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納豆製造過程における成分変化 (第2報) : 水溶性タンパク質について

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(1)

昭 和60年11月(1985年) 一27-一

研 究 報 告

納 豆 製 造 過 程 に お け る成 分 変 化(第2報)

水 溶 性 タ ン パ ク質 に つ い て 一

池 田 ひ ろ*,津 野 貞 子**

The Componential Changes During the Manufacturing

Process of Natto (Part 2)

—On the Water Soluble Proteins—

Hiro Ikeda, Sadako Tsuno

1緒 言 納 豆 は 蒸 煮 大 豆 に比 べ 消 化 性 に優 れ 栄 養 価 値 の 高 い 食 品 で あ る 。納 豆 に使 用 す る 大 豆 に は 中 粒 と小 粒 が あ り,一 般 に は小 粒 大 豆 を 使 用 した納 豆 が好 ま れ て い る が,そ の 理 由 は 明 らか で は な い 。 そ こで,大 豆 の 形 態 の 違 い が 発 酵 過 程 中 の 成 分 の 変 化 や 製 品 の 出来 上 り時 聞 な ど に影 響 を 与 え る ので は な い か と考 え,粉 末 大 豆 で 納 豆 を 製 造 し,短 時 間 で 栄 養 価 値 の 高 い食 品 と して 利 用 出 来 るか ど うか を 知 る た め 前 報1)に お い て 旨味,香 り,栄 養 的価 値 に関 連 の 深 い ア ミノ態 窒 素,ア ン モ ニ ァ 態 窒 素,糖,ビ タ ミ ンBz の各 成 分 につ い て 丸 大 豆 使 用 納 豆 との 比 較 検 討 を 行 っ た 。 そ の結 果,形 態 の 違 い が 納 豆 菌 の繁 殖 に影 響 を 与 え,丸 大 豆 よ り表 面 積 の 大 き い粉 末 大 豆 にお いて は 短 時 間 で 納 豆 化 が 行 わ れ る とい う結 論 を 得 た 。 ま た,納 豆 菌 が 生 産 す る 加 水 分 解 酵 素 の う ち最 も納 豆 の発 酵 過 程 に 関 与 す る 酵 素 は タ ンパ ク質 分 解 酵 素 で あ り,こ の 酵 素 に よ って タ ンパ ク質 は ペ プ チ ドや ア ミ ノ 酸 に ま で 分 解 さ れ2・9)納 豆 の 旨味や 消 化 性 に影 響 を 与 え て い る と云 わ れ て い る。 そ こで 今 回 は こ の タ ンパ ク質 分解 酵 素 に よ る発 酵 中 の 水 溶 性 タ ンパ ク質 の水 解 過 程 を,形 態 の異 な る 丸 大 豆 および粉末大 豆使 用納豆 につ いてゲ ル ロ過 および電 気泳動 に よ り比 較 検討を行 った のでそ の結果 を報告す る。 II 実 験 方 法 *京 都女子大学 食物 学科 調理学第1研 究 室 **日 本生活 医学研究 所 1.試 料 の 調 製 納 豆 菌:宮 城 野 納 豆 製 造 所(仙 台 市)で 純 粋 培 養 さ れ たBacillus nattoを 使 用 した 。 原 料:丸 大 豆 は ア メ リカ産 の もの を 使 用 し,粉 末 大 豆 は そ れ を 一196。Cで 瞬 間 凍 結 粉 砕 した もの を 使 用 した 。 納 豆 の 製 造:前 報D同 様 に行 い 発 酵0か ら20時 間 ま で2時 間 ご とに と り出 し,こ れ を 試 料 と した 。 2実 験 方 法 各 試 料 を 乳 鉢 で 充 分 す りつ ぶ した の ち一 定 量 を 秤 取 し,約6倍 の4M尿 素 を 含 む0.1MNaClに 懸 濁 し 1時 間 室 温 で 撹 伴 抽 出 を 行 い,8,000×gで20分 間 遠 心 分 離 後 そ の 清 澄 液 を と り,こ れ を さ らに56,000×9 で1時 間 遠 心 分 離 し,こ の 清 澄 液 を 水 溶 性 タ ンパ ク質 抽 出 液 と した 。 1)Sephadexに よ るゲ ル ロ過 Sephadex G-50を 水 に よ く分散 させ24時 間 室 温 に 懸 濁 放 置 して 完 全 に 膨 潤 さ せ た の ち4M尿 素 を 含 む 0.1MNaC1溶 液 で3回 洗 浄 した も の を直 径1.5cm,

(2)

食物学会誌・第

4

0

-

28-1

)

S

e

p

h

a

d

e

x

によるゲノレロ過

S

e

p

h

a

d

e

x

G-50

による水溶性タンパク質のクロマ トグラムを図

1

および図

2

に示した。吸光度

280nm

の 測定では,生大立,蒸煮大豆については丸大豆,粉末 大豆ともに

KAV0

0

.

8

および1.

0

付近に

3

つのピーク がみられ,発酵

6

時間では

KAVO

のピークが減少し

KAV 0

.

6

の位置に新しいピークが現われ,

KAV 0

.

8

の ピークは増加する。発酵後

1

0

時聞になると丸大豆では

KAVO

のピークはわずかとなり

0

.

7

付近に新しいピー クが現われ,

KAV 0

.

8

および1.

0

のピークは増加する。 発酵

2

0

時間では

280nm

の吸収のほとんどが

KAVO

.

9

および1.

0

のピークの位置に観察される。

Lowry

法によるタンパク質の測定では,生大豆では

KA

V

O

.

8

および1.

0

の位置にはごくわずかしか検出さ れず,また蒸煮大豆においても

KA

V0

.

8

および1.

0

の位置のタンパク質量は少ない。とのことより生大豆, 蒸煮大豆における

0

.

8

および1.

0

のピークは紫外部 吸収をもっ低分子のペプチドやアミノ酸であると推察 される。ゲJレロ過でみるかぎり丸大豆と粉末大豆の違 いは明確でなく,両者ともに発酵時間の経過ととも に高分子のタンパク質は納立菌により加水分解され

K

A

VO

.

8

付近のタンパク質量は増加する。発酵

2

0

時聞 になると

KAVO

.

8

のピークのタンパク質量は減少す るが

280nm

の吸収はほとんど変化しないととろから, さらに分解されて低分子のペプチドやアミノ酸にまで 分解が進んだものと推察される。 2) ディスク電気泳動

8M

尿素を含む159彰ポリアクリjレアミドゲル電気泳 動による結果を図

3

および図

4

に示した。図

3

にみられ るように生大豆,蒸煮大豆,発酵2時間および4時間 後の丸大豆および粉末大豆ともにゲノレの上部に 6本の 鮮明なバンドを示し,その他数本の不鮮明なバンドが みられる。生大豆ではゲ、ノレの上端部および中央部に特 に濃い鮮明なバンドが 2本認められるが蒸煮大豆では とのバンドは消失する。これは高分子のタンパク質が 加熱iとより水解または変性凝固したためと考えられる。 蒸煮大豆と発酵 2時間および 4時間後の試料では大き な変化は認められないが発酵6時聞になると急速に水 解が進み泳動バンドは中央より先端部に移動し,

4

"

"

'

-

'

5

本の成分が認められる。粉末大豆は発酵 6時間後にか なり低分子化した泳動ノインドを与え,丸大豆よりも加 水分解速度が速い乙とを示している。図

4

の発酵

1

0

"

"

'

-

'

2

0

時間の各泳動図にみられるように発酵時間の経過と ともにバンドの数は減少し,粉末大豆では

1

4

時間で先

結果と考察

I

I

I

一 言 、 ¥ 切 ミ ) ど 一 ﹂ 川 T t 馬断畑、ソヘ入、11111

S

e

p

h

a

d

e

x

G-50

による水溶性タンパク 質のゲjレロ過 18 ρ h u i

1

2

o

24 生 大 立 K

A

V

1.8 1.2 1.0

0

.

8

ρ り ハ U 0.4

0

.

2

1.6 1.4 日 ロ { ) 父 町 一 ヨ パ ﹁ ︿ V E l l -図

1

長さ

45cm

のカラムに均一に流し込み,

4M

尿素を含 む

0

.

1M NaCl

溶液で充分平衡化を行ったのち生大 豆,蒸煮大豆,発酵

6

1

0

2

0

時間の各抽出液につい てゲルロ過を行った。 まず,抽出液

0.2ml

をカラムに吸着させ,

4M

尿 素を含む

0

.

1M NaCl

で溶出

(

1

0m

l

j

h

r

)

し,フラク ションコレクターで1.5

ml

ずつ秤取して分画を行い, 各画分の

280nm

の吸光度を測定した。 あわせて

Lowry

l

とよりタンパク質の定量を行い, 各ピーク 曲線の総面積からこれらピークのタンパク質が全体に 占める割合を算出した。 らの トリスー 2) ディスク電気泳動 ポリアクリルアミドゲル電気泳動は

D

a

v

i

s

10 ) 方法

l

とより

8M

尿素を含む

1

5

9

6

ゲ、jレを用い, グリシン緩衝液中で行った。 3) 分子量の測定 分子量の測定は

Web

e

r

, Os

b

o

r

n

10)らの

SDS

ポリア クリルアミドゲ、ル電気泳動法に従い,

0

.

1

9

6

SDS

を含 む

1

2

.

5

9

6

ゲノレを用い

O.lM

リン酸塩緩衝液

(

0

.

1

SDS

を含む,

pH

7

.

2

)

中で行った。

SDS

測定用には各抽出液の最終濃度が

1

9

6SDS

1

9

6

2

-

メjレカプトエタノーノレ,

O.OlM

リン酸塩緩衝液

(pH 7

.

0

)

になるように調製したのち

6

0

0

C3

0

分間還元 させたものを使用した。

(3)

~ 29-昭和60年11月(1985年)

1

りふんI,i.

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大 I,i. ;W 2"1 12 吉 野 叫 ) 逗 刊 一 一 将 官 、 ご 入 以 11111 21 12

副 1.0

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I111 0.1 0.2

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内初11、'i:1111 0.4 0.2 36 21 12 !1~主主、 K1J. 21 12 21

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伴GII.'i:1111

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1111 0.81

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0

.

5

KAV

0

.

5

KAV 3) 分子量の推定

SDS

ポリアクリルアミドゲ、ル電気泳動による標準 タンパク質の分子量と泳動速度の関係を図

5

に示した口 この関係に基づいて泳動距離を分子量に変換し,発酵 過程における分子量の経時的変化を示すデンシトメト リーによるパターン(図

6

および図

7

)

を作成した。図

6

'

とみられるように生大豆では分子量分布は100,000"'-' 10,000の広範囲にわたっており,分子量 100,000近く

S

e

p

h

a

d

e

x

G-50

による水溶性タンパク質のゲソレロ過 る。 端部に1本の鮮明なバンドの他にいくつかの不鮮明な バンドがみられるが,発酵20時間では先端部の 1本の みとなる口丸大豆ではバンドの消失は徐々に進行し, 発酵20時間で中央部と先端部に 2本のバンドがみられ る。 図

2

この結果より,プロテアーゼによって粉末大豆では 約

1

4

時間でタンパク質の大部分が低分子のペプチドや アミノ酸にまで分解されるが,丸大豆が同程度まで分 解されるためには発酵20時間が必要であると推察され

(4)

n u 円ο

'

1

:

-

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大以;I:<._r,.

1

i{酔 211寺1111 九 大 豆 粉末大IA

l

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1

i{時 Glhf'

l

l

1

l

3

製造過程中の水溶性タンパク質の変化 (8M尿素 1596ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動) 食物学会誌・第40号 泥酔 811年IIIJ

(5)

昭和60年11月(1985年) - 31-九 大 豆 粉末大tJ. 発 酔

?

C

骨子 発 酵 発 酵 発両手 発 酵 1011年!日

l

1211.'i=1I11 1411キ│間 1611年1111 1811キ1111 2011年1111 図

4

製造過程中の水溶性タンパク質の変化 (8M尿素 15%ポリアクリノレアミドゲルによる電気泳動)

(6)

食物学会誌・第40号 - 32 -+ 一 一lホスホリラーゼP (MW:9A

x

1(1) 4

-2 アルブミン (MW:G.7

x

1(1 ) 骨一一・1オボアルブミン (MW >1.3:

x

1(1 )

lカーボニックアンヒド、ラーゼ (MW::3.0XI01) ..---5トリプシンインヒビター (MW:2.01 X 1(1) 埠 一 一Gα ラクトアルブミン (MW: 1.44 X 1(1) 4.7 4.0 4.G 4.5 4.3 4.2 4

.

4

4

.

1

( 切 。 ︻ ) 耐 廿 , -'-、 ,-'" 1.0 0.9 0.8 0.7 に υ ハ υ 0.5 0.2 0.1

I

~.J 移 動

l

i

SDS

ポリアクリルアミドゲ、ル電気泳動による標準タンパク質の移動度 ノfク質の熱変牲が著しいためと考えられる。しかし発 酵6時間になると急速にプロテアーゼによる加水分解 が進み,分子量40,000以上のものは減少し 30,000...__, 15,000のものが増加するD 発酵8...__,12時間では徐々に 加水分解が進み分子量30,000のポリペプチドは減少し 20,000前後のものが増加する。発酵14時間になるとほ とんどが20,000...._._,10,000の聞に分布し,丸大豆の20時 間発酵のものとほぼ同程度の分布状態であった。その 後も徐々に分解は進み,分子量20,000近くのポリペプ チドはさらに減少し, 10,000に近いものが増加する。 丸大豆,粉末大豆ともに発酵過程中にみられる分子 量20,000...__,10, 000のポリペプチドの増加は高分子のタ ンパク質の減少度より小さいが,これはこれらのタン パク質のほとんどがさらに低分子のペプチドやアミノ 酸にまで分解されたためと考えられる。 そこで

S

e

p

h

a

d

e

x G-10

を用い

6M

塩酸グアニジ 図

5

に大きなピークがある。蒸煮大豆では加熱lとより水解 さ れ て 分 子 量100,000近くのタンパク質は減少し, 60, 000...__,40, 000のタンパク質が増加する。発酵 2時間 および 4時間では蒸煮大豆に比べ著しい差はみられな いが,発酵6時間になると分子量40,000以上のものは 著しく減少して30,000...__,18,000の範囲に多く分布し, 発酵4時間まで存在していた分子量15,000""'__'10,000の ものは減少している。これらのタンパク質は納豆菌の フ。ロテアーゼによって色素と結合できない程度に低分 子化されたものと考えられる。その後発酵8...__,20時間 では時間経過に伴って徐々に分子量30,000前後のもの が減少し, 20, 000...__,10, 000のポリペプチドが増加する。 図7に示すように粉末大豆は丸大豆とほぼ同様な傾 向を示すが,蒸煮大豆の分子量100,000近くのタンパ ク質の減少は丸大立ほど顕著ではない。これは粉末大 豆の方が表面積が大きいため加熱の影響が大きくタン

(7)

- 33-昭和60年11

月(1

985年) 発 酵 14時間 生大医 発酵6時間 発 酵 16時間 発酵8時間 来系:大 'J. 出制町一主宰 発 酵18時間 発酵10時間 発酵 211,~:mj 発 酵20時!日j 発酵 12時間 発 酵 41時間 噌 ( ︺ 同 × 一 [ 噌 ( ) ︻ × N 噌 ( ︺ 同 × 噌 噌()-[×。 噌 ( ) 同 × ∞ 畦 { ) 同 × 。 -[ 噌 ( ) 円 × 円 噌 { ) 同 × N 守 ( } ︻ × 噌 噌 { ) 同 × 。 噌 ( ) ︻ × ∞ 噌 ( ) 同 × 。 同 日 ( } 円 × 戸 千()同× N ザ()-[×噌 噌 ( ) 同 × 匂 申 ( ) 同 × ∞ 申 ( ) 同 × 。 同 量 図

6

SDSポリアクリルアミドゲノレ電気泳動によるデンシトメトリー図〈丸大豆) 波長:AEx 553 nm;スリット:

o

.

2X3mm;モード:透過リニアスキャンニング法; スキャンニング速度:50mm/min;チャート速度:50mm/min 1 1 分

(8)

食物学会誌・第40号 - 34ー 発 酵14時

n

I

J

発酵6時間 生 大 豆 発 酵16時 間 発酵8時 間 蒸煮大豆 出 鰐 友 田 特 発 酵1811王子!日j 発酵10時間

l

発酵2時間 発 酵201時間 発酵 12時!日

i

発酵411寺陪j 守 ( ) -× 円 申 ( ) -× N 申{)-×噌 噌 ( ) 同 × 。 守 ( ) 同 × ∞ 噌 ( ) ︻ × 。 一 [ 守 { ) H × 円 守 ( ) 円 × N -マ ( ) 円 × 噌 噌 ( } 同 × 。 司Y ( ) ︻ × ∞ 守 ( ) 同 × 。 -[ 守 ( ) ︻ × 円 司 ( ) 同 × N 司Y ( ) ︻ × 市 噌 ( ) 同 × 。 申 ( ) 同 × ∞ 噌 ( ) ︻ × 。 ︻ 量 図

7 SDS

ポリアクリJレアミドゲノレ電気泳動によるデンシトメトリー図(粉末大立) 波長:λEx553nm;スリット :0.2X3mm; モード:透過リニアスキャンニング法;ス キャンニング速度:50mmjmin; チャート速度: 50mmjmin 子 分

(9)

昭和60年11

月(1

985年) - 35ー 4.0 3.8 3.6 1 :ミオグロビン (MW:17,201)

[

切 2 :ミオグロビン I十II(MW:14,632) ~." :~ :ミオグロビン 1(MW:8,235) -、『 .‘んごヘ、 3.4 1 :ミオグロビン II(MW:6,383) 5:ミオグロビンIII(MW:2 ,556) (i:ミオグロビン 1-}11(MW: 1,695) 3.2 3.0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 K<¥v 図

8

Sephadex G-lO による 6M塩酸グアニジン存在下でのポリペプチドの標準曲線 ンを溶媒とし,生大豆および丸大豆の蒸煮大豆,発酵 6時間, 20時間の各抽出液を塩酸グアニジン 6 Mお よび2-メJレカプトエタノール1労の濃度になるよう調 製したのち 600

C

,30分間で還元させた溶液についてゲ ルロ過を行い,ポリペプチドの標準曲線により分子量 の測定を行い,その結果を図

8

および図

9

に示した。 図

9

にみられるように生大立では分子量 17,000(1), 8, 100(2~ 5,300(3)の 3つのピークが溶出されるが,蒸 煮大豆では加熱によってピーク(1)のタンパク質および ピーク (2)のペプチドが減少するがピーク (3)が増加し, 新たに分子量 4,200のピーク (4)が溶出される。発酵 6 時聞になるとプロテアーゼによってタンパク質やペプ チドは水解されて,さらに(1)のピークは減少し代りに (2)および(3)のピークが増加し,分子量 3,600のピーク (5)が新たに溶出される。発酵20時聞になると著しく水 解が進み, (1)(2)のピークは減少し, (3)のピークは著 しく減少, (5)のピークは著しく増加し,新たに分子 量3,100(6), 3,000 (7), 2,300 (8), 1,600 (9)のピークが 溶出される。この結果lとみられるように発酵20時間に なると大部分のタンパク質が分子量 4,000以下のペプ チドにまで分解されているととが裏付けられる。 以上の結果より大豆中の水溶性タンパク質の発酵中 のフ。ロテアーゼによる水解は発酵 4時間以後急速に進 み,納豆になると一部のタンパク質は残存するが大部 分のものは分子量20,000---10,000のポリペプチドおよ び低分子のペプチドやアミノ酸にまで水解される。ま

(10)

食物学会誌・第

4

0

円 。 円 。

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5

1.0 図

9

S

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p

h

a

d

e

x

G-10

による

6M

塩酸グアニジン存在下でのゲ、jレロ過 分子量:

1

:

1.

7

X

1

0

4;

2

:

8

.

1

X

1

0

3;

3

:

5

.

3

X

1

0

3;

4

:

4

.

2

X

1

0

3;

5

:

3

.

6

X

1

0

3 ;

6

:

3.1X10

3; 7:

3

.

OX10

3;

8

:

2

.

3X10

3; 9:1.

6X10

3

0

.

6

0.4 0.2 1.0

0

.

8

0

.

6

0.4 0.2 方が各成分の変化が速く,今回の水溶性タンパク質の 水解過程と一致した。さらに今後旨味と関係するアミ ノ酸組成の変化についての検討が必要である。 納豆製造過程中の水溶性タンパク質の水解過程をゲ Jレロ過法,ポリアクリノレアミド電気泳動法を用いて明 らかにし,また大豆の形態の違いがタンパク質の水解 過程にどのような影響を与えるかを知るため丸大豆と 粉末大豆を使用して検討を行った結果は次のとうりで ある。 (1)

S

e

p

h

a

d

e

x

G-50

によるゲルロ過では発酵時間の 経過とともにKAVOに溶出されたタンパク質の大部分 約 要

I

V

た分子量推定やディスク電気泳動により丸大豆の発酵

2

0

時間のものと粉末大豆の発酵

1

4

時間のものの水解程 度はほぼ同じであると考えられる。 前報においてもほとんどの成分は発酵4時間までの 変化は少く,またエネルギー源である糖を添加して納 豆製造を行った場合にも粘質物の生成は発酵 4時間ま でほとんどおこらないと乙ろから,納豆菌の発芽や増 殖のためには温度

4

0

0

C

,湿度

8

0

形で最低

4

時間が必要 であると推察される。 また前報でのアミノ態窒素,アンモニア態窒素, pH,ビタミン B2,糖の各成分の増減は丸大豆の発酵

2

0

時間と粉末大豆の発酵

1

4

時間の植がほぼ等しく,形 態の違いにより丸大豆より表面積の大きい粉末大豆の

(11)

昭和60年11月(1985年) は水解され, KAVO.8付近に溶出されたタンパク質が 増加する。また一部のタンパク質は 280nmの紫外部 吸収をもっ低分子のペプチドやアミノ酸にまで分解さ れた。しかしゲルロ過では丸大豆と粉末大豆の違いを 明らかにする乙とは出来なかった。 (2) 蒸煮大豆,発酵2および4時間の水溶性タンパク 質は分子量100,000'"'-'10,000の広い範囲に分布し,発 酵6時間では40,000'"'-'10,000の範囲に分布する。発酵 時間の経過とともに分子量40,000近くのものは減少し, 20,000'"'-'10,000の範囲のポリペプチドが増加した。ま た丸大豆の発酵20時間と粉末大豆の発酵14時間のポリ ペプチドの分子量分布はほぼ同じであった。 以上の結果より,大立の形態の違いが納豆菌の繁殖 に影響を与え,表面積の大きい粉末大豆においてフ。ロ テアーゼ、の活性も盛んとなってタンパク質の水解が速 くすすみ,発酵14時間で納豆になることが明らかとな っfこ。 終りに試料大豆を御提供いただいた大阪ガス株式会 社に深く感謝致します。 - 37ー

参 考 文 献

1)池田ひろ,津野貞子:本誌, 39, 19, (1984) 2)渡辺篤二,中山修:農芸化学会誌, 36, 890, (1962) 3)越山育則,福島男児:栄養と食糧, 23, 297, (1971) 4)大塚一止,武恒子:新潟大学教育学部紀要, 18, 37

(1966) 5)斎尾恭子,若林昭,渡辺篤二:農芸化学会誌, 42, 2, 90, (1968) 6)浅野三夫,宮本義広,大久保一良,紫崎一雄:日 本食品工誌, 21, 262, (1974) 7)伊藤清技:栄養と食糧, 23, 196, (1971) 8)平宏和,姥名春枝,杉村敬一郎,桜井芳人:栄 養と食糧, 11, 351, (1958) 9)平春枝,平宏和,桜井芳人:栄養と食糧, 17, 219

(1964) 10)電気泳動学会編:電気泳動実験法,文光堂(1978)

参照

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次に、 (4)の既設の施設に対する考え方でございますが、大きく2つに分かれておりま