山間地における採草地の造成法について
著者
池田 博文
雑誌名
鹿児島大学農学部農場技術調査報告書
巻
1
ページ
7-8
URL
http://hdl.handle.net/10232/9720
山 間地 に お け る採 草 地 の造 成 法 に つ い て 池 田 博 文 冬 季 の 貯 蔵 飼料 確 保 に は,採 草 地 の 造 成 が不 可 欠 で あ る 。 山 間 地 で の造 成 で は造 成 能 率,時 期 お よ び方 法 等 を考 慮 し,公 害 防 止対 策 をた て な が ら進 め る必 要 が あ る 。上 述 の観 点 か ら,入 来 牧 場 で は これ まで にブ ル ドー ザ ー2台 を経 時 的 に導 入 し,30haの 採 草 地 を 造 成 ・改 良 した 。 そ の 間 に 明 らか に な った こ と を報 告 し ます 。 1972年11月 に小 型 ブ ル ドー ザ ー(小 松D30S型55馬 力)を 導 入 した 。牧 場 開設 当 時 の採 草 地 や 改 良 放 牧 地 には 大 きな 岩 石 を各所 に積 み 上 げ て お り,こ れ が草 地 管理 上 の 障 害 に な っ て い た 。 こ の た め 小 型 ブ ル ドー ザ ー を活 用 し,各 所 の 岩 石 を山 成 り状 に 除去 し,ト ラ ク ター に よる草 地管 理 の能 率 を高 め た 。 しか し,こ の ブ ル ドー ザ ー は小 型 で あ り,ク ラ ッチ 方 式 の操 作 の た め操 作 が複 雑 で, 長 時 間 作 業 で は オペ レー ター が 疲 労 し,作 業 能 率 は低 い もの で あ っ た 。 1985年11月 に小 型 ブ ル ドー ザ ー を更 新 し,2台 目(キ ャ タ ピ ラ 三 菱963型154馬 力 総 重 量 1800kg)を 導 入 した 。 本 機種 は パ ー パ ス バ ケ ッ トお よび リ ッパ ー を装 備 し,油 圧 駆 動 の た め操 作 は レバ ー1本 で 可 能 で オペ レー ター の 負 担 が 少 な く,D30S型 の3倍 程 度 の作 業 能 率 が上 げ られ る機 種 で あ る。 また,エ ン ジ ン トラブ ル は 全 て ブ ザ ー に よ りオ ペ レー ター に 知 ら され る よ うに な っ て お り,冷 暖 房 完 備 の キ ャ ビ ン に よ りオペ レー ター は ほ ぼ 完 全 に保 護 され る よ う にな っ て い る 。本 機 種 で は主 と して 肥 育 牛 舎 建 築 用 地 の 造 成,山 成 り状 採 草 地 の 平 坦 化 お よび 尾根 状 自然 草 地 を平 坦 な採 草 地 にす る作 業 等 を進 め た 。 第1図 に肥 育 牛 舎 建 築 予 定 地 の 造 成 で,盛 り土 が 崩壊 した 部 分 を示 した 。 この 写 真 は盛 り土 が 崩 壊 し始 め た た め,土 砂 止 め 対 策 を施 し,そ の 後5年 程 度 が経 過 した状 態 の も の で あ る。 崩 壊 当 時 は ウ イー ピ ン グ ラブ グ ラス を播種 し,ネ コ柳 の 挿 し木 や 竹株 を移植 した 。 しか し,最 終 的 に は ウ イ ー ピ ン グ ラ ブ グ ラス が 定 着 し,そ の 周 囲 は ス ス キ が 繁 茂 した 。 第2図 に肥 育 牛 舎 の 造 成 途 中 で 土砂 の 崩 壊 が 始 ま った た め,排 水 経 路 を新 た に作 り,土 砂 崩 壊 を 最 小 限 に しよ う と して い る作 業 状 況 を示 した 。 この 作 業 に よ り土砂 の 崩壊 は 減 少 した 。 しか し,粘 土 質 の土 砂 が 谷 川 へ 流 れ 出 て,本 流 の 入 来 川 を真 っ赤 に濁 す 結 果 と な った 。 この た め,崩 壊 防止 対 策 と同時 に,濁 り水 を直 接 下 流 へ 流 さ ない た め の 没 砂 池 が 必 要 で あ る と考 え られ た 。 第3図 に上 述 の 造 成 で 開 か れ た 敷 地 に,肥 育 牛 舎 とサ イ ロが 完 成 した 状 態 を示 した 。 第4図 に,草 地 造 成 時 に濁 流 を直 接 流 さ ない よ う,没 砂 池 を3ヵ 所 作 った 状 態 を示 した 。 この 方 法 は必 ず し も完 全 で は なか った が,濁 っ た水 をあ る程 度 沈 砂 で き,下 流 の 濁 りを幾 分 減 少 させ た 。 第5図 に は第4図 で 沈 砂 池 を作 って 造 成 され た 採 草 地 で,入 来 牧 場 で 開 発 した 冬 季 放 牧 を行 っ て い る状 態 を示 した。 第6図 に,傾 斜 地 を埋 め 立 て る場 合,下 か ら順 次 水 平 に押 し堅 め なが ら上 の 方 へ 上 が って い き, 土 砂 の崩 壊 を防 止 す る方 法 で 造 成 した 草 地 の 斜 面 を示 した 。 特 に,水 平 面 を と る場 合,表 面 に石 を 並 べ て い くこ と に よ り,斜 面 の 強 度 は更 に強 化 され た もの と推 察 され た 。 また,斜 面 には イ タ リア ンラ イ グ ラ スや ヒエ な ど,そ の 季 節 で 早 く活 着 す る牧 草 を ま くこ と,夏 季 で あ れ ば 特 に定 着 す る と 強度 が あ る ウ イ ー ピ ン グ ラ ブ グ ラス を ま くこ とが 効 果 的 で あ る と考 え られ た 。 傾 斜 地 の 造 成 に お い て は,造 成 中の 天 候 の 変 化 に対 応 して,そ の 都 度 水 き りを し,埋 め 立 て 地 区 へ 水 が 集 中 しな い よ う
な対 策 をた て る こ とが極 め て 重 要 で あ る こ とは,肥 育牛 舎 用 地 造 成 の と ころ で も述べ た通 りであ る。 第1図 肥 育 牛 舎 建 築 予 定 地 の 造 成 で,盛 り 土 が 崩 壊 した 部 分 。 第2図 肥 育 牛 舎 の 造 成 途 中 で 土 砂 の 崩 壊 が 始 ま った た め,排 水 径 路 を新 に 作 り,土 砂 崩 壊 を最 小 限 に しよ う と して い る作 業 の 様 子 。 第3図 造 成 され た 敷 地 に,肥 育 牛 舎 とサ イ ロが 完 成 した状 態 。 第4図 草 地 造 成 時 に 濁流 を 直 接 流 さ な い よ う,沈 砂 池 を3ケ 所 作 っ た状 態 。 第5図 第4図 の沈 砂 池 を作 っ て 造 成 さ れ た 採 草 地 で,冬 季 放 牧 を行 な っ て い る状 態 。 第6図 傾 斜 地 埋 め立 の際,下 か ら順 次 水 平 に押 し堅 め なが ら上 の方 へ 上 が っ て い き,土 砂 の 崩 壊 を 防 止 す る 工 法 で 造 成 し た 草 地 の 斜 面 。