• 検索結果がありません。

なに電力を送り届ける部門である 2 法的分離 3 部門 送電部門を別会社として分離するが 子会社 持株方 電力会社の送電ネットワークに電力を託送して 自由 式 でも可とする形態であり 持株会社などを通じ 資 化対象となっているに調達した電力を供給する部 本関係を保ちながら送電部門と部門を分社化すると

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "なに電力を送り届ける部門である 2 法的分離 3 部門 送電部門を別会社として分離するが 子会社 持株方 電力会社の送電ネットワークに電力を託送して 自由 式 でも可とする形態であり 持株会社などを通じ 資 化対象となっているに調達した電力を供給する部 本関係を保ちながら送電部門と部門を分社化すると"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

 33

1. はじめに

 電力自由化の先進国である諸外国の事例について紹介 するとともに,日本における電力自由化のこれまでの歩 みと,2016年4月の電力小売全面自由化がもたらす効果 や新たな電力供給ビジネスの可能性について考察した。

2. 電力自由化とは

2.1 電力供給システムの構成  図1に国内の電力供給システムの概要を示す。火力, 水力および再生可能エネルギー等で発電した電力は,一 次変電所を経由して大規模工場などの消費者に供給され, 配電用変電所を経由して中規模工場やコンビニ・一般家 庭などの消費者に供給される。この電力供給システムで は, ◦発電部門(発電所の運営) ◦送配電部門(発電所から消費者までの電力の供給) ◦小売部門(消費者への販売) の3つの部門に分類されている。  電力小売全面自由化は,小売部門において需要家の規 模によらず,企業が自由に新規参入できるようになるこ とである。なお,発電部門はすでに原則参入は自由であ り,安定供給を担う送配電部門は政府が特別に許可した 企業以外は参入不可である。  ここで,各部門の概要を以下に示す。

電力自由化の動向と

新たな電力供給ビジネス展開

EHS&S 研究センター上級研究員 兼 エネルギー技術部担当部長

  山 根   宏

エネルギー技術部長

  三 野 正 人

1)発電部門  電気エネルギーを発生して送り出すところが発電所で あり,①水力発電,②石炭,石油,天然ガス等による火 力発電,③ウラン,プルトニウム等による原子力発電, ④太陽光,風力,潮汐力等を利用した再生可能エネルギ ーによる発電が想定される。発電部門はこのような発電 所を運営する部門である。 2)送配電部門  発電所で発電した電力を需要地に輸送するため,発電 機から電気を最初に送り出す経路にある電線路や設備を 送電設備と呼び,送電設備の中心となるのは送電線路と これらを結ぶ変電所である。送電は発電所と変電所をつ なぐ,また変電所と変電所をつなぐ主要区間で電力を送 ることを示している。  また配電とは,発電所から送電線を経て電力を輸送す るシステムの中で,配電用変電所出口から電力の需要家 へ,直接電力を送り届けることを示している。これらの 区間の電圧変化を図2に示す。送配電部門は,このよう Keyword:送配電分離,電力小売全面自由化,米国・欧米,電力料金,再生可能エネルギー 図1 国内の電力供給システムの概要 出典:経済産業省資料,2015年11月 発電所 一次変電所 送配電部門 発電部門 送配電線 小売部門 配電用変電所 【消費者】 コンビニ・一般家庭など 【消費者】 中規模工場など 【消費者】 大規模工場など 図2 発電所から需要家までの電圧変化 発電所 変電所 変電所 変電所 配電用変電所 6,600V 送電線 6万6,000V 送電線 15万4,000V 送電線 2万2,000V 発電機 27万5,000V 50万V 送電線

(2)

2)法的分離  送電部門を別会社として分離するが,子会社(持株方 式)でも可とする形態であり,持株会社などを通じ,資 本関係を保ちながら送電部門と発電部門を分社化すると いうものである。自由競争部門と規制部門が別会社化さ れることから,会計分離と比較すれば経営・利益処分の 自由度は高まるが,別法人化された各部門が同一グルー プ内にあるため,分離効果は限定的といえる。 3)機能分離

 独立系統運用機関(ISO:Independent System Operator) という中立組織が系統安定運用を実施する形態であり, 発電・送電部門間の情報交換を遮断させるもので,送電 線の所有権は残したまま,運用を中立組織に委ねるとい うものである。この中立組織(以下,ISOとする)に送 配電部門の運用機能を移管するため,中立性確保の度合 いは大きい。 4)所有権分離  送電部門の資産保有も別会社に分離する形態であり, 「送電部門全体を資本関係を含めて完全に別会社化」す ることから,中立性確保の度合いは最も高いと思われる。  以上のように分離形態は種々あるが,発電部門,送電 部門,小売部門を完全分離して,それぞれの部門で競争 原理を適用できる状態にすることが電力の全面自由化と いわれている。

3. 海外の電力自由化事例

 本章では,国内の電力自由化の参考となった海外の電 力自由化先進国の例について述べる2)。  欧米諸国の電気事業は,もともとは発送電一貫体制に よる垂直統合型事業者が管轄区域内の電力供給を行って きたが,石油危機以降の景気低迷に対応する公益事業の 民営化や規制緩和といった経済対策等を背景として,発 電・小売供給部門の自由化,電気事業の経営効率化,電 気料金の低廉化等への期待が高まり,発電・ 小売供給部門への競争原理が導入されるに至 った。  ここでは,電力自由化の先進国である米国, 欧州(英国・フランス),ならびにアジアに おいて電力事情(電源構成)が日本と似てい る韓国の事例を紹介する。 3.1 米国の電力自由化状況  米国においては,連邦エネルギー規制委員 会(FERC:Federal Energy Regulatory Com-mission)が1998年4月に制定した規則(オ ーダー888)によって,電気事業者が 新規参 入した独立系発電事業者(IPP:Independent Power Producer)に送電サービスを差別な な需要家に電力を送り届ける部門である。 3)小売部門  電力会社の送電ネットワークに電力を託送して,自由 化対象となっている需要家に調達した電力を供給する部 門である。 2.2 発送電分離の形態  ここでは,電力自由化を推進する際に重要なポイント となる発電・送電部門の分離方法について述べる。  資源小国である日本がエネルギー自給率を高めるには, 主たるエネルギーを化石燃料から太陽光発電,風力発電, 水力発電等の再生可能エネルギーへシフトしていく必要 がある。これら再生可能エネルギー発電事業者が発電し た電力を需要家に届けるには,既存の電力会社の送配電 部門が所有する送・配電線を借りることになる。その際 に送配電部門に利用料金を支払うことになる。別部門と はいえ,発電部門と送配電部門が同じ電力会社の一部だ と,新規参入の再生可能エネルギー発電事業者に対して 不当な扱いが懸念される。また,新規参入者が送電・配 電設備を新たに設置することは極めて困難である。  これらの懸念から,発電部門や小売部門と同様に,既 存の電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」 の方針が示された1)。  以上のような背景から,日本国内においては,図1に 示した発電部門,送配電部門,小売部門を分離する4つ の形態が考えられており,それらの形態とその分離度合 いを図3に示している。  それぞれの分離形態は以下の通りである。 1)会計分離  1つの会社の中で,送電部門に関する会計を分離する 形態である。同一会社内に「発電部門」「送電部門」「配 電部門」「小売部門」が存在するため,中立性・公平性 確保の度合いは低くなる。 図3 日本国内における発送電分離の形態と分離度合い ① 会計分離 ② 法的分離 ③ 機能分離 ④ 所有権分離 低い 分離度合い 高い ① 会計分離 ② 法的分離 発送電分離 の 形態 ③ 機能分離 ④ 所有権分離 小売 小売 小売 小売 発電 送電 発電 送電 発電 送電 発電 送電 持株会社 持株会社 1つの会社の中で部門ごとに 会計を別にする 送電線の所有権は残したまま, 運用を中立組織に委ねる 持株会社方式で各部門を別会計化 送電部門を外部に売却 中立組織

(3)

 35 く提供することや送電部門の機能分離が義務付けられた。 また ,系統運用を行うISOを設立することも奨励された。  この結果,州レベルでの小売電力市場の自由化,既存 事業者による発電設備の売却,ISOの設立といった電力市 場の変化が生まれた。その一方で,卸電力取引の増加に よる市場取引の混乱,卸電力価格の高騰といった問題も 発生した。このため,供給の安定を確保する地域規模で の発送電システムの調整や送電設備の計画・運用の重要 性が指摘され,地域で一元的に系統運用・計画を行う地 域送電機関(RTO:Regional Transmission Organization) の設立を求める新たな規則(オーダー2000)が1999年12 月に制定された。  ここでは,米国北東部での例を記述する。  北東部地域(図4)では,FERCの提唱するRTOを設 立している地域が多い。PJM RTOは1927年にペンシル ベニア州(P),ニュージャージー州(J),メリーランド 州(M)を跨って広域取引を行うパワープールが設立さ れたことに起源があり,1993年法人化,1997年ISO化, 2001年RTO化している。現在は13州・1特別区を跨っ て系統運用を行うRTOとなっている。  小売市場が自由化されている,いないにかかわらず, いずれの州においても最終消費者に供給される電力は, 卸電力市場(独立系発電事業者や組織的卸電力市場)か らの購入か,電気事業者の自社発電,あるいはその2つ の組み合わせによって調達される(図5)。 3.2 英国の電力自由化状況  英国はもともと化石燃料資源に恵まれた国で,石炭に 加え石油危機後に開発された北海からの石油,天然ガス が賦存する。発電には従来,石炭が使用されてきたが, 1990年からの電力自由化・民営化後はガス火力が増加し た。しかし2000年に入って,石油・天然ガス資源の将来 的な枯渇が予想されはじめると,原子力,再生可能エネ ルギーの開発に力を入れるようになった。2010年時点で は,46%がガス火力,32%が石炭火力,原子力発電が18 %を占めている(図6)。  英国は1990年に国有電気事業者を分割・民営化すると ともに,世界に先駆けて電力自由化を実施した。  1990年と2001年の2段階で規制改革を実施したが, 1990年の改革では国営電力会社の発送電分離と電力プー ル市場の導入を実施,2001年の改革ではプール市場が廃 止された。現在,卸市場は先渡し市場が中心で,私設取 引所の利用は少なく,6大グループの寡占市場となって いる(図7)。  電気料金は自由化・民営化の進展に伴い,1990年代は 低下したが,国内ガス田の枯渇,国際的なエネルギー価 格の高騰,さまざまな地球温暖化対策などの影響で, 2000年代半ばから急上昇している。 3.3 フランスの電力自由化状況  フランスは国内に化石燃料資源が乏しいことから,1970 図5 米国PJM RTOの電力供給システム(規制改革後) 図7 英国の電力供給システム(現在(2001年以降)) 出典:経済産業省資料 出典:経済産業省資料 ◦ PJM RTOエネルギー市場を通じた系統運用を実施(全面プール型) ◦ 民間電力会社は概ね小売自由化対象で,公営・協同組合営は小売自由化対象外 図4 米国PJM RTOの系統運用範囲

7つのISO/RTOは,California ISO,ERCOT(Electric Reliability Council of Texas),ISO-NE(New England),MISO(Midcontinent ISO),NYISO(New York ISO),PJM Interconnection,SPP(Southwest Power Pool)

出典:FERCの情報をもとに作成 MISO ISO-NE California ISO NYISO PJM Interconnection SPP ERCOT 輸入 発電会社 主要電力会社発電部門 発電部門 送電部門 配電部門 小売部門 PJMエネルギー市場を通じた系統運用 送電設備所有者 主要電力会社系配電部門 主要電力会社系小売部門 新規参入者 規制需要家 規制市場 自由化対象需要家 自由化市場 公営・協同組 合営配電会社

出典:ENTSO-E「System Adequacy Retrospect」 図6 英国の電源構成 発電電力量 (2010年) 石炭 原子力 ガス 石油ほか 風力 水力 32% 46% 0.7% 1.0% 2% 18% 3,214億 kWh 現在 (2001年以降) 発電部門 (卸電力取引) 卸電力取引所(APXUK) トレーダー, ブローカー 送電部門 配電部門 小売供給部門 需要家 送電会社(National Grid) 配電会社 供給会社(アグリゲーター等) 需要家 発電会社

(4)

年代の第一次石油危機を契機に大規模な原子力発電の開 発を行った。その結果,国内総発電量の75%を原子力が 占める世界第2の原子力発電大国となっている(図8)。  フランスの電気事業は従来,国有フランス電力公社 (EDF:Électricité de France)が発送配電一貫の垂直統 合型事業者として独占的に電力供給を行ってきた。しか し,1990年代後半からEUでの動きを受けて国内でも電 力自由化が実施され,EDFは株式会社化された。また, 送電,配電は法的分離され子会社化された(図9)。  電力市場は段階的に自由化され,2007年には全面自由 化された。しかし,EDFが発電コストの安い原子力発 電設備を保有していることで新規参入が進まないことか ら,2011年からはEDFの原子力発電電力を一部,新規 参入者に原価で卸売りする制度が導入された。2010年に は新規参入者は約20社程度存在しており,産業用の販売 シェアは21%,家庭用で7%程度である。  また,フランスには自由化後も規制料金が残っていた が,2015年 には家庭用を除いて廃止された。フランス の電気料金は,EU諸国の中で量も安い部類に入る。 3.4 韓国の電力自由化状況  韓国は化石燃料資源に乏しく,大部分を輸入に依存し ており,発電では輸入燃料による火力が66%(石炭41%, ガス20%,石油5%)を占める。そのため,韓国は自給 率の向上を目指し,原子力発電の開発を積極的に進めて きており,原子力発電比率はすでに31%に達している。 また近年は地球温暖化対策のため,より一層原子力開発 を進めるとともに,省エネ,再生可能エネルギーの開発 にも取り組んでいる(図10)。  電気事業は従来,国有企業の韓国電力公社(KEPCO: Korea Electric Power Corporation)が発送電一貫の独占 供給を行っていたが,2001年に経済構造改革の一環とし て電力自由化が実施された。その結果,KEPCOの発電 部門は6社に分割・子会社化され,残りの送電,配電お よび供給部門はKEPCO本体が引き続き保持することに なった。また,卸電力市場が創設され,IPPが参入した (図11)。電気料金は,政府が産業政策の観点から値上げ 幅を抑え込んでいるため低い水準となっているが,その 結果,KEPCOは赤字経営に陥っている。また,電気料 金水準が低い中,最大電力は増大を続けており,将来, 電力不足に陥る可能性が高くなっている。  以上の4カ国と日本の電力自由化の動きをまとめて, 図12に示す。  海外の電気料金の推移を図13に示す。欧米の先進国で は2000年前後に小売全面自由化を実施したものの,電気 料金が安くならずにむしろ上昇している。最大の理由は 化石燃料の価格が高くなったことにあるが,国によって は競争の激化で事業者が減って電気料金の上昇を招いて 図10 韓国の電源構成 LNG 原子力 石炭 石油 再生可能エネルギー 水力 40.8% 20.3% 5.3% 0.84% 1.4% 31.3% 図11 韓国の電力供給システム 出典:経済産業省資料 発電部門 IPP KEPCOの発電子会社 (6社) 韓国電力取引所 (KPX) 韓国電力公社 (KEPCO) 韓国電力公社 (KEPCO) 再生可能エネルギー 送電部門 配電部門 小売部門 需要家 図8 フランスの電源構成

出典:ENTSO-E「System Adequacy Retrospect」 発電電力量 (2010年) 原子力 太陽光 その他再生可能エネルギー 水力 石炭 ガス 石油ほか 風力 75% 3% 5% 2% 2% 0% 1% 12% 5,503億 kWh 図9 フランスの電力供給システム(規制改革後) 出典:経済産業省資料 ◦ 公営事業者が150社以上 ◦ 主要発電会社CNR,SNET,SHEMのうち,CNRとSHEMはGDF Suez系, SNETはEndesa系 ◦ 再生可能エネルギー発電は固定価格買取制度であるが,導入量は少ない 発電部門 (卸電力取引) 卸電力取引所 (EPEX) IPP (独立発電 事業者) 再生可能 エネルギー 発電 公営電力 等の 地方配電 会社 送電部門 配電部門 小売供給部門 EDF小売部門 需要家 EDF配電子会社 EDF送電子会社 EDF発電部門 EDFグループ 新規供給会社 (アグリゲーター等) 需要家 固定価格 買取制度

(5)

 37 しまったケースもみられる。  日本でも同様の問題が発生する懸念はあるが,その可 能性は小さいと考えられている。1つには電力会社に対 抗する小売電気事業者に有力企業が多く,資金力に加え て営業・技術・サービス面の競争力が高いからである。 みずから発電所を運営して供給力を確保して いる事業者も少なくない。

4. 国内の電力自由化の動き

4.1 これまでの経緯(~2012年)  日本国内においては,1951年に電力事業の 再編が行われ,以来,北から北海道電力をは じめとする9電力が誕生し,1972年の沖縄返 還に伴い誕生した沖縄電力を合わせた10電力 会社が,それぞれの担当する地域に電気を供 給する事業を独占的に行うこととなった。各 社すべてが発電・送電・配電に必要な設備を 自社資産として保有している。つまり,垂直統合による 地域独占と,原料(燃料)の調達,工場(発電所)での 製造(発電),お届け(送配電)に必要な費用(総括原 価)をもとに,販売価格(電気料金)が決められる総括 原価方式により,大規模電源の確保と地域への供給保証 図12 欧米と韓国,日本の電力自由化状況のまとめ 図14 電力供給システムの変遷(~2012年) 図13 主要国の電気料金の推移 出典:資源エネルギー庁 米国 英 国 フ ラ ン ス 韓国 日 本 ◆エネルギー政策法により, 独立系発電事業者が規定され, 自由に発電施設を保有・運用可能 ◆国有企業CEGBを, 発電3社・送電1社に分割・民営化 ◆電力自由化法により,  ①発電市場の自由化, ②小売電力市場の段階的自由化, ③エネルギー規制委員会(CRE)の設置,  ④支配的事業者の分社化, ⑤公共サービス義務化等について規定 ◆EDG・GDF株式会社法により,  ①送電系統運用部門・ガス輸送導管運用部門の法的分離, ②配電系統運用部門・ガス配給導管  運用部門の経営分離, ③EDFおよびGDFの法的地位の変更等について規定 ◆スコットランドでは, 発送電一貫の国有2社が株式会社化 ◆アイルランドでは, 発送電一貫の国有会社が, 発電設備は分離・売却, 送配電・小売は民営化 ◆1,000kW超の需要家を対象に小売自由化 ◆100kW超の需要家まで小売自由化対象を拡大 ◆KEPCOを発電, 送電, 配電部門に分割 ◆KEPCO(韓国電力会社)が株式会社化 ◆2,000kW超の需要家を対象に小売自由化 ◆500kW超の需要家を対象に小売自由化 ◆50kW超の需要家を対象に小売自由化 ◆卸市場活性化のための新たな規制  (Secure&Promote)のコンサルテーションを実施 ◆「オーダー888」「888」を発令し, 送電部門と発電部門の機能分離を義務付け  また, ISOの設立が推奨される ◆「オーダー2000」を発令し, ISOを補完する形でRTOの広域系統運用機関の設立を要請 ◆小売電力市場の自由化は州単位で推進されたが,  2001年のカリフォルニア州での電力危機を契機に一旦下火傾向 ◆5万kW以上の大口需要家は韓国電力取引所を通じた取引が行われているが,  KEPCOの料金が安いため, KEPCO以外の供給者はなし ◆小売全面自由化 ◆小売全面自由化 ◆2013年7月現在, 13州およびワシントン  D.C.で自由化, オレゴン, ネバダ, モンタナ,  バージニア州で, 部分自由化 送配電部門の法的分離 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020(年) 2000 2005 2010 1.80 (セント/円) (USD/MWh) 1.60 1.40 1.20 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 0.00 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 家庭用電気料金 2000 2005 2010 (セント/円) (年) (年) (USD/MWh) 1.40 1.20 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 0.00 250 200 150 100 50 0 産業用電気料金 日本 日本 日本 ドイツ 韓国 米国 英国 フランス 為替 (セント/円) 日本 ドイツ 韓国 米国 英国 フランス 為替 (セント/円) 1995年11月30日まで 全国10の電力会社(一般電気事業者)が, すべてのお客様に電気を送っていた (a参照) 1995年12月1日から 電力会社に卸電力を供給する独立系発電事業者(IPP)が新規参入した。また, 特定地点 での小売供給が特定電気事業者に認められた (b参照) 2000年3月21日から 特別高圧(2万V)で受電するお客様(契約電力2,000kW以上[原則])が自由化され, 既存 の電力会社以外に特定規模電気事業者が小売できるようになった 2005年4月から すべての高圧のお客様(原則50kW以上)が自由化対象となった。また, 卸電力取引所の 設置など, 新たな仕組みがつくられる(c参照) 2004年4月1日から 高圧(6,000V)で受電する契約電力500kW以上のお客様が自由化対象となった 電力会社 卸電気事業者 卸供給事業者 特定電気事業者 特定地点 のお客様 (六本木エネルギー サービス等) (六本木 エネルギー サービス等) 卸電気事業者 自家 発電 自家 消費 すべてのお客様 b 電力供給システム (1995年12月1日~) a 電力供給システム (~1995年11月30日) 自家 発電 自家 消費 電力会社 電力会社 すべてのお客様 他電力 電気事業者特定規模 特定電気事業者 (PPS) 特定地点 のお客様 卸電気 事業者 卸電気事業者 自家 発電 自家 消費 c 電力供給システム (2005年4月~) すべてのお客様 順次拡大 日本卸電力取引所(JEPX) 託送(系統利用) 特別高圧(2,000kW)および 高圧(50kW以上)のお客様

(6)

 以上のような課題に対応し,これまでの地域ごとに独 占的事業者が供給する仕組みを見直し,さまざまな事業 者の参入や競争,全国レベルでの供給力の活用,需要家 の選択によるスマートな消費など,電力の低廉かつ安定 的な供給を一層進めることへの社会的要請が高まった。 4.2 電力システム改革の始動(2013年~)  そして政府は,2013年2月の総合資源エネルギー調査 会総合部会電力システム改革専門委員会の報告書を受け, 同年4月に「電力システムに関する改革方針」を閣議決 定した。  「電力システムに関する改革方針」では,電力システ ム改革の目的として, ①安定供給の確保 ②電気料金の最大限の抑制 ③需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大 を掲げ,この目的のもと,「広域系統運用の拡大」「小売 の全面自由化」「法的分離の方式による送配電部門の中 立性の一層の確保」という3本柱からなる改革を,3段 階に分けて進めることとした。これを受け,電気事業法 は2013年11月に第1弾改正,2014年6月に第2弾改正, 2015年6月に第3弾改正が行われた(図16)。 を実現し,国民生活の発展や経 済成長を支えてきた。  その後図14に示すように, 1995年に発電部門において競争 を導入し,2000年以降電気の小 売事業への参入を段階的に自由 化し,全需要の約6割まで自由 化範囲を拡大してきた。  これらの競争の導入は,2011 年の東日本大震災までの間,電 気料金が継続的に低下するなど, 一定の成果を挙げた(図15)。  一方現状では,小売市場における新規参入者のシェア は自由化された需要の約4.2%にとどまっており(2013 年度),また地域を越えた直接的な競争もほとんど生じ ていないなど,活発な競争が行われているとはいいがた い面もある。  さらに,東日本大震災を契機とした原子力発電所事故 により,従来の電力システムの抱えるさまざまな課題が 浮き彫りになった。具体的には以下の通りである。 ◦ 原子力発電への依存度が低下する中で,分散型電源や 再生可能エネルギーをはじめとする多様な電源の活用 が不可避 ◦ 電気料金の上昇圧力の中で,競争の促進などにより電 気料金を最大限抑制することが一層重要 ◦ 地域ごとに供給力を確保する仕組みではなく,広域的 な系統運用を拡大し発電電力を全国レベルで融通する ことが必要 ◦ 電力会社や料金メニュー,発電の種類を選択する需要 家のニーズに多様な選択肢で応えることが必要 ◦ 需要に応じて供給を積み上げるこれまでの方式ではな く,需給の状況に応じて,ピークとピーク以外の料金 に差を付ける等の工夫によって,需要抑制が必要 図16 電力システム改革の全体スケジュール 出典:https://www.fepc.or.jp/enterprise/kaikaku/index.html 図15 一般電気事業者の電気料金の推移(1995~2013年度) 出典:電力需要実績確報(電気事業連合会),各電力会社決算資料 1995 2000 2005 2010 26 24 22 20 18 16 14 12 (年) (円/kWh) 電灯 電力 電灯・電力計 2011~2013年度の電気料金の比較 2011 年度 2012年度 2013年度 電灯 電力 電灯・電力計 21.28 14.59 16.33 23.33 15.73 17.95 24.33 17.53 19.81 単位 : 円/kWh 第1弾改正 2013年 臨時国会 提出・成立 第1段階 2015年4月 設立 第2段階 2016年4月 に実施 第3段階 2020年4月1日 に実施 第2弾改正 2014年 臨時国会 提出・成立 第3弾改正 2015年 臨時国会 提出・成立 2013年 2月15日 2013年4月2日閣議決定 11月13日2013年 2014年6月11日 6月17日2015年 2015年4月1日 広域的運営 推進機関の 設立 ① 需給計画・系統計画のとりまとめ ② 【平常時】区域(エリア)を跨ぐ広域的な受給および系統の運用 ③ 【災害時等の受給逼迫時】電源の焚き増しや電力融通指示による需給調整 ④ 新規電源の接続受付, 系統情報の公開 等 さまざまな料金メニューの選択や電力会社の選択を可能に 小売全面 自由化 (参入自由化) 料金規制の 経過措置期間 (国が競争状況をレビュー) 法的分離と 同時かそれ以降 のタイミング 競争的な市場環境を実施 (送配電部門は地域独占が 残るため,総括原価方式 などの料金規制を講ずる) 料金規制の 撤廃 (経過措置終了) 送配電部門の 法的分離 第 2弾 改正法案 成 立 第 1弾改正法案成 立 電力 シ ス テ ム に 関 す る 改革方針 総合資源 エ ネ ル ギ ー 調査会 の 専門委員会 で       報告書 を ま と め る 第 3弾 改正法案 成 立 第 2段階 , 第 3段階 に つ い て も 方針 を 規定 改革 の 柱① 改革 の 柱② 改革 の 柱③

(7)

 39  次に,新たな施策について詳しく述べる3) 1)広域的運営推進機関の設立  広域的な系統運用を拡大して発電所を全国レベルで活 用する仕組みとして,広域的運営推進機関を創設した。 周波数変換装置の増強や地域間連系線の運用見直しによ り電力会社の区域を越えて電源を有効活用し,需給を調 整することができる(図17)。 2)小売の全面自由化  日本では2000年以降,小売分野の自由化を段階的に実 施し,2016年度は家庭等への小売の参入の自由化により, 一般家庭の電力選択を実現するとともに,競争を通じて 電気料金の最大限の抑制を図ることとした。  料金規制は段階的に撤廃し,ピークシフト料金などに よる需要抑制をしやすくした。料金規制撤廃後も最終保 障サービスや離島対策を措置し,供給力確保のための新 たな枠組みを設けることとした(図18)。 3)小売参入全面自由化に伴う電気事業類型の見直し  小売参入全面自由化により,「一般電気事業」や「特定 規模電気事業」といった区別がなくなることから,現行 の電気事業法の事業類型を抜本的に見直し,垂直統合体 制を前提としない事業類型を基本とする制度に転換した。  具体的には,発電事業,送配電事業,小売電気事業ご とにそれぞれの事業の特性に応じて参入・退出規制や各 種義務を課す(発電事業は届出制,一般送配電事業・送 電事業は許可制,小売電気事業は登録制)(図19)。 図18 小売の全面自由化の変遷 出典:経済産業省,2014年10月 2000年3月~ 2004年4月~ 2005年4月~ 2016年4月~ 自由化部門 自由化部門 規制部門 規制部門 規制部門 電力量 62% (2013年時点) 電力量 38% (2013年時点) 全面自由化 規制部分 (経過措置) ※2020年以降, 競争の進展状況 を確認して解除 自由に参入可能だが, 新規参入者のシェアは, 自由化された需要の 4.2%, 全需要の2.6% にとどまる(2013年度)。 また, 一般電気事業者 が区域(エリア)を越えて 供給することが可能。 料金規制はなく, 自由な 料金設定が可能 【特別高圧産業用】大規模工場 【特別高圧業務用】デパート,         オフィスビル 【高圧B】中規模工場 【高圧業務用】スーパー, 中小ビル 【高圧A】小規模工場 【高圧業務用】 スーパー, 中小ビル 自由化部門 電力量 40% 電力量 60% 電力量 9% 電力量 9% 電力量 19% 電力量 14% 【特別高圧産業用】大規模工場 【特別高圧業務用】デパート,         オフィスビル 【高圧B】中規模工場 【高圧業務用】(500kW以上)       スーパー, 中小ビル 自由化部門 電力量 26% 【特別高圧産業用】大規模工場 【特別高圧業務用】デパート,         オフィスビル 【低圧】コンビニ, 事業所等      電力量 5% 【電灯】家庭      電力量 33% 【低圧】コンビニ, 事業所等      電力量 5% 【電灯】家庭      電力量 31% 電力量 74% 【低圧】コンビニ, 事業所等      電力量 5% 【電灯】家庭      電力量 32% 【高圧A】 小規模工場 【高圧B】 中規模工場 電力量 9% 【高圧B】 中規模工場 【高圧業務用】 500kW未満 【契約kW】 (電圧V) 【2,000kW】 (2万V) 【50kW】 (6,000V) (100~200V) 【500kW】 図17 電力広域的運営推進機関の設立 出典:https://www.fepc.or.jp/enterprise/kaikaku/sousetsu2/sw_index_01/index.html 北海道 450万 kW 東北 1,322万 kW 東京 5,093万 kW 北陸 526万 kW 関西 2,816万 kW 中国 1,112万 kW 九州 1,634万 kW 四国 549万 kW 中部 2,623万 kW 60万 kW 60万 kW 1,262万 kW 30万 kW 30万 kW 557万 kW 1,666万 kW 240万 kW 557万 kW 140万 kW 240万 kW 557万 kW 557万 kW 140万 kW 120万 kW ※2020年度を目標に210万kWまで  増強。それ以降できるだけ早期に  300万kWまで増強 ※すでに決定されている  90万kWまでの増設  を早期に実現 周波数変換設備 交直変換設備 60Hz 50Hz ※  の中の数値は2013年8月の最大需要電力 ※  の間の線の数値は地域間連系線の送電容量 ・ 送電容量の数値は,会社間連系設備としての設計上の送電能力を表示 ・ 実際の系統運用における送電可能量(運用容量)は,設備故障を考慮した通過 電流制約,安定度制約等により制約される 出典:経済産業省,2014年10月 図19 小売の全面自由化後の電力供給システム ~現在 発電 送配電 小売 発電 送配電 小売 卸電気 事業者 規制需要家 (家庭等) (工場, オフィスビル等)自由化部門の需要家 すべての需要家 卸供給 (IPP) 発電事業者・新電力IPP以外の 特定規模 電気事業者 (新電力) 一般電気事業者 発電事業者 送配電事業者 【一般送配電・送電・特定送配電】 小売電気事業者 (供給力確保執務) ネットワーク利用 (託送供給) 特定電気 事業者 特定地点 の需要家 自家 発電 自家発電 自家 消費 自家消費 (情報遮断, 内部相互補助禁止, 市場監視等) 小売参入全面自由化後 (2016年~) 一定規模未満 の発電設備 保有者 (情報の目的外利用の禁止, 特定事業者の 差別的取扱の禁止等) ネットワーク利用 (託送供給)

(8)

4)法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の 確保  既存の電力会社が運用している送配電網を,新規参入 の再生可能エネルギー発電会社などが公平に利用できる よう,送配電部門の別会社化(法的分離)により独立性 を高めた。  緊急時等における国,広域的運営推進機関,事業者等 の役割分担を明確化し,国が安定供給等のために必要な 措置を講じる枠組みを構築した(図20)。

5. 小売全面自由化による効果

 本章では,小売参入全面自由化によってもたらされる 効果について述べる3)。 5.1 家庭等の需要家の選択肢の拡大  「アフターサービスの良い電力会社を選ぶ」「今より安 い電力会社に乗り換える」など,一般家庭でも電力会社 の選択が可能となる。今までとは異なる電力会社に乗り 換える際,①電力量計の買い換えは必要ないことや,② 停電頻度,周波数など,電気の品質はどの小売事業者か ら購入しても同一であるため,家庭等の需要家にとって 乗り換えの障害は小さいと考えられる。  自由化により,これまでよりも多様な料金メニューが 発生する可能性がある。これにより,電気の販売を携帯 電話,家電,通信,電気自動車等と組み合わせた「セッ ト割引」など,これまでになかったサービスが生まれる ことが考えられる(図21)。 5.2 電気料金の最大限の抑制  電力会社間の競争を促進するとともに,競争状況を見 極めた上で料金規制を撤廃,適切に市場を監視すること で燃料コストが上昇する中でも,電気料金を最大限抑制 できるとされている。  2016年4月からは,一般家庭や小規模商店なども,電 力会社の料金メニューや供給条件の比較によって,事業 者を選ぶことができるようになる(図22)。 5.3 「需要家発」の効率的な電力消費形態  ピークシフト料金(ex.「夏の昼間に高く,他の時間 帯は安くなる」料金メニュー)など,ライフスタイルに 合わせた多様な料金メニューが提供され,消費者側が納 得して省エネを行うことにより,日本全体ではより少な い電力投資で安定供給が図られることも期待されている (図23)。  なお,柔軟な料金設定を可能とするため,スマートメ ーターの導入などの環境整備を併せて実施する。 5.4 事業者の事業機会の拡大  全面自由化により,発電部門(発電事業者)と小売部 門(小売事業者)には,新たに多様な事業参入が行われ 図20 小売・発電の全面自由化後の体制 出典:経済産業省,2014年10月 持株会社 送配電 送配電網を発電事業者や 小売事業者による 公平な利用に供する 小売 発電 (送配電設備) (系統運用) 自由化部門 規制部門 自由化部門 ・① 地域独占・料金規制, ② 料金による投資回収の保証,  ③ 供給責任を措置 (最終保障サービス提供, 需要バランスの維持義務等) ・中立性確保のための人事・会計等に関する規制 図21 家庭等の需要家の選択肢の拡大 出典:経済産業省,2015年11月 小売参入全面自由化後の多様な電力会社・料金メニュー(2016年4月~) 地域のA電力会社の 電気料金 (標準料金) 地域のA電力会社の 電気料金 (時間帯別料金) B電力会社の 電気料金 (時間帯別料金) 電気自動車と電気のセット販売 再生可能エネルギー電源 図22 電気料金の最大限の抑制 出典:経済産業省,2015年11月 比較 料金メニューや 供給条件の比較など によって, 事業者を 選ぶことができる 需要家 (一般家庭, 商店・事業所等) 比較 A電力会社 B電力会社 図23 「需要家発」の効率的な電力消費形態例 出典:経済産業省,2015年11月 【スマートコミュニティ4地域】 北九州 京都 横浜 豊田 スマートコミュニティにおけるピークシフト料金などの実証実験 ・ 北九州市や豊田市などのスマートコミュニティ4地域で,ピークシフト料金な どの実験を行った ・ 北九州では,ピーク時の電気料金を引き上げることで2割ものピークカットを 実現。一般家庭と比べて支払う電気料金も3割安くなり消費者にもメリット ・ 時間帯別・季節別の電気料金メニューが選択できる社会への移行は今後の重 要課題 北九州のスマートコミュニティのコントロ ールセンター

(9)

 41 <用語の説明> 卸電気事業者:一般電気事業者である各地の電力会社に対し て電気を卸売りする事業者のことを指し,国内での卸電 気事業者は,電源開発(J-POWER)と日本原子力発電 の2社だけが国の許可を得ている 卸供給事業者:一般電気事業者に対し一定規模・一定期間以 上(10年以上1,000kW超または5年以上10万kW超)の契 約により電気の卸売りを行う事業者のことを指す 特定電気事業者:特定のエリア(供給地点)の需要に対して 電気を供給する事業者のことであり,この事業を行う者 を特定電気事業者という 特定規模電気事業者:特定規模需要家(特別高圧または高圧 により受電し,契約電力が50kW以上の需要家)に対す る電気の供給を行う事業者のことをいう 〔参考文献〕 1) 経済産業省:www.meti.go.jp/committee/sougouenergy, 2017.5.1 2) 電気事業連合会:https://www.fepc.or.jp/kaigai/kaigai_ jigyo/,2017.5.1 3) 経済産業省:http://www.enecho.meti.go.jp/category/ electricity_and_gas/electricity_libralization/,2017.5.22 山 やま 根ね 宏ひろし EHS&S 研究センター上級研究員 兼 エネルギー技 術部担当部長 通信EMC(放射妨害波,イミュニティ,過電圧)評 価,対策技術,太陽光発電システム評価に従事 2006年,日本電気協会渋沢賞受賞 博士(工学) 電気学会,電子情報通信学会会員 三み野の 正まさ人と エネルギー技術部長 情報通信用電源システム,再生可能エネルギーシ ステムの評価・コンサルティング業務に従事 電気学会,電気設備学会,日本金属学会,IEEE会員 図24 予想される新しい事業参入の例 出典:経済産業省,2015年11月 ることが見込まれる(図24)。  小売全面自由化により,以上のような効果が見込まれ ており,特に小売部門への多様な企業の参入が期待され ている。

6. おわりに

 2016年に日本国内において電力の小売全面自由化がな されたが,本稿ではその経緯と動向について調査した結 果を述べた。  電力小売全面自由化により,市場競争の重点はより一 層コストあるいは新たな付加価値を伴う商品・サービス に移っていくと考えられる。需要家はピークシフト料金 などライフスタイルに合わせた料金メニューを選択でき, 納得した省エネができるようになると予想される。  小売事業者は新電力と称されるガス会社や通信会社等 の新たな業種からの参入がみられ,これらの業者は自事 業を活かしセット割引での販売をしており,他業種の電 力業界への参入が盛んになると予想される。 (参考1) 法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保(第3弾改正) により,新規参入の発電事業者や小売事業者に対しての,送配電 網へのより一層の公平なアクセスが図られることとなる (参考2) 小売事業者には,供給力確保を義務付け(空売りを規制) 発電事業者 ・ LNG,石炭火力については,今後,発電事業者の新規参入が見込ま れる(資源確保を有利に進めるため,交渉力を発揮すべく,発電事業 における企業・業種を越えた提携が進むことも期待) ・ 再生可能エネルギーや分散型エネルギーの活用,地産地消による新し い発電事業の新規参入が見込まれる ・ 全面自由化をにらみ,企業では自らの特性を活かした発電所建設の動 きがみられる(ex.自家消費用に発電所を運営してきたノウハウを持 つ企業が,小売事業者向けにも供給する発電所を建設) 小売事業者 ・ 消費者目線の新しい電力小売ビジネス(電気と他の製品・サービスとの「セット販売」,ガス・石油など他のエネルギー企業による参入) が生まれることが見込まれる ・ 再生可能エネルギーや分散型エネルギーの活用,地産地消による新し い小売事業の新規参入が見込まれる ・ 一般電気事業者についても,首都圏での小売業参入が予定されている など,既存の電力会社間の競争に向けた動きがみられる

(10)

Synopsis

Trends in the Deregulation of Electric Power and the Development of New Power Supply Business

Hiroshi YAMANE Masato MINO (1) Power supply systems comprise the sectors of “power generation,” “power transmission and distribution” and “retail sales” and the full-scale deregulation of electric power introduces the principle of competition in each of these sectors to create a structure that enables entry by companies.

(2) Case examples of deregulation in developed countries where the deregulation of electric power has been introduced are described below. 1) In the U.S., whether or not retail markets have been deregulated depends on the state.

2) The U.K. was the first country in the world to deregulate electric power and, at the present time, the supply of electric power is mainly in the hands of “Big Six Energy Providers.” While the advent of deregulation and privatization resulted in reduced electricity charges in the 1990’s, charges have been increasing sharply from the middle of the noughties.

3) In France, although the EDF is exclusively responsible for the supply of electric power, power transmission and distribution are legally separated and handled by subsidiary companies.

4) Electric power was deregulated in Korea in 2001 and KEPCO’s power generation sector is divided into six subsidiary companies. Electricity charges are at a low level thanks to government control of the margin of increases.

(3) In Japan, the nuclear power plant accident following the Great East Japan earthquake has brought to light various issues besetting power systems at that time, prompting the promotion of reform of electric power systems divided into three phases based on the three cornerstones of (i) Expansion of wide-area system operation (ii) Full-scale deregulation of retail sales and power generation and (iii) Further ensuring neutrality in the sector of power transmission and distribution through the legal separation approach.

(4) Concomitant with the full-scale dereguation of retail sales, retail power utilities (e.g. existing electric power companies and power producers and suppliers) are now able to improve their profitability by working together with entities such as telecommunications and gas companies with customer bases for their own services.

参照

関連したドキュメント

接続対象計画差対応補給電力量は,30分ごとの接続対象電力量がその 30分における接続対象計画電力量を上回る場合に,30分ごとに,次の式

接続対象計画差対応補給電力量は,30分ごとの接続対象電力量がその 30分における接続対象計画電力量を上回る場合に,30分ごとに,次の式

2022.7.1 東京電力ホールディングス株式会社 東京電力ホールディングス株式会社 渡辺 沖

原子力損害賠償紛争審査会が決定する「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害

原子力損害賠償紛争審査会が決定する「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害

原子力損害賠償紛争審査会が決定する「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害

当社は、 2016 年 11 月 16 日、原子力規制委員会より、 「北陸電力株式会社志賀原子力発

③ 当社がICBの元利金支払を継続できない状況となり、かつ、東京電力ホールディングス株式会社がホー