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ミクロ経済学とLotus1-2-3 完全競争市場の理論-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

香 川 │ 大 学 経 済 論 叢 第66巻 第 3号 1993年 12月 229-250

研究ノート

ミクロ経済学と

L

o

t

u

s1

-

2

-

3

完全競争市場の理論*

塩 村

1 は じ め に 塩村 [26,27Jにおいては完全競争下における家計の理論と企業の理論が考察され た。本稿ではこれらの議論を基にして,完全競争市場の分析がなされる。議論の単純 化のため,ここでは主として純粋交換モデルを取り扱うことにする。 ところで,経済学における市場の分析方法には部分均衡分析と一般均衡分析の2つ のアプローチが存在する。前者は,当面の問題にとって重要ではないと思われる諸要 因を無視し,考察範囲を限定することにより.理論的に説明付けようとする経済現象 を簡潔に既述,分析することを目的としている。一方,後者は説明付けようとする経 済現象に関係すると思われる,若しくは考察の必要があると思われる全ての要因を同 時平行的に考察することにより,これらの複雑な因果関係がもたらす結果を既述,分 析することを目的としている。以下では,先ず部分均衡アプローチに基づいて完全競 争市場の分析がなされる。続いて,部分均衡アプローチの限界が論じられ,一般均衡 アプローチの必要性が論じられる。しかる後に部分均衡論的観点から考察した命題が 一般均衡論的観点から再検討される。最後に,比較静学に関係した幾つかの有名な命 *本稿作成にあたり,富永和也氏による H-COPYを利用させていただいた。この場を借りて 御礼を申し上げる。

(2)

-230- 香川大学経済論議会 722 題が確認される。 命題の確認にあたり,種々の数値計算法が用いられるが,これらを詳細に論ずるこ とがここでの目的ではない。むしろ,これらの数値計算法を Lotus1~2~3 上で活用す ることにより, ミクロ経済学の主要命題が比較的簡単に確認できるという事実を紹介 することを目的としている。ここで述べられた数値計算法の詳細については参考文献 リストに挙げておいた専門書を参考にしていただきたい。 2 部分均衡分析 2 1 市場均衡の計算 1 家計の効用最大化行動より各財に関する個別需要関数が導出される。一方,企業の 利潤最大化行動より各財に関する個別供給関数が導出される。これらの関数は市場に おいて集計され,需要と供給が一致するように価格が調整されると通常,考えられて いる。 そこで,部分均衡アプローチに基づき特定の財に着目し,その財の需給を一致させ るような正の価格を近似的に計算することを考える。このことは需要関数,供給関係 を各々 ,

D

(

ρ), S(ρ)で表した時,方程式

E

(

ρ)三

D

(

ρ

)

-

S

(

ρ)

=

0を満たすような価格

p>O

を求めることと同値である。ここで,

E

(

ρ)は超過需要関数である。この問題は E(P)が線形である場合は自明のものとなるので,以下では,これが非線形の場合を考 える。 単一の非線形方程式の近似解を求める方法としては2分法やNewton法が有名で あるが,ここでは計算回数が少なくて済む後者を用いることにする。方程式f(x)

=

0 が与えられた時, Newton法は反復計算 ル Xk

(k

=

0

1

,・・)

によって解を近似していくことになる。 逆 需 要 関 数 を 仰 ) 三 す が

+6

,逆供給関数を

ρ

,(x)

=

=

-x+10とした時,これを笑 (1) 特に,川上 [15J,三井田他 [17J を勧める。 (2 ) 家計の所得は初期賦存最を市場価格で評価したものであると定義する。従って,個別需 要関数は初期賦存量,及び価格に依存し,価格に関するゼロ次同次関数になる。

(3)

723 ミクロ経済学と

L

o

t

u

s1

-

2

-

3

完全競争市場の理論 -231-行したものが図1である。初期値をXo

=

0とした時, 5回目の反復計算で近似解が得 られていることが分かる。尚,

Newton

法は大域的収束性を必ず、しも持たないために, 初期値は慎重に選ぶ必要がある。この点に関する改良方法については,例えば小島

[

1

6

J

pp..76-77を参照されたい。

2

2

社会的余剰による市場均衡の評価 古典的な厚生経済学では市場均衡を社会的余剰の観点から評価し,自由放任こそが 社会的に望ましいと主張してきた。これは f{Pd(X)

州 工

+

JX{P* -P

(x)}dx

=

l

x{山 ) 一 的 )

}

が競争均衡において最大化されることを確認することと同値である。ここで,関数

ρ

d(X),

(X)は各々逆需要関数と逆供給関数であり,変数xは取引量を表している。 又,が,

p

*

は各々競争均衡における取引量と価格である。左辺の第1項は消費者余剰 と呼ばれるものであり,第2項は生産者余剰と呼ばれるものである。 数値積分を求める方法としては台形公式,

Simpson

の公式等が存在するが,ここで A 1 :'図 1 ニュートン法 魁闘 (x)=pd-ps=一日目5*x^2-x+4 , (x)=-x-1 反復回数 x f (x) f'(x) 日 目 4 -1 4 8 5 2 2.4 1.28 3.4 3 2.0235294 0,,07日865日3,,0235294 7 10 SURPLUS.WJ2 ++.園田語司間協宮臨諸国圏盟置

圃 圃

E

翻 輔 自 錨 (3 ) この例では導関数を代数的に求めているが,微分を数値的に求める方法については井 上他

[

1

2

J

を参照されたい。

(4)

724 香川大学経済論叢 -232ー は少ない分点数で高い精度の積分{直を得ることができるGauss-Legendre法を用い る。下の方法は分点数が3の場合である。 小区間

[

a

b

]

における積分は次のようにして求められる。 ,

f

f

C

x

)

=

lwJ(xz) 5

Wl=g

b

-

;

a/

f

;

8

W2=g

α

+b

X2

=

2 5 W3

=

9

3=21+

企ニザ

グラフ1は,上iで用いた逆需要関数と逆供給関数に対して社会的余剰を計算したもの この小区間における積 分値の累積和を求めることによって積分値を計算したものである。グラフから競争均 (4) 衡 計

=2

において社会的余剰が最大になっていることが確認できる。

5

]を

1

0

0

個の小区間に分割し, 区 間 [

0

である。これは, グラフ1 社会的余剰

-

-

-

-

-

-

-

:

.

.

aムr J 白 a〆 ' ・ 〆 〆 . ....~ 6 4 2 日 -2 -4 -8 一10 -6 社会的余剰 一12 5 4,,5 4 3,,5 3 2

,,

5 2 1,,5 0

,,

5 8 -14 取引量 方、、ウヱーJ~:'>'、のト、、 J~):去 一解析鰐 具体的なワークシートの設計方法については井上他 [12]を参照されたい。 (4 )

(5)

725 ミクロ経済学とLotus1-2-3完全競争市場の理論

-233-2

3

市場の安定性 超過需要の大きさに反応して価格が調整される,いわゆる模索過程は微分方程式

ρ

=

E

(

ρ)によって記述することができる。ここで,ドットは時間に関する微分を表すも (5) のとする。議論の単純化のため,需要関数,供給関数は共に線形であると仮定するが, 以下の方法は非線形関数に対しでも適用可能なものである。 需要関数,供給関数を各々 D(ρ)三 ゆ+b,S(ρ)=φ +dとする。微分方程式の数 {直解を求める方法としてはEuler法やRunge-Kutta法が有名であるが, これらの方 法の説明は後で行う。グラフ2はα,b, c, dを各々 -2,20, 1, 5に設定した場合 において, 4次のRunge-Kutta法により 100回の反復計算を行ったものである。尚, この時の均衡価格は

p

*

=

5である。読者は線形微分方程式のパラメータに種々の値 を代入することによって,需要関数の傾きが供給関数の傾きよりも小さい時に,換言 するならば,超過需要関数が価格に関して減少関数である時に市場価格が均衡価格へ グラフ2 市場の安定性〈部分均衡尚析) 10 9 8 7 6

(

5 4 3 2

日 8 10 調 3O 4日 5O 60 7日 80 9目 100 反複回数 一 価 格 (J~方、ーう,,9法〉 …均衡価格 (5 ) この他にもMarshalIの数量調整過程や,クモの巣調整過程等が考えられる。興味のあ る読者は各自試みられたい。尚,後者のワークシート設計方法については浅利 [2]pp.67 -74が参考になるであろう。

(6)

-234- 香川大学経済論議 726 と収束することを確認することができるであろう。 3 部分均衡分析の限界 部分均衡分析は,さしあたり重要ではないと思われる要因を考察から外すことに ょっと議論を単純化することを目的としている。しかしながら,考察しようとする問 題にとって,どの要因が重要ではないかを事前に判断ずる明確な基準は存在しない。 このため,部分均衡アプローチによって得られた結論を過信すると,誤りを犯してし まう危険性がある。この点を強調する例として,ここではHotelling[10Jによる Edg-eworthの課税パラドックスの分析を取り上げ,部分均衡分析の限界を論じることにす る。 第1財,第2財の価格を各々, ρ1, P2とし,これに対応する需要関数を

D

1言ー10ρ1 +7ρ2+4,

D

2

=

=

7ρ1-5P2+3とする。第1財と第2財の生産者に対して各々 tl, t2だけ の重量税が課せられるものとし,課税後の第1財と第2財の供給関数を各々,51三 (ρ1 -t1)一(ρ2-t2)

+

7, 52

=

=

-

ρ1-t( 1)+2(ρ2-t2) -27とする。この時,課税前の一般均衡 価格ベクトルは(此必)

=

(警,警)である。ここで,t1のみが

o

5

に引き上げられ た場合,及びらのみが

o

5に引き上げられた場合の均衡価格の変化を考えることにす る。 部分均衡アプローチに基づき,第2財価格を必=必として,第1財の均衡価格を求 めた場合が,図2の上段の表である。この表から,第1財に対する課税によって,第 l財価格が上昇したことが観察される。ところが一般均衡分析によれば,この常識的 結論が必ずしも正しくないことが確認できる。事実,図2の下段の表から分かるよう に,第2財に対する課税は両財の価格を上昇させるが,第1財に対する課税は両財の 価格を下落させる。ここにおいて,一般均衡アプローチが必要になってくるのである。 (6 ) この例における均衡価格の計算はLotus1-2-3の再計算機能 (Gauss-Sidel法)を用い た。この方法のLotus1-2-3上の操作については井上他[l1J,又は大薮他 [21J第8翠 を参照されたい。

(7)

727 ミクロ経済学と Lotus1-2-3 完全競争市場の理論 A 2 : '図2 エッジワースの課税パラドックス jレ法) D1=4-10p1+7p2 D2=3+7p1-5p2 S1=7+(p1-tllー(p2-t2) S2=-27-(p1-t1)+2(p2-t2) p1= (8p2+t1-t2-3) /11 p2= (3日+8p1-t1+2t2)/7 │ t 1 臼 │ 図.5 比一一一一│16.846153116.8916日8 日 t2= 0.5 p1= 17“192307 p2= 24..076923 -235-間掴

i

?

G

E

品 問 醗 富 岡 置 園 眉 晶 画 圃

E

翻 岡 国 歯 4 一般均衡分析 4 1 市場均衡の計算 2 今,経済には

n

個の財が存在するものとする。 この時, 一般均衡解は連立方程式 Ei(

ρ

1

ρ

2

, ・・・,

ム)

=

0 (z

=

1

2

, ・・・ ,n) を満たす非負の価格ベクトJレ(九九・・・ ,Pn)であると定義される。ここで,Eiは第 z財に関する超過需要関数であり,連続であると仮定する。先に述べた Newton法,或 いはその改良法によっても連立方程式の解の近似計算は可能ではあるが,この節では, 市場均衡を探査する一般的方法として有名な Scarfの不動点アルゴリズムを解説す る。 議論の単純化のため, 2人2財純粋交換モデノレを考える。この場合,超過需要関数 は価格に関してゼロ次同次関数になり,上の方程式を満たす一意解を求めることがで きない。そこで,ぁ

+ρ2

三 1 Pl, P2;;:: 0とし,価格ベクトノレを 1次元基準単体に限定 (7) 以下の説明は,奥口他[20Jpp. 278-280に拠る。より詳細な説明については, Scarf[25J を参照されたい。又, Scarf以降の不動点アルゴリズムについては Comwall[4 Jや小島 [16J が参考になるであろう。

(8)

-236ー 香川大学経済論議. 728 して考察することにする。図的には,この単体は直線

ρ2=

ーム+1の第 1象限内の領 域である(図3参照)。この領域を更に細かく等分割し,この分点において各財の超過 需要関数の値を求める。 2財の内,どちらか超過需要の大きい方の番号を分点によっ て表される価格ベクトルの‘ラベル'と定義する。もし,隣接する2個の価格ベクトJレ が異なるラベルを持つならば,これに対応する小区聞は‘完全にラベル付けされてい る'と言う。ここでWalrasの法則を思い出すならば,分点がラベノレZE {1, 2}を持つ 時,Ei注 Oであることに注意すると,完全にラベル付けされた小区間のどこかに,競 争均衡価格ベクトルが存在することが分かる(中間値の定理ノ)。 P2 O 図 3 (1) (1) P1+P2=1 (1) (1) (2) (2) (2) ラ ベ ル (2) (2) Pl

図 4 は第 1 財,第 2 財の超過需要関数を各々 , E! 三 5{と坐~),

E

2言 5仰 に よ } と

' ¥ ρ

)

'

~4\1-ρ! j (9) した時,以上の手続きを Lotus1-2-3上で実行したものである。この図から小区間[0 49, 0 5Jが完全にラベル付けされていることが分かる。従って,市場均衡価格ベクト ( 8) 実際には,Scarfは単体分割の代わりに,これと同ーの構造を持ったprimitivesetにラ べJレを対応付け,不動点を探査していく。これこそがScarfの不動点、アルゴリズムの特徴 である。しかしながら,議論の単純化のため,ここではprimitivesetの概念については 触れない。これに関する簡潔な解説が福岡[6 ]第7翠にあるので,興味のある読者は参 照されたい。 (9 ) セル C16,Dl6, E16には各々,

@IF (A16>0, ($G$6j($G$6+$G$7))*($C$9+(1-A16)*$C$10)-$α 9, H∞")

@IF (B16>0, ($G$7j($G$6+$G$7)l*(A16ゆC$9j(1-A16)-$C$10)-$C$10,"∞") @IF (A16>0, @IF(B16>0, @IF(C16>Dl6, "1"

1"2"

(9)

729 ミクロ経済学と Lotus1-2-3完全競争市場の理論 -237-A 1 :'図4 スカーフのアルゴリズム 闘掴 T B 企 ︽ 〆 ﹄ A 7 Q nζ+ Q υ 、Jnv n V 4 E a ・ ' A / +Q 1 1

、 ,

fLP n p 也 市 市 ぼ

2=8888

x 1 2 1 1 + + ( 2 2 α α ト

ω

ω

(

(

・ 1 / / α α S J刈 目 軍 8 2 自 M4hb 数己管

ω ω

僧 位 関 川 州 保 い 針 い 針 開 h

ω

凶 沼 運

ω ω

古 V A -t ι 4 苗 草

x

h h ﹄ 田 富 一 h b 骨開 h b

1 1総 Q Q 総 D D 園 川 一 回

ω ω

材 材

41

F

4 1 E K F Z E 戸 白1=A2 2 α 1 = α 2 = α 8 61=62=6 均衡価格 p1事 = p2*= 0.5 0..5 日 目5 0..5 E1 E2 ラベル 0.49 0.51 0..2040816-日“1960781 0.5 0“5 0 02 8“51 0..49 -0“196078“日20408162

AR幽 臨 調 臨 喜 闘 園 園 圃 醐

E

翻 臓 器 輔 1レはこの小区聞に存在することになる。 4 2 Pareto基準による市場均衡の評価 古典的な厚生経済学においては,効用の可測性を前提とし,余剰概念を用いて規範 的な命題を導出してきた。これに対し,新厚生経済学においては,効用の可測性を前 提としない厚生基準を用い,規範的な命題を導出してきた。この節では新厚生経済学 の立場に立ち,一般均衡解を Pareto基準から評価し,厚生経済学の基本命題を確認す る。 ここでも 2人2財純粋交換モデルを考える。均二'"0を第1個人の第 j財に対する消 費量を表すものとし,経済に存在する第l財総量と第2財総量は各々, 16, 4とする。 又,第1個人,第2個人の効用関数を各々 ,U(Xll, X12)

==♂万

12,仏(.X21,X22) =

=

X21X22 とする。この時,第1個人に対して補償する効用水準を162とすると ,Pareto最適の 条件は,次の最大化問題を解くことによって得られる。 (10) これらの超過需要関数は第 l個人,第 2個人の効用関数を共にJX1X2とし,第z個人の 第jj坊に関する初期保有益を ωuで表した時, (ω11,ω12)= (8, 2), (WI2,叫2)= (2, 8)と した時のものである。尚,この場合の一般均衡価格ベクトルは(pt,pt)= (05, 05)にな る。

(10)

730 香川大学経済論叢 238ーー

max

U

Z(X21, X叫 subject to U

(X川 X12)と二162 Xll十X21三二 16 X21十X22三二4 ここで,効用関数の単調性を考慮すると,上の問題は

max

Ul16-

Xll, 4

一手}

¥ ん11ノ と簡略化することができる。制約条件付きの最適化問題の解法については塩村

ι

[

2

6

J

で述べたので省略する。この問題の解は(xfl,.x~, .x主,X

)

= (8, 8, 2, 2)になるか,こ の点を通る両個人の無差別曲線を表示したものがグラ

73

である。尚,グラフ上では, Edgeworthのボックスダイヤグラムのイメージに近づけるために,第2個人の原点を (1J) 右上隅に設定し,無差別曲線を反転して表示している。 グラフから直ちに,両個人の無差別曲線の傾きが等しくなることがPareto最適の 条件であることが分かる。ここで,家計の効用最大化条件を思い出すならば,価格比 を媒介として, Pareto最適の条件が実現されることが分かる。以上から I市場均衡は d ・ ・ ・ J ."・酢句時刷“・、."・ ・'・ 川 、 川 " 叫 引刷刷阿 ....む."む σむ.. σ " 佃~ ... 、ぺ占 叩σ σ . . .. . . 佃 佃 佃 . . . 目 白 . .. . 白 叩 “ 佃 ・ . . 白

.

・ . 町 . . . " 〆 U 叩 . " 山 町P町 仰 心 目 白 山 " ・ ・ 引 引 J グラフ3 パレート最適 4 3 第

2

財 2 16 12

s

1

財 山第

2

個人無差別曲線 4 8 日 目U契約曲線 (11)グラフ上に表示された契約曲線はぬ=め/4である。 一 第1個人無差別曲線

(11)

731 ミクロ経済学とLotus1-2-3完全競争市場の理論 239ー Pareto最適で、ある」という厚生経済学の第1命題が確認できた。逆に,グラフ上にお ける両個人の無差別曲線の共通接線を予算制約式とすることによって,このPareto 最適な資源配分が市場均衡として実現できることが想像される。従って i任意のPar -eto最適な資源配分は,適切な所得再分配を伴うならば市場均衡として実現できる」と いう厚生経済学の第2命題が確認できた。 4.3 市場の安定性 ミクロ経済学における一般均衡解の安定性分析には,基準化したシステムを考察す る方法と基準化していないシステムを考察する2つの方法がある。ここでは前者の方 法により,一般均衡解の安定性を検討する。 経済には3つの財が存在するものとし,第3財をニュメレールとして選択する。こ の時,模索過程は次の連立微分方程式によって既述ずることができる。

=

Ei(Pl, pz) (i

=

1, 2) ここで,

p

, (i= 1, 2)は第1財のニュメレールに対する相対価格である。 一般に 2元 1階連立微分方程式

=f(x, y, z)

=

g(x, y, z) が与えられた時, Yh+l

=

Yk+hf(Xk, Yk, Zk) Zk+l

=

Zk

+

hg(Xk, Yk, Zk) Xk+l= xk+h (k = 0, 1, ・・・) として数値解を求める方法を Euler法と呼ぶ。ここで,hは刻み幅であり,寸分に小さ い正の数である。一方, Yk+l

=

Y仇 附h

+

(

b

仇桁山

1

+

2

+

2伽b z ゐh刊+1 Z

け す

(ι1+2Cz+2c3

同 )

b1 =

f

(Xk, Yk, Zk) Cl

=

g(Xk, Yk, Zk)

(12)

-240- 香川大学経済論叢 bZ= f(Xk+h/2,ル 十b1h/2,Zk十c1h/2) CZ= g(Xk十h/2,Yk+blh/2, Zk+ιlh/2) b3= f(Xk+h/2, Yk+bzh/2, zk+Czh/2) C3= g(Xk

+

h/2,九 十bzh/2,Zk十Czh/2) b.ニ /(Xk+ h, Yk+ b3h, Zk+ c3h) C.= g(Xk, h, Yk+b3h, Zk+C3h) 732 として数値解を求める方法を4次のRunge-Kutta法と呼ぶ。前者は直感的に理解し 易い方法ではあるが,後者に比べて精度が劣ることが分かつている。本稿では微分方 程式を解く場合には4次のRunge-Kutta法を用いることにす

2

。 議論の単純化のため,模索過程を線形微分方程式 Pl=α11ρ1+αlZρ2十εl PZ

=

aZ1Pl+αZZPZ+ε2 によって既述する。グラブ4は刻み幅 hを 0,5,第 l財,第 2財の初期値を 2,,95,1 2,,06 2.04 2,,02 1..98 1刷96 1..94 1..92 1..90 1..88 2,,94 2“96 グラフ4 オイラー法と 4次のJ~)1"-ヲーッ9);去 2併98 3 3日2 第

1

財相対価格 ーオイラー法 4次のル〉ゲ、一'>,9法 (12) これらの数値論算法の具体的なワークシート設計方法については井上他[13,14Jを参 考にされたい。尚,浅利 [2J pp,84-106ではEuler法が用いられている。

(13)

733 ミクロ経済学とLotus1-2-3完全競争市場の理論

241-95に設定し,パラメータ α11, alZ, a2h aZZ,ε"ε2を各々,-0005,-0.1,0.8,-0 2, 0 215, -2とした時に,前述の2つの方法によって 200回の反復計算を行ったもの である。尚,この時の均衡価格は(ρ

t

pt

)

=

(3, 2)である。 読者は安定条件 all, a22く 0,(alla22-a,2a2,)

>

0 が満たされる時,任意の初期値からスタートして,市場価格が均衡価格へ近づ、いて行 くことを観察できるであろう。 模索過程の安定性は絶対的に保証されているものではない。これを確認するために, 有名なScarf

[

2

4

J

の不安定例をとりあげることにする。そこで,基準化された価格調 整過程として, P - - h 1 1一一一一一+一一一一

P

,十ρ2' 1+ρ1

ム=一二

L

_P_'_

1+ρρ1十ρ2 を考える。この時の均衡価格は(ρ

t

p

t

)

=

(1, 1)である。刻み幅hを

o

05,第1財, 第2財の初期値を共に

o

99に設定し, Runge-Kutta法によって 800回の計算を行っ た結果がグラフ5である。グラフから,確かに一般均衡解が不安定であることが確認 できる。 5 一般均衡と比較静学 5..1 Hicksの需要則と LeChatelier-Samuelson原 理 Hicks [8Jは,その著書において次の3つの需要則を述べている。即ち,粗代替体 系において,ニュメレーノレとして選ばれた財から,第

t

財へ需要のシフトが起こった 時, l 第Z財の価格が上昇する (13) この例に対しでもEuler法を用いた計算を試みたが,Euler法によって得られた解軌道 はRunge-Kutta法によって得られた解軌道とは,あたかも異なる性質を有しているよう な印象を受けた。このような経験からも, Euler法の使用は勧められない。 (14) Hicksは所得効果を無視している。又, Hicksは,これらの法則に加えて,もう一つの 法則を述べている (Hicks[8,]pp.76-77参照)。

(14)

-242ー 1“02 第

i

1BB 日..98 0..98 香川大学経済論叢 グラフ5 スカF フの不安定例

j

;

:

:

:

:

:

:

;

;

/

1

財相対価格 ふ その他の全ての財の価格が上昇する。

3

第 1財の価格上昇率はその他の財の価格の財の上昇率よりも大きい ということを主張する。 734 1副02 経済には3つの財が存在するものとし,第3財をニュメレールとして選ぶものとす る。この時,各財の超過需要関数を E

= allP

+

a'2P2+ε1

E

2

=

α2'ρ

+α22P2+ε2 とし,au

>

0 (zキj)かつ, εi

>

0 (i

=

1, 2)に対して正の均衡価格ベクトルの一 意的存在を仮定する。 読者は,パラメータ α11, alZ, aZh aZ2を-4,2, 1,-5とし, ε"ε2を8,7と した時と,ムを

1

0

に変更した時の新旧均衡価格ベクトルを

L

o

t

u

s1

-

2

-

3

の行列演算機 能を利用して比較してもらいたい。確かに上の需要則が確認できるはずである。 (15) 基準化されていない第 i財の超過需要関数と第1財価格を各々 ,Fi,P;で表す。九を ニュメレールの価格とした時,九oF

i

!

oP;= aijが成立する (Arrow-Hurwicz[ 1]p..548 参照)。

(15)

735 ミクロ経済学とLotus1-2-3完全競争市場の理論 243-又,第2財の均衡価格を旧均衡水準に固定し,第 l財の新旧均衡価格を比較しても らいたい。この時,第2財の価格変動を固定した場合の上昇率が,そうではない場合 よりも小さくなることが確認できるであろう。この性質はMorishima[18Jによって Le Chatelier-Samuelson原理と呼ばれたものである。 以上の議論はグラフによって明快に解釈することができる(グラフ6参 品 。 新 旧 均 衡価格ベクトルを各々, (ρ" 必), ρ" ( pz)で表す。又,第2財価格をρ2で固定した時 の需要シフト後の第 l財価格をがで表す。この時,グラフから (1)

P

,くん, (2)ρz <

(3)

1>ρ

;

/

P

z

, (4)ρ" >

P

'

{

が確認できるであろう。これらの不等式は各々, Hicksの 需要則とLeChatelier-Samuelson原理に対応している。 興味のある読者は次の4財モデJレ(但し,第4財はニュメレールとする)に対して も同じ命題が成立することを確認すると良いであろう。 、 、 ‘ ‘ ‘ E‘ 官 官 E E E E a E , , , , , , f ' つ ム つ ん Q u q t u A 叫 d η 合 υ n x U A A 時 A ' t ム / I l l l -1 ¥ 一 一 ¥ I I l l i -/ 3 3 3 1 2 3 G G G 2 2 2 1 2 3 G G G 1 2 3 G G G / I l l i -1 ¥ 3酌8 2,,8 2,,6 2,,4 2.2 2,,0 1..8 1.6 1..4 1..2 1.0 グラフ6 bフクヱの法則・ルジャトリエサ三ユ工仰〉の原理 町 “ 。 。 " " 。 “ 何 回 目 。 伽 O U U 目 仰 叫 m 山 U “ " 劃 . " " h 句 -" h 句 h 白 U 巾 . 叩 " m 町 . m . . U " “ U “ b " " d 目 伽 目 p " 刷 u - 白 目 ・ ・ ・ ・ -a . , . F , . . . . . . . . . ‘ •• a -r r " U 巳 h p “ b H C 町 U ・ ・ " u u i ' m ふ u 曲 目 目 ι ' " ・ q b u " ノ ' " 日 目 U 目 白 " J / “ σ d p 目 " 町 U ︿ 目 目 別 m q “ u U E d u n " " 町 U m U / n ⋮ u b " 町 目 白 目 f f ' 目 b 個 別 刷 。 " d r q H u u " 1 目 ⋮ •• -V ・ ・ 山 田 ・ 人 ・ 十 ,

r

-a

一 ・ --v' ・ ケ ・ ・ い ・ ・ ・ ノ / 町 川 句 " ⋮ h / " h " u ,f u 日 目 日 H J 目 白 U 一 ノ / 一 一 一 ⋮ ⋮ JJJ ⋮ ⋮ u i J 〆 U レ ji 一 〆 一 一 " ー ノ 〆 n o d -H U ノ ' “ H u u 〆"一 -H u j h m -u 〆 F U E " ! " 〆 。 i u " J / 少 。 血 目 U / . . . " ・ ・ ・ J ・ ・ ・ ・ 目 " ・ ・ -一 h ・ ・ ・ " ' ・ ・ 川 ・ ・ ・ ・ -u ・ ・ ・ u u t u p 一 , U 目 句 " 酢 m u " “ 日 " -J r u 目 U 佃 U q " 町 " " u " " -川 d U U •••.• ' , ••.•• 目 . . . . . ' m ' -目 . . ' . 白 ‘ . . . . q u ω U " 目 白 " " U “ U 目 白 山 p " n q 肝 心 " b H n p “ p q u b " 。 m 刷 。 刷 “ " " 。 目 白 叫 目 。 " d v u u u " q u u u ' ・ q " U H U “ ・ p " m 佃 m 引 . . " " 白 刷 ‘ " d 島 " “ J 4 噌 . 2 3 4 第1財相対価捻 一 目 第

1

市場均衡線 "第

2

市 場 均 衡 線 一 新 第

1

市場均衡線 (16) 以下のグラフによる説明はMorishima [18Jpp 12-14に拠る。

(16)

244ー 香川大学経済論叢 736

(

:

}

(

'

;

)

.

(

)

又, Morishima [18Jpp..14-21を参考にして, Leontiefの投入産出モデルに対しでも 上と同様の議論を試みると良いであろう。

5

2

線形計画法 A, bを各々, mXη行列,m次ベクトノレとする。又, C, Xをn次ベクトlレとする。 この時 xを変数とする線形計画問題 立lax c x x subject to

Ax

::o二b χ注

O

を考える。この原問題に対する双対問題は min b'y subject to A'y二2:C y二2:0 になる。ここで,yはm 次ぺクトルで、ある。今,

(

:

)

.

b

(

:

)

とし,これに対応する原問題をLotus1-2-3上で解くことを考える。以下のシンプレッ クス法の説明は岡本他 [19J第5章に拠る。用語の説明は省略するので,必要ならば 適宜参照されたい。 原問題の制約条件にスラック変数X3,X4, X5を導入し,制約条件を等式制約にする。 これらの変数に対応する目的関数の係数は全てゼロと定義する。ここで,第1段階の

ω

シンプレックス表を次のようにして作成する(図5参照)。 (17) シンプレックス法について更に詳しく知りたい者には Gass[7 ]が勧められる。又,解 くことが可能な問題のタイプが限定されているが, Lotus 1-2-3によるシンプレックス表 の作成方法については平田他 [9]pp 98-145においても述べられている。 (18) 図5,6では画面を見易くするためにワークシート全体の列幅を6に設定しである。

(17)

737 ミクロ経済学と Lotus1-2-3 完全競争市場の理論 A 11・'図5 原問題シンプレックス表 2 日 B 日 B 日 日 日 7 8 18 14 2 4..4 -245 困薗

画 圃

E

翻鴎思議議

ステップ 1:初期テーブルの作成 ・セル範囲E14..Il4に変数を入力する。 ・セル範囲E13113に各変数に対応する目的関数の係数を入力する。 ・セル範囲E15..Il7に等式制約の下での制約条件の係数を入力する。 ・セノレ範囲Dl5..Dl7にb(第1段階の基底可能解)を入力する。 ・セノレ範囲C15

Cl

7にスラック変数(第1段階の基底変数)を入力する。 ・セル範囲B15..

.

B

17に基底変数に対応する目的関数の係数を入力する。 ・目的関数の計算ーセルDl8に+B15*Dl5+B16*Dl6+ B17*Dl7を入力する。 ・単体期準の計算ーセノレE18に+$Bl5*E15+$B16*E16+$B17 *E17 -E$13を入

力し, E18をF18..Il8に複写する。この時,もし全ての単体基準が非負であるな らば,ここで計算を終了する。 ステップ

2

:ピボット要素の発見 ・単体基準が負かつ,最小の列を見出す(この例ではX2に対応する

F

列)。 ・基底可能解の各要素を,この列の要素で割る。例えば,セノレJl5に十Dl5/F15を 入力しJl5をJl6J17に複写する。この時,分母の係数がゼ、ロになっている場合

(18)

-246 香川大学経済論叢 738 はeエラー'と表示されるが,これは無視しても良い。 ・もし,上で計算した値が全て非正であるならば,この問題に解は存在しない。も し正値が存在するならば,最小値を持つ行を見出す(この例では15行)。かくし て, ピボット要素はセノレF15になる。 ステップ3..シンプレックス表の改訂 -セ/レF19に+F19/$F$19を入力し. D19.119に複写する。 ・セノレF20に +F16 -$F$19*F19を入力し.D20..J20に複写する0 ・セルF21に +F17 -$F$19*F19を入力し.D21.121に複写する。 ・ピボット要素はF15であるの‘で.15行に対応する変数ぬとF列に対応する変数 :¥:2を入れ替える。これに対応して,目的関数の係数も入れ替える。 ・セノレD18.J18をD22..I22に複写する。新しい基底変数の下で,全ての単体基準が 非負であるならば,ここで計算を終了する。 ここでステップ2に戻り,以後の操作を繰り返せば良い。 この例では第3段階で単体基準が全て非負になる。従って,最大値が22であり,最 適解が(Xl,:¥:2, X3)

=

(2, 6, 0)であることが分かる。尚.X5

=

6であることから,第3 番目の制約式が有効ではないことが分かる。 次に,双対問題を考える。この問題の最適解は max -b'y y subject to A'y二:::c y ミO を解くことによっても得られる。但し,最小値は目的関数の負値によって与えられる。 図 6はこの問題に対するシンプレックス表であり,ほぽ上と同じ操作を行えば良いが, 人為変数が導入されたことによって,若干の表の変更が行われている。 セルF30

.

.

L

30には目的関数の係数が代入されているが,スラック変数,及び人為変 数の係数をゼロと定義する。セノレF3L.L31には,ペナルティとしての係数が代入され ており,人為変数を除く,全て変数の係数をゼロと定義する。人為変数に課せられる ペナノレティは任意の負値で良い。又,基底変数に対応する目的関数の係数を代入する (19) 複写元の範囲と複写先の範囲が重なることになるが,この場合は意図的に重ねる方が シンプレックス表の操作が分かり易くなる。

(19)

739 ミクロ経済学と Lotus1-2-3 完全競争市場の理論 -247-A 28 : '図B 双対問題シンプレックス表 闘闇 C 14

-

-

a

-lRl 日 B 日 8 門 8 B 日: B C 阻 υ2 ¥sJ u4 u5 u6 lJl 8 ν6 2 2 1 i 3i i B 日 B 7 3 日 g 8 14 8 1aJ 日 8 @ 日 -!) -::l -? -4 : 日 日 18 -日1νu73 日116363638063363 6 B 1iiB-B.3.3333 日日-8.3.333 3 8 日 1.666 0. -12 8 2 日i 6 日 -6 8 三2.33=LB6 -Ø~6ß 日i竺白昼33 1 333 目 '-114S 88luV31 0.2 .4 日 目.凶

o

42 B1ij-白B-U24-88..2 6-目日."24 -臼

a

.

6 2 -23.2 目ー1.2 0: 4.4 4.8 =4.A ~4_.ß 日

m

日 日i 日 日 -8 υV1 2 B 血 -25.: -2 司14 -~ 日 旦 .6J 2 6 SIMPLEX.WJ2 仲

E

置園阻藷書匡麗盟臨書置置園田園 鵬 醐 醐 翻 盟 通 歯 欄に加え、て,ペナノレティ係数を代入する欄が付加されている。セルE35"L35には各々, 目的関数の係数を用いた目的関数値,及び,単体基準が計算されており,セノレE36 L36 にはペデ1レティ係数を用いて,これと同じ操作が行われている。基底変数の中に人為 変数が存在する限り,後者を用いて先に述べた操作を行えば良い。もし,基底変数か ら人為変数が完全に消えた(図6では第3段階)ならば,これで基底可能解が見出さ れたことになり,以後は単体基準を用いて表の改訂を行えば良い。この最小化問題の 最適解は (Yl,Y2, Y3)

=

(1, 1, 0)であり,最小値は22である。 ここで注意してもらいたい点は,原問題と双対問題の最適値が一致していること, 及び原問題において有効ではなかった制約式(第 3式)に対応する双対問題の変数民 の値がゼロになっているという事実である。前者は線形計画法の‘双対定理'と呼ばれ ているものであり,後者は‘相補スラック性の定理'と呼ばれているものである。 今,行列Aを投入係数行列と解釈し,

c

x

, bを各々,生産物価格,産出量,及び 資源制約を表すベクトJレと解釈する。この時,原問題は資源制約のもとで産出額を最 大化している問題であると解釈することができる。一方,各資源制約問題に対応する yを資源の価格(シャドウプライス)と解釈するならば,これは,異常利潤が発生しな

(20)

← 248- 香川大学経済論叢 740 いという条件の下で,費用,即ち生産要素に帰属する所得の最小化問題であると解釈 することができる。 上で確認した原問題と双対問題の関係から,次の3つの古典的命題が確認できる。 第lは,最大生産額は生産要素所有者に余す所なく分配されるという命題である。第 2に,遊休の生じた資源の価格は,ゼロになるという自由財の法則である。そして第 3に,原問題と双対問題の立場を入れ替えることによって想像されるように,負の利 潤が生じる財の生産は決して行われないという命題である。第1の命題は古典的な限 界生産力説が主張してきた命題である。もちろん,分権的意志決定が行われる市場経 済においては,経済全体として,意識的に生産額の最大化や費用の最小化が行われて いるわけではない。しかしながら,これはSamuelson [23Jが述べた,背後に最適化 問題が存在するかの如く考えることによって理論的な説明付けが可能となる問題の一 例である。 ベクトノレ

b

c

の変化を

o

b

o

c

で表し,これらのパラメータの変更に伴う原問題, 及び双対問題の最適解の変化を各々 ,

d

x

, !Jyで表す。この時,

o

c

'

d

x

注 0

o

b

!JyζO が成立する。これは(弱い意味での)Le Chatelier-Samuelson原理と呼ばれるもので ある。最初の不等式は生産物価格と生産物供給量の変動に制約を課すものであり 2 番目の不等式は生産要素価格と生産要素需要の変動に課すものである。読者は上の問

ω

題のパラメータを若干変更して,この点を確認してもらいたい。 6 完全競争市場の理論を終えるにあたり 本稿ではこれまでの議論と異なり,結果的に様々の数値計算法を紹介することに なった。もとより,これらの数値計算法を詳細に論ずることは意図していないが,よ り高度なシミュレーションを行うためには,これらのテクニックを知っておくことは 決して無意味ではない。 実際にシミコレーションを行ってきた経験から, Lotus 1-2-3上での数値計算の実 行は,計算アルゴリズムそれ自身を理解する上でも有用であるように思われる。この (20) Samuelson[22], Beckman [ 3 ]参照。尚,この関係は更に一般化が可能である。例 えば, Eichhom-Oeteli[5]参照。

(21)

741 ミクロ経済学とLotus1-2-3 完全競争市場の理論 -249-ことは,経済データの統計的解析や数値的シミュレーションの実行に加えて,種々の 数値計算法を理解させる手段としてもLotus1-2-3が利用可能で、あることを示唆して いる。多くの数値計算法に関するテキストでは,読者が何等かのプログラム言語に関 する知識を有していることを前提としているが,本稿で示したように,初歩的なアノレ ゴリズムに限定するならば,プログラム言語に関する知識は必ずしも必要ではない。 紙面の制約から多くの問題を読者に残すことになったが,経済理論を理解する上で も,又,数値計算法のアノレゴリズムそれ自身を理解する上でも,自らの手でワークシー トの作成を試みられたい。 参 考 文 献

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(22)

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[

22幻J Samu児巴elsωo凡n1,

P

A.,

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Rezωzeω

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参照

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