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長崎児植物誌ノート

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Academic year: 2022

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(1)

長崎県生物学会誌

N Q 4 8( 1 9 9 7 )

長崎児植 物誌 ノー ト ( 1 8 )

中 西 弘 樹 Hi r okiNAKANI SHl :Not e sont h eFl or aofNagas akiPr e f e c t ur e( 1 8 )

ABSTRACT:

Fi ves p e ci e sandhv ovar i e t i e si ncl udi n goneal i e npl antwhi c har en e wl yf o und i nNa ga s akiPr e f e ct ur e ,ands i xr ar es p e ci e sar ede s c r i be di nt hi spap e r .Cl e mat i sw1 ‑ l h ' ams i ii s r e s t r i c t e dont hec al c ar e ouss ands t onear e ai nt hepr e f e ct ur e.

は じ め に

本研究 は長崎県のフロラの解明 を目的 とす る もので,主 として外山

( 1 9 8 0 )

の r長崎県植物 誌」および松林

( 1 9 8

1)の r長崎県 シダ植物誌」

の 目録 に記 されていない, いわゆる県新産の植 物 と,希産額 の産地追加 を記録す る.記載 は番 号,種名,科名,産地,国土地理院

5

万分の

1

地形図の図幅名お よび4分割の位置,海抜,栄 見年月 日,標本番号の順 に記 してある.

県 新 産 の 植 物

外山

( 1 9 8 0 )

および松林

( 1 9 8

1)の目録 に記 載 されていない もので,蟹者が確認 した ものを 記 してお く,一部 はすでに記録 された もの もあ

るが,文献名 と共 に新たにあげてお く.

新産の在来種

2 0 2.

ナ ン ゴ ク ホ ウ ビ シ ダ

Hyme na s pl e ni 2 ( m muy l a h ami ‑h at anG k aeNakai ke

(チ ャセ ンシダ 料)

長崎市大 山町鹿尾 ダム上 流, [長崎

4 】 ,1 5 0 m,Mar .1 6.1 9 9 6 ,( No. 1 5 7 8 8 )

:南高来郡西有 家町長野戸隅の滝, [島原

2] ,2 0 0m,Oc t .6.

1 9 9 3 ,( No. 1 3 8 8 3 )

本種 はこれ までホウビシタ と混同されていた が, その違 いは村上

( 1 9 8 9 )

によってはっき り

と区別 された. それによると,羽片 はホウビシ タよ り細長 く,先端部が鎌形 に曲が り,鋭頭で あること, ソーラスは羽片の緑 に接するように つ くことな どによ り区別できる.生態的にもホ ウビシタよ り湿度 を好み,水飛沫がかかるよう な所 に生育 している.本種の分布 は最近 になっ て中池 ・山本

( 1 9 6 6 )

によって発表 され,ホウ ビシタよ りも南部 に多 く,北限は対馬の仁田で あることが報告 されている.長崎市大山町産の ものはよ く成長 した個体が多いが,西有家町戸 隅の滝産 の もの は幼個体 の もの ばか りであっ た.

2 0 3.

ア ゼ テ ン ツ キ

Fl ' mb y 7 ' s l yl i

s sqt

L ar r O S a V ahl .var .

suql

( ar 7 1 0 S a (

カヤ ツ リグサ科)

南高来郡加津佐町六反田名中原溜池,[口之津

1

]

,1 1 0m ,Se p L7 .1 9 9 4 ,( No. 1 3 81 8 )

図1.ナンゴクホウビシダ (長崎市大山町)

‑ 9 2

(2)

これ まで県内で記録 され てい るメアゼテ ンツ キに似 てい るが,穂 の鱗片 は中肋 の先が伸長 し て半 曲す ること, したが って穂全体 がやや太 く 見 えることで区別 で きる(村 田1993). また, メ アゼテ ンツキはた め池 の畔 な どの湿 った所 に生 育 してい るが, アゼテ ンツキは痩 せた砂地 や畑 の縁 な どに生育 す る と言 う.上 記の生育地 はた め池の縁であ るが,浸水 す ることはほ とん どな

く,乾 いた砂地 であった.

204.イヌクログ ワイ (シログワイ)

El e o c / u l r i s d L i l c i s

(Burm.fil.)Trin.

(カヤツ リグサ科)

南高来郡加 津佐 町六 反 田名 後 登龍 , [口之津 1],loom,Sept.7.1994, (No.12812):北高 来郡森 山町唐比名,[肥 前小浜1],2m,Oct.6.

1996, (No.16421)

クログワイに似 てい るが,鱗 片 の先 は尖 らず 円切形 で, 白緑色 であ る. また, クログ ワイ よ りも一般 に大形 で あ るた め,tFれ る と一見 して 区別 で きる.

205.シロバ ナハ ンシ ョウズル

Cl e 〃 wL L ' s wi l l l i a ms z ' i A.

Gray(キ ンポウゲ科)

西彼杵郡大瀬戸 町多以 良 内郷 道 目木, [神 浦 1],loom,May.18.1996,(No.15922);同郡 西海町七豊郷川後 山,[神浦1],70m,Sept.30.

1995,(No.15222);同郡 同町七 釜郷 久保 里 南 , [神浦1],60m,July.21.1996, (No.16115)

神奈川県以西 の本州, 四国,九州 に分布 し,

図2.サケパゼ リ (大瀬戸町ゲキ ト山南)

お もに石灰岩地帯 に生育 す る.長崎 県で は最初 千 々布義朗氏 が本生物学会24回総会 で発表 して い るが,筆者 も石灰岩質砂岩 の発達 した上記 の 地域 に多 くの個体 が生育 してい るの を確認 して

い る.

206.サ ケバ ゼ リ

Oe n a nl h ej a u a ni c a D

C.∀ar.

j a po ni c a

Honda (セ リ科)

北松浦郡小佐 々町小坂免長浦, [佐世保2], 1m,May.21.1996,(No.15935);西彼杵郡 三 和 町川 原大 池, [野母 崎3], 1m,May. 26.

1996, (No.15969):同郡 大瀬戸 町 ゲ キ ト山南 , [神浦 1],250m,June.23.1996, (No.16074) セ リに似 てい るが,和名 の よ うに小薬 が羽状 深裂 し,裂片 は細 い.長崎 県 に少 な くない.

207.ミズスギナ

Ro l a l ah i p J ) ur i s

Makino(ミ ソハ ギ科)

東彼杵郡東彼杵町大野原足形池, [早岐2], 430m,Oct.8. 1994, (No.14042);Oct. 18.

1996, (No.16463)

関東地 方以西 の本州,四国,九州 に分布 し, 溜池 に まれ に生育 してい るが,各地 で絶滅 して お り, レ ッ ドデー タプ ラ ン トに指定 されてい る.

1994年 は異常気象で雨虫 が少 なか ったた めに池 が干上 が り, ミズスギナ は陸生形 となって多 く の個体 が見 られたが,翌年 か らは水位 が高 く, 個体 数 は少 な くな った.

新 産 の 帰 化 植 物

208.ウ シ オ ハ ナ ツ メ ク サ

S p e 7 gu k l n ' a b o c・

図 3. ミズスギナ (東彼杵町 大野原 )

‑ 93‑

(3)

c o ni i ( Schne el e)As cher s . etGr aebn.

(ナデシ コ科)

南高来郡 口之津町西大屋名,[口之津

1

]

, 2 m,Åug.1 3.1 9 9 5,( No. 1 5 01 4)

:西彼杵郡野母 崎町野母,[野母崎

3], 1m,Sep

t.

1 .1 9 96

,

( No. 1 62 9 8)

:同町樺 島, [野母 崎

4] , 1m

,

J une.1 4. 1 99 7,( No. 1 6 7 77 )

本種 は南 ヨーロッパ原産の帰化植物であるが, 在来のウシオツメタサや,大井 ・北川

( 1 9 83 )

が北海道,東北に分布する在来種 としたウスベ ニッメタサ とも似ている.後者は最近 になって 明治以降の帰化植物 とされている. ウシオハナ ツメ クサ とこれ らの類 似 種 との 区別 は大場

( 1 9 87 )

によってなされ,腺毛に被われているこ と,花序はしばしば枝分かれ し,広い角度で開 出すること,托葉が異なることなどが特徴 とし てあげられている.口之津町の生育地 はまれに 海水の影響 を受 ける湿地で,チャポイが生育 し ている所であ り,野母崎町の生育地 は海岸の番 岸の内側であ り,人為の影響が強いものの,や や湿 った砂地で,イソヤマテンツキ群落 と共 に 生育 している.

希 少 植 物 の 産 地 追 加

1 61

.ヤワラハチジョウシダ

Pl e r i s na E i e n s i s Tagawa

(イノモ トソウ科)

長崎市大 山町鹿尾ダム上流, [長崎

4

]

,1 5 0 m,Mar .1 9.1 9 9 6, ( No. 1 5 7 92 )

本種 は長崎県新産 として長崎市上戸町小ケ倉 水源地上流で発見 された (中西

1 9 8 8)

が,そこ か ら比較的近い上記の地にも多 くの個体が生育

しているのが発見 された.ハチジョウシダ類の 中では羽片の数が少な く,幅が広いことで容易 に区別で きる.

1 6 2.

ミヤコジマツヅラフジ

C y c l e ai n s ul a n' S ( Maki no)Hat us i ma

(ツヅラフジ科)

西彼杵郡野母崎町権現山,[野母崎

4

]

,1 4 0 m,Fe b.4.1 9 9 6,( No. 1 55 7 9):

同郡香焼町浦,

図4.ミヤコジマツヅラフジ (野母崎町) [長崎

4

]

,5 0m,Fe b.2 4.1 99 6,( No. 1 5 6 5 7 )

本種 は九州酉廻 り分布植物 と考 えられ (中西

1 99 6 a)

,長崎県では五島列島から壱岐 までの離 島に知 られていたが,上記の地にも発見でき, 本土側 にも分布 していることがわかった.野母 崎町権現山には多 くの個体が林緑部に生育 して

いる.

1 63.

ハ マ ナ ツ メ

Pal i ur u s r a mo s i s s i mu s ( Lou

r.)

Poi

r.(タロウメモ ドキ科)

長崎市牧島町曲崎,[長崎

2] ,1m,J ul y. 1 7.

1 99 6,( No. 1 6 0 9 6)

海岸塩湿地周辺に生育する落葉低木で,紀伊 半島,四国,九州に分布するが, まれである.

これ まで知 られていた県内の生育地は福江市, 富江町和島,三和町川原大池の

3

カ所のみであ った.上記の生育地の詳細についてはすでに中 西

( 1 9 9 6 b)

の報告にある.いずれにしても多 く

の生育地が埋め立てなどにより消失 してお り, 本種の生育地 は缶重である.

1 6 4.

メ ジ ロ ホ オ ズ キ

So l a nu m b l J 7 o r u m Lou

r.(ナス科)

西彼杵郡香焼町丹馬,[長崎

4

]

,6 0m,Fe b.

2 4.1 99 6 , ( No. 1 5 65 5 )

東南アジアか ら南太平洋に広 く分布 し, 日本 では中部地方以南 にやや まれに生育する.県内 ではこれ まで五島列島南部 と野母崎町脇岬のみ に知 られていた.上記の生育地 は社帯林の林下 で

,2

月下旬 に赤い実をつけていた.

‑ 94

(4)

図5.メジロホオズキ (香煉町丹馬) 165.フジキ

Ck l d l l a S l i sI ) l a l y

c

a

ゆa (Maxim.) Makino(マメ科)

東彼杵郡川棚町岩屋郷岩屋奥,[早岐2],200 m,Sept.27.1995,(No.15192)

全国各地 に分布す るが,個体数が少 ないやや 珍 しい樹木で,県内では長崎市滑石峠で初 めて 発見 されている (中西1994)が,上記の地 で も 発見す ることがで きた.

166.ミゾコウジュ

S b l v i

ap

l e b e i a

R.Br. (シ ソ科)

上県郡上県町佐護仁 田ノ内, [佐須奈

4]

,10 m,July.29.1996,(No.16183);北松浦郡生月 町山田免北,[生月2】,10m

,Oc t

.7.1995,(No.

15266):南高来郡小浜町雲仙 ゴル フ場, [島原 4],750m,May.31.1997, (No.16743)

北海道 を除 く全国各地 に分布 し,田の畦 な ど の湿 った所 に生育す るが,良薬の影響 な どで急 に少な くな り,今で はレッ ドデータプラン トに 指定 されている.長崎県で は外山 (1980)によ れば各地 に産す ることになっているが,最近 で は不明であった. その後,川内野 (1995)によ って生月島か ら報告 され,筆者 も採集 している が,対馬上県町の放棄水 田に も生育 しているの

を見つけた.花 は

5

月 に咲 き,夏 に枯死す るが, その頃 には落下 した種子が発芽 し, ロゼ ッ ト葉 を形成す る. ロゼ ッ ト葉 はしだいに大 き くな り, その まま冬 を越す.

文 献

川内野善治(1995):北松浦半島の植物観察記録 (4).長崎県生物学会誌45:61‑66.

松林文作(1981):長崎県 シダ植物誌 .104pp.長 崎県出版文化協会,長崎.

村上暫明(1989):日本〜台湾産 ホウ ビシダ属 の 分類学的検 討 .日本 シダの会会 報2(77):1

‑8.

村 田 源(1993):アゼテ ンツキ, メアゼテ ンツ キ とコアゼテ ンツキ.植物分類地理44:208‑

209.

中池敏之 ・山本 明 (1996):ホウ ビシダ ・ナ ン ゴクホウビシタの分布 .千葉 中央博物館 自然 誌研究報告4 :27‑32.

中西弘樹 (1988):長崎県植物誌 ノー ト(4).長 崎県生物学会誌34:1318.

中西弘樹(1994):長崎県植物誌 ノー ト(13).長 崎県生物学会誌44:1ト14.

中西弘樹 (1996a):九州西廻 り植物分布植物 : 定 義,構 成,起 源 .植 物 分 類 地 理47:113‑

124.

中西弘樹 (1996b):ハマナツメ群落 の新産地 : 長崎市牧島.長崎県生物学会誌47:59‑61.

大場達之 (1987):ウシオ ツメタサ属の帰化種, ウシオハ ナツメクサ.神奈川 自然誌資料

( 8 ):

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大井次三郎 ・北川政夫 (1983):新 日本植物誌.

顕花荷改訂版.1716pp.至文堂,東京.

外 山三郎(1980):長崎県植物誌.321pp.長崎県 生物学会,長崎.

(なか に し ・ひ ろ き ;〒850長 崎 市 弥 生 町666 長崎女子短期大学)

‑ 95‑

参照

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