) c08(A/2)∞ r( 叶~
)(一 ltC08~( 叶 ~)π (1-
2X/ A)~(叶~
) 2・4t1
2πMcrv̲I.1 】 】 .exp
I
(6)A2 勺三 TC2D
‑,.= 1
L (
n+ ~t
TC2 ‑A 2 τ AJ
A2= 一
~二
4Dr X2 ‑= 4D X2 τ (7)い ま 簡 単 の た め に
8 t /勺:>1, τ/η:>1
であるとすれば, (6)式 は 級 数 の 第 l項のみ壱用いて次のように近似される。
乙乙l乙
4 β M o π 2 X , 1
M =ーで C08
i
三(1 ‑ ー ァ )~ ・ exp (一て一)品 、 "A
COS (4‑X)
+
Mcry • 日. exp ( ム ) c08(A/2)。ー
τ)./τ ‑C cry / Cm‑
1 ‑τ'A /τ
し た が っ て , 濃 度Cは次式となる。
4 sCm
c08{~(1-2X/A) ず
C =
一一一・
】・
exp(一二+ニ)
π 1 ‑α一αC08( 2πx/A) ι』 ι
C 08(A/2‑X)
+
Ccry •{ 1 + α α C O 8 ( 2 TC X / A ) }・ C08(A / 2 )
3.3 結 品 粒 分 布
(8)
(9)
前 項 の 結 果 を 用 い て , 結 晶 粒 間 隔 を 求 め よ う 。 い ま 溶 液 濃 度 はCm以 下 で あ り , そ れ を 溶 液 中 で 最 大 濃 度 と な る 点x = A /2での次の条件で規定し得る。
220
4βcm τA , 1
C I..{ /2 = , ・ exp
1 ‑
~ ( 1 ナ )t
ー π(1
+
2 α τ ..十 C cry
くCm C 1
+
2α) cos C A / 2 )ここで(8)式 の 条 件 を 用 い る と , 指 数 関 数 の 項 を 無 視 し 得 る と と も に ,A/2<1が 成 立 す る か ら , cosの項をdのべき級数民展関し ,Aの二次の項までとって次の近似式を得る。
r ~ ̲ C cry , 1吉
Aく{8Dτ( 1一一一一一一 ・一一一 }
。 。
、 1
+
2α Cm結晶粒間隔は上式を満足する Aの最大値で与えられ, α 0,Ccry = C視であれば).= 0 ,すなわち 連続結晶となる。
いま, (lC>>式を書き直して得られるパラメータ ).2/4 DTは 一 般 に 拡 散 方 程 式 の 解 に 現 れ る 無 次 元 のパラメーターである。したがって,二次元,あるいは三次元での面倒な計算を省略し, (l~式を拡 大解釈しよう。すなわち, Fig.lの 結 晶 粒 間 隔Aはある定数γを用いて,次式で与えられるとし てよい。
) .
= (AD τ)2 A = 8γ( 1一 一 一 一 ・ 一 一 )Ccr'l
1
+
2α Cm (l~こ の 結 果 を 今 回 の 実 験 結 果 と 比 較 す る た め に 書 き 直 す 。 溶 液 を 室 内l乙放量して自然乾燥したので1
次 の 蒸 速 度 は 溶 液 の 厚 さ の 大 小 に 関 係 し な い 。 す な わ ち ,M の初期減少速度Uが一定であるとして よいから, (5)式より τ=Mo/vを用いて帥式を書き直すと,次のものが得られる。
) .
= CAD/v)2M02 M
乙のとき得られる結晶粒の大きさLは面積).2内 の 溶 質 量 が 立 万 体 に な っ た と し て , 結 晶 の 密 度ρを 用いて次式で与えられる。
L= ().2MO/ρ)百 =(AD/ pv )吉M03 (l~
3.4 実 験 と の 比 較
前 項 の 結 果 陣 式 はFig.2をよく説明する。またζれらから得られたパラメータの例をTable 1 k示す。すなわち,
(jl Fig.2 (a)を伺式と比較し,実験 A ,B における孤立結晶粒のAD/vを求めると,帥式より 粒 子 分 布 に 対 応 す る 立 方 体 粒 子 の 辺 長Lの表式が得られる。
(
j j) 成長会ミ件が著しく異なるA,B両実験において ,AD/vがほぼ同じ値をとるととは,偶然と いうよりも,何か物理的に意味があるものと思われ,興味がある。
(jjj) 孤 立 結 晶 粒 の 立 方 体 換 算 辺 長Lmを実測した 3辺の長さより求めた。 Lm/Lは1.0と な る べ きであるが, Tabユe1 IC示 す 値 が 得 ら れ た 。 実 験Aではやや小さく,一部に群結晶ができるため と思われる。実験Bでは特に小さいが,これは結晶のかなりの部分が布中に含まれるためである。
す な わ ち 肉 眼 的 に み た と き , 実 験AとBに お い て , 粒 子 の 分 布 間 隔 は 同 程 度 で あ る が , 孤 立 結 晶 粒 の大きさは AfC.比して Bでは著しく小さい。
次l乙,21ζ記 し た 群 結 晶 に つ い て 検 討 し よ う 。 群 結 晶 は 数 が 少 な く , そ の 間 隔 を 求 め 難 い の み な らず,各種測定値比は大きなばらつきがある。 ζ乙では辺長GをFig.41[示した。 Gの値は,群結 晶 の 実 測 辺 長 と , 平 均 的 三 次 元 的 形 状 と よ り , 結 晶 を 立 方 体 に 換 算 し て 求 め た 辺 長 で あ る 。 と れ に よると,群結晶の大きさも,実験 AfC.比して Bで は 著 し く 小 さ い 。 ま た プ ロ ッ ト は , ぱ ら つ き が 大 きいけれども,ほほ
Ml
f乙比例して変化すると近似するζ とができて, それより G/Lの 値 が 得 ら れ る (Ta ble 1 )。乙の値もA,B両 実 験 で ほ ぼ 同 様 な 値 を も っ 。 最 後 に , 両 実 験 に お い て , 孤 立l個 の 群 結 晶 は (G/ L )3 = 4. 1 '"" 4. 9個,平均的に4.5個 の 結品と群結晶との体積を比較すると,
結晶粒に対応することとなる。
3.5 計 算 モ デ ル に つ い て
今回3.1の仮定によって計算を行ったが, この計算モデルが現実におとると考えている訳ではな い。帥式のように不等号の表式から帥式の等号表式を導いて,実験結果を説明する簡単な計算例と 考えている。
一 層 現 実 に 近 い モ デ ル と し て は 次 の モ デ ル を 考 え る こ と が 出 来 よ う 。 た と え ば 水 の 場 所 的 分 布 は おζらず,むしろ容器の底面での汚れ, その他の原因によって結晶核の出来やすい点があるために,
Cmが 場 所 分 布 を も っ と 仮 定 す る と と で あ る 。 乙 の 場 合 に は , 結 晶 の 出 来 や す き の 大 小 , 及 び そ の 場 所 的 分 布 がrandomで あ っ て , そ の う ち 実 際 に 結 晶 核 が 成 長 す る 条 件 は 帥 式 , 帥 式 壱 満 足 す る よ う な も の に 限 ら れ る と い う 形 式 の 理 論 を 建 設 す る 必 要 が あ り , 今 後 検 討 す る こ と が 望 ま れ る 。 乙 のモデルを他の分野の問題と比較すれば,たとえば材料破壊の原因として,材料中にある各種の,
また大小種々の強度をもっ欠陥の分布のうち, ある定まった面上のもののみが現実の破壊面として みられるものと対比されよう。 しカ〉し, 乙の種の欠陥分布と破壊との関係についても,未だ十分な 理論構成が得られていない状況にある。
Table ] Parameters obtained
Experiment
A I v Lml L G I L (G I L) 3
A 2.1 0.18 1.7 4.9
B 2.3 0.35
1.6 4. 1
1 . 0
Q5
戸画、 / ' ./
〆 /
E
ベC /
〆...~ Q2
ト パ ヤ ! ' ; '
",// よ心ー ' ・ ‑
. c
1/ 、手、",,,,'、、~.;~ t'ノ..x...二,~\.'"
01 ノ~...♂,.'
a 1
i 0 . 1
ー」
ω L",/
5 3 O
応I
1 0 2 0 50
M o
(1Õ~g/cm2)1 0 0
222
4 結 語
広い容器に少量のKCl飽和溶液を一様に分布させたのち,徐々に水を蒸発させてKCl結晶を析 出きせるとき,液量,したがって単位底面積当たりの溶質量MoI乙応じていろいろの大きさの結晶 粒が観察される現象を解析的に説明する方法を検討し,次の結果を得た。
(il ベークライト板上及び木綿布上での実験より得られた立方結晶粒,立方形群結晶,不定形結 晶粒,不定形群結晶の大きさはMoの 変 化 に 応 じ で す べ て 同 様 な 変 化 を 示 す 。 し た が っ て , 乙 れ ら すべてに共通した形式での結晶成長モデルのあることが想定される。
(jj) KCl結晶の析出を古典拡散モデルによって近似計算し,粒子間隔が,
A = (ADT)吉
で与えられることを示した。乙乙I"c.Dは溶液中での溶質の拡散係数 , Tは水蒸発の時定数 ,Aは結 晶析出時の溶液状態に関して定義される定数である。種々の厚きの溶液層を一定の水蒸発速度Uで 乾燥させた今回の実験では,上式は,
1一2
M
︑ ︑
︐
fU
JJ/ D
d丘
︑a A
と書かれ,実験結果をよく説明する乙とが出来た。
との討論はなお初歩の段階にあって,今後温度,湿度などの影響を考慮した場合について検討す るとともに,特に群結晶生成のモデルについての手法を見出すことが望まれるo
文 献
1) A. Papapetrou : R. Krist. , 92 ( 1935 ) 89.
2) R.H. DOremus, B. W. Robert and D.Turnbulユ Growthand Perfection of Crystaユs,John Wiユey&Sons,1959.
3)中峠哲朗:福井大工報, 19 ( 1 97 1 ) 1 07, 18 ( 1 97 0 ) 2 41, 20 ( 1 97 2 ) 39.