法人税法︱︱二条三項
目 次 一 は じ め に
二法人税法ニ︱一条一二項一号に係る売上原価H
法人 税法 ニ︱ 一条 一二 項一 号と 企業 会計 に企業会計における売上原価の概念 ︑1
,
口法人税法二二条三項一号に係る通達の変遷 三売上原価に係る判例の検討 日大阪地裁昭和五七年︱一月一七日判決の検討
□福岡高裁平成︱一年二月一七日判決の検討口最高裁第一一小法廷平成一六年一0月二九日判決の検討
四 結 び に か え て
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係 る 売 上 原 価 の 損 金 算 入 性
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企業会計上︑主要な資産を棚卸資産と固定資産に分類した場合︑棚卸資産とは︑通常の営業過程において販売する
ために保有または製造中の財貨または用役と︑これらを生産するためまたは販売活動および一般管理活動において短
( 2 )
期的に消費されるべき財貨をいう︒つまり︑棚卸資産は︑企業活動で販売の目的となる資産︑販売資産となるべく方
向付けられた資産︑および操業過程で短期的・即時的に費消される資産の総称である︒棚卸資産は企業活動に参加す
( 3 )
るにあたり︑数量的減少を伴うという資産特性を持つ︒
一方︑法人税法において︑売上原価項目は︑別段の定めがあるものを除き︑内国法人の各事業年度の所得の金額の
計算上︑﹁当該事業年度の収益に係る売上原価︑完成工事原価その他これらに準ずる原価の額﹂︵法二二条三項一号︶
として︑また︑減価償却費項目は︑別段の定めがあるものを除き︑﹁当該事業年度の販売費︑一般管理費その他の費
用︵償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く︒︶﹂︵法二二条三項二号︶の額と
して︑それぞれ別個の規定により︑当該事業年度の損金の額に算入される︒さらに︑これらの額は︑﹁一般に公正妥
当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする︒﹂︵法二二条四項︶と規定されている︒
すなわち︑売上原価︵以下︑﹁売上原価﹂には﹁その他これらに準ずる原価の額﹂を含む︒︶や減価償却費の法人税
法における取り扱いは︑会計上におけるこれらの項目に係る取り扱いと密接な関係を持ち︑かつ︑法人の所得の金額
の計算において中心的な損金項目とされている︒なかでも︑売上原価は︑企業において収益と直接個別的に対応する
費用として︑また︑金額的にもその企業利益および法人の所得の金額の計算上︑最重要項目の一っである︒
は じ め に
26‑3・4‑238 (香法2007)
さらに︑当該規定は︑法人税法における損金の額の範囲を示す規定であるとともに︑損金計上時期に関する基本規
定でもある︒ただし︑法二二条三項二号に係る費用については︑償却費以外は債務確定要件が必要であると明記され
ているが︑同項一号に係る費用の損金の計上基準については︑債務確定要件の必要性について必ずしも明確ではない︑
との指摘もある︒当該指摘は︑売上原価についても結果的には費用の集合である︑という点に依拠するものである︒
すなわち︑売上原価の額︵特に︑見積計上による場合︶を損金算入する際に︑債務の確定を必要とするかどうかの問
題で
ある
︒
そこで︑本稿では︑法人税法二二条三項一号に係る売上原価の額は︑債務の確定がなくとも見積計上すべき性質の
ものであることを︑企業会計の概念からと判決の動向により確認したいと考える︒
法人税法二二条三項一号と企業会計
内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は︑法人税法二二条三項に
一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算される
当該会計に依存する規定の歴史的背景としては︑昭和二七年に企業会計基準審議会︵企業会計審議会の前身︶が︑
﹁企業の実際の純利益と実際の課税所得との間に不一致を生ずる事実を無視し得ないとしても︑公正妥当な会計原則
に従って算定される企業の純利益は課税所得に基礎をなすものであり︑税法上における企業の所得の概念は︑この意 ものと規定されている︵法二二条三項四号︶︒ 規定され︑これらの原価︑費用および損失の額は︑
日
法人税法二二条三項一号に係る売上原価
味における企業の利益から誘導されたものであることを認めなければならない︒税法における所得計算の基本理念も
(4 )
また究極において︑﹃一般に認められた会計原則﹄に根拠を求めなければならないのである︒﹂と述べ︑﹁企業会計原
則﹂を重視する見地から税法との調整を要望したことに始まる︒その後︑昭和四一年企業会計審議会は︑﹁課税所得
が企業利益に基礎をおいて算出される以上︑企業の採用する会計方法が不適正なものでない限り︑企業利益を課税所
得の基礎とすることが適当であると考えられる︒﹂と述べ︑﹁納税者の各事業年度の課税所得は︑納税者が継続的に健
全な会計慣行によって企業利益を算出している場合には︑当該企業利益に基づいて計算するものとする︒納税者が健
全な会計慣行によって企業利益を算出していない場合又は会計方法を継続的に適用していない場合には︑課税所得は
( 5 )
税務官庁の判断に基づき妥当な方法によりこれを計算するものとする﹂旨の規定を設けることが適当である︒﹂と提
言し
た︒
これらに対応して︑政府税制調査会は︑﹁課税所得の計算についても︑適正な企業会計の慣行を奨励する見地から︑
客観的に計算ができ︑納税者と税務当局との間の紛争が避けられると認められる場合には︑幅広い計算原理を認める
ことを明らかにすべきである︒﹂と述べて﹁このような観点を明らかにするため︑税法において課税所得は︑納税者
( 6 )
たる企業が継続して適用する健全な会計慣行によって計算する旨の基本規定を設ける︒﹂べきとの答申を行った︒
かくして︑翌昭和四二年度の税制改正において︑法人税法二二条四項に︑収益︑原価︑費用および損失の額は︑﹁一
般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする︒﹂と規定されるに至った︒その後︑商法
と企業会計原則との関係において︑昭和四九年には︑企業会計原則の一部修正とともに︑商法の一部改正が行われ︑
同法三︱一条二項に︑﹁商業帳簿ノ作成二関スル規定ノ解釈二付テハ公正ナル会計慣行ヲ捐酌スベシ﹂と規定された︒
また︑証券取引法に基づく財務諸表等規則︵財務諸表等の用語︑様式及び作成方法に関する規則︶にも同様な趣旨の
四
26-3•4-240 (香法2007)
一般に︑必ずしも企業会計原則そのものだけを指すのではなく︑同原則
の内容をなすものも含めて企業の会計実務の中で公正妥当なものとして広く承認されている会計処理の基準を意味す
( 7 )
るものと解されている︒裁判所の判断は︑﹁﹃一般に公正妥当な会計処理の基準﹄︵法二二条四項︶とは︑健全な一般
社会通念に照らして公正妥当と評価しうるに足るもの︑すなわち健全な簿記会計の慣習をいう意味と解すべきであ
( 8 )
る﹂とか︑﹁法人税法二二条四項は︑現に法人のした利益計算が法人税法の企図する公平な所得計算という要請に反
( 9 )
するものでない限り︑課税所得の計算上もこれを是認するのが相当であるとの見地﹂であるなど︑と判示されている︒
よって︑法人税法二二条三項一号に規定される売上原価の額を検討する上で︑企業会計における原価の概念が重要
( 1 0 )
な判断基準となる︒
売上原価を算定する場合︑それに係る商品や製品の取得原価の算定が問題となる︒企業会計上︑購入した棚卸資産
の取得原価は︑購入代価に付随費用を加算して決定する︒
それに対して︑自社で生産した製品等の取得原価は︑適正な原価計算の基準に準拠して算定された製造原価による︒
このような場合における基準の代表は︑企業会計審議の﹁原価計算基準﹂である︒
当該﹁基準﹂において原価計算とは︑制度としての原価計算をいい︑財務会計機構と有機的に結びつき常時継続的
に行われる計算体系である︒原価計算制度において計算される原価の種類およびこれと財務会計機構との結びつき
は︑単一ではないが︑原価計算を大別して実際原価計算制度と標準原価計算制度とに分類することができる︒
口企業会計における売上原価の概念 当該規定における﹁会計処理の基準﹂は︑ 規定が設けられるに至った︒
企業会計上における適正な期間損益の算定にあたっては︑経済活動の成果を表す収益と︑それを得るために費やさ
れた犠牲としての費用を︑厳密に対応づけることを通じて︑各会計期間の経営成績がよりいっそう適切に測定される が算出されることになる︒ 実際原価計算制度は︑製品の実際原価を計算し︑これを財務会計の主要帳簿に組み入れ︑製品原価の計算と財務会
計とが︑実際原価をもって有機的に結合する原価計算制度である︒当該制度においても︑必要な原価の標準を勘定組
織のわく外において設定し︑これと実際との差異を分析し︑報告することができる︒
標準原価計算制度は︑製品の標準原価を計算し︑これを財務会計の主要帳簿に組み入れ︑製品原価の計算と財務会
計とが︑標準原価をもって有機的に結合する原価計算制度である︒当該制度は︑必要な計算段階において実際原価を
( 1 3 )
計算し︑これと標準との差異を分析し︑報告する計算体系である︒
なお︑適正な原価計算を行うためには︑原価となるべき項目と原価に含められない項目︵非原価項目︶との識別が
前提となる︒原価として算入されるべき原価の本質は︑①経済価値の消費であり︑②経営において作り出された一定
( 1 4 )
の給付に転嫁される価値であり︑③経営目的に関連したものであり︑④正常的なものであることである︒一方︑原価
に算入しない非原価項目とは︑①経営目的に関連しない価値の減少︵たとえば︑未稼働の固定資産に係る減価償却費︑
寄附金︑支払利息︑有価証券の評価損など︶②異常な状態を原因とする価値の減少︵たとえば︑異常な損失・減損・
棚卸減耗︑偶発的事故による損失︑臨時償却費︑異常な貸倒損失など︶③税法上特に認められている損金算入項目
︵租税特別措置法による償却額のうち通常の償却範囲額を超える額など︶︑④その他利益剰余金に課する項目︵たとえ
( 1 5 )
ば︑法人税︑配当金︑役員賞与など︶である︒
これらの規定により算定された資産の取得価額は︑適正な期間に売上原価として配分され︑その期間の適正な利益
r ノ
26‑3・4‑242 (香法2007)
ばれ
る︒
応といわれる︒
一般管理費といわれるものは︑売上高等の収益との間 ように留意しなければならない︒このような利益計算の基礎をなすのが対応原則である︒
収益と費用の対応関係を認識する仕方には︑大別して二つの方式がある︒︱つは︑売上原価のように︑特定の財貨
を媒介として収益と費用の対応関係を直接的に認識する方式である︒具体的には︑商品または製品の取得原価を一期
間の実現収益に合理的に対応させることである︒実現収益に対応する棚卸資産原価を確定するためには︑取得原価を
分類︑集計し︑これを払い出された棚卸資産と未払い出しの棚卸資産とに配分する手続きをとり︑販売のために払い
出された棚卸資産︑すなわち売上原価を把握しなければならない︒この売上原価額をもって実現収益に対応する費用
とし︑未販売の棚卸資産に配分された取得原価額は︑これを将来の期間の費用として繰越すことになる︒このような
( 1 6 )
資産原価の期間配分手続きは︑費用配分もしくは原価配分といわれる︒このような収益と費用の対応関係は個別的対
それに対して︑広告宣伝費や賃借料など︑
いわ
ゆる
販売
費︑
に財貨を媒介とした対応関係を認識することが困難な費用である︒そのため︑これらの費用と収益を対応づける第二
の方式として︑同一期間に計上された収益と費用は︑それらがその期間の経済活動を通じて対応しているものと考え︑
会計期間を媒介とした対応関係が認識されることが必要となる︒このような収益と費用の対応関係は期間的対応と呼
このように会計上の諸規定より︑費用のうち売上原価は︑それに個別的対応する収益が生じた期間に計上するのが
適切であり︑仮に債務の額が確定していなくとも合理的に見積もった金額が︑当該期間の費用として計上されるべき
ものであることが確認できる︒
法人税法︱︱︱一条三項は︑原価・費用・損失についての広い概念であるが︑規定の仕方は︑例示ではなく限定列挙で
ある︒当該概念につき裁判所は︑﹁法人税法二二条三項の﹃損金﹄とは︑資本等取引以外の取引で純資産の減少の原
因となる支出その他経済的価値の減少をいうものであり︑このうち同項一号の﹃売上原価︑完成工事原価その他これ
らに準ずる原価の額﹄とは︑収益獲得のために費消された財貨及び役務の対価のうち︑収益に直接かつ個別的に対応
( 1 7 )
するものをいい︑同項二号の﹃販売費︑一般管理費その他の費用﹄とは︑収益に個別的には対応しないが当該事業年
いずれも事業の遂行上必要とされるもの度の収益獲得のために費消された財貨及び役務の対価をいうものであって︑
であることは明らかであり︑同項三号の﹃損失﹄とは災害︑盗難等通常の事業活動とは無関係な偶発的要因により発
( 1 8 )
生する資産の減少をいうのである︒﹂と判示している︒すなわち︑法人の純資産を減少させる取引で︑資本等取引や
別段の定めに該当しないものであっても︑これらの三つのいずれにも該当しなければ損金に算入できない︒
﹁違法支出﹂に係る判決ではあるが︑﹁法人税法は︑所得税法の場合と同様︑原則として損益法によるべきことを規
定したものということが出来︑たとえほ脱犯の所得認定の場合であっても︑更に財産法によって検算しなければ︑所
得額を認定出来ないものとは解されず︑要は︑財産法によって検算するか否かの問題ではなく︑損益法によって算出
( 1 9 )
された所得額の認定に合理的な疑いを挟む余地が存するか否かの問題﹂との判示が存在する︒つまり︑損金は︑純財
産の減少︵財産法︶によってではなく︑各取引の損金該当性︵損益法︶によって捉えられなければならないというこ
( 2 0 )
とになる︒収益獲得に無関係な支出は︑原則として損金ではないと考えられる︒ただし︑ある支出が損金に計上を認
( 2 1 )
められるには︑当該支出が必要性の要件をみたせば十分であって︑通常性の要件をみたす必要はない︒
また︑これらの規定は︑法人税法における損金の額の範囲を示す規定であるとともに︑損金計上時期に関する基本 口法人税法二二条三項一号に係る通達の変遷
J¥
26-3•4-244 (香法2007)
規定である︒ただし︑同項一号に係る売上原価については︑同項二号に係る費用と同様︑厳格な意味での債務確定要
件が必要であるのか否か︑という問題点が存在した︒また︑課税庁の同号に対する取り扱いについても若干の変遷が
この規定について︑昭和五五年五月改正前の法人税基本通達ニー一ー四では︑﹁法第二二条第三項第一号︵損金の
額に算入される売上原価等︶に規定する﹃売上原価︑完成工事原価その他これらに準ずる原価﹄の計算の基礎となる
費用は︑別段の定めのあるものを除き︑当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものに限るものとする︒﹂
と規定していた︒この取り扱いは︑昭和四0年の法人税全文改正に対応した法人税基本通達制定時︵昭和四五年七
( 2 2 )
月︶に設けられたものである︒
しかし︑これらの費用について債務確定要件を厳格に適用しようとすると︑売上収益に直接対応することが明らか
である原価構成費用さえも当期の損金の額に算入し得ないという不都合が生じる︒裁判所の判断としても︑﹁一般に
公正妥当と認められる会計処理の基準としては︑原価については︑それが収益と個別に対応するものであるので︑原
則として︑収益との個別対応の原則︵いわゆる費用収益対応の原則︶が採られており︑費用および損失については︑
販売直接費のように収益と個別に対応するものを除いて︑原則として︑総体対応の原則︵いわゆる期間対応の原則︶
( 2 3 )
が採られているといえる﹂などの判示が存在した︒すなわち︑法二二条三項二号の費用の額はいわゆる期間対応費用
であるのに対して︑同一号の原価の額は︑﹁当該事業年度の収益に係る売上原価⁝⁝﹂と定められており︑売上収益
に個別対応する原価を損金として計上することを容認しているものと解される︒
( 2 4 )
そこで︑現行の法人税基本通達ニーニー一では︑﹁法第二二条第三項第一号︵損金の額に算入される売上原価等︶
に規定する﹃当該事業年度の収益に係る売上原価︑完成工事原価その他これらに準ずる原価﹄︵以下ニーニー一にお あ
った
︒
服審判所長は︑ 六月期まで 内容︑当該費用の性質等を勘案して合理的に判断する⁝⁝﹂と定め︑原価に係る費用計上について︑厳格な意味での 上原価等となるべき費用かどうかは︑当該売上原価等に係る資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に関する契約の 合には︑同日の現況によりその金額を適正に見積もるものとする︒この場合において︑その確定していない費用が売 いて﹁売上原価等﹂という︒︶となるべき費用の額の全部又は一部が当該事業年度終了の日までに確定していない場
( 2 5 )
債務確定要件の適用除外を明らかにし︑同通達ニーニーニ以下において具体的な見積もり方法等を規定した︒
このように現行通達上︑売上原価の損金算入に関しては︑法人税法二二条三項二号に係る費用のような︑いわゆる
( 2 6 )
厳格な意味での債務確定要件︵通達ニーニー︱二︶は要求されていない︒それでは︑売上原価の損金算入について︑
﹁緩やかな債務確定要件﹂は要求されるのであろうか︒そこで︑つぎに︑売上原価に債務未確定な部分が存する場合︑
裁判所は︑当該売上原価の損金算入についてどのような判断を示しているのかを具体的事例で確認したい︒
事実の概要および原告Xと被告Y
の主張
原告会社Xは︑砕石及び土木工事を主体とする建設業を営む会社である︒Xは︑昭和四五年六月期から昭和五二年
︵但し︑昭和四八年六月期を除く︒以下本件係争年度という︶の法人税について︑確定申告︑修正申告を
したところ︑被告Yは︑更正︑再更正処分をした︒Xは︑本件各処分に対し︑適法に審査請求をしたところ︑国税不
一部取消し又は棄却の裁決をした︒Xは︑この裁決を不服とし︑地裁に提訴した︒
(—)
( 2 7 )
大阪地裁昭和五七年︱一月一七日判決の検討
①
売上原価に係る判例の検討
1026-3•4-246 (香法2007)
それ
に対
して
︑
Yは ︑
( i
)
本件採石地に関する原告会社と土地所有者との契約をみても︑その跡地処理に要する
盛土の方法︑土の種類等が全く未定であり︑しかもそれが具体的に何時行われるのかも不明であるから︑本件自然環
境回復費は︑到底具体的な債務として確定しているとはいい難い︒︵社︶税法上︑損金というためには︑少なくとも
当該事業年度内に対外的な債務の確定による具体的な金銭的数値をもって計算し得るものであることが不可欠であ 対象とはならない︑等であった︒ Xは︑本件係争年度の所得金額を算出するためには︑﹁未払金に計上できる金額﹂︵以下︑﹁自然環境回復﹂という︒︶
を損金として計上すべきであると主張した︒その理由は次のとおりである︒
(i
)X
は各採石地所有者との間で︑採
石後の跡地に植林等をする旨の契約書を作成しており︑さらに︑本件採石地は︑金剛生駒国定公園特別区域内に所在
し︑自然公園法一七条三項の規定により一年以内ごとに訴外大阪府知事の許可を受けなければならず︑許可条件とさ
れている緑地化修景等を義務づけられている︒︵社︶本件自然環境回復費は︑法二二条三項一号原価に当たる︒すな
わち︑通達ニーニー四︵本件係争年度においては不存在︶は︑砂利採取地に係る埋戻し費用の規定であるが︑売上原
価等のなかに置かれていて︑これは砂利採取地に係る埋戻し費用及びこれと同視すべき本件自然環境回復費︵植林費
用を含む︶が︑一号原価であることを国税庁自身が認めたといえる︒︵面︶本件自然環境回復費が確定していない場
合には︑まず原告会社が︑その金額を見積り計上し︑原告会社が計上していなければ︑被告が見積り計上すべきであ
る︒本件自然環境回復費が一号原価である以上︑費用収益対応の原則︑税務実務の慣行︑資本充実の原則等から当然
のことである︒本件自然環境回復費は︑確定決算の適用を受けず︑公表決算に計上していなくても︑被告がこれを損
金に算入すべきである︒確定決算の原則は︑内部計算に係る損益についてのみ適用されるもので︑本件自然環境回復
費は︑大阪府知事の採石許可条件及び地主との契約により発生する︑いわゆる外部取引であるから確定決算の原則の
ある︒﹂と判ホし︑その理由として︑次のように述べた︒ 債務として確定している限り︑
②
ではない の 業年度の損金と認識し︑これを未払金に計上することが必要である︒単なる見込みに基づく引当の計上を許容するも 況での埋戻し工事を行う具体的な計画をもっていること︑そしてその計画をもとにして計算した適正な金額を当該事 益に対応すべき原価性を有する費用であっても︑原価外の費用とするほかはない︒︵面︶法人が当該事業年度末の現 ち︑当該事業年度の収益に対応するものが原価であり︑これに対応しないものは︑それが実質的には全体としての収 り︑この要件を満たさないものに損金性が与えられる余地はない︒
でな
く︑
つまり︑特定の事業年度に帰属する損金の額のう
いわんや法人自らが計上していない場合に課税庁がすすんで計算のうえ損金に算入するという性質のもの
︵すなわち︑確定決算の原則が適用される︶︑などを主張した︒
裁判所の判断
本件自然環境回復費の損金算入について︑﹁自然環境回復費︵採石跡地の埋戻しや植林に要する費用︶は︑それが
一号原価に該当し︑当該事業年度の損金に算入することができると解するのが相当で
判決は︑当該自然環境回復費について︑﹁原価とは︑会計学上︑製造活動︑販売活動︑物品の保管・管理などの経
営の諸活動に関連して発生する経済価値の消費であり︑財貨又は用役の提供のために製造・販売などの経営目的に関
連して消費される経済価値であり︑正常な状態のもとで消費される経済価値である︑ということができる︒原価計算
基準も︑﹁原価とは︑経営における一定の給付にかかわらせて︑は握された財貨または用役⁝⁝の消費を︑貨幣価値
的に表わしたものである﹂としている︒ところで︑自然環境回復費が︑このような会計学上の原価の本質を内在して
いることは︑自然環境回復費そのものの性格からいえる︒﹂との会計学上の原価性を指摘した︒
26‑3・4‑248 (香法2007)
きな
い︒
﹂と
判ホ
した
︒
所有者との間で締結した契約上の義務内容が︑客観的︑ さらに︑法人税法二二条三項一号の原価の計上要件として︑﹁法人税法︱︱二条︵各事業年度の所得の金額の計算︶い
ので
︑
は︑少なくともその金額を見積る必要があるから︑ 三項二号には︑事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く旨の括弧書があるのに︑同項一号にはこれがな
一号原価は債務の確定を要しないのではないかという疑問が生ずるが︑しかし︑損金として計上するために
一号原価についても︑この金額見積りが可能な程度に債務の内容
が特定していること︑すなわち︑見積りの前提となる債務発生の原因たる事実︵債務発生項目︶は確定していること
が必要であり︑この意味での債務の確定を要すると解するのが相当である﹂と述べ︑﹁自然環境回復費を一号原価と
して計上することが許容されるには︑まず︑当該事業年度末までに対外的債務として確定していることが必要である︒
ここにいう対外的債務の確定とは︑埋戻し工事をする業者や植林業者との間の具体的契約によって発生する債務に限
定されるものではなく︑土地所有者との間で埋戻しや植林を約束したことによって生じている債務も含むから︑土地
一義的に明白であり︑費用を見積ることができる程度に特定
されている場合には︑債務の確定があるとしなければならない︒﹂と述べた︒
また︑自然環境回復費の損金計上と確定決算の原則︵確定決算基準︶については︑﹁自然環境回復費が対外的取引
によって生じる債務であり︑一号原価に該当することは前に説示したとおりであるから︑法人の確定決算に拘束され
るものではないし︑損金経理の必要がないとしなければならない︒すなわち︑所得金額の計算は︑確定決算上の自然
環境回復費に拘束されるものではなく︑真実の自然環境回復費に従って計算されるべきである︒﹂と述べ︑﹁被告は︑
埋戻し費用が内部取引であること及び通達ニーニー四が原価算入を認める特例であることを前提に︑確定決算上未払
金として計上されていることが損金計上の要件になると主張するが︑被告のこの主張は︑独自の見解であり︑採用で
また︑自然環境回復費の損金計上と確定申告については︑﹁確定申告は︑確定した決算に基づいて行わなければな
らないから︵法七四条︶︑自然環境回復費が確定申告されている場合には︑見積額を計上して申告できる程度に債務
発生項目が確定していたことを意味する︒したがって︑確定申告をしなかった場合でも︑債務発生項目が確定してい
て見積計上もされており︑原価算入の意思が明確であるような特別の事情があるときは︑確定申告された場合と同視
しうる余地があるが︑このような特別の事情が見当たらないときには︑
むを得ないとしなければならない︒﹂とも判示している︒
③判決の検討
判決は︑会計学上の原価に係る概念を引用して︑当該自然環境回復費が原価としての性質を有するとした︒この原
価性については︑すでに検討したとおり︑法人税法二二条三項と四項の規定から︑法人税法上別段の定めがある場合
を除き︑会計処理の基準に照らして判断する必要性からである︒
裁判所は︑﹁法二二条三項は︑所得金額の計算上損金の額に算入すべき金額として︑別段の定めがあるものを除き︑
同項各号に掲げる額とする旨定めているところ︑砂利採取地に係る埋戻し費用の損金算入については︑別段の定め
︵法五︱一条以下の引当金などとして損金の額に算入しうること︶がないから︑右埋戻し費用の損金算入が認められる
ためには︑法二二条三項各号のいずれかに該当する場合でなければならない︒ところが︑二号費用は︑期間対応の費
用であって収益と個別的︵客体的︶には対応しないものをいうし︑三号損失は︑収益の獲得過程以外で喪失した経済
価値すなわち収益と対応関係にないものをいうから︑右埋戻し費用は︑二号費用︑三号損失のいずれにも該当せず︑
結局一号原価に該当するとするほかはないのである︒﹂というような消去法的構成により︑当該費用が同項一号原価 一号原価としての損金計上が否定されてもや
一 四
26-3•4-250 (香法2007)
次の論点は︑原価と債務確定要件に関連する事項である︒法人税法二二条三項一号規定およびそれに関連する基本
通達は前述の通りである︒ただし︑この事例は︑現行通達が出される前の事件であり︑現行通達が出された後の裁判
であるという特徴を有していた︒
ただし︑当該通達は︑同項一号の売上原価に包摂されるものの一事例を明示したものに過ぎず︑確認したものとみ は
あり
えな
い︒
そして︑課税庁の当該費用に関連する通達は︑﹁杜会経済上その支出が法的に義務づけられているのであるから︑
税法上は︑原価として損金算入することを認める必要が生じた﹂からであり︑﹁一号原価の中に包摂されるものの一
事例として︑砂利採取地に係る埋戻し費用のあることを明示し︑右埋戻し費用は︑事後に支出が行われる費用︵広義
の事後的費用︶であるが︑債務の発生自体が未確定であるような単なる事後的費用︵狭義の事後的費用︶ではなく︑
契約内容や費用の確実性からみて原価に該当する︵ただし︑後述するように債務の確定基準として一定の要件を必要
( 2 8 )
とする︶ことを確認したものとみるべき﹂と判示し︑当該費用の原価性を確認した︒
結論としては同じであるが︑当該自然環境回復費は︑積極的に原価を構成する費用であるといえるのではなかろう
か︒すなわち︑土地の一部を構成している砂利等を採石することは︑その土地の原型を損壊するわけである︒その場
合︑一般に︑当該採石業者は︑当該土地について自然環境回復を行わなければならないことが︑その採石条件として
契約上に締結されているか︑地方公共団体等による許可条件になっている︒当該事例も例外ではない︒したがって︑
採石業者が砂利等の売上を計上する際には︑当該自然環境回復費は当該売上に個別対応する費用として認識し︑売上
総利益の算定を行っているはずである︒営利目的の企業が︑売上総利益の算定を行わずして業務︵営業︶を行うこと であることを導き出している︒
ある
︒ 当該事例におけるこの﹁ある程度の確からしさ﹂とは︑埋戻し工事をする業者等との具体的契約によって発生する
債務に限定されるものではなく︑﹁土地所有者との間で締結した契約上の義務内容が︑客観的︑一義的に明白であり︑
費用を見積ることができる程度に特定されている場合﹂と判示した部分を指すといえる︒ただし︑当該判決が︑この
見積計上可能な状態を﹁債務の確定があるとしなければならない﹂と判示し︑売上原価に対しても︑債務確定要件に
関連づけている点︑言い換えれば﹁緩やかな債務確定要件﹂を必要としている点は疑問の残るところである︒売上原
価に該当する費用が存在すると認められるときは︑このような﹁緩やかな債務確定要件﹂をも必要とせず︑当該売上
原価の額は︑収益に個別対応して発生する費用なので︑合理的な見積額を計算して損金の額に算入されるべきもので
また︑原告が︑﹁原告会社が計上していなければ︑被告が見積り計上すべき﹂であると主張したのに対し︑裁判所 判断を裁判所は示した︒ るべきであり︑新しい損金を創設したものでも︑課税庁の裁量によるものでもない︒現行通達ニーニー四の適用制限に関連して︑裁判所が︑﹁被告は︑税務執行上の取扱いの特例として埋戻し費用の損金算入を認める創設的規定であることを前提にして︑通達ニーニー四は︑通達の設定以前の事業年度への遡及適用は許されないと主張する︒しかし︑通達は前に説示したとおり︑埋戻し費用が一号原価になることを確認的に規定したにすぎないから︑被告のこの主張は︑前提を欠き採用できない︒﹂との判断を示したことは妥当である︒
したがって︑当該通達が出される前の事案であっても︑同項一号の売上原価に該当する費用については︑厳格な意
味での債務確定要件を必要としないことになる︒すなわち︑売上原価は︑売上と個別に対応する費用である以上︑債
務が確定していなくとも︑その見積が﹁ある程度の確からしさ﹂で計上可能であれば損金算入されるべきもの︑との
一 六
26‑3・4‑252 (香法2007)
記売買契約の締結に至った︒ 事実の概要および原告Xと被告Yの主張
︵原
告・
控訴
人︶
受給に関する基本契約︵覚書︶を締結し︑その後︑副生ガスの売買契約を締結した︒この副生ガスとは︑
た︒
そこ
で︑
は︑都市ガス供給業等を営む青色申告法人である︒Xと訴外A社は︑昭和五八年に副生ガスの
サ等を製造する過程で発生する副産物であり︑通常は無価値なものであるばかりか︑投棄する場合には大気汚染防止
等の関係で多くの費用が必要となる︒ただし︑この副生ガスは︑都市ガスの原料としては使用価値のあるものであっ
A社
は
X社に対し︑この副生ガスを供給するためのパイプラインをA社が敷設すること等を提案し︑上
ガスの卸供給事業者は︑通商産業大臣の認可を受けた料金によるのでなければ︑ガスを供給してはならず︵ガス事
業法
二四
条︶
︑
Xは通商産業大臣の認可を受けた﹁認可価格﹂でA社よりこの副生ガスの継続的供給を受け︑その代
価を毎月支払っていた︒なお︑上記のような経緯から︑A社の副生ガスの供給先はXに限られていた︒したがって︑
この認可価格は︑国内の流通段階における卸価格としては最高水準にある日系マンスリーのブタンガス価格を参考に
x
に
)
( 2 9 )
福岡高裁平成︱一年二月一七日判決の検討
①
は︑﹁原価算入の意思が明確であるような特別の事情があるときは︑確定申告された場合と同視しうる余地があるが︑このような特別の事情が見当たらないときには︑一号原価としての損金計上が否定されてもやむを得ないとしなければならない﹂と判示している︒しかし︑本件自然環境回復費のように︑当該費用が一号原価として存在することが確認された場合︑当該費用は︑個別的費用収益対応の原則から︑原告の意思とは無関係に︑当然に売上原価として見積計上され︑損金の額に算入されるべき性質を有する金額であるといえる︒し て
︑
Xが決定していた︒しかし︑認可価格と都市ガスの原料ガスの実勢価格との間に価格差が生じることが多く︑
この
よう
な場
合︑
XとA社との間では︑認可価格を新たに修正した価格を取引価格とし︑認可価格との差額を現金で
精算する旨の覚書きをその都度取り交わす方法が継続的に行われてきた︵この精算金の支払いを受けるのは︑常にX
であった︶︒この精算に対しては︑九州最大大手のガス会社B社のブタンガス仕入価格︵熱量換算後︶より一円低い
価格を基本としていた︒なお︑A社における会計処理は︑まず︑認可価格に基づき売上を計上するが︑減額が予想さ
れる金額を売上引当金として計上し︑現金精算の際︑この引当金を取り崩して支払う会計処理を行っていた︒
さて︑本件対象事業年度は︑当該各事業年度内に当該精算が行われず︑各事業年度の翌期において精算が行われ︑
Xは︑当該金額を雑収入として返還日の属する事業年度に計上︑その精算率は六0
%前後に達した︒
これに対して︑課税庁は︑本件事業年度にXが損金算入した当該副生ガスの仕入価格︵認可価格︶を売上原価とし
て未確定であるとして︑同地域・同業種法人の最高仕入価額をもってXの仕入価額とする更正を行った︒
Xの主張は︑﹁本件副生ガス仕入価額は︑法二二条三項一号に規定する﹁売上原価﹂に該当し︑同条四項に規定す
る﹁一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算され﹂たものである︒⁝⁝本件副生ガスの仕入価額が
認可価格であることは明らかである︒そして︑⁝⁝原告は︑当該事業年度内に同ガスを原料とする都市ガスを製造し
て顧客に販売している︒したがって︑原告が︑認可価格による仕入価額を当該事業年度の収益にかかる売上原価とし
て損金の額に算入するのは当然である︒また︑原告は︑適宜︑A社に対し︑既往の副生ガス仕入代金につき割戻しを
請求し︑仕入割戻金を受領しているが︑これは事前に合意していたものではなく︑事業年度終了後の割戻交渉により
新たに実現したものであり︑仮価格の精算のようなものではない︒﹂と主張した︒
これに対しYは︑﹁原告はもちろん︑取引の相手方であるA社においても︑右認可価格を最終的な卸価格とする意
J¥
26-3•4-254 (香法2007)
図があったとは認められず︑実際上もA社は︑右認可価額が結果において仮価格になるとの認識の下に︑毎月独自に
右認可価格とは異なる価格を見積って売上︵収益︶を計上し︑差額予定額を売上引当金としていた︒⁝⁝︑原告にお
いても︑課税年度における仕入価額の見積り計算は十分可能であった︒このような事実を総合すれば︑原告と
の間に副生ガスの認可価格を仕入価額とするとの契約は存在せず︑認可価格はあくまで仮価格であったとみるべきで
ある︒⁝⁝また︑一般的に仕入割戻しとは︑一定期間に多額又は多量の取引をした仕入先から仕入代金の払戻しを受
けることをいい︑その算定基準は購入価額又は購入数量によっており︑仕入割戻額の仕入価額に対する割合には自ず
認可価格による仕入金額と売上原価の関係について判決は︑﹁都市ガス供給業者であるXが仕入れた本件の副生ガ
ス は
︑
A社には無価値な副産物であるばかりか︑投棄するには多大の費用を要するものであることから︑本来︑通常
の商品の売買価格にはなじみにくいものである上︑
A
社にとって︑副生ガスの供給先はXだけであったことから︑通商産業大臣の認可を受けるべき副生ガスの料金の認可申請価格を設定する際にもXが主導権を握り︑高水準の価格を
維持する一方︑その後の精算においても︑A
社は
Xに対し︑とりわけ本件各事業年度の取引につき右認可価格の六〇
パーセントを超える極めて高率の精算金を支払い︑A社自身も︑右認可価格が仮価格であることを前提とした会計処
理をしていたのであるから︑少なくとも本件事業年度の取引価格について︑ガス事業法上の認可価格をもって︑法人
税法二二条三項一号の売上原価と評価するのは相当でない︒﹂と判示した︒
また︑原料ガス仕入金額に係る割戻しは︑翌期に実現した旨のXの主張についても判決は︑﹁X
② 裁 判 所 の 判 断
と限度があるものと解されている︒﹂と主張した︒
の仕入割戻金は︑事業年度終了後の交渉により新たに実現したもので︑仮価格の精算というようなものではない旨主
張するところ︑仕入割戻しとは︑﹁財務諸表等の用語︑様式及び作成方法に関する規則取扱要領﹂︵昭和三八年︱二月
ニ八日蔵理第九五八五号︑最終改正昭和五七年九月ニ一日蔵理一四︱二号︶の第一四九に規定されている売上割戻し
の反対用語であることから︑
されるが︑仕入を前提としたものである以上︑その返戻額等の仕入価額に対する割合には︑その性質上︑ 一定期間に多額又は多量の取引をした仕入先からの仕入代金の返戻額等をいうものと解
があるものと解され︑これを本件についてみると︑本件事業年度におけるXの割戻率は極めて高い上︑
一定の限度
XとA社の間
で作成された精算に関する覚書には︑仮価格を精算する旨の記載はあるものの︑仕入割戻しに関する記載はなく︑こ
れに既に判示したところを併せ考慮すれば︑本件仕入割戻金が事業年度終了後の新たな合意に基づく仕入割戻しであ
るとは解されない︒﹂との判断を示した︒課税庁が仕入価格を認定することは租税法律主義に反するとの主張に対し
て判決は︑﹁﹁当該事業年度の収益に係る売上原価﹂等︵法︱︱二条三項一号︶は︑﹁当該事業年度の損金の額に算入す
べき金額﹂︵同条三項本文︶として規定されている︒右のような期間損益計算の基本原則からすれば︑﹁当該事業年度
の収益に係る売上原価﹂等の額が当該事業年度終了の日までに確定していない場合には︑同日の現況によりその金額`
を適正に見積らなくてはならず︑法人税法基本通達ニーニー一は︑右趣旨に基づくものであると解される︒また︑右
売上原価等の額は︑﹁一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算される︒﹂︵法二二条四項︶ものであ
.るところ︑右﹁会計処理の基準﹂としては︑﹁企業会計原則﹂︵昭和二四年七月九日経済安定本部企業会計制度対策調
査会中間報告︶︑﹁企業会計原則注解﹂︵昭和二九年七月一四日大蔵省企業会計審議会中間報告︶︑﹁原価計算基準﹂︵昭
和三七年︱一月八日大蔵省企業会計審議会中間報告︶をそれぞれ考慮するのが相当である︒⁝⁝そうすると︑本件課
税処分は︑本件副生ガス仕入価格が︑後に精算することを予定した仮価格であることを前提に︑右﹁原価計算基準﹂ 二0
26-3•4-256 (香法2007)
に従い︑法二二条三項により︑本件各事業年度の収益に対応した仕入価額を適正に見積ったものであるから︑租税法
( 3 0 )
律主義に違反するとは解されない︒﹂と判ホした︒
③ 判 決 の 検 討 この事例は︑まず︑
XとAとの契約内容に係る事実認定の問題である︒すなわち︑各系争年度において︑
副生ガスの仕入価額は確定していたのかどうかという問題である︒次に︑確定していないとするならば︑
末において当該未確定の仕入価額︵売上原価︶をどのような方法により適正に見積計上すべきであるかが問題となる︒
裁判所は︑当該契約内容を判断する際に︑当該副生ガスが本来無価値なものであること︑XとA
Xが圧倒的優位を有していること︑仕入割戻しが高率であること︑およびA自身が当該認可価格が仮価格であること
を前提とした会計処理をしていたことなどを考慮し︑当該売買契約に基づく﹁認可価格﹂は︑法人税法二二条三項一
号の売上原価と評価するのは相当ではないとの結論を導き出している︒
このような結論に対して︑Xが当該売買契約書を作成していたのは事実であり︑Xはその認可価格により仕入を実
施した旨の帳簿記載をしている点において仮装等の事実は存在しないのだから︑当該価額が売上原価を構成するもの
と考えることも可能である︒さらに︑Xの会計処理方法が継続されているのであれば︑連続する各事業年度の課税所
( 3 1 )
得としては平準化され︑結果的には影響を及ぼさないことになる︒そこで︑当該事例は︑同法二二条三項一号の売上
原価に係る判断であり︑すでに検討してきたように︑同一号は多分に会計に依存して判断される項目であるという特
徴を有することから︑Xにおける会計処理を確認する︒
Xの場合は︑翌期に多額の仕入割戻しが発生し︑しかも︑当該金額を﹁雑収入﹂で処理をしている︒原則的に﹁雑
収入﹂とは︑営業外収益に属する項目であり︑仕入値引や仕入割戻を受けた場合は︑その金額を仕入価額から控除す
( 3 2 )
るのが通常である︒そして︑通常は︑仕入割戻し等があった会計期間の売上原価を修正することになる︒ただし︑本
件の場合は︑仕入割戻しが高率である点をも考慮すると︑この仕入割戻しの基準となった仕入価額を遡及して訂正し︑
それに係る売上額と個別対応する売上原価を適正に修正するのが期間損益を適正に表示するという観点から妥当であ
る︒会計的に売上原価は︑売上と個別対応する費用であり︑したがって︑企業は︑売上総利益をある程度の確からし
さで確定することにより︑営業活動を行っているからである︒このように︑会計上の期間損益の適正化を重視した場
合︑仕入割戻しの額が翌期に決定され︑かつ︑その返還率が高い当該事例については︑その都度修正申告等を行う必
要が生じ︑実際上困難といえる︒したがって︑当該事例の場合は︑過去の購入実績に基づく予定価格等により原価計
算を行い︑適正な見積り売上原価を算出し︑当該金額を損金算入すべきであったと考える︒
その理由としては次のように考える︒法人税法が求める原価の計算は︑実際に発生した原材料等の額に基づく厳格
( 3 3 )
な実際原価計算と位置づけられる︒しかし︑企業会計においては︑これを実施することは不可能または困難であるか
ら︑適正な原価計算基準に従って︑予定価格または標準原価を適用して算定した原価を用いることが認められてい幻︒
( 3 5 )
ここにいう予定価格とは︑将来の一定期間における実際の取得価格を予想することによって定めた価格をいう︒その
( 3 6 )
結果︑この予定価格等を用いて原価を計算した場合︑当該原価と法人税法が要請する厳密な実際原価計算による原価
との間で差額︑
いわゆる原価差額が生じる︒しかし︑法人税法においては︑この原価差額が発生している場合におい
ても︑その原価が適正な原価計算に基づいて算定されている場合は︑企業が算定した原価を認めることにしているの
( 3 7 )
であ
る︒
この点に基づき判決は︑﹁ところで︑﹃原価計算基準﹄によれば︑﹃原価計算は︑原則として実際原価を計算する︒
26-3•4-258 (香法2007)
て定めた価格をいう︒﹄︵﹁基準﹂四(‑) それは実際原価の計算である︒ここに予定価格とは︑将来の一定期間における実際の取得価格を予想することによっ 計算した原価の実際発生額であるが︑原価を予定価格等をもって計算しても︑消費量を実際によって計算する限り︑ をもって計算することもできる︒﹄︵﹁基準﹂六(‑)二︶のであり︑﹃実際原価は︑厳密には実際の取得価格をもって この場合︑実際原価を計算することは︑必ずしも原価を取得価格をもって計算することを意味しないで︑予定価格等
‑)とされている︒そして︑予定価格と﹃原価の実際発生額との差異は︑
これを財務会計上適正に処理しなければならない︒﹄︵﹁基準﹂六(‑)三︶が︑﹃予定価格等を適用する場合には︑こ
れをその適用される期間における実際価格にできる限り近似させ︑価格差異をなるべく僅少にするよう定め﹄︵﹁基
準﹂一四︶︑予定価格と実際発生額との差異が生じた場合においても︑﹃材料受入価格差異は︑当年度の材料の払出高
の期末在高に配賦﹄し︵﹁基準﹂四七(‑)二︶︑﹃予定価格等が不適当なため︑比較的多額の原価差異が生ずる場合﹄
には﹃当年度の売上原価と期末におけるたな卸資産に科目別に配賦する︒﹄︵﹁基準﹂四七(‑)三︵二︶︶とされてい
る︒そうすると︑本件課税処分は︑本件副生ガス仕入価格が︑後に精算することを予定した仮価格であることを前提
に︑右﹃原価計算基準﹄に従い︑法二二条三項により︑本件各事業年度の収益に対応した仕入価額を適正に見積った
ものであるから︑租税法律主義に違反するとは解されない︒﹂と述べ︑﹁本件課税処分が︑本件副生ガス仕入価額を売
上原価としては未確定な仮価格であると認定した上︑副生ガスの仕入価額の損金算入及び仕入割戻金の益金算入を否
認して︑これに代わる仕入価額を認定した点に実体上の違法はない﹂との結論を導き出している︒
当該事例における売買契約に係る事実認定の問題は残るものの︑当該判決は︑法人税法における売上原価が会計上
の処理に大きく依存している以上︑仕入価額︵結果的には︑売上原価︶が未確定なのであれば︑当然に売上原価は見
積計上されなければならないことを︑指摘したものであるといえる︒ただし︑当該判決が︑適正に見積もった仕入価
額︵結果的には売上原価︶として︑Xの過去の購入実績に基づく仕入価額を用いないで︑同地域・同業種の仕入価額
( 3 8 )
等を用いたことには︑適切でなかったといえる︒
( 3 9 )
最高裁第二小法廷平成一六年一0月二九日判決の検討
事実の概要および原告Xと被告
Y
の主張被告人Xは宅地開発業を営む会社であるが︑昭和六一年一0月一日から同六二年九月三0日までの事業年度に係る
法人税について︑虚偽過少の申告をして法人税を免れたとして︑法人税法一五九条に該当するとして起訴された︒
Xは牛久市内に所在する本件土地を購入して宅地造成をし︑これを昭和六二年六月に販売︑収益に計上すべきこと
となった︒本訴では︑この本件土地の宅地造成に係る売上原価の年度帰属が争点とされた︒
Xは︑上記開発行為につき茨城県知事の許可を得るため︑都市計画法に基づいて牛久市と協議をした︒牛久市は︑
宅地開発に当たっては開発区域の内外を問わず︑流末排水路を開発業者に整備させるという行政指導を行い︑開発業
者がこれに従わない場合には同法三二条に基づく公共施設の管理者としての同意を与えず︑開発許可申請を茨城県知
事に申達しないという取扱いをしていた︒このため︑牛久市の担当者は︑Xに対し本件土地内から排出された雨水が
流下することになる開発区域外の長さ約四
0
0mの農業用水路を直径二mの管を埋設した暗きょの雨水排水路とする
ことなどを内容とする改修工事を行うよう指導し︑Xはこれを了承し︑牛久市の同意を得て︑茨城県知事から開発許
その
後︑
Xは本件土地を造成し︑昭和六二年六月販売した︒しかし︑同年七月ころ︑牛久市の担当者は方針を変更
し ︑
Xに対し幅四
m
の開きょの雨水排水路とすることなどを内容とする改修工事を行うよう指導した︒この改正案は可を
受け
た︒
① ヨ (
ニ四
26‑3・4‑260 (香法2007)
以上の事実関係を前提として︑第一審判決および原判決は︑上記一億四︑六六八万円を本係争事業年度の収益に係
る売上原価の額として当期の損金の額に算入することは許されないとの判断を示した︒それに対して︑
上告して︑原判決は売上原価に関する法人税法二二条三項一号の解釈を誤っていると主張した︒
②
原判決は︑﹁以上の事実関係に照らすと︑確かに︑被告会社Xでは︑本件刈谷東物件の開発に着手した当初の段階
から︑牛久町ないし牛久市の下水道課の担当者らによって︑本件雨水排水路の改修について種々の働きかけを受け︑ な
い︒
裁判所の判断
同年
一
0月ごろ︑牛久市側は︑更に方針を変更し本件改修工事をすべて公共工事として行うこととし︑
当初案のエ費に相当する上記金額を都市下水路整備負担金として牛久市に支払うよう求め︑Xはこれを了承した︒
事業年度︵以下﹁当期﹂という︒︶ 同年︱一月三0
日 ︑
Xは︑本件土地の販売に係る収益の額を昭和六一年一0月一日から同六二年九月三
の益金の額に算入し︑上記一億四︑六六八万円を上記収益に係る売上原価の額と
して当期の損金の額に算入した上︑確定申告をした︒
しかし︑その後︑牛久市は住民の反対運動が起きることを懸念して同工事を行わず︑Xも上記負担金を支出してい
と見
積も
り︑
Xはこの見積金額を牛久市の担当者に連絡した︒ 当初案の約三倍のエ費を必要とするため︑Xは難色を示した︒その結果︑牛久市の担当者は︑当初案のエ費の範囲内
でXが改正案の工事を部分的に施工するとの代案を提示した︒これを受け入れたXは︑本件改修工事を請け負わせよ
うと考えていた株式会社
A建設に対し︑当初案のエ費を見積もるよう依頼︑同年九月ころA社は一億四︑六六八万円
⁝⁝の行政指導としての性格を持つこと等にもかんがみ︑将来本件雨水排水路の改修に関して同社が相応の関与をし
なければならない事態になることを予想して︑牛久町ないし牛久市の担当者らに対してもその趣旨の対応をすると共
に︑⁝⁝種々の準備をも行っていたことが認められる︒しかしながら︑論旨指摘の負担金を売上原価に計上すること
ができるためには︑その支払いが債務として確定していたこと︑すなわち︑その義務内容が客観的︑一義的に明白で︑
費用を見積もることができる程度に特定されていたことを要すると考えられる
金額自体が確定していることは必ずしも必要ではないが︑金額自体が確定していない場合には︑これを見積もる必要
があるところ︑その見積もりが可能であるためには︑上記の程度に債務が確定していることを要するものと解するの
が相当である︒︶ところ︑以上の事実関係に照らすと︑本件においては︑所論指摘の負担金の支払いについて︑上記
の意義における債務の確定を認めることはできないといわざるを得ない︒﹂として︑当該負担金額の損金算入を否認
( 4 0 )
した
これに対し最高裁は︑﹁(‑)牛久市は︑都市計画法上の同意権を背景として︑被告会社に対し本件改修工事を行う ︒
よう求めたものであって︑被告会社は︑事実上その費用を支出せざるを得ない立場に置かれていたこと︑︵二︶同エ
事の内容等は︑牛久市側の方針の変更に伴い変遷しているものの︑被告会社が支出すべき費用の額は︑終始第一案の
工費に相当する金額であったこと︑︵三︶被告会社は︑昭和六二年九月ころに建設会社にこれを見積もらせるなど︑
同年九月末日までの時点において既にその支出を見込んでいたこと︑などが明らかである︒これらの事実関係に照ら
すと︑当期終了の日である同年九月末日において︑被告会社が近い将来に上記費用を支出することが相当程度の確実
性をもって見込まれており︑かつ︑同日の現況によりその金額を適正に見積もることが可能であったとみることがで
きる︒このような事情がある場合には︑当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が確定していないときであっ ︵売上原価を計上するためには︑その
二六
26‑3・4‑262 (香法2007)
③ 判 決 の 検 討
一義的に明白で︑費用を見積もることができる程度に特 ても︑上記の見積金額を法人税法二二条三項一号にいう﹁当該事業年度の収益に係る売上原価﹂の額として当該事梁年度の損金の額に算入することができると解するのが相当である︒﹂と判示し︑本件を高裁に差し戻した︒
まず︑本件で問題となっている都市下水路整備負担金は︑Xの開発区域の外に設置する下水路整備の費用に充てる
もの
であ
って
︑
Xの宅地開発事業に係る収益と個別対応する原価に該当するかどうかの問題がある︒この費用が原価
項目であるか否かの判定については︑原価計算基準における原価となるべき項目の識別が前提となる︒原価として算
入されるべき原価の本質は︑①経済価値の消費であり︑②経営において作り出された一定の給付に転嫁される価値で
( 4 1 )
あり︑③経営目的に関連したものであり︑④正常的なものであることである︒
本件の場合︑当該開発業者としては︑開発負担金の負担なしには開発許可が得られない仕組みになっている︒また︑
当該費用が売上原価である場合︑ 開発業者は︑その負担の見返りとして住民の利便性が増加され︑開発地域の価値を高める結果が得られるため︑その行政からの要請に応ずることに経済的合理性を有しているといえる︒これらの点からすれば︑当該開発負担金の負担は︑開発行為によって生ずる宅地の販売収益と個別対応する費用であり︑原価の性質を有しているといえる︒
つぎの問題点は︑当該売上原価の見積計上に付き︑﹁緩やかな債務確定要件﹂が
必要とされるか否かである︒当該控訴審は︑﹁売上原価を計上するためには︑その金額自体が確定していることは必
ずしも必要ではないが︑金額自体が確定していない場合には︑これを見積もる必要があるところ︑その見積もりが可
能であるためには︑上記の程度︵﹁その義務内容が客観的︑
定されていたことを要する﹂︵筆者挿入︶︶に債務が確定していることを要するものと解するのが相当である︒﹂と︑﹁緩
一義的に明白であり︑費用を見積ることができる程度
( 4 2 )
に特定されている場合には︑債務の確定があるとしなければならない︒﹂とか︑﹁法人税基本通達ニーニー一は︑売上
原価等となるべき費用の額の全部又は一部が当該事業年度終了の日までに確定していない場合につき︑﹃同日の現況
により適正に見積もる﹄ことを定めているところ︑これは︑売上原価等が収益に対応する費用であるところから︑当
該事業年度末において未確定の費用を含んだ形態での資産の販売については︑その売上原価等を適正に見積もって収
益と費用を対応させる趣旨と解せられる︒ただ︑未施工工事費用の見積り計上が認められるためには︑単に計算上見
積りが可能というだけでは足りず︑当該事業年度末日において︑当該法人に未施工工事を施工する意思があり︑その
( 4 3 )
金額の見積りが可能な程度に債務の内容が確定していることが必要である︒﹂というように︑﹁緩やかな債務確定要件﹂
を要求してきた︒
これに対して︑当該最高裁が︑﹁当期終了の日である同年九月末日において︑被告会社が近い将来に上記費用を支
出することが相当程度の確実性をもって見込まれており︑かつ︑同日の現況によりその金額を適正に見積もることが
可能であったとみることができる︒このような事情がある場合には︑当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債
務が確定していないときであっても︑上記の見積金額を法人税法二二条三項一号にいう﹃当該事業年度の収益に係る
売上
原価
﹄
の額として当該事業年度の損金の額に算入することができると解するのが相当である︒﹂と判示し︑﹁緩や
かな債務確定要件﹂を要求しなかったことは︑従来の判断を一歩前進させた妥当な判断である︒
すなわち︑売上原価に該当する費用が存在すると認められる場合︑当該売上原価は︑このような﹁緩やかな債務確
定要件﹂をも必要とせず︑収益に個別対応して発生する費用として︑当然に︑合理的な見積額により損金に算入され 従来の判決においても︑費用負担の﹁義務内容が︑客観的︑ やかな債務確定要件﹂を要求した︒
二八
26‑3・4‑264 (香法2007)