新学習指導要領の理念を踏まえた学校づくり
著者 鹿児島大学教育学部附属小学校
ファイル(説明) 研究同人 複式教育 特別活動
総合的な学習の時間 外国語活動
道徳 体育科 家庭科 図画工作科 音楽科 生活科 理科 算数科 社会科 国語科
研究の成果と課題
−学校づくりの構想
−子どもの育成 研究主題設定の立場 ...
URL http://hdl.handle.net/10232/14945
-l~霊!!~宮町骨量圃
│ 理 科
理1‑1
研究の概要
. 改訂のポイント
‑ 目標の改善
主体的な問題解決の活動の充実,理科を
学ぶことの意義や有用性の実感,体験を通した知識・技能の確実 な習得を目指して「実 感を伴
った理解J が付け加えられた
。・ 内容の改善
O 問題解決の能力の見直し
(6 年推論)
O 系統性を重視した,
小・中
‑高を通じ た理科の内容の構造化と 2 区分制への変更
O 時数の増加と新内容の追加
O 実社会・
実生活との関連の重視O 観察,実験などの結果を整理し,考察,
表現する学習活動 の充実
O 科
学的な言葉や概念を使用して考えたり,説明したりする学習活動の充実
O 環境教育の
一層の推進O 平成 2 1 年度より先行実施
. 新カリキュラム創造ヘ向けての研究の方向・研究計画
. 本校の研究の歩みと課題
‑ これまでの歩み
子ども自らが学ぶ意欲をもち自 然への
「なぜj を科学的に追究し ていく楽しさを味わうことのでき る授業づくりを目指し研究してきた。
その結果,子どもにと
っての学ぶ 価値や学ぶ楽しさを
「科学する楽 しさ j として設定し,学習内容,
指導方法の改善を図ることができた
0・ 課 題
O 系統性や関連性を踏まえた指導 計画作成と
,新内容の教材研究・授業実践
O
言語活動の重視と学び合いの充
実‑ 研 究 の 方 向 ・ 研 究 計 画
O
問題解決の能力を発揮し,概念を系統的に構築させる学習内 容の設定
O 新内容を含めた系統的な各単 元の評価規準の作成
O 上記
2点を位置付
けた年間指導計画作成
年次 研究内容 実践単元の区分
1年次 ‑問題解決の能力を発揮し,概念を系 新内容を中心lこ
統的に構築させる学習内容の設定
‑概念の実態調査
2年次 ‑目指す子ども像・授業像の設定 A区分
‑評価規準の作成 物質・エネルギー 3年次 ‑学習指導の具体化 B区分
‑新カリキュラムの作成 生命・地球 4年次 ‑新プランの実施評価改善
. 本年度の研究の重点 │
O 問題解決の能力を発揮させ,概念を系統的に構築 させる学習内容の設定
O 新内容における学習内容の設定
理 2
( 1
問 題 解 決 の 能 力 を 発 揮 し , 概 念 を 系 統 的 に 構 築 さ せ る 学 習 内 容 の 設 定 (1) 理科の問題解決の活動子どもに「生きる力」をはぐくむために,理科では, 問題解決の能力と自然を愛する心情を育て,科学的な見 方や考え方を養う必要があるO 新学習指導要領では,各 学年で重点的に育成する問題解決の能力を表 1のように 示しているO 子どもは学習活動の中でこれらの能力を発 揮して,問題を見出し 予想を立て その予想を検証す
るための観察 ・実験の方法を考えて検証し,その結果について考察するO この一連の 問題解決の過程では 問題解決の能力を発揮して 「予想と観察・実験方法がつなが っているか。
J I
結果に対する考察が適切であるか。J
といった視点で学び合うことが 大切になるO そこで 本年度は 問題解決の能力を発揮させるための学習内容設定と,概念を系統的に構築させていくための学習内容設定について研究を進めた。
( 2 )
問題解決の能力を発揮させる学習内容の設定問題解決の能力を養うためには 子どもに,どんな学習内容でどのようにその能力 を発揮させるのかを重点化して授業を設定する必要があるO
具体的には,問題解決の能力を 「試 行 錯 誤 し な が ら 発 慣 す る こ と の で き る 学 習 内 容」と 「様々な場面で意図的 ・計画的に発揮することのできる学習内容
J
の二つを表2
のように子どもの実態や単元の特性に応じて 年間指導計画に重点化して段階的に 位 置付け,指導していくこととした。【表1 主な問題解決の能力】
学年 主な問題解決の能力 3年 比較 4年 関係付け 5年 条件制御 6年 推論 中学校 分析・解釈
月
【表2 問題解決の能力を発揮させる段階的な指導
4
I
5I
6I
7I
8I
9I
10 3﹄
単 一 克
発揮させる
間 勝 決 の
勧 問麟決の 能力の発揮 のさせ方定性的
目に見える変化
話行錯誤しながら発揮
│清 水 の働宍
l l [
天 気 の 変化 2)l
物の溶け方量的
目に見えない変化 ー +測定が必要な変化
機々な湯面で,意図的・計画的に発揮
植物の発芽の条件で試行錯しながら,実験方法を吟味するこ とで,条件制御の意味を学ぶ。
を進め, ベアやグ、ノレープ の結果について評価する。
発芽に水が必要かどう かは,水以外の条件は,
同じにして比べて実験す る必要があるね。
さ,振れ幅が変えられそうだ。
そろえて比べるために,どん な順番で,条件をどのように
えて実験しょうかな。
‑46‑
理 3
(3)
概念を系統的に構築する学習内容の設定
今回の学習指導要領改訂のポイ 目玉ノレギー領域「エネルギーの変換と保存」
ン
トの一つに内容の系統性がある
D 例えば,天体の学習は
,これまで
小3→小
4→中
3での学習だった ことに
加えて
,小学校6
年での月と太陽の学習が加 えられ,時間
・空間概念の系統性の充実を図って いる
Oこのことからも
,子どもが学習前にどんな概念をもっているのか 実態を適切
に把握した上で,系統 的に概念を構築できる
ように授業 を設計する
必要があると考えるO具体的には図
1のように
「エネル ギ
ー,粒子,生命
,地球j といった概念の系統性を踏まえて,子ど ものもっている概念が適切に変容 していく
ように,子どもの実態を踏まえて学習内容を構造化 して設
定する必要があるO子どものもってい 回路ができると 電気が通り豆電球 が点灯する。電流
〈電気 5年電流の働き
【図 4年電気単元での学習内容の構造】
[ 2 新内容における学習内容の設定
今
回の改訂では六つの新しい内容が導入された。今年度は 1で述べた考え方に基づいて,以 下の二つの単元において,教材開発と授業実践を行った
。第3
学年「物と重さ J
第4学年「人の体のっくりと運動 J
[
0
教材の価値I [ 0
教材の価値l
重さの保存に関しての理解が十分でないことに対 3年 「 見 虫 と 植 物
J
,5年 「 動 物 の 誕 生J
,6年 する手立てとして,物の固さや手ざわりといった質 Ir
人の体のっくりと働き」と系統的に生命概念を構 感を豊かにし,重さの保存概念を系統的に構築させ│築させるねらいから,4年に 「人の体のっくりと運るねらいから新設された。 I動」についての学習が新設された。
l O子どもの実態 I[O子どもの実態)
物の形を変えたり,物を分けたりすると, 重さも │ 骨の継ぎ目である関節をあまり意識していない。
変わると考える子どもが半数以上いる。また,物に
i
また,筋肉は力の源と思っているため,体全体にあ よって重さが異なると考えてはいるが,体積が同じ │るだろうと思う子どもが多いが,筋肉が骨を動かす という状況がなかなかっかめない。 Iといっ具体的なイメージはもっていない。l O
中心概念 [[O
中心概念l
物は,形を変えても,分けても重さは変わらない
J
骨と筋肉の働きによって,人の体は巧みに動く。 体積が同じでも重さが違う物がある。I [ 0
本単元の科学する楽しさl
[
0
本単元の科学する楽しさ 体のっくりと動きを関係付けて,自分の体を調べ 見当を付けながら物の重さを比較して調べる楽し │る楽しさ。さ。 I 人の体のっくりの巧みさを,その働きと関係付け
実験結果から重さの保存性や物質の固有性を実感│て見直す楽しさ。 する楽しさ。
理一4
(1) 授業の実際 ア 目 標
第3学年「物と重さ」
自 然 事 象 へ の 関
物の重さや体積について興味・関心をもち 進んで、調べることができる。 心 ・ 意 欲 ・ 態 度
科学的な方法や 物の形や体積,重さなどの性質の違いを比べることができる。
手続き てんびんや自動上皿はかりを用いて重さを数値化して調べ,分かったことを表 や文章に表して表現することができる。
自 然 事 象 に つ い 物は,形が変わっても重さは変わらないことや,体積が同じでも重さは違うこ て の 知 識 ・ 理 解 とがあることを説明することができる。
l F 込
イ 学習内容の設定のポイン卜
o i
粘土を細長く伸ばすと軽い感じに見える」といった見通しをもとに,まず,手ごたえ,次に簡易天秤や自動上皿はかりを使って重さの変化を確かめさせる。 しかし,形が変わると重さが変わると思っている子どもは 1回だけ形を変え て量っても,なかなか納得しない。そこで 自分の思う形にいろいろと変えて,
確かめさせることで納得でき,重さに対する理解が深まる。その考え方を生か して,アルミニウム箔や紙などはどうなのかという疑問をもたせるようにする。 また,物の向きを変えると重さが変わると考える児童がいる場合は,そのこと も確かめさせる必要がある。
次
O
この学習では,重さを比べる物は何でもいいのではなく ,物質観につながる視点での比較が 必要となる。その物が何でできているのかという視点で物を見ることができるように,同じ大きさの物でも重さが違うことをとらえさせることが大切で、ある。
O
学習を通して身につけた重さに対する見方や考え方を活用する場面として体重の変化の学習 内容を設定する。体重計に乗るポーズ(片足 座るなど)による体重の変化について見通しをもたせて活動させる。
二次
次
【考え】
物の形を変えても重さは変わらない。
細長くなると,軽くな りそうだな。
粘土と同じで丸めて も変わらないのかな。
ウ 指導計画(全6時間)
【問題】
d ゆ
物の形を変えたら重さは変 わるのだろうか。
え
閉じ体積が入っている砂,水,
粘土の重さはそれぞれ違う。
イ可でできているかによって 重さが違うね。他の物はどうな のかな。
‑48‑
【問題】 ⑤ ⑥
ポーズを変えたら体重 は変化するのだろ
粘土やアノレミ箔の 時と同じように変わ らないと思うなあ。
二次物の種類と重さ
三 次 姿 勢 と 体 重
理 5
第 4学年「人の体のっくりと運動
J
自 然 事 象 へ の 関 人の体のっくり と運動とのかかわりについて興味・関心をもち, 進んで、調べ, 心 ・ 意 欲 ・ 態 度 生命を尊重する態度を身につけることができる。
科 学 的 な 方 法 や 人や他の動物の体のっくりと運動とを関係付けることができる。
模型や資料と人間や動物の実物を関連付けて調べ,分かったことを図や文章に表 手続き して表現することができるO
自 然 事 象 に つ い 人の体には骨と筋肉があり,人が体を動かすことができるのは,骨と関節,筋 て の 知 識 ・理 解 肉の働きによることを説明することカfできる。
授業の実際 目標 (2)
ア
イ 学習内容の設定のポイン卜
O
棒を添え木にして飲む動作をさせる活動を通して,腕が曲がる仕組みへ問題を焦点化する。O
腕のっくりを予想させた,互いの図の差異点から骨の数やひじの骨のっくりといった調べる ポイントを明確にさせるO 調べる際は,自分の体に触って骨や 筋肉の固さから骨や筋肉の場所 を調べさせ,資料や腕の骨格模 型などと関連付けながら学習を 進めることが重要である。
O
骨だけでは由がらないことに 気付かせ,筋肉が骨を動かして いるはずだという予想を基に 簡易うで模型の操作活動を通し て,骨と筋肉のつながりに着目させるO 【ミ二人体骨格模型】 【簡易うで模型(自作)】
O
腕以外の関節の場所を,自分の体を触ったり,動かしたりすることで確認させるO 次に,そ れぞれの関節の動きの違いに気付かせ,調べたい場所から動き方を調べさせていく O そして,体のっくりと運動を関係付け,
I
人の体は,本当にう まくできている。」といった見方や考え方 を育てることが重要であるOO
他の動物の体のっくりと動きを調べる活動では,学校で飼育している動物を観察させたり,資料 (図書資料,デジタルコンテンツなど)を用いたりして調べさせる。そして,人と他の動 物の共通点と差異点に着目させ,生き物の巧みさに気付かせる。
次
二次三次
ウ 指 導 計 画 ( 全7時間)
【問題】 ①②
腕が曲がるのはどんな仕組 みがあるからだろうか。
玖ミ
腕が曲がるために
体の部分によって,動きにあ ったっくりになっている。
は,筋肉はどこにつな がっているのかな。
硬いところが骨 だ。 1本かと思って いたら, 2本あるね。
次
腕が曲がる仕組み
場所によって動き方が違 うよ。関節の形も違うね。
体全体の仕組み
【考え】
動物が生きるために 必要な運動ができる体 のっくりになっている。
惨
人も動物も骨や筋肉 があるのは同じだね。
動 な ' の う
h
他 ど 伝 わニ ' は ろ
荻一て肉︑さ
d
一 ベ 筋 の
︼
一 比 や る
題
一 と 骨 い 咽 叫 一 人 の て
U
一 物 つ
=一 次動 物の 体の 仕組 み
理 6
と き が り の ら と な の り 働 な 取 く か 骨 方 り
J
く の つ を 動 る や き く
動
つ め の 劫 う あ 数 付 つ
霊
る た 肉 活 こ す の の の
j
い る 筋 る
︐
︒
骨 骨 肉 体
d
て げ と せ ら た ' ' 筋 の
りつ
曲 骨 さ か
っ
は が ' 物
︒く
が を ' 作 だ だ の た や 動 た
つ
な 腕 際 操 り 的 る つ 性 や き
つ
つ ' の を く 果 き か 様 人 で
μ
﹁Jて て こ 型 つ 効 で 多 多 ' が
や一成
一れ け
︒模
う に が が の で と
の一和
一 か
付
た で い め し も 方 と こ 人一 の 一 分 係 き う う た ば ど き こ る
﹁一 力 一 が 関 で 易 こ る 伸 子 動 す せ 手一 能 一 骨 を が 簡
﹁ せ
︺ げ る ' 出 か 付三 の 一 で り と ' が さ 一 築 一 曲 い り 見 付 い 弓
一決
一 分 く こ て と 得 一 構 一 の て が を 気
4一解
一 部 つ る い こ 納 一 の 一 ど え な 味 に
第一題
一 の の え っ た と 一 念 一な 考 つ 意 さ 一 間 一 肘 肉 考 に れ
﹂ 一 概 一 腕 と の に み
一O
一 筋 を り 入 か
一O
一 だ 骨 ど 巧 を 前 で な 誤 指 る だ る 問 る が し の ' め こ な 時 え と 較 程 で か も と る 変 こ 比
g
い 確 に 礎 え を る を
1
合 度
差基
考 形 せ 後 ' し 再 の の た
J
て の か と は 話 ' か 念 き
さ
い 土 付 前
o
も の き ず 概 で
重
つ 粘 気 る た ど 後 付 わ 存 解
と
に ' に え れ 子 験 気 な 保 理
勿
法 で 性 変 ら た 実 に う で く
同
1 J方
と 要 ' 見 い '
等
よ と よ i一成
一 の こ 必 は が て が 在 の こ り
勾一育
一 め た る で 姿
っ
た 存 こ る よ 察一学一の
一 た せ す 習 る 思 い の
︒べ
て 普 守 一3一力
一 る さ 較 学 め と て 土 た 調 い
か一
第一 滞 一 め 味 比 の 進 む る
つ
粘 き し つ
E
一一 の 一 か 吟 を 後 を 一 築 一 わ わ た で 返 に
E ‑
一 決 一 確 分 さ の 習 一 構 一変 だ
っ
得 り 存 実一一般
一を 十
重
そ 学 一 剛 一 が こ 残 納 く 保
一一題一想'の︒︐一 念
一 さ も に で ' の
剖一一間
一 予 り 後 た ら 一 概 一 重 に 爪 と り さ
(一
示)
一 と と き が
一O一差
の こ わ 重
( 3 理科好きな子どもを育てる取組
理科好きな子どもを育てるためには 理科授業を中心としながら,自然、や科学のよさに 触れ, I なぜ」を見出しその不思議さを追究したり,自然の美しさに浸ったりする場面が 多様にあることが必要である
Dそこで 現在行っていることも含めて,学校の教育活動を 以下の
4つの視点から整理し,充実を図った
。探究活動としての自由
E耳目
一一ーー白. 理科的な環境設営 研究指導の充実
毘Jl~l.E・-・園田 | の充実. PTAとの連携による 自由研究講座
‑自由研究相談日の定期
的な実施
他教科・領域・特別活動との 関連
‑宿泊・遠足学習での自然観察 .飼育 ・栽培体験の充実
‑他教科との学習時期の調整
‑時期とねらいに合 わせた展示
‑生物 に ふ れ あ
う 朝 の 活 動
「いきものタ イム」の実施
( 4 研 究 の 成 果 と 課 題
(1)研究の成果
O
問題解決の能力を発揮させ概念を系統的に構築するための年間指導計画を作成 する基本的な考え方を明らかにできた
。O 新内容について教材を工夫したり,習得した知識‑技能,問題解決の能力をより よく活用できる単元の構成について明らかにすることができた
。(2)
研究の課題
O 理科における学校教育目標を具現化するための 目指す子ども像の設定とカリキ ュラムの創造。
[ 主な参考文献]
0 文部科学省 「
小学校学習指導要領解説 理科編」0 角屋重樹
・石井雅幸編著 「小学校学習指導要領の解説と展開 0 新世紀理科教育研究会編著
「小学校新学習指導要領理科(大 日 本 図 書 平 成20年)
理科編
j(教育出版平成2
0年) ポイントと授業づくり J
(東洋館出版社平成2
0年)
ハUFhd