不登校問題に対する適応指導教室の支援の在り方 一通室経験者への面協周査を通して‑
学校教育専攻 教育臨床コース 阿 利 孝 子
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問題と目的近年、不登校問題は学校現場だけでなく、社 会の問題としても大きく取り上げられている。
不登校の増加に対しては、こころの教育の推進、
教員研修、「スクールカウンセラー」や「こころ の教室相談員」の配置をはじめとするさまざま な施策が講じられてきた。これらの取り組みの 中で、適応指導教室についてはこれまで明確な 設置基準がなかったように思われる。もちろん、
不登校児童生徒の状況も、家庭や判交など地域 によって異なっているため、これといって明ら かな対応を示すことが図難であろう。しかし、
筆者は適応指導教室の指導員で、あったとき、学 校ぺ子きたし1気持ちと行けなし1気持ちのはざま で揺れる子ども達を見てきた。彼らは不登校と いう形で学校に背を向けることになったかもし れない。しかし、あるとき、一歩前進して適応 指導教室ハ持み出すことができた。その後多く の者が笑顔を取り戻し、社会へ巣立っていったD
学校には行けないのに、適応指導教室へは毎日 来ることができるのはいったい何故なのかとい つも思っていた。不登校の子ども達は増えてい る。学校教育の在り方も考えなければならない であろうが、事交と家庭の中間的場所としての 適応指導教室の存在意義は大きいと思われる。
本研究においては、通室経験者への聞き取り調 査を行ったO 彼らの視点をとおして、適応指導 教室の支援の在り方と;意義について考察したい。
指 導 教 官 山 下 一 夫
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方法適応指導教室に通室し、中学校卒業後1'"'‑'3 年経過した人達に調査的面接を行ったO対象は、
筆者が指導員当時に直接関わった人達で、当時 のことを尋ねても、あまり侵襲的にならないで あろうと思われるお名(男子3名、女子12名) である。全員が中学校卒業後1'"'‑'3年経ってい る。面接調査に関しては、表面の意識的側面よ り、個人の深いところに焦点をあて、被面接者 の内面的なデータの収集を目的としたD そのた め、「面接の手引きJとしづ質問紙を用意し、そ れにそって面接を進めるという方法をとったD
X年3月'"'‑'8月に、 1'"'‑'2時間程度の面接を実 施した。面接場所もいくつか用意し、選んでも らった。質問内容は、①不登校当時の状況、② 中学校卒業から現在までの状況、③将来につい て、⑪直応指導教室の活動評価キコ影響等である。
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結果と考察 (1 )不登校時の状況不登校の初発の時期は幼稚園時から中学
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年 生時までと対象者によって異なるが、最も多い のは小学6年生時である。また、全く判交へ行 かない(不登校)になったのは中学3
年生時が 最も多い。学校がおもしろくないと感じつつも 登校をし、ついに中学3
年で、不登校になった者 が多い。不登校の直接のきっかけは「判交生活 での影響」が一番多く、なかでも、いじめや友 人関係をめぐる問題が多い。学業不振のために‑ 84‑
学校がおもしろくなくなったという者もおり、
学力不足から不登校に陥った者もいる。このこ とから、学力補充は学校だけの問題でなく、今 後更に考えなければならないことだろう。不登 校のタイプとしては「複合型Jが多く、「無気力 型
J
I手符子型」は少なかったO また、全員が、少 なくても1
ヶ月間、多くは2
年間くらいのひき こもりを経験している。不登校時の気持ちとし て、「不安J、「孤独」、「寂しさ」等を感じてしも 者が多い。通室へのきっかけは担任や親の勧め が多かったO ある者は、「家にいるときは何もせ ず、ぼおっとしていた、幸せで、なかったjとい う。「ひきこもる子は自分で外へ出られるような 子でなし1から誰かが出してあげないとj と語る 者もいた。ひきこもりから一歩外へ踏み出すと き、周囲が温かく見守ることも大事であるが、背中を押すことも重要であろう。見守ること、
待つことに加えて、見極めることが大切であり、
早期発見・即時対応が望ましし吃考える。一人 ひとりの幸せを願い、社会においても自立でき
ることを目指しつつ、子どもの状況に合った対 応をする必要がある。
(2)中学校卒業後から現在までの状況 中学オ交卒業直後は
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名全員が高校へ進学した。しかし、その後、 1~3 ヵ月後に中退した
者が3名いた。しかし、 2名は再度高校へ入学 した。高校へ通いながらアノレバイトをしている 者も数名おり、現在の状況に満足している者は およそ
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割で、あったO 将来について夢や希望を 持っていると答えた者は1 5
名中1 4
名だ、ったO(3)適応指導教室の活動の影響
全員が教室の活動は楽しかったと答えた。特 に、日常的の「トランプやウノ」などの遊び、
「遠足やキャンプ、文化祭」などの集団活動が 良かったと答えている。ほとんどの項目が良か
った点としているが、改善点もある。「学校ぺ子 かなかったことで勉強が遅れたJ、「時聞が自由 なのは良いけれど、いつかは社会へ出て行くの だから、きちんと決めたほうがいし10 自由と甘 えは違う」と答えた者もいた。
4 全体考察
(1 )適応指導教室の支援の在り方
適応指導教室の目的は「判交復帰」、「自立を めざす」とし、った一義的な言葉にとらわれるも のでない。教室で十分依存でき、満足感を味わ うことができたら、そこから自立し、成長して いくと考えられる。自主性や主体性を尊重した 柔軟な取り組みが大事である。
(2)適応指導教室の意義
人間は、何か困難が生じたときに、信頼がで き、援助してくれる人がいるとの確信があると きに最も幸福であり、かっ能力を十分に発揮で、
きるとし1われる。安心基盤として、相生そのも のに意義がある。更に、不登校からの回復過程 において心理的面接も必要だろう。子ども達に 関わっている指導員へのサポートも大切であり、
スーノぐーノ〈イザーとして臨床心理士など心の専 門家を配置することが望まれる。
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今後の課題今回、面接ができたのは、多くは社会へ適応 しているといえる者達である。会えなかった者 達のその後については、手がかりのある者もい るが、不明の者もいる。まだ不登校から脱して いないのではないだろうかと思うこともある。
今後、不登校児童生徒を出さないことへの努力 はもちろんだが、子ども達が社会へ一歩踏み出 すことができるよう、本研究が何かの形で役立 つことを願っている。今後複雑化してくる子ど も達への有効な対応や、支援・援助の在り方を 研究していきたい。
Fhd
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