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第 20 章物流 インフラ 物流 インフラ 主要な国際空港と港湾の位置 図表 20-1 は メキシコの主要な国際空港として 5 空港 主要な港湾として太平洋側 2 港 大西 洋側 5 港の位置を表している 図表 20-1 メキシコの主要な国際空港と港湾 ( 出所 ) 各主要空港 主要港のウェブサイト

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第 20 章 物流・インフラ

物流・インフラ

主要な国際空港と港湾の位置

図表 20-1 は、メキシコの主要な国際空港として 5 空港、主要な港湾として太平洋側 2 港、大西 洋側 5 港の位置を表している。 図表 20-1 メキシコの主要な国際空港と港湾 (出所)各主要空港、主要港のウェブサイトより作成

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メキシコの投資環境

道路

メキシコはラテンアメリカにおいて第 2 位の道路距離を有し、道路総延長は 37 万 8,000km に達 する。地図に示す通り、メキシコシティ、グアダラハラ、モンテレイを中心とした主要都市は整 備された道路で結ばれている。また、米国、グアテマラへとつながる幹線道路も整備されており、 重要な陸送ルートとなっている。 図表 20-2 主要道路網 (出所)ProMéxico より作成 未舗装の道路が多い上、舗装されている道路も、雨季には冠水するものがあるなど、その質は 必ずしも良くない。都市と都市をつなぐ道路はその数が限られているため、通勤の時間帯には渋 滞が起きる。また、地下鉄やバスなどの公共交通機関の整備が進んでいる首都メキシコシティに おいても朝夕を中心に非常に激しい渋滞によって交通が麻痺することが交通インフラに関する課 題の一つとなっている。 また、交通渋滞が引き起こす騒音公害が市民の健康にも影響を及ぼすこ とが危惧されている。

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第 20 章 物流・インフラ メキシコシティ内の渋滞の様子 ひとくちメモ 17:メキシコシティの車両通行制限 メキシコ州とメキシコシティ(DF)は、排ガス規制が厳しく、週に一度の平日午前中と土曜日は、車 両の排ガスレベルにより同地域での運転が制限されている。ナンバープレートの末尾の数字と、それに 連動したステッカーの色で区分されており、具体的な制限の内容は下記の通り(2017 年 12 月時点)。 曜日 日 月 火 水 木 金 土 ナンバーの色 規制なし 黄 ピンク 赤 緑 水色 すべて ナンバーの末

尾数字 規制なし 5&6 7&8 3&4 1&2 9&0 すべて 該当する車両は、平日の 5:00AM-11:00AM と土曜日の 5:00AM-22:00PM はメキシコ州及びメキシコシ ティ内を通行できない。ただし、所定の排ガス試験を実施している場合、”Holograma”というシールを取 得できる。このシールの内容により、制限が緩和される。メキシコシティ在住の場合は、”00”、”0”の Holograma であれば制限なくどの曜日でも通行が可能だ。 排ガス試験の内容は州により異なるため、他州で取得した Holograma の場合は、メキシコシティ及び メキシコ州の協約により、Holograma が共通で認定される場合がある。例えばケレタロ州の場合”00”の Holograma を有していれば、メキシコシティ及びメキシコ州のいずれも制約なしで通行することができ る。しかし、”0”の Holograma の場合は、上記に該当する日はメキシコシティでは通行不可である(メキ シコ州内は通行可)。そのため、各州での協約の有無を確認する必要がある。制限措置の内容は変更・追

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メキシコの投資環境 加されることがあるので、注意が必要である。Holograma の有効期間は、新車購入の場合は 2 年であり、 それ以降は半年ごとの更新となる。ディーラーが手続きを代行してくれることも多い。 (参考リンク:https://www.hoy-no-circula.com.mx/calendario#alert-click) (写真:ケレタロ州の Holograma 00 出所: ケレタロ州 WEB サイトより) ひとくちメモ 18:運転免許の取得 メキシコにおける運転免許の取得方法は、地域によって異なる。 メキシコシティでは、2003 年に運転免許試験の制度が廃止され、住所証明(公共料金の領収書など)、 身分証明と手数料のみで取得が可能であったが、2018 年から学科試験が導入される見通しである。しか しメキシコでは、実施時期を事前に特定することは難しい。 イラプアトでは、択一式の学科試験が課される。問題文は英語とスペイン語の選択が可能だ。ケレタ ロの場合は学科試験に加え、実技試験も行われる。免許センターの敷地外周を回る、パイロンをスラロー ムするなど、5 分程度試験官の指示に従って運転をする。実技試験用の車両は自分で用意しなければな らないので注意が必要だ。レオンでも同様に、学科と実技の試験が課される。さらに、健康診断書と日 本の運転免許の提出が必要だ。 ひとくちメモ 19:メキシコ版 ETC メキシコの有料高速道路にも、IAVE と呼ばれる、日本の ETC のようなシステムがある。料金所で専用 レーンを通過すると自動決済されるのだが、通過の際には”TAG”と呼ばれるカード(といっても厚みが 5mm 程度ある)を利用する。ただ持って乗車しているだけではだめで、通過時には TAG をかざしてフロント ガラスに密着させるようにして通信させる。TAG には、コンビニやスーパー等で事前にチャージする前 払い方式と、利用のたびにクレジットカードで決済する後払い方式がある。現物は、コンビニ、Office Depot、Sanborns 等の店舗で購入が可能だ。いずれの場合も、Web サイトから履歴と電子インボイス (FACTURA)を入手できるため、経費精算が必要な場合にはとても便利である。 (参考写真:TAG)

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第 20 章 物流・インフラ

鉄道

近距離の通勤用と観光向けに一部乗客輸送も存在するが、メキシコの鉄道はほぼ貨物輸送向け である。貨物用鉄道の運営会社には Ferromex(フェロメックス)、KCSM(カンザス・シティ・サ ザン・ド・メキシコ)、Ferrosur(フェロスール)の 3 社があり、マンサニージョ、ラサロ・カルデ ナス、コアツァコアルコス、ベラクルス等主要な工業都市を通り、米国やグアテマラにも繋がっ ている。 図表 20-3 主要鉄道網 (出所)ProMéxico より作成 政府は 2012 年に、メキシコシティ=トルーカ(メキシコシティの近郊都市)間高速鉄道プロ ジェクト、メキシコシティ=ケレタロ間高速鉄道プロジェクト、ユカタン半島横断鉄道プロジェ クトの 3 つの高速鉄道プロジェクトを発表した。しかし、2015 年にメキシコ経済の停滞を受け、 汚職問題を理由に入札のやり直しとなっていたメキシコシティ=ケレタロ間鉄道プロジェクトは 無期限の延期となり、ユカタン半島横断鉄道プロジェクトも中止となった。他方、メキシコシティ =トルーカ間に関しては、進捗に遅れは出ているものの 2018 年に完成予定である。

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メキシコの投資環境 ひとくちメモ 20: 陸上輸送の留意点 メキシコにおいては、鉄道網、道路網ともに、主要な工業都市、港、そして米国や南米の入り口とな るグアテマラに繋がっており、原材料の調達や製品の陸上輸送に便利な環境が比較的整っているといえ る。メキシコに進出している企業は、自社の輸送したいものの大きさや重さ、輸送の頻度、輸送場所に よって鉄道とトレーラーを使い分けているが、どちらの輸送方法にもメキシコ特有のトラブルは発生す るようだ。 ある企業では、輸送コストの低い鉄道を使いたかったが、自社周辺の貨物駅の稼働がスムーズでなく、 コンテナがいっぱいになるまで輸送が行われない時があるなどの事情から、トレーラー輸送を選択して いるとのことだった。 一方で、トレーラー輸送につきものなのがトレーラー強盗だ。メキシコでは、積載している荷物を強 奪される、または、トレーラーそのものを奪われるという犯罪が頻発している。被害に遭う貨物は電子 機器から食品、鋼板に至るまで様々で、各社は貨物向けの保険に入る、警備のエスコート車両を帯同さ せるなどの対策を採っている。また、これらの強盗の中には、内通者がいなければ成り立たないような ものもあるため、運転手など荷積みの作業員に貨物の中身を教えない、輸送ルートや輸送時間も直前ま で伝えないなどの工夫をしているケースも多い。 一見、整備が進んでおり便利に見えるメキシコにおける陸送だが、上記のような留意点があることを 認識し、自社に合った輸送方法を選ぶとともに、輸送費そのもの以外に治安対策のために追加で費用が 発生することを見込んでおく必要がある。

港湾

太平洋、大西洋の 2 つの大洋に 9,000km を超える海岸線を持つメキシコにおいて、海上輸送は 輸出入を支える重要な輸送手段となっている。太平洋岸の主要な港湾にはマンサニージョ港 (29,205 千トン)、ラサロ・カルデナス港(27,086 千トン)、大西洋岸にはドス・ボカス港(29,202 千トン)、コアツァコアルコス港(27,934 千トン)、カヨン・デ・アルカス港(27,910 千トン)、ベ ラクルス港(24,499 千トン)、アルタミラ港(17,720 千トン)などがある。 図表 20-4 主な太平洋側・メキシコ湾側別の港湾取扱貨物量(2016 年) 港湾(太平洋側) 貨物(トン) 2016 港湾(大西洋湾側) 貨物(トン) 2016 国際 国内 合計 国際 国内 合計 1 マンサニージョ (コリマ州) 25,938,335 3,267,544 29,205,879 1 ドス・ボカス (タバスコ州) 25,808,515 3,393,744 29,202,259 2 ラサロ・カルデナ ス (ミチョアカン州) 22,518,774 4,567,623 27,086,397 2 コアツァコアルコ ス (ベラクルス州) 23,074,336 4,859,973 27,934,309 3 サリナ・クルス (オアハカ州) 8,003,314 6,386,641 14,389,955 3 カヨン・デ・アル カス (カンペチェ州) 27,655,350 255,183 27,910,533 4 イスラ・デ・セデ ロス (バハ・カリフォ ルニア州) 6,865,115 7,120,445 13,985,560 4 ベラクルス (ベラクルス州) 22,678,517 1,820,719 24,499,236

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第 20 章 物流・インフラ 港湾(太平洋側) 貨物(トン) 2016 港湾(大西洋湾側) 貨物(トン) 2016 国際 国内 合計 国際 国内 合計 5 ゲレーロ・ネグロ (バハ・カリフォ ルニア・スル州) 0 7,177,236 7,177,236 5 アルタミラ (タマウリパス 州) 17,605,974 114,492 17,720,466 6 グアイマス (ソノラ州) 4,536,055 2,235,183 6,771,238 6 トゥスパン (ベラクルス州) 13,961,366 371,503 14,332,869 7 トポロバンポ (シナロア州) 3,885,936 2,876,810 6,762,746 7 プンタ・ベナード (キンタナ・ロー 州) 10,211,194 1,067,684 11,278,878 8 マサトラン (シナロア州) 2,395,852 2,217,483 4,613,335 8 タンピコ (タマウリパス州) 5,461,001 1,576,692 7,037,693 9 クユトラン (コリマ州) 3,609,441 0 3,609,441 9 プログレソ (ユカタン州) 2,837,004 1,576,692 7,037,693 10 エンセナーダ (バハ・カリフォ ルニア州) 2,150,834 717,376 2,868,210 10 コスメル (キンタナ・ロー 州) 0 808,093 808,093 (出所)ProMéxico より作成 太平洋岸では、メキシコシティに最も近く、メキシコの最大の港であるマンサニージョ港が周 辺用地の狭さと拡張が困難な地形的な事情によりコンテナの輸送需要に応えられなくなりつつあ る。マンサニージョ港は新たにトンネルの建設を進めており、この完成により従来 1 日 4 回まで に制限されていた列車による港湾へのアクセスが、1 日を通じてアクセスすることができるよう になり、港湾の出と入りの取引量が倍増以上に増加することが期待されている。 一方で、ラサロ・カルデナス港が広大な敷地を活かしてその需要を取り込み、また徐々にコン テナ、自動車等の取扱量を増やすなど、その存在感を増している。

航空

メキシコ国内には 2016 年時点で 64 の国際・国内空港と 12 の国内空港が存在する。乗客数・貨 物量ともに最大の空港はメキシコシティ国際空港であり、乗客数では続いてカンクン国際空港、 グアダラハラ国際空港、貨物量ではグアダラハラ国際空港、モンテレイ国際空港となっている。 図表 20-5 メキシコ空港ランキング(乗客数、貨物量別)(2016 年) 順位 都市名 乗客数 (千人) 順位 都市名 貨物量 (千 kg) 1 メキシコシティ 41,655 1 メキシコシティ 475,747 2 カンクン (キンタナ・ロー州) 20,794 2 グアダラハラ (ハリスコ州) 172,324 3 グアダラハラ (ハリスコ州) 11,250 3 モンテレイ (ヌエボ・レオン州) 44,479 4 モンテレイ (ヌエボ・レオン州) 8,852 4 ティファナ (バハ・カリフォルニア州) 22,904 5 ティファナ (バハ・カリフォルニア州) 6,331 5 カンクン (キンタナ・ロー州) 21,571

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メキシコの投資環境 順位 都市名 乗客数 (千人) 順位 都市名 貨物量 (千 kg) 6 サン・ホセ・デル・カボ (バハ・カリフォルニア・スル州) 4,129 6 トルーカ (メキシコ州) 21,404 7 プエルト・バジャルタ (ハリスコ州) 3,932 7 サン・ルイス・ポトシ (サン・ルイス・ポトシ州) 21,141 8 メリダ (ユカタン州) 1,942 8 メリダ (ユカタン州) 19,217 9 クリアカン (シナロア州) 1,674 9 エルモシージョ (ソノラ州) 15,673 10 グアナファト(シラオ-レオン) (グアナファト州) 1,611 10 ケレタロ (ケレタロ州) 13,235 (出所)ProMéxico より作成 メキシコシティ国際空港は、ラテンアメリカで最も乗客数が多い空港である。2010 年以降にお いて乗客数は国内便、国際便ともに増加傾向にあり、2016 年には年間乗客数 4,171 万人(内国際 便は 1,405 万人)を記録した。また、取扱貨物量は 2013 年以降一貫して増加傾向にあり、2016 年 には 483 千トンとなっている。 図表 20-6 メキシコシティ国際空港における国内・国際空港の取扱貨物量と乗客数の推移 項目 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 取扱貨物量 (千 kg) 国内 84,846 81,953 78,666 63,678 67,341 82,100 91,820 国際 308,228 329,502 318,351 312,911 331,214 364,814 391,613 合計 393,074 411,455 397,017 376,589 398,555 446,914 483,433 乗客数 (千人) 国内 15,587 17,461 19,678 20,900 22,753 25,674 27,654 国際 8,543 8,907 9,813 10,634 11,502 12,758 14,056 合計 24,130 26,368 29,491 31,534 34,255 38,433 41,710 (出所)Aeropuerto Internacional de la Ciudad de México より作成

図表 20-7 メキシコ国内の国内・国際空港における取扱貨物量と乗客数(2015 年) 項目 国内 国際 計 レギュラー チャーター レギュラー チャーター 便数(千便) 418 7 326 11 762 貨物(千 kg) 130,221 20,308 525,231 19,292 695,052 乗客数(千人) 37,139 135 36,126 1,460 74,859 (出所)メキシコ情報交通省より作成 こうした豊富な需要を受け、既存の空港施設は十分ではなくなった。そこでメキシコ政府 SCT は、既存のメキシコシティ国際空港とは異なる場所に新たに空港を建設し、ラテンアメリカにお ける最大の空港の建設に向けて 2014 年 9 月に 92 億ドルを割り当てたことを発表した。新空港は、 年間 5,000 万人の乗客を処理する容量が確保される予定である。新空港は第一段階では既存の空 港の 2 倍の容量を持ち、最終的には 4 倍を処理できるようになる。

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第 20 章 物流・インフラ

通信

ペニャ・ニエト政権では、主要改革で通信改革が提唱されて以降、国内通信市場、地上波放送 の寡占問題、インターネット・アクセスの低さ、高額な通信料金等の問題に対する改革が実施さ れてきた。2013 年 6 月に改正憲法が発効され、インターネット・アクセスが憲法で保障された国 民の権利となるとともに、2014 年以降に出された関連法発効により、外資参入の出資比率の引き 上げやシェア率の上限が設定された。また、Mexico Conectado と呼ばれる政策を打ち出し、病院、 大学、政府機関、公園等の公共の場で、無料のインターネット・アクセスを提供するようになっ た。Mexico Conectado の主要な目的は、10 万以上の場所で低所得層にブロードバンド・インター ネットを無料提供することにより、デジタル格差を是正することにあった。 メキシコにおける固定電話の契約数は 2015 年時点で 19 百万件台であり、普及率は 15.9%にと どまっている。また、直近の 5 年間において大きな増加はみられない。固定電話の事業者は、加 入者の多い順からテルメックス社、モビスター・メキシコ社、アクステル社、メガケーブル社で ある。近年では、ケーブル事業者も固定通信市場に参入しており、トリプルプレイの一環として 電話サービスも提供している。 一方、携帯電話の契約数は 1 億件を超えており、85.3%の普及率になっている。携帯電話の主な 事業者は、テルセル社、モビスター・メキシコ社、イウサセル社、ネクステル・メキシコ社等であ り、3G 方式や LTE 方式によるサービスを提供している。 インターネットの普及も進みつつある。固定ブロードバンドの加入者数は、2010 年において 11 百万件程度だったものが、2015 年には約 14 百万件まで増加している。ブロードバンド接続方式 では、ADSL のほか、ケーブルモデムや WiMAX、光ファイバーも提供されている。ADSL を提供 している主な事業者はテルメックス社、アクステル社である。

水環境 メキシコの年間平均降水量は 771 ミリメートルであり、降雨は 6 月から 9 月に集中しており、 雨季と乾季の降水量の差は大きい。また、地域による降水量の差も激しく、タバスコ州、チアパ ス州、コリマ州、ベラクルス州、カンペチェ州など南部の州の降雨量が 1.5 ミリメートルを超えて いるのに対し、バハ・カリフォルニア州、バハ・カリフォルニア・スル州、ソノラ州等工業地帯の 多い北部の州では 500 ミリメートル未満となっている。その結果、一人あたり水資源は人口や産 業が比較的集中している北部では約 1.9 千 m3/年であるのに対し、水資源の豊富な東南部では約 13 千 m3/年となっている。水資源の総供給量は年間約 800 億 m3で、農業・牧畜用が最も多く 77%、 都市の住民向けが 14%、発電用が 5%、産業用が 4%程度となっている。 水インフラ 安全な飲料水へのアクセス率は、地方部で 1990 年代に 51.2%であったものが 2010 年には 75.7% に、都市部では 1990 年に 89.4%であったものが 2010 年には 95.6%に改善している。2010 年時点 における飲料水カバレッジは、メキシコ全体で 90.9%である。

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メキシコの投資環境 図表 20-8 安全な飲料水と衛生的な住環境へのアクセス率 区分 1990 1995 2000 2005 2010 地方 51.2% 61.2% 68.0% 70.7% 75.7% 都市 89.4% 93.0% 94.6% 95.0% 95.6% 全国 78.4% 84.6% 87.8% 89.2% 90.9%

(出所)Statistics on Water in Mexico (2015 Edition)より作成

浄水場は 2000 年以降飛躍的に施設数を増やしており、2000 年に 336 施設であったのが、2006 年に 491 施設、2012 年に 699 施設、2016 年には 881 施設となり、処理能力も飛躍的に上昇してい る。他方、上水道システムにおける総生産量のうち、徴収済みの量はわずか 43%のみであり、36.7% が漏水、請求済みで未徴収の量・使用者名簿の不備、非合法な使用等が 20.3%と十分に効率的な運 用になっていない。また、2015 年 12 月における国内の下水設備普及率は 91.4%であり、およそ 1 千万人が下水道サービスを受けられていない。 図表 20-9 稼働中の浄水施設・下水設備 年 浄水施設 下水設備 処理施設数 処理能力 (l/s) 上水流量 (l/s) 処理施設数 集められた 水量(㎥/s) 処理された 水量(㎥/s) 2000 336 105,003 78,319 793 200 45.9 2006 491 118,138 85,399 1,593 206 74.4 2012 699 135,135 96,446 2,342 210.2 99.7 2013 742 137,809 94,792 2,294 211 105.9 2014 779 138,045 96,275 2,337 210.9 111.2 2015 874 140,739 97,896 2,477 212 120.9 2016 881 141,513 98,413 2,560 213 122.7

(出所)Comisión Nacional del Agua 資料より作成

工業用水道料金はメキシコシティ市では 1 m3およそ 1.19 ドル~4.37 ドル(使用量によって 1 m3 あたりの料金が異なる)、モンテレイ市では、1 m3あたり 0.08 ドル~52 ドル(使用量によって 1 m3あたりの料金が大幅に異なる)となっており、自治体によっても使用量によっても料金体系が 大きく異なっている。 国家水委員会によると、メキシコにおける水インフラに関する課題として、環境面では、行き 過ぎた帯水層の汲み上げ、地表及び地下水の水源の枯渇、水源の汚染を挙げ、行政管理面では、 施設全体が全体的に低効率であること、漏水による遺失が大きいこと、管理者が頻繁に交代する こと、不適切な料金体系であることを挙げている。また、財政面に関しては、旧式のインフラの 費用対効果が悪い点、予算が不足している点、また給水における低い徴収率等が問題となってい る。

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第 20 章 物流・インフラ

電力

メキシコの電力総需要は 2000 年以来伸び続け、電力消費量は 1990 年比では 3 倍弱の増加率を 記録し、IEA によると、電力需要は今後も増加していくと予想されている。他方で、1 人あたりの 電力消費量は OECD 平均の 40%未満であり、さらなる成長の余地が残されている。1990 年におい ては、全体の約 54%を石油に依存していたものの、2014 年には約 11%にまで縮小した。一方で、 天然ガスによる発電量が増加し、2014 年には全体の 57%にまで達している。 また、非化石燃料発電は総発電量の約 5 分の 1 を占めるまで拡大しており、水力発電と風力発 電の占める割合が増加している。 図表 20-10 1990 年と 2014 年のメキシコにおけるエネルギーミックス比率 1990 年 2014 年 発電量 (TWh) 比率 (%) 発電量 (TWh) 比率 (%) 石炭 8 7% 34 11% 石油 62 54% 33 11% 天然ガス 14 12% 172 57% 原子力 3 3% 10 3% 水 23 20% 39 13% バイオ 0 0% 1 0% 風力 0 0% 6 2% 地熱 5 4% 6 2% 太陽光 0 0% 0 0% 計 115 100% 301 100%

(出所)IEA Mexico Energy Outlook 2016 より作成

図表 20-11 メキシコの電力需要予測推移(2020 年以降は予測値)

(出所)IEA Mexico Energy Outlook 2016 より作成 0 100 200 300 400 500 600 1990 2014 2020 2025 2030 2035 2040 (TWh) (年) 石炭 石油 天然ガス 原子力 水 バイオ 風力 地熱 太陽光 その他

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メキシコの投資環境 メキシコ政府は、2013 年に制定した包括的なエネルギー改革によって大きな変化の時期を迎え ている。この改革により、80 年以上にわたってエネルギーを生産、管理、統治してきた Petróleos Mexicanos(PEMEX)の財政・組織改革や連邦電力庁(CFE)の強化にも乗り出し、エネルギーコ ストの削減や効率化を目指している。最も大きな改革は PEMEX の独占を終わらせ、新しいプレ イヤーに電力部門へ参画してもらい、新たな投資と技術の導入することである。これにより、メ キシコ湾のエネルギーの探索・発掘は憲法が定める国営企業に独占されていたものが、本エネル ギー改革により外資企業であっても民間とのライセンス契約、生産物分与契約が可能になり、精 製や石油化学、輸送、貯蔵においても民間企業に対して操業許可を付与するなど参入の余地が大 幅に拡大している。 さらに、メキシコは第 21 回 COP21 会議に先立ち気候に関する公約を世界に示し、そのクリー ンエネルギーに係る目標を国内法に組み込むなど、積極的な姿勢を示している。メキシコにおけ る風力発電と太陽光発電は初期段階であり、今後成長すると期待されている。政府は将来的な需 要を見込み風力発電や太陽光発電など、再生可能エネルギーの導入を積極的に奨励している。 また、電力需要に対する供給量は十分ではないものの、近年では大規模な停電や計画停電が起 きることはあまりない。ただし、大雨や落雷の影響で短時間の停電は発生するため、自家用発電 機を備えている企業が多い。 図表 20-12 中南米主要都市における業務用電力料金の比較(2017 年) 都市名 業務用電力料金 メキシコシティ、アグアスカリエンテス、ケレタロ、 サン・ルイス・ポトシ (メキシコ) 月額基本料 12 ドル 1kWh あたり料金 0.08 ドル モンテレイ (メキシコ) 月額基本料 11 ドル 1kWh あたり料金 0.07 ドル サンパウロ(ブラジル) 月額基本料 1.96 ドル 1kWh あたり料金 0.117 ドル ブエノスアイレス(アルゼンチン) 月額基本料 5.21 ドル 1kWh あたり料金 0.04 ドル リマ(ペルー) 月額基本料 6.3 ドル 1kWh あたり料金 0.37 ドル~0.42 ドル サンティアゴ(チリ) 月額基本料 1.11 ドル~1.90 ドル 1kWh あたり料金 0.107 ドル~0.013 ドル (出所)ジェトロ「投資コスト比較」より作成

図表  20-7    メキシコ国内の国内・国際空港における取扱貨物量と乗客数(2015 年)  項目  国内  国際  レギュラー  チャーター  レギュラー  チャーター  計  便数(千便)  418  7  326  11  762  貨物(千 kg)  130,221  20,308  525,231  19,292  695,052  乗客数(千人)  37,139  135  36,126  1,460  74,859  (出所)メキシコ情報交通省より作成  こうした豊富な需要を受け、既存の空
図表  20-11  メキシコの電力需要予測推移(2020 年以降は予測値)

参照

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