平成29年度 全国学力・学習状況調査の結果について
人吉市教育委員会
1 調査結果の公表にあたって
全国学力・学習状況調査は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点か
ら、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を
検証し、その改善を図るとともに、各学校における児童生徒への教育指導の充実や
学習状況の改善等に役立てることを目的に実施されています。
しかし、本調査により測定できるのは学力の特定の一部分であり、学校における
教育活動の成果の一側面にすぎません。本市としましては、本調査の結果から得ら
れた全国の状況等を参考にしながら、今後の教育施策を講じるための一つの指標と
捉えるとともに、各学校における学力向上に向けての教育指導の充実、児童生徒一
人一人の学習状況の改善等に生かしてまいります。
また、本市の調査結果等を公表することにより、児童・生徒に関わる保護者や市
民の皆様に関心をもっていただき、調査結果から見える成果や課題を共有しながら、
学校・家庭・地域と連携し、一体となって人吉市の子どもたちを育ててまいりたい
と考えております。
2 調査の実施状況
(1)調査実施日 平成29年 4月18日(火)
(2)調査対象学年(本市での実施学校及び児童・生徒数)
・小学校第6学年(6校・人吉東小学校、人吉西小学校、東間小学校、
大畑小学校、西瀬小学校、中原小学校 295名)
・中学校第3学年(3校・第一中学校、第二中学校、第三中学校 291名)
(3)調査内容
① 教科に関する調査(国語、算数・数学)
・A問題:主として「知識」に関する問題
・B問題:主として「活用」に関する問題
② 質問紙による生活習慣や学習環境等に関する調査
・学習意欲や学習方法、学習環境、生活の諸側面などに関する内容
<用語説明> 【平均正答数】 児童生徒の正答数の平均。 【平均正答率】 ・国語A、国語B、算数・数学A、算数・数学Bごとの平均正答率は、それぞれの 平均正答数を設問数で割った値の百分率。 ・学習指導要領の領域ごとの平均正答率は、それぞれの正答児童生徒数を全体の児 童生徒数で割った値の百分率。3 小学校:教科に関する調査
① 人吉・球磨の平均正答率と比較すると、国語A・算数Aともに下回っている。国語B、算数 Bは人吉・球磨と同等である。 ② 熊本県の平均正答率と比較すると、すべてにおいて下回っている。 ③ 全国の平均正答率と比較すると、すべてにおいて下回っている。 (1)小学校国語 学習指導要領の領域別平均正答率 ① 全国の平均正答率と比較した場合、すべての領域で下回っている。特に、国語Aにおける「話 すこと・聞くこと」、「読むこと」に課題がみられる。 ② 学年別漢字配当表に示されている漢字については、正しく書くことができているが、目的に 応じて文章の中から必要な情報を見つけて読むことや手紙の構成理解し、後付けを書くことに 課題がみられる。 人吉市 熊本県 全 国 人吉市 熊本県 全 国 話すこと・聞くこと 64.5 67.6 69.2 64.2 64.8 64.9 書くこと 58.2 61.2 60.6 52.9 53.1 53.4 読むこと 64.1 69.7 70.2 49.0 48.7 49.2 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 77.1 80.0 78.0 ー ー ー 国語A 国語B(2)小学校算数 学習指導要領の領域別平均正答率 ① 全国の平均正答率と比較した場合、算数Aにおける「図形」、算数Bにおける「量と測定」、 「図形」、「数量関係」の領域で上回っているが、その他の領域は下回っている。特に、算数A における「量と測定」に課題がみられる。 ② 「図形」に関する理解は定着しているものの、問題場面を除法の式で表したり、小数の乗法 の計算や数量の関係を数直線に表すこと等の「数と計算や数量関係」に課題がみられる。
(3)小学校
正答数分布グラフ(横軸:正答数,縦軸:割合) ① 小学校 国語A 国語Aの傾向:全国と比較した場合、正答数14問~15問の上位層の割合は低く、13問の 層の割合は高い。正答数8問以下の層は全国・県平均を上回る。 人吉市 熊本県 全 国 人吉市 熊本県 全 国 数と計算 79.8 81.9 80.6 49.5 52.3 52.8 量と測定 64.5 68.0 68.8 47.8 48.8 47.0 図 形 83.4 85.0 81.1 13.7 11.0 13.2 数量関係 77.5 81.9 79.6 40.7 40.6 40.0 算数A 算数B 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 0問 1問 2問 3問 4問 5問 6問 7問 8問 9問 10問 11問 12問 13問 14問 15問 人吉市教育委員会 熊本県(公立) 全国(公立)② 小学校 国語B 国語Bの傾向:全国と比較した場合、正答数8問~9問の上位層の割合は高いが、1問~3問 の下位層の割合も高い。 ③ 小学校 算数A 算数A傾向:全国と比較した場合、正答数13問~14問の上位層の割合は高いが、全国平均 正答数11問の層の割合は低く、正答数9問以下の層の割合が全国、県より高い。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 0問 1問 2問 3問 4問 5問 6問 7問 8問 9問 人吉市教育委員会 熊本県(公立) 全国(公立) 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 0問 1問 2問 3問 4問 5問 6問 7問 8問 9問 10問 11問 12問 13問 14問 15問 人吉市教育委員会 熊本県(公立) 全国(公立)
④ 小学校 算数B 算数Bの傾向:全国と比較した場合、正答数9問~10問の層の割合は高いが、全国平均正答数5 問の層の割合は低く、特に正答数2問以下の層の割合が高い。 全体的傾向と対策 全国と比較した場合、国語A・B、算数A・Bともに共通した傾向は、全国平均と比べて、平 均正答数をやや上回る層の割合は高いが、それ以上に、全国平均正答数を下回る層の割合が高い ことが分かる。 また、B問題においては、下位層が全国平均より著しく高い傾向にある。このような児童は、 基礎的語句の知識や計算などに誤答がみられ、授業内容を十分に理解できているとはいえない状 況の児童もいると考えられる。 今後は、児童一人一人の学習状況をしっかり把握し、個に応じた指導を継続的に行うことで改 善を図っていく必要がある。家庭の理解と協力を得ながら家庭学習の習慣化を図り、基礎・基本 の確実な定着を図るとともに、次期学習指導要領に示されている主体的・対話的で深い学びの実 現に向けた授業改善を推進していく。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 0問 1問 2問 3問 4問 5問 6問 7問 8問 9問 10問 11問 人吉市教育委員会 熊本県(公立) 全国(公立)
4 中学校:教科に関する調査
① 人吉・球磨の平均正答率と比較すると、国語Aは上回っているが、国語B、数学A、数学Bと もに下回っている。 ② 熊本県の平均正答率と比較すると、国語Aが同等で、国語B、数学A、数学Bはともに下回っ ている。 ③ 全国平均正答率と比較すると、すべてにおいて下回っている。 (1)中学校国語 学習指導要領の領域別平均正答率 ① 全国の平均正答率と比較した場合、国語Aの「伝統的な言語文化と国語の特質関する事項」以 外はすべてにおいて下回っている。 ② 特に、「話すこと・聞くこと」の領域において、事実と考えとの関係に注意し、構成を考えて話 すことや、目的に応じて資料を効果的に活用して話すこと、また、文章の要旨をとらえること、 文章の表現の仕方について自分の考えをもつことに課題がみられる。 人吉市 熊本県 全 国 人吉市 熊本県 全 国 話すこと・聞くこと 68.1 72.5 75.4 67.2 70.6 72.4 書くこと 82.3 84.7 85.7 55.5 60.1 60.8 読むこと 67.8 71.9 73.8 66.7 70.7 72.1 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 80.2 77.7 77.2 36.5 41.2 41.4 国語A 国語B(2)中学校数学 学習指導要領の領域別平均正答率 ① 全国の平均正答率と比較した場合、すべてにおいて下回っている。 ② 特に、「図形」の領域において、命題の仮定と結論を区別し、与えられた命題の仮定を読み取る こと、錯角の意味や比例定数の意味を理解すること、筋道を立てて考え、証明することに課題が みられる。
(3)中学校
正答数分布グラフ(横軸:正答数,縦軸:割合) ① 中学校 国語A 国語Aの傾向:全国と比較した場合、正答数30問~32問の上位層の割合は高いが、15問以下 の層の割合も高い。平均正答数24.5問は全国平均とほぼ等しい値である。 人吉市 熊本県 全 国 人吉市 熊本県 全 国 数と計算 68.9 68.8 70.4 41.7 45.1 46.3 図 形 60.1 64.3 66.0 44.5 46.0 47.1 関 数 51.6 56.7 57.4 46.1 50.6 50.8 資料の活用 53.4 54.6 57.6 48.7 49.8 49.1 数学A 数学B 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 0 問 1 問 2 問 3 問 4 問 5 問 6 問 7 問 8 問 9 問 10 問 11 問 12 問 13 問 14 問 15 問 16 問 17 問 18 問 19 問 20 問 21 問 22 問 23 問 24 問 25 問 26 問 27 問 28 問 29 問 30 問 31 問 32 問 人吉市教育委員会 熊本県(公立) 全国(公立)② 中学校 国語B 国語Bの傾向:全国と比較した場合、正答数3問以下の層の割合が高く、記述式に対応できない 生徒の割合が高い。 ③ 中学校 数学A 数学Aの傾向:全国と比較した場合、正答数23問を下回る層の割合が高く、正答数33問~ 36問の上位層の割合が低い。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 0 問 1 問 2 問 3 問 4 問 5 問 6 問 7 問 8 問 9 問 10 問 11 問 12 問 13 問 14 問 15 問 16 問 17 問 18 問 19 問 20 問 21 問 22 問 23 問 24 問 25 問 26 問 27 問 28 問 29 問 30 問 31 問 32 問 33 問 34 問 35 問 36 問 人吉市教育委員会 熊本県(公立) 全国(公立) 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 0 問 1 問 2 問 3 問 4 問 5 問 6 問 7 問 8 問 9 問 人吉市教育委員会 熊本県(公立) 全国(公立)
④ 中学校 数学B 算数Bの傾向:全国と比較した場合、正答数7問を下回る層の割合が高い。特に、正答数3問以下 の層の割合が高い。 全体的な傾向と対策 全国と比較した場合、国語Aは平均正答数が全国とほぼ等しい。国語B、数学A・Bともに共 通した傾向は、全国平均正答数を下回る層の割合が高いことである。 また、B問題においては、小学校同様に下位層の割合が高い傾向にあり、授業内容を十分に理 解できていない生徒が多いと考えられる。 今後は、調査対象の中学校3年生のみならず、小学校から中学校までの9年間を通じた系統的・ 継続的な指導によって改善していくことが重要である。また、家庭での理解と協力を得ながら、 9年間のスパンを見通して、発達段階に応じた家庭学習の習慣化に取り組む必要がある。各学校 においては、生徒一人一人の学習状況をしっかり把握し、学習形態(少人数指導やティームティ ーチング)を工夫しながら、基礎・基本の確実な定着に向けて個に応じた効果的な学習指導を継 続的に取り組んでいく。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 0 問 1 問 2 問 3 問 4 問 5 問 6 問 7 問 8 問 9 問 10 問 11 問 12 問 13 問 14 問 15 問 人吉市教育委員会 熊本県(公立) 全国(公立)