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イチゴ'愛ベリー'の花器形質,奇形果発生および収量と定植時期,育苗方法との関係-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

香川大学農学部学術報告 第44巻 第1号 79∼87,1992

イチゴ‘愛ペリー’

の花器形質,奇形果発生および収量と

定植時期,育苗方法との関係

吉田裕一・時箕充洋・藤目幸摸・中候利明

FLOWER CHARACTERISTICS,FRUIT MALFORMATION

AND YIELDIN RELATION TO PLANTING DATE AND

NURSING METHODSIN‘AI−BERRY’STRAWBERRY

YuichiYosHrDA,Michihiro ToKIZANE,

Yukihiro FuJIME,and ToshiakiCHUJO

Effectsofnursingmethod(fieldand pot)andplantingdate(Sep14,21,28,Oct5 and12)on flower characteristics,fruit malformation andyield components of

‘Ai−Berry’strawberrywereinvestigated

Inthefield−grOWn plants,earlinessin plantingdateincreased thenumberofrows

of pistils on a receptacle and decreased ovary diameter and stylelength of pistils on

the apeⅩOf a receptacle.Consequently,plants those were planted on Sep140r21

produced severely malformed fruits accompanied by undeveloped achenes on the

proximalregion of receptacleIn the pot−grOWn plants,both the ovary diameter and

the stylelength of pistils on the apex of a receptacle were the shortest when those

were planted on Sep14,but the degree of fruit malformation waslittle affected by

the planting date

Higheryields were obtained when the pot−grOWn plants were planted at flower

budinitiation(Sep280r Oct5)and when the field−grOWn plants were planted belore flower budinitiation(earlier than Oct5)Althoughthere werelittle differencesin the totalyieldbetweenthepot−and field−grOWn plants,the yield oflarge fruit(over30g)

washigherin thefieldrgrown plantsthanthatinthe pot−grOWn plants

イチゴ‘愛ペリー, の花器形質,奇形果発生と収量構成に及ぼす育苗方法(無仮植育 苗,ポ・y†育苗)と定植時期(9月14,21,28日,10月5,12日)の影響について調査した 無仮構育苗区では,定植時期が早いほど雌ずい列数が多く,花床頂部の子房幅,花柱長 が小さかったその結果,定植時期が早いほど花床頂部に不稔種子を伴う奇形果が多発し た..ポット育苗区では9月14日定植区で花床頂部の子房幅,花柱長が小さかったが,奇形 果発生に対する定植時期の影響は認められなかった 総収盈は,ポット育苗区∵では花芽分化期頃(9月28日,10月5日)の定植区が優れ,無 仮植青首区では花芽分化前(9月28日以前)の定植区が優れた総収盈には育苗処理区間 に大きな差が認められなかったが,大果(≧30g)収畳はポット育苗区と比較して無仮植 育苗区が明らかに多かった 緒 大異系のイチゴ(Fragaria x ananassaDuch)‘愛ペリー’ でほ,本来大果となる素質を持つ 大果系イチゴの奇形果発生に関する研究(第10報)

(2)

香川大学農学部学術報告 第44巻 第1号(1992) 80 初期花房の上位花が果実先端部に不稔種子を伴う奇形果を形成することが多い“著者らはこれまで に,この奇形果発生の直接的な原因が開花時の花床基部と頂部の雌ずいの間の発育段階の差にあ り(l‖3′14),その差が花芽発育期における雌ずいの分化時期と発育速度の差に起因することを明らか にしている(1、7) 雌ずいの分化と発育は窒素施肥の影響を強く受け,特に花芽発育初期の高窒素栄養 によって雌ずいの発育段階の差ほ大きくなる(15′16牒 窒素施肥方法の改善による窒素栄養制御あるいほ育苗方法の選択による苗質の改善等によって ‘愛ペソ・ノ の奇形果発生を抑制することができる(1216)い さらに,苗質と関連する耕種的な変困と して定植時期に関しても調査し,酉の花芽分化・発育段階ならびに定植による養分吸収開始時期と 奇形果発生,収量構成との関連について明らかにする必要があろう小 促成栽培のイチゴの定植時期については,開花・収穫期の前進や収量性の面から検討されてい る・花芽分化の促進を目的として,高冷地育軋夜冷育苗や暗黒低温処理を行った場合には,通 常,検鏡によって花芽分化を確認した後に定植される(2封)いしか し,慣行仮植育苗や無仮植育乱ま た,ポット育苗であっても極騰な早期収穫を目的としない場合にほ,形態的な花芽分化直前に定植 することが早期多収につながるとされている(9′10) イチづの育苗は,苗床に仮植する方法が慣行的に行なわれてきたが(1),近年,育苗中の窒素栄養 の制御が容易なポッt青首が急速に普及した(6・8)‖また,無仮植育苗も育苗労力の点で注目されてお り,‘愛ペソ・−’ 栽培においては奇形果発生が少ない上に総収量も増加するという利点があ る(5・ほ16).そこで,ポット育苗と無仮植育苗した苗について,定植時期が花器形質と奇形果発生なら びに収量構成に及ぼす影響について調査した

材料および方法

育苗方法2水準(ポット育苗,無仮植育苗)と定植時期5水準(9月14,21,28日,10月5,12

日)を組み合わせて合計10処理区∵を設けた ポット育苗区は,1989年7月17日に本葉4∼5枚の苗を10.5cmポリポットに鉢上げしたい用土は マサ土2:ピ、−トモス1(Ⅴ:Ⅴ)として,苦土石灰と過燐酸石灰を用土1ゼ当り0巾5gずつ混和し

た・8月21日までは液肥(OK−F−l,N−P205−K20=15−8p17)の500倍液を5日毎に50ml

ずつ施与し,以後定植までは無施肥として,それぞれの日に定植した 無仮植育苗区については,4月に発生した一・次の子株を親株として6月7日に畦幅160cm株間40

Ⅷで無施肥の苗床に定植した−・6月20日と7月25日に追肥として加燐硝安(N−P205−K20=13

−10−11)を親株1株当りそれぞれ5gと10gずつ施与した..7月21日にそれまでに発生したラン ナ・−をすべて除去し,その後に発生した子株を実験に供試したいそれぞれの定植日に,苗床から展

開英数3枚,生体垂5∼7gの苗を採取し,定植した

本闘の施肥畳は3要素(N−P205−K20)それぞれ10kgとし,硫安,過燐酸石灰,硫酸加里で9

月7日に全層に施与した∩また,定植1週間後に,追肥として燐硝安加里(N−P205−K20=16

−10−14)を株当り2gずつ株元に施与した.、畦幅は120cm,株間は20cmとして,供試個体数は各処 理区20株とした 最低気温が10℃以下となった10月21日から保温を開始し,最高気温27℃を目安に換気扇による強 制換気を行なったいハウス内最低気温が5℃を下回り始めた12月1日から夜間2重被覆とし,夜間 の温度保持につとめた.11月2日から日長延長によって16時間日長とした..その他の管理は慣行に 従い無加温電照促成栽培した 各処理区についてそれぞれ5株から1,3,5番花を開花当日に採取し,2%グルタルアルデヒ ドで固定した..国定したサンプルは,既報(15)と同様に花器形質の調査に供試した

(3)

吉田裕一ほか:‘愛ペリー・,の奇形果発生と定植時期,育苗方法との関係 81

果実形質および収量構成の調査には残り15個体を供試した・・奇形果の程度は,既報(11)の基準に基

づいて0:正常∼4:極度の先端不稔として5段階で評価し,奇形指数として表わした・頂花房

1,3,5番果については,個体毎に収穫調査した…また,3月末まで収穫期に達した6g以上の

全果実を処理区海に収穫し,果実重と先端不稔による奇形の程度を記録した

新生第3薬の中心小葉を各処理区5個体から,定植時と10月19日,11月2,16日,12月2,16,

31日に採取し,全窒素をC−Nコ・−ダ・−(柳本,MT−500)によって定量した 果 1..地上部の生長と葉中窒素濃度の変化

ポッt・育苗区では,9月14日から10月5日までの定植時の苗の地上部垂,根塞がともに10∼11

g,T/R率は0.9∼1り1であった.10月12日にほ.地上部重が約7gと減少し,T/R率も0い65となっ

た.クラウン径はいずれも9∼10皿であった.無仮植育苗区では,いずれの定植日においても地上

部重約5g,板垂約1gで,クラウン径は約7皿であった

定植時の苗の茎頂の肥大が認められたのは,ポット育苗区が9月28日から,無仮植育苗区が10月

5日からであり,ポット育苗区が1週間早かった(第1図)

新生第3菓の薬面積(中心小葉菓身長×薬身幅)は,いずれの処理区も電照開始後急速に増加し

た。.ポッ†育苗区では定植時期の違いによる差は小さく,1月以降徐々に減少したい無仮植育苗区

についてみれば,11月には9月14日定植区が大きかったが,12月以降は他の処理区と比較して明ら

かに小さかった…また,定植時期が最も遅かった10月12日定植区偲,11月には他の処理区と比較し

て小さかったが,12月中旬以降は他の処理区とほぼ同様に・経過した(第2図)

定植時の新生第3菓の菓身中全窒素濃度は,ポット育苗区が1…1∼1小3%で,無仮植育苗区が

1い7∼2。2%であった,.10月19日には明らかに定植時期が早いほど窒素濃度が高かったが,11月1日

にはその差は小さくなった.ただし,11月16日以降は定植時期が遅いはど高く,無仮構育苗区でほ

その傾向が顕著であった(第3図) Ⅳ Ⅲ 臨空S rd︶uむ∈dO﹁ぎむ凸 14 2128 5 12 SEP OCT 14 2128 5 12 SEP OCT Planting date

FiglDifferencesinflowerdevelopmentalstagesatplantingtime

Developmentalstage:0;uninitiated,Ⅰ;initiated,Ⅰ;differentiated, Ⅲ;Sepaldifferentiated,Ⅳ;Stamen differentiated

Nursery:Pot;pOtted on20Julyin alO5cm black polyethylene pot,

(4)

香川大学農学部学術報賃 第44巻 第1号(1992) 82 0 0 0 0 0 0 00 6 4 2 1 ︵N∈U︶

Pot

︵.盲ごp次︶ 盲む盲OU u亀。−一宏 0 0 0 0 0 0 2 0 8 ごU 4 11 d巴再 嵩むJ 1−−・・−・・・・H 116 216 3119 319 617 4 NOV DEC IAN FEB MAR APR

Date

14212851219 1 16 2 16 31

SEP OCT NOV DEC Date

Fig2 Changesinleaf ar・ea(length X width Fig3Changesinleaf totalnitrogen content

ofmiddleleaflet)of the third newiy

of the third newly expandedleafin

expandedleafin‘Ai−Berry strawberry ‘Ai−Berry’strawberry

Nursery:Pot;pOtted on20Julyin alO5cm black polyethylene pot,Field;nOt tranSplanted

before planting Plantingdate:○;Sep14,●;Sep21,口;Sep28,.;Oct5,△;Oct12 2= 開花様相と花器形質

平均開花始めは,ポット育苗区では定植時期が早いほど早くなる傾向にあり,開花もよく揃っ

た∴ただし,9月14,21,28日定植区の間にはほとんど差が認められなかった・無仮植育苗区も定

植時期が早いほど開花は早まる傾向にあったが,ポット育苗区と比較すると開花は遅かったい ま

た,9月14日定植区濾特に開花期が不揃いで,最も早い個体が11月11日,最も遅い個体が12月10日

であり,平均開花日は9月21日定植区より約6日遅かった・・第2花房の開花については,ポッt育

苗区では処理区周に顕著な差は認められず,頂花房から25∼30日遅れて開花した・しかし,無仮植

育苗区ではポット育苗と比較して著しく遅かった(第4図)

第1表に頂花房の花数と1,3,5香花の花弁数,雌ずい列数を示した

頂花房の花数は定植時期が遅くなるにしたがって減少する傾向にあったが,ポット育苗区では9

月21日定植区から10月12日定植区の間で,無仮構育苗区では9月8日定植区から10月12日定植区の

間でほとんど差が認められなかった.また,無仮植育苗の9月14日定植区は他の処理区と比較して

著しく花数が多かった

ポット育苗区の5香花を除桝ま,定植時期が早いほど花弁数は増加する傾向にあり,ポット青首

区1無仮植育苗区ともに9月14日定植区が顕著に多かったい花床径についてもほぼ同様の傾向が認

(5)

香田裕一偲か:‘愛ベリー’ の奇形果発生と定植時期,育苗方法との関係 83 100 80 60 40 20 †&−齢/欄 ′〆. t

フ㌘ :=:

Po き合一0 S︶ud叫dぎ〓むき○︻−ちま 2nd inflorescence 0 0 0 1 80 60 40 20 0

1015 20 25 30 51015 20 25 31

NOV DEC

Fig4Effects of rlurSing method and planting date

on flowering oflst and2ndinflorescencein

‘AiTBerry strawberry

Nursery:Pot;pOtted on20Julyin alO5cm black polyethylene pot,Field;nOt tranSplanted

before planting

Planting date:○;Sep14,●;Sep21,口;Sep28,

■;Oct5,△;Oct12

TablelEffectsof nursingmethodand plantingdateonnumberof flowers,number of petals and

numberof rowsof pistilsinthelstinflorescenceof‘Ai−Berry’strawberry

Planting No of No of petals NoOfrowsof pistils

NurseryZ

date flowers Isty 3rd 5th lst 3rd 5th

2 0 2 8 7 S 9 7 6 6 7 n l l l l 1 8 2 3 5 5 S 9 0 0 9 9 n 1 2 2 1 1 4 0 7 5 2 ◆ S 2 2 2 1 1 n 2 2 2 2 2 3 9 7 0 0 2 0 2 5 5 * い U * 5 5 5 5 5 5 5 5 4 3 5 4 4 1 2 * 5 5 5 5 5 9 0 5 9 2 * 0 0 4 5 7 * ‖ U * 7 6 5 5 5 Pot Sep14 21 28 0ct5 12 Linear Field Sep14 21 28 0ct 5 12 Linear 3 1 9 4 6 い ・* 5 2 2 1 1 * l l l l l 2 0 8 7 0 8 7 8 9 0 1 1 1 1 2 3 0 4 2 7 * S 9 0 0 1 0 n 1 2 2 2 2 3 7 6 0 0 け 小 4 2 3 3 2 2 2 2 2 2 5 2 4 4 9 5 3 1 1 2 * 5 5 5 5 5 3 9 3 6 1 * 2 5 4 3 4 * 6 5 5 5 5 5 7 0 2 5 * 0 7 5 8 4 * 8 5 5 5 5 * * 6 2 0 4 00 * −* 0 3 1 1 9 * 2 1 1 1

ZPot:pOtted on20JulyinalO5cm black polyethylene pot,Field;nOt tranSplanted before

planting

yFloweringorder:1st;Primary,3rd;SeCOndaryand5th;tertiaryflower

(6)

香川大学農学部学術報告 第44巻 第1号(1992) 84

められた(データ省略)

無仮植育苗区では,1,5香花の雌ずい列数と定植時期の間に有意な相関が認められた..ポット 育苗区でも定植時期が早いはどやや増加する傾向にあったカ㍉有意な相関は認められなかった

Table2 Effectsofnursing methodand plantingdateonovarydiameter・and stylelength of pistils On the apexofa receptaclein thelstinflorescence of‘Ai−Berry’strawberry(皿)

Planting Ovarydiameter Style length

NurseryZ

date lsty 3rd 5th lst 3rd Pot Sep14 21 28 0ct 5 12 Linear Field Sep14 21 28 0ct5 12 Linear 0い248 0.290 0.321 0岬304 0い296 0‖335 0.308 0.300 0.338 0302 0.323 0‖335 0‖300 0‖308 0い342 ns *** * 0.269 0い304 0り335 0.296 0.292 0、335 0‖300 0,323 0い346 0,308 0−315 0.344 0‖317 0い313 0=313 ** ns ns 2 6 7 4 1 * l 1 2 3 4 * ・ l l l l l * 1 4 9 9 5 4 4 3 3 3 S l l l l l n‖ 9 0 4 5 3 4 4 4 3 3 * h l l l l l * 2 1 4 7 6 * 1 3 3 2 3 * l 山 * l l l l l 3 3 3 3 3 S 1 3 9 4 2 ∩‖ l l l l l 3 5 4 3 3 * 4 4 3 2 1 * 山 * l l l l l

Z Pot:pOtted on20Julyin alO5cm black polyethylene pot,Field;nOt tranSPlanted before

planting

yFloweringorder:1st;primary,3rd;SeCOndaryand5th;tertiaryflower

ns,*,**,***NonLSignificant and significant at5%,1%orOl%levels,reSpeCtively

Table3Effects of nursing methods and planting date on fruit malformation and fruit weightin

thelstinflorescenceof‘Ai−BerTy’strawberry

Planting Fruit malformationy Fruitweight(g)

NurseryZ

date lstX 3r・d 5th lst 3rd Pot Sep14 21 28 0ct5 12 Linear Field Sep14 21 28 0ct5 12 Linear 3 5 6 0 7 2 2 3 4 5 S ◆ n l l l l l 0 0 0 0 0 史U 6 2 0 0 * ・ ‖ * 0 0 5 0 0 * 0 0 0 1 5 0 0 0 9 0 い 0 0 0 0 0 * 7 2 0 9 8 * ‖ ・ 4 3 0 1 5 * 4 4 4 3 2 * 1 6 1 2 4 ・ い * 9 1 2 9 RU * 2 3 3 3 3 2 2 2 1 1 2 0 1 00 6 * 5 4 2 2 5 U * 0 3 7 7 0 * 4 3 1 4 0 * け ・ 2 2 1 0 0 * 3 0 3 0 1 3 0 1 4 00 い * 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 2 0 1 2 2 * l い * 5 0 9 5 0 4 3 3 3 3 石 S 9 2 2 9 6 n 5 6 9 00 5 ▲‖0 4 3 2 8 * = * 5 1 3 9 3 * 3 3 3 2 2 1 2 2 1 1 “ S 7 6 ハU 8 7 n 5 3 2 9 1

Z Pot:pOtted on20JulyinalO5cm black polyethylene pot,Field;nOt tranSplanted before

planting

yDegree of malformation:0;nOrmal−4;SeVere

XFloweringorder:1st;primary,3rd;SeCOndaryand5th;tertiaryflower

(7)

吉田裕一ほか:‘愛ペリー・,の奇形果発生と定植時期,育苗方法との関係 85 第2表に花床頂部の雌ずいの子房幅と花柱長を示した 花床頂部の雌ずいの子房幅は,ポット育苗区,無仮植育苗区ともに定植時期が早いほど小さくな る傾向にあり,1香花では両処理区ともに9月14日定植区が著しく小さかった..しかし,基部の雌 ずいの子房幅についても同様の傾向が認められ,花床頂部と基部の雌ずいの子房幅の比についてほ 有意な相関が認められなかった(データ省略) 花床頂部の雌ずいの花柱長は,1香花では明らかに定植時期が早いほど小さかったが,5香花で は定植時期が早いほど大きぐなる傾向にあった 3.奇形果発生と収量構成

第3表に1,3,5番果の奇形指数と果実垂を示した

ポット育苗区の1番果についてほ,奇形果発生に対する定植時期の影響はほとんど認められな かったい ただし,1,5番果の果実重ほり 明らかに定植時期が遅くなるに従って小さくなった..3 番果では定植時期が遅くなるはど奇形果発生は少なくなり,果実重は大きくなる傾向にあった 無仮構育苗区の1番果では,明らかに定植時期が遅いほど奇形果発生が抑制された。.同様に,果 実畳も小さくなったが,ポット育苗区ほど顕著な低下は.認められなかった ポット育苗区では,3月末までの総収量と30g以上の果実収量は9月28日定植区が最も多かっ た‥無仮植育苗区では,総収量は9月21日定植区が最も多かったが,10g以上の果実収量でほ9月 28日定植区が,30g以上の果実収量では9月14日定植区が最も多かった..また,無仮構育苗の10月 12日定植区は3月末までの総収量が株当り約220gと他の処理区と比較して著しく少なかった.育 苗処理区間で比較した場合,無仮植育苗区は30g以上の果実の比率が高かったのに対して,ポット 育苗区では10∼30gの果実の比率が高かった(第5囲) 株当りの30g以上の正常果収量について見れば,ポット育苗区では最も多い9月28日定植区∵で99 g,最も少ない10月12日定植区では52gであったのに対して,無仮植育苗区では最も多い9月14, 28日定植区で約125g,最も少ない10月12日定植区でも70gであり,無仮植育苗に・よって正常な大 果収量が増加することが示された(第6図) Fruitweight

[コ<10g Ⅲ]<’30g ■≧30g

Pot Field ( 400 b8 ) ∃ 300 想 200 ⊂〉 ト 100 0 14 21 28 5 12 SEP OCT 14 21 28 5 12 SEP OCT Planting date

Fig5 Effects of nursi喝method and planting date on fruit yieldin

‘Ai−Berry’strawberry

Nursery:Pot;pOtted on20Julyin alO5cm bIack polyethylene

(8)

香川大学農学部学術報告 第44巻 第1号(1992) 86 Pot 0 0 0 5 0 5 11 ︵叫︶葛叫h苫J二V叫旨J 14 21 28 5 12 14 21 28 5 12

SEP OCT SEP OCT

Planting date

Fig6Effects of nursing method and planting date on normal

(solid)and malformed(open)large fruit(≧30g)yieldin

‘Ai−Berry’strawberry

Nursery:Pot;pOtted on 20Julyin alO5cm black polyethylene pot,Field;nOt tranSplanted before planting

考 察 ‘宝交早生,を花芽分化前と花芽分化後とに定植した場合を比較すると,開花の揃いほ花芽分化 後に定植した方が良いとされ,定植前の葉柄中硝酸態窒素濃度が低い場合には,花芽分化前に定植 した方が開花は早いが,硝酸態窒素濃度が高い場合にほ,花芽分化前に定植すると著しく開花が遅 延する(9)..本実験においても同様の傾向が認められ,定植時の菓中窒素濃度が比較的高かった無仮 植育苗区については,定植時期が適いほど開花の揃いは良く,9月14日定植区では著しく開花の遅 れる個体が認められた… また,窒素濃度が低かったポット育苗区では開花のバラツキは小さく,定 植時期が早いほど開花は早まる傾向にあった 二官は(7),山上げ育苗した‘福羽,について,山下げ時期が遅く頂花房の花芽分化が進んでいる ほど第2花房の開花の揃いは良く,山下げ時期が早い場合には著しく第2花房の開花が遅れる株が 増加するとしているい本実験のポット育苗区についてははぼ同様の傾向が認められ,9月14日定植 区で開花の遅れる株がやや多かったい しかし,無仮植育苗区はポット育苗区と比較して明らかに第 2花房の開花が遅かった∩伏原・高尾(2)は,ポット育苗した苗を発生時期を無視して大きさで分け た場合には,定植時に小さな苗ほど第2花房の開花が遅れるとしている。.無仮植育苗区では苗重約 6gと小さな甫を定植したために第2花房の開花が遅くなったのであろう ポッt育苗区1無仮植育苗区ともに1香花では,定植時期が早いはと雌ずい列数が多く,花床頂 部の子房幅,花柱長が小さくなる傾向にあり,特に9月14日定植区では顕著な差が認められた.既 報(15・旭18) のとおり,花芽発育期の高窒素栄養は雌ずい列数を増加ざせ,奇形果発生を助長する∩花 芽発育期の薬中窒素濃度は明らかに定植時期が早いほど高く(第3図,10月19日),このことが雌ず い形質に強く影響したのであろう…その結果として,無仮植育苗区では定植時期が早いほど奇形果 が多発したと考えられる 総収量についてみれば,育苗処理区間の差はわずかで,ポット育苗区では形態的な花芽分化期に 当たる9月28日,10月5日定植区が,無仮植育苗区では花芽分化前の9月28日以前の定植区が高 かった.ただし,30g以上の果実収量と30g以上の正常果収量については,無仮植育苗区が高く,

(9)

吉田裕一・ほか:‘愛ペソ・ノ の奇形果発生と定植時期,育苗方法との関係 87 既報(12)の結果と一激した.株の生長と開花についてみた場合,ポット育苗区と無仮植育苗区との間 の最も大きな違いは,第2花房の開花期であろう,.ポット育苗区では頂花房開花後25∼30日で開花 したのに対して,無仮植育苗区は明らかに頂花房と第2花房の開花期の差が大きかった。.このこと が,大果収量の増加の大きな要因であろうと推察される..すなわち,頂花房と第2花房の間の光合 成産物の競合が小さくなり,両花房ともに個々の果実の肥大が優れ,大栗収量が増加したと考えら れる‖既報(12)において最も大果収量が多かった無仮植育苗の小筒では,花房間菓数が多く頂花房と 第2花房の開花時期の差も大きかったことから,‘愛ペソ−’については,第2花房の開花期はあ る程度遅いことが大果収量の増加につながると考えられる

引 用 女 献

ゴ栽培に関する研究(第1報)苗質および定植条 件の違いが宝交早生の促成栽培における生育と 収量に及ぼす影響について,奈良虔試研報,14, 18−27(1983) ㈹ 吉田裕】,大井美知男,藤本幸平:大果系イチゴ の奇形果発生に関する研究(第1報)奇形果の発 生様相と雌ずいの発育について,農および園, 62,1095−1097(1987) ㈹ 吉田裕一・,大井美知男,藤本幸平:大果系イチゴ ‘愛ベリー’ の果実形質,収畳と窒素施肥畳,筒 賀との関係,園学雑,59,727−735(1991) ㈹ 吉田裕一,後藤丹十郎,中條利明,藤日章擁:イ チゴの雌ずい形態と受精能力の開花後の変化, 園学雑,60,345−351(1991) ㈹ 吉田裕一,鈴田 恵,藤日章摸,中候利明:イチ ゴ花器および果実形質の品種間差異,園学雑, 60,353−359(1991) ㈹ 青田裕一,鈴田 恵,時実充洋,藤日章擁,中候 利明:イチゴ‘愛ペリー・’ の花器発育に対する 日長と窒素栄養の影響,香川大農学報,43,35− 43(1991) ㈹ 青田裕一L,鈴田 恵,藤日章擁,中便利明:大果 系イチゴ‘愛ペリー,の花器形質に対する窒素 施肥畳と苗賀の影響,農および園,66,1035− 1038..(1991) ㈹ 吉田裕一・,時実充洋,藤日章挨,中便利明:イチ ゴの花芽形成時における雌ずいの分化時期と発 育速度の変異,園学雑,60,619−625 ㈹ 吉田裕一・,藤日章擁,中候利明:イチゴ‘愛ペ リー, の花芽発育と奇形果発生に対する窒素栄 養の影響,園学雑,60,(印刷中) (1991年11月30日受理) (1)藤本幸平:イチゴ宝交早生の生理生態的特性の 解明による新作型開発に関する研究,奈良農試 特別研報(1971) (2)伏原 姿,高尾宗明:イチゴの夏期低湿処理栽 培に関する研究(第2報)低温処理時期が収量品 質に及ぼす影響,園学要旨,昭63春,356−357 (1988) (3)伏原 肇,高尾宗明:イチゴの夏期低温処理栽 培に関する研究(第3報)早期収量と筒の大き さ,低温処理法,園学要旨,昭63秋,420−421 (1988) (4)前川寛之,薬師川治,峰岸正好:イチゴ促成栽培 における低温および短日処理方法の違いが花芽 分化および開花,収量に及ぼす影響,奈良農試研 報,20,41−47(1989) (5)峰岸正好,中川清裕:イチゴ育苗法の違いが板 の発達および収急性に及ぼす影響,奈良農試研 報,18,3ト38(1987) (6)新美善行,岩本供子,才念義弘:イチゴの促成栽 培に関する研究けⅠ.低温処理およびポット育苗 が花芽分化,発育,収量に与える効果,広島農短 大報,7,273−279(1984) (7)ニ官啓治:促成イチづにおける高冷地萌の山下 げ時期試験,静岡農試研報,11,5卜57(1966) (8)佐藤紀男,高橋 基:促成イチゴのポット育苗 に関する試験,神奈川園試研報,32,12−20 (1985) (9)泰松恒男,木村雅行:イチゴ宝交早生の促成栽 培における笛質と開花,収穫′くターンについて, 奈良農試研報,12,30−42(19飢) ㈹ 泰松恒男,安井俊三,岡本健夫:中山間地のイチ

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