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Packaging of Land-use, Housing and Transport Policies for Optimal Urban Structure *

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Academic year: 2022

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(1)

*1キーワーズ:計画手法論,土地利用,住宅立地

*2 正会員 工博 神戸大学工学部建設学科助教授

(〒657-8501神戸市灘区六甲台町1-1

Tel & Fax : 078-803-6014, E-mail: [email protected])

*3 学生員 修(工) 神戸大学大学院自然科学研究科

最適な都市構造の実現のための土地利用・住宅・交通政策のパッケージ化手法*

1

Packaging of Land-use, Housing and Transport Policies for Optimal Urban Structure *

1

冨田安夫*2・寺嶋大輔*3 By Yasuo TOMITA*2 and Daisuke TERASHIMA*3

1.はじめに

我が国の都市は,経済停滞,人口減少・少子高齢 化の急速な進展,政府の財源不足,中心市街地の衰 退,地球環境問題の深刻化,過度の自動車利用によ る環境問題など様々な問題に直面している.このよ うな中,都市構造のコンパクト化によって,以下の ような効果が期待できる.1)市街地が減少すればイ ンフラ整備・維持管理費の節約が可能である.2)中 心市街地が活性化されれば,既存インフラの有効利 用にもなる.3)活動間の近接性が高まることによっ て交通移動距離も減少する.4)市街地密度の向上は 公共交通の成立条件を高めるとともに,公共交通利 用の拡大は高齢者などの交通弱者へのサービス提供 にもなる.5)公共交通未整備地域への市街地拡大を 抑制することによって,自動車への過度の依存も抑 制される.

しかしながら,コンパクトな都市構造として,具 体的にはどの程度のコンパクトさが望ましいのか,

また,いかなる政策によって実現可能であるかにつ いては,その分析手法は未だ提案されておらず,定 量的な分析はなされていないのが現状である.

本研究では,最適な都市構造の実現のための土地 利用・住宅・交通政策のパッケージ化のための手法 を提案する.具体的には,武藤・上田ら1)によるCUE モデル (Computable Urban Economics Model) を用い,

これを制約条件付きの最適化モデルとして拡張する とともに,分析対象とする政策変数を新たにモデル に導入している.さらに,この最適化モデルは,非 線形式を多数含んでいることから,解析的に解くこ とは困難であるため,Fowkes ら 2)の手法を改良した 近似計算アルゴリズムを提案している.

2.CUEモデルを用いた最適化モデル

(1)モデルの考え方

都市構造に関連して様々な外部性が存在しており,

このため都市政策によって,都市構造を最適化する ことが必要となる.外部性としては,1)都市活動の 近接性が高まることによって活動間相互に生じる交 通費用の節約効果(2つの活動間の近接性を高めることは,

双方の交通費用節約となるが,各活動主体の認識する交通費節 約はそれぞれの交通費節約しか認識してないことに対する外部 性),2)交通混雑による外部効果,3)市街地面積の削 減によるインフラ費用の節約,4)自動車排気ガスの もたらす環境影響,5)都市集積による外部効果,6)建 物過密による近隣外部効果などが考えられるが,こ のうち,本研究では1)~4)について扱っている.

本研究のモデルは,代表的な土地利用・交通モデ ルである武藤・上田によるCUEモデルを用いて,こ れを制約条件付き最適化モデルに拡張したものであ る.制約条件としては交通エネルギー消費や都市整 備財源制約などが考えられる.これらの条件として,

達成すべき目標値を用いることによって,目標設定 型の政策立案も可能となる.なお,本モデルにおい て,CUEモデルを用いたのは,本研究では都市構 造誘導政策として住宅費補助金政策を挙げており,

この分析のためには,経済メカニズム,すなわち,

建物・土地市場を内生化したCUEモデルが望まし いと考えられるからである.

最適化モデルの目的関数は,(1)式に示す世帯の等 価変分(EV)の総和とする.政策前後の等価変分およ び人口分布変化は,CUE モデルによって求められる.

CUE モデルによって求められる等価変分には,様々 な外部性が考慮されている.交通費用に関する外部 性は,交通モデルを介して,世帯の通勤費節約,企 業の業務交通節約として求められ,最終的には世帯 所得の増加となる.また,インフラ費節約効果につ いても,世帯所得の増加として反映されている.自

(2)

動車排ガスによる環境影響については,世帯の間接 効用関数の説明要因として含まれており,等価変分 の直接の説明要因でもある.このように,本モデル における等価変分には様々な外部性が考慮されてい ることから,この総和を目的関数としている.

1 i

i i0

0 i 1 i 0

i N

V V I V

Z =

→ max (1)

s.t. f(X1,⋅⋅⋅,Xn)≤Y

I:所得,V:効用,N:世帯数,Xn:政策変数,Y:環境負荷 物質排出量,i:居住地ゾーン,0:政策前,1:政策後

(2)武藤・上田によるCUEモデルとその変更点 武藤・上田によるCUEモデルは,世帯,企業(製 造業とサービス業に区分),開発業者,地主をモデ ル化の対象としている.世帯の効用最大化行動およ び企業の利潤最大化行動を仮定し,住宅・業務別の 建物床市場および土地市場の均衡条件のもとに,人 口分布,従業人口分布,地代分布,OD 分布交通量,

配分交通量,さらに,世帯の等価変分,企業・ディ ベロッパー・土地所有者の利潤を求めることができ る.

各主体のモデルは,武藤・上田モデルを基本的に

は用いているが,土地供給モデルにおいて,地主に よる土地利用の選択行動を組み込んでいる点が異な っている.なお,モデル変数および添え字は,表-

1,表-2に示すとおりである.

a)世帯の効用最大化行動と住宅立地モデル

世帯は,所得制約下の効用最大化行動をするもの と仮定している.(1.a)式に示すように,直接効用関 数(U)は,住宅広さ,余暇時間,合成財消費量,自 由トリップを説明変数とし,間接効用関数は,直接 効用(U)に,交通環境負荷による外部不経済を加え たものである.所得は,(1.b)式に示すように,労働 所得(=右辺-左辺第4項),資産所得(株式配当およ び地代収入)の合計である.

( )

[

i i

] ( )

i

H i i X i S A

i Z U Z A X S f

V

i H i i i

γ µ⋅ +

= max , , ,

, ,

, (1.a)

s.t.

( )

i

i

j ij ij

i i i H i H i

i y

N T N w

wS X q e A r

pZ +





= + + +

+

(1.b)

(1)式によって与えられる間接効用(Vi)を用いて,

各ゾーンの住宅立地選択確率をロジットモデルによ り定式化すると次式となる.

( )

( )

=

i i

H i

i V

P V

α α exp

exp (2)

b)企業の利潤最大化行動と業務立地モデル

企業は労働,建物床(資本)及び業務トリップを 投入して生産活動を行っており,その利潤最大化行 動の結果として,(3.a)式の示す各ゾーンの利潤が得 られる.この利潤を用いて,各ゾーンの選択確率を ロジットモデルによって定式化したものが(4)式であ る.(3)(4)式は製造業についての定式化である.サー ビス業についても同様の定式化が行える.但し,生 産額が自由トリップの関数となる点が異なる.

=

Π

F j i

ij ij F

j F j j F j F j L j X A F

j E

tc N wL X Q A r pZ

i F j F j F j,

max (3.a)

s.t.

(

Fj

)

F j F j

j Z A X L

Z = , , (3.b)

( ) ( )

ΠΠ

=

i

F i F F i

Pi

β β exp

exp (4)

c)開発業者の利潤最大化行動と建物床供給モデル 開発業者は,土地と資材をもとに建物床を供給す る.製造業用建物床に関する,開発業者の利潤最大

表-1 変数

記号 変数名 記号 変数名 e 1自由トリップあた

りサービス財消費額

GS 土地面積供給量

h 資材価格 K 資材投入量 p 財価格 L 労働投入量 q 1自由トリップあた

り平均交通費用

N 人口(世帯数)

r 地代 P 確率

tc 通勤費用 S 余暇時間 w 賃金率 T 通勤所要時間 y 資産所得 V 効用 γ(f) 交通環境負荷の

外部不経済

X 自由トリップ数

σ 税率 Z 合成財消費量

A 床面積需要量 Π 利潤 AS 床面積供給量 Ω 利用可能時間

G 土地面積需要量

表-2 添字

記号 添字名 記号 添字名 i 居住地ゾーン F 製造業 j 従業地ゾーン S サービス業 用途 U 都市的土地利用集合

(H,F,S∈U) A 空閑地・農地 L 土地

H 住宅 現況

(3)

化行動を表したものが次式である.サービス業用建 物床,住宅用建物床についても同様である.

[

iF

]

F i FL i F i F i F

i = r ASr GhK

Π max (5.a)

s.t.

(

iF

)

F i F

i AS G K

AS = , (5.b)

d)地主の土地供給行動モデル

地主は各ゾーン毎に1人存在し,用途毎の土地地 代の変化に応じてゾーン内の全ての土地の供給を行 う.本研究では地代の変化に伴う用途転用を考慮す るため,地主がゾーン内の土地を土地の地代に応じ て,(6)(7)式に示す2段階ネスティッドロジットモデ ルによって,用途別に土地を配分するものと考える.

( )

i

k

k i A

i U

i G

r r

GS





 

 

 − +

=

ω

θ ω1ln exp exp

1

1 (6)

( ) ( )

iU

k

k i k k i

i GS

r GS r

=

ω ω exp

exp (7)

3.分析対象政策および政策変数の導入

(1)分析対象施策

都市構造を誘導する土地利用・住宅・交通政策と して,本モデルで分析可能な政策は,表-3に示す とおりである.このうち,土地利用・住宅政策に関 して,政策変数を導入するために,モデル式の変更 を必要とする政策は,1)住宅費補助金政策,2)通勤費 の世帯負担化である.それぞれの政策に関するモデ ル式の変更は,次節のとおりである.

表-3 分析対象としての都市構造の誘導政策

メニュー 効果

土地 利用

市街化調整区域への 逆線引

郊外の居住費用の増大による,都 心への移転世帯の増加

都心への住宅費補助 都心居住費用の減少による都心へ の移転世帯の増加

住宅

郊外への課税 郊外の居住費用増大による都心へ の移転世帯の増加

通勤交通費の世帯負 担化

交通費の高いゾーンの居住費用増 大による,交通費の低いゾーンへ の移転世帯の増加

基盤整備 混雑緩和,所要時間短縮による環 境負荷軽減,所得増加

交通

各種TDM政策 混雑緩和,公共交通転換による環

境負荷軽減,所得増加

(2)CUEモデルへの政策変数の導入 a)住宅費補助金政策

ゾーン i に立地する世帯の住宅費に対して,補助 率δi(外生値)の住宅費補助政策を実施するものと すると,この世帯の予算制約式は(8)式となる.この 式の左辺第2項は,補助金入手後の住宅費用を表し ている.

( )

( )

( )

( )





+

=

+ + +

+

i i

j ij ij

i i

i H

i H i i i

N y T N w

wS X

q e A r pZ

σ

σ δ

1

1 1

(8)

ここで,

δ

i:ゾーンiに立地する世帯に対する住宅補 助率,

σ

:住宅補助財源のための税率

次に,政府は,住宅費補助金の財源を,インフラ 費節約額と世帯への課税によって賄うものと仮定す れば,(9)式のような収支均衡が成立する.(9)式の左 辺が歳入,右辺が歳出を表している.

[ ]

∑ ∑

∑ ∑

=

+





 +



i

H i i i i

i k

k i k i i

i i i

i

j ij ij

i

A r N G

G f

y N S

T N w

N

δ

σ (9)

b)通勤交通費の世帯負担化

通勤交通費の世帯負担化を実施した場合,世帯の 所得制約式は(10)式となる.通勤交通費の世帯負担に よって,世帯所得は減少((10)式右辺第3 項)し,企業 利潤が増大する.この企業利潤増大分は,最終的に は世帯に配分されるため,これを均等に世帯に配分 したものが,(10)式右辺第1項の中のyiである.一方,

(11)式のように,企業の利潤関数からは,通勤交通費 が削除される.

【世帯の予算制約式】

( ) ( )

( )

i j

ij ij i

i j

ij ij

i i

i H i H i i

N TC N N y

T N w

wS X

q e A r pZ





+







− Ω

=

− + + + +

σ

σ 1

1

(10)

【企業の利潤関数(製造業の場合)】

[

Fj

]

F j j F j F j L j

X A F

j pZ r A Q X wL

i F j F j F j

=

Π max, (11)

(4)

4.モデルの近似計算アルゴリズム

本研究のモデルである制約条件付きの等価変分の 最大化問題((1)式)は,CUE モデルの需給均衡式な どの多数の非線形式が関わっていることから,解析 的に解くことは困難である.そこで,本研究では

Fowkes ら 2)の手法を改良した近似計算アルゴリズム

を用いている.

各政策変数においてそれぞれ最適なレベルがある とすれば,目的関数および制約条件式は,政策変数 に関して,図-1に示すような凹関数あるいは凸関 数となる.このように仮定できるなら,図-1に示 すように,いくつかの政策パッケージ(政策の組み 合わせ)をランダムに設定し,各政策パッケージを 実施した場合の目的関数値と制約条件式の関数値と を算定した後,政策変数と目的関数値,政策変数と 制約条件の関数値との関係を,それぞれ多変数2次 関数によって近似し,これらの近似式を用いて,制 約条件のもとでの最適な政策パッケージの近似解を 求めることができる.政策パッケージの設定範囲を 狭めながら,このような手順を繰り返すことにより,

最適政策パッケージの近似解を改善することができ る.具体的な計算手順は図-2に示すとおりである.

なお,Fowkes らの方法に比べて,本手法の特徴は,

多変数関数によって近似していること(Fowkes らの 方法は1変数関数による近似なので近似精度が低 い)および,制約条件を考慮していることである.

目的 関数値 (Y)

施策2 ( )x2 制約関数 2次回帰式

:政策パッケージ

:最適政策パッ ケージの近似解 施策1

(x1) 【凡例】

目的関数 2次回帰式

政策変数の実行可能領域 制約

関数値 (Z)

Y(制約条件)

図-1 制約条件を考慮した目的関数の最適化

手順1:個別施策を単独で実施した場合の目的関数値をCUEモデ ルにより算出

手順2:最適政策パッケージの近似解の周辺において,ランダムに 政策パッケージを設定

手順3:各パッケージを実施した場合の目的関数値および制約関 数値をCUEモデルにより算出

手順4:目的関数値と制約関数値の間の関係式の推定

手順5:近似式を用いた最適政策パッケージの近似解の算出 手順6:推定された最適政策パッケージを実施した場合の目的関

数値,制約関数値をCUEモデルにより算出

手順7:手順3と手順6で得られ た目的関数値の収束及び制 約条件の判定

手順8: 最適政策パッケージの決定 収束した

収束 しない

図-2 計算のフローチャート

5.おわりに

本研究では,CUE モデルを用いて,制約条件付き の最適化モデルを定式化した.また,分析対象とす る政策分析が可能なように,CUE モデルに新たな政 策変数を導入した.さらに,このモデルの計算方法 として,Fowkes らの方法を改良した近似計算アルゴ リズムを提案した.

このモデルを用いることによって,最適な都市構 造の実現のための土地利用・住宅・交通政策のパッ ケージ化が可能である.また,制約条件として,交 通エネルギー消費量などの目標値を設定することに よって,目標設定型の政策立案が可能となる.

【参考文献】

1) 武藤,上田他:応用都市経済モデルによる立地 変化を考慮した便益評価に関する研究,土木計 画学研究・論文集,Vol. 17pp257-266, 2000 2) A.S.Fowkes, et al:A Short-Cut Method For Strategy

Optimisation Using Strategic Transport Models Transpn Res.-A.Vol.32,No.2,pp.149-157,1998.

参照

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