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Title
Epidermal growth factor promotes the proliferation
and differentiation of progenitor cells during
wound healing of rat submandibular glands
Author(s)
阿部, 裕之
Journal
歯科学報, 118(2): 138-139
URL
http://hdl.handle.net/10130/4530
Right
138 歯科学報 Vol.118,No.2(2018) あ べ ひろ ゆき 氏 名(本 籍)
阿
部
裕
之
(福島県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 2116 号(甲第1326号) 学 位 授 与 の 日 付 平成27年9月16日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当学 位 論 文 題 目 Epidermal growth factor promotes the proliferation and differentiation of progenitor cells during wound healing of rat submandibular glands
掲 載 雑 誌 名 ClinicalDentistryand Research 第40巻 3号 87-94頁 2016年 論 文 審 査 委 員 (主査) 笠原 正貴教授 (副査) 田﨑 雅和教授 東 俊文教授 井上 孝教授 片倉 朗教授 論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的 大唾液腺は唾液腺腫瘍や唾石症などの唾液腺疾患が原因で,切除や摘出といった外科的手術が治療法として 選択されることがある。外科的に傷害を受けた唾液腺は通常萎縮もしくは消失する過程をたどり,手術側の唾 液分泌能は低下する。本研究では,顎下腺の欠損に対してコラーゲンゲルおよび EGF を添加したコラーゲン ゲルが,創傷治癒時に与える影響を検討するために,顎下腺に円形の欠損を与えたモデルラットを作製し,そ の修復過程における組織反応,遺伝子発現を検討した。 2.研 究 方 法 実験には200g の SD 系雄性ラット30匹を用いた。麻酔下にラット顎下腺を剖出し,直径3mm の欠損を生 検パンチで付与した。同部に同径に作製したコラーゲンゲルまたは EGF を含んだコラーゲンゲルを補填し た。その後の経時的変化および組織反応を HE 染色と,vimentin(線維芽細胞マーカー),α-SMA(筋上皮細胞 マーカー),PCK(導管上皮細胞マーカー),CD49f,c-kit(幹細胞マーカー),AQP5(腺房細胞マーカー)を一 次抗体とした免疫組織化学染色で観察した。また vimentin, α-SMA,keratin13,keratin19,CD49f および AQP5の mRNA 発現を解析した。 3.研究成績および結論 創傷後5日目より,コラーゲンゲル内への炎症性細胞浸潤が著明に観察され,類円形細胞および紡錘状細胞 が認められた。7日目では,侵入する細胞の増加がみられた。14日目で明らかなゲルの縮小がみられ,21日後 には,創傷の治癒およびコラーゲンゲルの消失が確認された。このことからコラーゲンゲルが創面保護に有用 であることが示唆された。EGF を添加した群では,14日ではコラーゲンゲルがほぼ消失し,迅速な治癒が観 察された。また,mRNA 発現の結果において,7日目 で は,EGF を 添 加 し た 群 に お い て,vimentin, α-SMA,keratin13,keratin19,AQP5が増加した。また,CD49f の発現の減少がみられたことから,EGF が 唾液腺の外科的創傷時に発現する幹細胞の分化を促進させることが示唆された。
139 歯科学報 Vol.118,No.2(2018) 論 文 審 査 の 要 旨 ラット顎下腺に大きな欠損を付与した創傷治癒モデルを作製し,コラーゲンゲルまたはコラーゲンゲルに EGF を添加したものを欠損部位に補填することで唾液腺組織再生への影響を検討した。コラーゲンゲル群で は,コラーゲンゲルへの細胞浸潤が観察された。さらに,EGF は幹細胞の分化を促進させ,筋上皮細胞,導 管上皮細胞,腺房細胞と考えられる細胞を増加させることがわかった。以上から,コラーゲンゲルと EGF を 組み合わせて応用することは,唾液腺組織再生に有用である可能性が示唆された。 本審査委員会では,⑴顎下腺創傷治癒モデルの作製方法について,⑵腺房細胞の免疫組織化学染色における マーカーについて,⑶In Vitro の実験系を行った先行論文では,EGF 受容体を強く発現する細胞が増殖する, その細胞は主導管基底細胞であるとされている,本研究からも同様の考察ができるか,などの質疑がなされ た。 ⑴については,顎下腺の明示方法,創傷作製方法,その注意点,コラーゲンゲル補填方法,創面の被覆方法 などについての解答が得られた。⑵については,腺房細胞にはムスカリン受容体や TRP チャネルなどもマー カーになることを言及した上で,水の輸送経路で唾液腺に多く発現するアクアポリン5をまず採用した旨の解 答が得られた。⑶については,今回の実験結果から, In Vivo での細胞増殖の程度は筋上皮細胞,次いで導管 上皮細胞であることが示唆された旨の解答が得られた。また用語,英文表記,図の修正等についての指摘が行 われた。以上の質疑応答に対しては概ね妥当であった。 その結果,本論文は今後の歯学の進歩,発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと判定し た。 ― 55 ―