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《古代史地中海世界における病・癒し・祈り》 シンポジウム

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Academic year: 2022

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シンポジウム

《古代史地中海世界における病・癒し・祈り》

  

小林 雅夫

 今回のミニ・シンポジウム開催の趣旨説明を歴史学の立場から述べさせていただきます。本日の報告 者は、美術史・哲学・歴史学の専攻者が混ざっていますが、私はあくまで歴史学の立場からの発言に なってしまうことをお許しください。

 歴史的に見て、人間が格闘する苦悩には、いろんな角度から指摘できるでしょうが、私は『貧困と病』

の問題を挙げることもできると思います。相対的な貧困という状態は決して珍しいことではありませ んが、究極的貧困は飢餓,飢えでしょう。飢餓とは生活基盤が破壊された状況であり、倫理も無視さ れ、盗みも殺人すらもおこります。当然、幼児殺害、いわゆる間引き、現在話題になっている「あか ちゃんポスト」、捨て子、児童売却などもしばしば発生します。そして、自殺が選ばれた場合もある でしょう。

 ところで、本日話題にする病気は死の危険と結びつくことが多いでしょうが、死に至らない場合でも、

苦痛に悩まされますし、伝染病であったり、身体障害がある場合には、病気そのものの苦しみとは別 に、社会的差別を受けたでしょうし、時にはその被害は親・兄弟にも及んだでしょう。病気の苦悩は,

深く,広いといえるでしょう。

 病気からの救済の道は、一番の希望は治療による健康回復ですが、古代の医学水準を考えると、 病 気からの脱出はかなりきびしかったと想像されます。不治の病、治療の望みのない難病、生命の危険 と直面した妊娠・出産、偏見から来る深刻な差別感などはいずれもが、過酷な苦しみから脱出するた めに人々に自殺を選択させたかもしれません。たとえば歴史学でしばしば研究課題とされる「けがれ」

と「きよめ」の問題もここに浮上してくるでしょう。また、いろんな事情があるにしろ、母親が自分 の子供を殺害したり、捨てたりすることはしばしば発生することではありませんが、決して驚くこと ではありません。故意にしろ事故にしろ、死んだ子供を母親が不憫に思うことと、罪だと感じる事に は、天地の差があるでしょう。

 多くの人々は死を選ばず、生きようとしました。あるいは生きざるをえなかったのでしょう。このシ ンポジウムでは「ビザンツを含む古代地中海世界における病・癒し・祈り」の問題を検討してみたい と望んでいます。

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参照

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